JP3576419B2 - 工作機の工具位置決め制御方法 - Google Patents

工作機の工具位置決め制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3576419B2
JP3576419B2 JP02934699A JP2934699A JP3576419B2 JP 3576419 B2 JP3576419 B2 JP 3576419B2 JP 02934699 A JP02934699 A JP 02934699A JP 2934699 A JP2934699 A JP 2934699A JP 3576419 B2 JP3576419 B2 JP 3576419B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
control method
positioning control
machine tool
tool
axis
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP02934699A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000227804A (ja
Inventor
快彦 鈴木
宗幹 山田
尚 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP02934699A priority Critical patent/JP3576419B2/ja
Publication of JP2000227804A publication Critical patent/JP2000227804A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3576419B2 publication Critical patent/JP3576419B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は工作機の工具位置決め制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば特開平9−225761号公報に開示されるように、ワークが固定されるワーク台の姿勢を変化させるとともに、工具が装着されるスピンドル軸の姿勢を変化させる工作機は知られている。この工作機は、共通の基台上で1対の垂直軸回りに回転する第1および第2支持部材を備える。第1支持部材には、水平軸回りに揺動自在にワーク台が支持される。その一方で、第2支持部材には、水平軸回りで揺動自在にスピンドル軸が支持される。こうした軸回りの回転や揺動を利用した工作機では、直交3軸に案内されて工具が移動する既存の工作機に比べて、小型化や軽量化を容易に実現することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような工作機では、垂直軸回りで回転する第1および第2支持部材の回転量や、水平軸回りで揺動するワーク台およびスピンドル軸の揺動量に基づき、ワークに対する工具の位置が特定される。しかしながら、こうして第1および第2支持部材が回転したり、ワーク台およびスピンドル軸が揺動したりすると、ワークに対する工具の姿勢は変化してしまう。こうした工作機で、ワークに対する工具の位置および姿勢を同時に特定することができる工具位置決め制御方法はいまのところ確立されていない。
【0004】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、1対の垂直軸回りで各々姿勢を変化させる1対の水平軸にワーク台およびスピンドル軸を個別に支持させた際に、スピンドル軸に装着された工具の姿勢を特定しつつワークに対して確実に工具を位置決めすることができる工作機の工具位置決め制御方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、基台から垂直に立ち上がる第1および第2垂直軸の間隔d を示す軸間距離データを取得する工程と、第1垂直軸回りで回転自在に支持される第1水平軸の高さd を示す第1高さデータを取得する工程と、第2垂直軸回りで回転自在に支持される第2水平軸の高さd を示す第2高さデータを取得する工程と、第1水平軸回りで揺動自在に支持されるワーク台に対して第1水平軸からワーク固定面までの距離d を示すワーク揺動半径データを取得する工程と、ワーク固定面に設定されるワーク座標系上でワークの加工位置(p ,p ,p )を特定する加工位置データを取得する工程と、第2水平軸回りで揺動自在に支持されるスピンドル軸の姿勢をワーク座標系上で特定する工具姿勢データを取得する工程と、取得した軸間距離データ、第1および第2高さデータ、ワーク揺動半径データ、加工位置データおよび工具姿勢データを用いて、逆運動学方程式に基づき第2水平軸から加工位置までの距離d を算出する工程とを備えることを特徴とする工作機の工具位置決め制御方法が提供される。
【0006】
かかる工具位置決め制御方法によれば、ワーク固定面に設定されるワーク座標系に従って、ワークの加工位置やスピンドル軸の姿勢が特定されると、第2水平軸から加工位置までの距離d が算出されることができる。したがって、第2水平軸上でスピンドル軸の軸方向進退移動を許容すれば、そういった進退移動を通じてスピンドル軸の先端やその先端に装着された工具を正確に加工位置に位置決めすることができる。このとき、ワーク固定面に固定されるワークに対してスピンドル軸の姿勢は変化しない。しかも、スピンドル軸の軸心は常に加工位置を向けられる。
【0007】
前記ワーク座標系のz軸は、前記第1垂直軸および第1水平軸の交点で第1水平軸に直交することが望ましい。このようにワーク座標系のz軸が設定されれば、工作機に対して構築される運動学モデルをできる限り単純化することが可能となる。その結果、逆運動学方程式は簡素化され、逆運動学方程式の解を求めやすくなる。しかも、解を求めるにあたって計算処理の負担は軽減される。
【0008】
しかも、前記スピンドル軸の姿勢を特定するにあたって、前記加工位置を基準に、前記第2垂直軸および第2水平軸の交点から第2水平軸に垂直に延びる前記スピンドル軸の軸心に沿って特定されるz軸単位ベクトル(b ,b ,b )が用いられることが望ましい。こうしたz軸単位ベクトルが用いられれば、確実に逆運動学方程式を解くことが可能となる。加えて、工作機に対して構築される運動学モデルをさらに単純化することが可能となる。したがって、さらに簡単に逆運動学方程式の解を求めることができ、しかも、解を求めるにあたって計算処理の負担は軽減される。
【0009】
こうした条件の下では、前記距離d は、例えば、
【数11】
Figure 0003576419
ただし、
【数12】
Figure 0003576419
に基づき算出されることができる。
【0010】
この種の工具位置決め制御方法は、逆運動学方程式に基づき、前記第1水平軸回りで揺動する前記ワーク台のワーク揺動角θ や、前記第1垂直軸回りで回転する第1水平軸の回転角θ 、前記第2水平軸回りで揺動するスピンドル軸のスピンドル揺動角θ 、前記第2垂直軸回りで回転する第2水平軸の回転角θ を算出する工程をさらに備えることが望ましい。
【0011】
こうしたワーク揺動角θ は、例えば、
【数13】
Figure 0003576419
ただし、
【数14】
Figure 0003576419
に基づき算出されればよい。
【0012】
前記回転角θ は、例えば、
【数15】
Figure 0003576419
ただし、
【数16】
Figure 0003576419
に基づき算出されればよい。
【0013】
前記スピンドル揺動角θ は、例えば、
【数17】
Figure 0003576419
ただし、
【数18】
Figure 0003576419
に基づき算出されればよい。
【0014】
前記回転角θ は、例えば、
【数19】
Figure 0003576419
ただし、
【数20】
Figure 0003576419
に基づき算出されればよい。
【0015】
なお、本発明に係る工具位置決め制御方法が適用される工作機では、スピンドル軸の先端に、スピンドル軸の軸心回りで回転するドリルやエンドミルといった一般の工具が装着されてもよく、スピンドル軸の軸心に沿ってレーザビームを照射するレーザ照射源やウォータージェットを発射するウォータージェット源が支持されてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る工作機の工具位置決め制御方法が適用される工作機を概略的に示す。この工作機10は、工具11が装着されるスピンドル軸12と、スピンドル軸12に装着された工具11に対してワークを向かい合わせに保持するワーク台13とを備える。ワーク台13に保持されるワークを加工するにあたって、ワークは、ワーク台13の正面に形成されるワーク固定面14に固定される。スピンドル軸12は軸心回りに高速で工具11を回転させることができる。
【0018】
スピンドル軸12はクイル15に進退自在に挿入される。クイル15には、スピンドル軸12に平行に延びるねじ軸16が支持される。スピンドル軸12の後端には、ねじ軸16に噛み合うナット部材17が固定される。駆動モータ18の働きを通じてねじ軸16が軸心回りに回転すると、ねじ軸16上をナット部材17が移動し、その結果、スピンドル軸12の進退移動が実現される。この進退移動によって、スピンドル軸12すなわち工具11は、ワーク固定面14に向かって前進したりワーク固定面14から後退したりすることができる。スピンドル軸12の進退移動量は、周知のとおり、駆動モータ18の回転量に基づいて決定される。
【0019】
ワーク台13は、第1水平軸20回りで揺動自在に第1支持部材21に支持される。第1水平軸20には駆動モータ(例えばサーボモータ)22が連結される。この駆動モータ22の働きを通じて、ワーク台13は第1水平軸20回りで揺動することができる。ワーク台13の揺動角すなわちワーク揺動角は駆動モータ22の回転量によって特定されることができる。
【0020】
しかも、第1支持部材21は、基台23から垂直に立ち上がる第1垂直軸24回りで回転することができる。第1支持部材21の回転は駆動モータ(図示せず)の働きによって実現される。第1垂直軸24回りで回転する第1支持部材21すなわち第1水平軸20の回転角は駆動モータの回転量によって特定されることができる。
【0021】
一方で、前述のクイル15は、第2水平軸26回りで揺動自在に第2支持部材27に支持される。第2水平軸26には駆動モータ(例えばサーボモータ)28が連結される。この駆動モータ28の働きを通じて、クイル15すなわちスピンドル軸12は第2水平軸26回りで揺動することができる。スピンドル軸12の揺動角すなわちスピンドル揺動角は駆動モータ28の回転量によって特定されることができる。
【0022】
しかも、第2支持部材27は、第1垂直軸24に平行に基台23から立ち上がる第2垂直軸29回りで回転することができる。第2支持部材27の回転は駆動モータ(図示せず)の働きによって実現される。第2垂直軸29回りで回転する第2支持部材27すなわち第2水平軸26の回転角は駆動モータの回転量によって特定されることができる。
【0023】
図2に示されるように、ワーク台13や工具11すなわちスピンドル軸12の姿勢はコントローラ31によって制御される。このコントローラ31は、ワーク固定面に設定されるワーク座標系xyz上でワークの加工位置(p ,p ,p )を特定する加工位置データや、ワーク座標系xyz上で工具11すなわちスピンドル軸12の姿勢を特定する工具姿勢データを取得するデータ取得回路32を備える。このデータ取得回路32には、例えばNCプログラムに記述される加工位置データや工具姿勢データが取り込まれればよい。
【0024】
演算処理回路(MPU)33は、後述するように、データ取得回路32から供給される加工位置データおよび工具姿勢データに基づき、スピンドル軸12の進退移動量d を規定する駆動モータ18の回転量や、ワーク揺動角θ を規定する駆動モータ22の回転量、第1および第2支持部材21、27の回転角θ 、θ を規定する駆動モータ35、36の回転量、スピンドル揺動角θ を規定する駆動モータ28の回転量を算出する。この算出にあたって、MPU33は、第1および第2垂直軸24、29の間隔d を示す軸間距離データや、第1および第2水平軸20、26の高さd 、d を示す第1および第2高さデータ、第1水平軸20からワーク固定面14すなわちワーク座標系xyzの原点までの距離d を示すワーク揺動半径データをメモリ37から読み出す。メモリ37には、間隔d や高さd 、d 、距離d の実測値が予め格納されていればよい。
【0025】
その一方で、各駆動モータ18、22、35、36、28の回転量は、駆動モータごとに設けられるエンコーダ38〜42によって検出されることができる。検出された各駆動モータ18、22、35、36、28の回転量に基づいて、MPU33は、ワーク固定面14に設定されたワーク座標系xyzに基づき工具11の位置や姿勢を算出する。表示器駆動回路43は、算出された工具11の位置や姿勢を表示器44に表示させることができる。
【0026】
いま、工作機10でワークを加工する場面を想定する。まず、作業者は、ワーク固定面14にワークを固定する。この固定によって、ワークはワーク座標系xyzに取り込まれる。このとき、ワーク座標系xyzのz軸は、第1垂直軸24および第1水平軸20の交点で第1水平軸20に直交する。したがって、第1水平軸20回りでワーク台13が揺動するとワーク座標系xyzはその揺動に追随することとなる。
【0027】
作業者は、ワーク座標系xyz上でワークの加工位置(p ,p ,p )すなわち工具11の先端位置をデータ取得回路32に取り込ませる。作業者は、同時に、データ取得回路32を通じて工具11の姿勢を指定する。工具11の姿勢を特定するにあたっては、加工位置(p ,p ,p )を基準にスピンドル軸12の軸心に沿って特定されるz軸単位ベクトル(b ,b ,b )が用いられればよい。このとき、スピンドル軸12の軸心は、第2垂直軸29および第2水平軸26の交点から第2水平軸26に垂直に延びる。ワーク固定面14に対するスピンドル軸12の姿勢が変化するとz軸単位ベクトル(b ,b ,b )はその変化に追随する。
【0028】
こうして加工位置や工具11の姿勢が特定されると、MPU33は、次式に従ってスピンドル軸12の進退移動量d を算出する。
【0029】
【数21】
Figure 0003576419
ただし、
【数22】
Figure 0003576419
こうして進退移動量d が算出されると、MPU33は、次式に従ってワーク揺動角θ を算出する。
【0030】
【数23】
Figure 0003576419
ただし、
【数24】
Figure 0003576419
ワーク揺動角θ が算出されると、MPU33は、次式に従って第1支持部材21すなわち第1水平軸20の回転角θ を算出する。
【0031】
【数25】
Figure 0003576419
ただし、
【数26】
Figure 0003576419
同時に、MPU33は、次式に従ってスピンドル揺動角θ を算出する。
【0032】
【数27】
Figure 0003576419
ただし、
【数28】
Figure 0003576419
こうしてスピンドル揺動角θ が算出されると、続いてMPU33は、次式に従って第2支持部材27すなわち第2水平軸26の回転角θ を算出する。
【0033】
【数29】
Figure 0003576419
ただし、
【数30】
Figure 0003576419
MPU33は、算出された進退移動量d 、ワーク揺動角θ 、第1および第2支持部材21、27の回転角θ 、θ およびスピンドル揺動角θ を特定する駆動指令信号を各駆動モータ18、22、35、36、28に供給する。その結果、駆動モータ18、22、35、36、28が作動すると、工具11の先端はワーク上の加工位置(p ,p ,p )に位置決めされる。しかも、このとき、工具11の姿勢は、ワーク座標系xyzで指定されるz軸単位ベクトル(b ,b ,b )によって特定される。前述したMPU33の処理によれば、1つのz軸単位ベクトル(b ,b ,b )が維持される限り、工具11を移動させても加工位置(p ,p ,p )に対する工具11の姿勢は変化しない。
【0034】
ここで、前述したMPU33の算出処理を簡単に検証する。まず、ワーク固定面に対して基準座標系を設定し、ロボット工学に基づく運動学モデル(リンクモデル)を構築する。例えば図3に示されるように、ワーク固定面14に対して基準座標系X が設定されると、ワーク台13と第1支持部材21とのジョイントすなわち第1水平軸20回りでは第1座標系X および第2座標系X が設定されることができる。同様に、第1支持部材21と基台23とのジョイントすなわち第1垂直軸24回りでは第3座標系X が規定され、基台23と第2支持部材27とのジョイントすなわち第2垂直軸29回りでは第4座標系X が規定されることができる。さらに、第2支持部材27とクイル15とのジョイントすなわち第2水平軸26回りでは第5座標系X および第6座標系X が規定されることができる。最終的に、クイル15に挿入されるスピンドル軸12の先端では第7座標系X が規定される。設定された基準座標系X に基づけば、第7座標系X の原点すなわち加工位置はベクトル(p ,p ,p )によって特定されることができる。
【0035】
特定された運動学モデルに基づき、各座標系ごとにパラメータθ (Zn−1 回りの回転角)、d (Zn−1 に沿った距離)、a (X に沿った距離)、α (X 回りの回転角)を特定すると次表が得られる。
【0036】
【表1】
Figure 0003576419
得られたパラメータθ 、d 、a 、α に基づいて各座標系X 〜X ごとに変換行列A を特定すると、
【数31】
Figure 0003576419
ただし、
【数32】
Figure 0003576419
が得られる。その結果、基準座標系X に対する工具11の姿勢や位置は、運動学方程式に従い、
【数33】
Figure 0003576419
ただし、
【数34】
Figure 0003576419
で表現されることができる。したがって、以上の運動学方程式に従えば、エンコーダ38〜42で検出される進退移動量d 、ワーク揺動角θ 、第1および第2支持部材21、27の回転角θ 、θ およびスピンドル揺動角θ に基づき、加工位置(p ,p ,p )や、工具11の姿勢を特定するz軸単位ベクトル(b ,b ,b )を算出することができる。算出された加工位置(p ,p ,p )やz軸単位ベクトル(b ,b ,b )の座標値は表示器44に表示されればよい。その結果、作業者は、加工位置や工具の姿勢を確認しながら工作機10を操作することが可能となる。
【0037】
続いて、得られた運動学方程式に基づいて逆運動学方程式を導き出す。まず、加工位置のx座標値p に関する方程式を以下のように変形する。
【0038】
【数35】
Figure 0003576419
両辺を2乗すると、
【数36】
Figure 0003576419
が得られる。同様に、加工位置のy座標値p およびz座標値p に関する方程式を以下のように変形する。
【0039】
【数37】
Figure 0003576419
【数38】
Figure 0003576419
【数39】
Figure 0003576419
【数40】
Figure 0003576419
式[数36]および式[数40]の和は、
【数41】
Figure 0003576419
として求められる。ここで、
【数42】
Figure 0003576419
を適用すると、
【数43】
Figure 0003576419
が得られる。さらに、
【数44】
Figure 0003576419
を適用すると、
【数45】
Figure 0003576419
が得られる。
【0040】
得られた式[数45]を展開し、d に関して整理すると、
【数46】
Figure 0003576419
が得られる。ここで、式[数46]を以下のように置換する。
【0041】
【数47】
Figure 0003576419
ただし、
【数48】
Figure 0003576419
に関して式[数47]を解くと、
【数49】
Figure 0003576419
および
【数50】
Figure 0003576419
が得られる。ここでは、工作機10の加工時動作範囲を考慮した結果、式[数49]を選択することとする。式[数49]は、0゜<θ <180゜の条件の下で適用されることができる。
【0042】
次に、加工位置のx座標値p に関する方程式にS を掛け合わせ、同時に、加工位置のz座標値p に関する方程式にC を掛け合わせる。
【0043】
【数51】
Figure 0003576419
得られた2つの方程式の和を求めると、
【数52】
Figure 0003576419
が得られる。ここで、得られた式[数52]に以下の三角法的代入を施す。
【0044】
【数53】
Figure 0003576419
ただし、
【数54】
Figure 0003576419
すると、
【数55】
Figure 0003576419
が得られる。この式を変形すると、
【数56】
Figure 0003576419
が得られる。φ−θ について解くと、
【数57】
Figure 0003576419
が得られ、したがって、ワーク揺動角θ は以下のとおりとなる。
【0045】
【数58】
Figure 0003576419
【数59】
Figure 0003576419
以上の算出過程で用いられる2変数逆正接関数atan2(y,x)によれば、周知のとおり、x、yの符号を考慮しつつy/xの逆正接関数が求められる。
【0046】
図4には、作業者の視点で見たワーク揺動角と、工作機10の運動学モデルから見たワーク揺動角θ と、式[数58]で算出されるワーク揺動角θ との関係が示される。作業者の視点に基づけば、第1水平軸20および第1垂直軸24の交点と、第2水平軸26および第2垂直軸29の交点とを結ぶ直線に対してワーク固定面14が直交する際、言い換えれば、そういった直線上でワーク座標系xyzのz軸が特定される際にワーク揺動角は「0゜」を示す。図4から明らかなように、例えば作業者の視点でワーク揺動角が180゜のとき、運動学モデルから見るとワーク揺動角θ =90゜となる。このとき、式[数58]で算出されるワーク揺動角θ は対応する。その一方で、作業者の視点でワーク揺動角が−180゜のとき、運動学モデルで見るとワーク揺動角θ =−270゜となる。このとき、式[数58]で算出されるワーク揺動角θ =90゜である。そこで、式[数58]の出力が+90゜を超えた場合には、式[数58]の算出値に−360゜を加えれば、ワーク揺動角θ の動作範囲−270゜〜+90゜に式[数58]の出力を対応させることができる。その結果、式[数58]のみで、ワーク揺動角θ の動作範囲をカバーすることが可能となる。
【0047】
次に、加工位置のz座標値p に関する方程式にS を掛け合わせ、同時に、加工位置のx座標値p に関する方程式にC を掛け合わせる。
【0048】
【数60】
Figure 0003576419
得られた2つの方程式の差を求めると、
【数61】
Figure 0003576419
が得られる。また、加工位置のy座標値p に関する方程式をC に関して解くと、
【数62】
Figure 0003576419
が得られ、したがって、回転角θ は以下のとおりとなる。
【0049】
【数63】
Figure 0003576419
さらに、z軸単位ベクトル(b ,b ,b )のx座標値b に関する方程式にS を掛け合わせ、同時に、同単位ベクトルのz座標値b に関する方程式にC を掛け合わせる。
【0050】
【数64】
Figure 0003576419
得られた2つの方程式の和を求めると、
【数65】
Figure 0003576419
が得られる。また、
【数66】
Figure 0003576419
であることから、スピンドル揺動角θ は以下のとおりとなる。
【0051】
【数67】
Figure 0003576419
ただし、0゜<θ <180゜とする。
【0052】
さらにまた、z軸単位ベクトル(b ,b ,b )のy座標値b に関する方程式に次式を適用し、S35に関して解く。
【0053】
【数68】
Figure 0003576419
すると、
【数69】
Figure 0003576419
が得られる。同様に、z軸単位ベクトル(b ,b ,b )のx座標値b に関する方程式およびz座標値b に関する方程式に次式を適用し、S35に関して解く。
【0054】
【数70】
Figure 0003576419
すると、
【数71】
Figure 0003576419
および
【数72】
Figure 0003576419
が得られる。したがって、θ35は以下のとおりとなる。
【0055】
【数73】
Figure 0003576419
式[数71]および式[数72]は、前述のように算出されるθ の値に基づいて選択されればよい。例えば、sinθ の絶対値が0.5以下であれば式[数71]を選択し、sinθ の絶対値が0.5を超える場合には式[数72]を選択するといった具合である。こうした選択によれば、式[数71]および式[数72]の分母の大きさを十分に確保することができる。しかも、前述の条件0゜<θ <180゜を考慮すれば、sinθ =0になることはない。
【0056】
図5には、作業者の視点で見た回転角θ35と、工作機10の運動学モデルから見た回転角θ35と、式[数73]で算出される回転角θ35との関係が示される。図5から明らかなように、例えば作業者の視点で回転角θ35は−180゜<θ35<+180゜の範囲で変動し、運動学モデルから見ると回転角θ35は0゜<θ35<360゜の範囲で変動する。その一方で、式[数73]で算出される回転角θ35は−180゜<θ35<+180゜の範囲で変動する。したがって、前述と同様に、式[数73]の出力が0゜より小さい場合には、式[数73]の算出値に+360゜を加えれば、要求される範囲に回転角θ35の範囲を対応させることが可能となる。
【0057】
第1および第2支持部材21、27の回転角θ 、θ および前述のθ35の間には次式の関係が成立することから、
【数74】
Figure 0003576419
次式に基づいて回転角θ は算出されることができる。
【0058】
【数75】
Figure 0003576419
なお、以上のような運動学方程式や逆運動学方程式は、図3に示される運動学モデルに従って導き出されるもので、運動学モデルの構築の仕方に応じて運動学方程式や逆運動学方程式は修正されることができる。
【0059】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、1対の垂直軸回りで各々姿勢を変化させる1対の水平軸にワーク台およびスピンドル軸を個別に支持させた際に、スピンドル軸に装着された工具の姿勢を特定しつつワークに対して確実に工具を位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】工作機の全体構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】工作機の制御系を概略的に示すブロック図である。
【図3】工作機の運動学モデルを示す図である。
【図4】逆運動学方程式に基づく算出結果と、運動学モデルに基づくワーク揺動角θ の動作範囲との関係を示す図である。
【図5】逆運動学方程式に基づく算出結果と、運動学モデルに基づく回転角θ35の範囲との関係を示す図である。
【符号の説明】
10 工作機、12 スピンドル軸、13 ワーク台、14 ワーク固定面、20 第1水平軸、23 基台、24 第1垂直軸、26 第2水平軸、29 第2垂直軸。

Claims (12)

  1. 基台から垂直に立ち上がる第1および第2垂直軸の間隔dを示す軸間距離データを取得する工程と、第1垂直軸回りで回転自在に支持される第1水平軸の高さdを示す第1高さデータを取得する工程と、第2垂直軸回りで回転自在に支持される第2水平軸の高さdを示す第2高さデータを取得する工程と、第1水平軸回りで揺動自在に支持されるワーク台に対して第1水平軸からワーク固定面までの距離dを示すワーク揺動半径データを取得する工程と、ワーク固定面に設定されるワーク座標系上でワークの加工位置(p,p,p)を特定する加工位置データを取得する工程と、第2水平軸回りで揺動自在に支持されるスピンドル軸の姿勢をワーク座標系上で特定する工具姿勢データを取得する工程と、取得した軸間距離データ、第1および第2高さデータ、ワーク揺動半径データ、加工位置データおよび工具姿勢データを用いて、逆運動学方程式に基づき第2垂直軸および第2水平軸の交点から加工位置までの距離dを算出する工程とを備えることを特徴とする工作機の工具位置決め制御方法。
  2. 請求項1に記載の工作機の工具位置決め制御方法において、前記ワーク座標系のz軸は、前記第1垂直軸および第1水平軸の交点で第1水平軸に直交することを特徴とする工作機の工具位置決め制御方法。
  3. 請求項2に記載の工作機の工具位置決め制御方法において、前記スピンドル軸の姿勢を特定するにあたって、前記加工位置を基準に、前記第2垂直軸および第2水平軸の交点から第2水平軸に垂直に延びる前記スピンドル軸の軸心に沿って特定されるz軸単位ベクトル(b,b,b)が用いられることを特徴とする工作機の工具位置決め制御方法。
  4. 請求項3に記載の工作機の工具位置決め制御方法において、前記距離dは、
    Figure 0003576419
    ただし、
    Figure 0003576419
    に基づき算出されることを特徴とする工作機の工具位置決め制御方法。
  5. 請求項4に記載の工作機の工具位置決め制御方法において、前記距離d が算出された後、逆運動学方程式に基づき、前記第1水平軸回りで揺動する前記ワーク台のワーク揺動角θを算出する工程をさらに備えることを特徴とする工作機の工具位置決め制御方法。
  6. 請求項5に記載の工作機の工具位置決め制御方法において、前記ワーク揺動角θは、
    Figure 0003576419
    ただし、
    Figure 0003576419
    に基づき算出されることを特徴とする工作機の工具位置決め制御方法。
  7. 請求項6に記載の工作機の工具位置決め制御方法において、前記ワーク揺動角θ が算出された後、逆運動学方程式に基づき、前記第1垂直軸回りで回転する第1水平軸の回転角θを算出する工程をさらに備えることを特徴とする工作機の工具位置決め制御方法。
  8. 請求項7に記載の工作機の工具位置決め制御方法において、前記回転角θは、
    Figure 0003576419
    ただし、
    Figure 0003576419
    に基づき算出されることを特徴とする工作機の工具位置決め制御方法。
  9. 請求項6または8に記載の工作機の工具位置決め制御方法において、前記ワーク揺動角θ が算出された後、逆運動学方程式に基づき、前記第2水平軸回りで揺動するスピンドル軸のスピンドル揺動角θを算出する工程をさらに備えることを特徴とする工作機の工具位置決め制御方法。
  10. 請求項9に記載の工作機の工具位置決め制御方法において、前記スピンドル揺動角θは、
    Figure 0003576419
    ただし、
    Figure 0003576419
    に基づき算出されることを特徴とする工作機の工具位置決め制御方法。
  11. 請求項10に記載の工作機の工具位置決め制御方法において、前記回転角θ および前記スピンドル揺動角θ が算出された後、逆運動学方程式に基づき、前記第2垂直軸回りで回転する第2水平軸の回転角θを算出する工程をさらに備えることを特徴とする工作機の工具位置決め制御方法。
  12. 請求項11に記載の工作機の工具位置決め制御方法において、前記回転角θは、
    Figure 0003576419
    ただし、
    Figure 0003576419
    に基づき算出されることを特徴とする工作機の工具位置決め制御方法。
JP02934699A 1999-02-05 1999-02-05 工作機の工具位置決め制御方法 Expired - Fee Related JP3576419B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02934699A JP3576419B2 (ja) 1999-02-05 1999-02-05 工作機の工具位置決め制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02934699A JP3576419B2 (ja) 1999-02-05 1999-02-05 工作機の工具位置決め制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000227804A JP2000227804A (ja) 2000-08-15
JP3576419B2 true JP3576419B2 (ja) 2004-10-13

Family

ID=12273678

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP02934699A Expired - Fee Related JP3576419B2 (ja) 1999-02-05 1999-02-05 工作機の工具位置決め制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3576419B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000227804A (ja) 2000-08-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Liu et al. Inverse kinematics of a 5-axis hybrid robot with non-singular tool path generation
JP4291382B2 (ja) 接触検知による取り付け誤差の自動補正機能を有する工作機械
JP5219974B2 (ja) 加工制御装置、レーザ加工装置およびレーザ加工システム
JP2008269316A (ja) 数値制御工作機械及び数値制御装置
CN113021017B (zh) 随形自适应3d检测与加工系统
JP4575887B2 (ja) ワークの姿勢制御方法
JP2005071016A (ja) 数値制御装置
CN111409067A (zh) 一种机器人用户坐标自动标定系统及其标定方法
KR101571973B1 (ko) 틸팅 로터리 테이블을 구비한 5축 공작기계의 틸팅축 볼바 측정 방법
JP4531297B2 (ja) 6軸制御ncプログラム生成方法及び生成装置、並びに6軸制御ncプログラム生成プログラム及びこのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP3576419B2 (ja) 工作機の工具位置決め制御方法
JP3173808B2 (ja) 工具姿勢制御データ生成装置
JP5359651B2 (ja) 形状測定装置
JPH0966480A (ja) 工具ハンドおよびそれを用いた工作機械
JP3576421B2 (ja) 工作機のワーク姿勢制御方法
EP4134762A1 (en) Machining method
WO2021241512A1 (ja) ワークに対する作業をロボットに実行させる制御装置、ロボットシステム、及び制御方法
JP4170530B2 (ja) ロボットの作業教示方法及び装置
JP3643254B2 (ja) 工作機の斜め姿勢工具制御方法
CN114559416A (zh) 机械手控制方法、装置、电子设备和存储介质
JP2001022418A (ja) 作業ロボットのティーチングデータ補正方法
Hayashi et al. Forward kinematics model for evaluation of machining performance of robot type machine tool
JP2021186929A (ja) 多軸ロボットの制御方法
JPH10175085A (ja) 3次元レーザー加工機における倣い軸制御方法と装置
JPH09254062A (ja) 産業用ロボットの姿勢決定方法及び姿勢決定装置

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040629

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040707

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080716

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090716

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees