JP3569701B2 - 同軸ダイポールセンサーおよび地中電界検出システム - Google Patents

同軸ダイポールセンサーおよび地中電界検出システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は空中・地中・水中・構造物内・生体内等の媒質空間に存在する電磁波動の電界成分を検出する同軸ダイポールセンサーであって、特に例えば地中の深部の自然電磁波を検出する場合に好適な同軸ダイポールセンサーおよびそれを用いた地中電界検出システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、エネルギーが形を変える場合に必ず振動や波動が発生するが、それらの振動や波動の内の電磁波動を検出し、発生源を特定して、エネルギー形態の変化を知ることにより、そこで起こっている現象を明らかにすることができる。特に、地中の深部の自然電磁波を精度良く検出できれば、地中における自然現象の解明につながり、ひいては地震予知に寄与する可能性を有している。
【0003】
従来、空間の電界を検出するためには、図7(a)に示すように直線状に配置された一対の検出導体1a、1bと、2つの検出導体1a、1bの電位差成分を取出す信号取出用ケーブル2とからなるダイポールアンテナ式の電界検出センサーを用いるのが一般的であった。このような従来のダイポールアンテナ式の電界検出センサーは、信号取出用ケーブル2が検出導体1a、1bの中央から直角方向にT字型に配置されているため、信号取出用ケーブル2が2つの検出導体1a、1bに対して与える電気的影響は均等である。このため、信号取出用ケーブル2に雑音電流が流れている場合でも、これにより2つの検出導体1a、1bに誘起される雑音電圧はバランスしており、信号取出ケーブル2によって2つの検出導体1a、1bの電位差成分を取出すので、雑音電圧は相殺され、検出導体により検出された空間の電界成分のみが検出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、地中の深部の自然電磁波による電界成分を検出するには、地面に小さな直径の深い穴を掘り、その中に電界検出センサーを挿入する必要があり、このような狭隘な穴に従来のダイポールアンテナ式の電界検出センサーを挿入するには、図7(b)に示すように検出導体の一方側1bに沿わせて信号取出用ケーブル2を引出すことを余儀なくされる。このため、信号取出用ケーブル2が2つの検出導体1a、1bに与える電気的影響に不平衡を生じ、信号取出用ケーブルに流れる雑音電流によって信号取出用ケーブル2には大きな雑音信号が現れる。一般に、信号取出用ケーブルに流れる雑音電流を完全に取除くことは困難であり、地中の自然電磁波のように極めて微弱な信号は、かかる雑音信号に埋もれて検出できなくなるという問題があった。
【0005】
また、通常のダイポールアンテナは、検出導体全体の長さを半波長とする電磁波によって誘起された定在波信号を検出することを目的とするが、ここでは自然電磁波を検出することを目的とするので、任意の波長の電磁波を検出できることが要求される。この場合、検出導体に同調しない波長の電磁波は信号取出用ケーブル2にも高周波電流を分布させることになるが、その高周波電流が2つの検出導体1a、1bに不平衡電圧を発生させ、これが出力信号に重畳される。これにより、アンテナの指向性パターンに大きな歪を生じ、かつその歪は受信される電磁波の波長によって異なるため、電界検出位置が不明となり、媒質空間の電界値を精度良く検出できないという問題があった。
このようなことは、図7(c)のような同軸スリーブアンテナを用いた場合でも同様の問題を生ずる。
【0006】
一方、かかる信号取出用ケーブルが検出導体に与える影響を回避するために、例えば特開平9−269345に開示されているような光電界センサーを使用する方法が考えられる。これは、透明な固体や液体に電場を加えたときに屈折率が変化する電気光学効果を利用したもので、図8に示すように検出導体1aと1bの間に光導波路3を設け、これに光ケーブル4を用いて光源5からレーザ光を供給し、光導波路3を通過した光の強度を光−電気変換器6により電気信号に変換する。このように、光電界センサーではレーザ光の供給や検出された光信号の取出には光ケーブルを使用するので、検出導体1a、1bに対して電気的影響を与えることはなく、検出導体によって検出された自然電磁波の電界成分のみを取出すことができる。
【0007】
しかしながら、かかる従来の光電界センサーは、検出導体により検出された電界を光の強度に変換して検出するので、光源の光量の揺らぎや光ケーブルの振動による伝播特性の変化および地上での光−電気変換器における低周波雑音等によって出力信号に雑音を生じ、数十KHz以下の低周波の電界値を精度良く検出することは困難であるとされている。
地中の自然電磁波の検出においては、空電の少ない3KHz以下の低周波の電磁波によって有意な信号を検出できる場合が多いことから、電界検出センサーとしては特に低周波の電界値を信頼性よく検出できることが要求される。
このようなことから、従来の光電界検出センサーを地中の自然電磁波のように低周波の電磁波を含む任意の波長を有する電磁波の検出に適用することは信頼性の観点から問題があった。
【0008】
それゆえに、本願発明の主たる目的は、狭隘な空間に挿入可能であって、低周波の電磁波を含む任意の波長を有する電磁波の電界値を精度良く検出できるセンサーを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の同軸ダイポールセンサーは、先端側検出導体と信号取出側検出導体とからなる一対の中空の検出導体と、検出導体により検出された信号を取出すケーブルであってその先端部が信号取出側検出導体の内側を通された信号取出用同軸ケーブルと、信号取出用同軸ケーブルと同等の特性を有するケーブルであって先端側検出導体の内側を通された補償用同軸ケーブルと、先端側検出導体と信号取出側検出導体の差動信号を信号取出用同軸ケーブルに供給する差動増幅器と、差動増幅器の出力信号を反転して補償用同軸ケーブルに供給する反転増幅器とを備えたものである。
一対の検出導体はダイポールの電界検出素子を構成し、信号取出用同軸ケーブルの先端部は信号取出側検出導体の内側を通され、補償用同軸ケーブルは先端側検出導体の内側を通されるので、狭隘な空間に挿入することができる。
また、先端側検出導体と信号取出側検出導体の差動信号が差動増幅器によって信号取出用同軸ケーブルに供給されるとともに、差動増幅器の出力信号が反転増幅器によって反転されて補償用同軸ケーブルに供給され、信号取出用同軸ケーブルから信号取出側検出導体に誘起される信号と補償用同軸ケーブルから先端側検出導体に誘起される信号とが波長に関係無くバランスするので、信号取出用同軸ケーブルに誘起重畳された雑音電流や高周波電流分布により検出導体に誘起される雑音信号は出力に現れず、検出導体によって検出された自然電磁波の電界成分のみを精度良く取出すことができる。
尚、差動増幅器や反転増幅器の電源にはバッテリを使用することで、電源ケーブルからの誘導ノイズを防止して、任意の波長を有する電磁波の電界値を精度良く検出することができる。
【0010】
請求項2に記載の同軸ダイポールセンサーは、請求項1に記載の同軸ダイポールセンサーであって、信号取出側検出導体は差動増幅器の反転入力に接続され、先端側検出導体は差動増幅器の非反転入力に接続されたものである。
信号取出側検出導体で検出された信号は差動増幅器の反転入力に供給されるので、信号取出用同軸ケーブルには信号取出側検出導体で検出された信号の逆相信号が供給される。また、先端側検出導体で検出された信号は差動増幅器の非反転入力に供給されるが、差動増幅器の出力は反転増幅器によって反転されるので、補償用同軸ケーブルにも先端側検出導体で検出された信号の逆相信号が供給される。これにより、検出導体により検出された信号を信号取出用同軸ケーブルや補償用同軸ケーブルに供給しても発振現象を起こすことがなく、任意の波長を有する電磁波の電界値を精度良く安定に検出することができる。
【0011】
請求項3に記載の同軸ダイポールセンサーは、請求項1または請求項2に記載の同軸ダイポールセンサーであって、検出導体には2重シールド同軸ケーブルの外側の外導体が用いられ、信号取出用同軸ケーブルの先端部と補償用同軸ケーブルには2重シールド同軸ケーブルの内導体と内側の外導体とが用いられたものである。
2重シールド同軸ケーブルを使用することで、検出導体内に信号取出用同軸ケーブルの先端部と補償用同軸ケーブルを通した同軸ダイポールセンサーが容易に構成できる。また、検出導体部分は2重シールド同軸ケーブルによって構成されるので、信号取出用同軸ケーブルを巻き取るケーブル巻き取り機によって検出導体部分も巻き取ることができ、媒体空間への挿入・引出しや収納が容易となる。尚、検出導体部分以外の信号取出用同軸ケーブルについても同一の2重シールド同軸ケーブルを使用し、信号取出側検出導体の終端部において外側の外導体を分離するようにしてもよい。
【0012】
請求項4に記載の同軸ダイポールセンサーは、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の同軸ダイポールセンサーであって、電界を検出する媒質空間との電気的接触を防止する絶縁手段を備えたものである。
絶縁手段を設けることにより同軸ダイポールセンサーを媒質空間から絶縁できるので、媒質空間に導電性の物質を含んでいても、任意の波長を有する電磁波の電界値を精度良く検出することができる。
また、検出導体と差動増幅器や反転増幅器等の電子回路とを絶縁シースに収容して一体構造化するようにしてもよい。一体構造化することにより、狭隘な媒質空間に容易に挿入できるようになる。
また、絶縁手段に防水機能を備えるようにしてもよい。これにより、地下水を有する地中や水中等の媒質空間内であっても、任意の波長を有する電磁波の電界値を精度良く検出することができる。
尚、絶縁手段は必ずしも検出導体側に設ける必要は無く、媒質空間に設けた穴側に設けるようにしてもよい。
【0013】
請求項5に記載の同軸ダイポールセンサーは、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の同軸ダイポールセンサーであって、差動増幅器および反転増幅器の電源として太陽電池が用いられ、太陽電池に光を供給する光ケーブルを備えたものである。
これにより、差動増幅器や反転増幅器に供給する電源にバッテリを使用した場合と同様に、電源ケーブルによる誘導ノイズを防止でき、かつバッテリの消耗の問題が無いので、長時間安定に電界値を検出できる。
また、差動増幅器と反転増幅器と太陽電池とを含む電子回路を集積回路化することにより超小型の同軸ダイポールセンサーを構成することができ、構造物内や生体内等のより狭隘な媒質空間内の電界値を精度良く検出することが可能となる。
【0014】
請求項6に記載の地中電界検出システムは、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の同軸ダイポールセンサーであって地中の電界を検出する地中電界検出センサーと、地中電界検出センサーと同等の特性を有し地上の電界を検出する地上電界検出センサーと、地中電界検出センサーにより検出された信号と地上電界検出センサーにより検出された信号とを同時に周波数分析する周波数分析手段と、周波数分析手段により分析された地中電界検出センサーの周波数分析結果と地上電界検出センサーの周波数分析結果とを対比して表示する表示手段とを備えたものである。
地中の電界を検出する地中電界センサーを地中に挿入するとともに、地中電界センサーと同等の特性を有する地上電界センサーを地上に設け、2つのセンサーからの信号を同時に周波数分析し、その周波数分析結果を対比して表示するようにしたので、検出された電磁波が地中起源のものか地上起源のものかを容易に判断でき、地中起源の現象をより確実に捉えることができるようになる。
【0015】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1に本願発明の一実施形態にかかる同軸ダイポールセンサーの回路構成を示す。図において、10aは先端側検出導体、10bは信号取出側検出導体、12は信号取出用同軸ケーブル、14は補償用同軸ケーブル、16は差動増幅器、18は反転増幅器である。検出導体10a、10bには中空の導体が使用され、信号取出側検出導体10bの内側には信号取出用ケーブル12の先端部が通され、先端側検出導体10aの内側には補償用同軸ケーブル14が通されている。差動増幅器16は、信号取出用同軸ケーブル12の外導体(シールドメッシュ)と補償用同軸ケーブル14の外導体(シールドメッシュ)とを接続したものを基準電圧として、反転入力に信号取出側検出導体10bが接続され、非反転入力に先端側検出導体10aが接続されている。差動増幅器16の出力は信号取出用同軸ケーブル12の内導体(芯線)に接続されるとともに、反転増幅器18の入力に接続され、反転増幅器18の出力は補償用同軸ケーブル14の内導体(芯線)に接続されている。
【0017】
このように、上記実施形態の同軸ダイポールセンサーは、信号取出側検出導体10bに信号取出用同軸ケーブル12の先端部を通し、これに検出導体10a、10bにより検出された差動信号を供給するとともに、先端側検出導体10aに信号取出用同軸ケーブル12と同等の特性を有する補償用同軸ケーブル14を通し、これに検出導体の差動信号を反転した信号を供給することにより、信号取出用同軸ケーブル12から信号取出側検出導体10bに与える電気的影響を相殺して、一対の検出導体間の電気的平衡を厳密に保つようにしたものである。
【0018】
次に、上記回路構成により信号取出用同軸ケーブル12に誘起あるいは混入された雑音信号が相殺されて、媒質空間の電界成分を検出できることを説明する。ここで、図1の回路構成において、先端側検出導体10aの接地(GND)に対する電位をV、信号取出側検出導体10bの接地(GND)に対する電位をV、信号取出用同軸ケーブル12の外導体に重畳される雑音信号の接地(GND)に対する電位をV、同軸ケーブル12、14の内導体(芯線)から検出導体への電位結合係数をη、同軸ケーブル12、14の外導体(シールドメッシュ)から各検出導体への電位結合係数をη、差動増幅器16の出力の接地(GND)に対する電位をV、反転増幅器18の出力の接地(GND)に対する電位をV、媒質空間に存在する電界により検出導体間に誘起される電圧をV(すなわち、先端側検出導体10aの電圧は接地電位に対してV/2、信号取出側検出導体10bの電圧は接地電位に対して−V/2)と定義する。
【0019】
差動増幅器16と反転増幅器18は、ここでは広帯域オペアンプを使用し、入力抵抗および帰還抵抗をいずれもRとすることによって、それぞれゲイン1の差動増幅器と反転増幅器を構成している。また、Rは差動増幅器16および反転増幅器18の出力インピーダンスを同軸ケーブル12、14と整合を取るための整合抵抗である。
【0020】
反転増幅器18の出力電位Vは、Vを基準として差動増幅器16の出力電圧を反転したものであるから、
=−(V−V)+V=−V+2V
【0021】
先端側検出導体10aの電位Vは、媒質空間の電界によって誘起される電圧に補償用同軸ケーブル14の内導体と外導体からの誘導が加算されるので、
Figure 0003569701
【0022】
信号取出側検出導体10bの電位Vは、媒質空間の電界によって誘起される電圧に信号取出用同軸ケーブル12の内導体と外導体からの誘導が加算されるので、
=−V/2+η+η
【0023】
差動増幅器16の出力電位Vは、Vを基準としてVとVの差分をとったものであるから、
=V−V+V
ここで、上記VとVを代入すると、
=V−2η+2η+V
よって、
=V/(1+2η)+V
【0024】
信号取出用同軸ケーブル12によって取出される出力信号Voutは、内導体の電位Vから外導体の電位Vを差引いたものであるから、
Figure 0003569701
となり、信号取出用同軸ケーブル12に誘起される雑音信号Vは相殺され、出力信号Voutには現れてこないことがわかる。
【0025】
これに対して、反転増幅器18を取除いて補償用同軸ケーブル14の内導体(芯線)に信号Vを供給しなかったと仮定した場合について解析する。
先端側検出導体10aの電位Vは、
=V/2+η
であり、信号供給側検出導体10bの電位Vは前述の場合と同じであるから、差動増幅器16の出力電位Vは、
Figure 0003569701
よって、
=(V+V)/(1+η
従って、この場合の出力電圧Vout´は
Figure 0003569701
となり、信号取出用同軸ケーブル12に誘起される雑音信号Vが出力Vout´に含まれ、媒質空間の電界により検出導体に誘起される電圧Vのみを検出することができない。
【0026】
一般に、高感度のセンサーで問題となるのは信号取出用ケーブルに重畳した誘起電流がセンサー素子に混入することであり、その雑音成分を除去することは極めて難しい。本願発明の同軸ダイポールセンサーはその雑音成分を除去するのではなく、一対の検出導体の両側にその成分を等しく重畳させた後、一対の検出導体の差動信号を取ることにより雑音成分をキャンセルさせる方式を採ったものである。この結果、出力信号からは不要雑音成分を除去されて良好な信号対雑音比(S/N)を得ることができ、精度良く媒質空間の電界成分を検出できるようになった。
【0027】
また、上記実施形態の同軸ダイポールセンサーは、信号取出用同軸ケーブル12の内導体と補償用同軸ケーブル14の内導体とは電気的に切り離されており、信号取出側検出導体10bは差動増幅器16の反転入力に接続され、差動増幅器16の出力が信号取出用同軸ケーブル12に供給されるとともに、先端側検出導体10aは差動増幅器16の非反転入力に接続され、差動増幅器16の出力が反転増幅器18で反転されて補償用同軸ケーブル14に供給されているので、信号取出側検出導体10bと信号取出用同軸ケーブル12との間と、先端側検出導体10aと補償用同軸ケーブル14の内導体との間は、いずれも逆相になっており発振現象を生じることがなく、媒質空間の電界値を精度良く安定に検出できる。また、差動増幅器16において検出導体10aと10bの差動信号を増幅して信号取出用同軸ケーブル12に供給するとともに、増幅した信号を反転増幅器18で反転して補償用同軸ケーブル14に供給することも可能であり、これにより、信号取出用同軸ケーブル12から誘起される雑音信号を相殺した上で、検出導体により検出された媒質空間の電界成分を増幅して取出すことができるので、更に信号対雑音比(S/N)の優れた電界検出センサーを得ることができる。尚、その場合の出力電圧Voutは、増幅率をαとすると次の式で表される。
out=αV/(1+2αη
【0028】
図2に、上記実施形態の同軸ダイポールセンサーを用いて地中の電界検出試験を行った結果を示す。これは、地中に非導電性の防水パイプを用いて直径10cm、深さ100mの穴を設け、本願発明の同軸ダイポールセンサーを挿入したときの出力信号を信号解析システムによって周波数分析し、その時間変化(履歴)を記録したものである。信号解析システムの詳細については後述する。図において、縦軸は周波数、横軸は時間であり、スペクトルの強度は色で表している。図中横方向に一定の強いスペクトルが見られるのは商用電源周波数(60Hz)の高調波成分である。
【0029】
尚、上記地中の電界検出試験に使用した同軸ダイポールセンサーは、信号取出用同軸ケーブル12に2重シールド同軸ケーブルを用い、先端部の外側の外導体(シールドメッシュ)を検出導体分の長さを残して切断して信号取出側検出導体10bとするとともに、補償用同軸ケーブル14にも2重シールド同軸ケーブルを用い、その外側の外導体(シールドメッシュ)を同じ長さの先端側検出導体10aとした。このように、検出導体として2重シールド同軸ケーブルの外側の外導体(シールドメッシュ)を使用することで、検出導体部分についても信号取出用同軸ケーブルとともにケーブル巻取機によって巻き取ることが可能となり、穴に対してセンサーを挿入・引出する際の取扱いや測定しないときの収納が容易となった。検出導体の長さは一片が10mで、外形が約7mm、信号取出用同軸ケーブルを含めた全長は約100mである。
また、差動増幅器16と反転増幅器18の電源は、電源ケーブルを介して不要雑音が混入するのを防止するため、電子回路の直近にバッテリを設けて供給するようにした。
【0030】
図2において、16:20までは補償用同軸ケーブル14に反転増幅器18の信号Vを供給していない同軸ダイポールセンサーの測定結果を示しており、16:20から17:10に補償用同軸ケーブル14に反転増幅器18の信号Vを供給した同軸ダイポールセンサーへの交換作業を行い、17:10以降は本願発明の同軸ダイポールセンサーによる測定結果を示す。図に示すように、補償用同軸ケーブル14に反転増幅器18の信号Vを供給していない同軸ダイポールセンサーでは、スペクトルの背景に様々の不要雑音電圧によって生じた模様が現れていたが、本願発明の同軸ダイポールセンサーに交換後は、不要雑音電圧による背景の模様は消えており、本願発明によって不要雑音電圧が抑制され、良好な信号対雑音比(S/N)が得られることが確認された。
【0031】
上記実施形態では、信号取出用同軸ケーブルの先端部の信号取出側検出導体部分以外にも2重シールド同軸ケーブルを用いたが、先端部以外は通常の1重シールド同軸ケーブルを用い、信号取出側検出導体の終端部において2重同軸ケーブルの最外導体(シールドメッシュ)を1重同軸ケーブルの外導体(シールドメッシュ)に接続するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0032】
上記実施形態では、検出導体には2重シールド同軸ケーブルの外側の外導体を使用するとして説明したが、アルミ等による円筒状の金属パイプを使用し、その中を信号取出用同軸ケーブルや補償用同軸ケーブルを通すようにしてもよい。
このように、検出導体に円筒状の金属パイプを使用することで、高周波の電磁波に対する感度を向上させることができる。
【0033】
上記実施形態では、地中に設けた穴に非導電性パイプを設置し、センサーが地下水等の導電性物質に曝されることによる誤動作を防止するようにしたが、センサー側に非導電性の防水被覆を設けるようにしてもよいことはいうまでもない。これにより、地下水等の導電性物質が露出している地中や液体中に直接挿入して、電界を検出することが可能となる。
【0034】
上記実施形態では、差動増幅器と反転増幅器の電源は直近に設けたバッテリから供給するとして説明したが、差動増幅器と反転増幅器の直近に太陽電池を設け、これに信号取出用同軸ケーブルに併設した光ケーブルによって外部から光を供給するようにしてもよい。
これにより、信号取出用同軸ケーブルや検出導体に対して誘導を与えることなく、差動増幅器と反転増幅器に連続的に電源を供給することができる。バッテリ式の場合には、長時間連続的に電界を検出するためには大きなバッテリをセンサー内に収容する必要があるが、太陽電池を使用して外部から光を供給することで小型化できる。
【0035】
図3に、太陽電池を電源とした同軸ダイポールセンサーの回路構成例を示す。図のように、差動増幅器16と反転増幅器18の直近に太陽電池20を設け、これに光源24から光ファイバ22によって光を供給する。センサー全体は非導電性シース26に収容し、導電性の液体中に挿入して電界を検出できるようにした。差動増幅器16と反転増幅器18と太陽電池20は集積回路化を図ることによりセンサーを微小化できるので、例えば脳や神経細胞近辺の生体内の電気パルスによる電界を検出する医用センサーや、構造物が外界から受けたストレスによって発生する電界を検出する非破壊検査用センサーとして活用することができる。
【0036】
次に、本願発明の同軸ダイポールセンサーを用いて地中の電界を検出する地中電界検出システムについて述べる。
図4に本願発明の一実施形態にかかる地中電界検出システムの全体構成を示す。図において、30は地中電界検出センサー、40は地上電界検出センサー、50は前置増幅器、60は信号解析部である。地中電界検出センサー30は本願発明の同軸ダイポールセンサーを地中に挿入したものであり、地上電界センサー40は地中電界検出センサー30と同等の特性を有するセンサーを地上に設けたものである。地中電界検出センサー30および地上電界検出センサー40からの信号は前置増幅器で伝送に必要な信号レベルに増幅され、信号解析部60に伝送される。
【0037】
図5に信号解析部60のブロック構成を示す。図において、62はAD変換器、64はFFT解析器、66は周波数ダイナミックスペクトル演算器、68は表示器、70はデータ記録器である。図4で示した前置増幅器50から伝送された地中電界検出センサー30の信号と地上電界検出センサー40の信号は、図5のAD変換器62でAD変換され、FFT解析器64で同時に周波数分析される。周波数分析されたデータは周波数ダイナミックスペクトル演算器66で周波数スペクトルの時間変化(これを、周波数ダイナミックスペクトルと呼ぶ)が演算され、表示器68で表示される。また、AD変換された生データと周波数ダイナミックスペクトル演算器66の演算結果はデータ記録器70において記録され、記録されたデータはいつでも取出して再分析できる。
本システムでは、特に表示器68において、地中電界検出センサーからの信号の周波数ダイナミックスペクトルと、地上電界検出センサーからの信号の周波数ダイナミックスペクトルとを対比して表示する機能を有する。
【0038】
図6に、上記実施形態の地中電界検出システムを用いて実際に地中の電界を観測した2つの例を示す。図において、上の図は地上5mに設置した地上電界検出センサーの周波数ダイナミックスペクトルであり、下の図は地下90mに設置した地中電界検出センサーの周波数ダイナミックスペクトルである。図の(a)の観測結果では、地上電界検出センサーに多数の有意な信号が検出されているのに対し、そのときの地中電界検出センサーにはほとんど有意な信号は含まれておらず、この信号は地上起源の信号であることがわかる。一方、図の(b)の観測結果では、地中電界検出センサーに多数の有意な信号が検出されているのに対し、そのときの地上電界検出センサーにはほとんど有意な信号は含まれておらず、この信号は地中起源の信号であることがわかる。
このように、同等の特性を有する地中電界検出センサーと地上電界検出センサーを併設し、両センサーからの信号を同時に周波数分析し、対比して表示することで、地中起源の有意な成分を容易に見つけ出すことができるようになる。
【0039】
上記実施の形態では、信号解析システムはFFT解析器と周波数ダイナミックスペクトル演算器と表示器とデータ記録器とを個別に有するものとして説明したが、これらの機能はコンピュータのソフトウェアによって実現できるものであり、コンピュータにAD変換入力されたデータを周波数解析して、地中電界検出センサーの解析結果と地上電界検出センサーの解析結果とをディスプレイ画面に対比して表示するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、表示器に2つのセンサーの周波数ダイナミックスペクトルを対比して表示するものとして説明したが本願発明はこれに限定されるものではなく、時間領域の信号やその他の解析手法を適時組合せて表示するようにしてもよく、本願発明の効果を奏する。
【0040】
上記実施形態では、地上電界検出センサーは地中電界検出センサーと同等の特性を有するものを使用するとして説明したが、必ずしも大きさや形状は同一である必要はなく、検出感度等の特性を換算できるものである限り、どのような大きさや形状のセンサーであってもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本願発明によれば信号取出側検出導体に信号取出用同軸ケーブルの先端部を通し、これに検出導体により検出された差動信号を供給するとともに、先端側検出導体に信号取出用同軸ケーブルと同等の特性を有する補償用同軸ケーブルを通し、これに検出導体の差動信号を反転した信号を供給するようにしたので、信号取出用同軸ケーブルからの誘導により検出導体に重畳される雑音信号が相殺され、狭隘な空間に挿入可能であって、低周波の電磁波を含む任意の波長を有する電磁波の電界値を精度良く検出できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態にかかる同軸ダイポールセンサーの回路構成図である。
【図2】本願発明の一実施形態にかかる同軸ダイポールセンサーによる地中の電界検出結果を示す図である。
【図3】本願発明の他の実施形態にかかる同軸ダイポールセンサーの回路構成図である。
【図4】本願発明の一実施形態にかかる地中電界検出システムの全体構成図である。
【図5】本願発明の一実施形態にかかる地中電界検出システムの信号解析部のブロック構成図である。
【図6】本願発明の一実施形態にかかる地中電界検出システムによる観測例を示す図である。
【図7】従来のダイポールアンテナ式電界検出センサーの概念図である。
【図8】従来の光電界センサーの回路構成図である。
【符号の説明】
10a 先端側検出導体
10b 信号取出側検出導体
12 信号取出用同軸ケーブル
14 補償用同軸ケーブル
16 差動増幅器
18 反転増幅器
20 太陽電池
22 光ケーブル
24 光源
26 絶縁シース
30 地中電界検出センサー
40 地上電界検出センサー
60 信号解析部

Claims (6)

  1. 先端側検出導体と信号取出側検出導体とからなる一対の中空の検出導体と、
    前記検出導体により検出された信号を取出すケーブルであって、その先端部が前記信号取出側検出導体の内側を通された信号取出用同軸ケーブルと、
    前記信号取出用同軸ケーブルと同等の特性を有するケーブルであって、前記先端側検出導体の内側を通された補償用同軸ケーブルと、
    前記先端側検出導体と前記信号取出側検出導体の差動信号を前記信号取出用同軸ケーブルに供給する差動増幅器と、
    前記差動増幅器の出力信号を反転して前記補償用同軸ケーブルに供給する反転増幅器とを備えたことを特徴とする、同軸ダイポールセンサー。
  2. 前記信号取出側検出導体は前記差動増幅器の反転入力に接続され、前記先端側検出導体は前記差動増幅器の非反転入力に接続されたことを特徴とする、請求項1に記載の同軸ダイポールセンサー。
  3. 前記検出導体には2重シールド同軸ケーブルの外側の外導体が用いられ、前記信号取出用同軸ケーブルの先端部と前記補償用同軸ケーブルには前記2重シールド同軸ケーブルの内導体と内側の外導体とが用いられたことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の同軸ダイポールセンサー。
  4. 電界を検出する媒質空間との電気的接触を防止する絶縁手段を備えたことを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の同軸ダイポールセンサー。
  5. 前記差動増幅器および前記反転増幅器の電源として太陽電池が用いられ、前記太陽電池に光を供給する光ケーブルを備えたことを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の同軸ダイポールセンサー。
  6. 請求項1ないし請求項5に記載の同軸ダイポールセンサーであって、地中の電界を検出する地中電界検出センサーと、
    前記地中電界検出センサーと同等の特性を有し、地上の電界を検出する地上電界検出センサーと、
    前記地中電界検出センサーにより検出された信号と前記地上電界検出センサーにより検出された信号とを同時に周波数分析する周波数分析手段と、
    前記周波数分析手段により分析された前記地中電界検出センサーの周波数分析結果と前記地上電界検出センサーの周波数分析結果とを対比して表示する表示手段とを備えたことを特徴とする、地中電界検出システム。
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