JP3574939B2 - 血液自動分析装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は血液中の糖を自動的に分析する装置、特に糖尿病の検査に有用な血液自動分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
血液中の糖の分析には、大別すると、全血中の血球を分析対象とするグリコヘモグロビン等の分析と、全血中の血漿を分析対象とするグルコース、グリコアルブミン糖の分析とがあり、これに応じて分析装置も前者に属するものと、後者に属するものとに別れている。そこで、従来、全血中の血漿と血球の両方の分析を行う場合には、検体を遠心分離機にかけて血漿と血球とに分離し、この血漿と血球とを別個の容器に分配した後、それぞれに検体識別コードを付して該等する分析装置に別個にセットしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような装置では、検体の遠心分離、容器の分配及び識別コードの付与という作業が必要であるため、オペレータの負担が大きいうえ、処理効率が悪い。また、血漿と血球とに分離した検体を2つ以上に分配するため、識別コードが2通り以上になり、混乱によるミスが発生しやすい。
【0004】
そこで、血漿と血球とに遠心分離された検体容器内の血漿と血球の液面を検出して別々に吸引する装置が提案されている。例えば、特開平1−240859号公報では、電極付きの2本のノズルを設けて、電極が血漿面を検出すると一方のノズルにより血漿を吸引し、電極が血球面を検出すると他方のノズルにより血球を吸引するようにした装置が提案されているが、全体量の少ない検体又は血漿の量が少ない検体では血漿を吸引するノズルで血球層を貫通し、血球の混じった血漿を測定してしまい、測定誤差が生じたり、測定結果が出力されない等の問題があった。また、特公平6−64052号公報では、検体容器に向けて光を照射し、検体容器を透過した光を検出することによって検体容器内の血球面を検出し、該血球面より上方で血漿を吸引して分取する装置が提案されているが、識別ラベルが貼られた検体容器では血球面の検出が不能となり、吸引ノズルの先端が血球層に侵入して血球を吸引してしまう虞れがあった。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、検体容器に識別ラベルが貼られていても内部の検体の血漿面及び血球面を検出することができ、血漿に対する分析と血球又は全血に対する分析とを自動的に行うことができる血液自動分析装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は、検体容器内の血液検体の血漿と血球、又は全血を吸引して分析を行う血液自動分析装置において、
複数の前記検体容器を保持する検体ラックと、
前記検体容器を前記検体ラックから取り出した状態で回転させる検体容器回転手段と、
前記検体容器の近傍に配設された光源と該光源から発射されて検体容器の表面で反射した光の光量を検出する光センサからなり、検体容器に貼られた識別ラベルの表面で反射した光の光量によって識別コードを読み取るとともに、識別ラベルの周方向の両端間に形成される隙間を通して得られる検体からの反射光量の差によって検体容器内の血液検体の血漿面及び血球面を検出する液面検出手段と、
血漿面と血球面の差に基づいて血漿を吸引可能な範囲かを判断し、血漿の吸引可能な範囲でなければ異常を報知して、血球を吸引する制御手段とを備えたものである。
【0007】
前記の構成の発明において、血液検体が収容された検体容器を装置にセットすると、検体容器は昇降回転手段によって回転させられる。液面検出手段は、検体で反射する光源からの光を光センサで検出することにより、識別ラベルに付された識別コードを読み取るとともに、検体容器内の検体の血漿面と血球液面を検出する。
液面検出手段が血漿面及び血球面の両方を検出した場合には、吸引ノズルによって血漿と血球が吸引されて、分析手段によって分析される。液面検出手段が血漿面を検出したが血球面を検出しない場合には、吸引ノズルによって血漿のみが吸引され、分析手段により分析される。液面検出手段が血漿面は検出しないが血球面を検出した場合には、吸引手段によって全血が吸引され、分析手によって分析される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。図1は、本発明にかかる血液自動分析装置の概略配置図を示す。装置の正面側には右よりラック導入プール1、ラック排出プール2、エラー検体プール3が配設されている。ラック導入プール1は、複数(例えば10検体)の検体容器4を保持可能な検体ラック5を複数(例えば10ラック)整列させて架設することができる。検体容器4は、図2に示すように、予め遠心分離機等によって血漿と血球とに分離された血液検体が収容されている。この検体容器4の外表面には、検体識別コードとしてバーコード6が付された識別ラベル7が貼られている。また、ラック導入プール1は、図1に示すように、先頭の検体ラック5を順次矢印Aで示す縦方向に搬送して装置中央に移動させることができる。中央に移動した検体ラック5は、横送り装置8によって1ホールピッチごと、あるいは連続して矢印Bで示す横方向に移動させることができる。
【0009】
ラック排出プール2は、前記横送り装置8によってラック導入プール1から搬送されてきた測定済みの検体ラック5を矢印Cで示す縦方向に搬送して一時的に保管できるようになっている。また、エラー検体プール3も、同様にして、前記横送り装置8によってラック導入プール1から搬送されてきたエラー検体を含む検体ラック5を矢印Dで示す縦方向に搬送して一時的に保管できるようになっている。エラー検体としては、全血検体、血漿極小検体、血漿検体、液なし検体、バーコード読取りミス検体等がある。
【0010】
前記ラック導入プール1とラック排出プール2の間であって、かつ、前記横送り装置8の上方には、検体容器昇降回転機構9、検体容器長センサ10、液面及びバーコード検出装置11、及び吸引ノズル12が配設されている。
検体容器昇降回転機構9は、図2に示すように、前記識別ラベル7が貼られていない管上端から5mmまでの部分を爪で把持し、その状態で検体容器4をバーコード6及び液面L1,L2の読取り位置に上昇させて約30rpmで1回転させた後、元のラック位置まで降下させることができるようになっている。
検体容器長センサ10は、検体容器4には75mmと100mmの長さが異なるものがあるので、個々の検体容器4の長さを識別してその長さに応じて検体容器昇降回転機構9による検体容器4の昇降量を変更することにより、検体容器4を確実に把持したり、バーコード6を正確に読み取ったりすることができるようになっている。
【0011】
液面及びバーコード検出装置11は、光源13と光センサ14からなっている。光源13としては検体容器4の軸方向に細長いLEDが好ましい。また、光センサ14としては複数の受光素子を検体容器4の軸方向に沿って1列に配設したCCDリニアイメージセンサが好ましい。この光センサ14は、光源13から検体容器4の表面で反射した光を受光できるように配設されている。
吸引ノズル12は、2本の平行に並設された血漿吸引用のaノズル12aと血球吸引用のbノズル12bからなっている。これらのノズル12a,12bは、検体容器4から血漿と血球とをそれぞれ吸引して分取し、後述する血漿分析測定器15、血球分析測定器16の図示しない反応層にそれぞれ移動して吐出するようになっている。
【0012】
一方、装置の背面側には、左側より血漿分析測定器15、血球分析測定器16、プリンタ17、及び制御装置18が配設されている。血漿分析測定器15は、吸引分取された血漿中のグルコース、グリコアルブミン等の糖分を測定し分析する。また、血球分析測定器16は、吸引分取された血球又は全血からグリコヘモグロビン等を測定し分析するようになっている。プリンタ17は、前記血漿分析測定器15及び血球分析測定器16で得られた分析データを出力する装置である。
前述の各装置はマイクロコンピュータ及びメモリを備えた制御装置18によって制御される。
【0013】
次に、上記構成からなる装置の動作を図3及び図4に示すフローチャートに従って説明する。
【0014】
まず、ステップ101でラック導入プール1に整列待機している検体ラック5のうち先頭の検体ラック5を矢印A方向に縦送りし、ステップ102で横送り装置8によって検体ラック5を矢印B方向に1ポート横送りした後、ステップ103で検体容器長センサ10によって検体容器4の長さを読み取る。そして、この検体容器4の長さに応じて検体容器昇降回転機構9を降下させて、ステップ104で検体容器4を把持し、ステップ105で検体容器4を常に容器上端が一定の高さとなるバーコード及び液面の読み取り位置まで上昇させ、ステップ106で検体容器4のバーコード6及び液面L1,L2を読み取る。この読み取り動作については後に詳細に説明する。バーコード6及び液面L1,L2の読み取りが終了すると、ステップ107で検体容器4を降下させて元の位置に戻し、ステップ108で検体容器4をはなした後、ステップ109で横送り装置8によって検体ラック5を矢印B方向に1ポート横送りする。
【0015】
続いて、ステップ110において、読み取った液面情報に基づいて血漿面L1があるか否かを判断し、あればステップ111で血球面L2があるか否かを判断する。血漿面L1と血球面L2の両方があれば、ステップ112で、血漿面L1と血球液面L2の差に基づいて血漿を吸引可能な範囲かを判断する。この場合、血漿面L1と血球液面L2の差が5mm程度以上であれば血漿を吸引可能とする。血漿を吸引可能であれば、ステップ113で血漿用のaノズル12aを血球液面L2よりやや高い位置まで降下させ、ステップ114で当該aノズル12aにより血漿を吸引する。続いて、ステップ115で血球用のbノズル12bを管底まで降下させ、ステップ116で当該bノズル12bにより血球を吸引する。次に、ステップ117でaノズル12aとbノズル12bを共に上昇させ、ステップ118でそれぞれの分析測定器15,16の反応層へ移動させ、ステップ119でaノズル12aから血漿を吐出し、ステップ120でbノズル12bから血球を吐出する。
【0016】
前記ステップ112で血漿の吸引可能範囲でなければ、ステップ121で血漿がない旨の異常を報知し、ステップ122で血球用のbノズル12bを管底まで降下させ、ステップ123で当該bノズル12bにより血球を吸引する。次に、ステップ124でbノズル12bを上昇させ、ステップ125で分析測定器16の反応層へ移動させて、ステップ126でbノズル12bから血球を吐出する。
【0017】
前記ステップ111で血球面がないと判断すれば、ステップ127で血球がない旨の異常を報知し、ステップ128で血漿用のaノズル12aを血球液面L2よりやや高い位置まで降下させ、ステップ129で当該aノズル12aにより血漿を吸引する。次に、ステップ130でaノズル12aを上昇させ、ステップ131で分析測定器15の反応層へ移動させ、ステップ132でaノズル12aから血漿を吐出する。
【0018】
前記ステップ100で血漿面がないと判断すれば、ステップ133で血球面2があるか否かを判断する。ここで、血球面L2があれば、ステップ134で全血である旨の異常を報知し、ステップ135で血球用のbノズル12bを管底まで降下させ、ステップ136で当該bノズル12bにより血球を吸引する。次に、ステップ137でbノズル12bを上昇させ、ステップ138で分析測定器16の反応層へ移動させ、ステップ139でbノズル12bから全血を吐出する。なお、ステップ133で血球面L2がなければ、ステップ140で検体がない旨の異常を報知する。
【0019】
このように、光センサで読み取った液面情報により、血漿面L1と血球面L2があってかつ血漿が吸引可能であれば血漿と血球を共に吸引して分析を行い、血漿が吸引可能でなければ血球のみを吸引して分析を行う。また、血漿面L1があって血球面L2がなければ、血球なしの異常報知し、血漿のみを吸引して分析し、血漿面L1がなくて血球面L2があれば、これはすなわち全血状態であるので、全血の異常を報知し、全血を吸引して分析を行う。
【0020】
図4は、前記ステップ106における検体容器4のバーコード6及び液面L1,L2の読み取りのフローを示す。
ステップ201で光源13のLEDを点灯し、ステップ202で検体容器昇降回転機構9によって約30rpm程度で検体容器4の回転を開始し、ステップ203で光センサ14による読み取りを開始する。光源13のLEDから放射された光は回転する検体容器4の表面で反射して光センサ14に入力される。回転容器4の表面に貼られた識別ラベル7のバーコード6の黒部分と白部分でそれぞれ反射した光は光量に差が生じる。また、識別ラベル7の両端間の隙間から見える検体容器4内の空間層と検体層、及び血漿層と血球層の上下でそれぞれ反射した光にも光量に差が生じる。したがって、光センサ14のライン状に配設された各受光素子のうち受光量に大幅な差がある隣接する受光素子間に、バーコードの白黒の境界面、あるいは空間層と検体層の間の境界面又は血漿と血球の境界面が存在することになる。
【0021】
そこで、ステップ204で前記センサ情報により境界面が3つ以上あるか否かを判断し、3つ以上あればバーコード情報であるから、ステップ205で前回のバーコード情報が記憶されているかどうか判断し、記憶されていないければステップ208でそのバーコード情報を記憶し、ステップ209で1回転していないと判断すればステップ204に戻って読み取りを繰り返す。また、ステップ205で前回のバーコード情報が記憶されていれば、ステップ206でそのバーコード情報が前のバーコード情報と一致しているかどうかをみて、一致していればステップ207でそれが3回以上の一致かどうか判断し、そうであればステップ208でそのバーコード情報を記憶する。前記ステップ206でそのバーコード情報が前のバーコード情報と一致しなかったり、ステップ207で3回以上一致しなかった場合には、バーコード6に異常があると考えられるので、そのようなバーコード情報は記憶しない。
【0022】
一方、検体容器4が1回転する間に、光源13からの光が識別ラベル7の両端間の隙間で反射すると、バーコード6で反射したときと比べて境界面が少なくなる。検体容器4内の血液検体が全血の場合は、境界面は全血液面L1のみの1つとなるが、血液検体4が遠心分離等によって血漿と血球とに分離されている場合は、境界面は血漿面L1と血球液面L2の2つとなる。
【0023】
したがって、このように光源13からの光が識別ラベルの両端間の隙間で反射した場合には境界面が1つ又は2つとなるので、前記ステップ204におけるセンサ情報により境界面が3つ以上あるか否かの判断でNOとなり、バーコード情報ではなく液面情報であると判断する。そして、ステップ210で前回の液面情報が記憶されているかどうか判断し、記憶されていないければステップ213でその液面情報を記憶し、ステップ209で1回転していないと判断すればステップ204に戻って読み取りを繰り返す。また、ステップ210で前回の液面情報が記憶されていれば、ステップ211でその液面情報が前の液面情報と一致しているかどうかをみて、一致していればステップ212でそれが3回以上の一致かどうか判断し、そうであればステップ213でその液面情報を記憶する。前記ステップ211でその液面情報が前の液面情報と一致しなかったり、ステップ212で3回以上一致しなかった場合には、液面に異常があると考えられるので、そのような液面情報は記憶しない。
【0024】
このように、検体容器4が1回転する間に光センサ14により読み取ったバーコード情報又は液面情報が3回以上一致するまで待って記憶するので、信頼性の高い正確な読み取りが行われる。
検体容器4が1回転すると、ステップ214で光センサ14により読取りを終了とし、ステップ215で検体容器4の回転を終了し、ステップ216で光源13のLEDを消灯する。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、検体容器を回転させ、検体容器に貼られた識別コードを読み取るとともに、識別コードの両端の隙間から血漿面と血球面の液面を読み取るので、識別コードと液面を読み取る2つの読み取り装置を設ける必要がなく、装置の構造が簡単かつ安価になる。
また、検体容器に識別ラベルが貼ってあっても、内部の検体の液面を検出できるので、血漿と血球、又は全血を確実に吸引して分析することができる。
さらに、血漿面と血球液面、あるいは全血液面を検出できるので、検体容器内の血液検体が予め血漿と血液とに分離された検体、あるいは全血状態の検体であっても分析を行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】血液自動分析装置の概略平面図である。
【図2】図1に示す装置の検体容器昇降回転機構、液面及びバーコード検出装置、及び吸引ノズルの斜視図である。
【図3】図1に示す装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】図3に続くフローチャートである。
【図5】図1に示す装置の検体容器のバーコード及び液面検出動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
4…検体容器、6…バーコード(識別コード)、7…識別ラベル、9…検体容器昇降回転機構、11…液面及びバーコード検出装置、12…吸引ノズル、13…光源、14…光センサ、15…血漿分析測定器、16…血球分析測定器、L1…血漿面、L2…血球面。
Claims (1)
- 検体容器内の血液検体の血漿と血球、又は全血を吸引して分析を行う血液自動分析装置において、
複数の前記検体容器を保持する検体ラックと、
前記検体容器を前記検体ラックから取り出した状態で回転させる検体容器回転手段と、
前記検体容器の近傍に配設された光源と該光源から発射されて検体容器の表面で反射した光の光量を検出する光センサからなり、検体容器に貼られた識別ラベルの表面で反射した光の光量によって識別コードを読み取るとともに、識別ラベルの周方向の両端間に形成される隙間を通して得られる検体からの反射光量の差によって検体容器内の血液検体の血漿面及び血球面を検出する液面検出手段と、
血漿面と血球面の差に基づいて血漿を吸引可能な範囲かを判断し、血漿の吸引可能な範囲でなければ異常を報知して、血球を吸引する制御手段とを備えたことを特徴とする血液自動分析装置。
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