JP3575179B2 - 画像の2次元空間変換装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、原画像を2次元変換して特殊効果画像等を得るための画像の2次元空間変換装置に関し、特に2次元空間上の第1軸方向への変換処理とこれと直交する第2軸方向への変換処理とを分割して実行する2パス方式の画像の2次元空間変換方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータグラフィックスや映像編集システム等では、原画像を2次元空間において座標変換して遠近効果(Perspective)やその他の特殊効果を得ることが頻繁に行われる。このような空間変換は、基本的には下記数1で示す座標変換処理である。
【0003】
【数1】
【0004】
ここで、u,vは変換前の原画像の2次元座標値、x,yは変換後の画像の2次元座標値、Mは変換マトリクスである。実際の映像変換では、出力画素(x,y)に対する入力画素位置(u,v)を求めるという処理が実行されるので、
【0005】
【数2】
【0006】
で与えられた変換マトリクスを解いて、各出力画素に対する入力画素位置(x,y)を順次求めていけばよい。しかし、この方法は計算が複雑であるために実時間処理が困難であるという問題がある。また、この方法は、縮小変換時のサブサンプリングにより生じる折り返し歪みを除去するためのフィルタとして2次元フィルタを必要とするため、構成が複雑化するという問題もある。
そこで、上述した2次元変換を直交した2つの変換に分離して処理時間を短縮するようにした、いわゆる2パス方式が提案されている(例えばUSP4463372等)。この方式を以下に説明する。
いま、[x,y]が下記数3のように定義できるものとする。
【0007】
【数3】
【0008】
これを以下のようにx,y方向にそれぞれ独立に変換するための2つのパスに分解し、順次計算する。
【0009】
【数4】
【0010】
これを数1に当てはめると、各パスでx,yは下記数5のように求められる。
【0011】
【数5】
【0012】
このような2パス方式の画像の2次元空間変換装置の構成例を図16に示す。原画像の映像信号がVideo In端子から入力されると、この映像信号は、同期アドレス発生器54からの書き込みアドレスWA0に従ってダブルバッファ構成の画像メモリ51の一方のバンクに通常の走査順序でリアルタイムで書き込まれる。このとき画像メモリ51の他方のバンクには、前フィールド(又はフレーム)の画像が記憶されている。この原画像は、第1パス用のアドレス発生器55の読み出しアドレスRA1に従って読み出され、シーケンシャルスキャン発生器56からの書き込みアドレスWA1に従って同じくダブルバッファ構成の画像メモリ52の一方のバンクに通常の走査順序でシーケンシャルに書き込まれる。同時に画像メモリ52の他方のバンクに格納されている前フィールド(又はフレーム)の第1パス終了後の中間画像が、第2パス用のアドレス発生器57の読み出しアドレスRA2に従って読み出され、シーケンシャルスキャン発生器58からの書き込みアドレスWA2に従って出力バッファ53に書き込まれる。出力バッファ53もダブルバッファ構成となっており、出力側バンクから変換画像がリアルタイムで連続的に読み出され、Video Out端子から出力される。画像メモリ51,52及び出力バッファ53の各バンクは、このようにフィールド又はフレーム毎に切り換えられ、リアルタイムで同様の処理が繰り返される。アドレス発生器55,57は、数5に示したような演算処理によって読出アドレスRA1,RA2を順次生成する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の2パス方式の2次元画像変換方式では、次のような問題がある。
即ち、画像メモリとしては、通常、DRAMが使用されるが、DRAMを使用した場合、垂直変換時は1ピクセル毎にロウアドレスを切り換える必要があるため、1ピクセル毎にRAS(Row Address Strobe)サイクルが必要になる。このため、垂直方向変換のためのアクセスに多大な時間がかかり、大画素数の高精細な画像処理が不可能であるという問題がある。
【0014】
そこで、画像メモリにSRAMを使用することも考えられるが、SRAMはDRAMに比べて高価であるため、上述した装置のように、画像メモリを4フレーム分記憶するような装置では、装置全体がコストアップになってしまうという問題がある。
【0015】
この発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、装置のコストアップを抑え、且つ高速処理が可能な画像の2次元空間変換装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明による画像の2次元空間変換装置は、原画像の2次元空間上への変換処理を前記2次元空間上の水平方向及び垂直方向のうちのいずれか一方の方向の変換処理と他方の方向の変換処理とに分割しこれらを順次実行する画像の2次元空間変換装置において、原画像を記憶すると共に水平方向にアクセスされる第1の画像記憶手段と、この第1の画像記憶手段から転送されたデータを記憶すると共に前記垂直方向の変換処理のためにアクセスされる第2の画像記憶手段とを備え、前記第1の画像記憶手段が、水平方向に高速ページモードでアクセスされるDRAMからなり、前記第2の画像記憶手段が、少なくとも垂直方向の変換処理の前後の画像情報を記憶するSRAMからなるものであることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、水平方向の変換処理と垂直方向の変換処理の過程で、水平方向にアクセスされる部分、即ち原画像を記憶すると共に、場合によっては水平変換の読み出しアドレスが与えられる第1の画像記憶手段にDRAMを使用しているので、DRAMの水平方向の高速ページモードにより、高速なアクセスが実現される。そして、垂直変換のためにアクセスされる第2の画像記憶手段には、SRAMが使用されているので、垂直パスの変換処理も高速に行うことができる。そして、この発明によれば、全使用メモリの一部にのみSRAMが使用されているのだけであるため、装置全体のコストアップを防止することができる。
【0018】
なお、第2の画像記憶手段(SRAM)を使用して垂直方向の変換処理を実行する際、垂直方向の変換処理前の各画像情報のアドレスを変換処理後の各画像情報のアドレスよりも所定値だけ大きくしてオフセットを設けることにより、変換処理後の画像情報の書き込み時に未変換の画像情報に上書きされるのを防止することができ、同時にSRAMを変換前後で共用することができるので、更にコストアップを防止することができる。
【0019】
第1の画像記憶手段(DRAM)として3つの記憶部を備えるようにすると共に、これら3つの記憶部のうち、順次供給される原画像が入力される第1の記憶部と、前記第1の記憶部に格納された原画像の変換処理により得られた変換画像を格納する第2の記憶部と、前記変換画像を外部に出力するための第3の記憶部とをフレーム又はフィールド毎に切換手段によって切り換えるように構成すれば、より少ないメモリ数でリアルタイムの処理が可能になる。
【0020】
その際、前記第1の記憶部への原画像の格納処理と、前記第2の記憶部に変換結果が格納される変換処理と、前記第3の記憶部からの変換画像の出力とは、同一のフレーム又はフィールドサイクル内で並列実行することができ、前記変換処理を、前記第2の記憶部からの画像情報の水平方向の読出動作と前記第2の画像記憶手段への画像データの水平方向の書込動作とにより実行される水平方向の変換処理と、前記第2の画像記憶手段からの画像情報の垂直方向の読出動作と前記第2の画像記憶手段への画像データの垂直方向の書込動作とにより実行される垂直方向の変換処理と、前記第2の画像記憶手段へ格納された変換画像を水平方向に読み出して前記第2の記憶部に書き込む書込処理とから構成することにより、効果的な処理が実現できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の好ましい実施の形態について説明する。
まず、この発明の実施例に係る画像の2次元空間変換装置を説明するに先立ち、好ましい2パス方式の変換処理の一例を説明する。
図1は、原画像のコーナ位置を2次元空間上の任意の位置に移動させることにより、原画像を変形するバイリニア変換(Bilinear Transform)処理の例である。いま、図1(a)に示すようなABCDをコーナとする原画像1を、同図(b)に示すように、A′B′C′D′をコーナとするように変形させて変換画像2を得る場合、変換に際して与えられる情報は、変換後の各コーナA′B′C′D′の座標値(xa,ya),(xb,yb),(xc,yc),(xd,yd)である。これら座標値に基づいて、図1(c)から(d)のように、第1軸(水平h軸)方向への変換処理(第1パス)と、図1(d)から(e)のように、第2軸(垂直v軸)方向への変換処理(第2パス)とが分割されて順次実行される。
【0022】
(1)第1パス
第1パスでは、まずABCDをコーナとする原画像1をh軸方向にのみ変形させる。いま、原画像1の水平方向長さをlH、垂直方向長さをlVとすると、水平方向の各ラインにおいて、原画像1に対応する画素の描画が開始される位置を示すオフセット値offset_h(v)と原画像1の水平方向の幅と中間画像3の水平方向の幅との比である縮小率r_h(v)とは、下記数6のように表すことができる。
【0023】
【数6】
【0024】
なお、数6においてlh(v),lt,lbは、それぞれv、上端、下端における中間画像3の幅である。
このようなオフセット値offset_h(v)及び縮小率r_h(v)を各vについて求め、表1のようにテーブル化しておく。
【0025】
【表1】
【0026】
画像の変換時には、読み出しアドレスRAと書き込みアドレスWAとを図2のような処理によってシーケンシャルに発生させることにより、第1パスの変換が実行される。即ち、垂直アドレスvを0からlV−1まで増加させながら(S1,S10,S11)、各垂直アドレスvについて、水平アドレスhを0からlH−1まで増加させ(S2,S4,S8,S9)、hがオフセット値offset_h(v)に達するまで(S5)、原画像を記憶した第1のメモリの読み出しアドレス[h−offset_h(v),v]の画素データ(原画像1の範囲から横にはみ出した部分の画像データ)を読み出し、中間画像が格納される第2のメモリの書き込みアドレス[h,v]に読み出したデータを書き込む(S3)。この様子を示したのが図3である。水平アドレスhがオフセット値offset_h(v)に達したら(S5)、水平アドレスhが1増加する毎に縮小率r_h(v)をhxに累積加算し(S6,S8)、読み出しアドレスを[hx,v]とする(S7)。これにより、図3(a)に示すように、縮小率r_h(v)に応じた間隔で原画像が読み出され、同図(b)に示すように、水平方向に縮小された中間画像が第2のメモリに格納されることになる。このように、第1パスでは、減算処理と累積加算処理のみで変換処理が実行される。
【0027】
(2)第2パス
第2パスは、基本的には第1パスの水平・垂直方向を入れ替えたもので、第1パスで得られた中間画像3をv軸方向にのみ変形させる。但し、第2パスでは、第1パスの変換の補正をして変換パラメータを算出する必要がある。図1(e)に示すように、変換後の2次元空間の水平方向の両端の辺に変換後の画像のA′B′線の交点のy座標ya′,yb′と、C′D′線の交点のy座標yc′,yd′とを下記数7のように求める。
【0028】
【数7】
【0029】
ここで、ll′=yd′−ya′,lr′=yc′−yb′とすると、垂直方向の各ラインのオフセット値offset_v(h)と縮小率r_v(h)は、下記数8のように求められる。
【0030】
【数8】
【0031】
このようにしてオフセット値offset_v(h)及び縮小率r_v(h)を各hについて求め、これについても、下記表2のようにテーブル化しておく。
また、変換処理についても、図4(a),(b)に示すように、水平方向と垂直方向とを入れ替え、上記と同様に読み出しアドレス及び書き込みアドレスをシーケンシャルに発生させるだけでよい。
【0032】
【表2】
【0033】
図5は、以上の2パス変換方式を適用してこの発明を実現するための2次元空間変換装置の具体例を示すブロック図である。
この変換装置には、DRAMからなる第1の画像メモリ11と高速SRAMからなる第2の画像メモリ12とが設けられている。第1の画像メモリ11は、3つの画像メモリ11a,11b,11cからなるトリプルバッファ構成となっている。これら画像メモリ11a〜11cの各データ端子は、スイッチ13により、画像入力端子14,画像出力端子15及び変換バス16にそれぞれフレーム又はフィールド毎に切り換えられて接続されるようになっている。画像メモリ11には、同期アドレス発生器17からの同期アドレスWA0,RA3が供給されると共に、スイッチ18を介して第1パス用のアドレス発生器19からの読み出しアドレスRA1が供給される。
【0034】
一方、SRAMからなる画像メモリ12には、画像メモリ11からスイッチ13、変換バス16及びスイッチ20を介して画像データがリード/ライトされる。画像メモリ12には、第1パス用のシーケンシャルスキャン発生器21からの書込アドレスWA1がスイッチ22を介して与えられる。また、第2パス用のアドレス発生器23からの読み出しアドレスRA2及びシーケンシャルスキャン発生器24からの書込アドレスWA2は、スイッチ25で画素毎に交互に選択され、スイッチ26を介して画像メモリ12に与えられる。データレジスタ27は、画像メモリ12を使用した第2パスの変換時に画像メモリ12から読み出した画素データを一時的に記憶するものである。CPU28は、アドレス発生器19,23のアドレス生成時に使用される変換パラメータを演算し、映像信号の垂直同期パルスによりインタラプトされて変換パラメータをバス29を介してRAMに変換テーブル30として格納する。但し、この実施例では、読み出しアドレスRA1,RA2の生成を容易にするため、前述したオフセット値offset_h(v),offset_v(h)にそれぞれ縮小率r_h(v),r_v(h)を掛けた値をオフセット値offset’_h(v),offset’_v(h)として用いている。従って、表1及び表2の変換パラメータに対して、変換テーブル30に格納される変換パラメータは、表3のようになる。
【0035】
【表3】
【0036】
図6は、第1パス用のアドレス発生器19及びシーケンシャルスキャン発生器21の構成例を示す図である。
シーケンシャルスキャン発生器21は、基準クロック信号Clockをカウントして水平書き込みアドレスWA1_hを発生させる水平カウンタ31と、水平同期パルスH−pulseをカウントして垂直書き込みアドレスWA1_vを発生させる垂直カウンタ32とを備えて構成されている。水平カウンタ31及び垂直カウンタ32は、それぞれ水平同期パルスH−pulse及び垂直同期パルスV−pulseによってリセットされる。また、シーケンシャルスキャン発生器21は、垂直書き込みアドレスWA1_vを変換テーブル30のアドレスvとして出力する。変換テーブル30からは、アドレスvに対応したオフセット値offset_h(v)と縮小率r_h(v)とがアドレス発生器19に供給される。
【0037】
アドレス発生器19では、変換テーブル30から読み出されたオフセット値offset’_h(v)が減算器33の負入力に供給される。また、ラッチ回路34と加算器35とは累積加算器を構成し、水平同期パルスH−pulseによってリセットされたのち、変換テーブル30から読み出された縮小率r_h(v)を基準クロックに従って累積加算する。その累積加算値が減算器33の正入力に供給される。減算器33は、縮小率r_h(v)の累積加算値からオフセット値offset’_h(v)を減算した値を水平読み出しアドレスRA1_hとして出力する。但し、減算器33の出力は、図3に示したように、負の値から原画像1を超えるアドレスまでを出力するので、何らかのリミット処理を行う必要がある。
【0038】
一方、図7に示すように、上記の変換処理により原画像が縮小された場合、出力画像に原画像1の範囲以外の領域を示すボーダエリアが現れる。映像編集装置等で映像ミキシングを行う場合、ボーダエリアに特定のエリア色を埋め込み、このエリア色を合成のためのキー信号として利用することが頻繁に行われる。このキー信号としては、通常、クロマキーが用いられる。そこで、本装置の変換においても、ボーダエリアを検出してクロマキーをボーダに埋め込むことができれば、映像ミキシングを行う上で極めて便利である。この装置では、減算器33の出力が、例えば“0”未満及び“lH”以上であることでボーダエリアを容易に検出することができる。そこで、図8に示すように、画像メモリ11の特定のアドレスAMAで特定される記憶領域に予めエリア色データ(クロマ色データ)を記録しておき、ボーダエリアを検出したときの書き込みアドレスWA1をエリア色データが記憶されている画像メモリ11のアドレスに切り換えることで、図7に示すようにボーダエリアにエリア色データを埋め込むことができる。
【0039】
図6のアドレス発生器19では、減算器33の出力がボーダエリア検出器36に入力され、ここで0〜lH−1の範囲内であるかどうかが判定される。上記の範囲内と判定された場合には、スイッチ37,38をそれぞれ減算器33の出力及び垂直カウンタ32の出力に接続し、これらをそれぞれ水平読み出しアドレスRA1_h及び垂直読み出しアドレスRA1_vとして出力する。減算器33の出力が0〜lH−1の範囲外である場合には、スイッチ37,38をエリア色メモリアドレス記憶部39の出力に接続し、予めボーダエリアに埋め込むエリア色が記憶されている画像メモリ11のアドレスAMAを読み出しアドレスRA1_h,RA1_vとして出力する。
このように、画像メモリ11のアドレスを切り換える方式とすれば、画像データのパスに直接クロマキーの切換回路を付加する方式に比べ、本装置をLSI化した場合の画像データの入出力ピン数の増加を防止することができ、LSIパッケージのコストを低減することができる。
【0040】
以上のアドレス変換処理により、図3(a)に示すように、画像メモリ11の原画像1の記憶領域に読み出しアドレスが達するまでは、エリア色データが埋め込まれ、原画像1の記憶領域に読み出しアドレスが達した後は、縮小率r_h(v)の間隔で画像データが読み出され、画像メモリ12に書き込まれる際は、標準間隔で書き込まれるので、図3(b)に示すように、原画像1をオフセット値offset_h(v)だけずれた位置から水平方向に縮小率r_h(v)で規定される割合だけ縮小した中間画像3が得られる。
【0041】
第2パス用のアドレス発生器23及びシーケンシャルスキャン発生器24も、基本的にはこれと同様の構成となっているが、第2パスでは垂直方向のスキャンを行うため、図9に示すように、シーケンシャルスキャン発生器24は、基準クロックClockを垂直カウンタ41に入力して垂直書き込みアドレスWA2_vを発生させ、垂直カウンタ41のキャリー信号Carryを水平カウンタ42に入力して水平書き込みアドレスWA2_hを発生させるようにしている。そして、アドレス発生器23は、加算器44及びラッチ回路45からなる累積加算器で縮小率r_v(h)を累積加算した値から、オフセット値offset’_v(h)を減算器43によって減算し、その出力に基づいてボーダエリア検出器46でボーダエリアを検出する。その検出結果に応じてスイッチ47,48を切り換え、ボーダエリアではエリア色メモリアドレス記憶部49の出力を読み出しアドレスRA2_h,RA2_vとして出力し、ボーダエリア外では減算器43の出力を読み出しアドレスRA2_h,RA2_vとして出力する。
これにより、図4に示すように、中間画像3から垂直方向にオフセット及び縮小された変換画像2を得ることができる。
【0042】
なお、上記実施例では、オフセット値offset_h(v),offset_v(h)にそれぞれr_h(v),r_v(h)を掛けた値をオフセット値offset’_h(v),offset’_v(h)として用い、スキャンの最初から縮小率の累積加算値を求め、この累積加算値からオフセット値を減算するようにしたが、表1又は表2のオフセット値offset_h(v),offset_v(h)をそのまま使用し、書き込みアドレスWA1_h,WA2_vがオフセット値offset_h(v),offset_v(h)にそれぞれ達するまで縮小率r_h(v),r_v(h)の累積加算及びその出力を行わず、オフセット値に達したらスイッチを切り換えて縮小率r_h(v),r_v(h)の累積加算を開始するように構成することもできる。この場合のアドレス発生器19の構成例を図10に示す。
【0043】
アドレス発生器19は、表1のような変換パラメータが格納された変換テーブル30から読み出されたオフセット値offset_h(v)を減算器33に供給し、水平書き込みアドレスWA1_hから減算して水平読み出しアドレスRA1_hを生成する。また、垂直読み出しアドレスRA1_vとして垂直書き込みアドレスWA1_vをそのまま出力する。これにより、図3(a)に示すように、画像メモリ11に格納された原画像1の左側にはみ出した部分から画像データの読み出しが実行される。このとき、エリア色メモリアドレスが読み出しアドレスRA1_h,RA1_vとして出力されるのは上記と同様である。水平読み出しアドレスRA1_hが原画像1の部分に差し掛かると、減算器33の出力は負の値から正の値に切り替わる。アドレス発生器19は、減算器33の出力のサインビットSignによりスイッチ50を切り換える。同時にANDゲート40がアクティブになり、基準クロックClockがラッチ回路35に入力される。以後、累積加算値が水平読み出しアドレスRA1_hとして出力されることになる。
【0044】
次に、このように構成された画像の2次元空間変換装置の動作について説明する。
図11は各フレームサイクルでのスイッチ13の状態を示す図、図12はこれに対応したタイミングチャートである。
サイクルT1では、図11(a)に示すように、画像入力端子14と画像メモリ11a、画像出力端子15と画像メモリ11c、変換バス16と画像メモリ11bとがそれぞれ接続される。これにより、画像メモリ11aには原画像が入力され(画像入力サイクル)、画像メモリ11bは画像メモリ12との間で変換処理のため1フレーム前に格納された画像データのリード/ライトを行い(画像変換サイクル)、画像メモリ11cは1フレーム前に格納された変換画像を外部に出力する(画像出力サイクル)。
【0045】
サイクルT2では、図11(b)に示すように、画像入力端子14と画像メモリ11c、画像出力端子15と画像メモリ11b、変換バス16と画像メモリ11aとがそれぞれ接続される。これにより、画像メモリ11aは変換サイクル、画像メモリ11bは画像出力サイクル、画像メモリ11cは画像入力サイクルとなる。
サイクルT3では、図11(c)に示すように、画像入力端子14と画像メモリ11b、画像出力端子15と画像メモリ11a、変換バス16と画像メモリ11cとがそれぞれ接続される。これにより、画像メモリ11aは画像出力サイクル、画像メモリ11bは画像入力サイクル、画像メモリ11cは変換サイクルとなる。
このように、この装置では、入出力はリアルタイムTVスキャンタイミングで映像データを入出力するのに対し、画像変換は別のフレームタイミングで処理されるため、入出力部にバッファを設けているが、入出力用のバッファを従来のようにそれぞれダブルバッファ構成とするのではなく、入出力バッファ用と変換用とでトリプルバッファを構成し、同一のサイクルで画像入力、画像出力、変換処理を並列に実行しているので、画像メモリを削減することができる。
【0046】
ここでフレームサイクルT1〜T3における画像メモリ11aに着目すると、その処理は、次のようになる。
まず、サイクルT1で画像メモリ11aに原画像が入力される。次にスイッチ13が切り換えられ、変換サイクルT2に入る。
図13は変換サイクルの各部の画像データの流れを示す図、図14はこれに対応した変換処理のタイミングチャートである。
変換サイクルは、図13に示すように、SRAMへの書き込みによる第1パスの変換処理(水平変換)t1、第2パスの変換処理(垂直変換)t2、及び変換画像のDRAMへの書込処理t3の3つの処理により構成される。
まず、第1パスの変換処理t1では、画像メモリ11aから画像メモリ12へ第1パスの変換(水平変換)に従って画像データが転送される。即ち図13(a)に示すように、スイッチ20,26が共にa側に接続され、画像メモリ11aには第1パス用のアドレス発生器19から読み出しアドレスRA1が与えられ、画像メモリ12にはシーケンシャルスキャン発生器21から書込アドレスWA1が与えられる。これにより、画像メモリ11aからは変換アドレスの画像データが読み出され、画像メモリ12にスキャン順に格納される。この処理は、水平方向の処理であるため、DRAMからなる画像メモリ11aからは、高速ページモードで画像データが読み出される。EDO(Extend Data Output)タイプのDRAMでは、20nsec程度のサイクルでデータの読み出しが可能であるため、この処理は、実時間の1/4程度で終了することができる。
【0047】
第2パスの変換処理t2では、図13(b)に示すように、スイッチ20,26が共にb側に接続される。第2パスでは、画像メモリ12に格納された画像データのデータレジスタ27への読み出しと、データレジスタ27から画像メモリ12へのデータ書込とにより、垂直変換処理を実行する。第2パス用のアドレス発生器23からの読み出しアドレスRA2と、シーケンシャルスキャン発生器24からの書込アドレスWA2とは、スイッチ25によって交互に選択され、スイッチ26を介して画像メモリ12に与えられる。画像メモリ12は、図15に示すように、先頭の第1Rowの記憶領域を空き領域にしておき、読み出しアドレスRA2を書込アドレスWA2に対して1アドレスだけ大きくする。これにより、テンポラルのロウバッファ等を使用しなくても、未処理データを破壊せずに画像メモリ12に変換データをシーケンシャルに書き込むことができる。高速SRAMは、20nsec程度のアクセスタイムを持ち、しかもDRAMのようにRASサイクルを必要としないので、垂直変換を伴う第2パスの処理も実時間の1/2程度で終了することができる。
【0048】
変換画像のDRAMへの書込処理t3では、図13(c)に示すように、スイッチ20,26が共にa側に接続される。画像メモリ12から画像メモリ11aへの変換画像の転送は、t1と同様、高速ページモードによるDRAMへの書き込みにより、実時間の1/4程度の時間で終了する。
そして、フレーム(フィールド)タイミングでスイッチ13が切り換えられ、画像メモリ11aに転送された変換画像が画像出力端子15を介して外部に出力される。以下、同様の処理が他の画像メモリ11b,11cについても繰り返される。
【0049】
この実施例によれば、トリプルバッファ構成のDRAM画像メモリと高速SRAM画像メモリ1個を用いるだけで、2パス方式の高精細の画像変換装置を実現することができる。
なお、以上の説明では、第1パスを水平方向の変換、第2パスを垂直方向の変換としたが、第1パスを垂直方向の変換、第2パスを水平方向の変換としても良い。この場合には、画像メモリ11から画像メモリ12へは変換処理をせずにそのまま高速ページモードでデータ転送を行い、画像メモリ12で垂直変換を行った後、画像メモリ12から画像メモリ11へのデータ転送時に水平変換を行うようにすればよい。
また、上記実施例では、変換テーブルを使用して読み出しアドレスRA1,RA2を発生させる例について説明したが、この発明は、2パス方式の変換装置でうあれば、個々の読み出しアドレスをマトリクス演算によって算出する方式においても適用可能であることはいうまでもない。
【0050】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、水平方向の変換処理と垂直方向の変換処理の過程で、水平方向にアクセスされる第1の画像記憶手段にDRAMを使用し、垂直方向にアクセスされる第2の画像記憶手段にSRAMを使用しているので、DRAMの水平方向の高速ページモードのアクセスと、SRAMの高速アクセスとにより、変換処理の高速化を図ることができ、同時に全使用メモリの一部にのみSRAMを使用しているので、装置全体のコストアップを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の原理を説明するための図である。
【図2】同実施例の変換手順を示すフローチャートである。
【図3】同実施例の第1パスの変換処理を説明するための図である。
【図4】同実施例の第2パスの変換処理を説明するための図である。
【図5】この発明の一実施例に係る2次元空間変換装置の構成を示すブロック図である。
【図6】同装置における第1パス用アドレス発生器及びシーケンシャルスキャン発生器の詳細ブロック図である。
【図7】同アドレス発生器のボーダエリア処理を説明するための図である。
【図8】同ボーダエリア処理のためのエリア色データの記憶状態を説明するための図である。
【図9】同装置における第2パス用アドレス発生器及びシーケンシャルスキャン発生器の詳細ブロック図である。
【図10】アドレス発生器及びシーケンシャルスキャン発生器の他の構成例を示すブロック図である。
【図11】同装置におけるトリプルバッファの切換動作を説明するための図である。
【図12】同装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図13】同装置の変換処理時の動作を説明するための図である。
【図14】同変換処理時のタイミングチャートである。
【図15】同装置における第2の画像メモリの上書き防止アクセスを説明するための図である。
【図16】従来の2パス方式の2次元空間変換装置のブロック図である。
【符号の説明】
1…原画像、2…変換画像、3…中間画像、11,12,51,52…画像メモリ、13,20,25,26…スイッチ、19,23,5,57…アドレス発生器、21,24,56,58…シーケンシャルスキャン発生器、27…データレジスタ、28…CPU、30…変換テーブル。
Claims (4)
- 原画像の2次元空間上への変換処理を前記2次元空間上の水平方向及び垂直方向のうちのいずれか一方の方向の変換処理と他方の方向の変換処理とに分割しこれらを順次実行する画像の2次元空間変換装置において、
原画像を記憶すると共に水平方向にアクセスされる第1の画像記憶手段と、
この第1の画像記憶手段から転送されたデータを記憶すると共に前記垂直方向の変換処理のためにアクセスされる第2の画像記憶手段とを備え、
前記第1の画像記憶手段は、水平方向に高速ページモードでアクセスされるDRAM(Dynamic Random Access Memory)からなり、
前記第2の画像記憶手段は、少なくとも垂直方向の変換処理の前後の画像情報を記憶するSRAM(Static Random Access Memory )からなるものである
ことを特徴とする画像の2次元空間変換装置。 - 前記第2の画像記憶手段は、前記垂直方向の変換処理前の各画像情報のアドレスを変換処理後の各画像情報のアドレスよりも所定値だけ大きくすることにより、変換処理後の画像情報の書き込み時に未変換の画像情報に上書きされるのを防止するようにした
ことを特徴とする請求項1記載の画像の2次元空間変換装置。 - 前記第1の画像記憶手段は、3つの記憶部を備え、
これら3つの記憶部のうち、順次供給される原画像が入力される第1の記憶部と、前記第1の記憶部に格納された原画像の変換処理により得られた変換画像を格納する第2の記憶部と、前記変換画像を外部に出力するための第3の記憶部とをフレーム又はフィールド毎に切り換える切換手段を更に備えた
ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像の2次元空間変換装置。 - 前記第1の記憶部への原画像の格納処理と、前記第2の記憶部に変換結果が格納される変換処理と、前記第3の記憶部からの変換画像の出力とは、同一のフレーム又はフィールドサイクル内で並列実行され、
前記変換処理は、前記第2の記憶部からの画像情報の水平方向の読出動作と前記第2の画像記憶手段への画像データの水平方向の書込動作とにより実行される水平方向の変換処理と、前記第2の画像記憶手段からの画像情報の垂直方向の読出動作と前記第2の画像記憶手段への画像データの垂直方向の書込動作とにより実行される垂直方向の変換処理と、前記第2の画像記憶手段へ格納された変換画像を水平方向に読み出して前記第2の記憶部に書き込む書込処理とからなるものであることを特徴とする請求項3記載の画像の2次元空間変換装置。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23061896A JP3575179B2 (ja) | 1996-08-30 | 1996-08-30 | 画像の2次元空間変換装置 |
US08/922,727 US6188800B1 (en) | 1996-08-30 | 1997-08-27 | Two-dimensional spatial transformation system for video processing |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP23061896A JP3575179B2 (ja) | 1996-08-30 | 1996-08-30 | 画像の2次元空間変換装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH1074078A JPH1074078A (ja) | 1998-03-17 |
JP3575179B2 true JP3575179B2 (ja) | 2004-10-13 |
Family
ID=16910599
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP23061896A Expired - Lifetime JP3575179B2 (ja) | 1996-08-30 | 1996-08-30 | 画像の2次元空間変換装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3575179B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP2819402A4 (en) | 2012-02-22 | 2016-02-24 | Sony Corp | DISPLAY DEVICE, IMAGE PROCESSING DEVICE, PICTURE PROCESSING METHOD AND COMPUTER PROGRAM |
-
1996
- 1996-08-30 JP JP23061896A patent/JP3575179B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH1074078A (ja) | 1998-03-17 |
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