JP3579159B2 - ブラシレスモータの速度制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数極の永久磁石を有し回転子の回転によって生じる誘起電圧を検出して得られる位置検出信号に基づいて通電する固定子巻線を順次切り換えるようにし、固定子巻線に印加する電圧を可変して回転子の速度を制御するようにしたブラシレスモータの制御装置において、ブラシレスモータの1回転中において周期性をもって変化する負荷を駆動するのに適したブラシレスモータの速度制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このような従来技術としては、特公平6一48916号公報に記載のものがある。
上記公報に記載のものは、ブラシレスモータに加わる負荷の所定周期をn分割し、分割された隣り合う区間の速度を等しくなるようにn分割した区間毎に設定された電流データもしくは電圧データを修正し速度制御を行うものである。
【0003】
しかし上記公報に記載のものにおいては、電流データもしくは電圧データがn分割した区間毎に設定され、ブラシレスモータに対して電流もしくは電圧が段階的に加わるため、滑らかに変化する負荷トルクに対してブラシレスモータが発生するモータトルクは段階的となり、負荷トルクとモータトルクとを一致させることを困難なものとしていた。
【0004】
また、段階的なモータトルクを発生するため、固定子巻線の通電を切り換えた場合の衝撃が大きなものになる恐れがあった。
更に、区間毎に設けるデータを電流データとした場合には、指令電流に検出電流を一致させるための電流制御が必要となりブラシレスモータの速度制御構成を複雑なものにしていた。
【0005】
【発明が解決しようする課題】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、モータトルクと負荷トルクとが一致しモータトルクと負荷トルクとの差により生じるモータ負荷振動に対する加振力を抑制し、かつブラシレスモータへの通電開始直後および高速運転領域でのブラシレスモータの安定した運転を確実に行うことを可能とするブラシレスモータの速度制御方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
また、誘起電圧の検出により得られる位置検出信号のタイミング遅れによる速度算出誤差あるいは加速度算出誤差の影響を低減し、回転子1回転中の印加電圧を過剰に変更しないようにし、かつブラシレスモータの運転状態に応じた適切な印加電圧の許容変動幅を設定することによりモータ負荷と一致した印加電圧を安定して供給することを可能とするブラシレスモータの速度制御方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
更に、ブラシレスモータへの通電開始から基準点電圧の調整開始までの状態を短時間化し、モータ負荷と一致した印加電圧による運転開始を早めることを可能とするブラシレスモータの速度制御方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係るブラシレスモータの速度制御方法は、回転子1回転中に設けられた各基準点における基準点加速度がゼロとなるように該当する基準点電圧を調整し、更に隣接する基準点どうしを接続して得られた連続的に変化する補正電圧波形をブラシレスモータに印加することにより、回転子1回転中の印加電圧を滑らかに変更すると共にブラシレスモータの負荷と印加電圧とを一致させながら速度制御を行うものである。
このようになブラシレスモータの速度制御方法においては、モータトルクと負荷トルクとが一致しモータトルクと負荷トルクとの差により生じるモータ負荷振動に対する加振力を抑制可能とするものである。
【0009】
本発明の請求項2に係るブラシレスモータの速度制御方法は、回転子1回転中に設けられた各基準点における基準点速度が各基準点速度の平均値と一致するように該当する基準点電圧を調整し、更に隣接する基準点どうしを接続して得られた連続的に変化する補正電圧波形をブラシレスモータに印加することにより、回転子1回転中の印加電圧を滑らかに変更すると共にブラシレスモータの負荷と印加電圧電圧とを一致させながら速度制御を行うものである。
このようになブラシレスモータの速度制御方法においては、モータトルクと負荷トルクとが一致しモータトルクと負荷トルクとの差により生じるモータ負荷振動に対する加振力を抑制可能とするものである。
【0010】
本発明の請求項3に係るブラシレスモータの速度制御方法は、ブラシレスモータへの通電開始から所定時間に達するまでは、回転子1回転中に複数設定された基準点電圧を調整することなく回転子1回転中の電圧を一定に保つようにしたものである。
このようなブラシレスモータの速度制御方法においては、ブラシレスモータへの通電開始直後に発生し易い不安定状態における運転を排し、安定した運転を確実に行うこと可能とするものである。ができる。
【0011】
本発明の請求項4に係るブラシレスモータの速度制御方法は、ブラシレスモータへの通電開始から所定の回転速度または回転数に達するまでは、回転子1回転中に複数設定された基準点電圧を調整することなく回転子1回転中の電圧を一定に保つようにしたものである。
このようなブラシレスモータの速度制御方法においては、ブラシレスモータへの通電開始直後に発生し易い不安定状態における運転を排し、安定した運転を確実に行うことを可能とするものである。
【0012】
本発明の請求項5に係るブラシレスモータの速度制御方法は、ブラシレスモータへの通電開始から通電する固定子巻線を順次切り換える回数が所定の回数に達するまでは、回転子1回転中に複数設定された基準点電圧を調整することなく回転子1回転中の電圧を一定に保つようにしたものである。
このようなブラシレスモータの速度制御方法においては、ブラシレスモータへの通電開始直後に発生し易い不安定状態における運転を排し、安定した運転を確実に行うことを可能とするものである。
【0013】
本発明の請求項6に係るブラシレスモータの速度制御方法は、ブラシレスモータが所定の回転速度または回転数よりも高速運転されている場合には、回転子1回転中に複数設定された基準点電圧を調整することなく回転子1回転中の電圧を一定に保つようにしたものである。
このようなブラシレスモータの速度制御方法においては、モータ負荷振動に対する加振力の抑制効果が現れにくくなるブラシレスモータの高速運転領域では、ブラシレスモータの負荷と印加電圧とを一致させる処理を省略し、誘起電圧の検出により得られる位置検出信号を高速処理することが必要となる高速運転領域でのブラシレスモータの安定した運転を確実に行うことを可能とするものである。
【0014】
本発明の請求項7に係るブラシレスモータの速度制御方法は、基準点速度を算出するにあたり、基準点速度=1/基準点時間(即ち、該当基準点に対応する位置検出間隔時間)ではなく基準点速度=基準点時間として扱い、更に該当基準点前後の基準点時間及び前回算出した該当の基準点時間により平均化を行い基準点速度とし速度制御を行うものである。
このようなブラシレスモータの速度制御方法においては、誘起電圧の検出により得られる位置検出信号のタイミング遅れによる速度算出誤差の影響を低減し、モータ負荷と一致した印加電圧を安定して供給することを可能とするものである。
【0015】
本発明の請求項8に係るブラシレスモータの速度制御方法は、基準点加速度を算出するにあたり、基準点速度=1/基準点時間でなく基準点速度=基準点時間とし該当基準点前後の基準点時間及び前回算出した該当の基準点時間により平均化を行い、更に基準点加速度=基準点速度差/基準点時間でなく基準点加速度=基準点時間差として基準点加速度を求め速度制御を行うものである。
このようなブラシレスモータの速度制御方法においては、誘起電圧の検出により得られる位置検出信号のタイミング遅れによる加速度算出誤差の影響を低減し、モータ負荷と一致した印加電圧を安定して供給することを可能とするものである。
【0016】
本発明の請求項9に係るブラシレスモータの速度制御方法は、回転子1回転中に複数設定された基準点電圧を調整するにあたり、基準点速度または基準点加速度に基づいて該当する基準点電圧を調整した後に、該当基準点前後の基準点電圧との平均を求め調整後の基準点加電圧とするものである。
このようなブラシレスモータの速度制御方法においては、誘起電圧の検出により得られる位置検出信号のタイミング遅れによる加速度算出誤差または速度算出誤差が基準点電圧の調整に与える影響を低減し、モータ負荷と一致した印加電圧を安定して供給することを可能とするものである。
【0017】
本発明の請求項10に係るブラシレスモータの速度制御方法は、回転子1回転中に複数設定された基準点電圧を調整するにあたり、該当基準点の基準点時間と各基準点時間の平均値との差が、印加電圧に反比例するような関係式により逐次求めた制限時間を越えた場合に限り、基準点電圧を調整するものである。
このようなブラシレスモータの速度制御方法においては、許容変動幅を印加電圧に連動させて制限するため、誘起電圧の検出により得られる位置検出信号のタイミング遅れを考慮した許容変動幅となるとともに回転子1回転中の印加電圧を過剰に変更しないようにし、モータ負荷と一致した印加電圧を安定して供給することを可能とするものである。
【0018】
本発明の請求項11に係るブラシレスモータの速度制御方法は、回転子1回転中に複数設定された基準点電圧を調整するにあたり、該当する基準点電圧の最大値と最小値との差が、ブラシレスモータに印加している平均印加電圧に比例し、かつ回転速度に反比例するような関係式により逐次求めた制限値を越えないように基準点電圧を調整するものである。
このようなブラシレスモータの速度制御方法においては、モータ平均負荷が増加し印加電圧の変動幅を増加させる必要が生じた場合にも対応でき、また、回転速度が増加し印加電圧を変動させる効果が現れにくい状態となり、印加電圧の変動幅を減少させる必要が生じた場合にも対応でき、ブラシレスモータの運転状態に応じた適切な印加電圧の許容変動幅を設定できるので、モータ負荷と一致した印加電圧を安定して供給することを可能とするものである。
【0019】
本発明の請求項12に係るブラシレスモータの速度制御方法は、ブラシレスモータへの通電開始から基準点電圧の調整開始までのモータ平均速度の変更時間を、基準点電圧の調整開始した後のモータ平均速度の変更時間よりも短時間で変更するようにしたものである。
このようなブラシレスモータの速度制御方法においては、モータ負荷と印加電圧とが一致しておらずモータ負荷振動に対する加振力を生じているブラシレスモータへの、通電開始から基準点電圧の調整開始までの状態を短時間化し、モータ負荷と一致した印加電圧による運転開始を早めることを可能とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図面に基づき説明する。
第1図は、本発明の速度制御方法を実施するための制御ブロック図である。
第1図において、交流電源1は整流回路2と三相ブリッジ状に結線された半導体スイッチング素子群3を介して三相四極ブラシレスモータ搭載の1シリンダー圧縮機4(以下、圧縮機と記す)に接続されている。
【0021】
本発明の制御系は、誘起電圧検出回路6、通電巻線切換部8、ベース駆動信号作成部19とにより構成される通電巻線制御系と、誘起電圧検出回路6、平均速度算出部12、平均速度比較部14、平均EP加電圧調整部15、印加電圧加算部17、ベース駆動信号作成部19とにより構成される平均速度制御系と、誘起電圧検出回路6、電圧補正部10、印加電圧加算部17、ベース駆動信号作成部19とにより構成される瞬時速度制御系の3つの制御系により構成されている。
【0022】
通電巻線制御系においては、誘起電圧検出回路6において圧縮機端子電圧5a〜5cから回転子位置が検出され位置検出信号7を作成し、通電巻線切換部8において位置検出信号7にしたがい通電するモータ固定子巻線を設定し、1/12回転毎に通電が切り換わる通電巻線データ9を作成する。
【0023】
平均速度制御系においては、平均速度算出部12において位置検出信号を用いて圧縮機の平均速度を算出し、平均速度比較部14において指令速度13と比較されその結果に基づき平均印加電圧調整部15において指令速度と算出した平均速度とが一致するように圧縮機に印加する平均印加電圧を調整し平均印加電圧データ16を作成する。
【0024】
瞬時速度制御系においては、電圧補正部10において位置検出信号に基づき圧縮機1回転中の瞬時加速度がゼロもしくは瞬時速度が均一となるように電圧補正データ11を作成し、印加電圧加算部17において平均印加電圧データ16と電圧補正データ11とが加算されて印加電圧データ18が作成される。ベース駆動信号作成部19では通電巻線データ9と印加電圧データ18とにより半導体スイッチング素子群3の駆動信号20a〜20fを作成し圧縮機への通電を制御している。
【0025】
第2図は位置検出信号から加速度を算出し、本発明の速度制御を行う場合の電圧補正部10の実施例を示す。
12点設定された基準点のi番目における位置検出信号は基準点設定部21に入力され補正電圧波形調整用のi番目における基準点を設定すると共に、速度算出部22に入力されi番目の基準点速度を算出し、加速度算出部24においてi番目の基準点加速度を算出する。
【0026】
基準点電圧調整部23においてはi番目の基準点電圧をi番目の基準点加速度が圧縮機1回転中でゼロとなるように調整し、波形作成部25において各々隣接する基準点どうしを接続した連続波形を作成し補正電圧波形を得るものである。
【0027】
第3図は位置検出信号から速度を算出し、本発明の速度制御を行う場合の電圧補正部10の実施例を示す。
12点設定された基準点のi番目における位置検出信号は基準点設定部26に入力され補正電圧波形調整用のi−3番目における基準点を設定すると共に、速度算出部27に入力されi番目の基準点速度を算出する。
【0028】
基準点電圧調整部28においては、i−3番目の基準点電圧をi番目の基準点速度が各区間速度の平均値と一致するように調整し、波形作成部29において各々隣接する基準点どうしを接続した連続波形を作成し補正電圧波形を得るものである。
【0029】
第4図は電圧補正部10の動作例を示す。
回転角度30度(1/12回転)毎に得られる位置検出信号30により1〜12の基準点を設定した基準点のi番目基準点においては、基準点時間Tiから31に示されるような基準点速度Niを算出し、基準点速度Ni−1 ,Ni とにより32に示されるような基準点加速度Aiを算出する。更に設定された基準点における基準点電圧Viは基準点加速度が正の場合においては減少し、負の場合においては増加するように調整され、33に示されるような圧縮機1回転中に12個の基準点電圧列を得、その後、求められた基準点電圧V1〜V12を接続した波形である補正電圧波形34が作成される。
【0030】
ここで、基準点速度Niの算出においては、基準点時間データTi−1 ,Ti ,Ti+1 の平均を行った後、前回計算した基準点時間データとの平均を行い正規基準点時間として基準点速度Niとしてもよい。また、この正規基準点時間そのものを基準点速度Niとして扱うようにしてもよい。
【0031】
更に、基準点加速度Aiの算出においては、基準点時間データTi−1 ,Ti ,Ti+1 の平均を行った後、前回計算した基準点時間データとの平均を行い正規基準点時間として基準点速度Niとし、基準点速度Ni−1 ,Ni とにより基準点加速度Aiを算出してもよい。また、この正規基準点時間の時間差をもって基準点加速度Aiとして扱うようにしてもよい。
【0032】
第5図は本発明をマイクロコンピュータを用いて制御する場合における制御フローの一例を示す。
処理S1において指令速度と運転速度とを比較し、一致していない場合には、処理S2にて設定した時間T1毎に処理S3において平均印加電圧の変更を行い圧縮機の平均速度制御を行う。
【0033】
処理S5にて設定した時間T2が経過したか否かを処理S4において判断し、経過していない場合には、処理S17において回転子の位置検出を行い、処理S19においては処理S18にて設定された通電切換までの時間である遅延時間T3後に、固定子巻線への通電の切り換えを行うと共に通電切換データを作成する通電切換制御を行う。このとき処理S20において電圧補正に用いる速度、加速度を算出するための基準点問時間Tiを計測する。
【0034】
処理S5にて設定した時間T2が経過した場合には、以下に説明する電圧補正制御を行う。処理S6ではこれから電圧補正を行う基準点番号を関係式(1)により更新し、
【数1】
i=i+1 (i:1〜12) ・・・・・(1)
【0035】
処理S7にてi番目の基準点速度Niを算出し、処理S8にてi番目の基準点加速度Aiを算出する。次に、処理S9において関係式(2)の関係にあるか否かを判断し、
【数2】
基準点時間Ti>各基準点時間平均Tave±正の定数Ta ・・・(2)
【0036】
が成立する場合には処理S1Oにおいて、基準点電圧データVi′を基準点加速度Aiと前回算出した基準点電圧Viとから関係式(3)により求め(Kpは正の定数)、
【数3】
Vi′=(1−Kp×Ai)×Vi ・・・・・(3)
処理S11、処理S12においてVi′の最大値Vmaxと最小値Vminが定数Kvの範囲内となるよう制限し、処理S13において基準点電圧Viを設定する。
【0037】
更に、処理S14においては設定された基準点電圧ViのVi−1 ,Vi ,Vi+1 を接続し連続波形となるような補正電圧波形を作成し、処理S14にて作成された補正電圧波形と処理S19にて作成された通露切換データと処理S3にて作成された平均印加電圧データとを処理S15にて合成しドライブ信号を作成する。
処理S16では運転/停止の判断を行い、運転継続の場合には再び処理S1以降の各処理を行い、運転停止の場合には処理S21にて圧縮機の運転を停止する。
【0038】
ここで、定数として設定したTaは、圧縮機への印加電圧の増加に伴い減少するような関係式、例えば関係式(4)により随時演算し求めてもよい(K0 は正の定数)。
【数4】
Ta=K0 ×(印加電圧/最大印加電圧) ・・・・・(4)
【0039】
また、定数として設定したKvは、圧縮機への印加電圧の増加に伴い増加すると共に、速度の増加に伴い減少するような関係式、例えば関係式(5)により随時演算し求めてもよい(K1 は正の定数)。
【数5】
Kv=K1 ×(印加電圧/最大印加電圧)×(最大運転速度−運転速度)/最大運転速度・・・(5)
【0040】
第6図は圧縮機の起動時からの運転例を示している。
圧縮機起動後に速度N1に達する時間T1以内においては電圧補正制御を行わず圧縮機1回転中の印加電圧を一定とし、時間T1以後に電圧補正制御を行い圧縮機1回転中の印加電圧を可変するようにしてある。
【0041】
一度電圧補正制御が開始された後は、速度N1以下となっても電圧補正制御は行われる。また、35で示される速度N1に達するまでの速度調整の傾きはN1/T1で表せ、36で示される速度N1到達後に用いる通常の傾き(N2−N1)/(T2一TI)よりも大きな値に設定してある。
【0042】
時間T4にて速度N4に到達後は電圧補正制御を行わず、再び速度N4以下になった場合に電圧補正制御を行うようにしてある。
ここで、電圧補正制御を開始する条件としては、圧縮機起動から所定時間に達した後に電圧補正制御を開始してもよく、圧縮機起動から固定子巻線の通電切換回数が所定回数に達した後に電圧補正制御を開始してもよい。
【0043】
第7図は補正電圧波形の基準点電圧の算出例を示すものである。
基準点加速度に基づき各基準点に設けた基準点電圧を調整し、各基準点電圧を接続して得られた補正電圧波形が位置検出誤差などにより37に示される如く滑らかな変化でない平均前補正電圧波形となる場合においても、平均前基準点電圧のVi−1 ,Vi ,Vi+1 による平均化を行い基準点電圧Viを求めることにより38に示される如く滑らかな変化となる平均後補正電圧波形を補正電圧波形として得ることができる。
【0044】
第8図は本発明における印加電圧と圧縮機負荷との関係を示す波形図である。電圧補正制御を行わない場合には、圧縮機負荷波形39と印加電圧波形40とに大きな相違41が有り、その時の加速度波形44には大きな加速度変動45を生じる。
この状態において電圧補正制御を行うと、減速域42においては印加電圧を増加し、加速域43においては印加電圧を減少するように制御するので、印加電圧波形46と圧縮機負荷波形47とは小さい相違48となり、その時の加速度波形49は小さな加速度変動50へと抑制され圧縮機振動に対する加振力が低減される。
【0045】
【発明の効果】
このように本発明のブラシレスモータの速度制御方法、モータトルクと負荷トルクとが一致しモータトルクと負荷トルクとの差により生じるモータ負荷振動に対する加振力を抑制できると共に、ブラシレスモータへの通電開始直後に発生し易い不安定状態における運転を排し、安定した運転を確実に行うことができる。
【0050】
また、位置検出信号を高速処理することが必要となる高速運転領域でのブラシレスモータの安定した運転を確実に行うことを可能とすると共に、誘起電圧の検出により得られる位置検出信号のタイミング遅れによる速度算出誤差の影響および加速度算出誤差の影響を低減して、モータ負荷と一致した印加電圧を安定して供給することができる。
【0051】
更に、回転子1回転中の印加電圧を過剰に変更しないようにし、かつブラシレスモータの運転状態に応じた適切な印加電圧の許容変動幅を設定できるので、モータ負荷と一致した印加電圧を安定して供給することを可能とする。
そして、ブラシレスモータへの通電開始から基準点電圧の調整開始までの状態を短時間化し、モータ負荷と一致した印加電圧による運転開始を早めることを可能とする等の顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の速度制御方法を示すブロック図。
【図2】本発明の請求項1における電圧補正部を示すブロック図。
【図3】本発明の請求項2における電圧補正部を示すブロック図。
【図4】本発明の各部の動作を示す図。
【図5】本発明のフロー図。
【図6】本発明の圧縮機の起動時からの運転例を示す図。
【図7】補正電圧波形における基準点電圧の算出例を示す図。
【図8】圧縮機負荷と印加電圧との関係を示す図。
【符号の説明】
1 交流電源
2 整流回路
3 半導体スイッチング素子群
4 ブラシレスモータ搭載圧縮機
5a〜5c モータ誘起電圧
6 誘起電圧検出回路
7 位置検出信号
8 通電巻線切換部
9 通電巻線データ
10 電圧補正部
11 電圧補正データ
12 平均速度算出部
13 指令速度発生部
14 平均速度比較部
15 平均印加電圧調整部
16 平均印加電圧データ
17 印加電圧加算部
18 印加電圧データ
19 ベース駆動信号作成部
20a〜20f ベース駆動信号
Claims (12)
- 複数極の永久磁石を有する回転子と、通電時にこの回転子に回転磁界を与えるように配置された複数の固定子巻線とを有し、この複数の固定子巻線のうち幾つかの固定子巻線に通電して回転磁界を得るとともに、通電していない固定子巻線に回転子の回転によって生じる誘起電圧の変化を検出して得られる位置検出信号に基づいて通電する固定子巻線を順次切り換えるようにし、固定子巻線に印加する電圧を可変して回転子の速度を制御するようにしたブラシレスモータの制御装置において、前記位置検出信号に基づき回転子1回転中に複数の基準点を設け、各基準点における加速度(以下、基準点加速度という)を算出し、対応する基準点における固定子巻線への印加電圧(以下、基準点電圧という)を基準点加速度に基づいて調整し、隣接する基準点どうしを接続して得られた電圧波形(以下、補正電圧波形という)を固定子巻線に印加することにより、回転子1回転中における固定子巻線への印加電圧を可変して回転子速度を制御することを特徴とするブラシレスモータの速度制御方法。
- 前記基準点電圧は、各基準点にて算出した速度(以下、基準点速度という)に基づき調整することを特徴とする請求項1記載のブラシレスモータの速度制御方法。
- 前記補正電圧波形は、ブラシレスモータへの通電開始から所定の時間に達するまで回転子1回転中における印加電圧を一定に保つようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のブラシレスモータの速度制御方法。
- 前記補正電圧波形は、ブラシレスモータへの通電開始から所定の回転速度または回転数に達するまで回転子1回転中における印加電圧を一定に保つようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のブラシレスモータの速度制御方法。
- 前記補正電圧波形は、ブラシレスモータへの通電開始から通電する固定子巻線を順次切り換える回数が所定の回数に達するまで回転子1回転中における印加電圧を一定に保つようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のブラシレスモータの速度制御方法。
- 前記補正電圧波形は、回転子が所定の回転速度または回転数よりも高速運転されている場合に回転子1回転中における印加電圧を一定に保つようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のブラシレスモータの速度制御方法。
- 前記基準点速度は、該当基準点に対応する位置検出間隔時間(以下、基準点時間という)と該当基準点前後の基準点における基準点時間とにより平均化した後、前回計算した基準点時間との平均化を行い正規基準点時間とし、この正規基準点時間を基準点速度とすることを特徴とする請求頃2記載のブラシレスモータの速度制御方法。
- 前記基準点加速度は、該当基準点における基準点時間と該当基準点の前後基準点における基準点時間とにより平均化した後、前回計算した該当基準点時間との平均化を行い正規基準点時間とし、該当基準点における基準点時間と該当基準点前の基準点における基準点時間との時間差を基準点加速度とすることを特徴とする請求項1記載のブラシレスモータの速度制御方法。
- 前記基準点電圧は、該当基準点における基準点電圧を調整した後に該当基準点前後の基準点における基準点電圧との平均化を行い正規基準点電圧とすることを特徴とする請求項1または請求項2記載のブラシレスモータの速度制御方法。
- 前記基準点電圧は、該当基準点における基準点時間と各基準点時間の平均値との差が、固定子巻線への印加電圧に反比例する制限値以上に達した場合に、該当基準点に対応する基準点電圧を調整することを特徴とする請求項1または請求項2記載のブラシレスモータの速度制御方法。
- 前記基準点電圧は、基準点電圧の最大値と最小値との差が、固定子巻線への印加電圧に比例しかつ回転子回転速度に反比例する制限値以内となるように、該当の基準点電圧を調整することを特徴とする請求項1または請求項2記載のブラシレスモータの速度制御方法。
- ブラシレスモータへの通電開始から基準点電圧の調整開始までのモータ平均速度の変更速度を、基準点電圧の調整開始後のモータ平均速度の変更速度よりも速く設定することを特徴とする請求項1または請求項2記載のブラシレスモータの速度制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35225795A JP3579159B2 (ja) | 1995-12-28 | 1995-12-28 | ブラシレスモータの速度制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35225795A JP3579159B2 (ja) | 1995-12-28 | 1995-12-28 | ブラシレスモータの速度制御方法 |
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JPH09191684A JPH09191684A (ja) | 1997-07-22 |
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JP (1) | JP3579159B2 (ja) |
-
1995
- 1995-12-28 JP JP35225795A patent/JP3579159B2/ja not_active Expired - Lifetime
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