JP3579629B2 - サージ吸収器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、雷サージ等のサージ吸収放電管及びサージ吸収器に関するものである。特に、サージ応答特性が向上されたサージ吸収放電管を提供するとともに、耐久性に優れたサージ吸収器を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
図26は、特開平06−196245号公報に示された従来の放電型サージ吸収素子である。
図26に示す放電型サージ吸収素子は、放電間隙12を隔てて対向配置した一対の放電電極14,14を、放電ガスとともに外囲器20内に気密に封入してなり、放電電極14,14を第1のリード線24,24を介して電源線に接続することにより、電源線間に挿入される放電型サージ吸収素子10において、外囲器20内に第2のリード線26,26を介して電源線に接続される一対の補助放電電極18,18を収納し、補助放電電極18,18間に補助放電間隙16を形成するとともに、補助放電間隙16における放電開始電圧を、電源線の電源電圧以下に設定したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の放電型サージ吸収素子は、補助放電極18を設けて電圧を加えることにより初期電子不足に起因する放電遅れ(暗黒現象による放電遅れ)を回避しようとするものであるが、補助放電電極に電圧を印加しなければならず、構成が複雑になるという課題があった。
【0004】
また、従来のサージ吸収器は、サージが印加されたとき、放電電極14,14間で放電が起きる前に、リード線24間で放電が起きたり、サージ吸収回路の配線間で放電が起きたりしてしまい、回路を破壊してしまう恐れがあった。
【0005】
この発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、サージ吸収放電管のサージ応答特性を向上させることを目的とする。
【0007】
この発明に係るサージ吸収器は、サージを吸収するサージ吸収回路を有するサージ吸収器において、
それぞれが一対の主電極を有する2つのサージ吸収放電管と、
各サージ吸収放電管の各主電極に対して等間隔となる位置に配置され、各サージ吸収放電管の電極を3ルックス以上の照度で照らす発光素子と
を備えたことを特徴とする。
【0008】
上記発光素子は、サージが印加される少なくとも5秒前に点灯されるとともに、上記サージ吸収放電管は、1500ボルト以上のサージが印加された場合に、1.2マイクロセカント以下で動作することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、第1のサージ吸収放電管50と第2のサージ吸収放電管60と小形ネオン管70の配置を示す図である。
第1のサージ吸収放電管50は、透明気密容器51の内部に第1の主電極53と第2の主電極54と補助電極55を有している。第1の主電極53は、一端が透明気密容器51内に直線状に配置され、他端が容器基部41を通過して透明気密容器51の外部に導出され、第1のリード端子56となる棒状電極である。第2の主電極54も一端が透明気密容器51内に直線状に配置され、他端が容器基部41を通過して透明気密容器51の外部に導出され、第2のリード端子57となる棒状電極である。補助電極55は、一端が透明気密容器51の内部に直線状に出され、他端が透明気密容器51の容器基部41に挿入された棒状電極である。第1の主電極53と第2の主電極54と補助電極55とは、略平行に配置されている。第1のリード端子56、第2のリード端子57は、基板80の回路と接続されるが、補助電極55は、基板80の回路とは一切接続されない。
なお、第2のサージ吸収放電管60も第1のサージ吸収放電管50と同じ構成をしている。
第1のサージ吸収放電管50及び第2のサージ吸収放電管60は、棒状電極を使う蛍光管であり、冷陰極型の蛍光管が使用される。熱陰極型の蛍光管は、ヒータにより電極を加熱して電子を放出するようにしているのに対し、冷陰極型の蛍光管は、加熱を必要としない。しかし、冷陰極型の蛍光管は、外部から光電子がトリガーとなって、電極から電子を発生して放電する。しかし、暗黒化においては、電子が発生しにくく、放電が遅くなったり、或いは、放電しないという不良を発生する場合がある。
このように、暗黒化における放電不良の現象は暗黒現象と呼ばれ、暗黒現象は、棒状電極を用いた放電管に発生する。即ち、冷陰極型の蛍光管を光が全くない状態に放置すると、動作が遅れたり、動作しないという現象が発生してしまう。この暗黒現象が発生する放置時間は、個々の製品によって異なるが、真っ暗な状態において約200時間以上放置すると、放置状態と同じ条件で点灯する。
そこで、この実施の形態においては、第1のサージ吸収放電管50と第2のサージ吸収放電管60の間に間隔W1が等しくなるように、小形ネオン管70を配置している。小形ネオン管70は、豆電球やLEDやレーザダイオードであっても構わないし、その他の発光素子でも構わない。
【0018】
図1に示すように、小形ネオン管70を第1のサージ吸収放電管50と第2のサージ吸収放電管60の近傍に置き、図2及び図3に示す回路を用いて第1のサージ吸収放電管50及び第2のサージ吸収放電管60の第1の主電極53と第2の主電極54までの照射照度を変化させて試験を行った。その条件と結果を、以下に説明する。
【0019】
試験に用いたのは、図2に示すサージ吸収回路88である。また、試験に用いたのは、図3に示すサージ吸収回路89である。
なお、図3の場合は、第2のサージ吸収放電管60はなく、第1のサージ吸収放電管50のみの場合を示している。
サージ吸収回路88は、接点S3及び接点S4において、電話回線73又はアンテナ74に接続される回路である。また、接点S1及び接点S2において、交流電源95に接続されるものである。そして、電話回線73又はアンテナ74は、電話機・FAX・PC・無線機等回路75に接続され、交流電源95も電話機・FAX・PC・無線機等回路75に接続される。
サージ吸収回路88は、第1のサージ吸収放電管50とバリスタ91が接点S1と接点S3の間で直列に接続されている。また、接点S2と接点S4の間で第2のサージ吸収放電管60とバリスタ93が直列に接続されている。また、S5とS6の間で抵抗96と71が直列に接続されている。また、S5とS6の間にバリスタ94とコンデンサ97が並列に接続されている。
また、図3において、サージ吸収回路89の接点S1と接点S2は、交流電源95と家電・産業用機器回路76に接続されるものである。
サージ吸収回路89においては、接点S1と接点S2の間に、第1のサージ吸収放電管50とバリスタ91が直列に接続されている。また、S5とS6の間に71と抵抗96が直列に接続されている。また、S5とS6の間にコンデンサ97が接続されている。
サージ吸収回路88、サージ吸収回路89は、図1の基板80に搭載された部品及び基板80に印刷された配線により形成されるものである。
以下、図2に示したサージ吸収回路88の場合について説明するが、図3に示したサージ吸収回路89についても同様のことがいえる。
【0020】
図4は、第1のサージ吸収放電管50の斜視図である。
図5は、図4に示した第1のサージ吸収放電管50のA−A断面図である。
図6は、図4に示した第1のサージ吸収放電管50のB−B断面図である。
図7は、第1のサージ吸収放電管50と第2のサージ吸収放電管60と小形ネオン管70の平面配置図である。
第1の主電極53と第2の主電極54は、太さ1.0±0.2mmのニッケルでできている。第1の主電極53と第2の主電極54の高さH1は、5.0±0.5mmである。第1の主電極53と第2の主電極54の間隔D(以下、距離Dともいう)は、4.5±1.0mmである。
補助電極55は、太さ0.6±0.2mmのコバルトでできている。補助電極55の高さH2は、3.0±0.5mmである。補助電極55は、第1の主電極53と第2の主電極54を結んだ直線の真中に設けられている。即ち、U1=U2=D/2である。第1の主電極53と第2の主電極54とには、放電の始動性を高めるため、酸化バリウムが塗布されている。透明気密容器51には、650Torr(86450パスカル)±20%のアルゴンガスが密封されている。また、透明気密容器51は、側壁の厚さが約0.75mmの硬質ガラスでできたガラス管である。このガラス管は、SiO2 ,K2 O,B2 O3 を含んでいる。
【0021】
補助電極55を設けることにより、例えば、第1の主電極53に雷サージが印加された場合、図4の矢印アに示すように、補助電極55と第1の主電極53の間で放電が開始され、次に第1の主電極53と第2の主電極54の間で放電が開始され、電圧1500V以上の電圧が全て放電により吸収されることになる。補助電極55が存在することにより、矢印アに示す放電が先に起こるため、矢印イに示す放電が起こりやすくなり、サージ応答特性を向上させることができる。
なお、第2の主電極54に雷サージが印加された場合には、第2の主電極54と補助電極55の間で先に放電が起こり、次に第2の主電極54と第1の主電極53の間で放電が起こることになり、同様に、サージ応答特性が向上する。
【0022】
図13は、補助電極55の他の配置例を示す図である。
図14は、図13の第1のサージ吸収放電管50のC−C断面図である。
補助電極55の高さH3は、主電極の高さH1と等しい。しかし、補助電極55は、第1の主電極53と第2の主電極54を結んだ直線上には存在していない。図4に示したD1は、図14のD1と同じ長さである。従って、図4と図5に示した第1のサージ吸収放電管50の放電特性は、図13と図14に示した放電特性と同じものとなる。
【0023】
図15は、第1の主電極端部43と第2の主電極端部44と補助電極端部45の配置関係を示す図である。
図15の(a)は、側面図であり、図15の(b)は、平面図である。C1は、第1の主電極端部43を中心とする半径が距離Dの球である。また、C2は、第2の主電極端部44を中心とする半径が距離Dの球である。また、C3は、第1の主電極端部43と第2の主電極端部44を結ぶ線(図15(a)のX軸)の中心を中心とする半径が(1/2)Dの球である。補助電極55が第1の主電極53と第2の主電極54との間の放電に先立って補助放電を開始するためには、補助電極端部45が第1の主電極端部43と第2の主電極端部44のそれぞれに対して距離Dよりも近くなければならない。その範囲は、球C1と球C2が交わった領域内ということになる。補助放電を起こしやすくするためには、補助電極端部45がより近い位置にあった方が望ましい。即ち、補助電極端部45は、球C3のいずれかのエリアにあることが望ましい。そして、補助電極端部45は、第1の主電極端部43と第2の主電極端部44から等距離にある平面、即ち、図15(b)のY軸とZ軸から構成されるY−Z平面にあることが望ましい。補助電極端部45が、球C3のY−Z平面で切った円周上にあるときの第1の主電極端部43と第2の主電極端部44とから補助電極端部45までの距離Gは、図16(a)のようにして計算される。即ち、距離Gは、約0.7Dである。
このように、補助電極端部45は、第1の主電極端部43と第2の主電極端部44から約0.7D以内の3次元領域内に配置されることが望ましい。特に、補助電極端部45は、第1の主電極端部43と第2の主電極端部44から等距離にあるY−Z平面に配置されることが望ましい。更に、特に、補助電極端部45は、第1の主電極端部43と第2の主電極端部44との間にあって高さを低くするのが、体積を小さくすることができるので望ましい。
【0024】
また、前述した図4と図5の場合は、第1の主電極端部43と補助電極55の距離をG1とすると、図16の(b)に示すように、距離G1は、約3.0cmとなる。この値は、約0.66Dcmに相当する。従って、0.66D<0.7Dであるから、図4と図5に示した補助電極端部45は、球C3の内部にある点ということになる。第1の主電極端部43と第2の主電極端部44とから、補助電極端部45の距離G1を等しくしてG1=約0.66Dとするのが最も望ましい構成である。
また、図4に示す構成は、図16の(c)に示すように、ΔHを第1の主電極端部43と補助電極端部45の高さの差(ΔH=H1−H2)とすると、ΔHは、距離Dの0.44倍となる。従って、第1の主電極端部43と第2の主電極端部44と補助電極端部45が一直線状に配置され、高さが異なる場合には、距離Dの約0.5倍以下の高さだけ補助電極端部45の高さを低くすることが望ましい。特に、距離Dの0.44倍(又は、それ以下)にするのが最適である。
【0025】
また、図7に示すように、小形ネオン管70は、第1のサージ吸収放電管50と第2のサージ吸収放電管60の第1の主電極53と第2の主電極54とから等距離に置かれている。サージは、第1の主電極53と第2の主電極54とのいずれかに印加されるか分からないので、第1の主電極53と第2の主電極54との両方に照度が等しくなるようにしておくことが望ましい。
【0026】
図8は、小形ネオン管70の照度を変化させて第1のサージ吸収放電管50及び第2のサージ吸収放電管60が動作するか否かを試験した結果を示す図である。
図8に示すように、第1のサージ吸収放電管50及び第2のサージ吸収放電管60の透明気密容器51と第1の主電極53への照度を0Lx(ルックス)〜5Lxまで1Lxずつ変化させて放電が行われるかどうかを検査した。条件としては、以下のようにした。
(1)200時間全く光のない場所に放置した。
(2)サージ印加電圧を1500V一定とした。
(3)図9に示すように、サージ印加電圧波形をBSEN50081−1,−2とBSEN50082−1,−2の規格に規定された装置で発生させた。
(4)雷サージを印加前に小形ネオン管70を5秒前に点灯した。
(5)動作の判定は波形を観察し、図10に示すように、1.2μsec(1.2×10−6秒)以下で動作したものに丸印を記し、1.2μsec以上で動作したものに×印を記した。
【0027】
図9は、サージ印加電圧波形を示す図である。
図10は、図9のサージ印加電圧波形の左半分の拡大図である。
図に示すように、サージ波形99の1/2の高さで波幅が50μsecになるようなサージを発生させ、実験を行った。
図10に示すように、1500Vのサージ電圧が印加されると、動作開始時刻T1から放電開始時刻T2の間に第1のサージ吸収放電管50又は第2のサージ吸収放電管60が動作する。このT2−T1の時間が電圧は上昇し、動作開始電圧V1から放電開始電圧V2に上昇する。従って、T2−T1が小さいほど、サージ応答特性がよいことになる。ここでは、T2−T1を動作スピードとし、動作スピード(T2−T1)が1.2μsec以下である場合を正常動作としている。放電開始時刻T2おいて放電が開始されると、電圧は、図10の斜線部の上部下降線に示すように急激に減少し、回路を保護することができる。
【0028】
図8は、3Lx以上の照度がある場合には、10個のサンプルの内、全てのサンプルが1.2μsec以下で放電が開始されたことを示している。従って、第1の主電極53と第2の主電極54への照度が3Lx以上あれば、サージ応答特性が満足されることになる。3Lxが暗黒現象を解消するための最低の照度であり、一方、5Lxよりも大きい照度で照射することは電力の無駄になる。従って、小形ネオン管70の製品のバラツキ等も考慮して、照度が3Lx〜5Lxの範囲になるような仕様を持った小形ネオン管70を用いるとともに、照度が3Lx〜5Lxになるような配置を行うようにすればよい。
【0029】
雷によって生ずる雷サージを吸収する雷サージ吸収回路は、より早いスピード(1.2μsec以下)で動作し、雷サージを吸収し、半導体回路破壊を防止しなければ意味がない。上記回路の設置場所は、一般的には真暗なところであり、暗黒現象を防止する機能が必要である。
この実施の形態では、3Lx以上の照度をサージ吸収放電管に照射することによって、動作スピード1.2μsec以下において、上記回路が正常に動作し、雷サージを吸収することを実験で確認したものである。
【0030】
図12は、サージ吸収回路88の他の使用例を示す図である。
図12に示したサージ吸収回路88は、図2に示したサージ吸収回路88と同じものである。異なる点は、接点S3と接点S4をアース98に接続した点である。この構成は、特に産業用機器・計測器等回路77に用いる場合に適している。
【0031】
次に、この実施の形態のサージ吸収器について説明する。ここでは、特に、サージ吸収器30の実装形態について説明する。
図17は、サージ吸収器30の斜視図である。
図18は、サージ吸収器30の分解斜視図である。
図19は、図17に示したサージ吸収器30のD−D断面図である。
図20は、サージ吸収器30の内部の部品展開図である。
サージ吸収器30は、図2に示したサージ吸収回路88を有している。また、図7に示すように、3Lx以上の照射することができる配置がされている。
サージ吸収器30は、上部ケース33と下部ケース34を有している。上部ケース33は、上部切り込み37を有し、下部ケース34は、下部切り込み38を有している。この上部切り込み37と下部切り込み38の間からコネクタ35が外部に接続可能なように配置されている。基板80には部品を取り付ける端子穴84が設けられている。端子穴84には、第1のリード端子56、第2のリード端子57やその他のリード端子23が挿入され、基板80に半田付けされる。基板80には、孔83が設けられている。また、基板80には、注入孔85が設けられている。
一方、下部ケース34の内部には、底面から突出した挿入リブ46と壁リブ47が設けられている。挿入リブ46は、孔83に挿入されるものである。壁リブ47は、基板80の背面に当接するものである。図20に示すように、基板80に対して各種の部品を搭載し、半田付けした後、この基板80を下部ケース34に組み入れる。この際、挿入リブ46を孔83に挿入する。その後、注入孔85からシリコンやエポキシ等の絶縁材36を注入する。絶縁材36の注入は、下部ケース34の底から基板80背面全面にわたるとともに、基板80の表面にわたり、更には第1のリード端子56、第2のリード端子57及びリード端子23を覆うまで行われる。即ち、部品のリード線や基板の配線が露出している部分は、全て絶縁材36により覆われる。最後に、上部ケース33により蓋をしてサージ吸収器30が完成する。
【0032】
図21は、基板80の拡大斜視図である。
第1のサージ吸収放電管50の第1のリード端子56と第2のリード端子57は、容器基部41においては、間隔E1を有しているが、孔83をまたぐために、間隔E2まで拡大されて基板80に半田付けされている。容器基部41の底面59には、挿入リブ46の頂部が接触するようになっている。挿入リブ46の高さは、底面59に一致するように設計されている。また、挿入リブ46の厚さFは、孔83の幅E3よりも小さい。図21のような構成にする理由は、第1のリード端子56と第2のリード端子57の間に生ずる放電を防止するためである。挿入リブ46は、絶縁体であり、また、基板80の材質は、高トラッキング材を用いた厚さ1.6mm以上のものである。また、基板80に設けた配線パターンの最も短い距離は、5mm以上である。挿入リブ46を設けることにより第1のリード端子56と第2のリード端子57の沿面距離を長くすることができる。
図21は、U字型の窪みを有するU字挿入リブ48を示す図である。
U字挿入リブ48を用いることにより更に沿面距離が長くなり、第1のリード端子56と第2のリード端子57間の放電をより防止することができる。
【0033】
図23は、基板80の基板裏面81の斜視図である。
下部ケース34から突出した壁リブ47は、基板裏面81に当接する。この基板裏面81によりリード端子23、リード端子24間の放電及びランド39と配線26、配線27間の放電を防止することができる。
図24は、壁リブ47の代わりに、箱型壁リブ49を設けた場合を示している。
箱型壁リブ49を用いる場合には、図25に示すように、配線26及び配線28を閉空間に閉じこめることができ、配線26及び配線28による放電を更に防止することができる。
【0034】
図18及び図19に示すように、第1のサージ吸収放電管50と第2のサージ吸収放電管60の電極部分及び小形ネオン管70の発光部分は、絶縁材36の表面に露出している。しかし、絶縁材36が透明のシリコンであるような場合には、第1のサージ吸収放電管50、第2のサージ吸収放電管60、小形ネオン管70が全て絶縁材36の中に埋もれている場合であっても構わない。図17〜図20に示した場合は、下部ケース34に挿入リブ46と壁リブ47を立ててリード線間及び基板80の配線間に挿入リブ46と壁リブ47を配置し、基板80の上部より注入孔85を介してシリコン等の絶縁材36を約部品の1/3の高さまで(少なくとも、リード線や端子が埋まるまで)流し込み、絶縁材36を硬化させたものである。
このようにして、沿面距離を増加させるとともに、絶縁材により密封したので、リード線間、或いは、配線間による放電を防止することができる。また、基板80は、高トラッキング材を用い、上部ケース33と下部ケース34は、UL94V−O難燃グレード以上を用いているので絶縁性や耐熱性に優れている。
以上のようなサージ吸収器30は、非常にコンパクトに製造でき、かつ、絶縁性、耐電圧性に優れており、最大サージ電圧15000Vを満足する製品とすることができる。また、従来配線パターン間の距離が10mm以上でなければ、配線パターン間の放電を防止できなかったものが、この実施の形態の構成によれば、配線パターン間距離を5mm程度にまで短くすることができ、装置の大きさを小さくすることができる。
【0035】
補助電極55を設けたサージ吸収放電管を用いたサージ吸収器30と補助電極55を設けていない市販のサージ吸収放電管を用いた雷サージ防止ユニットとを比較する実験を行った。市場で販売されている雷サージ防止ユニットを購入し、「比較例1,2,3」とする。また、図17〜図20に示したこの実施の形態のサージ吸収放電管を用いたサージ吸収器30を「実施例」として図11に示す。比較例1,2,3は、いずれもその仕様として最大電圧が15000V、最大電流が7000Aと記載されているものである。また、印加するサージ波形は、図9及び図10に示したものと同様に、BSEN50081−1,−2、BSEN50082−1,−2の規格で規定された装置で発生させたものを用いた。また、温度25℃及び湿度65%の元で実験を行った。実験は、1000V,1500V,2000V,4000V,8000V,12000V,15000Vのサージ印加電圧で行った。
【0036】
図11において、丸印は、放電が行われ、正常に動作したことを示している。×印は、リード線間で放電が行われたり、基板の配線間で放電が行われたりして、回路が破壊されてしまったことを示している。比較例1の場合は4000Vまでは動作せず、8000Vで動作し、12000Vの1回目では動作したが、12000Vの2回目では破壊されてしまったことを示している。また、比較例2と比較例3の場合は、1500Vでは動作せず、2000Vで動作したが、4000Vでは破壊されてしまったことを示している。実施例の場合は、1000Vでは動作しないが、1500V以上では全て動作したことを示している。また、12000Vと15000Vの場合には、20回の試験を行ったが、20回とも全て正常に動作したことを示している。
【0037】
このように、実施例は、サージ吸収電圧範囲が1500V〜15000Vで正常に動作することが実験により確認された。また、実施例の最大電流は7000Aであり、動作スピードは、1.2μsec以下である。実施例がこのような特性を有するのは、図1に示したように、小形ネオン管70を設けたこと及び図2と図3に示したような回路構成を有していること及び補助電極55を設けたこと及び図17〜図20に示した実装構造にしたことによるものである。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、この発明の実施の形態によれば、暗黒現象による放電の遅れを回避することができ、サージ応答特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1のサージ吸収放電管50と第2のサージ吸収放電管60と小形ネオン管70の概念配置図。
【図2】サージ吸収回路88の構成図。
【図3】サージ吸収回路89の構成図。
【図4】第1のサージ吸収放電管50の斜視図。
【図5】図4の第1のサージ吸収放電管50のA−A断面図。
【図6】図4の第1のサージ吸収放電管50のB−B断面図。
【図7】第1のサージ吸収放電管50と第2のサージ吸収放電管60と小形ネオン管70の平面配置図。
【図8】照度試験結果図。
【図9】実験に用いたサージ波形99を示す図。
【図10】この実施の形態の動作説明図。
【図11】比較例と実施例の試験結果図。
【図12】サージ吸収回路88の他の使用例を示す図。
【図13】第1のサージ吸収放電管50の他の例を示す図。
【図14】図13の第1のサージ吸収放電管50のC−C断面図。
【図15】補助電極端部45の配置位置を説明する図。
【図16】補助電極端部45の配置位置の計算例を示す図。
【図17】サージ吸収器30の斜視図。
【図18】サージ吸収器30の分解斜視図。
【図19】図17のサージ吸収器30のD−D断面図。
【図20】サージ吸収器30の部品展開図。
【図21】挿入リブ46の配置図。
【図22】U字挿入リブ48の配置図。
【図23】壁リブ47の配置図。
【図24】箱型壁リブ49を示す図。
【図25】箱型壁リブ49の使用例を示す図。
【図26】従来の放電型サージ吸収素子を示す図。
【符号の説明】
23,24,25 リード端子、26,27,28 配線、30 サージ吸収器、33 上部ケース、34 下部ケース、35 コネクタ、36 絶縁材、37 上部切り込み、38 下部切り込み、39 ランド、41 容器基部、43第1の主電極端部、44 第2の主電極端部、45 補助電極端部、46 挿入リブ、47 壁リブ、48 U字挿入リブ、49 箱型壁リブ、50 第1のサージ吸収放電管、51 透明気密容器、53 第1の主電極、54 第2の主電極、55 補助電極、56 第1のリード端子、57 第2のリード端子、59 底面、60 第2のサージ吸収放電管、70 小形ネオン管、73 電話回線、74 アンテナ、75 電話機・FAX・PC・無線機等回路、76 家電・産業用機器回路、77 産業用機器・計測器等回路、80 基板、81 基板裏面、83 孔、84 端子穴、85 注入孔、88,89,90 サージ吸収回路、91,93,94 バリスタ、95 交流電源、96 抵抗、97 コンデンサ、98 アース、99 サージ波形、C1,C2,C3 球、D 距離、E1,E2,U1,U2,W1 間隔、F 厚さ、H1,H2,H3 高さ、P1,P2 太さ、S1,S2,S3,S4 接点、T1 動作開始時刻、T2 放電開始時刻、V1 動作開始電圧、V2 放電開始電圧。
Claims (2)
- サージを吸収するサージ吸収回路を有するサージ吸収器において、
それぞれが一対の主電極を有する2つのサージ吸収放電管と、
各サージ吸収放電管の各主電極に対して等間隔となる位置に配置され、各サージ吸収放電管の電極を3ルックス以上の照度で照らす発光素子と
を備えたことを特徴とするサージ吸収器。 - 上記発光素子は、サージが印加される少なくとも5秒前に点灯されるとともに、上記サージ吸収放電管は、1500ボルト以上のサージが印加された場合に、1.2マイクロセカント以下で動作することを特徴とする請求項1記載のサージ吸収器。
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