JP3571299B2 - 湿度センサ及び湿度センサの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型化を図りつつ、感湿膜溶液を検出電極部に塗布する際の液量を安定かつ高精度なものとする湿度センサ及び湿度センサの製造方法に係り、特に、イオン性解離基を有する有機高分子膜を感湿膜とした湿度センサ及びその製造方法として好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
気体中の相対湿度の変化を例えば電気抵抗の変化として湿度の値を測定する湿度センサが、従来より使用されている。また、このような湿度センサとして、一対の電極が形成された基板上の部分を有機高分子材料等の材料による感湿膜で覆った構造のものが、従来より存在している。
【0003】
そして、この高分子型の湿度センサは、測定範囲が広く比較的安価に生産できる為、使用範囲が近年非常に拡大しており、これに伴って、高分子型の湿度センサが比較的苦手にしている低湿度側の湿度測定に対する要求や、湿度測定の精度ばらつきに対する要求も非常に厳しくなってきている。
【0004】
また、測定器類の小型化に伴って湿度センサ自体の小型化が要求されており、その結果、湿度センサにおける感湿膜の厚みや塗布領域に関してのばらつきを少なくすることが求められている。
例えば、小型の携帯型温湿度測定器や低温低湿度管理用の保管庫に使用される湿度センサ、更には食品分野や医療分野などで使用される湿度センサ類に、一層の小型化及び高精度化が、最近では求められている。
【0005】
ここで特に、感湿膜の厚みに関して、湿度測定特性を±5%以下に抑えようとした場合、高歩留りでばらつきを少なくして安定生産しつつ、サブμm〜数μm単位の膜厚で膜厚ばらつきを±10%以内と高精度にする必要がある。
また、それと同時に湿度センサの小型化を考慮して、感湿膜で覆われた検出電極部と実装や引き出しの為の半田付け用とされる外部端子との間の距離をできるだけ短くすることが望まれている。
【0006】
つまり、現在一般に使用されている従来例の湿度センサの感湿膜で覆われた検出電極部と外部端子との間の距離は、2mm〜3mmであるが、このままでは将来の小型化及び高精度化に対応できなくなることが予想される。例えば、0.5mm〜1.0mmといった距離の要求やそれ以下の距離とされるものの要求が、いずれは生じることが考えられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、イオン性解離基を有する有機高分子膜を感湿膜とした湿度センサに関しては、応答速度を高めると共に低湿度領域の感度を高める為に、インピーダンスを低くする材料、つまり解離イオンの濃度が高く薄い膜厚でも耐環境性に優れたものが要求されている。
これに対して、濃度を比較的低くした感湿膜溶液を検出電極部に塗布し、乾燥後に均一で薄い膜を形成する方法が用いられている。しかし、感湿膜溶液の濃度を低くした場合、検出電極部上への塗布量を多くしないと、乾燥後に耐環境性に必要な膜厚が確保できない欠点がある。
【0008】
ここで、乾燥後に十分な膜厚を確保できるような従来の湿度センサの製造方法を図8に基づき説明する。
この製造方法は、図8に示すように検出電極部114の周りにダム116を形成し、ダム116内に濃度の低い感湿膜溶液を一定量塗布して感湿膜118を形成するというものであるが、この製造方法では厚いダム116を基板112上に形成する必要がある。
従って、ダム116を形成するのに伴って、検出電極部114の周りに大きなスペースが必要となる為、湿度センサがその分大きくなり、近年の小型化の要求に逆行してしまう。
【0009】
次に、上記と逆に濃度を高めた感湿膜溶液を用いて膜厚を厚くすることを狙った従来の別の湿度センサの製造方法を図9に基づき説明する。
この製造方法は、図9に示すように多数の検出電極部が形成されている集合基板を分割し、外部端子120にリード端子122を付けた後、液面が管理されている感湿膜溶液Lに一定の高さまでこの基板112を浸し、これを引き上げて乾燥するという手順をとる。
【0010】
つまり、この製造方法では、感湿膜形成用の溶液である感湿膜溶液L中に検出電極部を浸して感湿膜を形成するディップ方式により感湿膜を形成する手法が一般的に用いられているが、この手法では、液量をコントロールする事が難しく、希望の膜厚に満たなかったり或いは感湿膜溶液Lが多すぎて図10に示すように液だれしたりする欠点があった。
【0011】
以上より、この製造方法で感湿膜溶液Lの濃度を高めた場合、感湿膜溶液Lの初期粘度が上昇し、これに伴ってロット間や面内の膜厚ばらつきが増え、結果として、湿度測定特性等の湿度センサの初期特性が大きくばらついてしまう。
また、図9に示す製造方法では、感湿膜溶液Lの付着量がばらついたり液だれすることを考慮する為、液面と外部端子120との間に寸法Sが必要となるのに伴って、検出電極部と外部端子120との間に大きなスペースを設ける必要も生じ、小型化の要求に反することになる。
【0012】
本発明は上記事実を考慮し、小型化しつつ、感湿膜溶液の液量や感湿膜の厚みの精度を高めて湿度測定特性を安定化し得る湿度センサ及び湿度センサの製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1による湿度センサの製造方法は、検出電極部が形成された基板の表面部分を感湿膜が覆っている湿度センサを製造する湿度センサの製造方法であって、
前記検出電極部をマスキング材により覆った後に、前記感湿膜を形成する成分を含む感湿膜溶液をはじく撥液部材で、このマスキング材の少なくとも周辺を覆い、
次に前記マスキング材を剥離し、この後、前記マスキング材が剥離された部分に感湿膜溶液を塗布して乾燥し前記感湿膜を形成する、
ことを特徴とする。
【0014】
請求項1に係る湿度センサの製造方法の作用を以下に説明する。
本請求項では、基板の表面に形成された検出電極部をマスキング材により覆って一旦保護した状態で、撥液部材によりこのマスキング材の少なくとも周辺を覆う形としている。この為、このマスキング材を剥離する際には、マスキング材上の撥液部材がマスキング材と一緒に剥がされて、感湿膜溶液の塗布領域のみが露出し残渣が生じない。
【0015】
これに伴って、感湿膜溶液の塗布時に、感湿膜溶液をはじくような撥液部材が、検出電極部の周囲に配置されることになり、この撥液部材が感湿膜溶液をはじいて感湿膜溶液の境界を形成し、感湿膜溶液を必要量塗布しても、この撥液部材によってはじかれて感湿膜溶液が余計な部分に流れ出さず、塗布量がばらつくことがなくなる。
【0016】
つまり、マスキング材の剥離後に残された撥液部材が実質的にダムを形成し、基板上の塗布領域に感湿膜溶液を所定量保持可能となる為、その後の感湿膜溶液の塗布時に、塗布量を多くできるようになった。
従って、撥液部材の高さを調整することで感湿膜の厚みを精度良く管理しつつ、初期の感湿膜溶液の濃度を低くでき、低濃度の感湿膜溶液で面精度の良い感湿膜を均一に形成可能になった。
【0017】
以上より、感湿膜溶液をはじく撥液部材でダムを形成する形となるので、このダムを小さくでき、検出電極部と外部端子との間に大きなスペースを必要とせず、湿度センサの小型化が可能となる。また、撥液部材が感湿膜溶液をせき止めるので、感湿膜溶液の液量や感湿膜の厚みの精度を高めて湿度センサの湿度測定特性を安定化することができる。
【0018】
さらに、マスキング材の採用により、撥液部材や感湿膜溶液を集合基板上で塗布できるようになり、これに合わせて感湿膜溶液の浴槽を使用せず、ディスペンサやスプレー等により感湿膜溶液を塗布できるようになった。この為、従来のばらつき要因であり重要管理項目でもあった感湿膜溶液の濃度管理や液面管理を行わなくても良くなり、大幅な製造コストの削減も可能となった。
【0019】
請求項2に係る湿度センサの製造方法の作用を以下に説明する。
本請求項は請求項1と同様の構成を有して同様に作用するが、さらに本請求項では、前記マスキング材が、検出電極部を覆う際において液状とされると共に剥離の際において固体とされる材料で形成されるという構成を有する。
つまり、剥離する際には固体であるもののマスキング材は、層の形成時において液状であることから、基板の凹凸や検出電極部の凹凸にしっかりと追従することができる。この為、撥液部材の溶液に基板を浸す際に、このマスキング材により撥液部材の検出電極部へのわずかな浸入も防ぐことができ、しかも硬化後は剥離が容易で作業性が良く、集合基板を用いた場合でも作業性が向上する。
【0020】
請求項3による湿度センサは、検出電極部が形成された基板の表面部分を感湿膜が覆っている湿度センサであって、
前記検出電極部に繋がる外部端子を有し、前記感湿膜を形成する成分を含む感湿膜溶液をはじく撥液部材が、この外部端子の周辺に少なくとも設けられることを特徴とする。
【0021】
請求項3に係る湿度センサの作用を以下に説明する。
本請求項に係る湿度センサは、検出電極部が形成された基板の表面部分を感湿膜が覆うと共に、この検出電極部に繋がる外部端子を有した構造とされている。また、少なくともこの外部端子の周辺に、感湿膜を形成する成分を含む感湿膜溶液をはじく撥液部材が、設けられている。
【0022】
従って、この湿度センサの製造過程において、ダムとなる撥液部材が感湿膜溶液をはじくので、通常よりこのダムを小さくできるのに伴って、検出電極部と外部端子との間に大きなスペースを必要とせず、湿度センサの小型化が可能となる。さらに、この撥液部材が湿度センサの製造に際して感湿膜溶液をせき止めることができるので、感湿膜溶液の液量や感湿膜の厚みの精度を高めて湿度センサの湿度測定特性を安定化することができる。
【0027】
請求項4による湿度センサは、検出電極部が形成された基板の表面部分を感湿膜が覆っている湿度センサであって、
前記感湿膜を形成する成分を含む感湿膜溶液をはじく撥液部材が、前記検出電極部の周囲に配置されることを特徴とする。
【0028】
請求項4に係る湿度センサの作用を以下に説明する。
本請求項に係る湿度センサは、検出電極部が形成された基板の表面部分を感湿膜が覆う構造とされている。また、この検出電極部の周囲に、感湿膜を形成する成分を含む感湿膜溶液をはじく撥液部材が、配置されている。
従って、この湿度センサの製造過程において、ダムとなる撥液部材が感湿膜溶液をはじくので、通常よりこのダムを小さくできるのに伴って、湿度センサの小型化が可能となる。さらに、請求項3と同様に、この撥液部材が湿度センサの製造に際して感湿膜溶液をせき止めることができるので、感湿膜溶液の液量や感湿膜の厚みの精度を高めて湿度センサの湿度測定特性を安定化することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る湿度センサ及びその製造方法の一実施の形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1は本実施の形態に係る湿度センサ10を示す図である。本実施の形態では、それぞれ複数のくし歯が形成された検出電極部14Aを先端側に有した一対の櫛形電極14が、セラミック基板12A上に備えられた構造とされている。
【0030】
これら一対の櫛形電極14は、酸化ルテニウム等の電極材からなっていると共に、検出電極部14Aの複数本のくし歯を等間隔で有しており、一方の櫛形電極のくし歯と他方の櫛形電極のくし歯とが相互に挟み合う様に、これら一対の櫛形電極14は相互に対向して配置されている。さらに、一対の櫛形電極14の各端部には、外部端子である四角形の外部端子パッド14Bがそれぞれ設けられており、図示しないリード端子がそれぞれ半田付けされて、これら外部端子パッド14Bに固定されるようになっている。
【0031】
一方、セラミック基板12Aに形成されている櫛形電極14の検出電極部14Aを挟む形で、一対の撥液部材20が、セラミック基板12A上における検出電極部14Aの周囲に配置されている。つまり、この撥液部材20が、検出電極部14Aを挟んで位置するセラミック基板12Aの表面部分と外部端子パッド14Bの表面部分とをそれぞれ覆う形となっているので、検出電極部14Aに繋がる外部端子パッド14Bの周辺に撥液部材20が少なくとも設けられる構造になっている。
【0032】
そして、撥液部材20は、高分子感湿膜16を形成する成分を含む感湿膜溶液Lをはじく材料であって、外部からの熱や超音波振動或いは、機械的、化学的な手法により除去可能な材料で形成されている。
以上より、一対の撥液部材20の間における検出電極部14Aが形成された部分を含むセラミック基板12Aの表面部分が、雰囲気中の湿気を吸収し得る感湿膜である高分子感湿膜16で、図1に示すように覆われている。
【0033】
次に、本実施の形態に係る湿度センサ10の製造方法を図2のフロー図に基づき説明する。
まずステップS1で、例えば縦横100mm角のセラミック製の絶縁基板の集合体である図3及び図4に示す集合基板12に、相互に同一パターンで多数の外部端子パッド14B用の銀電極材を印刷し、この後ステップS2で、同じく相互に同一の櫛形パターンとされた多数の検出電極部14A用の酸化ルテニウム電極材を印刷する。次にステップS3で、この集合基板12に例えば850℃の温度でこれらを焼き付けて、外部端子パッド14B及びこの外部端子パッド14Bと繋がる検出電極部14Aを集合基板12上に形成する。
【0034】
つまり、集合基板12は、外部端子パッド14B及び検出電極部14Aで形成される櫛形電極14を含むセラミック基板12Aが、集合したものであり、これらセラミック基板12Aを分割する為の穴部22がこれらセラミック基板12A間に連続して形成されている。
【0035】
この後、ステップS4で乾燥すると硬化して剥離可能となる液状の樹脂であるマスキング材18を図5に示すように検出電極部14A上に印刷して、ステップS5でこのマスキング材18を乾燥し硬化することで、このマスキング材18によりこの検出電極部14Aを一旦保護する形とする。
この樹脂材のマスキング材18を塗布し乾燥した後、ステップS6で感湿膜溶液Lをはじくような撥液部材20の溶液に集合基板12を浸漬することで、集合基板12全面に撥液部材20を塗布し、ステップS7でこの撥液部材20を乾燥する。
【0036】
その後、ステップS8でマスキング材18を剥離するが、これに伴ってマスキング材18上の撥液部材20がマスキング材18と一緒に剥がされて、図6に示す検出電極部14A及びその周辺部分である感湿膜溶液Lの塗布領域が露出される。
そして、ステップS9で、集合基板12の検出電極部14A上に図7に示す感湿膜溶液Lをディスペンサやスプレーにより一定量塗布し、ステップS10でこの感湿膜溶液Lを乾燥又はUV等で硬化することで、高分子感湿膜16を形成する。
【0037】
この結果、縦横100mm角の集合基板12に、例えば縦寸法が18mmで横寸法が11mmであって、櫛形電極14をそれぞれ一対づつ含む湿度センサ10となる素子が、例えば合計198個集合した形で形成されることになる。
さらに、ステップS11で、集合基板12を穴部22に沿って割ることでセラミック基板12Aに細かく分割した後、ステップS12で、はんだ付けの熱又はフラックスにより撥液部材20を取り除きながら、外部端子パッド14Bに引き出し用のリード端子をはんだ付けして、図1に示す湿度センサ10を完成する。
【0038】
次に、本実施の形態に係る湿度センサ10及びその製造方法の作用を説明する。
本実施の形態では、乾燥すると硬化して剥離可能となる液状のマスキング材18により、検出電極部14Aを覆って一旦保護した状態で、撥液部材20によりこのマスキング材18上及びその周辺を覆う形としている。
この為、このマスキング材18を剥離する際には、マスキング材18上の撥液部材20がマスキング材18と一緒に剥がされて、感湿膜溶液Lの塗布領域のみが露出し残渣が生じない。
【0039】
これに伴って、感湿膜溶液Lをはじくような撥液部材20が、検出電極部14Aの周囲の二辺に配置されることになり、この撥液部材20が感湿膜溶液Lをはじいて感湿膜溶液Lの境界を形成し、感湿膜溶液Lを必要量塗布しても、この撥液部材20によってはじかれて感湿膜溶液Lが余計な部分に流れ出さず、塗布量がばらつくことがない。
つまり、マスキング材18の剥離後に残された撥液部材20が実質的にダムを形成し、セラミック基板12A上の塗布領域に感湿膜溶液Lを所定量保持可能となる為、その後の感湿膜溶液Lの塗布時に、塗布量を増加できるようになった。
【0040】
従って、撥液部材20の高さを調整することで高分子感湿膜16の厚みを精度良く管理しつつ、初期の感湿膜溶液Lの濃度を低くでき、低濃度の感湿膜溶液Lで面精度の良い膜を均一に形成可能になった。これに伴い感湿膜溶液Lが外部端子パッド14Bに流れ出て、その後のはんだ付けに影響を与えることもなくなる。
【0041】
以上より、感湿膜溶液Lをはじく撥液部材20でダムを形成する形となるので、このダムを小さくでき、検出電極部14Aと外部端子パッド14Bとの間に大きなスペースを必要とせず、湿度センサ10の小型化が可能となる。
また、撥液部材20が感湿膜溶液Lをせき止めるので、感湿膜溶液Lの液量や高分子感湿膜16の位置精度、形状及び厚みの精度を高めて湿度センサ10の湿度測定特性を安定化することができる。
これに伴って、応答速度が高く、低湿度領域での感度の高い信頼性に優れた湿度センサ10を製造できるようになる。
【0042】
更に、剥離する際には固体であるもののマスキング材18は、層の形成時において液状であることから、セラミック基板12Aの凹凸や検出電極部14Aの凹凸にしっかりと追従することができる。
この為、撥液部材20の溶液に基板を浸す際に、このマスキング材18により撥液部材20の検出電極部14Aへのわずかな浸入も防ぐことが可能であり、しかも硬化後は剥離が容易で作業性が良く、集合基板12を用いた場合でも作業性が向上する。
【0043】
以上より、本実施の形態によれば、塗布領域の位置に注意することなく撥液部材20をマスキング材18を覆う様にして塗布でき、さらには集合基板12を用いる場合でも短時間且つ低コストにできるディップ方式により、この集合基板12の全面を感湿膜溶液Lで覆うことが可能となる。
【0044】
つまり、マスキング材18の採用により、撥液部材20や感湿膜溶液Lを集合基板12上で、塗布できるようになり、これに合わせて感湿膜溶液Lの浴槽を使用せず、ディスペンサやスプレーにより感湿膜溶液Lを塗布できるようになった。
この為、従来のばらつき要因であり重要管理項目でもあった感湿膜溶液Lの濃度管理や液面管理を行わなくても良くなり、大幅な製造コストの削減が可能となる結果として、湿度センサ10を効率良く安価に製造できるようになった。
【0045】
しかも、マスキング材18は層の形成後に硬化する為、集合基板12上に異物や汚染があっても、樹脂を硬化する際にこれら異物や汚染が樹脂側に移り、集合基板12の汚れを除去して集合基板12をきれいにする効果を有することもあり、その後の感湿膜溶液Lの塗布の際に、非常に小さな接触角で塗れ、プラズマやUV洗浄が不要となる。
【0046】
一方、高分子感湿膜16の厚みは、耐環境性を考慮すると3μm以上とすることが好ましいが、この場合、感湿膜溶液Lの塗布時に、体積換算で図7に示す厚みDを60μm以上とする必要がある。また、塗布後の面内ばらつきを小さくするには濃度を20wt%以下にすることが、望ましい。但し、実際には5wt%とすることが考えられる。
他方、感湿膜溶液Lの溶媒に関し、例えば水のような極性の強い溶媒を用いることにより、撥液部材20の効果を一層引き出すことができる。
【0047】
さらに、撥液部材20の材質に関しては、外部端子パッド14Bヘリード端子をはんだ付けする際に、はんだの熱やフラックス、或いはボンデイングによる超音波振動等により、容易に除去可能な材料であることが望ましい。また、撥液部材20の膜厚も同様のことが言え、厚みを2μm以下とすることが望ましい。但し、実際には、1μm以下とすることが考えられる。
従って、高分子感湿膜16と撥液部材20が直接接触し、しかも撥液部材20がこのような材料及び膜厚で構成されていれば、検出電極部14Aと外部端子パッド14Bとの間の距離をより短くする事が可能となり、湿度センサ10を一層小型化できる。
【0048】
尚、マスキング材18の塗布方法に関しては、スクリーン印刷が最も好適と考えられるが、メタルマスク印刷やディスペンサ等により塗布しても良い。
さらに、撥液部材20は、上記実施の形態の感湿膜溶液Lが水を溶媒としていたことも有り、フッ素樹脂系のものを用いることが考えられるが、本質的に感湿膜溶液Lをはじくものであればフッ素樹脂に限らず、シリコーン系のもののような感湿膜溶液Lとの境界で大きな接触角を形成するものでも良い。
また、上記実施の形態では、感湿膜溶液Lの塗布に際してディップ方式を採用したが、印刷、ディスペンサ、刷毛塗り或いはスプレーなどの他の方法で感湿膜溶液Lを塗布しても良い。
【0049】
さらに、上記実施の形態では、基板としてセラミック製のセラミック基板を採用したが他の材料の基板としても良く、また、一対の櫛形電極を酸化ルテニウムで形成したが、金や白金等の電極材で形成しても良い。
一方、本発明は上記の湿度センサだけでなく、膜部材を必要とする他の電子部品にも適用することができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明の湿度センサ及び湿度センサの製造方法によれば、撥液部材が、感湿膜溶液に接触して感湿膜溶液の塗布量を安定化させている為、従来品に比べ単位あたりの感湿膜の塗布量が安定している。この為、感湿膜溶液の液量や感湿膜の厚みの精度が高まって湿度測定特性を安定化することで、湿度センサの歩留まりを約30%向上させることができた。
また、集合基板上で感湿膜溶液や撥液部材を塗布できるようになったことから、作業効率が高まって製造コストを20%削減することができた。
【0051】
一方、外部端子と検出電極部との間に設けていたスペースを小さくすることができた為、湿度センサの小型化が可能になり、これに伴って集合基板の取り個数も増やすことができた。さらに、感湿膜溶液の浴槽を使用しない為、感湿膜溶液の濃度管理や液面管理を行わなくても良くなり、工程の簡略化が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る湿度センサを示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る湿度センサの製造の手順を示すフロー図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る湿度センサの製造に適用される集合基板を示す斜視図である。
【図4】図3のA部拡大図である。
【図5】マスキング材が印刷された状態の集合基板を示す要部斜視図である。
【図6】感湿膜溶液の塗布領域が露出された状態の集合基板を示す要部斜視図である。
【図7】感湿膜溶液が塗布された状態の集合基板を示す要部断面図である。
【図8】第1の従来技術に係る湿度センサの製造方法に関する湿度センサの斜視図である。
【図9】第2の従来技術に係る湿度センサの製造方法の説明図である。
【図10】第2の従来技術に係る湿度センサの製造方法に関する湿度センサの断面図である。
【符号の説明】
10 湿度センサ
12A セラミック基板
14 櫛形電極
14A 検出電極部
14B 外部端子パッド
16 高分子感湿膜
18 マスキング材
20 撥液部材
L 感湿膜溶液
Claims (4)
- 検出電極部が形成された基板の表面部分を感湿膜が覆っている湿度センサを製造する湿度センサの製造方法であって、
前記検出電極部をマスキング材により覆った後に、前記感湿膜を形成する成分を含む感湿膜溶液をはじく撥液部材で、このマスキング材の少なくとも周辺を覆い、
次に前記マスキング材を剥離し、この後、前記マスキング材が剥離された部分に感湿膜溶液を塗布して前記感湿膜を形成する、
ことを特徴とする湿度センサの製造方法。 - 前記マスキング材が、検出電極部を覆う際において液状とされると共に剥離の際において固体とされる材料で形成されることを特徴とする請求項1記載の湿度センサの製造方法。
- 検出電極部が形成された基板の表面部分を感湿膜が覆っている湿度センサであって、
前記検出電極部に繋がる外部端子を有し、前記感湿膜を形成する成分を含む感湿膜溶液をはじく撥液部材が、この外部端子の周辺に少なくとも設けられることを特徴とする湿度センサ。 - 検出電極部が形成された基板の表面部分を感湿膜が覆っている湿度センサであって、
前記感湿膜を形成する成分を含む感湿膜溶液をはじく撥液部材が、前記検出電極部の周囲に配置されることを特徴とする湿度センサ。
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