JP3577713B2 - 繊維配向特性の測定装置とその測定方法 - Google Patents

繊維配向特性の測定装置とその測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、紙などの繊維配向特性を測定する繊維配向特性の測定装置とその測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来の繊維配向特性の測定装置の一部側面図である。図7は、従来の繊維配向特性の測定装置によって照射された光が紙の繊維によって反射された状態を示す図である。
【0003】
図6に示すように、特開平10−46483号公報には、図中矢印方向に移動する被測定紙101の表面に垂直方向から光を照射するハロゲンランプなどの光源ランプ103aと、この光源ランプ103aが照射する光を平行な入射光線L にするレンズ103bと、被測定紙101の表面で反射した反射光線L を検出するフォトダイオードなどの光検出器104aとを備える紙の繊維配向測定装置が記載されている。ここで、光検出器104aは、被測定紙101に入射する入射光線L を中心とする円周上に、所定の間隔を空けて12個配置されており、被測定紙101上の入射法線に対して所定の角度θで反射する反射光線L を検出する。
【0004】
図7に示すように、被測定紙101の一本の繊維101aに入射した入射光線L は、繊維101aの表面で一部が反射し、この反射光線には方向依存性がある。繊維101aの長さ方向(以下、繊維方向という)に反射する反射光線Lは、繊維101aの外周頂端部で反射するものであるために僅かであるが、繊維101aと直交する方向に反射する反射光線L は、繊維方向に沿って反射面が広く存在するために多くなる。
【0005】
図8は、従来の紙の繊維配向測定装置における光検出器が検出した反射光線の強度分布を示す図である。
図8に示す縦軸は、被測定紙101の移動方向(Machine Direction(以下、MD方向という))であり、横軸は、MD方向と直交する方向(Cross Direction(以下、CD方向という))であり、原点Oは、光源ランプ103a(図6参照)から照射された光が被測定紙101に入射する入射点である。
【0006】
一般に、紙の繊維は、一本一本がまちまちの方向に向いており、曲がったり上下左右に互いに絡み合って存在しており、一方向に配列していない。しかし、紙全体では、MD方向に向いている繊維のほうが、CD方向に向いている繊維よりも相対的に多い。このために、被測定紙101に入射する入射光線L は、CD方向に反射する傾向が強くなる。その結果、図8に示すように、12個の光検出器104aが出力する強度信号に基づいて、それぞれの光検出器104a毎に反射光線L の強度分布を求めると、この強弱分布を楕円状に近似することができる。ここで、原点Oと各点との距離は、各光検出器104aによって検出された反射光線L の強さを示し、この距離の最も短い方向(楕円の短軸)は、紙全体としての繊維方向と略一致し、繊維がMD方向に並ぶ傾向(以下、繊維配向という)を示す。その結果、図8に示す角度αは、楕円の短軸とMD方向との角度を表わし、繊維配向の向き示す配向角であり、楕円の長軸の長さと短軸の長さとの比は、紙全体としての繊維配向の強さ(以下、配向指数という)を表わす。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の紙の繊維配向測定装置では、被測定紙101の表面と光源ランプ103aとの間の距離が変化すると、光検出器104aに入射する反射光線L の角度θが変化して、配向指数の感度が変わってしまう問題があった。また、被測定紙101が傾いて移動するような場合には、光検出器104aに入射する反射光線L の角度θが変化して、配向指数の感度が変わってしまう問題があった。
【0008】
この発明の課題は、繊維内を伝搬する光の方向依存性を利用して、測定対象物の繊維配向特性を高精度に測定することができる繊維配向特性の測定装置とその測定方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定するものではない。請求項1の発明は、測定対象物(1)に光を照射して前記測定対象物の繊維配向特性を測定する繊維配向特性の測定装置において、前記測定対象物に照射された光であって、前記測定対象物の繊維(1a)方向に伝搬されて繊維外に出た光(L3)を検出するために、照射手段が照射する光線軸と略平行でかつ、前記照射手段が照射する光線軸を中心とする仮想円周(R)から漏れ出す光を検出する検出手段(4)を設け、前記検出手段で検出した光に基づいて前記測定対象物の繊維配向特性を測定することを特徴とした繊維配向特性の測定装置(2)である。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の繊維配向特性の測定装置において、前記検出手段は、前記照射手段が照射する光線軸(I)に対して略平行な方向に出た光を検出することを特徴とした繊維配向特性の測定装置である。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の繊維配向特性の測定装置において、前記検出手段は、前記照射手段が照射する光線軸(R)を中心とする仮想円周上に、所定の間隔を空けて複数配置された光検出器(4a)であり、前記光検出器の出力信号に基づいて、前記測定対象物の繊維配向の向き及び/又は繊維配向の強さを演算する演算手段(6)を設けたことを特徴とした繊維配向特性の測定装置である。
【0012】
請求項の発明は、請求項に記載の繊維配向特性の測定装置において、
複数個の光検出器は仮想円周上に等間隔に配置されていることを特徴とした繊維配向特性の測定装置である。
請求項4の発明は、測定対象物に光を照射して前記測定対象物の繊維配向特性を測定する繊維配向特性の測定方法において、
前記測定対象物に照射された光であって、前記測定対象物の繊維方向に伝搬されて繊維外に出た光を検出するために、照射手段が照射する光線軸と略平行でかつ、前記照射手段が照射する光線軸を中心とする仮想円周から漏れ出す光を検出する検出手段で検出した光に基づいて前記測定対象物の繊維配向特性を測定することを特徴とした繊維配向特性の測定方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の実施形態に係る繊維配向特性の測定装置の一部側面図である。図2は、この発明の実施形態に係る繊維配向特性の測定装置の一部平面図である。図3は、この発明の実施形態に係る繊維配向特性の測定装置によって照射された光が繊維内を伝搬する状態を示す図である。図4は、この発明の実施形態に係る繊維配向特性の測定装置のブロック図である。
【0014】
測定対象物1は、植物繊維、鉱物繊維、動物繊維又は合成繊維若しくはこれらの混合物を膠着させて製造した紙、繊維状無機材料を配合した紙、合成高分子物質などを素材として製造した合成紙、木材パルプ又は古紙などを原料として製造した板紙、織機を使わずに天然繊維、再生繊維又は合成繊維などを処理して製造した不織布などである。この測定対象物1は、例えば、抄紙機のドライヤパートなどから搬出されて、図1に示す矢印方向(MD方向)に移動する。
【0015】
測定装置2は、測定対象物1の繊維配向特性を測定するものであり、図1及び図4に示すように、照射手段3と、検出手段4と、処理回路5と、演算回路6と、表示手段7と、印刷手段8とを備えている。この測定装置2は、測定対象物1の上方及び下方に設けられた図示しないガイドレールにそれぞれ移動自在に取り付けられており、このガイドレールに沿って互いに同期しながら往復移動(走査)して、MD方向及びCD方向の繊維配向特性を測定する。
【0016】
照射手段3は、測定対象物1に光を照射する装置であり、図1に示すように、光を発光する光源ランプ3aと、この光源ランプ3aが照射する光を平行な入射光線L にするレンズ3bとを備えている。この照射手段3は、測定装置2が往復移動すると、移動する測定対象物1に対してジグザグ状の測定軌跡を描きながら光を照射する。
【0017】
検出手段4は、図1及び図3に示すように、測定対象物に照射された光(入射光線)L であって、この測定対象物1の繊維方向に伝搬(透過)されて繊維1a外に出た光L を検出する装置である。この検出手段4は、図1に示すように、照射手段3が照射する光線軸Iと略平行な方向に出た光L を検出する光検出器4aを備えている。
【0018】
光検出器4aは、図1及び図2に示すように、照射手段3が照射する光線軸Iを中心とする仮想円周R上に、所定の間隔を空けて12個配置されたフォトダイオードなどである。図1に示すように、光検出器4aは、繊維1aの表面で反射した反射光線を検出しないように、測定対象物1の表面に対して垂直方向に有感領域が設定されている。光検出器4aは、検出した光をこの光の強さに応じた検出信号(光強度信号)に変換して、図4に示す処理回路5にこの検出信号を出力する。
【0019】
処理回路5は、光検出器4aが出力する検出信号を処理する回路であり、それぞれの光検出器4aが検出した光の強さなどに関する光強度情報(処理信号)を演算回路6に出力する。
【0020】
演算回路6は、処理回路5が出力する光強度情報に基づいて、測定対象物1の配向角や配向指数などの繊維配向特性を演算する回路である。この演算回路6は、例えば、フーリエ級数を利用した周期関数によって繊維配向を近似して計算したり、フォン・マイス(Von Mises)関数や楕円関数などによって繊維配向を計算する。
【0021】
図5は、この発明の実施形態に係る繊維配向特性の測定装置における演算回路が演算した繊維配向特性を示す図である。
ここで、縦軸はMD方向であり、横軸はCD方向であり、原点Oは測定対象物1に入射する光の入射点であり、角度αは配向角である。
一般に、測定対象物1が紙などである場合には、全体としてMD方向に向いた繊維1aが多い。その結果、繊維1a内を伝搬する光はMD方向に伝搬して、図5に示すような楕円状の強弱分布を得ることができる。なお、この測定装置2と図8に示す従来の測定装置とでは、配向角αは略一致するが、それぞれの測定原理の相違に起因して、楕円の長軸の長さと短軸の長さとの比(配向指数)は一致しない。しかし、配向指数には、公的な基準が設定されていないので、測定原理によって数値が異なっていても問題はない。
【0022】
図4に示す表示手段7は、演算回路6が演算する繊維配向の向きや繊維配向の強さを表示する装置である。この表示手段7は、例えば、測定対象物1のCD方向における複数箇所で測定した配向角を、各測定位置毎に表示するCRT表示装置などである。印刷手段8は、表示手段7に表示されたデータやグラフなどを印刷するプリンタやプロッタなどである。
【0023】
次に、この発明の実施形態に係る繊維配向特性の測定方法を説明する。
図1及び図2に示すように、照射手段3は、CD方向に往復移動(走査)しながら、矢印方向に移動する測定対象物1に光を照射する。図3に示すように、繊維1a内に入射した光は、繊維1aの半径方向には境界面があるために、この境界面で反射したり散乱して、隣接する繊維1aに伝搬しにくいが、境界面のない繊維方向には遠くまで伝搬する。受光手段4は、測定対象物1に照射された入射光線L であって、この繊維方向に伝搬して繊維1a外に出た光L を検出し、演算回路6は、受光器4aの出力信号に基づいて、測定対象物1の繊維配向の向き及び繊維配向の強さを演算する。そして、この演算結果は、例えば、抄紙機のワイヤパートにフィードバックされて、このワイヤパートへの原料の供給量やワイヤパートの移動速度などが変更される。
【0024】
この発明の実施形態に係る繊維配向特性の測定装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この発明の実施形態では、照射手段3から測定対象物1に照射された光であって、この測定対象物1の繊維方向に伝搬してこの繊維1a外に出た光Lを検出手段4が検出し、この検出結果に基づいて、この測定対象物1の繊維配向特性を演算回路6が演算する。このために、測定対象物1の表面だけではなく、厚さ方向(深さ方向)に入射し繊維1a内を通過してこの繊維1aから出た光も検出するので、例えば、絡み合った紙層内などの繊維配向特性も演算することができる。その結果、従来の紙の繊維配向測定装置に比べて、測定対象物1の繊維配向特性を広範囲に精度よく演算することができる。
【0025】
(2) この発明の実施形態では、照射手段3が照射する光線軸Iに対して略平行な方向に出た光L を検出手段4が検出する。このために、測定対象物1の表面と照射手段3との間の距離が変化しても、光検出器4aに一定方向から常に光が入射するので、配向指数の感度の変動を小さくすることができる。また、測定対象物1と測定装置2との間の距離を自由に設定することができる。
【0026】
(3) この発明の実施形態では、照射手段3が照射する光線軸Iを中心とする仮想円周R上に、所定の間隔を空けて光検出器4aが複数配置されている。このために、照射手段3から照射され、測定対象物1の繊維1a内を伝搬し、この繊維1a外に出て、光検出器4aによって検出される光の伝搬距離を一定にすることができる。
【0027】
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
例えば、測定対象物1は、光を透過可能な布などであってもよいし、照射手段3は、レーザ光を照射ずる半導体ダイオードなどであってもよい。特に、レーザ光は光パワーが大きいので、繊維1a外に出た光L の強さを大きくすることができる。また、演算回路6は、繊維配向の向き又は繊維配向の強さのいずれか一方を演算するだけでもよいし、光検出器4aの設置個数は12個に限定するものではない。さらに、測定装置2は、抄紙機の幅方向に走査して紙の坪量、水分、厚さ及び灰分などを連続的に計測する計測装置に搭載してもよいし、実験室で単独で使用するようなオフライン用の測定器として利用してもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によると、測定対象物に照射された光であって、この測定対象物の繊維方向に伝搬されて繊維外に出た光を検出するために、照射手段が照射する光線軸と略平行でかつ、前記照射手段が照射する光線軸を中心とする仮想円周から漏れ出す光を検出する検出手段で検出した光に基づいてこの測定対象物の繊維配向特性を測定するので、繊維内を伝搬する光の方向依存性を利用して、測定対象物の繊維配向特性を高精度に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態に係る繊維配向特性の測定装置の一部側面図である。
【図2】この発明の実施形態に係る繊維配向特性の測定装置の一部平面図である。
【図3】この発明の実施形態に係る繊維配向特性の測定装置によって照射された光が繊維内を伝搬する状態を示す図である。
【図4】この発明の実施形態に係る繊維配向特性の測定装置のブロック図である。
【図5】この発明の実施形態に係る繊維配向特性の測定装置における演算回路が演算した繊維配向特性を示す図である。
【図6】従来の繊維配向特性の測定装置の一部側面図である。
【図7】従来の繊維配向特性の測定装置によって照射された光が紙の繊維によって反射された状態を示す図である。
【図8】従来の紙の繊維配向測定装置における光検出器が検出した反射光線の強度分布を示す図である。
【符号の説明】
1 測定対象物
1a 繊維
2 測定装置
3 照射手段
4 検出手段
6 演算回路
I 光線軸
繊維外に出た光
R 仮想円周

Claims (4)

  1. 測定対象物に光を照射して前記測定対象物の繊維配向特性を測定する繊維配向特性の測定装置において、
    前記測定対象物に照射された光であって、前記測定対象物の繊維方向に伝搬されて繊維外に出た光を検出するために、照射手段が照射する光線軸と略平行でかつ、前記照射手段が照射する光線軸を中心とする仮想円周から漏れ出す光を検出する検出手段、を設け、前記検出器で検出した光に基づいて前記測定対象物の繊維配向特性を測定することを特徴とした繊維配向特性の測定装置。
  2. 請求項1に記載の繊維配向特性の測定装置において、
    前記検出手段は、前記照射手段が照射する光線軸を中心とする仮想円周上に、所定の間隔を空けて複数配置された光検出器であり、前記光検出器の出力信号に基づいて、前記測定対象物の繊維配向の向き及び/又は繊維配向の強さを演算する演算手段を設けたことを特徴とした繊維配向特性の測定装置。
  3. 請求項2に記載の繊維配向特性の測定装置において、
    複数個の光検出器は仮想円周上に等間隔に配置されていることを特徴とした繊維配向特性の測定装置。
  4. 測定対象物に光を照射して前記測定対象物の繊維配向特性を測定する繊維配向特性の測定方法において、
    前記測定対象物に照射された光であって、前記測定対象物の繊維方向に伝搬されて繊維外に出た光を検出するために、照射手段が照射する光線軸と略平行でかつ、前記照射手段が照射する光線軸を中心とする仮想円周から漏れ出す光を検出する検出手段で検出した光に基づいて前記測定対象物の繊維配向特性を測定することを特徴とした繊維配向特性の測定方法。
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EP2772806A1 (en) 2013-02-27 2014-09-03 Ricoh Company Ltd. Sensor and image forming apparatus

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