JP3567167B2 - 電波伝搬路障害予測方法およびその障害低減方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電波伝搬路に発生する障害を予測する方法および障害を回避する方法に関するものであり、特に人工衛星を用いた移動体通信システムにおいて発生する電波伝搬路障害予測方法およびその障害低減方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
陸上移動体衛星通信では、移動体と衛星との間に樹木や建造物などの電波遮蔽物が存在すると、回線品質の劣化や回線遮断などの悪影響が発生する。従来のシステムでは、この電波遮蔽物による情報伝送の誤りを主に自動再送要求(ARQ:Automatic Repeat reQuest)という方法で訂正している。これは、情報の受け手側が送り手側に、誤り部分の再送を要求する方法である。移動体衛星通信システム全体で考えた場合、多数のユーザ(移動局)が存在すると、この再送要求が頻発するために衛星通信システム全体としての回線利用効率や正味の情報伝送速度が著しく低下する。この様な問題に対処するためには情報伝送効率をより高める事が有効であるが、その方法として、データの伝送速度やパケット長などの通信パラメータを可変にする方法も考えられている。しかし、移動局が地上を移動する場合、特に山岳部や都市部を移動する場合には通信環境が刻一刻と変化するために、その通信環境の変化に即応する様に通信システム全体の最適パラメータを設定することが困難である。
【0003】
本発明の用いる機器構成と類似の構成を持つ例の記載として、特開平11−044718号公報がある。しかし、ここに開示された発明は、移動測定車による電界強度測定方式に関するものであり、通信障害に関するものではない。この記載との装置構成の類似点は多いが、その機能において明らかに異なっている。上記の公報で開示された発明では、沿道の状況を撮影し、また、画像情報から車両の速度を算出するだけであり、画像情報から電波伝搬路を予測する機能がない点と、さらにその予測情報を用いて通信回線を制御する機能がない点とにおいて本発明と異なっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の人工衛星を用いた移動体衛星通信システムでは、移動局が地上を移動する場合、特に山岳部や都市部を移動する場合には通信環境が刻一刻と変化するために、その通信環境の変化に即応する様に通信システム全体の最適パラメータを設定することが困難であった。
【0005】
この発明は上記に鑑み提案されたもので、特に人工衛星を用いた移動体通信システムにおいて電波伝搬路に発生する障害を予測し、あるいはその障害を回避することができる電波伝搬路障害予測方法およびその障害低減方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、電波伝搬路障害予測方法であって、送信局あるいは中継局と受信局あるいは中継局とを有する通信系における少なくとも一方の局において、相対的に移動する障害物を画像情報として捉え、その障害物の座標と通信相手の局の座標とを表現できる2次元の仮想空間を設定し、その仮想空間において、画像情報として捉えた移動局の進行方向の無限遠点と通信相手の局の座標とを結ぶ予測線を設定し、その予測線上の障害物の占める座標を設定し、その予測線上の障害物の占める座標と通信相手の局の座標との相対的な移動をもとに、その障害物が通信相手の局の座標に達する時間をあるいは通信相手の局の座標を過ぎ去る時間を予測することによって、通信障害の発生時期をあるいは通信障害の終了時期を予測することを特徴としている。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の電波伝搬路障害予測方法による電波伝搬路障害の予測発生時期に概略一致する時期に、電波伝搬路障害により電波の送信あるいは受信に障害の発生が予想された局を含む通信網の回線経路を変更して通信障害の発生を低減することを特徴としている。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、上記した請求項1に記載の電波伝搬路障害予測方法による電波伝搬路障害の予測終了時期に概略一致する時期に、請求項2に記載の電波伝搬路障害の障害低減方法により変更された通信網の回線経路を、変更される前の通信網の回線経路に戻すことを特徴としている。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、上記した請求項1に記載の電波伝搬路障害予測方法による電波伝搬路障害の予測発生時期に概略一致する時期に、電波伝搬路障害により電波の送信あるいは受信に障害の発生が予想された局を含む通信網で使われる通信方式を変更して通信障害の発生を低減することを特徴としている。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、上記した請求項2に記載の電波伝搬路障害予測方法による電波伝搬路障害の予測終了時期に概略一致する時期に、請求項4に記載の電波伝搬路障害の障害低減方法により変更された通信網の通信方式を、変更される前の通信網の通信方式に戻すことを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、移動体の進行方向、または周辺の走行環境の光学的な画像情報から、直進性の強いマイクロ波以上の高周波電波の電波伝搬路状態を予測するものであり、電波遮蔽物等により電波による通信回線が影響を受ける以前にそれを予測して、その予測情報を通信回線制御に適用することで通信障害や、その対策として行なわれている無駄な情報伝送を回避するものである。時々刻々と通信環境の変化する移動体衛星通信路においても予測情報の活用により相応の時間を使って通信回線制御を行うことができるようになるため、通信システム全体の情報伝送効率を向上させることができる。
【0012】
以下にこの発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。衛星からのデータ等を受信しながら走行している移動局では、山岳やビルなど進路上の電波遮蔽物により受信データの欠損が生じる。従来はその欠損部分を単に再送していたが、遮蔽物が多く存在する場合等には、再送データ自体の再送が必要になる場合があり、この様なことから回線利用効率が著しく低下する事態になる場合がある。本発明では、移動局に積載された搭載カメラにより進路上の電波遮蔽物による電波伝搬路障害の発生を予測し、その予測情報をデータ送信側に伝えることにより、より効率的な回線制御を行うことにより回線利用効率を上げるものである。
【0013】
この予測方法を図1および図2を用いて以下に説明する。図1は、基地局30と電波伝搬路障害を受けつつある移動局20が人工衛星1を通じて通信をしていることを示す概念図であり、図2は、図1の移動局20に積載された搭載カメラ23により進路上の電波遮蔽物5による電波伝搬路障害の発生を予測する方法を示すための概念図である。図1は、人工衛星1からデータを受け取る移動局が、やがて前方の障害物により通信経路を遮断される事を予想するために、移動局の前方方向の景色を搭載カメラが撮影していることを示している。搭載カメラの視野角は、0.2πステラジアンある。一般に、視野角は、0.2π〜2πステラジアンであることが望ましい。特に視野角2πステラジアンを有する全天カメラでは、進行方向と人工衛星の方向とを捉えることができる。しかしながら、人工衛星の方向は、搭載カメラで捉える必要は必ずしも無く、図2に示す様に、これらの信号を処理するデータ処理系の中で等価的に捉えられていても良い。図2は、衛星の位置を含むデータ処理系の座標系100のなかに搭載カメラで撮影された映像10が表現されている状態を示している。道路を走行中の移動局の搭載カメラからの映像の概念図であるため、遠近画の形式になっており、遠方の道路と、遠方の建物とは、ひとつの無限遠の点に収束する様式となっている。
【0014】
まず、搭載カメラで撮影された映像10に対して、車両走行にともなう障害物5の軌跡を決める。ここで、障害物5の軌跡とは、車から衛星1と障害物5をみたときに、障害物5が衛星1に近づく方向に描いていくだろう軌跡の意味である。ここでは便宜上、画像を座標系の一部として使い、この座標系における障害物5と人工衛星1の衝突運動とみなしてその予測を行なう。この様にするため、画像の中心部(進行方向)にある無限遠の点と現在の衛星方向を結ぶ直線を予測線2とする。
【0015】
この例では、画像は搭載カメラ23から、衛星の軌跡は車載方位センサーと予め記憶された衛星軌道情報より得ている。例えば、直線道路を静止衛星(仰角45度程度)を右側に見ながら走行している場合には、図2に示す様に、予測線は画面の右上から中心(進行方向)に向かう直線となる。この予測線2上にある障害物5が人工衛星からの電波を遮るものである。次にその予測線2上の輝度情報の違いから障害物か空かの判断を行い、障害物の開始の端点3と終了の端点4とを抽出する。また、その予測線2上の人工衛星と障害物の開始の端点3と終了の端点4との衛星の座標位置に対する相対速度を計測する。この速度を基に障害物の開始の端点3と終了の端点4とが衛星の座標位置に来るまでの時間を予測するものである。この予測方法では、概略次の手順に依って予測するものである。
(1)上記の無限遠の点と上記の障害物5と人工衛星1とを結ぶ予測線2を設定する。
(2)予測線2上にある障害物の開始の端点3と障害物の終了の端点4を見いだす。
(3)それらの端点3,4の衛星方向に向かう予測線2上の速度を求める。
(4)それらの端点が衛星1の位置を通過するまでの時間を求める。
(5)障害物の開始の端点3が衛星1の位置を通過するまでの時間が、通信障害の発生を予測した時間で、障害物の終了の端点4が衛星1の位置を通過するまでの時間が、通信障害の終了を予測した時間である。
【0016】
これらのデータ処理を行なう装置のブロックダイアグラムを図3に示す。電波伝搬路予測部では、画像データと移動体情報と衛星情報とから障害の予測を行ない、通信装置により予測情報を基地局に送信するものである。
【0017】
移動局20はこの後、図1に示す様に、これらの予測情報を人工衛星1を通じて基地局30に送信する。これらの情報を基地局30に送ることによって、基地局30では効率的な回線制御を行うものである。衛星1からデータが送られて来る場合には、上記のように移動局20から予測情報を送信するだけであるが、移動局20からデータを送信する場合には、データと予測情報を衛星側に送信するとともに、その予測情報を元に、自らの送信タイミングや通信方式などの制御を行う。
【0018】
車両が右左折する場合などに起こる電波伝搬路障害では、予測線2は直線ではなく、その特性に応じた関数形を用いて予測することが望ましい。例えば、移動局が自ら方向を変える場合の予測では、移動局の速度や搭載方位センサーからの情報を元に予測線を変更することが望ましい。さらに、移動局が自ら方向を変える場合の予測ではまた、地図情報とGPS(Global Positioning System)とを組み合わせたシステムを本発明の予測方法を利用した予測装置と組み合わせることにより、効果的に障害物を予測することができる。また、予測していなかった電波伝搬路障害が起こることあるが、この場合は、衛星回線は予測情報を用いない通常のARQ(再送要求)方式で伝送を行うものである。
【0019】
衛星系と地上系の通信システムが混在する大規模な通信網の場合は、各移動局からの通信障害の予測情報を元に、回線障害前に予め地上系通信システムに回線を切り替えることで、ユーザーは回線障害の起きない、より快適な通信を行うことができる。この場合、障害が短い場合には、伝送速度を変更したり、インターリーブの深さを変えて誤りを分散させバースト的な誤りを回避させる、等の通信方式の制御を行う。また、障害が長い場合には、使っていた回線を他の待ちユーザーに一時的に割り当てることで、無駄な空き回線を無くすといった回線制御を行う。移動局の通信装置からデータを送信する場合には、自らの予測情報をもとに、その送信が無駄にならないように、送信のタイミングや通信方式を、設定するものである。
【0020】
【発明の効果】
この発明は上記した構成からなるので、以下に説明するような効果を奏することができる。
【0021】
請求項1に記載の発明では、移動局との通信において電波伝搬路が障害物により遮断されることによる通信障害を効果的に予測できるようになった。
【0022】
また、請求項2および3に記載の発明では、請求項1に記載の発明による予測情報を受けて通信網の回線を一時的に変更して電波伝搬路が障害物により遮断されることによる通信障害を効果的に回避できるようになった。
【0023】
また、請求項4および5に記載の発明では、請求項1に記載の発明による予測情報を受けて通信網の通信方式を一時的に変更して電波伝搬路が障害物により遮断されることによる通信障害を効果的に回避できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】基地局と電波伝搬路障害を受けつつある移動局が人工衛星を通じて通信をしていることを示す概念図である。
【図2】移動局に積載された搭載カメラにより進路上の電波遮蔽物による電波伝搬路障害の発生を予測する方法を示すための概念図である。
【図3】データ処理を行なう装置のブロックダイアグラムを示す図である。
【符号の説明】
1 人工衛星
2 車両走行にともなう障害物の軌跡
3 障害物の開始の端点
4 障害物の終了の端点
5 進路上の電波遮蔽物
6 道路
10 搭載カメラで撮影された映像
20 移動局
21 移動局の衛星系アンテナ
22 移動局の地上系アンテナ
23 搭載カメラ
30 基地局
31 基地局の衛星系アンテナ
32 基地局の地上系アンテナ
100 衛星の位置を含むデータ処理系の座標系
【発明の属する技術分野】
この発明は、電波伝搬路に発生する障害を予測する方法および障害を回避する方法に関するものであり、特に人工衛星を用いた移動体通信システムにおいて発生する電波伝搬路障害予測方法およびその障害低減方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
陸上移動体衛星通信では、移動体と衛星との間に樹木や建造物などの電波遮蔽物が存在すると、回線品質の劣化や回線遮断などの悪影響が発生する。従来のシステムでは、この電波遮蔽物による情報伝送の誤りを主に自動再送要求(ARQ:Automatic Repeat reQuest)という方法で訂正している。これは、情報の受け手側が送り手側に、誤り部分の再送を要求する方法である。移動体衛星通信システム全体で考えた場合、多数のユーザ(移動局)が存在すると、この再送要求が頻発するために衛星通信システム全体としての回線利用効率や正味の情報伝送速度が著しく低下する。この様な問題に対処するためには情報伝送効率をより高める事が有効であるが、その方法として、データの伝送速度やパケット長などの通信パラメータを可変にする方法も考えられている。しかし、移動局が地上を移動する場合、特に山岳部や都市部を移動する場合には通信環境が刻一刻と変化するために、その通信環境の変化に即応する様に通信システム全体の最適パラメータを設定することが困難である。
【0003】
本発明の用いる機器構成と類似の構成を持つ例の記載として、特開平11−044718号公報がある。しかし、ここに開示された発明は、移動測定車による電界強度測定方式に関するものであり、通信障害に関するものではない。この記載との装置構成の類似点は多いが、その機能において明らかに異なっている。上記の公報で開示された発明では、沿道の状況を撮影し、また、画像情報から車両の速度を算出するだけであり、画像情報から電波伝搬路を予測する機能がない点と、さらにその予測情報を用いて通信回線を制御する機能がない点とにおいて本発明と異なっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の人工衛星を用いた移動体衛星通信システムでは、移動局が地上を移動する場合、特に山岳部や都市部を移動する場合には通信環境が刻一刻と変化するために、その通信環境の変化に即応する様に通信システム全体の最適パラメータを設定することが困難であった。
【0005】
この発明は上記に鑑み提案されたもので、特に人工衛星を用いた移動体通信システムにおいて電波伝搬路に発生する障害を予測し、あるいはその障害を回避することができる電波伝搬路障害予測方法およびその障害低減方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、電波伝搬路障害予測方法であって、送信局あるいは中継局と受信局あるいは中継局とを有する通信系における少なくとも一方の局において、相対的に移動する障害物を画像情報として捉え、その障害物の座標と通信相手の局の座標とを表現できる2次元の仮想空間を設定し、その仮想空間において、画像情報として捉えた移動局の進行方向の無限遠点と通信相手の局の座標とを結ぶ予測線を設定し、その予測線上の障害物の占める座標を設定し、その予測線上の障害物の占める座標と通信相手の局の座標との相対的な移動をもとに、その障害物が通信相手の局の座標に達する時間をあるいは通信相手の局の座標を過ぎ去る時間を予測することによって、通信障害の発生時期をあるいは通信障害の終了時期を予測することを特徴としている。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の電波伝搬路障害予測方法による電波伝搬路障害の予測発生時期に概略一致する時期に、電波伝搬路障害により電波の送信あるいは受信に障害の発生が予想された局を含む通信網の回線経路を変更して通信障害の発生を低減することを特徴としている。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、上記した請求項1に記載の電波伝搬路障害予測方法による電波伝搬路障害の予測終了時期に概略一致する時期に、請求項2に記載の電波伝搬路障害の障害低減方法により変更された通信網の回線経路を、変更される前の通信網の回線経路に戻すことを特徴としている。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、上記した請求項1に記載の電波伝搬路障害予測方法による電波伝搬路障害の予測発生時期に概略一致する時期に、電波伝搬路障害により電波の送信あるいは受信に障害の発生が予想された局を含む通信網で使われる通信方式を変更して通信障害の発生を低減することを特徴としている。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、上記した請求項2に記載の電波伝搬路障害予測方法による電波伝搬路障害の予測終了時期に概略一致する時期に、請求項4に記載の電波伝搬路障害の障害低減方法により変更された通信網の通信方式を、変更される前の通信網の通信方式に戻すことを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、移動体の進行方向、または周辺の走行環境の光学的な画像情報から、直進性の強いマイクロ波以上の高周波電波の電波伝搬路状態を予測するものであり、電波遮蔽物等により電波による通信回線が影響を受ける以前にそれを予測して、その予測情報を通信回線制御に適用することで通信障害や、その対策として行なわれている無駄な情報伝送を回避するものである。時々刻々と通信環境の変化する移動体衛星通信路においても予測情報の活用により相応の時間を使って通信回線制御を行うことができるようになるため、通信システム全体の情報伝送効率を向上させることができる。
【0012】
以下にこの発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。衛星からのデータ等を受信しながら走行している移動局では、山岳やビルなど進路上の電波遮蔽物により受信データの欠損が生じる。従来はその欠損部分を単に再送していたが、遮蔽物が多く存在する場合等には、再送データ自体の再送が必要になる場合があり、この様なことから回線利用効率が著しく低下する事態になる場合がある。本発明では、移動局に積載された搭載カメラにより進路上の電波遮蔽物による電波伝搬路障害の発生を予測し、その予測情報をデータ送信側に伝えることにより、より効率的な回線制御を行うことにより回線利用効率を上げるものである。
【0013】
この予測方法を図1および図2を用いて以下に説明する。図1は、基地局30と電波伝搬路障害を受けつつある移動局20が人工衛星1を通じて通信をしていることを示す概念図であり、図2は、図1の移動局20に積載された搭載カメラ23により進路上の電波遮蔽物5による電波伝搬路障害の発生を予測する方法を示すための概念図である。図1は、人工衛星1からデータを受け取る移動局が、やがて前方の障害物により通信経路を遮断される事を予想するために、移動局の前方方向の景色を搭載カメラが撮影していることを示している。搭載カメラの視野角は、0.2πステラジアンある。一般に、視野角は、0.2π〜2πステラジアンであることが望ましい。特に視野角2πステラジアンを有する全天カメラでは、進行方向と人工衛星の方向とを捉えることができる。しかしながら、人工衛星の方向は、搭載カメラで捉える必要は必ずしも無く、図2に示す様に、これらの信号を処理するデータ処理系の中で等価的に捉えられていても良い。図2は、衛星の位置を含むデータ処理系の座標系100のなかに搭載カメラで撮影された映像10が表現されている状態を示している。道路を走行中の移動局の搭載カメラからの映像の概念図であるため、遠近画の形式になっており、遠方の道路と、遠方の建物とは、ひとつの無限遠の点に収束する様式となっている。
【0014】
まず、搭載カメラで撮影された映像10に対して、車両走行にともなう障害物5の軌跡を決める。ここで、障害物5の軌跡とは、車から衛星1と障害物5をみたときに、障害物5が衛星1に近づく方向に描いていくだろう軌跡の意味である。ここでは便宜上、画像を座標系の一部として使い、この座標系における障害物5と人工衛星1の衝突運動とみなしてその予測を行なう。この様にするため、画像の中心部(進行方向)にある無限遠の点と現在の衛星方向を結ぶ直線を予測線2とする。
【0015】
この例では、画像は搭載カメラ23から、衛星の軌跡は車載方位センサーと予め記憶された衛星軌道情報より得ている。例えば、直線道路を静止衛星(仰角45度程度)を右側に見ながら走行している場合には、図2に示す様に、予測線は画面の右上から中心(進行方向)に向かう直線となる。この予測線2上にある障害物5が人工衛星からの電波を遮るものである。次にその予測線2上の輝度情報の違いから障害物か空かの判断を行い、障害物の開始の端点3と終了の端点4とを抽出する。また、その予測線2上の人工衛星と障害物の開始の端点3と終了の端点4との衛星の座標位置に対する相対速度を計測する。この速度を基に障害物の開始の端点3と終了の端点4とが衛星の座標位置に来るまでの時間を予測するものである。この予測方法では、概略次の手順に依って予測するものである。
(1)上記の無限遠の点と上記の障害物5と人工衛星1とを結ぶ予測線2を設定する。
(2)予測線2上にある障害物の開始の端点3と障害物の終了の端点4を見いだす。
(3)それらの端点3,4の衛星方向に向かう予測線2上の速度を求める。
(4)それらの端点が衛星1の位置を通過するまでの時間を求める。
(5)障害物の開始の端点3が衛星1の位置を通過するまでの時間が、通信障害の発生を予測した時間で、障害物の終了の端点4が衛星1の位置を通過するまでの時間が、通信障害の終了を予測した時間である。
【0016】
これらのデータ処理を行なう装置のブロックダイアグラムを図3に示す。電波伝搬路予測部では、画像データと移動体情報と衛星情報とから障害の予測を行ない、通信装置により予測情報を基地局に送信するものである。
【0017】
移動局20はこの後、図1に示す様に、これらの予測情報を人工衛星1を通じて基地局30に送信する。これらの情報を基地局30に送ることによって、基地局30では効率的な回線制御を行うものである。衛星1からデータが送られて来る場合には、上記のように移動局20から予測情報を送信するだけであるが、移動局20からデータを送信する場合には、データと予測情報を衛星側に送信するとともに、その予測情報を元に、自らの送信タイミングや通信方式などの制御を行う。
【0018】
車両が右左折する場合などに起こる電波伝搬路障害では、予測線2は直線ではなく、その特性に応じた関数形を用いて予測することが望ましい。例えば、移動局が自ら方向を変える場合の予測では、移動局の速度や搭載方位センサーからの情報を元に予測線を変更することが望ましい。さらに、移動局が自ら方向を変える場合の予測ではまた、地図情報とGPS(Global Positioning System)とを組み合わせたシステムを本発明の予測方法を利用した予測装置と組み合わせることにより、効果的に障害物を予測することができる。また、予測していなかった電波伝搬路障害が起こることあるが、この場合は、衛星回線は予測情報を用いない通常のARQ(再送要求)方式で伝送を行うものである。
【0019】
衛星系と地上系の通信システムが混在する大規模な通信網の場合は、各移動局からの通信障害の予測情報を元に、回線障害前に予め地上系通信システムに回線を切り替えることで、ユーザーは回線障害の起きない、より快適な通信を行うことができる。この場合、障害が短い場合には、伝送速度を変更したり、インターリーブの深さを変えて誤りを分散させバースト的な誤りを回避させる、等の通信方式の制御を行う。また、障害が長い場合には、使っていた回線を他の待ちユーザーに一時的に割り当てることで、無駄な空き回線を無くすといった回線制御を行う。移動局の通信装置からデータを送信する場合には、自らの予測情報をもとに、その送信が無駄にならないように、送信のタイミングや通信方式を、設定するものである。
【0020】
【発明の効果】
この発明は上記した構成からなるので、以下に説明するような効果を奏することができる。
【0021】
請求項1に記載の発明では、移動局との通信において電波伝搬路が障害物により遮断されることによる通信障害を効果的に予測できるようになった。
【0022】
また、請求項2および3に記載の発明では、請求項1に記載の発明による予測情報を受けて通信網の回線を一時的に変更して電波伝搬路が障害物により遮断されることによる通信障害を効果的に回避できるようになった。
【0023】
また、請求項4および5に記載の発明では、請求項1に記載の発明による予測情報を受けて通信網の通信方式を一時的に変更して電波伝搬路が障害物により遮断されることによる通信障害を効果的に回避できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】基地局と電波伝搬路障害を受けつつある移動局が人工衛星を通じて通信をしていることを示す概念図である。
【図2】移動局に積載された搭載カメラにより進路上の電波遮蔽物による電波伝搬路障害の発生を予測する方法を示すための概念図である。
【図3】データ処理を行なう装置のブロックダイアグラムを示す図である。
【符号の説明】
1 人工衛星
2 車両走行にともなう障害物の軌跡
3 障害物の開始の端点
4 障害物の終了の端点
5 進路上の電波遮蔽物
6 道路
10 搭載カメラで撮影された映像
20 移動局
21 移動局の衛星系アンテナ
22 移動局の地上系アンテナ
23 搭載カメラ
30 基地局
31 基地局の衛星系アンテナ
32 基地局の地上系アンテナ
100 衛星の位置を含むデータ処理系の座標系
Claims (5)
- 送信局あるいは中継局と受信局あるいは中継局とを有する通信系における少なくとも一方の局において、相対的に移動する障害物を画像情報として捉え、その障害物の座標と通信相手の局の座標とを表現できる2次元の仮想空間を設定し、その仮想空間において、画像情報として捉えた移動局の進行方向の無限遠点と通信相手の局の座標とを結ぶ予測線を設定し、その予測線上の障害物の占める座標を設定し、その予測線上の障害物の占める座標と通信相手の局の座標との相対的な移動をもとに、その障害物が通信相手の局の座標に達する時間をあるいは通信相手の局の座標を過ぎ去る時間を予測することによって、通信障害の発生時期をあるいは通信障害の終了時期を予測することを特徴とする電波伝搬路障害予測方法。
- 請求項1に記載の電波伝搬路障害予測方法による電波伝搬路障害の予測発生時期に概略一致する時期に、電波伝搬路障害により電波の送信あるいは受信に障害の発生が予想された局を含む通信網の回線経路を変更して通信障害の発生を低減することを特徴とする電波伝搬路障害の障害低減方法。
- 請求項1に記載の電波伝搬路障害予測方法による電波伝搬路障害の予測終了時期に概略一致する時期に、請求項2に記載の電波伝搬路障害の障害低減方法により変更された通信網の回線経路を、変更される前の通信網の回線経路に戻すことを特徴とする電波伝搬路障害の障害低減方法。
- 請求項1に記載の電波伝搬路障害予測方法による電波伝搬路障害の予測発生時期に概略一致する時期に、電波伝搬路障害により電波の送信あるいは受信に障害の発生が予想された局を含む通信網で使われる通信方式を変更して通信障害の発生を低減することを特徴とする電波伝搬路障害の障害低減方法。
- 請求項2に記載の電波伝搬路障害予測方法による電波伝搬路障害の予測終了時期に概略一致する時期に、請求項4に記載の電波伝搬路障害の障害低減方法により変更された通信網の通信方式を、変更される前の通信網の通信方式に戻すことを特徴とする電波伝搬路障害の障害低減方法。
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