この発明は、搬入する材料の上面と下面とを同時に切削して仕上げることができる二面鉋盤に関する。
鉋盤は、一般に、回転する横鉋胴(水平方向に回転自在に配設する刃物胴であり、胴の周囲には、1ないし2以上の鉋刃が出没自在に埋設されている。以下、単に回転刃という)と、上下に昇降するテーブルとを備えている。
そこで、このものは、高さ位置が固定されている回転刃に対し、テーブルの相対高さを調節設定することにより、搬入する材料の切削量を調節することができる。
なお、上下2本の回転刃を平行に設け、上回転刃を上下動自在とすることにより、搬入される材料の上面と下面とを同時に仕上げる二面鉋盤を形成することができる。
かかる従来技術によるときは、テーブルは、下面の切削量を定めるために上下に移動させるから、前工程の挽割り用の鋸盤等と組み合わせて使用することが極めて難しいという問題があった。鋸盤から排出される材料は、鋸盤の送り面により、その高さ位置が決定されているにも拘らず、後続の鉋盤のテーブルは、切削量を調節するために高さが不定であり、鋸盤からの材料を円滑に搬入することができない場合が起り得るからである。
そこで、この発明の目的は、材料を搬入するテーブルを固定テーブルと下可動フレームとに分割することによって、前工程の鋸盤等と支障なく連結することができる二面鉋盤を提供することにある。
かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、材料の搬入位置に配設する固定テーブルと、固定テーブルに対して高さ調節可能に並設する下可動フレームと、固定テーブル、下可動フレームの上方に配設し、下可動フレームに対して上下に相対移動可能な上可動フレームと、下可動フレームに搭載する下回転刃と、上可動フレームに搭載する上回転刃とを備えることをその要旨とする。
なお、下可動フレーム、上可動フレームは、固定テーブルを備える固定フレームの前面に上下動自在に搭載することができ、さらに、両者は、ボールねじ軸を介して連結することができる。
かかる発明の構成によるときは、固定テーブルは、材料の搬入位置にあって高さが固定されているから、材料の搬入高さを前工程の鋸盤等の送り面と同一高さに合わせることにより、鋸盤等からの材料を円滑に搬入することができる。すなわち、固定テーブルは、搬入される材料の搬入高さを一定に固定することができるから、前工程の鋸盤等と何ら支障なく連結することができ、前工程の挽割り加工等に連続して所定の仕上げ加工を極めて能率よく実行することができる。一方、下可動フレームは、下回転刃を搭載するとともに、固定テーブルに対して高さ調節可能であるから、下可動フレームを上下に移動することにより、材料の下面の切削量を調節することができる。また、上回転刃を搭載する上可動フレームは、下可動フレームに対して上下に相対移動可能であるから、下可動フレームとの相対間隔を調節することにより、材料の上面の仕上げ高さ位置を任意に調節設定することができる。
下可動フレーム、上可動フレームを固定フレームの前面に搭載するときは、固定フレームは、下可動フレーム、上可動フレームを支持する共通の構造体として形成することができ、両者を支持するために個別の構造体を設ける必要がないから、全体構造を最も簡単にすることができる。
ボールねじ軸を介して下可動フレーム、上可動フレームを連結すれば、ボールねじ軸は、両者の相対間隔を任意に微細に調節設定することができる。
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
二面鉋盤は、固定テーブル13と、下可動フレーム21、上可動フレーム22と、下回転刃31、上回転刃32とを主要部材としてなる(図1)。ただし、固定テーブル13は、大形の固定フレーム10の一部として形成されており、矢印A方向に搬入する材料Bの搬入位置に対応して配設されている。
固定フレーム10は、ベース部11と、ベース部11の後部に高く突出する本体部12と、本体部12の前方において、ベース部11の左側端部に形成する固定テーブル13とから形成されている(図1、図2)。本体部12の前面には、左右一対のガイドレール14、14が上下方向に付設されている。
下可動フレーム21は、L字状に屈曲するフレーム体であり、固定テーブル13とともに、本体部12の前面のベース部11のほぼ全面を覆うことができる。すなわち、下可動フレーム21の後部は、本体部12と固定テーブル13との間の間隔に適合し、ベース部11とほぼ同幅に形成されている。また、下可動フレーム21の前部は、固定テーブル13と対になるように、ベース部11の上方右側端部に突出している。ただし、ベース部11の上方に突出する下可動フレーム21の前部は、下面が斜めに形成されている。
下可動フレーム21の背面には、ガイドレール14、14に適合する左右各一対のスライダ21a、21a…が付設されている。そこで、下可動フレーム21は、スライダ21a、21a…、ガイドレール14、14を介し、固定フレーム10の本体部12の前面に上下動自在に搭載されている。
下可動フレーム21の内部には、エアシリンダ21bが組み込まれている。エアシリンダ21bは、取付ベース21b1 を介してベース部11の上面に上向きに設置されており、ロッド21b2 の先端には、雄ねじ21b3 が形成されている(図3)。また、下可動フレーム21の天面の下面には、雄ねじ21b3 に適合するねじブラケット21b4 が取り付けられており、ロッド21b2 は、雄ねじ21b3 をねじブラケット21b4 にねじ込むことにより、下可動フレーム21に連結されている。
固定フレーム10の本体部12の前面には、下可動フレーム21の上方に突出するようにして、ストッパブロック21cが付設されている(図2、図4)。ストッパブロック21cには、調節ボルト21c1 が上向きにねじ込まれており、調節ボルト21c1 は、頭部が下可動フレーム21の天面に当接することにより、下可動フレーム21の上昇限を規定している。調節ボルト21c1 には、ロックナット21c2 が付設されている。
そこで、下可動フレーム21は、エアシリンダ21bを伸縮することにより、固定テーブル13に対して高さ調節可能に並設されている。なお、下可動フレーム21は、エアシリンダ21bを伸長させることにより、固定テーブル13よりも高く上昇させることができ、そのときの上昇限は、調節ボルト21c1 によって規制されている。また、下可動フレーム21は、エアシリンダ21bを短縮させることにより、固定テーブル13よりも低く下降させることができる。
上可動フレーム22は、板材により、上部開放の変形枠形に組み立てられている(図1、図2)。上可動フレーム22の背面には、ガイドレール14、14に適合する左右各一対のスライダ22a、22a…が付設されている。そこで、上可動フレーム22は、スライダ22a、22a…、ガイドレール14、14を介し、固定フレーム10の本体部12の前面に上可動自在に搭載されている。
本体部12の内部には、エアシリンダ22bが立設されている。エアシリンダ22bの下部は、ブラケット22b1 を介してベース部11に固定されており、ロッド22b2 は、連結金具22b3 を介し、上可動フレーム22の背面に突設するブラケット22b4 に連結されている。なお、ブラケット22b4 は、本体部12の前面に形成する上下に長い長孔12aを貫通している。
下可動フレーム21、上可動フレーム22は、ボールねじ軸23を介して連結されている(図1、図5)。ボールねじ軸23の上部は、ベアリング23a、23bを介し、上可動フレーム22の底部を回転自在に、しかも上下動不能に貫通している。なお、ベアリング23a、23bは、それぞれべアリングケース23a1 、23b1 に収納され、下方のベアリング23bの下部には、カラー23cが装着されている。ボールねじ軸23の上端部は、プーリ23d1 、タイミングベルト23d2 、プーリ23d3 を介し、モータ23d4 に連結されている。また、ボールねじ軸23の上端には、エンコーダ23eが連結されている。一方、ボールねじ軸23の下端部は、ボールねじブラケット23fにねじ込まれており、ボールねじブラケット23fは、筒状の取付ブラケット23f1 を介し、下可動フレーム21の上面に固定されている。
そこで、上可動フレーム22は、モータ23d4 を介してボールねじ軸23を正逆に回転させることにより、下可動フレーム21に対して上下に相対移動可能となっている。ただし、このとき、エアシリンダ22bは、上可動フレーム22を上方に押し上げることにより、ボールねじ軸23に負荷される上可動フレーム22の重量を実質的に極めて小さくすることができる。また、エンコーダ23eは、ボールねじ軸23の回転方向を検出し、回転量を計測することにより、下可動フレーム21、上可動フレーム22の相対間隔を検出し、外部に表示させることができる。
下回転刃31は、軸受31aを介し、下可動フレーム21の後部中央に搭載されている(図1、図6)。下回転刃31は、図示しない複数の鉋刃が胴の周囲に出没自在に埋設されており、上面に接触する材料Bの下面を切削することができる。下回転刃31は、軸端のベルト31bを介して駆動モータ31cに連結されており、駆動モータ31cは、下可動フレーム21に収納されている。ただし、下可動フレーム21の天面には、角孔21dが形成されており、ベルト31bは、角孔21dを介し、下回転刃31、駆動モータ31cを連結している。
下回転刃31の左右には、一対の受部材33、33が配設されている(図1、図7)。なお、上流側の受部材33は、固定テーブル13に搭載されており、下流側の受部材33は、下可動フレーム21に搭載されている。各受部材33の上端には、天板33aが付設されており、受部材33、33は、下回転刃31を両側から覆うことができるように、全体として断面きのこ形に形成されている。
受部材33、33の左右には、一対の消極駆動の送りローラ34、34が配設されている。各送りローラ34は、両端の軸受34a、34aを介し、下回転刃31、受部材33、33と平行に回転自在に支持されている。なお、上流側の送りローラ34は、固定テーブル13に搭載されており、下流側の送りローラ34は、下可動フレーム21に搭載されている。送りローラ34、34は、下回転刃31、受部材33、33より長く形成されており、下回転刃31、受部材33、33に対して後端を揃え、前端を前方に大きく突出して配設されている。また、上流側の送りローラ34は、上流側の受部材33に対し、ほぼ同一高さに配設されており、下流側の送りローラ34は、下回転刃31、下流側の受部材33とほぼ同一高さになっている。
なお、固定テーブル13、下可動フレーム21の間には、間隙dが形成されており、下回転刃31は、間隙dの上方に位置している。また、間隙dには、切削屑を吸引するために、サクションカバー35が上向きに装備されている。
上回転刃32は、下回転刃31に対応するようにして、軸受32aを介し、上可動フレーム22の中央部下面に搭載されている(図1、図6)。上回転刃32は、下回転刃31と同様の構成からなり、軸端のベルト32bを介し、駆動モータ32cに連結されている。ただし、駆動モータ32cは、上可動フレーム22内に固定されている。
上回転刃32の左右には、一対の押部材36、36が配設されている(図1、図7)。押部材36、36は、上回転刃32の下部を両側から覆うように、異形断面に形成されている。
上流側の押部材36は、屈曲する揺動アーム36aの先端に取り付けられている(図7、図8)。揺動アーム36aの基部は、支持軸36bの一端に固定されており、支持軸36bは、軸受36c、36cを介し、上可動フレーム22の上流側の側面に軸架されている。ただし、軸受36c、36cは、取付板36c1 、36c1 を介して固定されている。
揺動アーム36aの先端部上方には、別の支持軸36d1 を介して短ストロークのエアシリンダ36dが垂設されており、揺動アーム36aの先端部は、エアシリンダ36dを介して吊下されている。そこで、揺動アーム36aは、エアシリンダ36dを伸縮させることにより、支持軸36bのまわりに上下に揺動させることができる。なお、エアシリンダ36dを短縮させるとき、押部材36の下端は、上回転刃32の外周の最下部よりも所定の距離δ2 だけ上昇し、エアシリンダ36dを伸長させるとき、押部材36の下端は、上回転刃32の外周の最下部より僅かに下降するものとする。また、エアシリンダ36dは、そのエア圧を調節することにより、押部材36の下向きの押圧力を任意に調節設定することができる。
下流側の押部材36は、取付ブラケット36eを介して上可動フレーム22に固定されている。また、上回転刃32の上方には、切削屑を除去するために、サクションカバー37が下向きに装備されている。
押部材36、36の左右には、一対の積極駆動の送りローラ38、39が配設されている(図1、図6)。
上流側の送りローラ38は、材料Bの送り方向(図6、図7の矢印A方向)に多数の爪歯を形成する歯付きのローラであって、直結する駆動モータ38aとともに、揺動ブラケット38b上に組み付けられている。なお、揺動ブラケット38bは、支持軸38c上に固定されており、支持軸38cは、図示しない軸受を介し、上可動フレーム22の下面に回転自在に装着されている。支持軸38cの後端には、アーム38dが突設され、アーム38dの先端は、エアシリンダ38eのロッドに連結されている。また、エアシリンダ38eの基部は、ブラケット38e1 を介し、上可動フレーム22の側面上部に固定されている。
そこで、上流側の送りローラ38は、駆動モータ38aにより、材料Bを送り方向に積極駆動することができるとともに、揺動ブラケット38b、支持軸38cを介し、上下動可能となっている。なお、送りローラ38の押圧力は、エアシリンダ38eを伸長方向に付勢するとともに、そのエア圧を調節することにより、送りローラ38、駆動モータ38aの自重に拘らず、所定の小さい値に調節設定することができる。
下流側の送りローラ39は、平滑なローラであって、その表面は、適度の弾性を有する弾性材料によってカバーされている。送りローラ39は、直結する駆動モータ39aとともに、揺動ブラケット39b上に組み付けられている。揺動ブラケット39bは、支持軸39c上に固定されており、支持軸39cは、図示しない軸受を介し、上可動フレーム22の下面に回転自在に装着されている。支持軸39cの前端には、アーム39dが突設されており、アーム39dの先端は、エアシリンダ39eのロッドに連結されている。エアシリンダ39eの基部は、ブラケット39e1 、取付ベース39e2 を介し、上可動フレーム22の内面上部に固定されている。
そこで、下流側の送りローラ39は、上流側の送りローラ38と同様にして、駆動モータ39aによって材料Bを積極駆動することができるとともに、揺動ブラケット39b、支持軸39cを介して上下動可能となっている。また、送りローラ39の押圧力は、エアシリンダ39eを短縮方向に付勢するとともに、そのエア圧を調節することにより、所定の小さい値に調節設定することができる。
かかる二面鉋盤は、図示しない鋸盤の後方に設置して使用する(図1)。ただし、ここでは、材料Bは、上下に配設する鋸盤の鋸刃S、Sによって挽き割られ、製品側B1 、半製品側B2 となって二面鉋盤に搬入されるものとする。
二面鉋盤は、下回転刃31、上回転刃32の先端が材料Bの挽割り線Bs に一致するように、鋸盤の後方に設置する。また、このとき、固定テーブル13の高さは、上流側の受部材33の上面、上流側の送りローラ34の外周の最上部が鋸盤の送り面に一致するように設定するものとする。なお、固定テーブル13の高さは、たとえば、ベース部11との間に図示しないライナを介装することによって微調整することができる。
一方、下可動フレーム21は、下回転刃31の外周の最上部が上流側の受部材33の上面より材料Bの下面の切削量δ1 に相当するだけ高くなるように、調節ボルト21c1 を介して上昇限を設定する(図7)。なお、このとき、エアシリンダ21bを短縮して下可動フレーム21を下降させると、下回転刃31、下流側の受部材33、下流側の送りローラ34は、いずれも上流側の受部材33より低く下降するものとする。
上可動フレーム22は、ボールねじ軸23を介し、下可動フレーム21との相対間隔を設定する。すなわち、両者の相対間隔は、下回転刃31、上回転刃32の間隔が、材料Bの上面、下面を切削した後の仕上げ高さに一致するように調節設定する。なお、上流側の押部材36は、エアシリンダ36dを短縮させ、上回転刃32の外周の最下部より距離δ2 だけ上方に退避させておく。ただし、距離δ2 は、上回転刃32によって得られる材料Bの上面の最大切削量に相当する。
このようにして二面鉋盤の各部を設定した後、下回転刃31、上回転刃32、積極駆動の送りローラ38、39を所定方向に回転し、鋸盤を介して材料Bを搬入すると、材料Bは、下回転刃31、上回転刃32に対応する製品側B1 の下面、上面が同時に切削される一方、半製品側B2 は、いずれの面も切削されることなく、二面鉋盤の後方に排出することができる。製品側B1 は、送りローラ38、39を介して積極送りされるとともに、下回転刃31、上回転刃32によって下面、上面が切削されるが、半製品側B2 は、送りローラ34、34を介し、そのまま後方に排出することができるからである。なお、このようにして排出される半製品側B2 は、鋸盤の前方に戻した上、挽割り加工を繰り返すことにより、新たな製品側B1 、半製品側B2 に加工することができる。
また、エアシリンダ36dを伸長して上流側の押部材36を上回転刃32よりも低く下降させれば、製品側B1 の上面の切削加工を停止させることができる。また、エアシリンダ21bを短縮して下可動フレーム21を下降させ、下回転刃31を上流側の受部材33よりも低くすれば、製品側B1 の下面の切削加工を停止させることができる。
他の実施の形態
上流側の受部材33は、下回転刃31と平行に前後動可能に設置することができる(図9)。
受部材33は、後方の作動用天板33a1 、前方の退避用天板33a2 を備えており、退避用天板33a2 は、作動用天板33a1 より低く、ボルト33a3 、33a3 を介し、作動用天板33a1 の前端に連結されている(図10)。作動用天板33a1 の下面には、スライダ33b、33bが付設され(図9、図11)、スライダ33b、33bは、スライドレール33cに対し、摺動自在に嵌合している。ただし、スライドレール33cは、前後に長い取付ブラケット33d上に配設されており、取付ブラケット33dは、ベース板33eを介して固定テーブル13上に固定されている。また、作動用天板33a1 の後端には、エアシリンダ33fのロッドが連結されており、エアシリンダ33fの基部は、ブラケット33f1 、ベース片33f2 を介し、固定フレーム10の本体部12の前面に連結されている。
そこで、受部材33は、エアシリンダ33fを短縮させることにより後方に退避し、退避用天板33a2 が下回転刃31に対応する退避位置(図9、図11の実線)をとることができ、エアシリンダ33fを伸長させることにより前方に前進し、作動用天板33a1 が下回転刃31に対応する作動位置(図11の二点鎖線)をとることができる。
作動用天板33a1 は、上流側の送りローラ34の外周の最上部とほぼ同一高さに設定されており(図12)、退避用天板33a2 は、上流側の送りローラ34の外周の最上部より十分低く設定されている。また、エアシリンダ21bを介して下可動フレーム21を下降させると、下回転刃31、下流側の受部材33、下流側の送りローラ34は、いずれも退避用天板33a2 よりも低く下降させることができる(同図の実線)。
すなわち、材料Bの製品側B1 の下面の切削を停止するときは、上流側の受部材33を退避位置に駆動し、上流側の送りローラ34と退避用天板33a2 との間に十分大きなクリアランスδ3 を確保することにより、製品側B1 が不用意に受部材33と干渉するおそれがない。また、上流側の受部材33を作動位置に駆動するとともに、下可動フレーム21を介して下回転刃31の外周の最上部が作動用天板33a1 の上面よりも切削量δ1 に相当するだけ高くなるように、下回転刃31、下流側の受部材33、下流側の送りローラ34を上昇させれば(同図の二点鎖線)、材料Bの下面を切削することができる。
材料Bの下面の切削量δ1 を規定する調節ボルト21c1 に対応して、2種類のライナ24、24を下可動フレーム21上に進退自在に設置することができる(図13、図14)。ただし、ここでは、調節ボルト21c1 は、ストッパブロック21cの下面に上向きにねじ込まれており、ロックナット21c2 は、ストッパブロック21cの下面側に装着されている。
ライナ24、24は、それぞれ対応するエアシリンダ24aに連結されており、各エアシリンダ24aは、ベース板24bを介して下可動フレーム21上に設置されている。各ライナ24は、対応するエアシリンダ24aを伸長させることにより、調節ボルト21c1 の直下に個別に進出させることができ、エアシリンダ24aを短縮させることにより、調節ボルト21c1 の直下から退去させることができる。ただし、ライナ24、24は、互いに異なる厚さを有するものとする。
ライナ24、24の双方を調節ボルト21c1 の直下から退去させると、下可動フレーム21は、最も高く上昇させ、材料Bの下面の切削量δ1 を最大に設定することができ、ライナ24、24の一方を進出させると、進出させたライナ24の厚さに応じて、切削量δ1 を小さく設定することができる。たとえば、ライナ24、24の双方を退去させるときの最大の切削量δ1 =3.0(mm)とし、ライナ24、24の各厚さを1.6mm、2.3mmとすると、各ライナ24を進出させるときの切削量δ1 は、それぞれδ1 =3.0−1.6=1.4(mm)、δ1 =3.0−2.3=0.7(mm)に調節設定することが可能である。
なお、下可動フレーム21上には、上可動フレーム22に当接する安全用のストッパ25を立設することができる(図15)。ストッパ25には、調節用のストッパボルト25aが下向きにねじ込まれており、ロックナット25a1 が付設されている。ストッパ25は、下可動フレーム21、上可動フレーム22の相対間隔の最小値を規制することにより、下可動フレーム21、上可動フレーム22が極端に接近し、下回転刃31、上回転刃32が接触する不測の事故を防止することができる。ただし、ストッパ25は、下可動フレーム21上に立設するに代えて、上可動フレーム22に対し、下向きに配設してもよい。
下回転刃31、上回転刃32の各前端は、補助ベアリング31d、32dを介して回転自在に支承することができる(図16)。補助ベアリング31d、32dは、それぞれ補助ブラケット31d1 、32d1 を介して支持されており、補助ブラケット31d1 、32d1 は、それぞれ、下流側の受部材33の前端面、下流側の押部材36の前端面に対し、ボルト31d2 、31d2 …、32d2 、32d2 …を介して固定されている。補助ベアリング31d、32dは、下回転刃31、上回転刃32の支持形式を両支持形式にすることができ、下回転刃31、上回転刃32の支持剛性を向上させることができる。
なお、下回転刃31用の補助ブラケット31d1 には、補助カバー35aを着脱自在に付設することができる(同図)。補助カバー35aは、補助ブラケット31d1 を覆うとともにサクションカバー35の前縁部分を上方から覆い、サクションカバー35による切削屑の除去効果を向上させる。
以上の説明において、二面鉋盤の前方に配設する鋸盤は、1枚の鋸刃Sのみを有する一般的な丸鋸盤であってもよく、帯鋸盤であってもよい。また、材料Bの製品側B1 の側面を切削する一面鉋盤であってもよい。なお、二面鉋盤の後方には、製品側B1 、半製品側B2 を分離させ、半製品側B2 を鋸盤等の前方にまで戻す自動仕分け装置を設置してもよい。さらに、この発明に係る二面鉋盤は、鋸盤等と組み合わせることなく、単独使用も可能であることは勿論である。
全体構成斜視説明図
主要部材構成斜視図(1)
要部拡大断面図(1)
要部拡大側面図
要部拡大断面図(2)
主要部材構成斜視図(2)
要部拡大正面図
要部斜視図
他の実施の形態を示す要部斜視図(1)
図9の要部分解斜視図
図9のX矢視相当説明図
図7相当の動作説明図
他の実施の形態を示す要部斜視図(2)
図13のY矢視相当図
他の実施の形態を示す要部斜視図(3)
他の実施の形態を示す要部分解斜視図
符号の説明
B…材料
10…固定フレーム
13…固定テーブル
21…下可動フレーム
22…上可動フレーム
23…ボールねじ軸
31…下回転刃
32…上回転刃
特許出願人 株式会社 共和キカイ
代理人 弁理士 松 田 忠 秋