JP3567039B2 - 超音波送受波器及び超音波計測装置 - Google Patents

超音波送受波器及び超音波計測装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、超音波の送受波を行う超音波送受波器及びそれを備えた超音波計測装置に関し、特に、超音波送受波器における複数の超音波素子の配置に関する。
【0002】
【従来技術の説明】
物体を3次元的に計測し、その物体を画像化する物体計測装置として、従来から各種の装置が知られている。その中で光学系を利用した計測装置には、対象物体の表面の光学的性質、計測環境(例えば照明)などの計測条件に制限がある。
【0003】
その一方、音響を利用した計測装置、特に超音波による物体の計測装置は、光学系を利用した計測装置に比べ、一般に、装置規模を小さくでき、コストダウンを図ることができる。殊に、超音波の速度が光よりも遅く、直接的に信号の位相等を計測・制御することが容易であるなどの長所があるため、超音波計測装置は簡便かつ有利な装置といえる。このような利点から、超音波計測装置は多方面(例えばセキュリティの分野)で活用されつつあり、そして、低コストでありながら、より高精度で信頼性の高い超音波計測装置が要望されている。
【0004】
超音波計測装置では、複数の送波素子及び受波素子を備えた超音波送受波器(超音波アンテナ)において超音波(超音波パルス)の送受波を行うことにより物体の計測が行われる。具体的には、各送波素子から超音波が送波され、対象物にて反射した反射波が複数の受波素子にて受波される。この送受波に当たっては、超音波の位相調整を行うことによるフォーカシングや超音波ビームの走査が行われる。各送受波により得られた多数の受信信号は送波素子及び受波素子の位置関係などに基づいて合成加算され、計測領域内に存在する対象物の三次元データ(距離データあるいは形状データ)が得られる。なお、必要に応じて計測対象の三次元画像が形成され、画像表示される。
【0005】
なお、対象物が計測時間内で定常であれば、必ずしも超音波を実際にフォーカシングする必要はなく、公知の合成開口法に基づいて、送波素子を別個に駆動し各送波に対し反射波を各受波素子で受波し、それにより得られた受信信号群を計算機の内部で電子的に収束・走査すれば、上記同様の3次元画像を得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような超音波を用いた物体計測においては複数の素子(複数の送波素子、複数の受波素子)を用いる必要があるが、この場合、素子数を少なくして素子密度を疎にすると、素子間距離と信号位相差とが所定の条件となった場合に、目的とする方位以外にも目的方位と同等の波面が生じることがあり、その結果、超音波計測画像において、目的とする物体像以外に「偽像」が発生し(グレイティングローブの発生)、計測の信頼性が低下するという問題があった。例えば超音波計測装置をセキュリティ分野で利用した場合において偽像が発生すると、物体の判別精度などが低下するという問題が生じる。
【0007】
これを避けるためには超音波素子を密に配置すればよいが、そのためには極めて小さな開口面を持つ超音波素子を配置する必要があり、それゆえ送信出力及び受信感度の低下が生じるという問題がある。また、限られた個数の素子を密に配置した場合、それらの素子で構成される素子アレーが張る開口の大きさが小さくなるため、形成される超音波ビームの幅が広がり、方位に関する分解能が劣化するという問題もある。
【0008】
従って、超音波素子を密にかつ大量に配置するのが理想的といえるが、その場合、素子数が増せばそれだけ配線数や回路数を増加させなければならないため、装置規模が拡大して装置のコストアップを招くという問題がある。
【0009】
なお、特公昭59−16224号公報、特公平1−17548号公報、特開平2−114189号公報、特開平5−150043号公報には関連技術が開示されているが、いずれも本発明の目的を達成できるものではない。
【0010】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、少ない超音波素子数で偽像を低減できる新しい素子配置法が適用された超音波送受波器を提供することにある。
【0011】
また、本発明の目的は、信号処理のための演算量を極力小さくして迅速なデータ処理を実現可能な超音波送受波器を提供することにある。
【0012】
また、本発明の目的は、コストアップを招くことなく精度のよい計測を行える信頼性の高い超音波計測装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、送受波面上に実素子として複数の送波素子及び複数の受波素子が配置され、超音波の送受波を行う超音波送受波器であって、前記複数の送波素子により少なくとも1つの直線的送波素子アレーが構成され、前記複数の受波素子により少なくとも1つの直線的受波素子アレーが構成され、前記送波素子アレーと前記受波素子アレーとを直交させて組み合わせたアレー形態を有し、前記送波素子及び前記受波素子の組み合わせごとに、送波素子位置ベクトル及び受波素子位置ベクトルの合成により特定される位置に仮想素子を想定した場合に、その仮想素子の集団が前記送受波面上において非均一に分散し、且つ、前記仮想素子の集団が前記各素子アレーにおけるアレー方向の最小の実素子間ピッチよりも小さい仮想素子間ピッチとなっている仮想素子密集部分を有するように、前記複数の送波素子及び前記複数の受波素子が配置されたことを特徴とする。
【0014】
上記構成において、「仮想素子」は、送受波関係にある送波素子の位置ベクトル及び受波素子の位置ベクトルを合成した合成位置ベクトルが示す位置に表されるもので、従来からその概念自体については知られている。すなわち、超音波の送受波を考えるに当たっては、送受波関係にたつ送信素子及び受信素子の1ペアを仮想的に1つの仮想素子で置き換えて、その仮想素子が仮想的に送受波するものと想定することができる。要するに、「仮想素子」は実際には存在しない超音波の送受波を行う素子であると概念され、それは送波素子及び受波素子のペアごとに想定されるものである。よって、「仮想素子」は送受波面上において前記ペアの個数だけ存在し、仮想素子群(集団)を構成する。
【0015】
本発明に対比される従来の超音波送受波器では、送受波面上に、送波素子や受波素子が均等に並べて配置されていた。すなわち、従来においては素子間ピッチ(素子間距離)が一様であり、基本的に1種類の素子間ピッチが存在していた。しかしながら、素子間ピッチが一様であるということは、仮想素子間のピッチも一様化し、すなわち仮想素子の集団は送受波面に均一密度で分散することになる。
【0016】
これをグレイティングローブとの関係で考えるならば、そのような一様のピッチは所定方位においてグレイティングローブの発生を助長するものといえる。もちろん、超音波波長の1/2以下に仮想素子間ピッチを設定すればグレイティングローブの発生を回避できるが、素子の大きさを考えれば実際にはそのような素子間ピッチを実現するのは困難であり、また、小型素子を利用したとすれば上記のように送信パワー及び受信感度の低下を招く。
【0017】
要するに、従来においては、素子間ピッチを均等化するという既成概念の下で、素子配列の設計・製作を行っていたので、少ない素子数でグレイティングローブを効果的に抑制することができなかった。
【0018】
そこで、本発明では、仮想素子間ピッチを敢えて一様にせず、仮想素子の集団が送受波面上において部分的な局所集中性をもちつつ非均一に分散するように複数の送波素子及び複数の受波素子を配置するものである。
【0019】
この構成によれば、仮想素子間ピッチが非均一化されるのでグレイティングローブの発生を抑制でき、しかも、仮想素子が部分的に密集して、仮想素子間の距離が超音波の波長の1/2以下になる数を増大できるので、その意味でもグレイティングローブの発生を抑制できる。
【0020】
なお、上記の「波長の1/2」という条件はグレイティングローブの発生を完全に抑制できる理論的条件であり、実際には、仮想素子間ピッチが「波長の1/2」に近付くに従ってグレイティングローブの低減効果が高まる。よって、多くの仮想素子間ピッチが例えば波長の6/10あるいは7/10程度以下になるようにすれば、実際の装置では、グレイティングローブを実質的に十分低減できるものと考えられる。
【0021】
本発明の好適な態様では、記送波素子アレー及び前記受波素子アレーは、それぞれの素子アレーごとに少なくとも2種類の素子間ピッチを有する。すなわち、実際の素子間のピッチを不揃いにすることで、仮想素子間ピッチの一様性を打破するものである。
【0022】
また、本発明の好適な態様では、前記複数の送波素子及び前記複数の受波素子は、前記仮想素子の集団が前記送受波面上において格子状に整列するように配置される。すなわち、仮想素子の集団が格子状に整列していれば、受信信号処理における演算を簡易化でき、演算量を削減できる。
【0023】
また、本発明の好適な態様では、前記複数の送波素子及び前記複数の受波素子は、前記送受波面上における直交する2つの基準軸に対して対称になるように配置される。ここで基準軸は望ましくは送受波面内に仮想的に設定される互いに直交するX軸及びY軸である。
【0024】
上記目的を達成するために、本発明は、送受波面上に実素子として複数の送波素子及び複数の受波素子が配置され、超音波の送受波を行う超音波送受波器と、前記超音波送受波器の各送波素子に送信駆動信号を供給する送信駆動部と、前記超音波送受波器の各受波素子から出力された受信信号を入力し、前記複数の送波素子及び前記複数の受波素子の配置関係に基づいて、計測領域内の物体の三次元計測を行う計測部と、を含み、前記超音波送受波器においては、前記複数の送波素子により少なくとも1つの直線的送波素子アレーが構成され、前記複数の受波素子により少なくとも1つの直線的受波素子アレーが構成され、前記超音波送受波器は、前記送波素子アレーと前記受波素子アレーとを直交させて組み合わせたアレー形態を有し、前記送波素子及び前記受波素子の組み合わせごとに、送波素子位置ベクトル及び受波素子位置ベクトルの合成により特定される位置に仮想素子を想定した場合に、その仮想素子の集団が前記送受波面上において非均一に分散し、且つ、前記仮想素子の集団が前記各素子アレーにおけるアレー方向の最小の実素子間ピッチよりも小さい仮想素子間ピッチとなっている仮想素子密集部分を有するように、前記複数の送波素子及び前記複数の受波素子が配置された、ことを特徴とする。
【0025】
上記構成によれば、仮想素子の集団が送受波面上において部分的な局所集中性をもちつつ非均一に分散するように複数の送波素子及び複数の受波素子が配置された超音波送受波器を用いて超音波の送受波が行われ、各受波素子から出力された受信信号を利用して、複数の送波素子及び前記複数の受波素子の配置関係に基づいて計測領域内に存在する物体が三次元計測される。
【0026】
本発明によれば、送波素子及び受波素子の適正な配置により、偽像の少ない精度の高い3次元画像を得ることができる。これにより、特殊な素子を大量に用いることなく、少数の大口径・大出力素子を疎に配置するだけでよいので、送信出力及び受信感度の低下を防ぎつつ、高い方位分解能を維持したまま装置規模を縮小できるという利点がある。
【0027】
なお、本発明は、送信信号や各受信信号の電子的な遅延により超音波のフォーカシングや走査を行う方式、又は、そのような超音波のフォーカシングや走査を計算機内部の演算により行う方式のいずれの方式にも適用できる。また、本発明に係る超音波計測装置は空中の物体計測に適用するのが望ましいが、水中の物体に対する計測にも適用可能である。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る超音波計測装置の実施形態を示したものである。超音波の送受波を行う送受波器10には複数の送波素子12及び複数の受波素子14が配置されている。複数の送波素子12は例えば2つの送波素子アレー16を構成し、複数の受波素子14も例えば2つの受波素子アレー18を構成している。図1においては、便宜上、送波素子12が実線円で示され、受波素子14が破線円で示されている。この複数の送波素子12及び複数の受波素子14の配置法については後に詳述する。例えば、超音波計測装置が室内の侵入物体(侵入者)の監視・識別のために利用される場合には、送受波器10は室内の天井付近に配置される。
【0029】
送信駆動部20は、各送波素子12に駆動信号を供給するものであり、各送波素子12は同時的にまたは逐次的に駆動される。この駆動により、超音波(超音波パルス)が放射される。
【0030】
一方、目的とする標的で反射した超音波は各受波素子14にて受波され、これにより得られた受信信号群は受信信号処理部22において処理される。この受信信号処理部22は、従来同様に、例えば増幅器、検波回路、A/D変換回路などの各回路で構成される。
【0031】
結像処理部24は、上記のような処理がなされた各受信信号を入力して、送波素子12及び受波素子14の位置関係に基づいて、電子的フォーカシングなどの結像のために必要な処理を行って、各超音波ビーム方向毎の時間関数信号を生成する。
【0032】
映像化部26は、そのような時間関数信号に対して距離情報への変換を行い、計測物体の三次元データ(形状データ、距離データ)を得るものであり、その結果は三次元画像データとして映像表示装置28へ出力される。この映像表示装置28では、計測領域内の物体が三次元画像として表示される。なお、計測結果である三次元画像データは必要に応じて他の演算部(例えば、物体認識部)などに出力される。なお、三次元画像を得るまでの結像処理部24や映像化部26などは三次元計測手段をとして位置付けられる。
【0033】
次に、本実施形態における送波素子12及び受波素子14の配置方法に関して詳述する。
【0034】
まず、以下の説明で登場する記号及び座標系について定義する。図2において、超音波素子(送波素子、受波素子)を2次元的に配置している面(送受波面)をX−Y平面とし、そのX−Y平面に垂直な方向にZ軸をとる。ここで、X−Y−Z空間内に目的の標的が存在するものとし、その標的の方位を(θ,φ)で表すものとする。そして、送波素子の番号をm(m=0〜M−1)とし、その座標を(x (s) ,y (s) )とする。同様に受波素子の番号をn(n=0〜N−1)とし、その座標を(x (r) ,y (r) )とする。
【0035】
以上において、計算上近似が成立する十分遠方の地点から、方位(θ,φ)方向に沿って素子位置(x,y)を見た場合、位相時間差aは、上記地点から原点0までの距離と上記地点から素子位置(x,y)までの距離との差分に相当し、具体的には、素子位置(x,y)より方位ビームbを垂直に見た場合におけるビーム長を用いて導出される。図2においてはそれが太破線矢印で示されている。ここで、送波素子m及び受波素子nのある組にて送受信される音波において、特定の方位(θ,φ),(d=0〜D−1)に関する送波素子位相時間差をτm,d (s) 、受波素子位相時間差をτn,d (r) とする。cを音速としてそれぞれを式で表すと、
【数1】
Figure 0003567039
となる。まず、送波素子アレーを単独で考えるならば、上記(1)式がM通りの異なった値を持つことにより、それらの位相の違いを利用して結像処理部24にて結像処理を行うことができる。ここで、各素子配置位置(x (s) ,y (s) )において、それぞれが疎に配置されている場合には、隣り合う素子間で(1)式に示した時間差が、使用する信号の波長に相当した位相時間の整数倍になりやすく、その結果、これに対応した偽像が生じやすくなることが知られている。なお、この現象は、上記の説明においてmをn、MをNに変えれば、受信アレーにおいても全く同様に成立する。
【0036】
よって、送波素子と受波素子を組み合せて用いる場合、送受波にて得られた位相時間差(τm,d (s) +τn,d (r) )は、以下のように書くことができる。
【0037】
【数2】
Figure 0003567039
ただし、ここでは実際の素子位置(x(s) ,y(s) ),(x(r) ,y(r) )から得られる仮想的な素子(仮想素子)の位置を
【数3】
Figure 0003567039
とおいている。これは送波素子の位置を示すベクトル(x (s) ,y (s) )と、受波素子の位置を示すベクトル(x (r) ,y (r) )との合成ベクトルが示す位置の集合(和集合)であり、(3)式と(1)式を比較すると、仮想素子(x(g) ,y(g) )に相当する複数の位相差を持つ信号を得たことになる。従って、合成開口後の送受波器特性を決定付けるのは、理論的には、この仮想素子(x(g) ,y(g) )であり、偽像の出現程度はこの仮想素子間ピッチに依存する。
【0038】
ここで、送波素子位置ベクトル群(x (s) ,y (s) )と受波素子位置ベクトル群(x (r) ,y (r) )とにおいて、一方の配置間隔の内部に他方の配置点が入り込むようにお互いの位置関係を調整しておけば、その結果、上記の仮想素子の集合(x(g) ,y(g) )において、実際の送波素子及び受波素子における最小配置間隔(最小ピッチ)よりも小さな間隔となる仮想素子関係を増大でき、すなわち送波素子及び受波素子を疎に配置しても、この(x(g) ,y(g) )が密になるようにしておけば、偽像の発生を抑えることができるのである。
【0039】
図3には、以上説明した原理に基づいて送波素子及び受波素子を配置した送受波器の一例が示されている。
【0040】
この図3において、X軸に沿って平行に2つの送波素子アレー100が整列形成され、Y軸に沿って平行に2つの受波素子アレー102が整列形成されている。ここで、実線円は送波素子を示し、破線円は受波素子を示している。各素子アレー100,102はそれぞれ8個の超音波素子で構成されているが、もちろんその個数は適宜調整可能である。
【0041】
同図において示される円の直径は、使用する超音波素子の直径を表しているものとする。送波素子同士、受波素子同士、送波素子及び受波素子を重ねて配置することは物理的に不可能であり、この素子直径が送波素子アレー100及び受波素子アレー102における最小ピッチ(最小配置間隔)を決定する。
【0042】
図3における菱形◇印104は、送波素子位置ベクトルと受波素子位置ベクトルとを合成した位置に特定される仮想素子を示しており、その仮想素子は送波素子及び受波素子の組み合わせ毎に想定される。仮想素子の集団は、X−Y平面(送受波面)上に散在しているが、図3に示すように、局所的に仮想素子間ピッチが実際の素子間ピッチよりも小さい箇所が生じている(例えば矢印106付近)。ここで、仮想素子間ピッチの中で最小のものは上記直径の半分となっている。つまり、実際には送波素子及び受波素子を疎に配置しているにもかかわらず、仮想素子は部分的な局所集中性をもちつつ送受波面上で非均一に分散しており、2つの素子間での超音波の位相差が波長の正数倍に合致することに起因する偽像の発生を抑制することが可能となる。
【0043】
従来においては、送波素子間ピッチ及び受波素子間ピッチの両者とも基本的に均一であったが、本実施形態では、素子アレイ中に複数の素子間ピッチが存在しており、そのような素子間ピッチの多様性が仮想素子の非均一的な分散化をもたらしたものと考えられる。図3に示す例では、例えば送波素子アレイ100に素子間ピッチの均一化を崩すギャップ106が含まれており、従来の固定観念にとらわれず、仮想素子の分散傾向を見定めつつ、そのようなギャップを積極的に挿入することにより偽像の発生を抑制することができる。
【0044】
次に、他の素子配置の例について図4を用いて説明する。
【0045】
図3の例では、2つの送波素子アレー100と2つの受波素子アレー102が構成されていたが、図4に示す例では、4つの送波素子アレー108及び4つの受波素子アレー110が構成されている。なお、この図4においても、実線円は送波素子を示し、破線円は受波素子を示し、菱形◇印は仮想素子を示している。送波素子アレーは、X方向に沿って配列された4つの送波素子で構成されているとみることもできるが、同時に、Y方向に沿って配列された4つの送波素子で構成されているとみることもできる。これは、受波素子アレーについても同様である。いずれの方向で素子アレーをとらえた場合においても、各素子アレーには複数の素子間ピッチが存在し、換言すれば、図3に示したギャップ106に相当するものが認められる。
【0046】
この例においても、仮想素子の分散に関し、各象現の中央寄り112に仮想素子が局所集中している領域が認められ、その領域内では実際の素子間ピッチよりも小さな仮想素子間ピッチが多数成立している。よって、この実施形態によれば、従来よりも大幅に偽像の発生を抑制できる。
【0047】
図3及び図4に示した実施形態では、直線状の素子アレーが複数並列した状態で構成されていたが、仮想素子の集団が送受波面上において部分的な局所集中性をもちつつ非均一に分散するという条件の下で、例えば、五角形や六角形等の多角形配置などを基本として素子配置を行ってもよい。そして、素子アレーは必ずしも直線的に構成する必要はなく、また超音波素子として円形以外の形状の素子を利用することもできる。
【0048】
ところで、上記説明においては、本発明は任意のアレー形態において応用可能であることを述べたが、実際の装置におけるアレー構成に関しては図3及び図4に示したような直線的アレーの組合せの方が結像処理の演算量の面で有利なことが多い。
【0049】
この点について以下に説明を行う。まず、方位に関する項(sinθcosφ)及び(sinθsinφ)は、その方位を示す単位長ビームを素子平面へ射影した座標であるので、これらの値を以下のように書くことにする。
【0050】
【数4】
Figure 0003567039
この(5)式を用いて(3)式を書き直すと以下のように変形できる。
【0051】
【数5】
Figure 0003567039
このように位相差は、送波素子番号m、受波素子番号n、方位番号dの関数であり、これら全てについて位相差を求めるにはM×N×D個の組合せが存在する。一般に、超音波映像装置では、位相差量を用いて結像処理が行われるので、この組合せ量の削減は大きな課題である。ここで(6)式の右辺がx座標に関する項とy座標に関する項とに線形分離できることに着目する。これは以下のような条件を付加すればよい。
【0052】
まず、仮想素子群の座標(xm,n (g) ,ym,n (g) )の各項がお互いに独立になるようにする。具体的には、x座標xm,n (g) がある整数I通りだけ離散値をとり、それとは独立にym,n (g) が整数J通りの値を持つようにする。ただし仮想素子の総数は、送波素子数と受波素子数の積M×Nであるので、I×J=M×Nとなっている必要がある。この条件を式にて書くと以下のようになる。
【0053】
【数6】
Figure 0003567039
方位の射影面における座標(x (b) ,y (b) )についても、仮想素子の配置面と同様に配置する。つまりx (b) がある整数U通りだけの離散値をとり、それとは独立にy (b) が整数V通りの値を持つようにする。ただし射影面での方位総数はD個であるので、U×V=Dとなっている必要がある。
【0054】
【数7】
Figure 0003567039
これらの条件を言いかえると、仮想素子の配置面及び方位の射影面での配置点が、どちらもx,y軸に対して平行な格子点になっていることを意味している。この配置構造を導入した場合の位相差は以下のように書くことができる。
【0055】
【数8】
Figure 0003567039
(9)式の右辺の第一項はI×U通りであり、第二項はJ×V通りの値をとり得るが、各項独立に分離演算することができるので、(6)式を直接用いる場合よりも少ない演算量にて結像させることができる。
【0056】
図3や図4のような直線アレーの組合せの場合、仮想素子の配置面や方位の射影面においてx,y軸に対して平行な格子点をとるように設計することは容易である。
【0057】
一方、他の素子配置形態、例えば五角形,六角形および円アレーなどの場合は、x,y軸に対して平行な格子点をとるように設計することは一般的に不可能である。従って、直線アレーの組合せの方が好ましい。
【0058】
図5は、図3に示した素子配置を有する超音波送受波器を用いて実際に空中にある直径7cmの鉄球を計測・画像化したものである。標的はアレー正面より1.2m先に置いている。ここでは素子径1cmのものを装着したので、図3における素子径を示す円の直径は1cmとなる。
【0059】
図6には、比較例として、本実施形態と同様な直径を持つ超音波素子を用いてクロスリニアアレーを構成した場合の素子配置が示されている。このクロスリニアアレーは、従来の超音波計測装置でよく用いられるものである。図7には、その素子配置による実測結果を示す。ここでは標的として、縦10cm横15cmの樹脂板をアレー正面に置いた。図5と図7とを比較すると、一般にクロスリニアアレーによると、真の標的に対応する像(中央の像)の周りに偽の像(中央以外の8つの像)が複数生じているのに対して、本実施形態によれば、真の標的に対応する像のみが結像されていることが分る。
【0060】
図8には、図3に示した素子配列が適用された送受波器の外観が模式的に示されている。この送受波器では、十字型をした素子板13に複数の送波素子12及び複数の受波素子14が配列されている。もちろん、素子板13の形状は決定された素子配列に応じて適宜定めればよい。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、特殊な素子を大量に用いることなく、少数の大口径・大出力素子を疎に配置した場合でも、偽像を少なくでき、精度のよい超音波による物体計測を実現できる。すなわち、本発明によれば、送信出力及び受信感度の低下を防ぎつつ、高い方位分解能を維持したまま、装置規模を縮小できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超音波計測装置の全体構成を示す図である。
【図2】位相時間差を説明するための説明図である。
【図3】本発明に係る送受波器の一例を示す図である。
【図4】本発明に係る送受波器の他の例を示す図である。
【図5】図3に示した送受波器を用いて計測を行った場合の計測結果を示す図である。
【図6】従来の典型的な送受波器を示す図である。
【図7】図6に示した従来の送受波器を用いて計測を行った場合の計測結果を示す図である。
【図8】実際の送受波器の外観を示す模式図である。
【符号の説明】
10 送受波器、12 送波素子、14 受波素子、16 送波素子アレー、18 受波素子アレー、20 送信駆動部、22 受信信号処理部、24 結像処理部、26 映像化部。

Claims (5)

  1. 送受波面上に実素子として複数の送波素子及び複数の受波素子が配置され、超音波の送受波を行う超音波送受波器であって、
    前記複数の送波素子により少なくとも1つの直線的送波素子アレーが構成され、
    前記複数の受波素子により少なくとも1つの直線的受波素子アレーが構成され、
    前記送波素子アレーと前記受波素子アレーとを直交させて組み合わせたアレー形態を有し、
    前記送波素子及び前記受波素子の組み合わせごとに、送波素子位置ベクトル及び受波素子位置ベクトルの合成により特定される位置に仮想素子を想定した場合に、その仮想素子の集団が前記送受波面上において非均一に分散し、且つ、前記仮想素子の集団が前記各素子アレーにおける最小の実素子間ピッチよりも小さい仮想素子間ピッチとなっている仮想素子密集部分を有するように、前記複数の送波素子及び前記複数の受波素子が配置されたことを特徴とする超音波送受波器。
  2. 請求項1記載の超音波送受波器において、
    記送波素子アレー及び前記受波素子アレーは、それぞれの素子アレーごとに少なくとも2種類の素子間ピッチを有することを特徴とする超音波送受波器。
  3. 請求項1記載の超音波送受波器において、
    前記複数の送波素子及び前記複数の受波素子は、前記仮想素子の集団が前記送受波面上において格子状に整列するように配置されたことを特徴とする超音波送受波器。
  4. 請求項1記載の超音波送受波器において、
    前記複数の送波素子及び前記複数の受波素子は、前記送受波面上における直交する2つの基準軸に対して対称になるように配置されたことを特徴とする超音波送受波器。
  5. 送受波面上に実素子として複数の送波素子及び複数の受波素子が配置され、超音波の送受波を行う超音波送受波器と、
    前記超音波送受波器の各送波素子に送信駆動信号を供給する送信駆動部と、
    前記超音波送受波器の各受波素子から出力された受信信号を入力し、前記複数の送波素子及び前記複数の受波素子の配置関係に基づいて、計測領域内の物体の三次元計測を行う計測部と、
    を含み、
    前記超音波送受波器においては、
    前記複数の送波素子により少なくとも1つの直線的送波素子アレーが構成され、
    前記複数の受波素子により少なくとも1つの直線的受波素子アレーが構成され、
    前記超音波送受波器は、前記送波素子アレーと前記受波素子アレーとを直交させて組み合わせたアレー形態を有し、
    前記送波素子及び前記受波素子の組み合わせごとに、送波素子位置ベクトル及び受波素子位置ベクトルの合成により特定される位置に仮想素子を想定した場合に、その仮想素子の集団が前記送受波面上において非均一に分散し、且つ、前記仮想素子の集団が前記各素子アレーにおける最小の実素子間ピッチよりも小さい仮想素子間ピッチとなっている仮想素子密集部分を有するように、前記複数の送波素子及び前記複数の受波素子が配置された、
    ことを特徴とする超音波送受波器。
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