JP3579703B2 - 供給流体の圧力調整装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は供給流体の圧力調整装置に関し、特に言えば、生ビ−ル貯蔵樽内への炭酸ガスの供給に用いる圧力調整装置に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
樽内に貯留される生ビ−ルには予め炭酸ガスが供給されて溶解しており、生ビ−ルを販売する際には、更に炭酸ガスを樽内に充填して生ビ−ルを押し出し、これをサ−バ−を通して低温化しジョッキ等に分配される。
しかるに、炭酸ガス貯蔵タンクと生ビ−ル貯蔵樽との間には炭酸ガスの圧力調整装置が備えられており、温度によって圧力調整装置のレバ−を調整して炭酸ガスの圧力を調整することとなっているが、通常の装置は手動によってレバ−操作をすることとなっている。
【0003】
図6は従来の生ビ−ル貯蔵樽内に炭酸ガスが導入される手段を略示したものであり、炭酸ガス貯蔵タンク51と炭酸ガス供給用の圧力調整装置52とが連結され、この圧力調整装置52とビ−ル貯蔵樽53とが連結されている。
この圧力調整装置52には、レバ−521 によって周囲の温度に応じて圧力調整装置52内の図示しないスプリングやダイヤフラムの弾発力を調整し、炭酸ガスを供給するバルブの開閉に強弱をもたらすものとなっている。そして、通常は炭酸ガスは貯蔵タンク51より圧力調整装置52を介してビ−ル貯蔵樽内に常時供給されており、液面に常にさらされるために液体中に溶解を続け易くなる。一方、この炭酸ガスの圧力が低過ぎると、予め生ビ−ル内に溶解している炭酸ガスが発泡してしまい、いわゆる気の抜けたビ−ルとなってしまう。
【0004】
従って、この炭酸ガスの供給は極めて重要であるところ、圧力調整装置52には炭酸ガスの供給圧力を対応させるようにレバ−521 が備えられてはいるが、通常は温度に応じて手動をもって調整することとなっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このため、炭酸ガスの供給圧力調整装置に備えられたレバ−を、周囲の温度によってその都度調整しなくてはならないことから、極めて面倒であり、通常はそれ程レバ−で調整されることはない。
従って、生ビ−ル液内に溶解する炭酸ガスの量は一定量となるのが望ましいが、供給される炭酸ガスの圧力によって、予め溶解している炭酸ガスの溶解量が変化することは避けられず、サ−バ−を通してジョッキ内にもたらされる生ビ−ル内の炭酸ガスの溶解量が異なり、生ビ−ルとしての味が一定しないという欠点が指摘されていた。即ち、生ビ−ル液内の炭酸ガスの溶解量が時間の経過と共に変化してしまい、一定の味を提供することができないのが現状である。
【0006】
本出願人は、生ビ−ル貯蔵樽内に炭酸ガスを供給するに際して、炭酸ガスの圧力を調整するための圧力調整装置を種々提案している(例えば特願平5−248761号)が、本発明はこれら既提案の圧力調整装置を更に改良したものであって、樽内に貯留されている生ビ−ルの温度に対して、供給される炭酸ガスの圧力を自動調整する機能を低下させることなく圧力調整装置を構造的に簡略化し、コストダウンを図ったものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は以上の目的を達成するため、次の構造としたものである。即ち、中空室本体部と、中空室を貫通するパイプと、パイプに外挿されたバルブコ−ンと、中空室を閉鎖する底面カバ−及び上面カバ−と、よりなり、前記バルブコ−ンにて中空室をA、B室に分割し、A室を大気圧室とすると共にA室内にパイプ内を流れる第2流体の温度を感知してばね定数が変化する熱感応スプリングを装着してバルブコ−ンを弾発支持し、B室を中空室本体部と、バルブコ−ン間にてノズル接触によって更にB1 室とB2 室に区画し、このノズルをはさんだB1 、B2 室に第1流体の入口及び出口を設け、更にバルブコ−ンと本体部との間に前記熱感応スプリングの弾発方向に対向するスプリングを備えたことを特徴とする供給流体の圧力調整装置であって、通常は、B室内にて、中空室本体部に形成したノズルと、バルブコ−ンに備えたバルブシ−ルとを当接することにより、B1 室とB2 室に区画してなるものである。
【0008】
【作用】
本発明は、第2流体の温度に応じて第1流体の流出圧力を自動的に調整する装置であって、特に熱感応スプリング、例えば形状記憶合金、形状記憶樹脂、バイメタル等を用いたスプリング(コイルバネや皿バネ等)を利用し、第2流体の温度を感知してバネ定数又は形状の変化によりパイプに外挿したバルブコ−ンを軸方向に変位させ、これに伴ってB室内のバルブシ−トとノズルとの間の開閉をもたらして、第1流体の流出する圧力を自動的に調整するものである。
尚、通常は、B室内にて、中空室本体部に形成したノズルと、バルブコ−ンに備えたバルブシ−ルとを当接することにより、B1 室とB2 室に区画するが、中空室本体部側にバルブシ−ルを、バルブコ−ン側にノズルを備えたものであってもよいことは勿論である。
【0009】
即ち、第2流体の温度に応じて第1流体の流出する圧力が自動的に変えられることとなるため、例えば、生ビ−ル貯蔵樽内への炭酸ガスの供給にあって、樽内の液体の温度に応じて自動的に必要量の炭酸ガスが供給され、樽内に所望圧力の炭酸ガスが導入されることとなる。
従って、この生ビ−ルの例にあっては、生ビ−ル液内に溶解している炭酸ガスの溶解量はほぼ一定に保たれ、生ビ−ルそのものの味も常に一定のものとなるのである。
【0010】
しかも、熱感応スプリングと第2流体とは直接接触することがないという特徴があり、熱感応スプリングは第2流体の性状等に全く影響がなく機能するため、熱感応スプリングの作動によって、例えば生ビ−ル貯蔵樽内に炭酸ガスを供給するに際して、供給される炭酸ガスの圧力を正確に自動調整するための圧力調整装置を提供することとなるのである。
【0011】
更に、例えばビ−ルの流路にスプリングのような複雑な形状が存在すると、ビ−ルの炭酸ガスが乱流のため分離し易いこと及びビ−ルの成分が結晶化し、流路に付着した場合、この除去、清掃が困難であるが、本発明は圧力調整機能を付与する熱感応スプリングとビ−ル液とは接触しないため、このような欠点は全く存在しない装置となったものである。
【0012】
【実施例】
以下本発明を実施例をもって更に詳細に説明する。
図1は本発明の供給流体の圧力調整装置の概念図であり、生ビ−ル貯蔵樽内に炭酸ガスを供給する装置として用いられた例である。
図中、1は供給流体の圧力調整装置の本体であり、この本体1には中空室が設けられ、この中空室にはパイプ2が貫通している。そして、このパイプ2に外挿したバルブコ−ン3によって中空室をA室とB室とに分割されている。
【0013】
そして、A室は大気圧と連続すると共に、そのA室にはパイプ2に外挿した熱感応スプリング4が装着されて前記バルブコ−ン3を弾発支持している。
一方、B室では本体1に環状のノズル5とこれに対向したバルブコ−ン3側のフランジ6とを当接することによってB1 室及びB2 室に分割し、この両室に流体の入口7及び出口8を形成したものである。通常はバルブコ−ンフランジ6にはノズル5と当接する部位にシ−ト部(図示せず)が備えられる。この入口7には炭酸ガスボンベ9が連結され、一方、出口8はビ−ル貯蔵樽10に導かれる。そして、バルブコ−ン3は熱感応スプリング4の弾発力に対向するスプリング11によって弾発支持されることになる。このスプリング11が装着される室B3 は室B2 と連通しており、両室B2 、B3 内の圧力は同圧とされている。
【0014】
尚、前記したパイプ2はB室側(入口21 )がビ−ル貯蔵樽10に接続され、A室側(出口22 )がサ−バ−12に繋がるものである。
パイプ2の材質はここではステンレスを用いたが、熱の伝導性をよくするため、その肉厚はできるだけ薄いほうが好ましい。又、熱伝率がステンレスより高い例えば、アルミ、銅、鉄等の材質を用いると温度に対する反応速度が早くなり好ましいものとなる。
【0015】
さて、B1 室には供給されるべき第1流体(炭酸ガス)がその入口7から入り込み、ノズル5を通ってB2 室に入り、そして出口8より外へ出ることとなる。一方、パイプ2には入口21 より第2流体(ビ−ル液)が送り込まれ、出口22 から流出するものである。そして、第2流体がA室内でスプリング4にその液温が伝達され、このスプリング4が熱感応性材料でできているため、この第2流体の液温によってスプリング4のバネ定数又はバネの形状が変化し、これによってバルブコ−ン3を押す力が変化して弾発性が与えられる。
【0016】
ここでA室内の圧力をP0 (大気圧)、B1 〜B3 室の圧力を夫々P1 〜P3 とすれば、連通しているB2 室とB3 室の圧力はP2 =P3 となる。さて、スプリング4の力をFA 、スプリング11の力をFB とすれば、圧力調整に関与するもの、即ちバルブコ−ン3を動かす力は、P2 、FA 、FB となる。このP2 について言えば、圧力調整に関与する力F1 =P2 ×S1 (バルブコ−ン3の受圧面積)となる。
従って、FA >FB +F1 の場合には、バルブコ−ン3が右側に移動することとなり、ノズル5が開き、一方、FA <FB +F1 の場合にはバルブコ−ン3が左側に移動してノズル5が閉まることとなり、ここに圧力の調整がなされることとなる。
【0017】
本発明の圧力調整装置は、バルブコ−ン3にかかるこれらの各力の大きさの関係によりノズル5とシ−ト間の間隔が開閉するものであって、スプリング4が第2流体の液温を感知することによってF4 の大きさが変化し、これによりB1 室の圧力が調整され、結果的に第2流体の液温に従って、流出する第1流体の圧力が自動的に調節できることとなったものである。
【0018】
このため、本装置を生ビ−ル貯蔵樽内へ供給する炭酸ガスの圧力調整装置として用いれば、生ビ−ルの液温に応じて供給される炭酸ガスの圧力を自動的に変化できることとなったものであり、このため液中に溶解する炭酸ガスの量を常に一定に保つことができることとなったものである。
【0019】
図2は本発明の供給流体の圧力調整装置の具体的な例を示す一部切断側面図、図3はその上面図である。又、図4は図2における圧力調整装置の拡大断面図であり、図5は更にその部分拡大図である。図中、符号1〜11は前記した通りである。
【0020】
さて、供給流体の圧力調整装置本体1は筒体11 、12 及び上面カバ−13 と底面カバ−14 とからなっており、これらによって中空室が形成されている。この筒体11 、12 は筒体11 のフランジ111によってネジ止めされて一体とされている。上面カバ−13 は筒体11 に螺合される調整ネジとされ、熱感応スプリング4の弾発力が調整され、底面カバ−14 は筒体12 に螺着される。
【0021】
そしてこの筒体11 、12 及び上面カバ−13 と底面カバ−14 をパイプ2が貫通しており、このパイプ2にバルブコ−ン3が外挿されている。このバルブコ−ン3は、筒体11 との間、パイプ2との間、底面カバ−14 との間でスライド可能とされており、いずれもO−リング13にてシ−ルされている。尚、図例ではパイプ2の先端は曲げ加工がなされ、図示するようにその先端外周に竹の子溝20 がつけられており、チュ−ブを嵌め込むことができるようになっている。
【0022】
筒体12 には環状のノズル5が熱感応スプリング4の弾発方向に向けて形成されており、このノズル5に対向してバルブコ−ン3のフランジ6にシ−ト部61 を備えたもので、このノズル5とシ−ト部61 とによって室B1 、B2 が区画されるものである。そしてバルブコ−ン3は底面カバ−14 との間の室B3 内にスプリング11が装着され、前記した熱感応スプリング4と対向してバルブコ−ン3が弾発支持されている。
尚、バルブコ−ン3には室B2 にパイプ2に向けて貫通孔31 が形成されており、スプリング11が装着されている室B3 との間をパイプ2の周面を介して連通し、室B1 と室B3 の圧力が同一とされるものである。
図中、14はパイプ2のフランジに取り付けられたナット、71 は第1流体の入口7に備えられたアダプタ−、81 はその出口側の継手である。
【0023】
さて、B1 内に第1流体が導入され、一方、パイプ2内を第2流体が流れることとなるが、FA >FB +F1 の状態ではノズル5とシ−ト部61 は接触することなく開かれており、第1流体はB1 室内に流入し、ノズル5を通ってB2 室の出口8より流出することとなる。
一方、FA <FB +F1 の場合にあっては、バルブコ−ン3のシ−ト部61 とノズル5とが接触して第1流体の流れを遮断することとなる。
【0024】
しかるに、パイプ2内を流れる第2流体の液温を熱感応スプリング4が感知し、バルブコ−ン3の押圧力FA を変化させることとなる。従って、第2流体の温度によってノズル5とバルブコ−ン3のシ−ト部61 との間の開閉を自在とし、第2流体の圧力の増減によって自動的に第1流体の供給量を調整することができることとなる。
【0025】
このため、本装置を例えば生ビ−ル液中へ溶け込ませる炭酸ガスの圧力調整装置として用いれば、ビ−ル液温によってこれに供給される炭酸ガスの圧力を自動的に変化できることとなり、このため、液中に溶解する炭酸ガスの量を常に一定に保つことができることとなった。
【0026】
【発明の効果】
本発明は以上の構造を有する供給流体の圧力調整装置であって、形状記憶合金を用いたスプリングを使用するため、このスプリングのバネ定数が第2流体の液温によって変化し、この変化に応じて第1流体の圧力を調整することができることとなったものである。このため、例えば生ビ−ル貯蔵樽への炭酸ガスの供給用に本発明の圧力調整装置を用いることにより、生ビ−ル内の炭酸ガスの溶解量を常に一定に自動制御することができるようになったものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の供給流体の圧力調整装置の概念図である。
【図2】図2は本発明の圧力調整装置の具体例を示す一部切断側面図である。
【図3】図3は図2の圧力調整装置の上面図である。
【図4】図4は図2における圧力調整装置の拡大断面図である。
【図5】図5は図4の部分拡大図である。
【図6】図6は従来の生ビ−ル貯蔵樽内に炭酸ガスが混入・溶解される手段の略示図である。
【符号の説明】
1‥‥供給流体の圧力調整装置の本体、
11 、12 ‥‥供給流体の圧力調整装置本体となる筒体、
13 ‥‥上面カバ−、
14 ‥‥底面カバ−、
2‥‥パイプ、
21 ‥‥パイプの第2流体の入口、
22 ‥‥パイプの第2流体の出口、
3‥‥バルブコ−ン、
31 ‥‥バルブコ−ンに形成した貫通孔、
4‥‥熱感応スプリング、
5‥‥ノズル、
6‥‥フランジ、
61 ‥‥フランジのシ−ト部、
7‥‥第1流体の入口、
71 ‥‥第1流体の入口に備えられたアダプタ−、
8‥‥第1流体の出口、
81 ‥‥第1流体の出口側の継手、
11‥‥スプリング、
13‥‥O−リング、
A、B1 、B2 、B3 ‥‥中空室。
Claims (2)
- 中空室本体部と、中空室を貫通するパイプと、パイプに外挿されたバルブコ−ンと、中空室を閉鎖する底面カバ−及び上面カバ−と、よりなり、前記バルブコ−ンにて中空室をA、B室に分割し、A室を大気圧室とすると共にA室内にパイプ内を流れる第2流体の温度を感知してばね定数が変化する熱感応スプリングを装着してバルブコ−ンを弾発支持し、B室を中空室本体部と、バルブコ−ン間にてノズル接触によって更にB1 室とB2 室に区画し、このノズルをはさんだB1 、B2 室に第1流体の入口及び出口を設け、更にバルブコ−ンと本体部との間に、前記熱感応スプリングの弾発方向に対向するスプリングを備えたことを特徴とする供給流体の圧力調整装置。
- B室を、中空室本体部に形成したノズルと、バルブコ−ンに備えたバルブシ−ルとを当接することにより、B1 室とB2 室に区画してなる請求項第1項記載の供給流体の圧力調整装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12941795A JP3579703B2 (ja) | 1995-04-29 | 1995-04-29 | 供給流体の圧力調整装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12941795A JP3579703B2 (ja) | 1995-04-29 | 1995-04-29 | 供給流体の圧力調整装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH08303623A JPH08303623A (ja) | 1996-11-22 |
JP3579703B2 true JP3579703B2 (ja) | 2004-10-20 |
Family
ID=15009011
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12941795A Expired - Lifetime JP3579703B2 (ja) | 1995-04-29 | 1995-04-29 | 供給流体の圧力調整装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3579703B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP5083949B2 (ja) * | 2007-06-21 | 2012-11-28 | 京三電機株式会社 | 発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置 |
US8656952B2 (en) * | 2010-09-29 | 2014-02-25 | Perlick Corporation | Beverage faucet and flow reducer |
-
1995
- 1995-04-29 JP JP12941795A patent/JP3579703B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH08303623A (ja) | 1996-11-22 |
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