JP3568651B2 - 異方性焼結磁石の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴムモールドのキャビティーに充填された永久磁石粉末を、磁場印加により配向させるとともに圧縮成形して永久磁石粉末の圧粉体を成形し、その後、該圧粉体を焼結することにより異方性焼結磁石を製造する異方性焼結磁石の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
異方性焼結磁石としては、Baフェライト系、Srフェライト系などのフェライト磁石、R−Co系、R−Fe−B系(Rは、Yを含む希土類元素を表す。)などの希土類磁石が広く使用されている。これら異方性焼結磁石は、磁性を担っている各結晶粒の容易磁化方向をある一定の方向に揃えたものであり、そのため、結晶粒の容易磁化方向がばらばらの方向を向いている等方性磁石に比較して、その容易磁化方向に着磁されたときに残留磁束密度の値が大きく、従って、最大エネルギー積を大きくすることができる。また、樹脂などで結合されたボンディッド磁石と比較して、非磁性物質の存在量が少ないため、残留磁束密度の値が大きくなり、最大エネルギー積を大きくすることができる。
【0003】
上述した異方性焼結磁石は、一般には、以下のようにして製造される。
【0004】
ほとんど単結晶になるまで粉砕された永久磁石粉末を、その永久磁石粉末に外部磁場を印加することにより、各々の永久磁石粉末の磁化容易軸を外部磁場の方向と平行な方向に揃えるとともに、圧力をかけて圧縮し成形する。その後、圧縮成形された圧粉体を、所定の条件で焼結し、異方性焼結磁石を製造する。材料によっては、焼結後、熱処理を施す。
【0005】
最近、異方性焼結磁石の成形工程において、ゴムモールドを用いることにより、異方性焼結磁石の特性を飛躍的に向上させる技術が開発された(例えば、特開平4−363010号)。この方法は、ゴムモールドのキャビティーに永久磁石粉末を充填した後、パルス磁場発生コイルの中にゴムモールドを配置してパルス磁場を印加することにより、ゴムモールドのキャビティーに充填された永久磁石粉末を配向させるとともに、永久磁石粉末が充填されたゴムモールドにパルス磁場印加方向と平行方向に圧縮圧力を加えることにより、永久磁石粉末が配向された圧粉体の成形を行うものである。上記の圧縮圧力によるゴムモールドの変形で、ゴムモールド内の永久磁石粉末は疑似等方的に成形される。このように疑似等方的にゴムモールド内の永久磁石粉末を成形することにより、成形時の永久磁石粉末の配向が改善され、その結果、残留磁束密度を向上させることが可能となった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特開平4−36301号を用いて、寸法の大きな圧粉体、特に、磁場を印加した方向に長い寸法を持つ圧粉体を成形し、該圧粉体を焼結した際には、1つの焼結体の上端部及び下端部の磁気特性が劣化することがあった。例えば、得られた焼結体を、磁場を印加した方向に垂直な面でいくつかに等分に切断し、各々の切断片の磁気特性を測定すると、成形の時に、蓋部や底部に近かった部位から切り出された磁石片の表面の磁束が、磁石片の表と裏とで大きく異なった値になってしまう。このように磁気特性にばらつきがあると、製品の磁気特性の管理が難しくなり、また、製品の歩留りが悪くなる。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題を解決するとともに、磁気特性の向上した異方性焼結磁石の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した目的を達成するために、第1には、ゴムモールドのキャビティーに充填された永久磁石粉末を、磁場印加により配向させるとともに圧縮成形して圧粉体を成形し、該圧粉体を焼結することにより異方性焼結磁石を製造する異方性焼結磁石の製造方法において、前記ゴムモールドの蓋部及び底部の少なくとも一部が、ゴムと磁性粒子の複合体で、且つ、その飽和磁化が、前記永久磁石粉末の磁化の値に対して±30%である磁性を有するゴムからなるものであり、第2には、Nd−Fe−B系及びSm−Co系異方性焼結磁石の製造方法において、ゴムと磁性粒子の複合体である磁性ゴムの飽和磁化4πIsを2500〜7000ガウスとしたものであり、第3には、フェライト系異方性焼結磁石の製造方法において、ゴムと磁性粒子の複合体である磁性ゴムの飽和磁化4πIsを1000〜3500ガウスとしたものであり、第4には、ゴムと磁性粒子の複合体である磁性ゴムを、ゴムモールドのキャビティーに充填された永久磁石粉末と接する部分に配設したものである。
【0009】
【作用】
一般的に磁性体が磁化された時には、磁性体の両端に磁極が現れ、磁性体内部の磁束は、磁性体の中央部では磁束密度が大きく、且つ、その磁束の向きも均一になるものの、磁性体端部では、磁束密度は中央部に比して小さいうえに、磁束の方向も不均一である。特に、磁極の現れる部分には、このように磁束密度の減少と不均一、磁束方向の乱れが顕著である。この様子を表すと図1のようになる。このような現象は、ゴムモールドのキャビティーに永久磁石粉末を充填して磁場を印加した場合にも現れ、磁極が発生し、ゴムモールドのキャビティーに充填された永久磁石粉末の磁場分布も図1のようになっていると考えられる。
【0010】
また、永久磁石粉末端部に永久磁石粉末の磁化よりはるかに大きな磁化を有する磁性体を配置したときにも、また磁化の不連続が生じ磁極が発生してしまう。このような磁極が発生して磁場分布が乱れることにより、永久磁石粉末の容易磁化方向が、乱れた磁場分布の方向を向いてしまい、上述した問題点が生じていたと思われる。
【0011】
本発明により、ゴムモールドの少なくとも蓋部と底部の一部を磁性ゴムとすることにより、特に、その磁性ゴムの飽和磁化の値を、ゴムモールドのキャビティーに充填された永久磁石粉末の磁化の±30%とし、ゴムモールドのキャビティーに充填された際の永久磁石粉末の飽和磁化と同程度の磁化を有する磁性ゴムを用いることで、磁場印加後、磁極が、磁性ゴムの永久磁石粉末と接している面の反対側の面に現れ、永久磁石粉末の表面に現れることがなくなる。そのため、磁極付近の磁束密度の減少と不均一及び磁束方向の乱れは、磁性ゴムの部分に集中することになり、永久磁石粉末の部分は、その磁極の影響が緩和され、磁束密度は大きく均一で、また、磁束の方向は平行となり、配向の乱れを抑えることが可能となる。
【0012】
本発明では、ゴムモールドを使用することにより、特開平4−363010号に開示されている作用効果により異方性焼結磁石の配向を高め、ゴムモールドの蓋部及び底部の、少なくとも一部に磁性をもたせ、ゴムモールドのキャビティーに充填された永久磁石粉末と接する位置に配置することで、蓋部、底部近傍の磁束の向きを平行にして、配向のばらつきを抑えようとするものである。この際、磁石配向方向に垂直な方向に輪切りにした磁石片の上面と下面の表面の磁束密度を、ホール素子を用いて、所定の測定条件の下で測定し、これを下面の表面磁束密度と上面の表面磁束密度の比(下面の表面磁束密度/上面の表面磁束密度)で、1.000±0.035、つまり、±3.5%より大きな差が生じた場合、磁石を用いた応用製品の特性ばらつきが多くなり、磁石使用上、支障をきたす。このため、本発明に使用される磁性ゴムは、その飽和磁化4πIsを、ゴムモールドのキャビティーに充填される永久磁石粉末の磁化の±30%と限定した。
【0013】
上述した磁性を有するゴム部分(磁性ゴム)は、ゴムモールドの一部であるので、当然のことながら、ゴムとしての性質を有していなければならない。そうでない場合には、成形性が非常に悪化し、得られる圧粉体には、割れ、ひび、欠けなどが発生しやすくなる。本発明の磁性ゴムは、磁性粒子と液状ゴムとを混合して型に流し込み、その後、ゴムを硬化させることによって作成される。磁性粒子の飽和磁化4πIsと磁性粒子とゴムとの混合割合を勘案することにより、磁性ゴムの飽和磁化4πIsが調整される。
【0014】
本発明に使用される磁性ゴムは、その飽和磁化4πIsを、ゴムモールドのキャビティーに充填した永久磁石粉末の磁化の±30%と限定した。先ず、Nd−Fe−B系及びSm−Co系磁石について、磁化が30%小さい2500ガウス未満の飽和磁化4πIsを持つ磁性ゴムでは、永久磁石粉末の表面に磁極が発生してしまい、本発明の効果を得ることができない。また、磁性ゴムの飽和磁化4πIsを、7000ガウスを越える大きさにした場合には、磁性ゴムに占める磁性粒子の割合が多くなり過ぎ、磁性ゴムがゴムとしての性質を失い、成形性に悪影響を及ぼすため好ましくない。この磁性ゴムの飽和磁化4πIsの範囲の中でも、特に、3000〜6000ガウスの範囲が本発明の効果が顕著に現れるため好ましい。
【0015】
フェライト磁石については、1000ガウス未満の飽和磁化4πIsをもつ磁性ゴムでは、永久磁石粉末の表面に磁極が発生してしまい、本発明の効果を得ることができない。また、磁性ゴムの飽和磁化4πIsを、3500ガウスを越える大きさにした場合には、磁性ゴムを用いなかったときと逆の磁極が発生してしまい、その結果、同様に、圧粉体の配向が乱れてしまう。この磁性ゴムの飽和磁化4πIsの範囲の中でも、特に、1500〜2500ガウスの範囲が本発明の効果が顕著に現れるため好ましい。
【0016】
磁性ゴムに使用される磁性粒子は、磁性体であればどのような物質を使用してもよいが、FeCo合金粉末粒子を用いるのが好ましい。FeCo合金粉末粒子の飽和磁化4πIsは大きいため、所定の飽和磁化4πIsを有する磁性ゴムを作製する際、FeCo合金粉末粒子の混合割合を減らすことができ、磁性ゴムのゴムとしての性質を損なうことが少ない。更に、FeCo合金粉末粒子は錆びにくく、長期に使用しても酸化することが少ないので、磁性ゴムの磁気特性の経時変化が少ない。
【0017】
また、磁性ゴムに使用される磁性粒子の粒径は、0.5〜100μmであることが好ましい。磁性粒子の粒径が0.5μm未満の場合には、磁性粒子が酸化しやすくなり長期の使用には耐えない。また、磁性粒子の粒径が100μmを越えると、ゴムと混合し、ゴムを硬化させている間に、粒子自体の重さにより沈降してしまい、均一な性質をもった磁性ゴムを作成することが困難である。
【0018】
磁性ゴムに使用されるゴムとしては、シリコーンゴムを使用することが好ましい。シリコーンゴムは、長期間使用しても変形が少なく、また、応力がかかった際の変形量もまた経時変化も少ないため、長期にわたって使用することが可能となるからである。
【0019】
次に、ゴムモールドの垂直断面図である図2を用いて、本発明の異方性焼結磁石の製造方法において使用されるゴムモールドの一例について説明する。
【0020】
図2において、1は、永久磁石粉末pが充填される空間部としてのキャビティー2が形成されたゴムモールド本体であり、3は、永久磁石粉末pが充填されたキャビティー2を覆う蓋部である。ゴムモールドmは、キャビティー2が形成されたゴムモールド本体1と蓋部3とにより形成されている。
【0021】
図2(a)に示されている実施例は、ゴムモールド本体1に載置されるように形成された蓋部3を有するゴムモールドmにおいて、キャビティー2に充填された永久磁石粉末pの上面p1及び下面p2のほぼ中央部に磁性ゴム4が位置するように、ゴムモールド本体1の底部1aの中央部及び蓋部3の中央部に、底部1a及び蓋部2の全体に厚さに対して所定の厚さを有する磁性ゴム4を配設したものである。ゴムモールド本体1の底部1aの中央部及び蓋部3の中央部以外の部分は、磁性粒子が含まれていないゴムで形成されている。
【0022】
なお、成形された磁性ゴム4に、磁性粒子が含まれていない液状ゴムを流し込んで硬化させることにより、磁性ゴム4が配設されたゴムモールド本体1を成形することができる。また、ゴムモールド本体1の底部1aに凹部を形成し、該凹部に、磁性ゴム4を嵌着することにより、磁性ゴム4が配設されたゴムモールド本体1を形成することもできる。同様に、成形された磁性ゴム4に、磁性粒子が含まれていない液状ゴムを流し込んで硬化させることにより、磁性ゴム4が配設された蓋部3を成形することができる。また、蓋部3の下部に凹部を形成し、該凹部に、磁性ゴム4を嵌着することにより、磁性ゴム4が配設された蓋部3を形成することもできる。
【0023】
図2(b)に示されている実施例は、キャビティー2に嵌着される蓋部3を有するゴムモールドmにおいて、ゴムモールド本体1の底部1a及び永久磁石粉末pが充填されたキャビティー2の上部空間部に嵌着される蓋部3の全体を、磁性ゴム4で形成したものである。成形された磁性ゴム4の周壁を囲むように、磁性粒子が含まれていない液状ゴムを流し込んで硬化させることにより、底部1a全体が磁性ゴム4で形成され、また、円筒状部1bが磁性粒子を含まないゴムで形成されたゴムモールド本体1を成形することができる。また、磁性粒子が含まれていないゴムで円筒状部1bを形成し、該円筒状部1bの底に、磁性ゴム4を嵌着することにより、磁性ゴム4が配設されたゴムモールド本体1を形成することもできる。
【0024】
図2(c)に示されている実施例は、上述した図2(a)に示されている実施例において、磁性ゴム4が、キャビティー2に充填された永久磁石粉末pの上面p1及び下面p2の全体を覆うように、ゴムモールド本体1の底部1aの全体及び蓋部3を磁性ゴム4で形成したものである。
【0025】
図2(d)に示されている実施例は、ゴムモールド本体1全体及び蓋部3全体、即ち、ゴムモールドm全体を、磁性ゴム4で形成したものである。
【0026】
本発明では、図2(a)に示されているように、ゴムモールドmの少なくとも蓋部3と底部1aの一部が磁性ゴム4からなっていればよいが、例えば、図2(b)及び図2(c)に示されているように、ゴムモールドmの蓋部3及び底部1aの充填された永久磁石粉末pと接する部分が磁性ゴム4からなっていると、本発明の効果が顕著に現れ、好ましい。また、図2(d)のように、ゴムモールドm全体が磁性ゴム4からなっていても、本発明の効果を得ることができる。但し、蓋部3と底部1aのどちらかが磁性ゴム4でなく磁性を示さない通常のゴムからなっている場合には、パルス磁場印加時に、ゴムモールドm内の磁場勾配を緩和させることができず、磁性ゴムのない方に磁極が発生してしまい、本発明の効果を得ることができないので、蓋部3と底部1aとの両者が、共に、その少なくとも一部が磁性ゴム4からなっていることが本発明では重要なことである。
【0027】
更に、蓋部3、底部1aに使用される磁性ゴム4の厚みは、5mm以上であることが好ましい。磁性ゴム4の厚みが5mmより小さい場合には、パルス磁場印加時に、ゴムモールドm内の磁場勾配を緩和させることができず、本発明の効果を得ることができない。なお、磁性ゴム4の厚みとは、磁性ゴム4のダイプレス機などによる圧縮応力印加方向の長さのことを指している。
【0028】
本発明の対象となる異方性焼結磁石としては、Baフェライト、Srフェライトなどのフェライト磁石、R−Co系、R−Fe−B系などの希土類磁石がある。これらの磁石は以下のように製造される。
【0029】
フェライト磁石は、酸化鉄、酸化バリウム、炭酸ストロンチウムなどの原料を、最終組成が、MO・6Fe2 O3 (Mは、Ba、Srなど)に近い組成になるように秤量、混合し、900〜1200℃で1〜5時間程度焼成して固相反応を起こさせ、Baフェライト、Srフェライトなどの焼成品を作成する。次いで、得られたフェライトを1μm以下に微粉砕し、配向磁場を印加して圧縮成形し、圧粉体を得る。その際、圧縮により、磁石粉末の容易磁化方向を磁場方向に向けるのが困難になる場合もあり、この場合には、フェライト磁石粉末を適当な液体に懸濁させてスラリー状にして磁場成形を行う湿式成形を行うこともある。次いで、1000〜1300℃で1〜5時間程度焼結を行い、フェライト磁石を得る。
【0030】
R−Co系希土類磁石は、RCo5 系、R2 Co17系などがあるが、実用に供されているのは、ほとんどがR2 Co17系である。R2 Co17系希土類磁石は、通常、重量百分率で、20〜28%のR、5〜30%のFe、3〜10%のCu、1〜5%のZr、残部Coからなり、以下のような製造法により製造される。先ず、原料金属を秤量して溶解、鋳造し、得られた合金を平均粒径1〜20μmまで微粉砕する。微粉砕されたR2 Co17系合金は、磁場中で圧縮成形され、その後、1100〜1250℃で0.5〜5時間焼結され、次いで、焼結温度よりも0〜50℃低い温度で0.5〜5時間溶体化され、そして、最後に時効処理が施される。時効処理は、通常初段時効として700〜950℃で一定の時間保持し、その後、連続冷却又は多段時効を行う。
【0031】
R−Fe−B系希土類磁石は、通常、重量百分率で、5〜40%のR、50〜90%のFe、0.2〜8%のBからなる。磁気特性を改善するために、C、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、Sn、Hf、Ta、Wなど添加元素を加えることが多い。これら添加物の添加量は、Coの場合には、30重量%以下、その他の元素の場合には、8重量%以下とするのが普通である。これ以上の添加物を加えると、逆に磁気特性を劣化させてしまう。R−Fe−B系希土類磁石の製造方法は以下の通りである。原料金属を秤量して溶解、鋳造し、得られた合金を平均粒径1〜20μmになるまで粉砕する。続いて、この粉砕粉を磁場中で圧縮成形し、1000〜1200℃で0.5〜5時間焼結を行う。最後に400〜1000℃で時効処理を行い、R−Fe−B系希土類磁石を得る。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の実施態様を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の趣旨を越えない限り、何ら、本実施例に限定されるものではない。
【0033】
(実施例1、比較例1)
原子%でNd13.5Dy1 Fe78B6.AI1 の合金を、純度99.9wt%以上の各原料金属を誘導加熱高周波溶解炉を用いてアルゴン雰囲気中で溶解、鋳造し作製した。この合金インゴットを、アルゴン雰囲気中1100℃×24時間の均質化熱処理を行った後、アルゴン雰囲気中でジョークラッシャー、ブラウンミルを用いて粗粉砕し、次いで、窒素ガスを用いたジェットミルで微粉砕を行い、平均粒径5μmのR−Fe−B系永久磁石粉末を作製した。
【0034】
これを図2(b)に示されるようなゴムモールドの中に、R−Fe−B系永久磁石粉末を3g/ccの充填密度に充填し、5Tのパルス磁場を印加した後、0.8ton/cm2 の圧力でゴムモールドを圧縮した。パルス磁場印加方向は、円柱状試料の軸方向であり、圧力印加方向も同一方向である。ここで、用いたゴムモールド本体1の円筒状部1bはシリコーンゴムからなっている。また、磁性ゴム4は、平均粒径10μmのFe60Co60合金粉末粒子をシリコーンゴムに混合して硬化させたもので、飽和磁化4πIsが4000ガウスの磁気特性を有している。なお、ゴムモールド本体1の円筒状部1bは、外径が60mm、内径が40mm及び高さが70mmであり、磁性ゴム4からなる蓋部3及び底部1aは、外径が40mm及び厚さが10mmの円盤形に形成されている。
【0035】
得られた圧粉体を真空中にて1060℃で90分焼結し、その後、更に、540℃で時効熱処理を行って、円柱状R−Fe−B系焼結磁石を作製した。得られた円柱状焼結磁石を5等分に輪切りにし、磁石片の上面と下面の表面の磁束密度をホール素子を用いて測定し、その結果を、下面の表面磁束密度と上面の表面磁束密度の比(下面/上面)で表し、表1に記した。また、実施例1の蓋部3及び底部1aを、磁性ゴム4とする代わりに、ゴムモールド本体1の円筒状部1bと同様のシリコーンゴムとし、ゴムモールドm全体を磁性粒子を含まないシリコーンゴムとして、実施例1と同じ実験を行い、その結果を、表1において、比較例1として記した。なお、表1において、「上」、「上中」、「中央」、「下中」、「下」とは、5等分された円柱状焼結磁石の5つの輪切り片の、ゴムモールドmのキャビティー2に充填されていた時点における、蓋部3から底部1a方向への位置を示す。従って、「上」は、蓋部3に一番近い輪切り片を指し、「中央」は、5等分された円柱状焼結磁石の輪切り片の真ん中に位置する輪切り片を指し、また、「下」は、底部1aに一番近い輪切り片を指す。以下に説明する表3及び表4においても、同様である。
【0036】
【表1】
【0037】
表1より、磁性ゴムを用いることで蓋部、底部に近い部分の磁石片の表面、裏面の磁気特性のばらつきが抑えられることが分かる。
【0038】
(実施例2)
シリコーンゴムと平均粒径10μmのFe60Co60合金粉末の混合割合を変えて種々の飽和磁化を有する磁性ゴムを作製した。これらの磁性ゴムを用いて実施例1と同様な実験を行った。表2には、1つの焼結体より切り出した5つの磁石片のうち表1中の上の部分の磁石片の上面と下面の表面磁束密度を測定し、下面/上面の値を記した。なお、飽和磁化が10000ガウスを超える磁性ゴムを用いて圧縮成形を行った試料は、圧粉体に割れが発生し、磁気特性を測定することができなかった。
【0039】
【表2】
【0040】
表2より、磁性ゴムの飽和磁化4πIsが2500〜7000ガウスの範囲で、1つの焼結体内の残留磁束密度のばらつきが抑えられていることが分かる。また、特に、磁性ゴムの飽和磁化4πIsが3000〜6000ガウスの範囲で効果が大きいことが分かる。
【0041】
(実施例3、比較例3)
合金組成が重量%でSm26%、Fe14%、Cu5%、Zr3%、残部Coとなるように原料金属を秤量した後、これらを誘導加熱高周波溶解炉を用いてアルゴン雰囲気中で溶解し、鋳造して合金インゴットを作製した。この合金インゴットを、アルゴン雰囲気中でジョークラッシャー、ブラウンミルを用いて粗粉砕し、次いで、窒素ガスを用いたジェットミルで微粉砕を行い、平均粒径5μmのR2 Co17系永久磁石粉末を作製した。この粉末を実施例1と同じ方法で、磁性ゴムを用いたゴムモールド内に充填し、圧縮成形を行った。
【0042】
圧縮成形された圧粉体をアルゴン雰囲気下で1200℃で焼結、1180℃で溶体化した。時効熱処理は、先ず初段時効として850℃で2時間保持した後、1度/minの冷却速度で400℃まで連続冷却を行い、その後急冷した。
【0043】
得られたR2 Co17系焼結磁石を実施例1と同様に5等分し、1つの焼結体より切り出した5つの磁石片の上面と下面の表面磁束密度を測定し、下面/上面の値を記した。その結果を、表3に示す。比較例3として、磁性ゴムを使用せずに同様の実験を行った。その結果をあわせて表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
表3より、R2 Co17系焼結磁石においても、磁性ゴムの使用により蓋部、底部に近い部分の磁石片の表面、裏面の磁気特性のばらつきが抑えられることが分かる。
【0046】
(実施例4、比較例4)
炭酸ストロンチウム(SrCO3 )及び酸化第2鉄(Fe2 O3 )をモル比で1:5.9の割合で混合し、ボールミルで8時間粉砕、混合した後、1080℃で1時間焼成し、次いで、スタンプミル、ボールミルを用いて粉砕を行い、平均粒径が0.8μmのSrフェライト磁石粉末を作製した。この粉末を実施例1と同じ方法で、磁性ゴムを用いたゴムモールド内に充填し圧縮成形を行った。
【0047】
圧縮成形された圧粉体を、1250℃で焼結し、Srフェライト焼結磁石を作製した。
【0048】
得られたSrフェライト焼結磁石を、実施例1と同様に5等分し、1つの焼結体より切り出した5つの磁石片の上面と下面の表面磁束密度を測定して、下面/上面の値を求め、その結果を表4に示す。比較例4として、磁性ゴムを使用せずに同様な実験を行った。その結果をあわせて表4に示す。
【0049】
【表4】
【0050】
表4より、フェライト系焼結磁石においても、磁性ゴムの使用により蓋部、底部に近い部分の磁石片の表面、裏面のばらつきが抑えられることが分かる。
【0051】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載する効果を奏することができる。
【0052】
本発明により残留磁束密度が大きく、また、残留磁束密度のばらつきが少ない、異方性焼結磁石を製造するこが可能になった。その結果、製造歩留まりが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は磁化された磁性体の磁束分布を示す模擬図である。
【図2】図2は本発明の異方性焼結磁石の製造方法において使用される一例としてのゴムモールドの垂直断面図である。
【符号の説明】
m・・・・・・ゴムモールド
p・・・・・・永久磁石粉末
1・・・・・・ゴムモールド本体
1a・・・・・底部
2・・・・・・キャビティー
3・・・・・・蓋部
4・・・・・・磁性ゴム
Claims (4)
- ゴムモールドのキャビティーに充填された永久磁石粉末を、磁場印加により配向させるとともに圧縮成形して圧粉体を成形し、該圧粉体を焼結することにより異方性焼結磁石を製造する異方性焼結磁石の製造方法において、前記ゴムモールドの蓋部及び底部の少なくとも一部が、ゴムと磁性粒子の複合体で、且つ、その飽和磁化が、前記永久磁石粉末の磁化の値に対して±30%である磁性を有するゴムからなることを特徴とする異方性焼結磁石の製造方法。
- 請求項1において、ゴムと磁性粒子の複合体である磁性ゴムの飽和磁化4πIsが2500〜7000ガウスであることを特徴とするNd−Fe−B系及びSm−Co系異方性焼結磁石の製造方法。
- 請求項1において、ゴムと磁性粒子の複合体である磁性ゴムの飽和磁化4πIsが1000〜3500ガウスであることを特徴とするフェライト系異方性焼結磁石の製造方法。
- ゴムと磁性粒子の複合体である磁性ゴムを、ゴムモールドのキャビティーに充填された永久磁石粉末と接する部分に配設したことを特徴とする請求項1に記載の異方性焼結磁石の製造方法。
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