JP3579433B2 - 記録液及びインクジェット記録用色素 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は記録液及び色素に関するものである。詳しくはインクジェット記録に適した記録液及び色素に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
直接染料や酸性染料等の水溶性染料を含む記録液の液滴を、微小な吐出オリフィスから飛翔させて記録を行う、所謂インクジェット記録方法が実用化されている。
この記録液の溶剤に関しては、電子写真用紙等のPPC(プレイン ペーパーコピア)用紙、ファンホールド紙(コンピューター等の連続用紙)等の一般事務用に汎用される記録紙に対する定着が速く、しかも印字品位が良好であること、即ち印字に滲みがなく輪郭がはっきりしていることが要求されると共に、保存時の安定性も優れていることが必要であり、使用できる溶剤が著しく制限される。
【0003】
一方、記録液用の染料に関しては、上記のような限られた溶剤に対して充分な溶解性を有すると共に、長期間保存した場合にも安定であり、また印字された画像の濃度が高く、しかも耐水性、耐光性に優れていること等が要求されるが、これ等の多くの要求を同時に満足させることは困難である。
このため種々の方法(例えば特開昭55−144067号、特開昭55−152747号、特開昭57−207660号、特開昭58−147470号、特開昭62−190269号、特開昭62−190271号、特開昭62−190272号、特開昭62−250082号、特開昭62−246975号、特開昭62−257971号、特開昭62−288659号、特開昭63−8463号、特開昭63−22867号、特開昭63−22874号、特開昭63−30567号、特開昭63−33484号、特開昭63−63764号、特開昭63−105079号、特開昭64−31877号、特開平1−93389号、特開平1−210464号、特開平2−140270号、特開平3−167270号、特開平3−200882号等)が提案されているが、性能上市場の要求を充分に満足するには至っていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、インクジェット記録用及び筆記用具用等として、普通紙に記録した場合にも印字品位が良好であると共に、記録画像の濃度が高く、耐水性や耐光性に優れており、長期間保存した場合の安定性が良好である黒色記録液及び色素を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の目的を達成するために鋭意検討の結果、記録液成分として特定の黒色の染料を使用した場合に、上記の目的が達成されることを確認し本発明を達成したものである。即ち本発明の要旨は、水性媒体と下記一般式(1)
【0006】
【化3】
(式中、Aは置換基を有していてもよいフェニレン基又はナフチレン基を示し、Bは下記構造を有する有機基のうちのいずれかであり、R1 〜R3 は水素原子、アルキル基、ニトロ基、アミノ基、アシルアミノ基、又はハロゲン原子を示し、Mはアルカリ金属、アンモニウム基又は有機アミンを示し、nは0又は1の数を示す。)
【0007】
【化5】
(但し、上記Bの式中、R4〜R6は直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を示し、R7は水素原子又は置換されていてもよいアルキル基を示す。)で表わされる染料の少なくとも1種を含有することを特徴とする記録液、並びに、上記一般式(1)で表されることを特徴とするインクジェット記録用色素に存する。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は記録液の着色成分として、前記(1)式の染料を使用することを骨子とするものである。
(1)式の置換基について説明すれば、Aで示されるフェニレン基又はナフチレン基の置換基としては、−SO3 M基、−COOM基、アミノ基、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基等が挙げられ、これ等置換基を複数個有していてもよい。
【0009】
R1 〜R3 で示されるアルキル基の例としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が、アシルアミノ基の例としてはアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等が挙げられる。Mで示される有機アミンの例としては、低級アルキルアミン、ヒドロキシ置換低級アルキルアミン、カルボキシ置換低級アルキルアミン、及び炭素数2〜4のアルキレンイミン単位を2〜10個有するポリアミン等が挙げられる。
【0010】
又、上記Bの式中、R7 で示される置換されていてもよいアルキル基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基又は−COOM基で置換された炭素数1〜3のアルキル基などが挙げられる。
(1)式で示される染料の具体例としては、例えば以下の(イ)〜(ヨ)に示す構造のアゾ染料が挙げられる。
【0011】
【化5】
【0012】
【化6】
【0013】
【化7】
【0014】
【化8】
【0015】
(1)式で示されるアゾ染料は、それ自体周知の方法〔例えば、細田豊著「新染料化学」(昭和48年12月21日技報堂発行)第396〜409頁参照〕に従って、ジアゾ化、カップリング工程を経て製造することができる。
記録液中における(1)式の染料の含有量は、記録液全量に対して0.5〜8重量%、特に2〜5重量%程度が好ましい。
【0016】
本発明の記録液に用いられる溶剤としては、水及び水溶性有機溶剤として、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(#200)、ポリエチレングリコール(#400)、グリセリン、α−ピロリドン、N−メチル−ピロリドン、N−エチル−ピロリドン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ビス(β−ヒドロキシエチル)チオエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノール等を含有しているのが好ましい。これ等の水溶性有機溶剤は、通常、記録液の全量に対して1〜50重量%の範囲で使用される。一方、水は記録液の全量に対して45〜95重量%の範囲で使用される。
【0017】
本発明の記録液には種々の添加剤を併用することができる。例えば、記録液の全量に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%の尿素、チオ尿素、ビウレット、セミカルバジドから選ばれる化合物を添加したり、また0.001〜5.0重量%の界面活性剤を添加することによって、印字後の速乾性及び印字品位をより一層改良することができる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限りこれ等の実施例に限定されるものではない。
参考例1
【0019】
【表1】
上記の各成分を充分に混合して溶解し、孔径1μmのテフロンフィルターで加圧濾過した後、真空ポンプ及び超音波洗浄機で脱気処理して記録液を調製した。得られた記録液を使用し、インクジェットプリンター(HG−3000エプソン社製)を用いて電子写真用紙(富士ゼロックス社製)にインクジェット記録を行い高い色濃度の黒色の記録物を得た。また、下記(a),(b)及び(c)の方法による諸評価を行なった結果を示す。
【0020】
(a)記録画像の耐光性:
キセノンフェードメーター(スガ試験機社製)を用い、記録紙に100時間照射した。照射後の変退色は小さかった。
【0021】
(b)記録画像の耐水性:
水中に記録紙を5分間浸漬した後の画像の滲みを調べた。画像の滲みは僅かであり、また濃度の低下も小さかった。
【0022】
(c)記録液の保存安定性:
記録液をテフロン容器中に密閉し、5℃及び60℃で1月間保存した後の変化を調べた。不溶物の析出は認められなかった。
【0023】
参考例2
【表2】
上記の各成分を参考例1に記載の方法により処理して記録液を調製し、記録を行ない、参考例1の(a)〜(c)による諸評価を行なった。その結果、参考例1と同様に何れも良好な結果が得られた。
【0024】
参考例3
【表3】
上記の各成分を参考例1に記載の方法により処理して記録液を調製し、記録を行ない、参考例1の(a)〜(c)による諸評価を行なった。その結果、参考例1と同様に何れも良好な結果を得た。
【0025】
参考例4,5
参考例1において用いた前記(イ)式の染料の代りに、前記(チ)式及び(リ)式の染料をそれぞれ使用した以外は、参考例1の方法により記録液を調製し、記録を行ない、参考例1の(a)〜(c)による諸評価を行なった。その結果、参考例1と同様に何れも良好な結果を得た。
実施例1〜10
参考例1において用いた前記(イ)式の染料の代りに、前記(ニ)式〜(ト)式、(ヌ)式〜(ヨ)式の染料をそれぞれ使用した以外は、参考例1の方法により記録液を調製し、記録を行ない、参考例1の(a)〜(c)による諸評価を行なった。その結果、参考例1と同様に何れも良好な結果を得た。
【0026】
【発明の効果】
本発明の記録液及び色素は、インクジェット記録用、筆記用具用として用いられ、普通紙に記録した場合、印字品位の優れた高い色濃度の記録物が得られ、記録画像の耐光性、耐水性が優れている外、記録液としての保存安定性も良好である。
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1992
- 1992-12-24 JP JP34470792A patent/JP3579433B2/ja not_active Expired - Fee Related
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