JP3569026B2 - 眼底カメラ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、被検者の眼球の眼底網膜を撮影するための眼底カメラに関し、より詳しくは、眼底撮影光学系のアライメント、作動距離合わせの各操作を改善して該操作の自動化をはかった眼底カメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年眼底撮影は、動脈硬化・高血圧症等多くの有用な内科的所見が得られることから、健康診断において広く行われるようになった。この眼底撮影は、被検眼を固視標で一定位置に誘導し、被検眼の瞳を通して眼底に照明光を入れ、また、瞳を通して眼底撮影するものである。このためには、撮影装置の光軸と光学瞳をそれぞれ、被検眼の光軸と瞳孔に合致させる必要、すなわち「アライメント」と「作動距離合わせ」を行う必要がある。
従来は、検者が撮影装置のファインダ像やモニタ像の様子を頼りに、光学系のXYZ方向の位置をジョイスティック等で操作して、該「アライメント」と「作動距離合わせ」を行っていた。
【0003】
この「アライメント」や「作動距離合せ」操作は技能を必要とする操作で、操作性改善のため、該「アライメント」に「作動距離合わせ」を兼ねた手動によるガイドが例えば特公昭56−5533号公報に示されるように提案されており、撮影装置としては、特公昭58−43090号に示されるように、撮影系を搭載したハウジングの手動による上下・左右方向の調整及び前後方向の調整により、眼底カメラ等におけるアライメント及び被検眼との間隔である作動距離合わせを正確に行うことのできる調整システムを備えた眼科装置が提案されている。
また、眼底カメラにおいて、自動アライメントや自動合焦の精度を高めるべく、自動アライメントの際には不要な固視目標、フォーカス用の投影指標光を減光し、自動合焦の際には不要な固視目標、作動距離検出用の光源を減光するものが特開平5−95907号に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来、通常使用される眼底カメラは云うに及ばず、改良されたタイプのアライメント及び作動距離合わせを正確に行うことができる眼底カメラであっても、アライメント調整、作動距離合わせ調整は面倒な操作を必要とし、何れも撮影までに相当の手間と習熟を必要とした。
また、前記自動アライメント又は自動合焦の装置を備えた眼底カメラが提案されているものの自動アライメントより自動作動距離合わせ、さらには自動合焦まで連続作動するものは存在しなかった。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みなされたものであって、手間や習熟を必要とせず面倒な「アライメント」や「作動距離合わせ」の操作を改善して、被検者頭部をアゴ台に固定した後、被検者に被検眼で固視標を固視せしめて機械を作動させるだけで自動的に被検眼へのアライメントや作動距離合わせを行うことができる眼底カメラを提供するとともに、さらに合焦までも連続的に行って眼底撮影することも可能な眼底カメラを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の眼底カメラにおいては、被検眼の眼底を照明する照明光学系と、眼底を照射した照明光に基づきテレビカメラにより眼底を撮影するようにした眼底撮影光学系と、眼底撮影光学系の対物レンズを通して眼球面にアライメント指標を投影するアライメント指標投影光学系と、同じく眼底撮影光学系の対物レンズを通して前眼部を観察できるようにした前眼部観察光学系と、アライメント指標と交互に点灯する指標を被検眼に向け投影するための作動距離検出指標投影光学系と、作動距離検出指標の角膜からの反射光に基づき作動距離を検出する作動距離検出手段と、前眼部観察光学系で観察したアライメント指標の角膜反射像位置に基づき前記眼底撮影光学系を被検眼方向に誘導する手段と、作動距離検出手段が作動距離検出指標の角膜反射光を検出まで眼底撮影光学系を被検眼方向に誘導する手段と、前眼部観察光学系と眼底撮影光学系光路を切替える光路切替手段とを具備して構成するようにしている。
【0007】
また、前記眼底カメラには、合焦を検出するべく眼底に合焦指標を投影する合焦指標投影光学系と、眼底に投影された合焦指標を観察する光学系と、合焦指標の眼底反射像の状態により合焦状態を検出する手段を設けるのが効果的である。この合焦状態を検出する手段は、手動、自動を問わず設けることができる。
【0008】
また、前記前眼部観察光学系と眼底撮影光学系の光路を、光路切替手段により切替する場合、固視標として、前眼部観察光学系に用いるアライメント時、及び、眼底撮影光学系に用いるフォーカス・撮影時に夫々使用するための左右一対の2組の固視標を眼底カメラ内に設けることが望ましい。
【0009】
【作用】
本発明の眼底カメラは、請求項1記載の構成をとることにより、眼底撮影光学系の対物レンズを通してアライメント指標投影光学系よりアライメント指標を眼球面に投影するとともに、該対物レンズを通して前眼部観察光学系により前眼部を観察して、観察した前眼部像上のアライメント指標の角膜反射像位置に基づき、眼底撮影光学系を被検眼方向に誘導する手段により容易に自動的にアライメントを行うことが出来、且つ、アライメント指標と交互に点灯する指標を被検眼に向け投影する作動距離検出指標投影光学系を設けて、作動距離検出手段により作動距離検出指標の角膜からの反射光に基づき作動距離を検出するようにして、作動距離検出手段が作動距離検出指標の角膜反射光を検出するまで前記眼底撮影光学系を被検眼方向に誘導する手段を設けることにより、アライメント指標と作動 距離検出指標との2つの指標光が相互に干渉することを無くして、「作動距離合わせ」動作中も、アライメントを同時制御してアライメントを続行(アライメント追随)することができるとともに、作動距離合わせを自動的に行わしめることができる一方、光路切替手段により、対物レンズ以降の光路を切替えて前眼部観察光学系を切替え、眼底撮影光学系を形成することができるため、簡単な構成によりアライメント並びに作動距離合わせを容易に自動的に行って眼底撮影することができる。
【0010】
前記眼底カメラに、眼底に合焦指標を投影する合焦指標投影光学系を設けて合焦指標を観察する光学系により眼底に投影された合焦指標を観察するようにし、合焦指標の眼底反射像の状態により合焦状態を検出する手段を設けることにより、該検出手段の手動、自動を問わず、容易且つ正確に合焦を行うことができる。この場合、合焦指標を観察する光学系は、眼底撮影光学系に兼用せしめることができる。
【0011】
さらに、前眼部観察光学系と眼底撮影光学系の光路切替時に使用するアライメント用と眼底フォーカス・撮影用の各左右一対の2組の固視標を眼底カメラに設けることにより、光路を切替えても対物レンズを通して固視標を同位置で被検者に提示でき、被検眼を安定させることができる。
【0012】
【実施例】
本発明の実施例を添付の図面に基づいて説明する。
図1は、該実施例の光路図を示し、図2.図3は、図1の実施例の左眼アライメント時と、左眼フォーカス・撮影時における夫々固視標の光路を示す説明図で、図4は該実施例のブロック図である。
【0013】
図1において、被検眼1の眼底を照明するようにした照明光学系と、眼底を照射した照明光に基づいてテレビカメラ10により眼底の観察乃至写真撮影を行えるようにした眼底撮影光学系と、この眼底撮影光学系の対物レンズ5を通し眼球面2にアライメント指標を投影するアライメント指標投影光学系と、同じく対物レンズを通し前眼部をテレビカメラ30により観察できるようにした前眼部観察光学系と、眼底撮影光学系の光軸4に斜め方向の光軸を通して前記アライメント指標と交互に点灯する指標を被検眼に向け投影する作動距離検出指標投影光学系と作動距離検出指標の角膜からの反射光を検出して、眼底撮影光学系と、被検眼の瞳孔との距離である作動距離を検出するための作動距離検出光学系と、眼底に合焦指標を投影するための合焦指標投影光学系とからなる撮影系3が示されており、前眼部観察光学系と眼底撮影光学系とは、対物レンズ5後方の凹レンズ26とミラー25とからなる光路切替部材(破線で包囲して表示)の眼底撮影光学系の光路への挿入・退避による光路切替により、アライメントとフォーカシング・撮影とを切替可能にするとともに、該撮影系3は眼底撮影光学系の光軸4の方向であるZ方向と、該光軸に直交するX・Y方向との3方向に、それぞれ後述する駆動機構によって移動させられる。
【0014】
眼球1の眼底の照明光源として、眼底網膜の写真撮影時に用いるストロボ放電管11と眼底撮影光学系のフォーカシング時に用いるハロゲンランプ38とがそれぞれの発する光が共通の照明光軸16より集光レンズ20を経て穴明きミラー6(穴のセンタリングの関係上外形は円形)で反射して前眼部観察アライメント用の凹レンズ26およびミラー25の退避している光軸4上を対物レンズ5を通って被検眼1にその角膜反射光が排除されて入射するようになっている。
【0015】
写真撮影用のストロボ放電管11の発する可視光は、集光レンズ12及び13により円形スリット14の位置に収束した後、該円形スリット14を通過してミラー15に反射され、光路を折曲げられて照明光軸16上を平面ガラス17,集光レンズ18,ハーフミラー19,集光レンズ20を経て穴明きミラー6付近で収束して円形スリットの像は該穴明きミラー6上に形成されて該ミラー6で反射し、凹レンズ26とミラー25の退避している光軸4上を眼底撮影光学系の対物レンズ5を通過して角膜頂点位置で収束し眼球1の瞳孔位置(虹彩絞りの位置)を通過して眼球1の眼底網膜面を照射するようになっている。前記ストロボ放電管11と円形スリット14,及び眼球1の角膜頂点の位置は共役関係にある。すなわち、被検眼にはスリット14のリング状の通路からだけ照明光が入り瞳孔を通して眼底を照明するようにしている。この際、角膜中央からの反射光はカットされ直接に対物レンズに入ることはない。
【0016】
眼底撮影光学系では、眼軸上に位置すべき眼底撮影光学系光軸4上に、被検眼1に対面して被検眼の瞳孔部に光学瞳を形成すべく対物レンズ5が配設されている。そして該光軸4上には所定位置に順次穴明きミラー6,フォーカスレンズ7、リレーレンズ8が配設されて、光軸方向に移動可能なフォーカスレンズ7(後述する合焦指標投影光学系の部分と連動)の位置調整により後方のテレビカメラ(眼底撮像用カラーテレビカメラ)10前面のCCD受光面9に眼底像が合焦状態で結像するとき、後述する自動焦点用指標光の眼底からの反射光が該CCD受光面9に入射して合焦を検知するようにしている。そして、該自動焦点用指標光が消灯し前記ストロボ放電管11が発光して眼底像を撮影するようになっている。本実施例では眼底の合焦検知と、眼底の撮像を同じテレビカメラ10のCCD9により行っているが、眼底の合焦検知の受光素子は、眼底撮影光学系の光路を前記フォーカスレンズ7の後方で分岐して、この分岐した光軸上に配置した合焦検知用GCD乃至PSDで合焦を検知するようにしても良い。
【0017】
被検眼1に自動焦点用指標光を入射せしめるために、前記照明光軸16上に設けたハーフミラー19に対し、側方に眼底撮影光学系光軸に平行に分岐した合焦指標投影光学系の光軸上に、所定位置に順次集光レンズ44、左右一対の固視標43L,43R,スプリットプリズム42,投影レンズ41,自動焦点指標用スリット40,集光レンズ39,自動焦点指標光源であるハロゲンランプ38が配設されている。該ハロゲンランプ38からの光は、一体的に合焦指標投影光学系の可動部分を形成して前記眼底撮影光学系光軸4上のフォーカスレンズ7と運動する該ハロゲンランプ38,集光レンズ39,自動焦点指標用スリット40,投影レンズ41,スプリットプリズム42を経て、前記集光レンズ44を通過し、ハーフミラー19で自動焦点用指標光が反射して照明光軸16上を集光レンズ20を経て穴明きミラー6で反射し、光軸4上を(この時は凹レンズ26、ミラー25は退避している)対物レンズ5を通って被検眼1にその角膜反射光が排除されて入射する。
【0018】、
前記左右の固視標43L,43Rは、フオーカシング時及びストロボ発光による撮影時には、前記フォーカスレンズ7と連動する合焦指標投影光学系部分と共に移動して、所要の固視標を被検者に提示する。なお、図3には、左固視標43Lを、集光レンズ44,ハーフミラー19を経て照明光軸16上から集光レンズ20,穴明きミラー6を介して撮影光軸4上を補正用凹レンズ26とミラー25の光路切替部材が退避している撮影光学系の対物レンズ5を通して、被検眼(左眼)に提示しているときの光路の状態を示している。
【0019】
眼底撮影光学系の側方には該撮影光学系の被検眼1に対するアライメントのため、眼底撮影光学系の対物レンズ5を通してアライメント指標を眼球面2に投影するためのアライメント指標投影光学系と、同じく眼底撮影光学系の対物レンズ5を通して前眼部を観察できるように前眼部観察光学系が設けられている。すなわち、該対物レンズ5の後方の眼底撮影光学系光軸4上に、前記眼底撮影光学系と前眼部観察光学系の光路を切替えるべく、対物レンズ5に近接した位置に、対物レンズの強いパワーを打消すためのパワーの強い補正用の凹レンズ26が、またその後方に光路を側方に導くためのミラー25が、光軸4上に挿入・退避自在に所定位置に配置され、アライメント指標投影光学系と前眼部観察光学系の一部を構成している。
【0020】
前眼部を観察するための光学系では、眼底撮影光学系光軸4と45°交叉するごとく該光軸に挿脱自在に配置された前記ミラー25により、眼球面2からの像光線は、該光軸4に直角方向に折曲げられ、折曲げられた前眼部観察光学系を形成する光軸271 上に配置されたハーフミラー24より眼底撮影光学系光軸4に平行に折曲げられ、折曲げられた光軸272 上の前眼部撮影用レンズ28を介してアライメント用モノクロテレビカメラ30のCCD受光面29に前眼部像が結像するようになっている。
【0021】
また、前記ミラー25に対し、前記前眼部観察光学系の光軸271 上からアライメント指標光を被検眼に投影するために、アライメント指標光である近赤外光の発光ダイオード21が、その光軸が前記光軸4と平行になるように配置され、且つ前記光軸271 の延長線上に配置したミラー22により指標光の光路を折曲げて集光レンズ23、前記ハーフミラー24を経て眼底撮影光学系光軸4上のミラー25により該撮影光学系光軸4上から該光軸4上に挿入された凹レンズ26及び前記対物レンズ5を介して被検眼の眼球面2にアライメント指標光を投影するようになっている。これによりアライメント指標光を発光ダイオード21より眼球面に照射するとき、その反射光をアライメント用モノクロテレビカメラ30のCCD受光面29上に前眼部像と共に受光検出することができる。このCCD受光面29によるアライメント指標光の検出に当って、後述する作動距離検出指標光との相互干歩を無くすため、作動距離検出指標光と交互点灯せしめて該点灯と同期してXY方向のアライメントを検出するようにしている(図5参殿)。
【0022】
被検者に提示すべき固視標は、前記フォーカシング時及び撮影時に使用する左右一対の固視標43L,43Rと共に、アライメント時に使用するもう一組の左右一対の固視標として、前眼部撮影光学系の前記光軸271 を挟んで左固視標45L 及び右固視標45R がそれぞれLEDにより所定位置に設けられている(図2参照)。
アライメント時には、前記眼底撮影光学系の対物レンズ5の後方の撮影光軸4上に、アライメントと眼底撮影との光路切替部材である凹レンズ26及びミラー25が挿入状態にあり、固視標45L 又は45R の光はミラー25で反射して凹レンズ26,対物レンズ5を通して被検眼に提示される。なお、図2では、左固視標を左眼に提示しているときの光路を示している。このように、アライメント・前眼部観察時と眼底フオーカシング・撮影時に使用する固視標を別個に夫々一組宛設けることにより、光路を切替えても固視標を同位置に提示するごとができ、被検眼を安定させることができる。
【0023】
また、眼底撮影光学系の被検眼1に対する作動距離検出のため、眼球面2に関し該眼底撮影光学系の光軸4に約45°傾斜した光軸31’を有するごとく作動距離検出指標投影光学系が設けられるとともに、作動距離検出光学系が前記眼底撮影光学系光軸4を挟んで反対側の対称的方向の光軸35上に設けられ、作動距離検出指標光の角膜反射光を検出して、眼底撮影光学系の作動距離を検出するようになっている。
【0024】
すなわち、前記作動距離検出指標投影光学系の光軸31’上の所定位置に、作動距離検出指標の光源である赤外線発光ダイオード(赤外LED)31が設けられ、該赤外線発光ダイオード31からの赤外光は、集光レンズ32,作動距離検出指標用スリット33,投影レンズ34を経て眼球面2に入射し、該眼球面(角膜)2からの反射光は作動距離検出光学系の光軸35上を進行して集光レンズ36を経て作動距離検出用受光素子(PSD)37 に入射し、眼底撮影光学系の作動距離を検出するようになっている。また、この作動距離検出指標用の赤外線発光ダイオード (赤外LED)31の点灯は、撮影開始当初のアライメント時、前記したごとく、アライメント指標用赤外線発光ダイオ一ド21の点灯と交互に点灯するようになっている。すなわち、図5のアライメント指標点灯と作動距離検出指標点灯のX・Y検出用CCDに対するタイミングチャートに示すごとく、アライメント指標と作動距離検出指標との2つの指標光は相互に干渉することを無くすることができ、作動距離合わせの動作中も、アライメントを同時制御してアライメントを続行しつつ眼底撮影光学系の作動距離合わせをすることができる。
【0025】
次に、前記撮影系3を作動させるための回路を、図4に示すブロック図に基づいて説明する。
アライメント指標用赤外線発光ダイオード(赤外LED)21の点灯(作動距離検出指標と同時点灯)によるアライメント指標光の眼球面2からの反射光は、前眼部観察光学系のテレビカメラ(アライメント用モノクロテレビカメラ)30の結像面であるCCD受光面29に結像し、得られた受像信号は、画像入出力制御回路45に入力する。該制御回路45からの映像信号を受けたモニタ表示器47の画面に、眼球面2からのアライメント用赤外光の角膜反射光による光点が前眼部像とともに表示され、機械作動の前期段階におけるアライメント状祝を確認できるようになっている。この場合、前眼部像は室内光で観察可能であり、必要に応じ赤外LEDで照明するようにしても良い。
【0026】
前記画像入出力制御回路45からの電気信号を受けたXY方向位置検出制御回路49では、撮像画面上の角膜反射光による光点の位置、すなわち前眼部観察光学系の光軸に対するX・Y方向における光点の位置(眼底撮影光学系の光軸4に対するX・Y方向における光点の位置に該当)を検出し、この位置検出による制御信号により、該撮影像画面上の光点が画面中心に来るように、撮影系3を搭載した架台のXY軸駆動機構50を駆動して、架台を誘導するようになっている。
【0027】
前記XY方向位置検出制御回路49において、前記撮像画面上の光点が例えば画面中心を囲んだ狭い所定範囲内に入ったことを検出すると、該制御回路49から電気信号を作動距離検出制御回路51に入力し、該制御回路51からの駆動信号でZ軸駆動機構52を作動せしめ、撮影系3を搭載した架台を当初の待機位置より被検眼の眼球面2に向け眼底撮影光学系の光軸方向(Z方向)に前進を開始せしめ、同時にXY軸駆動機構50を駆動して光点を追尾せしめる。
【0028】
このようにして、撮像画面上で光点を追尾せしめ乍らZ軸を駆動して行き、撮影系3の眼底撮影光学系光軸方向(Z方向)への前進途中で、作動距離検出光学系の受光素子(PSD)37が、赤外線発光ダイオード31からスリット33を通過した作動距離検出用指標光を検知するとき、該受光素子37からの信号で作動距離検出制御回路51に於て作動距離が検出されて(眼底撮影光学系の対物レンズ5の光学瞳が被検眼1の瞳孔位置と一致状態で)、作動距離検出制御回路51からの信号でZ軸駆動機構52は停止し、同時にXY方向位置検出制御回路49からの信号でXY軸駆動機構50は停止し撮影系3の架台は移動を停止する。
【0029】
このとき、作動距離検出制御回路51からの信号で光路切替制御回路53を介して光路切替機構54を駆動して、光路切替部材を構成する凹レンズ26とミラー25とを眼底撮影光学系の光路から退避せしめ、アライメント光路を眼底撮影光学系光路に切替えると同時に、自動焦点指標光源であるハロゲンランプ38を点灯せしめ、合焦検出回路55からの信号で合焦制御機構56を駆動して眼底撮影光学系の光軸4上のフォーカスレンズ7と連動して、ハロゲンランプ38,集光レンズ39,自動焦点指標スリット40,投影レンズ41,スプリットプリズム42,固視標43L,43Rからなる合焦指標投影光学系の可動部分を、夫々の光軸上を移動せしめてフオーカシングを行う。
【0030】
このようにして、眼底撮影光学系の眼底撮像用テレビカメラ10で、眼底からの合焦指標の反射光を受光して、該テレビカメラ10からの合焦指標の受光信号を画像入出力制御回路45を介して合焦検出回路55に入力し、該回路55に於て眼底像の合焦が検出される。この合焦検出と同時に合焦指標投影光学系のハロゲンランプ38を消灯して合焦指標を消灯せしめ、合焦検出回路55からの信号でストロボ発光制御回蹄57を介してストロボ放電管11を発光せしめてテレビカメラ10の受光面9に眼底像が撮影される。そして、テレビカメラ10からの眼底の画像信号を画像入出力制御回路45を介し、フレームメモリ46に眼底画像が記録(書込み)されると共に、モニタ表示器47に眼底画像が表示される。また、この眼底画像は、フレームメモリ46から必要に応じて画像入出力制御回路45で読み出して、ビデオプリンタ48から打ち出すことができ、被検眼の画像プリントをカルテにつけることができる。
【0031】
上記操影が終了すると、撮影系3は自動的に待機位置に戻される。すなわち、撮影終了時、画像入出力制御回路45からXY方向位置検出制御回路49を介してXY軸駆動機構50を逆駆動せしめるとともに、該XY方向位置検出制御回路49から の信号で作動距離検出制御回路51を介してZ軸駆動機構52を逆駆動せしめて、撮 影系3を眼底撮影光学系の光軸4の軸方向(Z方向)と該軸に直交する方向に移 動せしめるとともに、同じく作動距離検出制御回路51からの信号で光路切替制御 回路53を介して光路切替機構54を駆動して光路切替部材である凹レンズ26とミラー25を対物レンズ後方の眼底撮影光軸4上に挿入して当初の状態に復帰せしめ、撮影系3を待機状態とする。
【0032】
次に、本発明による眼底カメラの操作手順を、図6,図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
先ず電源が入れられて待機状態にある眼底カメラの撮影ボタンを押すと、モニタ表示器47に前眼部観察光学系による外部像が映し出される。被検者は頭部をアゴ台に固定し、ドクターの指示に従って対物レンズ5を通して固指標を見る。このとき、対物レンズ5に対するアゴ台の関係位置により、アゴ台が被検眼が右眼か左眼かを検出し、アゴ台からの信号で、前限部観察・アライメント時における観察光学系に設けた左右一組の固視標45L,45Rと、眼底フオーカシング・撮影時における合焦指標投影光学系に設けた左右一組の固視標43L・43Rから被検眼に対応して夫々左右何れかの固視標(LED)に切替え点灯せしめる。次いでドクターはアゴ台を操作し、モニタ表示器47に被検者の被検眼前眼部が映るように調整して前記撮影ボタンを再度押す。
【0033】
この2回目のボタン押圧操作により、アライメント指標としてアライメント指標用赤外線発光ダイオード21と作動距離検出指標として作動距離検出指標用赤外線発光ダイオード31が交互に点灯する。次いで、アライメント用テレビカメラ30の撮像画面に写された前眼部像にアライメント指標光の角膜2からの反射光によるアライメント指標光の像(光点)が認識できるまで、Z軸を駆動して撮影系3をZ方向に前進せしめる。
【0034】
アライメント指標光の像(光点)がテレビカメラ30の撮像画面上で認識されると、該光点の位置に応じて自動的に撮像画面中央のX・Yアライメントの所定範囲に入るまでX軸・Y軸が駆動されて被検眼に対し撮影系3は移動させられる。
そしてこの状態はモニタ表示器47の画面に表示される。
【0035】
このようにしてアライメント指標光の光点が撮像画面中央の所定範囲内にくると、その所定範囲内で該光点を追随してアライメントを行いつつ、Z軸を駆動して撮影系3をZ方向に、作動距離検出制御回路51が作動距離検出指標像を検出するまで前進せしめる。
【0036】
この撮影系3のZ方向の前進途中で、作動距離検出制御回路51で作動距離検出指標像(角膜反射光)を検出して作動距離が検出されると、前記X軸・Y抽・Z軸の駆動動作は停止して、前記アライメント指標用赤外線発光ダイオード21と作動距離検出指標用赤外線発光ダイオード31が消灯するとともに、光路切替機構54を駆動して対物レンズ5後方の凹レンズ26とミラー25を眼底撮影光学系の光路上から退避せしめて前眼部観察光学系の光路と眼底撮影光学系の光路を切替え、さらに合焦指標投影光学系の自動焦点指標光源であるハロゲンランプ38が点灯して、フォーカスレンズ7と、一体的に連動するハロゲンランプ38,集光レンズ39,自動焦点指標スリット40,撮影レンズ41,スブリットプリズム42,固視標43L,43Rからなる可動部分とが、それぞれの光軸上を移動走査して眼底像の合焦が検出される。
【0037】
該合焦が検出されると自動焦点指標用ハロゲンランプ38が消灯し、ストロボ放電管11が発光して眼底像が眼底撮像用カラーテレビカメラ10に撮影されて、撮影された眼底画像はフレームメモリ46に記録され、且つモニタ表示器48に表示された後、撮影系3は初期の待機位置に戻りスタンパイ状態となる。
【0038】
なお、合焦の検出のための自動焦点指標光の受像・観察を、この実施例では眼底撮像用テレビカメラ10を用いて行っているが、眼底撮影光学系の光路(光軸)を分岐した光路(光軸)上に集光レンズ及びCCDカメラ又はPSDを配置して自動焦点指標光を受像・観察して合焦を検出するようにすることも可能である。
また、眼底カメラを操作するに際して、撮影ボタンを押してモニタに前眼部観察光学系のテレビカメラからの像を映し出すのは、被検者の頭部をアゴ台に固定した後でも良い。
【0039】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明の眼底カメラによれば、前眼部観察及びアライメントを眼底撮影光学系の対物レンズを通して眼底撮影光学系と同軸上より行う一方、作動距離合わせを行うようにして、前眼部観察光学系と眼底撮影光学系の光路を切換えて眼底撮影を行うようにするとともに、前眼部観察光学系で観察したアライメント指標の角膜反射像位置に基づき眼底撮影光学系を被検眼方向に誘導し、且つアライメント指標と作動距離検出指標との2つの指標光が相互に干渉することを無くして「作動距離合わせ」動作中もアライメントを同時制御してアライメントを続行することができるようにしたので、簡単な構成により、アライメント及び作動距離合わせを容易に且つ自動的に行うことができ、眼底撮影することができる。
【0040】
請求項2記載の発明によれば、前記眼底カメラを合焦せしめる場合、手動・自動を問わず、眼底に投影した合焦指標を用いて、容易且つ正確に合焦を行うことができ、これにより全自動による眼底撮影が可能となる。
【0041】
請求項3記載の発明によれば、前記眼底カメラにおいて、前眼部観察光学系と眼底撮影光学系の光路を切替えても、対物レンズを通して被検者に左右各固視標をそれぞれ同位置で提示でき、被検眼を安定せしめて眼底撮影を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の光路図、
【図2】光路切替してアライメントを行う時の固視標の光路を示す説明図、
【図3】光路切替してフオーカシング・撮影を行う時の固視標の光路を示す説明図、
【図4】本発明の実施例のブロック図、
【図5】アライメント指標点灯と作動距離検出指標点灯とのタイミングチャート、
【図6】眼底撮影の手順を示すフローチャート、
【図7】図6に続く手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…眼球、 2…眼球面(角膜)、 3…撮影系、 4…眼底撮影光学系光軸、 5…対物レンズ、 6…穴明きミラー、 7…フォーカスレンズ、 9…CCD受光面、 10…眼底撮像用カラーテレビカメラ、 11…ストロボ放電管、 14…円形スリット、 19…ハーフミラー、 21…アライメント指標用赤外線発光ダイオード、 25…光路切替ミラー、 26…光路切替補正用凹レンズ、 29…CCD受光面、 30…アライメント用テレビカメラ、 31…作動距離検出指標用赤外線発光ダイオード、 37…作動距離検出用受光素子、 38…自動焦点指標用ハロゲンランプ、 43L,43R…フォーカシング・撮影時の固視標、 45L,45R…アライメント時の固視標、46…フレームメモリ、 47…モニタ表示器、 49…XY方向位置検出制御回路、 50…XY軸駆動機構、 51…作動距離検出制御回路、 52…Z軸駆動機構、 53…光路切替制御回路、 54…光路切替機構、 55…合焦検出回路、 56…合焦制御機構、 57…ストロボ発光制御回路。
Claims (3)
- 被検眼の眼底を照明する照明光学系と、眼底を照射した照明光に基づきテレビカメラにより眼底を撮影するようにした眼底撮影光学系と、眼底撮影光学系の対物レンズを通して眼球面にアライメント指標を投影するアライメント指標投影光学系と、同じく眼底撮影光学系の対物レンズを通して前眼部を観察できるようにした前眼部観察光学系と、アライメント指標と交互に点灯する指標を被検眼に向け投影するための作動距離検出指標投影光学系と、作動距離検出指標の角膜からの反射光に基づき作動距離を検出する作動距離検出手段と、前眼部観察光学系で観察したアライメント指標の角膜反射像位置に基づき前記眼底撮影光学系を被検眼方向に誘導する手段と、作動距離検出手段が作動距離検出指標の角膜反射光を検出するまで眼底撮影光学系を被検眼方向に誘導する手段と、前眼部観察光学系と眼底撮影光学系の光路を切替える光路切替手段とを備えたことを特徴とする眼底カメラ。
- 眼底に合焦指標を投影する合焦指標投影光学系と、眼底に投影された合焦指標を観察する光学系と、合焦指標の眼底反射像の状態により合焦状態を検出する手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の眼底カメラ。
- 前限部観察光学系と眼底撮影光学系の光路切替時に使用する2組の固視標を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の眼底カメラ。
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