JP3570831B2 - スパイラル型分離膜エレメントおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分離膜を用いて逆浸透技術、濾過技術等により流体の成分を分離するスパイラル型分離膜エレメントおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
流体の成分を分離するための逆浸透膜分離装置、限外濾過装置、精密濾過装置等の膜分離装置にスパイラル型分離膜エレメントが用いられている。図9はスパイラル型分離膜エレメントの一部切欠き斜視図である。
【0003】
図9に示すスパイラル型分離膜エレメント1は、透過液流路材3の両面に分離膜2を重ね合わせて3辺を接着することにより封筒状膜(袋状膜)4を形成し、その封筒状膜4の開口部を有孔中空管からなる集水管5に取り付け、ネット状(網状)の原液流路材6とともに集水管5の外周面にスパイラル状に巻回することにより構成される。
【0004】
図9に示すように、原液7はスパイラル型分離膜エレメント1の一方の端面側から供給される。供給された原液7は原液流路材6に沿って流れ、スパイラル型分離膜エレメント1の他方の端面側から濃縮液9として排出される。原液7が原液流路材6に沿って流れる過程で分離膜2を透過した透過液8が透過液流路材3に沿って集水管5の内部に流れ込み、集水管5の端部から排出される。
【0005】
上記のようなスパイラル型分離膜エレメントの製造の際には、原液流路材を挟んで分離膜を折り畳み、折り畳んだ分離膜および透過液流路材を一組の素材群(リーフ)とし、一組または複数組の素材群を重ね合わせて接着剤でシールしながら集水管の外周面に渦巻き状に巻き付ける。
【0006】
例えば、図10に示すように、原液流路材6を挟んで分離膜2を中央部で折り曲げて二つ折りにする。このように折り畳んだ分離膜2を複数枚作製し、透過液流路材3を間に挿入して複数枚の分離膜2を重ね合わせる。そして、透過液流路材3を介して背中合わせとなる各2枚の分離膜2の3辺を接着剤で接着しながら集水管5の外周面に渦巻き状に巻き付ける。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、スパイラル型分離膜エレメントは、肉厚、形状および材質の異なる素材群を接着剤でシールしながら集水管に渦巻き状に巻き付けることにより製造されるため、素材群に不均一なずれや皺が生じやすい。素材群のずれや皺は分離膜に欠陥を与え、またずれや皺が接着剤によるシール部分に及ぶとシールが不完全となり、原液が分離膜を透過せずに透過液側に流入する。それにより、分離膜エレメントの性能が著しく損なわれる。
【0008】
このようなずれや皺を生じさせないためには、まず第一に分離膜を巻き付け方向に対して正確に直角に折り畳むことが必要となる。分離膜を折り畳むとその折り目で分離膜に欠陥が生じるため、その欠陥から液体が透過しないように折り目の部分に粘着テープを貼って分離膜を保護する。その状態で、分離膜を直角に折り畳むために、分離膜を折り返し、折り返しの部分を手、板、ローラ等でしごいて折り目を形成する方法が行われている。
【0009】
しかしながら、通常、分離膜の幅は約1メートルと長いので、この方法では、折り目の直線度や直角度の精度が悪いという問題がある。その上、分離膜の折り目の位置は折り返す部分の長さで決まってしまうので、分離膜の所定の位置に十分に高精度で折り目を形成することが困難である。その結果、図11に示すように、折り目12が巻き付け方向Aに対して正確に垂直にならず、折り畳まれた分離膜2にずれが生じてしまう。
【0010】
また、分離膜の折り目に膨らみが残るため、複数の分離膜を積載したときに嵩張るとともに、積載位置の寸法精度が低下し、ひいては素材群の巻き付け時にずれが生じて欠陥が発生するという問題もある。
【0011】
本発明の目的は、分離膜の所定の位置に折り目が膨らむことなく正確に形成されたスパイラル型分離膜エレメントおよびその製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
第1の発明に係るスパイラル型分離膜エレメントは、原液流路材を挟んで折り畳んだシート状分離膜および透過液流路材を一組の素材群とし、一組または複数組の素材群を重ね合わせて有孔中空管の外周面に巻回してなるスパイラル型分離膜エレメントにおいて、分離膜の折り目の位置に溝状の筋目を形成したものである。
【0013】
これにより、分離膜が所定の位置に形成された筋目で正確かつ容易に折り畳まれ、また分離膜の折り目の部分に膨らみが生じないので、有孔中空管の外周面に巻回された素材群にずれや皺が生じない。したがって、分離膜に欠陥が発生せず、良好な分離性能が得られる。
【0014】
第2の発明に係るスパイラル型分離膜エレメントは、原液流路材を挟んで折り畳んだシート状分離膜および透過液流路材を一組の素材群とし、一組または複数組の素材群を重ね合わせて有孔中空管の外周面に巻回してなるスパイラル型分離膜エレメントにおいて、分離膜の折り目の位置に断続状の切れ目を形成し、分離膜の切れ目上に帯状のテープを貼着したものである。
【0015】
これにより、分離膜が所定の位置に形成された切れ目で正確かつ容易に折り畳まれ、また分離膜の折り目の部分に膨らみが生じないので、有孔中空管の外周面に巻回された素材群にずれや皺が生じない。したがって、分離膜に欠陥が発生せず、良好な分離性能が得られる。
【0016】
第3の発明に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造方法は、原液流路材を挟んで折り畳んだシート状分離膜および透過液流路材を一組の素材群とし、一組または複数組の素材群を重ね合わせて有孔中空管の外周面に巻回するスパイラル型分離膜エレメントの製造方法において、分離膜の所定の位置に溝状の筋目を形成した後、分離膜を筋目で折り畳むものである。
【0017】
これにより、分離膜を所定の位置に形成された筋目で正確かつ容易に折り畳むことができ、また分離膜の折り目の部分に膨らみが生じないので、一組または複数組の素材群を接着剤で接着しながら有孔中空管の外周面に巻回する際に、素材群にずれや皺が生じない。したがって、分離膜に欠陥のないスパイラル型分離膜エレメントを製造することが可能となる。
【0018】
第4の発明に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造方法は、原液流路材を挟んで折り畳んだシート状分離膜および透過液流路材を一組の素材群とし、一組または複数組の素材群を重ね合わせて有孔中空管の外周面に巻回するスパイラル型分離膜エレメントの製造方法において、分離膜の所定の位置に断続状の切れ目を形成し、分離膜の切れ目上に帯状のテープを貼着した後、分離膜を切れ目で折り畳むものである。
【0019】
これにより、分離膜を所定の位置に形成された切れ目で正確かつ容易に折り畳むことができ、また分離膜の折り目の部分に膨らみが生じないので、一組または複数組の素材群を接着剤で接着しながら有孔中空管の外周面に巻回する際に、分離膜にずれや皺が生じない。したがって、分離膜に欠陥のないスパイラル型分離膜エレメントを製造することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1および図2は本発明に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造方法における分離膜の折り畳み方法の一例を示す模式図であり、図1(a)および図2(a)は正面図、図1(b)および図2(b)は平面図である。
【0021】
まず、図1に示すように、分離膜2の所定の折り曲げ位置に粘着テープ10を貼り、筋目入れ装置を用いて粘着テープ10上から分離膜2に巻き付け方向Aに対して垂直に直線状の筋目を形成する。筋目入れ装置の上部金型11には直線状の突条11aが設けられ、下部金型12には直線状の溝12aが設けられている。
【0022】
これにより、図2に示すように粘着テープ10および分離膜2の中央部に巻き付け方向Aに対して垂直な直線状の筋目13が形成される。そして、粘着テープ10を内側にして原液流路材6(図7参照)を挟んで分離膜2を筋目13で折り畳む。
【0023】
図1および図2の方法で複数枚の分離膜2を作製し、図7に示すように、複数枚の分離膜2の間に透過液流路材3を挿入して重ね合わせ、透過液流路材3を介して背中合わせとなる各2枚の分離膜の3辺を接着剤で接着しながら集水管5の外周面に渦巻状に巻き付ける。
【0024】
図3および図4は本発明に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造方法における分離膜の折り畳み方法の他の例を示す模式図であり、図3(a)および図4(a)は正面図、図3(b)および図4(b)は平面図である。
【0025】
まず、図3に示すように、分離膜2の所定の折り曲げ位置にミシン目入れ装置を用いて巻き付け方向Aに対して垂直に直線状のミシン目16を形成する。ミシン目入れ装置は上部金型14および下部金型15を有し、上部金型14は、図5に示すように、波状の歯14aを有する。これにより、断続状の切れ目(破線状または点線状の切断部)からなるミシン目16が形成される。
【0026】
次に、図4に示すように、分離膜2のミシン目16上に粘着テープ10を貼り、断続状の切断部のシールを行う。そして、粘着テープ10を内側にして原液流路材6(図7参照)を挟んで分離膜2をミシン目16で折り畳む。
【0027】
図3および図4の方法で複数枚の分離膜2を作製し、図7に示すように、複数枚の分離膜2の間に透過液流路材3を挿入して重ね合わせ、透過液流路材3を介して背中合わせとなる各2枚の分離膜の3辺を接着剤で接着しながら集水管5の外周面に渦巻き状に巻き付ける。
【0028】
図8は本発明に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造方法の他の例を示す模式図である。
長尺状の分離膜2に、図1および図2の方法で巻き付け方向に対して垂直な複数の筋目13を形成するか、あるいは図3および図4の方法で巻き付け方向に対して垂直な複数のミシン目16を形成し、分離膜2をそれらの筋目13またはミシン目16で交互に逆方向に折り畳む。折り畳まれた分離膜2の間に原液流路材6および透過液流路材3を交互に挟み込む。原液流路材6が挟み込まれた分離膜2の折り目12が集水管5への巻き始め側の折り目となる。
【0029】
その後、透過液流路材3を介して対向する分離膜2の両側の2辺を接着剤で接着しながら折り畳まれた分離膜2を原液流路材6および透過液流路材3とともに折り目12から集水管5の外周面に渦巻き状に巻き付ける。
【0030】
このように、本発明に係る製造方法を用いることにより、分離膜2の所定の位置に折り目を膨らむことなく正確に形成することができ、欠陥のない優れたスパイラル型分離膜エレメントを製造することが可能となる。
【0031】
【実施例】
[実施例1]
分離膜2の中央部に巻き付け方向Aに対して垂直に粘着テープ10を貼り、筋目入れ装置を用いて粘着テープ10の中心に巻き付け方向Aに対して垂直に直線状の筋目13を形成した。原液流路材6を挟んで分離膜2を筋目13で折り曲げて二つ折りにした。このとき、図6に示すように、分離膜2を巻き付け方向Aに対して垂直な筋目13に沿って膨らむことなく正確に折り畳めることが確認できた。
【0032】
このようにして折り畳んだ分離膜2に透過液流路材3を重ね合わせて一組のリーフとし、30枚のリーフを作製して重ね合わせた。透過液流路材3を介して背中合わせとなる各2枚の分離膜2の3辺をウレタン樹脂で接着しながら集水管5の外周面に渦巻き状に巻き付け、スパイラル型分離膜エレメントを製造した。
【0033】
このようにして製造されたスパイラル型分離膜エレメントでは、集水管5に巻き付けられた素材群にずれや皺が全く発生せず、所定の性能が得られた。
【0034】
[実施例2]
分離膜2の中央部にミシン目入れ装置を用いて巻き付け方向Aに対して垂直に直線状のミシン目16を形成した。分離膜2のミシン目16上に粘着テープ10を貼り、断続状の切断部のシールを行った。原液流路材6を挟んで分離膜2をミシン目16で折り曲げて二つ折りにした。このとき、図6に示すように、分離膜2を巻き付け方向Aに対して垂直なミシン目16に沿って膨らむことなく正確に折り畳めることが確認できた。
【0035】
このようにして折り畳んだ分離膜2に透過液流路材3を重ね合わせて一組のリーフとし、30枚のリーフを作製して重ね合わせた。透過液流路材3を介して背中合わせとなる各2枚の分離膜2の3辺をウレタン樹脂で接着しながら集水管5の外周面に渦巻き状に巻き付け、スパイラル型分離膜エレメントを製造した。
【0036】
このようにして製造されたスパイラル型分離膜エレメントでは、集水管5に巻き付けられた素材群にずれや皺が全く発生せず、所定の性能が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造方法における分離膜の折り畳み方法の一例を示す模式図である。
【図2】本発明に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造方法における分離膜の折り畳み方法の一例を示す模式図である。
【図3】本発明に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造方法における分離膜の折り畳み方法の他の例を示す模式図である。
【図4】本発明に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造方法における分離膜の折り畳み方法の他の例を示す模式図である。
【図5】図3の折り畳み方法に用いられるミシン目入れ装置の歯を示す図である。
【図6】図1および図2の方法または図3および図4の方法により折り畳まれた分離膜を示す図である。
【図7】本発明に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造方法の一例を示す模式図である。
【図8】本発明に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造方法の他の例を示す模式図である。
【図9】スパイラル型分離膜エレメントの一部切欠き斜視図である。
【図10】従来のスパイラル型分離膜エレメントの製造方法による複数の分離膜を重ねた状態を示す模式図である。
【図11】従来のスパイラル型分離膜エレメントの製造方法により折り畳まれた分離膜を示す図である。
【符号の説明】
2 分離膜
3 透過液流路材
5 集水管
6 原液流路材
7 原液
8 透過液
9 濃縮液
10 粘着テープ
11,14 上部金型
12,15 下部金型
11a 突条
12a 溝
13 筋目
14a 歯
16 ミシン目
【発明の属する技術分野】
本発明は、分離膜を用いて逆浸透技術、濾過技術等により流体の成分を分離するスパイラル型分離膜エレメントおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
流体の成分を分離するための逆浸透膜分離装置、限外濾過装置、精密濾過装置等の膜分離装置にスパイラル型分離膜エレメントが用いられている。図9はスパイラル型分離膜エレメントの一部切欠き斜視図である。
【0003】
図9に示すスパイラル型分離膜エレメント1は、透過液流路材3の両面に分離膜2を重ね合わせて3辺を接着することにより封筒状膜(袋状膜)4を形成し、その封筒状膜4の開口部を有孔中空管からなる集水管5に取り付け、ネット状(網状)の原液流路材6とともに集水管5の外周面にスパイラル状に巻回することにより構成される。
【0004】
図9に示すように、原液7はスパイラル型分離膜エレメント1の一方の端面側から供給される。供給された原液7は原液流路材6に沿って流れ、スパイラル型分離膜エレメント1の他方の端面側から濃縮液9として排出される。原液7が原液流路材6に沿って流れる過程で分離膜2を透過した透過液8が透過液流路材3に沿って集水管5の内部に流れ込み、集水管5の端部から排出される。
【0005】
上記のようなスパイラル型分離膜エレメントの製造の際には、原液流路材を挟んで分離膜を折り畳み、折り畳んだ分離膜および透過液流路材を一組の素材群(リーフ)とし、一組または複数組の素材群を重ね合わせて接着剤でシールしながら集水管の外周面に渦巻き状に巻き付ける。
【0006】
例えば、図10に示すように、原液流路材6を挟んで分離膜2を中央部で折り曲げて二つ折りにする。このように折り畳んだ分離膜2を複数枚作製し、透過液流路材3を間に挿入して複数枚の分離膜2を重ね合わせる。そして、透過液流路材3を介して背中合わせとなる各2枚の分離膜2の3辺を接着剤で接着しながら集水管5の外周面に渦巻き状に巻き付ける。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、スパイラル型分離膜エレメントは、肉厚、形状および材質の異なる素材群を接着剤でシールしながら集水管に渦巻き状に巻き付けることにより製造されるため、素材群に不均一なずれや皺が生じやすい。素材群のずれや皺は分離膜に欠陥を与え、またずれや皺が接着剤によるシール部分に及ぶとシールが不完全となり、原液が分離膜を透過せずに透過液側に流入する。それにより、分離膜エレメントの性能が著しく損なわれる。
【0008】
このようなずれや皺を生じさせないためには、まず第一に分離膜を巻き付け方向に対して正確に直角に折り畳むことが必要となる。分離膜を折り畳むとその折り目で分離膜に欠陥が生じるため、その欠陥から液体が透過しないように折り目の部分に粘着テープを貼って分離膜を保護する。その状態で、分離膜を直角に折り畳むために、分離膜を折り返し、折り返しの部分を手、板、ローラ等でしごいて折り目を形成する方法が行われている。
【0009】
しかしながら、通常、分離膜の幅は約1メートルと長いので、この方法では、折り目の直線度や直角度の精度が悪いという問題がある。その上、分離膜の折り目の位置は折り返す部分の長さで決まってしまうので、分離膜の所定の位置に十分に高精度で折り目を形成することが困難である。その結果、図11に示すように、折り目12が巻き付け方向Aに対して正確に垂直にならず、折り畳まれた分離膜2にずれが生じてしまう。
【0010】
また、分離膜の折り目に膨らみが残るため、複数の分離膜を積載したときに嵩張るとともに、積載位置の寸法精度が低下し、ひいては素材群の巻き付け時にずれが生じて欠陥が発生するという問題もある。
【0011】
本発明の目的は、分離膜の所定の位置に折り目が膨らむことなく正確に形成されたスパイラル型分離膜エレメントおよびその製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
第1の発明に係るスパイラル型分離膜エレメントは、原液流路材を挟んで折り畳んだシート状分離膜および透過液流路材を一組の素材群とし、一組または複数組の素材群を重ね合わせて有孔中空管の外周面に巻回してなるスパイラル型分離膜エレメントにおいて、分離膜の折り目の位置に溝状の筋目を形成したものである。
【0013】
これにより、分離膜が所定の位置に形成された筋目で正確かつ容易に折り畳まれ、また分離膜の折り目の部分に膨らみが生じないので、有孔中空管の外周面に巻回された素材群にずれや皺が生じない。したがって、分離膜に欠陥が発生せず、良好な分離性能が得られる。
【0014】
第2の発明に係るスパイラル型分離膜エレメントは、原液流路材を挟んで折り畳んだシート状分離膜および透過液流路材を一組の素材群とし、一組または複数組の素材群を重ね合わせて有孔中空管の外周面に巻回してなるスパイラル型分離膜エレメントにおいて、分離膜の折り目の位置に断続状の切れ目を形成し、分離膜の切れ目上に帯状のテープを貼着したものである。
【0015】
これにより、分離膜が所定の位置に形成された切れ目で正確かつ容易に折り畳まれ、また分離膜の折り目の部分に膨らみが生じないので、有孔中空管の外周面に巻回された素材群にずれや皺が生じない。したがって、分離膜に欠陥が発生せず、良好な分離性能が得られる。
【0016】
第3の発明に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造方法は、原液流路材を挟んで折り畳んだシート状分離膜および透過液流路材を一組の素材群とし、一組または複数組の素材群を重ね合わせて有孔中空管の外周面に巻回するスパイラル型分離膜エレメントの製造方法において、分離膜の所定の位置に溝状の筋目を形成した後、分離膜を筋目で折り畳むものである。
【0017】
これにより、分離膜を所定の位置に形成された筋目で正確かつ容易に折り畳むことができ、また分離膜の折り目の部分に膨らみが生じないので、一組または複数組の素材群を接着剤で接着しながら有孔中空管の外周面に巻回する際に、素材群にずれや皺が生じない。したがって、分離膜に欠陥のないスパイラル型分離膜エレメントを製造することが可能となる。
【0018】
第4の発明に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造方法は、原液流路材を挟んで折り畳んだシート状分離膜および透過液流路材を一組の素材群とし、一組または複数組の素材群を重ね合わせて有孔中空管の外周面に巻回するスパイラル型分離膜エレメントの製造方法において、分離膜の所定の位置に断続状の切れ目を形成し、分離膜の切れ目上に帯状のテープを貼着した後、分離膜を切れ目で折り畳むものである。
【0019】
これにより、分離膜を所定の位置に形成された切れ目で正確かつ容易に折り畳むことができ、また分離膜の折り目の部分に膨らみが生じないので、一組または複数組の素材群を接着剤で接着しながら有孔中空管の外周面に巻回する際に、分離膜にずれや皺が生じない。したがって、分離膜に欠陥のないスパイラル型分離膜エレメントを製造することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1および図2は本発明に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造方法における分離膜の折り畳み方法の一例を示す模式図であり、図1(a)および図2(a)は正面図、図1(b)および図2(b)は平面図である。
【0021】
まず、図1に示すように、分離膜2の所定の折り曲げ位置に粘着テープ10を貼り、筋目入れ装置を用いて粘着テープ10上から分離膜2に巻き付け方向Aに対して垂直に直線状の筋目を形成する。筋目入れ装置の上部金型11には直線状の突条11aが設けられ、下部金型12には直線状の溝12aが設けられている。
【0022】
これにより、図2に示すように粘着テープ10および分離膜2の中央部に巻き付け方向Aに対して垂直な直線状の筋目13が形成される。そして、粘着テープ10を内側にして原液流路材6(図7参照)を挟んで分離膜2を筋目13で折り畳む。
【0023】
図1および図2の方法で複数枚の分離膜2を作製し、図7に示すように、複数枚の分離膜2の間に透過液流路材3を挿入して重ね合わせ、透過液流路材3を介して背中合わせとなる各2枚の分離膜の3辺を接着剤で接着しながら集水管5の外周面に渦巻状に巻き付ける。
【0024】
図3および図4は本発明に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造方法における分離膜の折り畳み方法の他の例を示す模式図であり、図3(a)および図4(a)は正面図、図3(b)および図4(b)は平面図である。
【0025】
まず、図3に示すように、分離膜2の所定の折り曲げ位置にミシン目入れ装置を用いて巻き付け方向Aに対して垂直に直線状のミシン目16を形成する。ミシン目入れ装置は上部金型14および下部金型15を有し、上部金型14は、図5に示すように、波状の歯14aを有する。これにより、断続状の切れ目(破線状または点線状の切断部)からなるミシン目16が形成される。
【0026】
次に、図4に示すように、分離膜2のミシン目16上に粘着テープ10を貼り、断続状の切断部のシールを行う。そして、粘着テープ10を内側にして原液流路材6(図7参照)を挟んで分離膜2をミシン目16で折り畳む。
【0027】
図3および図4の方法で複数枚の分離膜2を作製し、図7に示すように、複数枚の分離膜2の間に透過液流路材3を挿入して重ね合わせ、透過液流路材3を介して背中合わせとなる各2枚の分離膜の3辺を接着剤で接着しながら集水管5の外周面に渦巻き状に巻き付ける。
【0028】
図8は本発明に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造方法の他の例を示す模式図である。
長尺状の分離膜2に、図1および図2の方法で巻き付け方向に対して垂直な複数の筋目13を形成するか、あるいは図3および図4の方法で巻き付け方向に対して垂直な複数のミシン目16を形成し、分離膜2をそれらの筋目13またはミシン目16で交互に逆方向に折り畳む。折り畳まれた分離膜2の間に原液流路材6および透過液流路材3を交互に挟み込む。原液流路材6が挟み込まれた分離膜2の折り目12が集水管5への巻き始め側の折り目となる。
【0029】
その後、透過液流路材3を介して対向する分離膜2の両側の2辺を接着剤で接着しながら折り畳まれた分離膜2を原液流路材6および透過液流路材3とともに折り目12から集水管5の外周面に渦巻き状に巻き付ける。
【0030】
このように、本発明に係る製造方法を用いることにより、分離膜2の所定の位置に折り目を膨らむことなく正確に形成することができ、欠陥のない優れたスパイラル型分離膜エレメントを製造することが可能となる。
【0031】
【実施例】
[実施例1]
分離膜2の中央部に巻き付け方向Aに対して垂直に粘着テープ10を貼り、筋目入れ装置を用いて粘着テープ10の中心に巻き付け方向Aに対して垂直に直線状の筋目13を形成した。原液流路材6を挟んで分離膜2を筋目13で折り曲げて二つ折りにした。このとき、図6に示すように、分離膜2を巻き付け方向Aに対して垂直な筋目13に沿って膨らむことなく正確に折り畳めることが確認できた。
【0032】
このようにして折り畳んだ分離膜2に透過液流路材3を重ね合わせて一組のリーフとし、30枚のリーフを作製して重ね合わせた。透過液流路材3を介して背中合わせとなる各2枚の分離膜2の3辺をウレタン樹脂で接着しながら集水管5の外周面に渦巻き状に巻き付け、スパイラル型分離膜エレメントを製造した。
【0033】
このようにして製造されたスパイラル型分離膜エレメントでは、集水管5に巻き付けられた素材群にずれや皺が全く発生せず、所定の性能が得られた。
【0034】
[実施例2]
分離膜2の中央部にミシン目入れ装置を用いて巻き付け方向Aに対して垂直に直線状のミシン目16を形成した。分離膜2のミシン目16上に粘着テープ10を貼り、断続状の切断部のシールを行った。原液流路材6を挟んで分離膜2をミシン目16で折り曲げて二つ折りにした。このとき、図6に示すように、分離膜2を巻き付け方向Aに対して垂直なミシン目16に沿って膨らむことなく正確に折り畳めることが確認できた。
【0035】
このようにして折り畳んだ分離膜2に透過液流路材3を重ね合わせて一組のリーフとし、30枚のリーフを作製して重ね合わせた。透過液流路材3を介して背中合わせとなる各2枚の分離膜2の3辺をウレタン樹脂で接着しながら集水管5の外周面に渦巻き状に巻き付け、スパイラル型分離膜エレメントを製造した。
【0036】
このようにして製造されたスパイラル型分離膜エレメントでは、集水管5に巻き付けられた素材群にずれや皺が全く発生せず、所定の性能が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造方法における分離膜の折り畳み方法の一例を示す模式図である。
【図2】本発明に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造方法における分離膜の折り畳み方法の一例を示す模式図である。
【図3】本発明に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造方法における分離膜の折り畳み方法の他の例を示す模式図である。
【図4】本発明に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造方法における分離膜の折り畳み方法の他の例を示す模式図である。
【図5】図3の折り畳み方法に用いられるミシン目入れ装置の歯を示す図である。
【図6】図1および図2の方法または図3および図4の方法により折り畳まれた分離膜を示す図である。
【図7】本発明に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造方法の一例を示す模式図である。
【図8】本発明に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造方法の他の例を示す模式図である。
【図9】スパイラル型分離膜エレメントの一部切欠き斜視図である。
【図10】従来のスパイラル型分離膜エレメントの製造方法による複数の分離膜を重ねた状態を示す模式図である。
【図11】従来のスパイラル型分離膜エレメントの製造方法により折り畳まれた分離膜を示す図である。
【符号の説明】
2 分離膜
3 透過液流路材
5 集水管
6 原液流路材
7 原液
8 透過液
9 濃縮液
10 粘着テープ
11,14 上部金型
12,15 下部金型
11a 突条
12a 溝
13 筋目
14a 歯
16 ミシン目
Claims (4)
- 原液流路材を挟んで折り畳んだシート状分離膜および透過液流路材を一組の素材群とし、一組または複数組の素材群を重ね合わせて有孔中空管の外周面に巻回してなるスパイラル型分離膜エレメントにおいて、前記分離膜の折り目の位置に溝状の筋目を形成したことを特徴とするスパイラル型分離膜エレメント。
- 原液流路材を挟んで折り畳んだシート状分離膜および透過液流路材を一組の素材群とし、一組または複数組の素材群を重ね合わせて有孔中空管の外周面に巻回してなるスパイラル型分離膜エレメントにおいて、前記分離膜の折り目の位置に断続状の切れ目を形成し、前記分離膜の切れ目上に帯状のテープを貼着したことを特徴とするスパイラル型分離膜エレメント。
- 原液流路材を挟んで折り畳んだシート状分離膜および透過液流路材を一組の素材群とし、一組または複数組の素材群を重ね合わせて有孔中空管の外周面に巻回するスパイラル型分離膜エレメントの製造方法において、前記分離膜の所定の位置に溝状の筋目を形成した後、前記分離膜を前記筋目で折り畳むことを特徴とするスパイラル型分離膜エレメントの製造方法。
- 原液流路材を挟んで折り畳んだシート状分離膜および透過液流路材を一組の素材群とし、一組または複数組の素材群を重ね合わせて有孔中空管の外周面に巻回するスパイラル型分離膜エレメントの製造方法において、前記分離膜の所定の位置に断続状の切れ目を形成し、前記分離膜の切れ目上に帯状のテープを貼着した後、前記分離膜を前記切れ目で折り畳むことを特徴とするスパイラル型分離膜エレメントの製造方法。
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