JP3575442B2 - Wdm光送信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長の異なる複数の光信号を多重して、送信するWDM(Wavelength Division Multiplexing)光送信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、大容量化を目的として波長多重伝送方式における波長間隔を狭くし、より多くの光信号を伝送させる方式の開発が盛んである。この種のWDM光送信装置を図3に示し、その説明を行う。図3は、従来のWDM光送信装置の構成を示すブロック図である。
【0003】
この図3に示すWDM光送信装置10は、奇数(ODD)チャネルと偶数(EVEN)チャネルの光信号の波長を各々増幅し、分散値を補償して合波した後、チャネル番号順に多重して送信するものであり、奇数チャネルの光信号処理側に、各々に光レーザが搭載された複数の光送信回路11と、これら光送信回路11に接続された複数の光増幅器13と、これら光増幅器13にDCF(分散補償ファイバ)15によって接続された合波器17とを備え、同様に偶数チャネルの光信号処理側に、各々に光レーザが搭載された複数の光送信回路12と、これら光送信回路12に接続された複数の光増幅器14と、これら光増幅器14にDCF16によって接続された合波器18とを備え、各合波器17と18に接続されたCPL(光カプラ)20を備えて構成されている。
【0004】
このような構成において、各々の光送信回路11から出射された奇数チャネルの光信号が、各々の光増幅器13で増幅され、各々のDCF15を介して合波器17に入力され、ここで合波される。同様に各々の光送信回路12から出射された偶数チャネルの光信号が、各々の光増幅器14で増幅され、各々のDCF16を介して合波器18に入力され、ここで合波される。各合波器17,18からの光信号はCPL20で多重されたのち光ファイバ伝送路へ送信される。
【0005】
このような波長多重処理によってCPL20から出力される光信号の偏波方向と光スペクトルの一例を図4に示す。この図4では第1奇数チャネルの光信号の波長λ1、第1偶数チャネルの波長λ2、…第n偶数チャネルの波長λnの順に配列されて多重され、各波長間隔が0.4nmとなっている。
【0006】
ところが、上記のように波長間隔を狭くすると隣接するチャンネルのクロストークや伝送路内での非線形効果(FWM、XPM等)による劣化が大きくなり、伝送する光信号が劣化する。この劣化を改善する方法として、全WDM信号の奇数チャンネルと偶数チャンネルの偏波を直交させて多重する直交偏波の波長多重方式が提案され、良好な伝送性能が得られている。(OFC’98 PD12 ”320Gb/s WDM Transmission (64×5Gb/s) over 7200km using Large ModeFiber Spans and Chirped Return−to−Zero Signals” 参照)直交偏波波長多重方式のWDM光送信装置を図5に示し、その説明を行う。図5は、従来の直交偏波波長多重方式が適用されたWDM光送信装置の構成を示すブロック図である。
【0007】
図5に示すWDM光送信装置30は、奇数チャネルの光信号処理側に、各々に光レーザが搭載された複数の光送信回路31と、これら光送信回路31に接続された複数の偏波保存型光増幅器33と、これら偏波保存型光増幅器33に偏波保存型DCF(偏波保存型分散補償ファイバ)15によって接続された偏波保存型合波器37とを備え、同様に偶数チャネルの光信号処理側に、各々に光レーザが搭載された複数の光送信回路32と、これら光送信回路32に接続された複数の偏波保存型光増幅器34と、これら偏波保存型光増幅器34に偏波保存型DCF36によって接続された偏波保存型合波器38とを備え、各合波器37と38に接続されたPBS(偏波多重カプラ)40を備えて構成されている。
【0008】
但し、各光送信回路31と各偏波保存型光増幅器33は偏波保存ファイバで接続され、同様に偏波保存型合波器37とPBS40、各光送信回路32と各偏波保存型光増幅器34、偏波保存型合波器38とPBS40も偏波保存ファイバで接続されている。
【0009】
このような構成において、各々の光送信回路31から出射された奇数チャネルの光信号が、各々の偏波保存型光増幅器33で増幅され、各々の偏波保存型DCF35を介して偏波保存型合波器37に入力され、ここで合波される。同様に各々の光送信回路32から出射された偶数チャネルの光信号が、各々の偏波保存型光増幅器34で増幅され、各々の偏波保存型DCF36を介して偏波保存型合波器38に入力され、ここで合波される。各合波器37,38からの光信号はPBS40で直交偏波波長多重されたのち光ファイバ伝送路へ送信される。
【0010】
このような直交偏波波長多重処理によってPBS40から出力される光信号の偏波方向と光スペクトルの一例を図6に示す。この図6では第1奇数チャネルの光信号の波長λ1、第1偶数チャネルの波長λ2、…第n偶数チャネルの波長λ2nの順に配列されて直交多重され、各波長間隔が0.2nmとなっている。つまり、全ての波長間の偏波が直交しているため、全ての波長間隔をより狭くすることができる。
【0011】
また、この種の直交偏波波長多重を行う装置としては、特開平8−18536号公報に記載されているものがある。この公報の内容は、その要約書の記載を引用すると、光送信器と光合波手段間に偏光制御手段を、波長領域における光分波手段と光受信器間に偏光分離手段をそれぞれ設け、前記光送信器の出力光間の波長間隔を、漏話を無視できる抑圧比が前記光分波手段により得られる最小の波長間隔よりも小さく設定し、かつ、それらの隣りあう波長の出力光の偏光方向を前記偏光制御手段によって略直交させるというものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のWDM光送信装置において、図5に示した直交偏波波長多重のWDM光送信装置30では、波長毎にそれぞれ偏波保持された状態で信号を多重する必要があるため、図3に示した波長多重方式のWDM光送信装置10に比べ構成が複雑になるという問題がある。また、多くの偏波保存型光増幅器33,34や偏波保存型の分散補償ファイバ35,36および合波器37,38を含んだ構成となる。これら構成要素33〜38のデバイスは特種であるためWDM光送信装置50の実現性・量産性が難しいという問題がある。このためこの種の直交偏波波長多重方式の実用化はまだ実現されていない。
【0013】
また、特開平8−18536号公報においても、波長毎にそれぞれ偏波保持された状態で信号を多重する必要があるため、偏波保存型デバイスのような偏波保存型合波器を用いる必要があり、そのデバイスは実現の難しさやコストが高額であるという問題点がある。
【0014】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、直交偏波波長多重を行うことによって、より多くの光波長を多重することができると共に、簡易且つ低コストで実現することができるWDM光送信装置およびWDM光送信方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を実現するため、直交偏波波長多重処理を行うWDM光送信装置において、各々波長が異なる複数の光信号の内、2つの光信号を1組として偏波を直交させて多重する多重手段と、前記多重された1組の光信号の分散値を補償する補償手段と、前記補償された1組の光信号を増幅する増幅手段とを各組毎に具備すると共に、前記増幅された各組の光信号を合波する合波手段を具備し、前記合波手段で合波される光信号は、互いに偏波が直交した組内では、光信号の波長間隔が狭く、各組間では、光信号の波長間隔が広くなるように、光信号出射時の光信号周波数を定めることを特徴とするWDM光送信装置を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係るWDM光送信装置の構成を示すブロック図である。
【0021】
図1に示すWDM光送信装置50は、直交偏波波長多重処理を行うものであり、隣接する奇数および偶数チャネルの1組の光信号(例えば波長はλ1,λ2)が出射されるように、光信号を出射する光レーザが搭載された1組の光送信回路51,52と、これら光送信回路51,52に偏波保存ファイバで接続されたPBS(偏波多重カプラ)54と、PBS54にDCF(分散補償ファイバ)56によって接続された光増幅器58とを備える回路を、光信号全チャネル数mの1/2数備えると共に、各々の光増幅器58に接続された合波器60を備えて構成されている。
【0022】
但し、図中一番手前の回路が第1及び第2チャネルの光信号(波長はλ1,λ2)を出射するものであり、後方に向かう順に第3及び第4チャネルの光信号(波長はλ3,λ4)…第m−1及び第mチャネルの光信号(波長はλm−1,λm)を出射するものであるとする。
【0023】
このような構成において、まず、各第1及び第2チャネルの光送信回路51,52から出射された隣接する波長λ1とλ2の光信号が、PBS54によりお互いの光信号の偏波が直交した状態で合波される。この直交偏波多重された2つの信号は、DCF56によりそれぞれの信号の分散値が補償され、その後、光増幅器58によって一定の光信号パワーまで増幅される。この増幅された光信号と、同様に1組づつ直交偏波多重された他の光信号とが合波器60で多重される。
【0024】
このように、実施の形態のWDM光送信装置によれば、隣接チャネルの光信号を1組毎に直交偏波波長多重するようにしたので、従来の図3に示したような波長多重方式の装置に比べ隣接チャンネル間の非線形相互作用を低減し、伝送距離拡大、狭チャンネル間隔化による波長多重数の拡大を実現することができる。
【0025】
また、従来の図5に示したような直交偏波波長多重方式の装置に比べ、簡易且つ低コストで実現することができる。この理由は、直交偏波波長多重した光信号の分散を補償して増幅するので、分散補償ファイバや光増幅器の数も半分になり、多くの偏波保存型光増幅器や偏波保存型の分散補償ファイバおよび合波器を用いなくてもよいからである。
【0026】
この他の実施の形態として、図2に示すように、直交偏波多重された隣り合う2波長(λ1とλ2、λ3とλ4、…、λm−1とλm)の波長間隔を狭く(例えば0.2nm)し、各組の間の波長間隔(例えばλ2とλ3、λ4とλ5…)を広く(例えば0.4nm)設定するようにしてもよい。この設定は、各光送信回路51,52の光レーザ出射光の周波数を、各組の光信号では25GHz、各組の間の光信号では50GHzとすることによって実現することができる。
【0027】
また、このように設定できるのでは、直交偏波多重された隣り合う2波長(λ1とλ2、λ3とλ4、…、λm−1とλm)間のチャンネル間隔は、伝送時の隣接チャンネル間の非線形相互作用(FWM、XPM等)が低減されるので、偏波の直交性が保たれていないλ2とλ3(λ4とλ5、…)間よりも狭くすることができるからである。
【0028】
このように偏波が直交している隣接チャネルの波長間隔を狭めることによって、従来の波長多重方式に比べより多くの波長を多重することができる。
【0029】
また、何れの波長間隔も等間隔とした場合は、64波などの波長数をあまり多く必要としない光伝送システムにおいては有効となる。これは、波長数が少ない場合は、各波長間隔を等間隔としてもその分間隔を広くすることができ、これによって伝送時の隣接チャンネル間の非線形相互作用(FWM、XPM等)が低減されるので、特性を改善することができるからである。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、〜したので、直交偏波波長多重を行うことによって、より多くの光波長を多重することができると共に、簡易且つ低コストで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るWDM光送信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】他の実施の形態に係るWDM光送信装置から送信される光信号の偏波方向と光スペクトルの一例を示す図である。
【図3】従来のWDM光送信装置の構成を示すブロック図である。
【図4】上記従来のWDM光送信装置から送信される光信号の偏波方向と光スペクトルの一例を示す図である。
【図5】従来の直交偏波波長多重方式が適用されたWDM光送信装置の構成を示すブロック図である。
【図6】上記従来の直交偏波波長多重方式が適用されたWDM光送信装置から送信される光信号の偏波方向と光スペクトルの一例を示す図である。
【符号の説明】
10,30,50 WDM光送信装置
11,12,31,32,51,52 光送信回路
13,14,58 光増幅器
15,16,56 DCF(分散補償ファイバ)
17,18,60 合波器
20 CPL(光カプラ)
33,34 偏波保存型光増幅器
35,36 偏波保存型DCF(偏波保存型分散補償ファイバ)
37,38 偏波保存型合波器
40,54 PBS(偏波多重カプラ)
Claims (1)
- 直交偏波波長多重処理を行うWDM光送信装置において、
各々波長が異なる複数の光信号の内、2つの光信号を1組として偏波を直交させて多重する多重手段と、前記多重された1組の光信号の分散値を補償する補償手段と、前記補償された1組の光信号を増幅する増幅手段とを各組毎に具備すると共に、前記増幅された各組の光信号を合波する合波手段を具備し、
前記合波手段で合波される光信号は、互いに偏波が直交した組内では、光信号の波長間隔が狭く、各組間では、光信号の波長間隔が広くなるように、光信号出射時の光信号周波数を定めることを特徴とするWDM光送信装置。
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