JP3571832B2 - メタル担体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車等のエンジン排ガス系に設置するコーン一体型のメタル担体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジン排ガス中に含有される窒素酸化物や硫黄酸化物等を除去するために、排ガス系に触媒を担持した担体が設置されるが、近時この担体にメタル担体の使用が多くなりつつある。
【0003】
このメタル担体は、幾つかの部材を組み合わせて、排ガス系(管)に接続され、その一例は図5に示す通りである。すなわち図において21はメタル担体であり、耐熱性金属箔よりなる平板と、この平板を波形に加工した波板とを重ねこれを渦巻き状に巻回して成形したハニカム体22を外筒23に挿入固定し成っている。24および25はメタル担体1の前・後に配置されるコーン部であり、それぞれ所定の径を持つ連結管26,27を有している。28,29は排ガス管との接続部に位置するように配置されるフランジである。
【0004】
上記した各部材は図5(b)に示したように、触媒を担持したメタル担体21にはその前および後に配置したコーン24,25をそれぞれ溶接で接合し、またそれぞれのコーンの連結管26,27先端部にはフランジ28,29を接合して一体化される。
【0005】
この様にメタル担体は触媒を担持したのちコーンやフランジを取り付けてはじめて排ガス浄化装置となるが、それぞれの部材を組み合わせ接合するために、接合(溶接)工程が必要であり、更に接合部検査等の精整過程を経るために手数と費用がかかり、特にこれらの後工程をそれぞれ別のメーカーで実施することは工期や費用の点で大きな問題となる。
【0006】
これらの問題点を改良するために、コーン部や連結管をハニカム体を収納する容器(ケース)と一体的に形成する構造の触媒担体が提案されている。
【0007】
例えば、実開昭61−110823号公報には一端側に胴部30と同径の筒部を残した保持ケース(図6参照)を用いる場合が開示されているが、加工後の保持ケースの内にハニカム体を入れて固定する部品(クッション材やクッションリング等)が必要となるため、保持ケースに要求される胴部30との寸法公差が厳格でなければならない。寸法が狭いと固定部品が入らなかったり、広いとそれらがズレて、ハニカム体が保持できない欠点がある。あるいは、厳格な寸法精度を出すために、拡管した円筒部を「しごき加工」しなければならず保持ケース製造コスト上に大きな問題がある。
【0008】
更にハニカム体がセラミックスの場合は、保持ケースの胴部30が部分的に狭かったり、ハニカム体を係止するために設けたコーナー部31が変形などしていると局部的に面圧が上がって、ハニカム欠損を生じたりする問題もある。
【0009】
また、実開平5−96427号公報で開示されたような、コンバーター(図7参照)は、円筒管の一端を縮径加工により前記した実開昭61−110823号公報に示すような保持ケース32を作ったのち、触媒担持されたハニカム体33の固定用の支持体34を入れて、溶接により保持ケース32と固定し、次に触媒担持されたハニカム体33に弾性部材35を巻いて支持体34にあたるまで装入し、更にもう一方を支持体36で再び固定したのちに、コーン部37及び連結部38を縮径加工して作る触媒コンバーターである。
【0010】
しかし、このような構成の触媒コンバーターでは、保持ケースの内径(胴部)39とコーナー部40の寸法は、縮径加工の影響を受け寸法バラツキを生じるため、コーナー部40とハニカム体33端面及び支持体34は近づけて固定できない欠点がある。もう一端のケースを縮径する場合は、ハニカム体33を支持体36で固定したあとなので、そのかぎりではないが、ハニカム体がセラミックスの場合は、コーナー部41がハニカム体に近すぎる場合、縮径による変形により、ハニカム体が欠損する問題があり、いずれの場合も、コーナー部40、41において変形影響を吸収する平行部が必要となり、排ガス浄化装置の大型化や搭載上の寸法制約を受けることになる。
【0011】
さらに、特開昭64−60711号公報で示されるコンバーター(図8参照)の場合は、触媒担持されたハニカム体43を膨脹性マット42でくるんで保持ケース44内に装入したのち、保持ケースの中央部を縮径47して、ハニカム体を固定し、さらに、両端部を縮径して、コーン部45,46を成形させるコンバーター及びその製造方法である。この方法は、ハニカム体を固定する支持体を使用しないため、実開平5−96427号公報のような問題は生じないものの担体保持のための縮径工程が必要となったり、膨脹性マット42とその組み付け作業が必要となるなど工程が複雑でコストアップとなる欠点がある。
【0012】
一方、特開昭63−100220号公報には図9に示すように、触媒を担持したハニカム体48とコーン部及び連結部49,50とを溶接面51で溶接して組み立てた浄化性能にすぐれた排ガス浄化装置が提示されている。ところが、このようにコーン部及び連結管部を触媒担持した浄化性能にすぐれた排ガス浄化装置を作る場合は、ハニカム体以外にも、コーン部、コーン部及び連結管部品に触媒担持52をあらかじめしておく必要があり、その後、両者を溶接して組み立てる工程が必要となる。従って、コーン部の部品点数増加とそれらを組み立て前に別々に触媒を担持する工程及びそれらを接合(溶接)する工程にそれぞれ手数と費用がかかるため、高価な排ガス浄化装置となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来の問題点を解消するものであって、セラミックハニカム体を装入する場合のようなケーシングを用いることなく、またケーシングとコーン部を組み立て部品とすることなく、円筒パイプにより、メタルハニカム体と接合する外筒とコーン部とを一体成形し、すなわち、外筒とコーン部の一体成形(溶接を行わず)で短期間の製造を可能とする安価なメタル担体の製造方法を提供するとともに、一体成形された前記メタル担体を用いることによって、外筒内面とハニカム体表面に触媒成分を同時に担持することを可能とする浄化性能にすぐれた安価な排ガス浄化装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明が要旨とするところは、次の通りである。
(1)耐熱金属製の円筒パイプ内に、耐熱牲金属箔よりなる平板とこの平板を波形に加工した波板とを重ねて巻き回し、あるいは積層して形成した、該円筒パイプより長さの短いハニカム体を、該ハニカム体の両端部にツバ部が形成されるように圧入固定せしめ、熱処理にて、該ハニカム体内の平板と波板を接合すると同時に、該ハニカム体と該円筒パイプを接合した後に、前記ツバ部をプレスあるいはダイスにより円錐状の絞り加工を行い、コーン部あるいは所望の径の連結管をもつコーン部を、浴接なしで一体形成することを特徴とするメタル担体の製造方法。
(2)ハニカムの表面と該ハニカムとを一体化された両端コーン部及び連結管の内面に、触媒成分を同時に担持することを特徴とする請求項1記載のメタル担体の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を図に示す実施例に基づいて詳細に説明する。
図1(a)は本発明メタル担体1素材の一例であって、長尺にした円筒パイプ2の中央部にハニカム体3を収納固定した状態を示している。すなわち前記円筒パイプ2はハニカム体3の軸方向先端および後端部分に空間部分を形成する両ツバ部2a,2bを一体に設けている。ハニカム体3には予め平板・波板を巻回する時に両板が接触する所用部分に接着材を塗布しておくと共に、ハニカム体外周に板ロウを付着させておき、円筒パイプ2にこのハニカム体3を摺動装入する。その後、ツバ部を通しハニカム体の端面側から粉状のロウ材を供給して接着させたハニカム体を、真空加熱炉に挿入して必要箇所をそれぞれ接合する。接合方法は上記方法に限るものでなく、例えば拡散接合や高密度エネルギー利用の接合法を採用できさえすればロウ材供給工程も不要となる。
【0016】
次いで図1(b)に示すように、ツバ部2a,2bを加工して、接続管4a,5aを有するコーン部4,5を形成する。図1(c)は同図(b)の別の例であり、接続管4a,5aがない場合を示す。コーン部に加工する方法は後述するようにダイスを用いるプレス法、或いは絞り法のいずれでも良く、また別の方法を採用しても良い。接続管4aと5aは加工時にそれらの径を任意に変えて成形することができ、例えば4aと5aの径を変えて処理する排ガスの圧損低減を計ることが可能である。
【0017】
【実施例】
[実施例1]
厚さ50μmの耐熱金属平板と、この平板に波付け加工した波板を用い、これらを重ねて渦巻状に巻回し、直径φ62mm、長さ80mmのハニカム体を作成した。これを肉厚1.5mm、直径φ65mm、長さ240mmの耐熱性金属円筒パイプの中央部に圧入して図2(a)に示すような円筒パイプ両側にツバ部2a,2bを形成し、各ツバ部が80mmになるように両ツバ一体型メタル担体1を作成した。この担体1を真空加熱炉に装入し、ハニカム体3の平板と波板の接合部、およびハニカム体3と外筒2の接触部を拡散接合した。この担体1を図2(b)に示すようにプレス受台7上に乗せると共に、該担体1上方に接続管プレス部8aを有するコーン成形用治具(プレスダイス)8を配置し、図2(c)に示すように、上部ツバ部2aにプレスダイス8で加重2ton を付加するプレス加工を行って接続管4aを有するコーン部4を成形した。次いで該担体1を逆転し、コーン部支承孔9aを有するプレス受台9に成形したコーン部4を装着し、上部よりプレスダイス8でツバ部2aに2ton の加重を掛けてプレス加工し、コーン部5を成形した(図2(d)参照)。
【0018】
図2(e)は成形した製品を示し、各コーン部接続管の先端を成形加工し、さらに触媒を担持させてからこれに同図(f)のようにフランジ10を取り付けて排ガス系に取付けが可能となる。上記製品のコーン部4,5におけるテーパー角度は15゜、接続管4a,5aの平行部径は直径φ40mm、長さ20mmであった。
【0019】
[実施例2]
図3に示すように、実施例1と同様のメタル担体1を用い、該担体1の一方のツバ部2aを回転させながらコーン成形用治具(ダイス)18で絞り加工して接続管4aを有するコーン部4に成形し(同図(a)参照)、次いで、逆側のツバ部2bを回転させながら同様にダイス18で絞り加工し接続管4aを有するコーン部4に成形した(同図(b)参照)。その結果、実施例1と同様の製品が得られた。
【0020】
なお、本発明においてはダイスを替えればプレスや絞り加工度を変えられるため、接続する排ガス配管の径に応じた接続管の径を選択製造することができる。 また、上記実施例は単一のハニカム体を使用したメタル担体について説明したが、図4に示すように複数のハニカム体を直列に収納するタンデム形メタル担体にも適用できる。
【0021】
次に、上記メタル担体をγアルミナスラリー中に浸漬し、乾燥する操作を2回繰り返し、さらに650℃で2時間加熱し、γアルミナ層を付着させた。次いで、塩化白金酸溶液と塩化ロジウム溶液の中に上記メタル担体を浸漬、乾燥してPt−Rhを担持させた。
【0022】
比較として、上記と同様ハニカム体を作成し、これを肉厚1.5mm、直径φ65mm、長さ80mmの外筒に圧入して、真空加熱炉で拡散接合を行い、ツバなしのメタル担体を製造した。一方、連結管をもつコーン部を別体で製造した。次に、メタル担体と連結管をもつコーン部を別々にγアルミナ層を付着させ、次いで、Pt−Rhを担持させた。γアルミナ層、Pt−Rhの担持法は上記実施例と同一とし量についても同一とした。この場合、外筒とコーンを溶接するにあたり、溶接部に付着したアルミナ層が原因で溶接不良が発生した。本実施例では、外筒とコーンの溶接が不要であり、上記のような不具合は何ら発生せず、製造コストも比較例に比べて、省工程がはかられ約20%安価に製造することができた。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、メタル担体を排ガス系配管に接続するのに必要なコーン部を、組立て部品とはせずに、各実施例に示すように外筒と一体構成に加工することが可能であり、従って、溶接などの接合工程を省略でき、早い工期で極めて安価なメタル担体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明メタル担体の断面概念図であり、(a)はコーン加工前、(b)および(c)はコーン加工後を示す。
【図2】(a)乃至(f)は本発明メタル担体の製造例を示す説明図。
【図3】(a)および(b)は本発明メタル担体の別の製造例を示す説明図。
【図4】本発明の別の実施例であって、円筒パイプ内に複数の処理担体を直列に配置固定したタンデム型メタル担体を示す。
【図5】従来のメタル担体であって、(a)は組立て前の構成部品、(b)は組立て接合した後を示す説明図。
【図6】従来の保持ケースを示す図。
【図7】従来の一体型ケースを用いた触媒コンバーターを示す図。
【図8】従来のコーン一体型ケースを用いた触媒コンバーターの他の例を示す図。
【図9】従来の別の例における排ガス浄化装置の一部の構造を示す図。
【符号の説明】
1,11 :メタル担体
2 :円筒パイプ
2a,2b,2c:ツバ部
3 :ハニカム体
4,5,6 :コーン部
4a,5a,6a:接続管
7 :プレス受台
8,18 :成形用治具
9 :プレス受台
10 :フランジ
Claims (2)
- 耐熱金属製の円筒パイプ内に、耐熱牲金属箔よりなる平板とこの平板を波形に加工した波板とを重ねて巻き回し、あるいは積層して形成した、該円筒パイプより長さの短いハニカム体を、該ハニカム体の両端部にツバ部が形成されるように圧入固定せしめ、熱処理にて、該ハニカム体内の平板と波板を接合すると同時に、該ハニカム体と該円筒パイプを接合した後に、前記ツバ部をプレスあるいはダイスにより円錐状の絞り加工を行い、コーン部あるいは所望の径の連結管をもつコーン部を、溶接なしで一体形成することを特徴とするメタル担体の製造方法。
- ハニカムの表面と該ハニカムとを一体化された両端コーン部及び連結管の内面に、触媒成分を同時に担持することを特徴とする請求項1記載のメタル担体の製造方法。
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