JP3571156B2 - 自動車用空気調和装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、目標ドア開度を用いてドアの開度を制御する自動車用空気調和装置に関し、特にドアとアクチュエータの組付誤差を自己修正して適正な目標ドア開度を出力する自動車用空気調和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
マイクロコンピュータが搭載された従来の自動車用空気調和装置、いわゆるオートエアコンでは、マイクロコンピュータで計算された目標開度信号に基づき、インテークドア、エアミックスドアおよびモードドアが電動アクチュエータで自動的に開閉制御される。その際、各ドアの実際の開度をマイクロコンピュータへフィードバックするために、電動アクチュエータの回動位置信号がマイクロコンピュータへ送信される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、マイクロコンピュータが搭載された従来のオートエアコンでは、ポテンショバランスレジスタ(PBR)40bと呼ばれるドア開度検出センサがアクチュエータ40に内蔵されており、例えば図13に示すエアミックスドア33を制御する場合で説明すると、ヒータコア32の前面を全閉する位置とこれを全開する位置との間(以下、この範囲を実ドア開度領域Rdという)を回動するエアミックスドア33に対し、PBR40bはアクチュエータ40の出力レバーの開度を検出することにより、これを当該出力レバーに連結されたエアミックスドア33の開度と擬制し、この開度信号をマイクロコンピュータに出力していた。
【0004】
しかしながら、アクチュエータ40の出力レバーとエアミックスドアとをリンクやロッド等で連結する際に、両者の組み付け寸法が、例えば融着処理を行う際にドアの回動方向に±3%程度ばらついてしまう。
【0005】
そのため、例えば図13に示すように、アクチュエータ40の出力レバーの開度(これをXpbrという)に対して、実際のエアミックスドア33の開度(これをXという)が図示するようにずれて組み付けられていたとすると、アクチュエータ40のPBR40bで検出されたドア開度Xpbrが50%の中間位置であっても、実際のドア開度Xは53%まで開いてしまい、テンプレバーで設定された温度よりも高い温度の空気が室内に供給されるという問題があった。
【0006】
本発明は、ドアとアクチュエータの組付誤差を自己修正して適正な目標ドア開度を出力できる自動車用空気調和装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、各センサ、各スイッチ条件によりマイクロコンピュータの演算処理に基づいて目標ドア開度を決定する目標ドア開度決定手段と; ドアの実際の開度を検出するドア開度検出手段と; 前記目標ドア開度決定手段で決定された目標ドア開度のデータを受信し、前記ドア開度検出手段で検出された実際のドア開度が前記目標ドア開度に一致するように前記ドアを動作させる信号を出力する信号処理手段と;前記信号処理手段からの信号に基づいて前記ドアを動作させるアクチュエータと;を備えた自動車用空気調和装置において、
前記信号処理手段からの返信信号に基づいて前記ドアの実際の全開位置および全閉位置を記憶する全開全閉位置記憶手段と; 前記全開全閉位置記憶手段に記憶された前記ドアの実際の全開位置または全閉位置に基づいて前記目標ドア開度の領域限界を補正し、当該補正された目標ドア開度の領域データを前記目標ドア開度決定手段へ出力する目標ドア開度補正手段と;をさらに備えたことを特徴とする自動車用空気調和装置が提供される。
【0008】
この自動車用空気調和装置では、ドアの実際の全開位置および全閉位置を記憶し、これらの実位置に基づいて目標ドア開度の領域限界を補正した上で、目標ドア開度を出力するので、目標ドア開度領域と実ドア開度領域とがドアの回動方向に誤差を含んでいたとしても、これを補正することができ、中間位置におけるドアの制御が適正化される。その結果、当該ドアによって定まる風量または風量比等が設定値に等しくなり、適切な調和空気を供給することができる。
【0009】
本発明における目標ドア開度と実ドア開度との誤差の修正手法は、特に限定されないが、その一例として、
前記信号処理手段は、前記アクチュエータの動作信号および停止信号を前記全開全閉位置記憶手段へ出力し; 前記ドア開度検出手段における検出領域および前記目標ドア開度決定手段における目標ドア開度の設定領域が、前記ドアの実際の開度領域よりもその両端においてそれぞれ広く設定され; 前記全開全閉位置記憶手段は、前記ドアの実際の開度領域を越えた前記検出領域および目標ドア開度の設定領域において、少なくとも前記アクチュエータの停止信号を受信するまで、前記信号処理手段に対して前記ドアを前記実際の開度領域へ戻す解除用動作信号を出力するとともに、当該モータロックが解除されたときの目標ドア開度を前記ドアの実際の全開位置または全閉位置として記憶し; 前記目標ドア開度補正手段は、前記全開全閉位置記憶手段に記憶されている前記ドアの実際の全開位置または全閉位置を前記目標ドア開度決定手段から出力される目標ドア開度の領域限界とする補正を行い; 前記目標ドア開度決定手段は、前記目標ドア開度補正手段で補正された目標ドア開度の領域限界を越えない範囲で、目標ドア開度を出力する。
【0010】
すなわち、この自動車用空気調和装置では、全開または全閉となる直前にドアを停止するという制御が困難であるため、故意にモータロックする領域までドアが回動できるように設定しておき、もしモータロックが生じたら、当該モータロックが解除されるまでドアを戻し、そして、この位置をもって全開または全閉位置とすることとしている。
【0011】
ここで、ドア開度検出手段における検出領域および目標ドア開度決定手段における目標ドア開度の設定領域をドアの実際の開度領域よりもその両端においてそれぞれ広く設定することにより、故意にモータロックする領域までドアが回動できることとなり、また、少なくともアクチュエータの停止信号を受信するまで、信号処理手段に対してドアを実際の開度領域へ戻す解除用動作信号を出力することにより、モータロックが生じたら当該モータロックが解除されるまでドアを戻すことができる。これにより、実際のドアの全開位置と全閉位置とを知ることができる。
【0012】
ドア開度検出手段における検出領域をドアの実際の開度領域よりもその両端において広く設定することは、例えばポテンショバランスレジスタであれば抵抗パターンの範囲を広くすることにより容易に実現することができ、一方、目標ドア開度決定手段における目標ドア開度の設定領域をドアの実際の開度領域よりもその両端においてそれぞれ広く設定することは、目標ドア開度決定手段のプログラムソフトウェアを変更することにより容易に実現することができる。
【0013】
また、モータロックが解除されたかどうかの判断は、アクチュエータの動作信号および停止信号を用いて容易に認識することができる。例えば、信号処理手段からの返信信号が動作信号として一定時間以上続いた場合には、モータロック状態と認識できるので、アクチュエータの出力信号がたとえ2種類の信号のみであったとしても、これのみで判断することができる。
【0014】
このようにして、ドアの実全開位置および実全閉位置が検出されると、目標ドア開度補正手段は、これらの目標ドア開度を領域限界とする補正を行い、これを目標ドア開度決定手段へ出力する。目標ドア開度決定手段では、この補正された目標ドア開度の領域限界を越えない範囲で目標ドア開度を出力する。これにより、目標ドア開度決定手段から出力される目標ドア開度が実ドア開度に一致するようになり、ドアの配風制御が設定値に等しくなる。
【0015】
この場合、実際の全開位置または全閉位置の何れかが全開全閉位置記憶手段に記憶されているときは、その目標ドア開度が用いられるが、モータロックが未だ生じていない場合など、全開全閉位置記憶手段に目的とする目標ドア開度が記憶されていないときは、予め設定された初期値が用いられる。
【0016】
なお、モータロックの検出によってドアの実全開位置および実全閉位置を求める場合には、モータロックが全開位置または全閉位置の近傍以外で生じることも考えられ、この種のモータロックに対する解除位置を記憶すると、誤作動が生じることから、全開全閉位置記憶手段に記憶された目標ドア開度によって決定されるドア開度の領域が所定の大きさよりも狭いときは、その記憶された目標ドア開度を破棄し、その前の目標ドア開度を復帰させることが好ましい。
【0017】
本発明におけるアクチュエータは、自動車用空気調和装置で用いられる全てのアクチュエータ、例えばインテークドアアクチュエータ、エアミックスドアアクチュエータ、モードドアアクチュエータの他、バイパスドアなどの補助ドアアクチュエータなどを含み、何れのドアアクチュエータにも限定されない。
【0018】
インテークドア、バイパスドアまたはモードドア用アクチュエータの場合には、乗員により選択されるドア開度は主としてそのまま目標ドア開度とされてアクチュエータに送信され、実開度と比較された上でドアが動作されるが、自動制御モードが選択された場合には、乗員の選択により設定された温度と予め定められたプログラムに基づいて、これらのアクチュエータに対する目標ドア開度を演算し、決定しても良い。
【0019】
また、エアミックスドア用アクチュエータの場合には、限定はされないが、ドア開度の制御を精密に行う必要があるため、目標ドア開度を決定するに際し、車室内温度に影響を及ぼすとされる温度影響要素を考慮して、まず設定温度と車室内温度との温度偏差を求め、この温度偏差に基づいて目標ドア開度を決定することが好ましい。
【0020】
本発明は、エアコンアンプユニットからアクチュエータに対して目標ドア開度の動作信号が出力され、これに対してアクチュエータで検出された実際のドア開度を目標ドア開度に一致させる信号処理が行われる一般的なオートエアコンの他、アクチュエータからエアコンアンプユニットに送信されるデータが主として動作信号と停止信号のみであり、信号処理手段がアクチュエータに内蔵された、いわゆるLAN化自動車用空気調和装置にも適用することができる。この種のLAN化自動車用空気調和装置では、アクチュエータの実際の開度データなど、実全開位置および実全閉位置の検出に用いて好ましいデータは、当該アクチュエータ内で自己処理され、エアコンアンプユニットに送信する必要がなく、エアコンアンプユニットには動作信号と停止信号があれば充分だからである。したがって、本発明によれば、実開度検出専用のデータを用いることなく、1bitのデータ量で検出処理を行うことができる。
【0021】
本発明により提供される上記自動車用空気調和装置において、信号処理手段へ出力される解除用動作信号が、ドアを実際の開度領域へ向かって、所定ステップづつ順次戻す動作信号であることが好ましい。
【0022】
すなわち、モータロックが解除される方向へ徐々にドアを戻し、ロック解除信号を受信したらその位置でドアを停止する。これにより、アクチュエータモータのロックが解除され、この位置を実際のドアの全開または全閉位置とする。
【0023】
また、本発明により提供される上記自動車用空気調和装置において、信号処理手段へ出力される解除用動作信号が、ドアを実際の開度領域へ向かって所定ステップ戻したのち当該ステップより小さいステップだけ逆方向へ進める動作信号であることが好ましい。
【0024】
すなわち、モータロックが解除される方向へドアを一旦戻したのち、逆方向へドアを進め、結果的にドアをロックが解除される方向へ戻す。これによっても、アクチュエータモータのロックを解除することができ、この位置を実際のドアの全開または全閉位置とすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の自動車用空気調和装置を示すブロック図(クレーム対応図)、図2は本発明の自動車用空気調和装置の実施形態を示すブロック図、図3は同実施形態のシステム図、図11は図2に示すエアコンアンプユニットとアクチュエータとの間で交信される通信フォーマットを示す図、図12は図11に示すアクチュエータからの返信信号を示す波形図である。
【0026】
なお、以下の実施形態は、本発明の自動車用空気調和装置をLAN化自動車用空気調和装置として構成した一例であるが、本発明はLAN化自動車用空気調和装置にのみ限定されるものではなく、一般的なフィードバック制御を行うエアコンにも適用できることは言うまでもない。
【0027】
まず、図2および図3に示す本実施形態の自動車用空気調和装置100の機械系の構成を説明する。図3に示すように、この自動車用空気調和装置100は、インテークユニット10、クーラユニット20およびヒータユニット30からなり、それぞれインテークユニットケース11、クーラユニットケース21、ヒータユニットケース31を有し、この順序で接続されている。
【0028】
インテークユニットケース11には、車室外の空気を取り入れるための外気取入口12と、室内空気を循環させるための内気取入口13とが形成されている。内気取入口13は、インテークユニットケース11に直接開口形成されているが、外気取入口12は、車体のカウルパネルに開口形成された取入口とエアダクトを介して連通している。
【0029】
インテークユニットケース11には、インテークドア16Dが回動自在に設けられており、外気取入口12を全閉する位置(内気循環モード)と内気取入口13を全閉する位置(外気取入モード)との間を回動し、必要に応じてその中間位置(内外気取入モード)でも停止する。このインテークドア16Dの回動動作は、同じくインテークユニットケース11に取り付けられたインテークドアアクチュエータ41によってなされる。
【0030】
なお、内気および/または外気の取り入れは、ファンモータ14によって回転するファン15により行われ、ファンモータ14はエアコンアンプユニット50から送信される動作信号に基づきファンコントロール回路45を介して制御される。
【0031】
クーラユニットケース21には、取入空気を冷却するためのエバポレータ(凝縮器)22が設けられており、このエバポレータ22は、これとコンプレッサ、コンデンサ(蒸発器)、膨張弁およびリキッドタンク等を冷媒配管で接続して構成される冷房サイクルの一要素となる。この冷房サイクルの運転および停止は、車室内のインストルメントパネルに設けられたコントロールパネル70のエアコンスイッチにより行われる。なお、本発明ではクーラユニット20を省略しても良い。
【0032】
ヒータユニット30は、インテークユニット10およびクーラユニット20を通過した空気を温調するとともに、車室内に対して所望の吹出口から調和空気を配風する機能を有している。このために、ヒータユニットケース31には、ヒータコア32がバイパス路37を形成するように設けられ、当該ヒータコア32の前面に設けられたエアミックスドア33によりヒータコア32を通過する空気量とバイパス路37を通過する空気量とを比率が調節される。
【0033】
なお、ヒータコア32には、車両のエンジン冷却水が循環し、このエンジン冷却水と空気との熱交換によって当該空気が加熱される。また、エアミックスドア33は、ヒータコア32の前面を全閉する位置(フルクール)とバイパス路37を全閉する位置(フルホット)との間を、エアミックスドアアクチュエータ43により回動する。
【0034】
ヒータユニットケース31の下流側には、エアミックスチャンバ39が形成され、ここにベント吹出口34、デフロスト吹出口35およびフット吹出口36が形成されている。ベント吹出口34は、エアダクトを介して車室内のインストルメントパネルの前面に設けられたベントグリルに連通され、調和空気を主として乗員の上半身に向かって吹き出す。デフロスト吹出口35は、エアダクトを介してインストルメントパネルの上面に設けられたデフロストグリルに連通され、低湿度空気または温風などをフロントガラス内面に向かって吹き出し、曇りを晴らす。フット吹出口36は、ヒータユニットケース31から直接または短いエアダクトを介して車室内の乗員の足下で開口し、主として温風を乗員の足下に向かって吹き出す。
【0035】
また、それぞれの吹出口34,35,36には、ベントドア34D、デフドア35D、フットドア36Dがそれぞれの吹出口を開閉可能に設けられており、これらのドア34D,35D,36Dは、リンク機構等を介してモードドアアクチュエータ44により動作する。つまり、ベントモード、デフロストモード、バイレベルモード、フットモード等の各種吹出モードの選択によって、3つのドア34D,35D,36Dの開閉の組み合わせにしたがって、これらのドアが動作する。例えば、バイレベルモードでは、ベント吹出口およびフット吹出口をそれぞれ半開とし、ベント吹出口からは冷風をフット吹出口からは温風を吹き出し、いわゆる頭寒足熱型の温調を行う。
【0036】
本実施形態の自動車用空気調和装置100では、ヒータユニットケース31に第2のバイパス路38が形成され、この第2のバイパス路38を全閉および全開するバイパスドア38Dがさらに設けられている。このバイパスドア38Dはバイパスドアアクチュエータ42によって動作するが、エアミックスドア33をヒータコア32の全開位置に回動させて温風をフット吹出口36に導く際に、バイパスドア38Dを全開することで、冷風をベント吹出口に導き、これにより頭寒足熱型温調における温度差を高めるものである。なお、本発明において第2のバイパス路38およびバイパスドア38Dを省略しても良い。
【0037】
次に、本実施形態の自動車用空気調和装置100の制御系の構成を説明する。図3に示すように、本実施形態の自動車用空気調和装置100は、エアコンアンプユニット50、各種センサ類61〜66、およびコントロールパネル70を有している。
【0038】
エアコンアンプユニット50は、マイクロコンピュータを内蔵し、後述する各種センサ類61〜66やコントロールパネル70のスイッチ類からの入力信号をプログラムソフトにしたがって演算処理し、ファンモータ14、各ドアアクチュエータ41〜44、および図外のコンプレッサ等を総合的に制御する。詳細は後述するが、図1に示す本発明に係る目標ドア開度決定手段51および目標ドア開度補正手段52、および図2に示す車室内空気温度推定手段53、温度偏差算出手段54、全開全閉位置記憶手段55は、当該エアコンアンプユニット50内で、具体的にはマイクロコンピュータのCPU、ROMおよびRAMで構成されている。
【0039】
センサ類のうち水温センサ61は、エンジン冷却水の温度を検出するセンサであり、エンジン冷却水回路に設けられて、水温を抵抗値に変換してエアコンアンプユニット50に出力する。
【0040】
冷媒温度センサ62は、冷房サイクルを循環する冷媒温度を検出するセンサで、例えばエバポレータ22の入口側に取り付けられて、冷媒温度を抵抗値に変換してエアコンアンプユニット50に出力する。
【0041】
内気センサ63は、車室内の実際の空気温度を検出するセンサであり、例えばインストルメントパネルの前面に設けられて、室内温度Tincを抵抗値に変換してエアコンアンプユニット50に出力する。
【0042】
外気センサ64は、車室外の実際の空気温度を検出するセンサであり、例えばフードロックステイに設けられて、外気温度Tamを抵抗値に変換してエアコンアンプユニット50に出力する。
【0043】
日射センサ65は、フロントガラスから室内に入る日射量Qsunをフォトダイオードで検出し、電流値としてエアコンアンプユニット50に出力するセンサで、例えばインストルメントパネルの上面に設けられている。
【0044】
吸込温度センサ66は、エバポレータ22を通過した後の空気温度を検出するセンサで、クーラユニット20に設けられ、吸込温度Tintを抵抗値に変換してエアコンアンプユニット50に出力する。
【0045】
なお、これら各センサ類61〜66からエアコンアンプユニット50に出力された抵抗値または電流値による信号は、エアコンアンプユニット50で電圧値に変換されて入力される。
【0046】
コントロールパネル70は、乗員が操作し易いインストルメントパネルの中央に装着され、ファンスイッチ、テンプコントロールレバー(またはダイヤル)、吹出モードスイッチ、エアコンスイッチおよび内気強制循環スイッチなどの各種スイッチ類71と、ファン速度や温度等を表示する表示パネル72と、エアコンアンプユニット50とのデータの通信を行うための通信インターフェース73とを有している。図1に示す本発明の自動車用空気調和装置において、ドア開度設定手段71は、例えばテンプコントロールレバーや吹出モードスイッチあるいは内気強制循環スイッチなどに相当する。
【0047】
既述したドアアクチュエータ40(41〜44)は、図1に示されるように、ドアを機械的に開閉するためのモータ40aと、ドアの開度を電圧値に変換して検出するドア開度センサ(ドア開度検出手段)40bとの他に、ICチップ等からなる信号処理回路40cを備えたものである。そして、エアコンアンプユニット50にて目標ドア開度Xpbrが決定されると、当該目標ドア開度のデータを信号処理回路40cで受信し、この信号処理回路40cにて、ドア開度センサ40bで検出される実際のドア開度Xが目標ドア開度と一致するようにモータ40aに電流を流す。
【0048】
特に本実施形態では、ドア開度センサ40bにおける検出領域Rpbrは、図1に示されるように、ドアの実際の開度領域Rdよりも、その両端においてそれぞれ広く設定されており、具体的にはポテンショバランスレジスタPBRの抵抗パターンが、ドアの回動範囲よりも広く形成されている。これにより、ドアの取り付け誤差や目標ドア開度Xpbrと実ドア開度とに誤差が生じても、これを吸収して設計されたドア開度領域を越えた領域で実ドア開度を検出することができる。
【0049】
なお、ドア開度センサ40bは、ドアアクチュエータ40に内蔵されたPBR(ポテンショバランスレジスタ)で構成されているが、その他のエンコーダで構成しても良い。
【0050】
さらに、本実施形態の自動車用空気調和装置100では、図2に示すように、エアミックスドア33の制御要素として、エアコンアンプユニット50に、車室内の空気温度を温度影響要素を考慮して推定する車室内空気温度推定手段53と、テンプコントロールレバー71で設定された設定温度Tptcと車室内空気温度推定手段53により推定された車室内空気温度との偏差Sを求める温度偏差算出手段54と、温度偏差算出手段54で求められた温度偏差Sに基づいて、エアミックスドア33の動作方向がどちらの方向かを判定し、前回の目標ドア開度に一定開度を加算もしくは減算することにより目標ドア開度を決定する目標ドア開度決定手段51とが設けられている。これらは全てマイクロコンピュータのCPUとROMとRAM等の電子部品で構成されている。
【0051】
車室内空気温度推定手段53では、テンプコントロールレバー71にて乗員の選択により車室内温度Tptcが設定されると、車室内の空気温度を温度影響要素を考慮して推定する。ここでいう温度影響要素とは、内気温度、外気温度、日射量、吸込温度など、車室内の空気温度に影響を与える可能性のある要素をいい、具体的には内気センサ63、外気センサ64、日射センサ65、および吸込温度センサ66で検出された内気温度Tinc、外気温度Tam、日射量Qsun、吸込温度Tintが用いられている。
【0052】
温度偏差算出手段54は、設定温度Tptcと車室内空気温度との偏差Sを求めるもので、この温度偏差Sは、設定温度に対する車室内空気温度の偏り度合いを意味し、例えばエアミックスドアアクチュエータ43を動作対象とする場合には、設定温度Tptc、外気温度Tam、内気温度Tinc、吸込温度Tintおよび日射量Qsunを用いた熱平衡式によって算出される。熱平衡式は、例えば下記式で与えられるが、本発明では特に限定されない。
【0053】
【数1】
S=(A+D)Tptc+(B・Tam−D・Tinc)+C・Qsun+E+αXm−(F・X+G)(88−Tint)−Tint
ここで、A,B,C,D,E,F,Gは係数、Tptcは設定温度、Tamは外気温度、Tincは内気温度、Qsunは日射量、αXmは吹出モードに応じて決定される偏差補正値、Xはドア開度、Tintは吸込温度をそれぞれ表す。
【0054】
目標ドア開度決定手段51は、この温度偏差Sに基づいて、エアミックスドア33の動作方向がどちらの方向かを判定し、前回の目標ドア開度に一定開度を加算もしくは減算することにより目標ドア開度を決定し、この目標ドア開度をアクチュエータ43に送信するものである。
【0055】
特に本実施形態では、この目標ドア開度決定手段51における目標ドア開度の設定領域Rxが、図1に示されるように、ドアの実際の開度領域Rdよりも、その両端においてそれぞれ広く設定さている。換言すれば、組付誤差を考慮してもドアは最大Rdの領域内でしか回動しないが、目標ドア開度決定手段51から出力される目標ドア開度のデータXpbrは、この領域Rdを含んだ領域Rxが対象とされている。したがって、例えばエアミックスドア33のフルシャット(Xpbr=0%)を出力すると、エアミックスドア33は機械的にヒータコア32を全閉する位置まで回動したときにそこで停止するが、当該エアミックスドア33の実開度が0%に達していないので、エアミックスドアアクチュエータ40内では、信号処理手段40cからモータ40aに対して電流を供給し続けることになる。これはフルオープン(Xpbr=100%)の場合も同様である。
【0056】
エアコンアンプユニット50とアクチュエータとの間で交信される通信のフォーマットは、図11に示されるように、例えば16bitのデータ領域のうち、送信の開始を表す符号が書き込まれた領域F1、送信対象とするドアアクチュエータのアドレスが書き込まれた領域F2、ドアアクチュエータの動作指令(許可または禁止)が書き込まれた領域F3、ドアアクチュエータの目標停止位置が書き込まれた領域F4、F2〜F4の情報に対する奇数パリティが書き込まれた領域F5、および診断用ドアアクチュエータ返信信号が書き込まれた領域F6に割り付けられている。このうち、ドアアクチュエータの返信信号を書き込む領域は、例えば1bitのみのデータ長を有し、図12に示されるように、ドアアクチュエータの作動中に出力されるハイレベル信号と、ドアアクチュエータの停止中に出力されるローレベル信号とが書き込まれる。なお、ドアアクチュエータの作動および停止をハイレベルとローレベルとで識別したが、これを逆にすることも可能である。
【0057】
本実施形態の自動車用空気調和装置100は、ドアの実際の開度領域Rdを越えた検出領域Rpbrおよび目標ドア開度の設定領域Rx、換言すれば図1に示すフルシャットおよびフルオープンの近傍において、少なくともアクチュエータ40からの停止信号を受信するまで、当該アクチュエータ40の信号処理手段40cに対して、ドアを実際の開度領域Rd側へ戻す解除用動作信号を出力するとともに、当該モータロックが解除されたときの目標ドア開度を記憶する全開全閉位置記憶手段55をさらに備えている。
【0058】
この全開全閉位置記憶手段55は、エアコンアンプユニット50のマイクロコンピュータにCPU,ROM,RAMの形態で組み込まれているので、当該全開全閉位置記憶手段55から出力される解除用動作信号は、図1に示されるように、直接アクチュエータ40の信号処理手段40cへ送信されても良いし、あるいは目標ドア開度決定手段51を介して送信しても良い。
【0059】
さらに、本実施形態の自動車用空気調和装置100は、モータロックが解除されたときの目標ドア開度X0 ,X100 に基づいて目標ドア開度の領域限界を補正する目標ドア開度補正手段52をさらに備えており、この目標ドア開度補正手段52はエアコンアンプユニット50のマイクロコンピュータにRAMの形態で組み込まれている。そして、上述した目標ドア開度決定手段51は、この目標ドア開度補正手段52で補正された目標ドア開度X0 ,X100 の領域限界を越えない範囲で目標ドア開度Xpbrを出力する。
【0060】
次に動作を説明する。
図4は図2に示すエアコンアンプユニット50で実行される情報処理手順を示すフローチャート、図5は図4に示す全開全閉位置記憶ステップ(ステップ70)のサブルーチンを示すフローチャートである。以下では、エアミックスドア33の制御を例に挙げて説明する。
【0061】
エアコンスイッチを入力すると、エアミックスドア33の自動制御が開始される。まず、ステップ10にて、各種センサ類61〜66およびコントロールパネル70からエアミックスドア33の開度制御に必要な情報が入力される。これと相前後して、ステップ20にて熱平衡式に用いられる係数A〜Gが決定される。なお、厳密には係数FおよびGは次のステップ30にて決定される。
【0062】
次いで、ステップ30にて、上記熱平衡式を用いて温度偏差Sが求められるが、この温度偏差Sの算出にあたり、まず外気温度Tamと内気温度Tincと係数B,Dとから、合成温度Wが、W=B・Tam+D・Tincにより算出される。次に、前回の演算処理で得られた目標ドア開度Xpbrからドア開度Xが演算により求められ、また選択されている吹出モードに応じて偏差補正値αXmが決定される。さらに、係数FおよびGが、上記ドア開度Xと吹出モード(ベント、デフ、バイレベル2のモードかそれ以外か)により決定される。
【0063】
最後に、このようにして求められた値を上述した熱平衡式に代入し、設定温度と室内温度との温度偏差Sが演算される。
【0064】
ステップ40では、コントロールパネル70における設定温度Tptcが、18.5℃未満のフルクール域か、31.5℃を越えるフルホット域か、18.5℃以上、31.5℃以下の温調域かが判断される。この場合の18.5℃および31.5℃という境界温度は単なる例示であって、特に限定されない。
【0065】
そして、設定温度Tptcが18.5℃未満のフルクール域である場合には、ステップ64にて目標ドア開度がXpbr=0%とされて、エアミックスドア33をヒータコア全閉位置に回動させる。
【0066】
これに対して、設定温度Tptcが31.5℃を越えるフルホット域である場合には、ステップ65にて目標ドア開度がXpbr=100%とされて、エアミックスドア33をヒータコア全開位置に回動させる。
【0067】
また、ステップ40において設定温度Tptcが、18.5℃以上、31.5℃以下の温調域である場合には、次のステップ50にて上記算出された温度偏差Sの絶対値|S|が2より大きいか小さいかを判断し、温度偏差の絶対値|S|が2以下の場合は、ステップ61へ進んで、目標ドア開度Xpbrを前回の目標ドア開度と同じ値、すなわちXpbr=Xpbr+0%とする。
【0068】
また、ステップ60にて、温度偏差Sが−2未満である場合には、ステップ62へ進んで、目標ドア開度Xpbrを前回より1%減少、すなわちXpbr=Xpbr−1%とする。一方、ステップ50にて、温度偏差Sが2より大きい場合には、ステップ63へ進んで、目標ドア開度Xpbrを前回より1%増加、すなわちXpbr=Xpbr+1%とする。
【0069】
このような温調制御を繰り返す中で、エアミックスドアアクチュエータ43のモータ43aがロック状態になると、これを解除するとともに、当該モータロックが解除されたときの目標ドア開度を記憶する処理が全開全閉位置記憶手段55と当該アクチュエータ43との間で行われる。
【0070】
すなわち、図5に示す全開全閉位置記憶ルーチンでは、まずステップ71にてエアミックスドア33の全開または全閉近傍においてモータロック状態が検出されると、ステップ72にてアクチュエータ43からの返信信号がハイレベル(動作中)かローレベル(停止中)かを判断する。このとき、返信信号がローレベルであるときは、アクチュエータモータ43aは既に停止しているためモータロックを解除する必要がなく、そのままステップ78へ進むが、返信信号がハイレベルであるときは、ステップ73へ進んで、このハイレベル信号が所定の時間t以上継続するかどうかを検証する。この所定時間tは、特に限定されないが、例えば10秒程度である。
【0071】
ステップ73のt秒経過後に、ステップ74にて返信信号を再度確認し、ローレベル信号になっている場合にはモータロックを解除する必要がないのでそのままステップ78へ進むが、t秒経過後もハイレベル信号が継続している場合、すなわち、エアミックスドア33が停止しているにも拘わらず、モータ43aに電流が流れ続けている場合には、まさにモータロック状態であるので、ステップ75へ進んでモータロック解除処理を行う。
【0072】
このモータロック解除処理では、まずステップ75にて、エアミックスドア33の回動方向がオープン側へ向かっているのか、あるいはクローズ側へ向かっているのかを判断する。この場合、エアミックスドア33がオープン側へ向かって回動している状態とは、当該エアミックスドア33がヒータコア32を全開する方向へ向かっている状態をいうものとする。すなわち、図1において、図中下側から上側へ向かって回動している状態をいう。また、エアミックスドア33がクローズ側へ向かっている状態とは、これと逆方向へ向かっている状態をいう。ただし、オープン側およびクローズ側なる表現は、単なる相対的なものであって、X=0%,100%なる表現も同様である。したがって、これらを逆に考えることもできる。
【0073】
ステップ75により判断された結果、エアミックスドア33がオープン側へ向かって回動している場合、つまりXpbr=100%となる位置の近傍でモータロックしている場合は、まずステップ76aにて全開全閉位置記憶手段55に記憶されているデータ(全閉位置に関する記憶データX100 )が既に存在するかどうかを判断し、記憶されていない場合には、ステップ77bにて、全開全閉位置記憶手段55からエアミックスドアアクチュエータ43の信号処理手段43cへ、前回の目標ドア開度から0.8%だけ減じた目標ドア開度(Xpbr=Xpbr−0.8%)を出力し、エアミックスドア33をクローズ側へ1ステップだけ戻し、ステップ71へ戻る。また、ステップ76aにて、全開全閉位置記憶手段55に全開位置データX100 が記憶されている場合には、ステップ77aにて、これを読み出し、目標ドア開度Xpbrを直接X100 とし、エアミックスドア33をモータロックが解除された適切なヒータコア全開位置に回動させ、ステップ71へ戻る。
【0074】
ステップ77bにて解除用動作信号Xpbr=Xpbr−0.8%が送信されると、エアミックスドアアクチュエータ43の信号処理手段43cでは、ポテンショバランスレジスタ40bで検出される実際のエアミックスドア33の開度Xを取り込み、更新された目標ドア開度Xpbrと実ドア開度Xとが一致すると、モータ40aへの電流の供給を停止する。この自己処理の因果関係を利用して、ステップ72にて、エアミックスドアアクチュエータ43から全開全閉位置記憶手段55へ返信される通信フォーマットFの領域F6に書き込まれる停止信号を検証する。
【0075】
ステップ72にてローレベル信号を確認できない場合には、エアミックスドアアクチュエータ43のモータ43aが未だロック状態にあると考えられることから、ステップ73以降へ進んで、上記の処理を繰り返し、さらに0.8%だけエアミックスドア33を戻す。
【0076】
また、ステップ72にて、エアミックスドアアクチュエータ43からのローレベル信号を受信したときは、目標ドア開度とエアミックスドア33の実ドア開度とが一致することによりアクチュエータモータ43aのロックが解除されたと認識できるので、ステップ78にて、この目標ドア開度X100 によって決定される目標ドア開度領域が予め決められた基準範囲より狭くなってないかどうかを検証し、適切な場合には、ステップ79にて全開全閉位置記憶手段55にこの目標ドア開度X100 を記録したのち、ステップ80へ進む。もし、モータロックが全開または全閉位置の近傍以外で生じたトラブルによるものである場合には、ステップ78の判断で基準範囲から外れることとなる。
【0077】
ステップ80では、このサブルーチンにより検出された実際の全開位置または全閉位置に対する目標ドア開度の補正が行われる。まず、実際の全開および全閉位置が確定するまでの設定当初は、図7に示すように、全開位置a0 と全閉位置b0 の値を入力しておき、これに対して目標ドア開度Xpbrを傾きαと接点βとで定義する。つまり、初期値としては、Xpbr=αX+βとする。ここで、傾きα=100/(b0 −a0 ),β=−a0 である。
【0078】
次に、図5に示すステップ79にて実際の全開位置または全閉位置の少なくとも何れか一方が確定すると、上式のa0 またはb0 にその値を代入することにより、上式を補正する。例えば、全閉位置がaになると、α=100/(b0 −a),β=−aとし、この値を用いてXpbr=αX+βを適用する。また、全開位置もbになると、α=100/(b−a),β=−aとし、この値を用いてXpbr=αX+βを適用する。
【0079】
これにより、設定初期においては、図9に示すように目標ドア開度決定手段51から出力される目標ドア開度Xpbrと、実際のドアの開度X(a〜b)に誤差が生じていても、例えば図10に示すように、全開位置bが実際の値とされることにより、目標ドア開度Xpbrと実際のドア開度Xとが漸近し、さらにこの状態から全閉位置もaに確定すると、図8に示すように、目標ドア開度Xpbrと実際のドア開度Xとが一致することとなる。
【0080】
一方、ステップ75において、エアミックスドア33がクローズ側に向かって回動している場合、つまりXpbr=0%となる位置の近傍でモータロックしている場合は、まずステップ76cにて全開全閉位置記憶手段55に記憶されているデータ(全閉位置に関する記憶データX0 )が既に存在するかどうかを判断し、記憶されていない場合には、ステップ77dにて、全開全閉位置記憶手段55からエアミックスドアアクチュエータ43の信号処理手段43cへ、前回の目標ドア開度に0.8%だけ加算した目標ドア開度(Xpbr=Xpbr+0.8%)を出力し、エアミックスドア33をオープン側へ1ステップだけ戻し、ステップ71へ戻る。また、ステップ76cにて、全開全閉位置記憶手段55に全開位置データX0 が記憶されている場合には、ステップ77cにて、これを読み出し、目標ドア開度Xpbrを直接X0 とし、エアミックスドア33をモータロックが解除された適切なヒータコア全閉位置に回動させ、ステップ71へ戻り、上記と同様の手順で処理が実行される。
【0081】
なお、ステップ77bおよび77dにおけるエアミックスドア33を戻す量については、1ステップ、つまり0.8%としているが、この具体的数値には何ら限定されない。この戻し量が小さすぎるとモータロック解除に要する時間が長くなり、逆に戻し量が大きすぎると場合によってはドアが実際に回動するおそれがあるため、これらを考慮して適切な値を決定することが好ましい。
【0082】
このようなモータロックを解除することによるドアの全開または全閉位置の検出処理は、上記エアミックスドア33以外のドアのアクチュエータ41,42,44に対しても同様に行われ、本実施形態では専用のデータを用いることなく、従来より用いられていた1bitのデータ量で全開または全閉位置の検出処理を自動的に行うことができる。
【0083】
本発明の全開全閉位置記憶手段55における処理手順は、上述した実施形態以外にも種々改変することができる。図6は、図4に示す全開全閉位置記憶ステップのサブルーチンの他の実施形態をを示すフローチャートである。
【0084】
同図に示す実施形態では、ステップ71〜75までの処理、ステップ76a、76c、77a、77dの処理およびステップ78、79、80の処理は上述した実施形態と同じであるが、エアミックスドア33を戻す手法が相違している。すなわち、ステップ75により判断された結果、エアミックスドア33がオープン側へ向かって回動している場合、つまりXpbr=100%となる位置の近傍でモータロックしている場合であって、ステップ76aによる判断の結果、全開全閉位置記憶手段55に全開データX100 が記憶されていない場合には、ステップ77b1にて、全開全閉位置記憶手段55からエアミックスドアアクチュエータ43の信号処理手段43cへ、前回の目標ドア開度から1.6%だけ減じた目標ドア開度(Xpbr=Xpbr−1.6%)を出力し、エアミックスドア33をクローズ側へ、一旦2ステップだけ戻す。そして、ステップ77b2にて所定時間(本実施形態では1秒間)待機したのち、ステップ77b3にて、前回の目標ドア開度に0.8%だけ加算した目標ドア開度(Xpbr=Xpbr+0.8%)を出力し、エアミックスドア33をオープン側へ、1ステップだけ逆に進め、ステップ71へ戻る。
【0085】
ステップ77b1および77b3にて解除用動作信号Xpbr=Xpbr−1.6%およびXpbr=Xpbr+0.8%が送信されると、エアミックスドアアクチュエータ43の信号処理手段43cでは、ポテンショバランスレジスタ40bで検出される実際のエアミックスドア33の開度Xを取り込み、更新された目標ドア開度Xpbrと実ドア開度Xとが一致すると、モータ40aへの電流の供給を停止する。本実施形態でも、この自己処理の因果関係を利用して、ステップ72にて、エアミックスドアアクチュエータ43から全開全閉位置記憶手段55へ返信される通信フォーマットFの領域F6に書き込まれる停止信号を検証する。
【0086】
ステップ72にてローレベル信号を確認できない場合には、エアミックスドアアクチュエータ43のモータ43aが未だロック状態にあると考えられることから、ステップ73以降へ進んで、上記の処理を繰り返し、さらに1.6%だけエアミックスドア33を戻したのち0.8%だけ逆方向へ進める。以後は、ローレベル信号を受信するまでこれを繰り返す。
【0087】
また、ステップ72にて、エアミックスドアアクチュエータ43からのローレベル信号を受信したときは、目標ドア開度とエアミックスドア33の実ドア開度とが一致することによりアクチュエータモータ43aのロックが解除されたと認識できるので、ステップ78にて、この目標ドア開度X100 によって決定される目標ドア開度領域が予め決められた基準範囲より狭くなってないかどうかを検証し、適切な場合には、ステップ79にて全開全閉位置記憶手段55にこの目標ドア開度X100 を記録したのち、ステップ80へ進む。もし、モータロックが全開または全閉位置の近傍以外で生じたトラブルによるものである場合には、ステップ78の判断で基準範囲から外れることとなる。
【0088】
一方、ステップ75において、エアミックスドア33がクローズ側に向かって回動している場合、つまりXpbr=0%となる位置の近傍でモータロックしている場合であって、ステップ76cによる判断の結果、全開全閉位置記憶手段55に全開データX0 が記憶されていない場合には、ステップ77c1へ進んで、全開全閉位置記憶手段55からエアミックスドアアクチュエータ43の信号処理手段43cへ、前回の目標ドア開度に1.6%だけ加算した目標ドア開度(Xpbr=Xpbr+1.6%)を出力し、エアミックスドア33をオープン側へ一旦2ステップだけ戻す。そして、ステップ77c2にて所定時間(本実施形態では1秒間)待機したのち、ステップ77c3にて、前回の目標ドア開度から0.8%だけ減じた目標ドア開度(Xpbr=Xpbr−0.8%)を出力し、エアミックスドア33をクローズ側へ、1ステップだけ逆に進め、ステップ71へ戻ったのち、上記と同様の処理を行う。
【0089】
なお、ステップ77b1,77b3,77c1および77c3におけるエアミックスドア33を戻す量については、2ステップ(1.6%)戻して1ステップ(0.8%)進めることとしているが、この具体的数値には何ら限定されない。この戻し量が小さすぎるとモータロック解除に要する時間が長くなり、逆に戻し量が大きすぎると場合によってはドアが実際に回動するおそれがあるため、これらを考慮して適切な値を決定することが好ましい。
【0090】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。例えば、エアミックスドア33の制御フローは上述した実施形態以外の方法でも制御でき、図1および図5,6に示す本発明の全開全閉位置の検出には直接的に関係がない。
【0091】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、ドアとアクチュエータとの間に組付誤差が生じても、これを自己修正して適正な目標ドア開度を出力できる。その結果、配風量や配風比などの制御ドアの特性が設定値に等しくなり、快適な空調を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動車用空気調和装置を示すブロック図(クレーム対応図)である。
【図2】本発明の自動車用空気調和装置の実施形態を示すブロック図である。
【図3】図2に示す自動車用空気調和装置のシステム図である。
【図4】図2に示すエアコンアンプユニットで実行される情報処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図4に示すモータロック解除ステップのサブルーチンを示すフローチャートである。
【図6】図4に示すモータロック解除ステップのサブルーチンの他の実施形態をを示すフローチャートである。
【図7】図2に示す目標ドア開度補正手段における処理内容を説明するためのグラフである。
【図8】図2に示す目標ドア開度補正手段における処理内容を説明するためのグラフである。
【図9】図2に示す目標ドア開度補正手段における処理内容の説明図である。
【図10】図2に示す目標ドア開度補正手段における処理内容の説明図である。
【図11】図2に示すエアコンアンプユニットとアクチュエータとの間で交信される通信フォーマットを示す図である。
【図12】図11に示すアクチュエータからの返信信号を示す波形図である。
【図13】従来の自動車用空気調和装置におけるモータロック防止機構を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
100…自動車用空気調和装置
10…インテークユニット
16D…インテークドア
20…クーラユニット
30…ヒータユニット
34D…ベントドア
35D…デフロストドア
36D…フットドア
38D…バイパスドア
40…ドアアクチュエータ
40a…モータ
40b…ドア開度センサ
40c…信号処理手段
50…エアコンアンプユニット
51…目標ドア開度決定手段
52…目標ドア開度補正手段
55…全開全閉位置記憶手段
60…センサ類
70…コントロールパネル
71…ドア開度設定手段
Claims (2)
- 各センサ、各スイッチ条件によりマイクロコンピュータの演算処理に基づいて目標ドア開度(Xpbr)を決定する目標ドア開度決定手段(51)と、
ドア(D)の実際の開度(X)を検出するドア開度検出手段(40b)と、
前記目標ドア開度決定手段で決定された目標ドア開度のデータを受信し、前記ドア開度検出手段で検出された実際のドア開度が前記目標ドア開度に一致するように前記ドアを動作させる信号を出力する信号処理手段(40c)と、
前記信号処理手段からの信号に基づいて前記ドアを動作させるアクチュエータ(40)と、を備えた自動車用空気調和装置(100)において、
前記信号処理手段(40c)からの返信信号に基づいて前記ドアの実際の全開位置(X100 )および全閉位置(X0 )を記憶する全開全閉位置記憶手段(55)と、
前記全開全閉位置記憶手段(55)に記憶された前記ドアの実際の全開位置(X100 )または全閉位置(X0 )に基づいて前記目標ドア開度(Xpbr)の領域限界を補正し、当該補正された目標ドア開度の領域データを前記目標ドア開度決定手段(51)へ出力する目標ドア開度補正手段(52)と、をさらに備え、
前記信号処理手段(40c)は、前記アクチュエータ(40)の動作信号および停止信号を前記全開全閉位置記憶手段(55)へ出力し、
前記ドア開度検出手段(40b)における検出領域(Rpbr)および前記目標ドア開度決定手段(51)における目標ドア開度の設定領域(Rx)が、前記ドア(D)の実際の開度領域(Rd)よりもその両端においてそれぞれ広く設定され、
前記全開全閉位置記憶手段(55)は、前記ドアの実際の開度領域(Rd)を越えた前記検出領域(Rpbr)および目標ドア開度の設定領域(Rx)において、少なくとも前記アクチュエータの停止信号を受信するまで、前記信号処理手段に対して前記ドア(D)を前記実際の開度領域(Rd)へ戻す解除用動作信号を出力するとともに、当該モータロックが解除されたときの目標ドア開度を前記ドアの実際の全開位置(X100 )または全閉位置(X0 )として記憶し、
前記目標ドア開度補正手段(52)は、前記全開全閉位置記憶手段(55)に記憶されている前記ドアの実際の全開位置(X100 )および全閉位置(X0 )を前記目標ドア開度決定手段(51)から出力される目標ドア開度(Xpbr)の領域限界とする補正を行い、
前記目標ドア開度決定手段(51)は、前記目標ドア開度補正手段(52)で補正された目標ドア開度の領域限界を越えない範囲で、目標ドア開度(Xpbr)を出力し、
前記全開全閉位置記憶手段(55)から前記信号処理手段へ出力される解除用動作信号は、前記ドアを実際の開度領域へ向かって所定ステップ戻したのち当該ステップより小さいステップだけ逆方向へ進める動作信号であることを特徴とする自動車用空気調和装置。 - 前記信号処理手段(40c)が、前記アクチュエータ(40)に内蔵されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用空気調和装置。
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