JP3571143B2 - 金属被架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブル - Google Patents

金属被架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
高電圧架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブル(以下CVケーブルと略記する)に関するもので、特に高周波サージ電圧に対する特性向上を図った金属被CVケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、CVケーブルの性能は向上し、信頼性も一段と増した。すでに、超高圧の系統にも採用されている。
【0003】
CVケーブルのしゃへい層構造は、ケーブルの熱挙動、故障瞬時の電流容量および雷サージ等による誘起電圧などを考慮して設計され、現在は、一般的に超高圧CVケーブルでは金属しゃへいが適用され、波付アルミ被が採用されている。
【0004】
さらに、ケーブルコアの熱膨張に対しては、外部半導電層と波付アルミ被の間にギャップを設けるとともに、半導電クッション層を施すことにより、熱膨張を吸収できるような構造にしている。例えば、275KVCVケーブル(絶縁厚27mm)の場合、最大外径膨脹量を3.5mm、クッション層の吸収率を50%とすると、熱膨脹の吸収のために、エアギャップを約1mm、クッション層を約2mmで設計を行っている。
【0005】
また。ケーブル外部半導電層と金属シースの間に上記のようにギャップが存在する場合、サージ電圧が侵入したときに放電を生じ、ケーブル絶縁性能を低下させるおそれが出てくる。そこでクッション層の上に銅線織り込み半導電テープを巻回している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来、上記銅線織り込み半導電テープの銅線間隔は10mm以上で、一般的に銅線間隔を12〜25mmが標準となっている。
【0007】
この場合、1MHz以上の高電圧サージがケーブル導体へ侵入するとケーブル外部半導電層と波付アルミ被間に10KV以上の電圧が発生し、ここで放電が発生し、前記の外部半導電層表面に損傷をきたし、最終的には絶縁体をも損傷し絶縁破壊に到る恐れもある。
【0008】
即ち、図5に示すサージ分圧等価回路で、銅線織り込み半導電テープの織り込み銅線が間隔が大きくなるとC=C+Cが小さくなり、C/Cが大きくなる。Cは導体とアルミ被間のキャパシタンスである。1MHz以上の高周波サージに対しては、クッション層の体積抵抗率が10Ω−cm以上では、 γが無視でき、V/V=C/Cとなる。故に織り込み銅線間隔が大きくなると外部半導電層と波付アルミ被間に発生するサージ分圧Vが大きくなる。
【0009】
本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、高周波サージ電圧に対する特性向上を図った金属被CVケーブルを提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、導体上に内部半導電層、絶縁体層、外部半導電層、クッション層及び銅線織り込み半導電テープ巻回層を順次設け、その周りに、エアギャップをもってコルゲイト状金属被を施してなる金属被架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブルにおいて、
1MHz以上の高周波サージに対する誘起電圧に基づき、前記銅線織り込み半導電層テープの銅線織り込み間隔が最大で6.3mmであり、500KVの高周波サージに対して前記誘起電圧を10KV以下にしたことを特徴とする。
【0011】
さらに、前記銅線織り込み半導電テープの織り込み銅線の直径が0.15〜0.5mmの範囲であることを特徴とする。
【0012】
尚、上記の銅線織り込み半導電テープに織り込む銅線はより線も含まれる。
【0013】
本発明のCVケーブルは、上記の構成とすることにより、1MHz以上の高周波サージの侵入に対して、絶縁体上外部半導電層とコルゲイト状金属被間の誘起電圧は従来構造の1/2以下に低減できる。
【0014】
さらに、銅線織り込み半導電テープの銅線間隔を狭ばめても柔軟性を失うことはない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の金属被CVケーブルの構成を示すもので、縦断面の説明図である。
【0017】
図1の金属被CVケーブルの構成を説明すると、導体1の外周に内部半導電層(内導)2と絶縁体3及び外部半導電層(外導)4が主としてポリエチレンからなる樹脂を押出被覆され架橋されて形成される。その上に半導電性ゴム等からなるテープを巻回したクッション層5及び銅線織込み半導電綿テープ6を巻回して静電遮蔽層を形成している。超高圧CVケーブルでは、大きな地絡容量を有すること、また絶縁体の熱膨脹を吸収できる構造であること、遮水効果ならびに防護効果等からコルゲイト状金属シース7をair gapを介して設けている。その上に防食層8を施す。
【0018】
本発明は上記の構成において、前記銅線織り込み半導電綿テープ6の織込み銅線の間隔を規定したものである。図2にこの銅線織込み半導電綿テープ本体の斜視図を示す。
【0019】
ここで高周波サージに対する等価回路について説明すると、図3は、ケーブル外導とAL被間のキャパシタンスの分布を模擬的に表はしたものであり、図4は導体とAL被間の全体の等価回路であって、(イ)銅線織り込み半導電テープの銅線がケーブル断面外周上に2本存在する場合の等価回路であり、(ロ)は同様にケーブル断面外周上に3本存在する場合の等価回路である。また、図5は、サージ分圧等価回路である。
【0020】
図において、高周波等価回路の測定される静電気容量Cは、次式で表せる。
【数1】
Figure 0003571143
ここで、C:導体−外導間の静電容量
:外導−クッション層上銅線間の静電容量
:外導−クッション層−AL被間の静電容量
図5の回路で1MHz以上の高周波サージに対しては、クッション層絶縁抵抗γが無視でき、V/V≒C/Cとなる。なお、C=C+Cである。
【0021】
今、絶縁厚が25mm程度のクッション層を有する250KV級AL被CVケーブルにて織込み銅線の間隔と上記のCx 及びC2 の関係を試算して見ると表1のようになり、またその関係のグラフは図6に示す。
【0022】
【表1】
Figure 0003571143
上記の試算結果からわかるように、織り込み銅線の間隔を最大で6.3mmとすることにより、1MHz以上の高周波サージに対して、外導−AL被間の誘起電圧は従来構造(織り込み銅線間隔が12〜25mm)の1/2以下に低減できる。
【0023】
即ち、500KVの高周波サージに対して10KV以下に抑制できる。
【0024】
銅線9の間隔が6.3mmを越えると、上記で説明したようにC=C+Cを小さくし、V/Vを大きくなり、高電圧の高周波サージがケーブルに侵入したとき放電の恐れがある。
【0025】
また、銅線9の径とC20との関係は次式の関係にある。
【0026】
【数2】
Figure 0003571143
発明者は、上記の式及びテープの柔軟性から銅線9の径は0.15〜0.50mmの範囲が適当であることを実験的に見出した。
【0027】
【発明の効果】
以上説明した本発明の金属被CVケーブルは、1MHz以上の高周波サージに対する誘起電圧に基づき、銅線織り込み半導電テープの銅線間隔を最大で6.3mmとし、500KVの高周波サージに対して誘起電圧を10KV以下にし、この銅線の直径を0.15〜0.5mmの範囲としたので、前記半導電テープの柔軟性を損なうことはなく、耐高周波サージ特性の向上を図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属被CVケーブルの構成例を示す縦断面説明図である。
【図2】図1の構成の一部である銅線織込み半導電テープの斜視図である。
【図3】本発明のケーブル外導とAL被間の静電容量の分布を模擬した説明図である。
【図4】本発明のケーブル導体とAL被間の高周波サージに対する等価回路であって、(イ)は銅線織込み半導電テープの銅線がケーブル断面外周上に2本存在する場合、(ロ)は銅線が同様に3本存在する場合である。
【図5】本発明のケーブルにおけるサージ分圧等価回路である。
【図6】銅線織込み半導電テープの銅線間隔とサージ分圧(V/V)との関係を表わしたグラフである。
【符号の説明】
1 ケーブル導体
3 ケーブル絶縁体
4 ケーブル外部半導電層(外導)
5 ケーブルクッション層
6 銅線織込み半導電テープ
7 コルゲイト金属シース(AL被)

Claims (2)

  1. 導体上に内部半導電層、絶縁体層、外部半導電層、クッション層及び銅線織り込み半導電テープ巻回層を順次設け、その周りに、エアギャップをもってコルゲイト状金属被を施してなる金属被架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブルにおいて、
    1MHz以上の高周波サージに対する誘起電圧に基づき、前記銅線織り込み半導電層テープの銅線織り込み間隔が最大で6.3mmであり、500KVの高周波サージに対して前記誘起電圧を10KV以下にしたことを特徴とする金属被架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブル。
  2. 請求項1記載の電力ケーブルにおいて、
    前記銅線織り込み半導電テープの織り込み銅線の直径が0.15〜0.5mmの範囲であることを特徴とする金属被架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブル。
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