JP3572003B2 - 色素レーザ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、色素溶液をレーザ媒体に用いる色素レーザ装置に係り、特に色素出力レーザビームに含まれる寄生発振成分を抑制することが可能な色素レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
色素をレーザ媒質とする色素レーザ装置では、エタノール等の溶媒に、色素を溶かした色素溶液を色素溶液循環装置によって循環流量や溶液温度を一定に保ちながら、石英ガラス等により形成されたフローセル内に循環させ、レーザ発振器からの色素レーザビームがフローセルを通過する方向と直交する方向から励起レーザビームを照射して色素溶液内の色素分子を励起して、色素レーザビームを増幅している。
【0003】
上述の色素レーザ装置では、通常、レーザ発振器とこのレーザ発振器から出力されたレーザビームを増幅する複数段のレーザ増幅器が用いられる。なお、増幅段数を抑えながら高出力のレーザビームを得るために、通常、レーザ増幅器に用いられる色素には、蛍光の量子収率の高い色素が用いられる。
【0004】
この従来装置の概略構成を図4に示す。同図の符号11は色素レーザ発振器、12aは初段の色素レーザ増幅器、12bはそれに続く後段の色素レーザ増幅器、12cはそれに続く後段の色素レーザ増幅器、さらに所望に応じて適当な段数の色素レーザ増幅器が配列され、そして最終段の色素レーザ増幅器12nが設けられている。また、符号13は色素レーザ発振器11からの出力レーザビームをあらわし、14a,14b,14cは各色素レーザ増幅器12a,12b,12cからの出力レーザビームをあらわし、14nは最終段の色素レーザ増幅器12nからの出力レーザビームをあらわしている。
【0005】
そして、各色素レーザ増幅器に使用される色素溶液には、蛍光の量子収率の高い色素である。この色素を便宜的に「色素A」としてあらわしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、蛍光量子収率の高い色素を用いる場合において、蛍光ピークから離れた波長でレーザ発振又は増幅させると、強いASE (Amplified Spontaneous Emissionすなわち寄生発振) が発生することが知られている。
【0007】
また、上述した色素レーザ装置において、レーザ媒質に用いられる色素については、必ずしも全波長域に蛍光のピークが存在するとは限らず、しかも蛍光量子収率も全波長域で十分なレベルを確保できるものではないことから、レーザ発振で得ようとするレーザビームの波長が色素の蛍光のピークから離れた波長である場合には、出力レーザビームに占めるASEの割合が多くなる問題がある。
【0008】
また、出力レーザビームに占めるASEの割合を抑制する目的で、蛍光ピークがレーザ発振波長の付近の波長に存在するものの蛍光量子収率の低い色素を用いると、色素レーザ装置全体の効率が低下する問題がある。
【0009】
この発明の目的は、色素レーザビームの総合増幅効率を不所望に低下させることなく、寄生発振成分の少ない出力レーザビームを得ることが可能な色素レーザ装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、色素レーザ発振器と、この色素レーザ発振器の出力レーザビームが入射される初段の色素レーザ増幅器と、この初段色素レーザ増幅器に後続して配置された少なくとも1段の中間段色素レーザ増幅器と、この中間段色素レーザ増幅器に後続して配置された最終段の色素レーザ増幅器とを備え、この最終段色素レーザ増幅器から増幅された色素レーザビームを出力する色素レーザ装置において、
上記初段色素レーザ増幅器又はこの初段色素レーザ増幅器および該初段色素レーザ増幅器に後続する少なくとも1段の中間段色素レーザ増幅器に供給される色素溶液には、蛍光ピークが色素レーザ発振器の発振波長の付近の波長に存在する蛍光量子収率は低いものの寄生発振が生じにくい色素を用い、上記最終段色素レーザ増幅器および該最終段色素レーザ増幅器の前に配置された少なくとも1段の中間段色素レーザ増幅器に供給される色素溶液には、蛍光ピークから離れた波長でレーザ増幅させる、上記初段色素レーザ増幅器に使用されている色素よりも蛍光量子収率が高いが、寄生発振を生じ易い色素を用いたことを特徴とする色素レーザ装置である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について詳細に説明する。図1〜図3に示す実施例は、次の構成を有している。すなわち、図1はこの発明の実施例の色素レーザ装置を説明する概略構成図である。
【0012】
図1に示す色素レーザ装置は、例えば銅蒸気レーザのような励起レーザ発生器21、色素レーザ発振器22、これに続く初段の色素レーザ増幅器23a、それに続く第2段目の色素レーザ増幅器23b、さらにそれに続く第3段目の色素レーザ増幅器23c、さらにそれに続く任意段数の色素レーザ増幅器があり、最終段の色素レーザ増幅器23nを備えている。なお、初段色素レーザ増幅器23aと、最終段色素レーザ増幅器23nとの間に配列された色素レーザ増幅器23b,23c,…,は、便宜的に、中間段の色素レーザ増幅器と呼称する。
【0013】
色素レーザ発振器、及び各色素レーザ増幅器には、色素フローセル24、25a,25b,25c,…,25nが設けられている。これらフローセルには、色素溶液循環装置26、27a,27b,27c,…,27nから、色素溶液28、29a,29b,29c,…,29nを循環させるとともに、励起レーザ光30、31a,31b,31c,…,31nが照射されるようになっている。
【0014】
色素レーザ発振器22から出力された出力色素レーザビーム32が初段の色素レーザ増幅器23aに入射される伝送光路には、レーザ発振器1から出力された色素レーザビーム32を効率よく伝送するための図示しない伝送光学系が設けられている。また、初段の色素レーザ増幅器23aから出力されるレーザビーム33aが中間段の色素レーザ増幅器すなわち第2段目の色素レーザ増幅器23bに入射される間の伝送光路、第2段目のレーザ増幅器23bから出力されるレーザビーム33bが第3段目の色素レーザ増幅器23cに入射される間の伝送光路、さらにこの第3段目の色素レーザ増幅器23cから出力されるレーザビーム33cが後続の任意段数の色素レーザ増幅器に入射される伝送光路には、色素レーザビームを後段の色素レーザ増幅器の増幅部に結像するための図示しない結像光学系がそれぞれ設けられている。こうして、最終段の色素レーザ増幅器23nから増幅された出力レーザビーム33nが取り出されるようになっている。
【0015】
そこで、各色素レーザ増幅器のフローセルに供給される色素溶液には、図2にも示すように、次のような色素が用いられている。すなわち、初段の色素レーザ増幅器23aのフローセルに供給される色素溶液29aには、蛍光ピークが色素レーザ発振器の発振波長の付近の波長に存在するものの蛍光量子収率が低い特別な色素(便宜的に色素Bと記す)が用いられている。この色素Bとしては、例えばローダミンBが適している。
【0016】
それに対して、第2段目すなわち中間段ないし最終段の色素レーザ増幅器23b,23c,…,23nの各フローセルに循環により供給される色素溶液29b,29c,…,29nとしては、従来と同様の、蛍光量子収率が高いものの蛍光ピークから離れた波長でレーザ発振させるとASE(Amplified Spontaneous Emission,寄生発振)を生じ易い色素(色素A)が用いられている。この色素Aとしては、例えばローダミン6Gが適している。
【0017】
これにより、レーザ発振器22から出力されるレーザビーム32は、銅蒸気レーザ光で励起されるのでおよそ580nmの波長で且つ比較的小さい出力パワーであるが、ASE成分をほとんど含んでいないレーザ光である。そしてこのレーザ光32が入射される初段のレーザ増幅器23aの色素溶液29aとして、蛍光ピークがレーザ発振波長すなわち580nmの波長付近に存在するものの蛍光量子収率が低い特別な色素Bを用いることにより、増幅後の出力色素レーザビーム33aに含まれるASE成分はきわめて小さいレベルにとどまる。
【0018】
一方、第2段目即ち中間段の色素レーザ増幅器23bの色素溶液29bは、色素の蛍光ピークから離れた波長でレーザ発振させるとASEを生じ易く蛍光量子収率が高い色素(色素A)であるが、この中間段色素レーザ増幅器23bに入射されるレーザ光自体のASE成分が前段増幅器23aで色素Bを使用していることにより低いレベルになっているため、この中間段増幅器23bでの色素Aの使用によるASE成分の増幅はきわめて小さい成分のままとなる。こうして、後段側の色素レーザ増幅器でも同様の色素(色素A)を使用しているので、最終段色素レーザ増幅器から出力されるレーザビーム33nは、ASE成分が小さく高品質でありながら増幅効率の高い高出力レーザ光となる。
【0019】
図3に示す実施例は、初段の色素レーザ増幅器23aの色素溶液29aとともに、第2段目の色素レーザ増幅器23bの色素溶液29bとしても、同じ(色素B)を使用した装置の構成である。これによって、ASE成分を一層抑制して高品質の色素レーザ出力を得ることができる。
【0020】
なお、初段の色素レーザ増幅器、または初段に近い少なくとも1段の中間段色素レーザ増幅器に用いる色素溶液には、その色素の蛍光ピークが最終段の色素レーザ増幅器に使用されている色素の蛍光ピーク波長から離れた波長にある色素が使用されていることが望ましい。
【0021】
それによって、初段側の色素レーザ増幅器でASE成分が生じても、最終段側の色素レーザ増幅器によりASE成分が増幅されることがないため、色素レーザ装置全体では、ASEの含有率が低い出力レーザを得ることができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明によれば、色素レーザ装置から出力される出力レーザビームに占めるASE成分の割合を抑制し、高品位の色素レーザビーム出力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態である多段増幅型の色素レーザ装置の概略構成図。
【図2】図1に示した色素レーザ装置をさらに簡略化して示す概略構成図。
【図3】この発明の他の実施形態である多段増幅型の色素レーザ装置の概略構成図。
【図4】従来の色素レーザ装置を示す概略構成図。
【符号の説明】
22・・・レーザ発振器、
23a・・・初段の色素レーザ増幅器、
23b,23c・・・第2段目等の中間段色素レーザ増幅器、
23n・・・最終段の色素レーザ増幅器、
32、33a,33b,33c,33n・・・色素レーザビーム、
25a,25b,25c,25n・・・フローセル、
27a,27b,28c,28n・・・色素溶液循環装置、
29a,29b,29c,29n・・・色素溶液。
Claims (1)
- 色素レーザ発振器と、この色素レーザ発振器の出力レーザビームが入射される初段の色素レーザ増幅器と、この初段色素レーザ増幅器に後続して配置された少なくとも1段の中間段色素レーザ増幅器と、この中間段色素レーザ増幅器に後続して配置された最終段の色素レーザ増幅器とを備え、この最終段色素レーザ増幅器から増幅された色素レーザビームを出力する色素レーザ装置において、
上記初段色素レーザ増幅器又はこの初段色素レーザ増幅器および該初段色素レーザ増幅器に後続する少なくとも1段の中間段色素レーザ増幅器に供給される色素溶液には、蛍光ピークが色素レーザ発振器の発振波長の付近の波長に存在する蛍光量子収率は低いものの寄生発振が生じにくい色素を用い、上記最終段色素レーザ増幅器および該最終段色素レーザ増幅器の前に配置された少なくとも1段の中間段色素レーザ増幅器に供給される色素溶液には、蛍光ピークから離れた波長でレーザ増幅させる、上記初段色素レーザ増幅器に使用されている色素よりも蛍光量子収率が高いが、寄生発振を生じ易い色素を用いたことを特徴とする色素レーザ装置。
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