JP3564814B2

JP3564814B2 - Ｔｉｇ溶接装置

Info

Publication number: JP3564814B2
Application number: JP22840895A
Authority: JP
Inventors: 邦彦品田; 博幸平野
Original assignee: 石川島播磨重工業株式会社
Priority date: 1995-09-05
Filing date: 1995-09-05
Publication date: 2004-09-15
Anticipated expiration: 2015-09-05
Also published as: JPH0970667A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ＴＩＧ溶接装置に係わり、特に、狭隘部に介在する溶接開先に好適に適用し得る技術に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来のＴＩＧ溶接装置にあっては、トーチとして、棒状の電極の周囲にシールドガスを供給するためのシールドガスノズルを配し、該シールドガスノズルの周囲に酸化を防止するための二次シールドガスを供給するための二次シールドガスノズルを配することが行われており、その際、シールドガスノズルや二次シールドガスノズルは、電極の周囲に同心円状に配されていた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のＴＩＧ溶接装置によりＴＩＧ溶接を行う場合には、溶接開先との干渉を避ける必要性から、トーチとしては、狭隘部分に挿入可能なサイズのものを選定することとなり、小型のトーチを有するＴＩＧ溶接装置を使用せざるを得ない場合が多く、トーチのサイズにより溶接速度の上限が制限されて十分な溶接速度を得ることが難しかった。
【０００４】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、狭隘部に介在する溶接開先に適用された場合にも十分な溶接速度を達成することを目的とするものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
溶接開先内に挿入されてＴＩＧ溶接を行うトーチが、棒状の電極と、該電極の周囲に同心円状に配されて内側シールドガスを供給する内側シールドガスノズルと、該内側シールドガスノズルの周囲に偏平形状をもって配されて外側シールドガスを供給する外側シールドガスノズルと、該外側シールドガスノズルの幅方向側部に配されて二次シールドガスを供給する二次シールドガスノズルとを具備する技術を採用している。
その際、内側シールドガスとして、Ｈｅを含有するガスが供給されることが好ましい。
【０００６】
〔作用〕
外側シールドガスノズルが偏平形状とされているので、偏平断面における長手方向を溶接開先の長さ方向に揃えることにより、比較的大きなトーチであっても狭隘部分に挿入される。この場合、溶接開先が狭隘部であることにより、外側シールドガスは、溶接開先内に滞留・充満しやすく、偏平形状であっても内側シールドガスの周囲を覆うこととなる。
内側シールドガスとして、Ｈｅを含有するガスが供給される場合には、一層、溶接速度が向上する。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るＴＩＧ溶接装置の一実施形態について、狭い溶接開先に対して適用される場合を例にとって、図１および図２を参照して説明する。
【０００８】
図１は、本発明に係るＴＩＧ溶接装置のトーチを示すもので、図中、符号Ｔはトーチ、Ｓは溶接開先、Ｗは被溶接材、１は電極、２は内側シールドガスノズル、３は外側シールドガスノズル、４は二次シールドガスノズルを示している。
【０００９】
前記トーチＴは、溶接開先Ｓの内部に挿入されてＴＩＧ溶接を行うもので、電極１、内側シールドガスノズル２、外側シールドガスノズル３、二次シールドガスノズル４を備えて構成されている。
【００１０】
前記電極１は、タングステン製であって先鋭な先端部を有して棒状に形成されており、通電ケーブル１ａから電力供給を受けて被溶接材Ｗとの間にアーク放電を発生させるものである。この場合、通電ケーブル１ａは、筒状であって流入口１ｂを冷却水の入口、流出口１ｃを冷却水の出口として冷却水が流通されており、外部電源に接続されている。
【００１１】
前記内側シールドガスノズル２は、電極１を突出状態として電極１の周囲に同心円状に配されるもので、Ｈｅを含む混合ガス、例えばＨｅと、Ａｒ、Ｎｅ、Ｎ_２等の不活性ガスとの混合ガスを内側シールドガスとしてガス流路２ａを経由して噴出させる。この場合、内側シールドガスは、流入口２ｂを入口としてガス流路２ａ内に導入され吹き出し口２ｃから噴出される。
【００１２】
前記外側シールドガスノズル３は、内側シールドガスノズル２の周囲に偏平形状をもって配されるもので、酸化防止のためのＡｒ、Ｎｅ、Ｎ_２等の不活性ガスを外側シールドガスとしてガス流路３ａを経由して噴出させる。この場合、外側シールドガスは、流入口３ｂを入口としてガス流路３ａ内に導入され吹き出し口３ｃから噴出される。
【００１３】
前記二次シールドガスノズル４は、外側シールドガスノズル３の幅方向側部に上下方向の位置を調整可能に嵌め込まれており、冷却および酸化防止のためのＡｒ、Ｎｅ、Ｎ_２等の不活性ガスを二次シールドガスとして噴出させるものであって、内側および外側シールドガスノズル２、３よりも後退させた位置に配されている。この場合、二次シールドガスは、流入口４ｂを入口としてガス流路４ａ内に導入され吹き出し口４ｃから噴出される。
【００１４】
このように構成されているＴＩＧ溶接装置を用いたＴＩＧ溶接方法について図２を参照して説明する。
トーチＴを溶接開先Ｓの内部に挿入するとともに、内側シールドガスノズル２、外側シールドガスノズル３および二次シールドガスノズル４からシールドガスを噴出させる。この状態で、電極１に通電ケーブル１ａから電力を供給することによりアーク放電を発生させてＴＩＧ溶接を行う。
【００１５】
上記ＴＩＧ溶接装置においては、外側シールドガスノズル３が偏平形状とされているので狭い溶接開先Ｓに適用された場合においても、偏平断面における長手方向を溶接開先Ｓの長さ方向に揃えることにより、干渉することなくトーチＴを溶接開先Ｓの内部に挿入することができる。この場合、溶接開先Ｓが狭隘部であることにより、外側シールドガスは、溶接開先Ｓの内部に滞留・充満しやすく、偏平形状であっても内側シールドガスの周囲を覆うことが可能である。
【００１６】
内側シールドガスとして、Ｈｅを含む混合ガスを使用しているので、アーク放電の性状がＨｅアーク放電に近いものとなり、一層、溶接速度が向上する。
【００１７】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、次の技術を適用することもできる。
ａ）狭い溶接開先に適用することに代えて、狭隘部を通り越した位置にある溶接開先に対して適用すること。
ｂ）溶加棒を併用すること。
【００１８】
【発明の効果】
本発明に係るＴＩＧ溶接装置によれば、以下の効果を奏する。
（１）外側シールドガスノズルが偏平形状とされているので、偏平断面における長手方向を溶接開先の長さ方向に揃えることにより、比較的大きなトーチであっても狭隘部分に挿入することができ、溶接速度を向上させることができる。
（２）溶接開先が狭隘部であることにより、外側シールドガスは、溶接開先内に滞留・充満しやすく、外側シールドガスノズルが偏平形状であっても内側シールドガスの周囲を覆うこととなる。
（３）内側シールドガスとして、Ｈｅを含有するガスが供給されるので、一層、溶接速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係るＴＩＧ溶接装置の一実施形態のトーチを示すもので、（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図、（ｃ）は底面図である。
【図２】本発明に係るＴＩＧ溶接装置の一実施形態の使用状況を示す斜視図である。
【符号の説明】
Ｔトーチ
Ｓ溶接開先
Ｗ被溶接材
１電極
２内側シールドガスノズル
３外側シールドガスノズル
４二次シールドガスノズル

Claims

溶接開先（Ｓ）内に挿入されてＴＩＧ溶接を行うトーチ（Ｔ）が、棒状の電極（１）と、該電極の周囲に同心円状に配されて内側シールドガスを供給する内側シールドガスノズル（２）と、該内側シールドガスノズルの周囲に偏平形状をもって配されて外側シールドガスを供給する外側シールドガスノズル（３）と、該外側シールドガスノズルの幅方向側部に配されて二次シールドガスを供給する二次シールドガスノズル（４）とを具備することを特徴とするＴＩＧ溶接装置。
内側シールドガスとして、Ｈｅを含有するガスが供給されることを特徴とする請求項１記載のＴＩＧ溶接装置。