JP3568659B2 - 超電導ケーブル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は冷却時の熱収縮対策を施した3心一括型の超電導ケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
超電導ケーブルは常温にて布設され、その後、液体窒素等の冷媒をケーブル内部に供給し、冷却される。この時、ケーブルの最外部は常温で、内部は極低温となっている。従って、ケーブルを構成する金属材料は広範囲な温度変化を受けるため、非常に大きな熱収縮を受ける。この熱収縮を効果的に吸収しなければ、ケーブルは大きな熱歪みを受けるおそれがあるため、熱収縮の吸収方法が課題となる。
【0003】
このような超電導ケーブルの冷却時の熱収縮対策としては、例えば、特公昭46−20456号公報に示されるように、(1)ケーブルのジョイン部でループを形成する方法、(2)特開昭53−55793号公報に示されるように、ケーブル導体の接続部にベローズを用いる方法、及び(3)特開平1−309212号公報に示されるように、ケーブルコアを断熱管内でスネーク布設する方法等が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した(1)及び(2)に示された方法は、いずれもケーブルのジョイント部だけで集中的に熱収縮を吸収しようとするものである。しかし、実際には熱収縮はケーブルの長さ方向に分布的に生じるため、ケーブルの長さ方向に分布的に吸収できる構造が望ましい。又(3)に示された方法は技術的に困難であるという問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の問題点を解消し、構造的に冷却時の熱収縮対策を施した3心一括型の超電導ケーブルを提供するもので、その特徴は、超電導ケーブルコアの3心を撚合せたものを断熱管内に収納した3心一括型の超電導ケーブルにおいて、3心撚合せの中心間隙部に、該間隙より径が大きく、かつ熱収縮量の大きい中心介在物を介在せしめてケーブルコアの3心が撚合されており、ケーブルの冷却時に撚合せ径が変化することにより、ケーブルの長手方向の熱収縮を吸収する超電導ケーブルにある。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の超電導ケーブルの具体例の常温状態における要部の横断面図である。図面において、1は超電導ケーブルコアで、内部に液体窒素等の冷媒往路12を形成した超電導導体11上に絶縁体層13が設けられている。2は上記ケーブルコア1の3心撚合せの際に中心に配置する中心介在物で、常温での径は3心撚合せの中心間隙より径が大きく、かつ熱収縮量が大きい。このような中心介在物2を中心軸として、前記ケーブルコア1の3心を撚合せたものが断熱管4内に収納されており、断熱管4内の空間部は液体窒素等の冷媒復路3をなしている。
【0007】
【実施例】
ケーブル長手方向の熱収縮を、ケーブルコアの撚合せ径を変化させることにより吸収することを考える。図2(イ)に常温時のケーブルコア撚合せの状態、図2(ロ)に冷却時のケーブルコア撚合せの状態を示す。図2(イ)に示すように、常温時には3心のケーブルコア1の中心間隙部に、該間隙より径が大きく、かつ熱収縮の大きい円形の中心介在物2を配置しておき、冷却時に図2(ロ)に示すように、中心介在物2が収縮してその径が小さくなることにより、1ピッチに要するケーブルコア長を変化させる。この変化量をケーブルコア1の冷却時の熱収縮量に合うようにすることにより、熱収縮を吸収できる。
【0008】
いま、常温時と比較して液体窒素温度で金属が 0.3%収縮するとして、又ケーブルコア1の撚合せピッチPを図3に示すようにケーブルコア径Dの30倍として、具体的に上記原理の理論計算を以下に示す。
なお、図2(イ)、(ロ)及び図3において、各定数を以下のように定める。
D :ケーブルコア径
X :常温時の撚合せ半径
γ :常温時の円形中心介在物の半径
L :常温時の1ピッチのケーブルコア長
X’ :冷却時の撚合せ半径
γ’ :冷却時の円形中心介在物の半径
L’ :冷却時の1ピッチのケーブルコア長
【0009】
冷却時には図2(ロ)よりX’ 、γ’ は次のようになる。
X’ =D/2×2/√3=D/√3 ……(1)
γ’ =X’ −D/2=(1/√3−1/2)D= 0.077D ……(2)
この時、L’ は図3(イ)を図3(ロ)のように平面上に展開することにより次式で求められる。
L’ =√{(2πX) +(30D) } ……(3)
ケーブルコアの熱収縮量より、常温時と冷却時のケーブルコア長には以下の式が成り立つ。
0.997L=L’ ……(4)
(3)式と同様に常温時のケーブル撚合せ半径と1ピッチのケーブルコア長の関係を求めると、
L=√{(2πX) +(30D) } ……(5)
(5)式に上記(1)、(3)式を代入することにより、常温時のケーブルコア3心の撚合せ半径は次式のようになる。
X=1/2π√{L −(3OD) }= 0.688D ……(6)
従って、常温時のケーブルコア3心の中心間隙部に必要とされる中心介在物の半径は次式のようになる。
γ=X−D/2= 0.188D ……(7)
上記(2)及び(7)式より、ケーブルコア3心撚合せの中心介在物は、布設時にはケーブルコアの0.18倍の径であり、敷設後に 0.077倍に変化すれば、ケーブルコアの冷却による熱収縮を吸収することができる。
【0010】
中心介在物を円形状に形成する場合、中心介在物に要求される熱収縮量は、(2)及び(7)式より次式で示される。
1−γ’ /γ=0.59=59% ……(8)
従って、ケーブルコア3心撚合せの中心間隙部に、常温から液体窒素温度への変化で約60%の熱収縮のある円形の固体材料を、図1のように配置することにより、冷却時のケーブルコア長手方向の 0.3%の熱収縮を吸収することが可能となる。
【0011】
図4(イ)〜(ハ)に中心介在物の他の構造例を示す。
図4(イ)は袋状体21内部に、常温時に液体窒素温度で液化又は固化するガス22を封入したものである。このような中心介在物を用いることにより、冷却時には袋状体21内部のガス22が液化又は固化し、大幅に袋状体21内部の体積が変化する。これにより、冷却時には中心介在物の径は十分に小さくなり、ケーブルコアの3心は俵積みの状態になるため、冷却時のケーブルコア長手方向の 0.3%の熱収縮を吸収することができる。
【0012】
図4(ロ)はSUS等の金属線条体23の外周上に、前記のような固体材料24を設けるか、液体窒素温度で液化又は固化するガスを封入した袋状体を配置したものである。このような中心介在物をケーブルコア3心撚合せの中心間隙部に配置することにより、熱収縮を吸収するだけでなく、ケーブル布設時にテンションメンバーの役割を兼ねることができる。
【0013】
図4(ハ)は直線状に形状記憶合金線25をスパイラル状に形成したものである。ケーブル敷設後通電によるジュール発熱を利用して熱を加えることにより、記憶された形状、すなわち直線状に変形する。このため、ケーブルコア3心撚合せの中心に空間ができ、冷却時にケーブルコアが熱収縮したときに撚合せ径が小さくなることによって熱収縮を吸収することができる。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の超電導ケーブルによれば、ケーブルコアの3心撚合せの中心間隙部に熱収縮量の大きい中心介在物を配置し、該中心介在物の熱による収縮、変形に伴うケーブルコアの撚合せ径の変化を利用することにより、ケーブルコアの長手方向の熱収縮を、ケーブルの構造的に吸収する効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超電導ケーブルの具体例の常温状態における要部の横断面図である。
【図2】図2(イ)は常温時のケーブルコア撚合せの状態図、図2(ロ)は冷却時のケーブルコア撚合せの状態図である。
【図3】図3(イ)は冷却時のケーブルコア撚合せ状態の側面図、図3(ロ)は図3(イ)における1ピッチのケーブルコア長の説明図である。
【図4】図4(イ)〜(ハ)はいずれも中心介在物の構造例の説明図である。
【符号の説明】
1 超電導ケーブルコア
11 超電導導体
12 冷媒往路
13 絶縁体
2 中心介在物
3 冷媒復路
4 断熱管

Claims (2)

  1. 超電導ケーブルコアの3心を撚合せたものを断熱管内に収納した3心一括型の超電導ケーブルにおいて、
    3心撚合せの中心間隙部に、該間隙より径が大きく、かつ熱収縮量の大きい中心介在物を介在せしめてケーブルコアの3心が撚合されており、
    ケーブルの冷却時に撚合せ径が変化することにより、ケーブルコアの長手方向の熱収縮を吸収し、
    前記中心介在物が熱収縮の大きい固体物体であることを特徴とする超電導ケーブル。
  2. 中心介在物は、固体物体の中心部に金属線条体を配置したものであることを特徴とする請求項1記載の超電導ケーブル。
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