JP3564487B2 - 種子の研磨装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、種子の研磨装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】
ホーレン草の種子など、比較的に硬質の外皮を有する種子は、その発芽時期を制御したり、発芽率や発芽勢を向上させるために、外皮の研磨が行なわれる。
【0003】
従来、こうした種子の研磨は、一般的には、処理室内にセラミック粒等の研磨材と種子を入れ、これらを所要時間撹拌して表面研磨する手段が採られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の手法では、ランダムにミキシングが行なわれ、研磨材と種子との摩擦圧もそれぞれの種子について千差万別になる関係上、研磨の程度に著しいバラつきを生じる。また種子にクラックが入ったり、あるいは削り過ぎて、裸子になってしまったりする率が10数%にも達するという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、過度の研磨や、クラックを生じさせたりすることなく、種子の均一な表面研磨を行なう、種子の研磨装置を提供することにある。
【0006】
【0007】
【課題を達成するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明は次の構成を備える。
すなわち、本発明装置は、有底円筒状を成す処理容器と、この処理容器内の空気を回転させて、処理容器内に収容された種子を舞上らせる程度の渦流を発生させる気流発生装置と、上記処理容器内周面に固定された研磨部材であって、上記気流にのって処理容器内を回転する種子と接触して種子の外皮を研磨する研磨部材とを備える。そして、研摩部材は、表面に研磨材を付着した研磨シートをパンチングメタル等の可撓性プレートに貼着した研磨プレートから成り、処理容器の適所に設けられた開口により、処理容器内に、処理容器の内周面に沿ってスライド自在に収容されている。
【0008】
また、本発明装置は、有底円筒状を成す処理容器と、この処理容器内の空気を回転させて、処理容器内に収容された種子を舞上らせる程度の渦流を発生させる気流発生装置と、上記処理容器内周面に固定された研磨部材であって、上記気流にのって処理容器内を回転する種子と接触して種子の外皮を研磨する研磨部材とを備えて成り、かつ前記研磨部材が表面に研磨材を付着した研磨シートをパンチングメタル等の可撓性プレートに貼着した研磨プレートから成るとともに処理容器の適所に設けられた開口により、処理容器内に、処理容器の内周面に沿ってスライド自在に収容されて成る、研磨機本体を複数段積重ねて成る。そして、研磨部材の研磨粒子の粗さを各段の研磨機本体ごとに変え、各段の研磨機本体の処理容器が上下方向に連通するようにしてある。
この場合には、各研磨機本体の研磨部材の研磨材の粒度を、例えば下段にゆくにしたがって細かくなるように設定する。処理容器内に冷気を導入するためのクーラーを並設しても良い。
【0009】
【0010】
【作用】
処理容器内に種子を収容し、気流発生装置を作動させると、種子は気流発生装置によって生じた渦流に乗って処理容器内を回転する。遠心力によって気流の外層を回転する種子は、処理容器内面に固定された研磨部材にこすれるようにして接触し、徐々にその外皮が研磨されてゆく。気流中の種子は自転しつつ処理容器内を公転して研磨部材と接触するので、外皮は少しずつ、しかもまんべんなく研磨される。このため、クラックが生じにくく、また削り過ぎてしまうといったこともない。
【0011】
クーラーから処理容器内に冷気を供給する場合には研磨材との接触によって生じる摩擦熱が、過度になることはなく、胚芽を熱損傷させることがない。
【0012】
研磨が進行して所定の外皮厚になったころ気流発生装置の作動を停止すると、種子は削り屑と共に処理容器底部に落下する。そして研磨済みの種子は、削り屑と共に、処理容器に設けた排出口から取出され、例えばバキューム方式の選別機によって種子と削り屑とに選別されて後者は集塵機内に収容される。
【0013】
研磨部材が挿脱自在な研磨プレートの場合、摩耗等して交換の必要を生じたときには挿入口から引出されて新しいものと交換される。
【0014】
多段構造の研磨装置では、上段の研磨機本体内で研磨された種子は、次段の研磨機本体に落下され、ここで再研磨が行なわれる。従ってそれぞれの研磨機本体内の研磨材の粒度を変えることにより、上から順に例えば荒研磨、本研磨、仕上げ研磨が行なわれて、仕上がりの更に良好な種子となる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を図示した実施例に基づいて詳説する。
図1は本発明の一実施例に係る研磨装置の概念構成図である。図中符号1は研磨機本体、2はこの研磨装置本体に種子を供給するため、種子を一時的に貯留するストックホッパ、3はクーラー、4はダスト(削り屑)を粗回収し研磨済み種子を排出する排出機構、5は風力選別機、6は粒径選別機、7は計量器、8はダスト回収用の集塵機である。
【0016】
研磨装置本体1は図1及び図2に見られるように上下に積重ねられた3つの研磨機10,110,210から成る。これらの研磨機は基本的な構成を同じくする。図3はその最上段の研磨機11の一部縦断面図である。図中符号11は、種子を収容する処理容器で、有底円筒状を成すと共に底板12がすり鉢状に形成されている。底板12の中心部下面にはモータ13が固定され、また処理容器内に位置するこのモータ13の駆動軸には回転羽根14が取付けられており、回転羽根14が回転することで処理容器内に空気の回転渦流を発生させる。
【0017】
処理容器11の底板12の外縁部には、内部が空洞になった環状の排出ガイド16が立下り形成されている。この排出ガイド16は、図4に見られるように底板外縁部に周方向に間隔を置いて数箇所に設けられた切欠き部15を介して、処理容器内と連通されている。また排出ガイド16の下面には、上記切欠き部15と同様に周方向に間隔を置いて複数の排出口17が形成されている。
【0018】
そして、図3及び図6に示すように、排出ガイド16はその外周壁16aが処理容器11の内周面11aよりもやや小径に形成されている。また、外周壁16aの上部は処理容器11の円筒状部の外周下端に突設した下部フランジ19よりも上方に位置し、処理容器11の内周面11aとの間に所要の下部間隙18を形成している。なお、20は処理容器11の上部外周に突設した上部フランジである。
【0019】
21は処理容器11の上部に嵌込まれた蓋体で、この蓋体21は、円筒状を成す本体部22の外径が処理容器11の上部内周面との間に上記した下部間隙18と同一幅の上部間隙23を維持する径に設定され、外周面に処理容器11の上記上部フランジ20に支持されるフランジ24を有する。また、蓋体21の天板25は漏斗状に形成され、中心部に前記したクーラー3からの冷気導入口26が設けられ、適宜の位置には前記ストックホッパ2からの種子供給口27が設けられている。蓋体21は、そのフランジ24を処理容器11の上部フランジ20と対面させ、ボルト等の締着具を締付けて処理容器11に固定される。
【0020】
二段目の研磨機110と三段目の研磨機210は、上記最上段の研磨機10と蓋体21を除いて同一構造を成す。従って、これらを積重ねた状態の一部断面図である図5において、図中符号111,211は各段の研磨機110,210(以下同じ)の処理容器、112,212はその底板、113,213はモータ、114,214は回転羽根、115,215は底板112,212の切欠き部、116,216は環状の排出ガイド、117,217は排出口、118,218は下部間隙、119,219は下部フランジ、120,220は上部フランジである。
【0021】
これらの研磨機10,110,210はそれぞれ上段の処理容器底部を下段の処理容器上部に嵌め、上段研磨機の下部フランジと下段研磨機の上部フランジとをボルト締め等することで一体化される。このようにして積重ねられた二段目と三段目の研磨機は、処理容器111,211の内周面111a,211aの上部と上段研磨機の排出ガイド16,116の外周壁16a,116aとの間に上部間隙123,223が形成される。
【0022】
図中符号30は、各研磨機10,110,210の処理容器内周面に着脱自在に固定された研磨プレートで、この研磨プレート30はSUSパンチングメタル31に研磨シート32を固着して成る。研磨シート32にはその表面に研磨粒33が付着されている。研磨粒33は前上段の研磨機10に取付けられるものを最も粗くし、下段になるにつれて細かくしてある。研磨プレート30は1枚の長さを180゜内周長とすることにより各研磨機10,110,210のそれぞれについて2枚を一組として固定される。この研磨プレート30は、上下の縁部を各段の処理容器内の上部間隙23,123,223と下部間隙18,118,218に収まるようにして、図7に見られるように各処理容器の外面適所に設けた挿入用開口からスライド挿入される。
【0023】
なお、図中符号40は最下段の研磨機210の底部を囲む基部フードである。
【0024】
次に、本装置の使用状態を説明する。
ストックホッパ2から供給口27を介して最上段の研磨基10内に所要量の種子が送られる。モータ13の駆動力を受けて回転羽根14が回転すると、処理容器11内の種子はその空気の流れに乗って上昇しつつ回転を始める。回転する種子は、処理容器内面の研磨プレート30の研磨粒33にこすれるようにして接触し、外皮が研磨される。種子は空気流中で自転しながら研磨粒33との上記接触を行なう。この間クーラー3から管路を介して冷気が処理容器内に導入され、研磨中の種子に摩擦熱が蓄積されるのを防ぐ。
【0025】
所要時間が経過し、荒研磨が終わるとモータ13が停止される。処理容器内を飛び廻っていた種子は、回転をゆるめながら処理容器底部へと移行し、切欠き部15から排出ガイド16内に集まる。
【0026】
排出ガイド内の荒研磨済みの種子は排出ガイド底面の排出口17から中段の研磨機110の処理容器111内へと落下する。この処理容器内で同様の回転渦流に乗って回転移動する種子は本研磨が行なわれ、排出ガイド116を通って最下段の研磨機210へと落下する。同様の作用によって最下段の研磨機中で仕上研磨が行なわれた種子は、排出口217から削りカスと共に排出機構4に回収され、ここで削りカスと分別される。削りカスは集塵機8からの吸引力を受けてダストバンカ9に回収される。研磨済みの種子は、風力選別機5と粒径選別機6を経て計量器7へと送られる。
【0027】
上記した実施例では、多段形式の研磨装置を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、単一の研磨機から成る研磨装置であっても良い。
【0028】
【発明の効果】
以上述べたように本発明装置によれば、空中の気流に乗って回転しながら移動する種子を固定した研磨手段に接触させて種子の外皮を削るので、被研磨種子の全てについて偏りのない均一な研磨を確実に行なうことができ、種子にクラックを生じさせたりすることもない。
【0029】
また、本発明装置は、比較的構造の簡単な装置でありながら上記種子の研磨を効率良く行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る研磨装置の概念構成図。
【図2】研磨装置本体の外観斜視図。
【図3】研磨装置本体の最上段の研磨機一部縦断面図。
【図4】図2のIV−IV線断面図。
【図5】研磨装置本体の二段目及び三段目の研磨機を積重ねた状態の一部縦断面図。
【図6】研磨装置本体の一側の拡大断面図。
【図7】研磨プレートの挿脱状態を示す説明図。
【符号の説明】
1・・・研磨装置本体
10・・・最上段の処理機
11,111,211・・・処理容器
12,112,212・・・底板
13,113,213・・・モータ
14,114,214・・・回転羽根
15,115,215・・・底板の切欠き部
16,116,216・・・環状の排出ガイド
17,117,217・・・排出口
18,118,218・・・下部間隙
19,119,219・・・下部フランジ
20,120,220・・・上部フランジ
23,123,223・・・上部間隙

Claims (4)

  1. 有底円筒状を成す処理容器と、
    この処理容器内の空気を回転させて、処理容器内に収容された種子を舞上らせる程度の渦流を発生させる気流発生装置と、
    上記処理容器内周面に固定された研磨部材であって、上記気流にのって処理容器内を回転する種子と接触して種子の外皮を研磨する研磨部材とを備え、
    前記研磨部材は、表面に研磨材を付着した研磨シートをパンチングメタル等の可撓性プレートに貼着した研磨プレートから成り、
    処理容器の適所に設けられた開口により、処理容器内に、処理容器の内周面に沿ってスライド自在に収容されている、
    ことを特徴とする種子の研磨装置。
  2. 有底円筒状を成す処理容器と、この処理容器内の空気を回転させて、処理容器内に収容された種子を舞上らせる程度の渦流を発生させる気流発生装置と、上記処理容器内周面に固定された研磨部材であって、上記気流にのって処理容器内を回転する種子と接触して種子の外皮を研磨する研磨部材とを備え、かつ前記研磨部材が、表面に研磨材を付着した研磨シートをパンチングメタル等の可撓性プレートに貼着した研磨プレートから成るとともに処理容器の適所に設けられた開口により、処理容器内に、処理容器の内周面に沿ってスライド自在に収容されて成る、研磨機本体を複数段積重ね、
    上記研磨部材の研磨粒子の粗さを各段の研磨機本体ごとに変え、
    各段の研磨機本体の処理容器が上下方向に連通するようにした、
    ことを特徴とする種子の研磨装置。
  3. 前記処理容器は、底部がすり鉢状に形成され、
    この底部に研磨済みの種子と研磨屑の排出口が設けられている、
    ことを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の種子の研磨装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の種子の研磨装置において、
    冷房装置を備え、
    この冷房装置から冷気が処理室内に導かれる、
    ことを特徴とする種子の研磨装置。
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