JP3579310B2 - トラクタの外部油圧取出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタの外部油圧取出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
左右のリフトアームを有する油圧昇降装置を備えているトラクタに、外部油圧取出装置を装着した技術は、実公平2−15704号公報(従来例の1)、特開平8−280206号公報(従来例の2)、特開平7−255216号(従来例の3)等において公知である。
従来例の1は、「油圧取出時に、作業機側の油圧ホース等を着脱する際に、油圧装置や車体から公報に突出するリフトアーム、トップリング、その取付台が大きな障害となって、上記着脱作業が困難なものとなっていた。」という課題を解決するために、「車体後部上に作業機昇降用油圧装置を搭載し、油圧装置の左右両側に、左右方向の軸心廻りに回動せしめられる左右一対のリフトアームを後方突出状に備え、車体後部の上部及び/又は油圧装置の後面に取付台を備え、取付台にトップリンクを左右方向の軸心廻りに回動自在に備え、車体後部の上部及び/又は油圧装置に、外部に圧油を取出すための左右一対の油圧取出部を備えたものにおいて、車体後部の上部及び/又は油圧装置後面にサポートを備え、サポートに、夫々油圧取出部が装備される左右一対の装備部を後方突出状に備え、各装備部と各油圧取出部を、トップリングの回動域と各リフトアームの回動域との間に配置したことを特徴とするトラクタにおける油圧取出装置。」であった。
【0003】
従来例の2は、「油圧作業機を追加装備する場合は、前述したように外部油圧回路取出用の油圧ポートへサブコントロールバルブを接続するが、サブコントロールバルブの装着位置によっては配管が複雑となり、既存のコントロールバルブへの配管と交錯してメンテナンスが困難になることがある。」という課題を解決するために、「作業機昇降用のリフトシリンダを制御するメインコントロールバルブと、水平調整用のローリングシリンダを制御するローリングコントロールバルブとを備えたトラクタに於いて、前記リフトシリンダを収納したシリンダケースの一側部にフローデバイディングバルブと水平制御のローリングコントロールバルブを固設し、該フローデバイディングバルブの一方の出口ポートをローリングコントロールバルブへ接続するともに、該フローデバイディングバルブの他方の出口ポートを前記シリンダケースの上面に開口し、一方、前記シリンダケースの他側部にリフトシリンダ制御用のメインコントロールバルブを固設するとともに、該メインコントロールバルブの入口ポートを前記シリンダケースの上面に開口し、更に、前記シリンダケースの上面後部位置に外部油圧回路取出用のサブコントロールバルブを着脱可能に装着に、サブコントロールバルブ装着時には、前記シリンダケースの上面に開口した夫々のポートとサブコントロールバルブとを夫々油圧配管にてサブコントロールバルブへ接続し、サブコントロールバルブ非装着時には、前記シリンダケースの上面にメタルを蓋装し、該メタル内に設けた油路にはシリンダケース上面の夫々のポートを連通するように形成したことを特徴とするサブコントロールバルブ取付装置。」であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来例の1および2はそれぞれ有用ではあるものの、次のような課題があった。
従来例の1にあっては、補助油圧制御弁(サブコントロールバルブ、外部油圧取出用のバルブに相当する)を、油圧昇降装置を構成する油圧ハウジング(シリンダケースに相当する)の前部左側面に横方向に連設して備え、この制御弁と油圧取出部(油圧取出用のクイックカプラーに相当する)とを左右配管にて接続したものであることから、
▲1▼:左右配管の装着が面倒であること。
▲2▼:左右配管が所謂むき出しであることから、水田用トラクタ等においては泥水、泥土が被り易いこと。
▲3▼:補助油圧制御弁は後輪フェンダの内側奥部にあることから、メンテナンスが面倒で、泥水、泥土を被っていると実質的にメンテナンス不能になり易いこと。
【0005】
等々の技術的課題があった。
従来例の2にあっては、油圧ポート(油圧取出部)を有するサブコントロールバルブ(外部油圧取出用のバルブ)が、油圧ハウジング(シリンダケース)の後上面に装着されていることから、従来例の1における課題▲3▼は一応解決してはいるものの、
▲4▼:サブコントロールバルブに対する左右の配管を有することから、従来例の1における課題▲1▼▲2▼は解決できないものであった。
▲5▼:サブコントロールバルブをメンテナンスするとき、左右の配管との接続・解放が必要で配管が曲ったりして接続・解放作業が面倒であるとともに、接続不良が起り易くなって油洩れの要因となること。
【0006】
等々の課題があった。
本発明は、上述した課題▲1▼〜▲5▼を解決したトラクタの外部油圧取出装置を提供することが目的である。
また、本発明は、マルチプルな外部油圧取出装置であって、コンパクトな設計を可能にしたことが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、油圧で昇降動作する左右のリフトアーム9を有するトラクタ2に、キャビン17と外部油圧取出装置1を装着したものにおいて、
前記キャビン17の後支柱19を、中間の屈折連結部19Aを介して側面視くの字形に形成し、屈折連結部19Aより下方部位を後上がり傾斜状として後車軸ケース25の前方側に配置し、前記屈折連結部19Aをリフトアーム9の回動支点の上方に配置し、且つ、前記キャビン17の後支柱19を、その下方部位が後車軸ケース25より前方側に位置すべく後ろ上がり傾斜状に配置し、該下方部位に固着したブラケット27と防振支持手段28を介して後車軸ケース25に搭載し、
キャビン17の後支柱19より前側に該キャビン17の底板部を構成するフロアーシート22の運転席装着用装着部位22Aを配置し、
油圧取出部35Aと切換用スプール62をバルブケース61に備えている外部油圧取出用のバルブ35の複数個を上下方向に積み重ねてバルブユニットを構成し、このバルブユニットを、前記後支柱19及び装着部位22Aより後方でかつ前記屈折連結部19Aの下方でかつ左右のリフトアーム9の間でトラクタ車体5側に装着していることを特徴とするトラクタの外部油圧取出装置としたのであり、このように、外部油圧取出用のバルブ35の複数個を積み重ねて装着することによって、マルチプルな外部油圧取出ができるのであり、このとき、複数個のバルブ35の積み重ねは上下方向としていることによって、マルチプルな外部油圧取出をコンパクトにできるのである(請求項1)。
【0008】
更に、本発明においては、バルブユニットの切換用スプール62のそれぞれの軸心は左右方向とされ、かつ、油圧取出部35Aのそれぞれは後方に延伸していることを特徴とするものである(請求項2)。
このような構成としたことにより、油圧機器、油圧作業機に対する油圧取出作業およびメンテナンスの容易化ができるに到ったのである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明すると、本発明に係る外部油圧取出装置1を装備している2軸4車輪形のトラクタ2の全容を示している図1において、当該トラクタ2は左右の前輪3と左右の後輪4とを備え、前輪3は操向輪であるとともに駆動可能であり、ここに、四輪駆動トラクタとされているが、前輪3はこれに対する動力を断接して二輪駆動(後輪駆動)にすることもできる。
【0010】
トラクタ車体5は搭載エンジン6の後部にクラックハウジングを介してミッションケース7を連設することで構成されており、エンジン6およびこの前方に備えたラジエータ等のエンジン補器は天板を開閉自在としたボンネット8で被われている。
トラクタ車体5の後部上面には、左右のリフトアーム9を有する油圧昇降装置10が搭載されており、図では三点リンク11によってロータリ作業機12を昇降制御可能として着脱自在に装着している。
【0011】
左右の後輪4はそれぞれその内側に立設されている後輪フェンダ13で被われており、この左右の後輪フェンダ13間に運転席14が配置されており、この運転席14の前方に備えている操縦ハンドル15とによって運転操縦装置16が構成されており、当該装置16は左右の後輪フェンダ13を含んだ独立装着形(車体5上に脱着自在に搭載したものをいう)のキャビン17によって取囲まれている。
キャビン17は左右一対の前支柱18と、左右一対の後支柱19と、前・後支柱18,19の中間でかつ後支柱19側に寄った後輪フェンダ13から立上った中間支柱20と、空調装置(冷房、暖房、冷・暖房、換気等)を有する天井部21とで箱形に構成されていて該キャビン17の底部板(フロアーシート)22は運転席14の装着部位22Aがその前方部位22Bよりも一段高くなっている。
【0012】
更に、キャビン17は、中間支柱20に備えたピボット金具20Aを支点として開閉固定可能なドア23を備え、このドア23の開閉部位が昇降口とされているとともにステップ24を備え、前後左右の底部に備えている防振ゴム等による防振支持手段によってトラクタ車体6に搭載されている。
また、キャビン17の後支柱19は中間の屈折連結部19Aを介して逆くの字形に形成されていて、該屈折連結部19Aがリフトアーム9の回動支点(アーム軸)を横切る鉛直平面近傍に位置することで、キャビン17の全体が前方(従来より約5cm程)に相対的に位置して搭載され、トラクタ2全体の重心が前方に転移されることになって、ロータリ作業機12を昇降自在に装着しても前後重量バランスが良好で、この結果としてトラクタ全体は軽量化され水田作業に適応可能とされている。
【0013】
図2を参照すると、キャビン17における左右の後支柱19は、後車軸ケース25にボルト止めされているハット型支持台26に、ブラケット27と防振支持手段28によってトラクタ車体5に搭載されており、後支柱19の下端に固着している左右の下部体29が前方に延伸されていて左右の前支柱18に連結されている。
すなわち、従来では左右の下部体29の後底面29Aをハット型支持台26に防振支持手段28を介して搭載していたのに対し、本発明の実施形態では、後支柱19の下方部位を後車軸ケース25の前方側で上下方向に位置させて該支柱19に固着したブラケット27と防振支持手段28を介してトラクタ車体5に搭載し、ここに、キャビン17は従来よりも5cm程度前方に位置し、後支柱19の下方部位が後上り傾斜であることから、キャビン17を従来より前方位置にしても居住空間は確保し、また、キャビン17を従来よりも前方位置に搭載したことから、トラクタ車体5の上面に着脱自在に搭載固定した油圧昇降装置10をメンテナンスするときの持上げ空間30を確保しているのである。
【0014】
油圧昇降装置10のヘッド部分10Aはフロアーシート22の装着部位22Aで上方から被われており、この装着部位22A上には、シート支持体31を介して運転席14が装着されており、当該運転席14はシート支持体31とともに装着部位22A上に着脱自在であり、これら14,31を取外した状態で装着部位22Aに形成した開口窓を介して上方から油圧昇降装置10を車体5に固定している上下方向のボルトを締結弛緩可能とし、ここに、油圧昇降装置10を車体5から上方に上記空間30内で持上げて後方に抜き出すことで該油圧昇降装置10をメンテナンス可能としている。
【0015】
油圧昇降装置10の前方のミッションケース7上には、エンジン6によって駆動される油圧ポンプ装置32が設けられており、該油圧ポンプ装置32は装着部位22Aによって被われているとともに、該部位22Aに形成した開口窓を介してヘッド部10Aとともにメンテナンスが可能とされている。
油圧ポンプ装置32はエンジン6の出力軸に直結されたPTO推進軸を介して図外のギヤ等を介して駆動されており、該油圧ポンプ装置32は通常(従来)では、エンジン6の側面に設けられていたものを、ミッションケース7上面に設けることにより、ミッションケース7自体が作動油タンクも兼ねていることから、配管部材を省略又は短尺化できるとともに、エンジン6の側面に備えたときは前輪3の操向角に制限を与えていたのを併せて解消しているのである。
【0016】
また、フロアーシート22は装着部位22Aを薄手板で構成し、前方部位22Bを厚手板で構成しており、これによっても、車体重心を前方に転移させているのであり、装着部位22Aを薄手板で構成してもその開口窓の周縁に固着しているシート支持体31のためのステーによって強度は確保されているのである。
図3〜図5を参照すると、左右のリフトアーム9を有する油圧昇降装置10に、本発明に係る外部油圧取出装置1を装着した実施形態が示してあり、油圧昇降装置10を構成する油圧ハウジング(油圧シリンダ本体)33に外部油圧取出用の油路34が形成されており、該油路34に連絡(連通)されている外部油圧取出用のバルブ35の複数個を上下方向に積み重ねて車体側である前記油圧ハウジング33の上部で左右のリフトアーム9間に設けているのである。
【0017】
具体的に説明すると、油圧ハウジング33は鋳物製であって台座部36にミッションケース7に対する取付孔36Aが形成されており、台座部36に膨出形成した本体部37の後部左右壁にリフトアーム9のためのアーム軸38を回動自在に支持する左右ボス39が形成されているとともに、本体部37の前内部には前上り傾斜状としてシリンダチューブ40が内装され、このシリンダチューブ40にピストンが摺動自在に嵌合されていてヘッド蓋41によってチューブ40の開口端が閉塞されていて、この油圧ハウジング33がミッションケース7の上面開口部を施蓋した状態での台座部36を上下方向のボルトで着脱自在として搭載されている。
【0018】
油圧ハウジング33の側壁(図では右側壁)には、油圧ポンプ装置32からの作動油のための入口(メイン)ポート42が形成されており、該ポート42は実質的にネジ管構成とされており、該ポート42に配管が着脱自在として接続可能である。
油圧ハウジング33には、ドラフト制御弁装置43と水平制御弁装置44が左右に振分けられて装着されており、これら弁装置43,44のための油路45、プライオリティバルブ46、リリーフバルブ47等が装着されているとともに、トラクタ2にフロントローダを装着したときにはこのローダのための油圧取り出しポート48、ニュートラルポート49およびドレンポート50等が具備されている。
【0019】
ドラフト制御弁装置43は、上昇と下降のソレノイドバルブとパイロット切換バルブを一体化した電磁パイロットバルブであり、図6で示すようにドラフトセンサ51、リフトアームセンサ52からの信号をコントロールボックス53に送信し、このコントロールボックス53からの制御信号でドラフト制御が自動的に可能とされている。
水平制御弁装置44は、トラクタ車体5に備えている図6に示すローリングセンサ54の信号をコントロールボックス53に送信し、三点リンク11におけるリフトシリンダ(リフトロッド)55をストロークセンサ56からの信号等によって制御するものである。
【0020】
図6において、コントロールボックス53は、ドラフト・水平制御切換、ドラフト制御およびポジション制御等のスイッチボックス57から各制御が設定、切換自在であり、勿論ドラフト・ポジション制御については後述するマニアル操作も可能であり、このため、油圧シリンダ本体33の右側にはマニアル操作のための取付穴が開口されており、この開口は自動制御(オートドラフト制御)のときは着脱自在なカバーによって施蓋されている。
リフトアーム9には持上げ揚力(油圧力増強補助)のための伸縮形油圧シリンダ(アシストシリンダ)の取付孔9Aが形成されており、このアシストシリンダのための油圧取出口58がシリンダヘッド41に形成されているとともに該ヘッド41には落下調整弁59が組込まれている。
【0021】
外部油圧取出用のバルブ35は、バルブケース61に切換用スプール62のそれぞれの軸心を左右方向として備えて構成されており、該スプール62は揺動アーム63を介してプッシュプルケーブル64の操作力によって切換自在であり、油圧取出部(油圧取出と戻りを含む)35Aは、実質的に油圧取出ホースを着脱自在とするクイックカプラーで構成されている。
この外部油圧取出用のバルブ35(バルブケース、スプールを含む、以下同じ)は、油圧ハウジング33の上面に、油路34と連通して直接装着することもできるが、図示例では油路34と連通した連絡油路60Aを有するスペーサ60を介在して油圧ハウジング33上部に着脱自在に装着されている。
【0022】
また、バルブ35は中間スペーサ65およびヘッドスペーサ66を介して複数個を上下方向に積み重ねてボルト67によって着脱自在として装着されており、油圧取出部35Aは水平面上において後方に延伸されていて油圧取出ホースの脱着が容易とされているのである。
油圧外部取出用のバルブ35に対する油路34が油圧ハウジング33に形成されていることから、外部にむき出しの配管は不要となり、スペーサ60、中間スペーサ(これにも油路がある)65を積み重ねるとき位置決めと重合面のシールを確実にすることで油洩れは確実に防止できるのであり、また、左右のリフトアーム9間に設けられていることから、リフトアーム9の昇降動作に油圧取出ホースとともに支障とならないのである。
【0023】
油圧ハウジング33には、その後立面にトーションバー(荷重感知部材であり、ドラフトセンサとなる)68を有するトップリンク取付台装置69が装着され、また、ミッションケース7に対する作動油の給油プラグA等が備えられることから、図4および図5で示すようにバルブ35は左右方向一方、図では左方向に偏在して装着され、これによって三点リンク11を昇降動作させたとき、バルブ35との干渉を少なくしており、この結果として三点リンク11(左右のリフトアーム9)の揚程角は充分に確保されているのである。
【0024】
図7〜図13を参照すると、連絡通路60Aを有するスペーサ60の詳細が図解されており、該スペーサ60は油圧ハウジング33に対する着座部60Bに複数のボルト挿通孔60Cを有し、該着座部60Bにドレンポート50が形成されているとともに、ボルト挿通孔60Cに挿通した上下方向のボルトによって油圧ハウジング33の上面に着脱自在として装着されていることから、油圧ハウジング33をトラクタ車体5に装着した状態でスペーサ60を介してバルブ35が脱着自在とされているのである。
【0025】
更に、スペーサ60にはバルブ35の取付座60Dが膨出形成されており、この取付座60Dにバルブ35が中間スペーサ65、ヘッドスペーサ66を介してボルト67により着脱自在であり、このことから、油圧ハウジング33にスペーサ60を装着した状態でバルブ(バルブユニット)35を着脱自在であり、これによって、メンテナンスがより一層容易とされているのである。
図14を参照すると、アーム軸38は油圧ハンジング33に左右方向として貫通した筒状ボスに挿通されていて該筒状ボスとの間に介在した左右の筒状ブシュ70を介して回動自在に支持されている。
【0026】
この筒状ブシュ70は微振動による焼付けが激しいことから潤滑することが必要であり、本実施形態ではドラフト制御弁装置43および水平制御弁装置44が油圧ハウジング33の左右側壁に左右分配して配置されていることから、ドラフト制御弁装置43の戻り油口(タンクポート)に配管部材71を遊挿接続して戻り油の一部を配管部材71を介して右側のブシュ70に送液して当該ブシュ70を半強制潤滑しており、一方、水平制御弁装置44の戻り油口(タンクポート)に配管部材72を遊挿接続して戻り油の一部を配管部材72を介して左側のブシュ70に送液して当該ブシュ70を半強制潤滑してブシュ70の焼付けを防止しているのであり、図14で示すように、ブシュ70の外側にはOリング73とカラー74を設けて戻り油の外部洩出を防止しているのであり、左右のブシュ70に油膜を造成した残余の油はミッションケース7内に還流されるのである。
【0027】
なお、配管部材71については、右側にドラフト制御弁装置(オートドラフト)の代りに、メカニカル(機械)操作される(人為操作される)ドラフト制御弁を設けたときには、このドラフト制御弁のタンクポートに遊挿接続されるものである。
ここで、タンクポートに配管部材71,72を遊挿接続したことにより、戻り油の一部はその遊挿接続部を介してミッションケース内に戻り、残余の戻り油が配管部材71,72を介して左右のブシュ70を半強制潤滑するのであり、上述のように、油圧ハウジングの左右にドラフト制御弁(オート又はメカニカルを含む)と水平制御弁をそれぞれ左右振り分けて設け、この各バルブのタンクポートに配管部材71,72を介在することでブシュ70の焼付けを防止しており、この配管部材71,72も油圧ハウジング33で被ったかたちで前後方向に配置すれば良く、配管部材71,72の配管も容易となるのである。
【0028】
なお、配管部材71,72については、油圧ハウジング33に孔形状として構成しても良く、油圧ハウジング33に、外部油圧取出用の油路34、弁装置43,44のための油路45等を形成することによって、該油圧ハウジング33は大容量でありながらも、軽量化が図れて水田用トラクタにおける油圧昇降装置10として意義があるのである。
図15〜図18は、本発明に係る外部油圧取出装置1を、キャノピー(日除け)75を有するトラクタ2に適用しているとともに、ドラフト制御弁装置についてはメカニカル(マニアル)としたものであり、前述した構成と共通する部分は共通符号で示し、以下、相違する構成について説明する。
【0029】
図15,図16において、キャノピー75は、左右の後車軸ハウジン25からフェンダ13の上面近傍まで立設されている下部支柱75Aと、該下部支柱75Aの上部に入れ子構成にて挿脱自在として挿通され、ボルト締結具75Cによって装着された上部支柱75Bとから構成されている。
油圧ハウジング33上に積み重ねられている外部油圧取出用のバルブ35は、ボーデンケーブル63にて遠隔操作されるが、該遠隔操作レバー76は運転席14の右脇にフロアーシート22に横方向の枢支軸77を介して備えられており、フロアーシート22の段差部(立上り面)22Cに窓を形成して、この窓からレバー76が突出されている。
【0030】
段差部22Cの窓の左右を補強するかたちでブラケット78が段差部22Cにボルト止めしてあり、このブラケット78に枢支軸77が備えられ、レバー76の根元部の筒部が枢支軸77に回動自在に套嵌され、この筒部に形成したアーム部に、金具79を介してケーブル63が接続されているのであり、ケーブル63は右側から油圧ハウジング33の上方を運転席14の後方を迂回して左側に延伸されている(この操作レバー76等については、図1〜図14の実施形態についても採用される)。
【0031】
オートドラフト制御装置に代替してマニアル操作(人為操作)される油圧制御レバー装置80が備えられており、このレバー装置80は、ポジション用レバー81とドラフト用レバー82からなり、油圧ハウジング33の右側(オートドラフト制御弁のやや後方)に形成した開口を塞ぐかたちで内・外2重軸としたコントロール軸83を内挿支持した支持アーム84を右外方に突出させており、コントロール軸83をレバー81,82の前後操作にて回動して、油圧ハウジング33に内装したバルブを制御するものである。
【0032】
なお、図16,図17においては、85はデフロックペタルを示しており、前輪用と後輪用が踏込み自在に並設されている。
上述した本発明に係る外部油圧取出装置1は、キャビン17、キャノピー75を具備していないトラクタ2について適用することも可能である。
更に、ドラフト制御弁装置について、特に、オートドラフト制御弁にあっては、メンテナンスの機会が多くなることから、本発明についての適用意義が大であるけれども、マニアル操作のドラフト制御弁についても意義がある。
【0033】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、外部油圧の取出しが容易でしかもメンテナンスも良好にできるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る外部油圧取出装置を備えたトラクタの側面図である。
【図2】トラクタ後部の立面図である。
【図3】本発明に係る外部油圧取出装置を有する油圧昇降装置の側面図である。
【図4】図3の平面図である。
【図5】図3の要部背面図である。
【図6】油圧回路の構成図である。
【図7】スペーサの平面図である。
【図8】スペーサの正面図である。
【図9】スペーサの側面図である。
【図10】図7のA−A断面図である。
【図11】図7のB−B断面図である。
【図12】図7のD−D断面図である。
【図13】図7のE−E断面図である。
【図14】油圧昇降制御装置の断面図である。
【図15】本発明を適用した他の形式のトラクタを示す側面図である。
【図16】図15の要部側面図である。
【図17】図15の要部平面図である。
【図18】図15の要部背面(後面)図である。
【符号の説明】
1 外部油圧取出装置
2 トラクタ
9 リフトアーム
10 油圧昇降装置
33 油圧ハウジング
34 油路
35 油圧取出用バルブ
60 スペーサ
Claims (2)
- 油圧で昇降動作する左右のリフトアーム(9)を有するトラクタ(2)に、キャビン(17)と外部油圧取出装置(1)を装着したものにおいて、
前記キャビン(17)の後支柱(19)を、中間の屈折連結部(19A)を介して側面視くの字形に形成し、屈折連結部(19A)より下方部位を後上がり傾斜状として後車軸ケース(25)の前方側に配置し、前記屈折連結部(19A)をリフトアーム(9)の回動支点の上方に配置し、且つ、前記キャビン(17)の後支柱(19)を、その下方部位が後車軸ケース(25)より前方側に位置すべく後ろ上がり傾斜状に配置し、該下方部位に固着したブラケット(27)と防振支持手段(28)を介して後車軸ケース(25)に搭載し、
キャビン(17)の後支柱(19)より前側に該キャビン(17)の底板部を構成するフロアーシート(22)の運転席装着用装着部位(22A)を配置し、
油圧取出部(35A)と切換用スプール(62)をバルブケース(61)に備えている外部油圧取出用のバルブ(35)の複数個を上下方向に積み重ねてバルブユニットを構成し、このバルブユニットを、前記後支柱(19)及び装着部位(22A)より後方でかつ前記屈折連結部(19A)の下方でかつ左右のリフトアーム(9)の間でトラクタ車体(5)側に装着していることを特徴とするトラクタの外部油圧取出装置。 - バルブユニットの切換用スプール(62)のそれぞれの軸心は左右方向とされ、かつ、油圧取出部(35A)のそれぞれは後方に延伸していることを特徴とする請求項1記載のトラクタの外部油圧取出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25918799A JP3579310B2 (ja) | 1999-09-13 | 1999-09-13 | トラクタの外部油圧取出装置 |
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