JP3565434B2 - 集積された極性反転保護ダイオードを含む燃料電池スタックを有する燃料電池装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、請求項1の前提部分に記載の特徴を有する燃料電池装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
米国特許第5 714 874A1号公報には、燃料電池スタックが負荷回路を介して電気負荷に接続されている燃料電池装置が開示されている。そこではさらに、負荷回路内に、燃料電池スタックと電気負荷の間にダイオードが設けられている。さらに、電流トランス及びバッテリーが負荷回路内に集積されている。その負荷回路内の部品は、並列的に接続されているため、部品の順番は重要ではない。
【0003】
負荷回路内のダイオードは、燃料電池スタックから電気負荷への電流の流れを可能にし、同時に、電気負荷から燃料電池スタックへの電流の逆流を防止する。それは、このタイプの燃料電池の実用上の流れ方向とは反対の方向、すなわち、燃料電池スタックのアノードからカソードへの方向の電流の流れが、燃料電池スタックに永久的な損傷を与え得るものであるからである。同時に、発電機としても作動し得る電気負荷の1つの例は、燃料電池車両内の駆動モータ用のコンバータである。制動モードにおいて、すなわち、車両が駆動により減速される場合、このタイプの駆動コンバータは、それ自体発電機になり得るものであり、そのため電流を負荷回路へ送給する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ダイオードは通常、電気伝導体、例えば、母線またはケーブルを介して燃料電池スタックに電気的に接続されている。この電気伝導体及び接続された接続部材、例えばケーブルラグまたはプラグは、高い燃料電池電流のために設計されなければならず、そのため複雑で高価なものとなる。
【0005】
さらに、ダイオード内のpn接合は、電流が伝導方向に流れる場合に、電圧が常にダイオードに残る。ダイオードを介して通過する電流によって増加するフォワード電圧は、ダイオードを加熱する電力損をもたらす。したがって、ダイオードの破壊をもたらし得る許容されない温度がダイオードに与えられることを防止するために、冷却を与えることが必要になる。この冷却は、液体冷却剤によって、または空気冷却によって実施されることができる。液体冷却剤の具体例においては、冷却剤によってダイオードのアノード及びカソードの間に伝導的接続が生じないことを確実にする必要があるが、それは、そうしないと、ダイオードの効果が排除されるからである。空気冷却の具体例においては、対応する大型空気冷却用放熱器を使用しなければならない。特定の環境においては、熱の充分な放散を達成するために、ファンによる強制換気が追加的に要求される。換気を使用する際には、汚染粒子が内部に吸収されないことを確実にすることがさらに必要である。このような粒子は、空気内に存在する水分との組み合わせにおいて意図された漏れ通路上の設置の問題を引き起こす。
【0006】
本発明の目的は、簡単な設計、機能信頼性を有し、燃料電池スタック、ダイオード及び電気負荷が配置されている負荷回路を有する燃料電池装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴によって達成される。有利な具体例は、その他の請求項の特徴を形成する。
【0008】
本発明によれば、ダイオードが燃料電池スタックのエンドプレート上またはその中に配置される。同時に、ダイオードと熱的に接触する冷却器が、エンドプレート内でダイオードの部位に設けられる。その結果、第一に、ダイオードと燃料電池スタック間の追加的な接続を省略することが可能になり、このことは、高い燃料電池電流に要求される線断面を考慮すると、著しい重量、コスト、空間及び設計上の利点を意味するものである。ダイオードのエンドプレートへの直接的な電気的接触は、接触及び絶縁問題を引き起こし得る電気的接触点の必要性を排除するものである。
【0009】
同時に、冷却器は通常燃料電池スタック内にすでに存在しているものであるので、ダイオードの充分な冷却を確実にすることは容易である。したがって、存在している冷却器を、ほんの少し拡張すればよいだけである。または、ダイオードは、すでに存在している冷却器の部位に配置することもできる。このように、ダイオードのための独立の冷却器を省略することが可能であり、このことは同様に、重量、コスト、空間及び設計上の重要な利点を構成するものである。
【0010】
ダイオードは、例えば、ディスク状であることができ、取り付け部材によってエンドプレートに取り外し可能なように接続されることが好ましい。このことは、ダイオードの設置及び必要な場合には交換を簡単にするものである。取り付け部材は、さらに、負荷回路に取り外し可能なように接続されることができる。このように、取り付け部材は、同時にダイオードの一方の極をエンドプレートと密接に接触させるために使用されることができ、また同時に、ダイオードの他方の極への負荷回路の接触を簡単なものにすることができる。
【0011】
ダイオードとエンドプレートの間に、熱的及び/又は電気的伝導性の中間層を配置することにより、熱的及び/又は電気的伝導性が改善される。
【0012】
エンドプレート内にダイオードの半導体モジュールを直接集積することは、低抵抗接合を考慮すると、電力損がより低いという利点を有する。さらに、このようにして、ダイオードのエンドプレートへのより良好な熱的結合をも生じさせることができる。その結果、熱的抵抗が減少されて、冷却温度が高くなるか、またはダイオードのバリア接合温度が高くなる。さらに、集積の間中、必要な漏れ通路が、放射方向に形成される。これは、エンドプレート上へ設置する場合と比較して、容量及び設計の観点から見てさらに利点をもたらすものであり、この場合には、漏れ通路は軸方向に形成されなければならないからである。最後に、ダイオードに対して別個のハウジングを省略することができるが、それは、コストの節約に加えて、生産上の経費を減じる。
【0013】
燃料電池スタックが冷却ダクトをすでに有する場合には、ダイオードの部位に追加的なダクトを設ける必要があるだけである。通常、冷却器のための送給及び排出ラインは、エンドプレートの一方または両方を介して同様に形成される。この場合、ダイオードがこのタイプの送給または排出ラインの部位に配置されるときは、追加的冷却ダクトを設ける必要がなくなる。
さらなる利点は、その他の請求項及び説明から明らかとなるであろう。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について添付の図面を参照しながらより詳しく説明する。
図1は、燃料電池装置の簡易化した回路図である。
図2は、第一好適具体例を示す概略図である。
図3は、燃料電池装置の第二好適具体例を示す概略図である。
【0015】
全体が1で示される燃料電池装置は、模式的に示された燃料電池スタック2と電気負荷3を含むものである。この負荷は、例えば、電気駆動モータ4の電力コンバータ3であることができる。燃料電池スタック2及び電気負荷3は、負荷回路5を介して互いに接続されている。さらに、接続装置、例えばコネクター、バッテリー回路ブレーカー等をこの負荷回路5内に存在させることもできる。また、ダイオード6が、負荷回路5内で燃料電池スタック2と電気負荷3の間に設けられている。これは直列的な接続であるため、部品の順序は任意である。
【0016】
好ましくはPEM燃料電池として知られている燃料電池スタック2が、アノード側で水素リッチガス、好ましくは水素または改質器からの生成ガス、及びカソード側で酸素含有ガス、好ましくは周囲空気に接触し、負荷回路が電気消費体によって閉路されている場合には、電流は、燃料電池スタック2のカソードから、ダイオード6のアノードを介して、ダイオード6を経て、ダイオード6のカソードから電気消費体3へ実用上の流れ方向において流れ、それから燃料電池スタック2のアノードに再び戻る。
【0017】
ダイオード6は、電流を燃料電池スタック2から電気負荷3へ流し、同時に、電気負荷3から燃料電池スタック2への逆流を防止できるのであれば、負荷回路5のいずれの所望の位置に配置されていてもよい。これは、このタイプの燃料電池スタック2の実用上の方向とは逆の方向、すなわち、燃料電池スタック2のアノードからカソードへの方向への電流は、永久的な損傷をもたらすからである。これを防止するために、ダイオード6は通常負荷回路5内に配置されており、各々の場合において1つの電気伝導的接続が、ダイオード6のアノードと燃料電池スタック2のカソードの間、及びダイオード6のカソードと燃料電池スタック2のアノードとの間に存在する。
【0018】
電気消費体は、異なる作動条件の下で電気の供給源または流出先のいずれとしても作動することができる。例えば、負荷回路5内に配置されたバッテリーは、電圧条件に応じて、負荷回路5からエネルギーを得てバッテリーを充電するか、またはバッテリーから負荷回路5内へエネルギーを放出することができる。その他の例は、電気駆動モータ4の電力コンバータ3(図1に示す)である。制動モードにおいて、すなわち、車両が電気駆動モータ4によって減速されているとき、電力コンバータ3はそれ自体発電機となり負荷回路5へ電流を送ることができる。
【0019】
実際問題として、燃料電池装置1におけるダイオード6の使用は2つの問題を有している:
第一に、伝導的接続が、ダイオード6と燃料電池スタック2の間に生じなければならない。それは、通常、ケーブルまたは母線によって達成されるが、それらの断面は高い燃料電池電流のために設計されなければならない。例えば、ケーブルラグまたはプラグの形状の接続部材もまた、これらの要件を満たすものでなければならない。
【0020】
第二に、ダイオード6は、適切に冷却されなければならない。これは、適当な冷却剤、例えば水/不凍液混合物または空気によってさえも実施することができる。特に、水を冷却剤として使用するときには、冷却剤がダイオード6のアノード側とカソード側との伝導的接続を生じさせないことを確実にする必要がある。これは、それによってダイオード6の作用が不活性化するからである。空気冷却されるダイオード6の場合、それに対応する大型のエアヒートシンク及び連結したファンが提供されなければならない。さらに、汚染粒子が吸い込まれないことを確実にしなければならず、それは、同様に、存在し得る結露の水分とともに、設計された漏れ通路における絶縁の問題を引き起こすからである。
【0021】
本発明によれば、これらの問題は、ダイオード6が燃料電池スタック2のエンドプレート7の一方の上またはその中に配置されていること、及びダイオード6と熱的に接触する冷却器8がダイオード6の領域においてそのエンドプレート7内に設けられることによって解決される。図2は、第一好適具体例を示しているが、この図面は燃料電池スタック2の一方のエンドプレート7の一部を示すものである。燃料電池スタック2の正確な設計及びこのタイプの燃料電池スタック2を2つのエンドプレート7により規定する方法は、従来技術によって既知であるため、ここではこれ以上の詳細を示さない。
【0022】
以下冷却ダクトとして簡単に言及する冷却器8は、ダイオード6の領域内のエンドプレート7内に設けられる。冷却剤は、エンドプレート7から熱的エネルギーを吸収するように作用するこの冷却ダクト8を介して流れる。冷却器8は、それがダイオード6から電力損を吸収することができるように設計されなければならない。2本の冷却ダクト8が示されているが、冷却ダクト8は、例えば、ダイオード6に連結しているエンドプレート7の領域を経るループの形状で延長しているため、それは送給及び排出ラインを形成している。燃料電池スタック2の冷却ダクト8のための送給及び排出ラインは、通常エンドプレート7の一方または両方を垂直に通過しているため、ダイオード6をこのタイプの送給または排出ラインの領域内に配置することも可能であり、そのため、追加の冷却ダクト8を設ける必要がない。もちろんこの応用のために適したその他の既知の冷却器を用いることも可能である。
【0023】
原則として、通常エンドプレート7の一方はアノードとして、逆のエンドプレート7は燃料電池スタック2のカソードとして設計されているので、ダイオード6がその上に配置される2つのエンドプレート7のいずれも差異がない。従って、ダイオード6の正確な極を確認する必要はほとんどない。
【0024】
例えば、ダイオード6は、ディスクまたはパックの形状とすることができ、以下ホルダーと称する取り付け部材9によってエンドプレート7に接続される。この取り付け部材は、好ましくは、ネジ10を用いて取り外し可能なように作られている。ダイオード6の設計については、以下図3を参照しながら詳しく説明する。ホルダー9は、ダイオード6の一方の極をエンドプレート7上に押しつけるため、ダイオード6と燃料電池スタック2の間の電気伝導的接続が確実なものとなる。圧力を増加させ、それにより接合抵抗を減少させるために、詳細を示していないが例えばディスクばねの形状の可撓性部材をホルダー9内に設けることもできる。したがって、ダイオード6と燃料電池スタック2の間のケーブルまたは母線のような追加的な電気的接続部材は省略することができる。さらに、熱的及び/又は電気的伝導性を改良するために、良好な熱的及び/又は電気的伝導性を有する中間層、例えば、銅または銀製中間層を、ダイオード6とエンドプレート7の間に設けることもできる。
【0025】
例えば、ネジ接続部材11またはケーブルの接続のためのプラグの形状を有する負荷回路5への電導性接続部材を、エンドプレート7から離隔したダイオード6の極上に配置するとができる。ダイオード6の短絡を防止するために、ホールダー9は絶縁物質により製造してもよい。あるいは、(図示していない)絶縁層を接続部材11とホルダー9の間に設けてもよい。
【0026】
ダイオード6の本発明による配置は、ダイオード6と燃料電池スタック2の間に電気的接続部材を設ける必要がないという利点を有しているが、これは、燃料電池電流に必要な導体断面を考慮すると、著しい重量、容量及び設計上の利点を示すものである。さらに、ダイオード6のエンドプレート7への直接的な電気的接続は、接触と絶縁問題を引き起こし得る電気的接触点の必要性を除去する。
【0027】
ダイオードの別個の冷却が不要になるという事実は、重量、容量及び設計の観点から見て著しい利点をもたらす。空気冷却の場合に必要とされるダイオード6の2つの側の冷却、またはダイオード6と冷却剤の間の高温度差は、エンドプレート7によって単一側の冷却に減じることができるが、これは、液体燃料電池冷却剤は空気冷却器よりも多くの熱を放散させることができ、エンドプレート7を介しての熱交換機への抵抗が空気冷却用放熱器を用いるよりも著しく低いからである。
【0028】
図3は、その他の好適具体例を特に断面で示すものであり、図2で示したものと同じ部材は同じ参照番号で示している。図2とは異なり、ダイオード6は、商業的に入手可能なディスクまたはパックとしては示されておらず、ペレットとして知られているダイオードの半導体チップがエンドプレート7内の凹部内に直接集積されている。したがって、ダイオード6のための追加のハウジングを省略することができ、そのことが生産中の製造経費を減少させる。全体が6で示されるダイオードは、2つの対向する極12、13を有しており、ダイオード6の事実上のバリア層15が、極12、13の間に配置されている。2つの極12、13及びバリア層15は、回路絶縁リング16により共に保持されており、それが極12と13の間及び極12及びエンドプレート7の間の電気的絶縁を確実なものとする。
【0029】
ダイオード6は、絶縁物質により作られネジ10によりエンドプレート7に取り外し可能なように取り付けられているホルダー9によって、凹部14内に支持されている。同時に、ダイオード6の極13は、エンドプレート7に密接に接触されている。ダイオード6を負荷回路5に取り外し可能なように接続するためのネジ接続部材11は、エンドプレート7から離隔したダイオード6の極13上に設けられている。もう一度繰り返すと、冷却ダクト8は、ダイオード6の領域内でエンドプレート7内に設けられており、それによりダイオード6からの電力損を吸収する。
【0030】
ホルダー9の使用に代わるものとして、ダイオードをその他の方法で凹部14内に支持させることもできる。例えば、ダイオード6は、凹部14内に接着されることができ、またはラッチ接続部材によって支持されることも可能である。
【0031】
第二好適具体例において示された配置は、ダイオード6と燃料電池スタック2の間の電気的接続の抵抗がより低いものとなり、そのために電力損が減少するという追加的な利点を有する。ダイオードペレットの冷却媒体へのより直接的な熱的結合は、熱的抵抗を減少させ、それがダイオード6内のより高い冷却温度またはより高いバリア接合温度を可能にする。さらに、改良されたダイオード6の電気及び熱的結合は、バリア層領域を減少させ、バリア層領域が一定に保たれる場合には、電気的損失を減少させる。
【0032】
ダイオード6がエンドプレート7内に直接的に集積される場合には、必要とされる電気漏れ通路は、ダイオードの中心位置に関して放射方向に通るように設計されることができるので、エンドプレート7上に設置される場合における軸方向に通る漏れ通路に比べて、容量及び設計上の観点からさらなる利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料電池装置の簡易化した回路図である。
【図2】燃料電池装置の第一好適具体例を示す概略図である。
【図3】燃料電池装置の第二好適具体例を示す概略図である。
Claims (6)
- 2つのエンドプレート(7)の間に配置されている複数の燃料電池、負荷回路(5)を介して燃料電池スタック(2)に接続されている電気負荷(3)、及び負荷回路(5)内で燃料電池スタック(2)と電気負荷(3)との間に配置されているダイオード(6)を含む、燃料電池スタック(2)を有する燃料電池装置(1)であって、ダイオード(6)が、エンドプレート(7)の一方の上またはその中に配置されており、ダイオード(6)と熱的に接触する冷却器(8)が、エンドプレート(7)内でダイオード(6)の部位に設けられていることを特徴とする燃料電池装置。
- 大領域設計で熱的及び/又は電気的に伝導性である中間層が、ダイオード(6)とエンドプレート(7)の間に配置されていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池装置。
- 部材(9)が、ダイオード(6)をエンドプレート(7)へ取り付けのために設けられており、その取り付け部材(9)がエンドプレート(7)に取り外し可能に接続されていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池装置。
- 負荷回路(5)への取り外し可能な接続部材(11)が、エンドプレート(7)から離隔したダイオード(6)の極(12)上に配置されていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池装置。
- ダイオード(6)の半導体モジュールが、エンドプレート(7)内に直接集積されていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池装置。
- 燃料電池スタック(2)が複数の冷却ダクト(8)を有しており、少なくとも1つの冷却ダクト(8)がダイオード(6)の部位に配置されていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池装置。
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