JP3564034B2 - サンドイッチパネルを用いた構体の防音構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば台枠などの構造体に連結される構体などの防音構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、従来の技術の構体の防音構造1を示す断面図である。鉄道車両の車体2は、台枠3に構体4が連結されて構成され、この車体2内に運転室などが形成される。構体4は、車体2の重量を小さくし、かつ剛性を大きくするために、繊維強化合成樹脂材料から成る2枚の面板5,6間に、発泡合成樹脂から成るコア7が設けられるサンドイッチパネルによって構成されている。これにより、製作工程の大幅な削減が図られるばかりでなく、美観も保たれる。この構体4には、各面板5,6に連なって一体に形成される連結部8が形成されており、この連結部8で構体4は、台枠3に固定された連結金具9を介して台枠3に連結されている。
【0003】
車体2は、台枠3が図示しない台車に連結されて、台車上に設けられる。したがって車体2を構成する構体4には、台車から台枠3を経て、車両の走行に伴う振動が伝達されてしまう。具体的には、台枠3に伝わった振動が、連結部8から各面板5,6に伝わる。このようにして振動が伝わり、各面板5,6のうち、車内側の面板5が振動すると、車内空気を振動させて、車内騒音を発生させてしまう。このような車内騒音を低減するために、面板5の車内側表面にスポンジ状の吸音材10を貼り付けて、車内騒音を低減している。
【0004】
図5は、他の従来の技術の防音パネル11を示す断面図である。この防音パネル11は、特開平6−307066に示されている。防音パネル11は、2枚のアルミニウム平板12a,12b間に、粘弾性樹脂層13を挿入して一体的に成形したサンドイッチ制振板14に、アルミニウム発泡材15を張付け、さらにアルミニウム発泡材15のサンドイッチ制振板14とは反対側に、アルミニウム平板16を張付けている。この防音パネル11は、サンドイッチ制振板14を音源側に配置して設けられ、音源からの空気の振動が伝わることによる最も音源側のアルミニウム平板12bの曲げ振動を、粘弾性樹脂層13を含むサンドイッチ制振板14の効果によって低減し、さらに音源から遠ざかる側に放射される音についてもアルミニウム発泡材15で吸収して低減できるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような防音構造1では、構体4を連結した後に、吸音材10を張り付けなければならず、防音構造1を実現するための施工作業に手間を要するうえ、曲面形状の構体4に対しては、吸音材10の張り付けが困難であり、施工作業が困難である。また吸音材10を露出させると外観上の見栄えが悪くなるので、吸音材10の車内側にさらに表面材11を設けなければならず、施工作業にさらなる手間を要する。またこのように吸音材10および表面材11を設けることによって車内空間が小さくなってしまう。さらに吸音材10を車内空間側の表面の全領域にわたって張り付けなければ、車内騒音を低減する効果が達成されないので、吸音材10を構体4の車内空間側の表面の全領域に設ける必要があり、施工作業の手間が多くなるだけでなく、製造コストが高くなり、また車体の重量も大きくなってしまう。
【0006】
また特開平6−307066の防音パネル11では、パネルの厚み方向一方側にある音源からの音を手段することを目的としており、パネルの全領域にわたって一様な構造とされている。したがって3枚のアルミニウム平板12a,112b,16が、パネルの全領域に設けられ、これら各アルミニウム平板間に粘弾性樹脂層13およびアルミニウム発泡材15が、全領域にわたって設けられることになり、全体重量が大きくなってしまう。
【0007】
本発明の目的は、施工作業が容易かつ手間を必要とせず、製造コストを低減でき、さらに全体の重量を小さくすることができるサンドイッチパネルを用いた構体の防音構造を提供することである。
【0008】
また本発明の目的は、車内空間を可及的に大きくすることができるサンドイッチパネルを用いた構体の防音構造を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、予め定める構造体に、連結部で連結される構体の防音構造であって、
構体は、繊維強化合成樹脂材料から成る2つの面板間に、前記連結部付近にだけ、制振材が設けられ、連結部付近を除く領域では、多数の空隙を有するコアが設けられるサンドイッチパネルを用いて構成されることを特徴とするサンドイッチパネルを用いた構体の防音構造である。
【0010】
本発明に従えば、構造体に連結される構体は、繊維強化合成樹脂材料から成る2つの面板間に、多数の空隙を有するコアが設けられるサンドイッチパネルを用いて構成され、軽量かつ高剛性の構体を得ることができる。この構体の構造体に連結される連結部付近では、2つの面板間に制振材が設けられており、各面板の連結部付近の部分が振動することを抑制することができる。これによって連結部から、各面板の連結部付近の部分を介して、各面板の連結部付近を除く領域の部分に振動が伝達されることを防ぐことができる。したがって構造体から構体に振動が伝達されても、振動が伝達されるのは連結部付近までであり、構体の大きな領域において、各面板の振動が小さくなり各面板の振動が騒音の発生源となることを防ぐことができる。
【0011】
このように構体を構成するためのサンドイッチパネルの内部に制振材を設けて騒音の発生を防止する防音構造としているので、構体を構造体に連結するだけで防音構造も実現される。したがって施工作業は、たとえば吸音材を別途に設けるなどの困難かつ手間を要する作業を必要とせず、容易でかつ手間を少なくできる。また制振材は、コアと同様にして面板間に設ければよく、構体の製造は、制振材を設けないパネルを用いる構体を製造する作業とほぼ同様であって、構体は容易に製造することができ、製造コストを低減できる。さらに別途の部材を設ける必要がないので、全体の重量を小さくすることができる。さらに制振材が、連結部付近にだけ設けられ、制振材の設けられる領域を小さくし、制振材の設けられる領域が大きくなることによる強度低下および重量増加を防止することができる。
また本発明は、前記サンドイッチパネルの2つの面板は、前記構体に近接して配置される端部で相互に貼り合わされるようにして一体に形成され、この端部によって連結部が形成され、
前記制振材は、2つの面板が分岐する位置から、パネル内側の面に沿って連結部から遠ざかる方向に、制振すべき面板の振動の波長の2分の1程度の位置まで設けられることを特徴とする。
本発明に従えば、2つの面板が相互に貼り合わされ一体に形成される。このようにして各面板の端部によって連結部が形成される。このように貼り合わされる2つの面板が分岐する位置から、パネル内側の面に沿って連結部から遠ざかる方向に、制振すべき面板の振動の波長の2分の1程度の位置まで、制振材が設けられる。これによって面板の振動に対する制振特性を向上することができる。
また本発明は、前記予め定める構造体は、鉄道車両の車体を構成する台枠であり、
前記構体は、台枠に連結されて台枠とともに車体を構成する構体であることを特徴とする。
【0012】
本発明に従えば、車体を構成する構体の車内空間側に臨む面板の連結部付近を除く領域の部分に、台枠から振動が伝達されることを防ぐことができる。これによって鉄道車両の走行に伴って台枠に振動が伝達されても、構体が車内空間の騒音の発生源となることを防ぐことができる。したがって騒音の小さい良好な環境の車内空間を形成することができる。また構体の車内空間側の表面は、面板によって形成されるので、外観上の見栄えは良好であって、別途に表面材などを設けなくてもよい。構体の車内空間側表面には、吸音材および表面材などを設けなくてもよく、これらの部材を別途に設けることによって車内空間が小さくなってしまうことを防ぐことができ、車内騒音を小さくしたうえで可及的に大きな車内空間を形成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態のサンドイッチパネルを用いた構体の防音構造20を示す断面図であり、図2は、防音構造20が採用される鉄道車両の車体21の一部を簡略化して示す断面図である。図1には、図2のセクションIを拡大して示し、図2は、先頭車両の車体21の車両前後軸に垂直な平面における断面を示す。新幹線などの高速鉄道車両では、先頭車両の先頭部は、トンネルに突入する際に発生する衝撃音を低減するためなどに、先鋭化し、形状が連続した3次元的曲面を組合わせた流線形状に形成され、複雑な形状となっている。このような形状の先頭部を容易に形成してこの先頭部を含む先頭車両を容易に製造するために、加えて先頭車両の車体21の重量を小さくするために、構体22は複合材料から成るサンドイッチパネルを用いて構成される。
【0014】
防音構造20は、車体21を構成する構造体である台枠23に、連結部24で連結されて台枠23とともに車体21を構成する構体22の防音構造である。車体21は、台枠23に構体22を被るようにして、台枠23の周縁部に全周にわたって構体22が連結され、外部空間30と仕切られる内部空間31が形成される。
【0015】
構体22は、繊維強化合成樹脂材料から成る2つの面板25,26間に、前記連結部24付近では制振材27が設けられ、連結部付近を除く領域では多数の空隙を有するコア28が設けられるサンドイッチパネル29を用いて構成される。構体21は、サンドイッチパネル29だけから成ってもよいし、他のパネルなどの部材と組み合わせて構成されてもよい。
【0016】
サンドイッチパネル29の面板25は、複合材料であるプリプレグを積層して硬化させて形成される。プリプレグは、繊維強化熱硬化性合成樹脂製であって、繊維強化材に合成樹脂が含浸されて構成される。繊維強化材は、たとえばたて糸およびよこ糸が、カーボン繊維、ガラス繊維またはアラミド繊維から成る平織または朱子織などの織物である。たとえばカーボン繊維は、強度の観点から好ましい。また合成樹脂は、たとえば不飽和ポリエステル、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂またはエポキシ樹脂である。もう1つの面板26も面板25と同様にして形成される。
【0017】
各面板25,26は、台枠23に近接して配置される端部で、相互に貼り合わされるようにして一体に形成される。具体的にはプリプレグを積層し、硬化して各面板25,26を形成するときに、端部25a,26aにおいて各面板25,26を相互に積層した状態で、プリプレグを硬化させて形成される。各面板25,26の一体に形成される端部25a,26aを除く残余の領域では、相互に間隔をあけて配置されている。具体的には、外部空間30側に配置される面板26は、端部26aに滑らかに連なってサンドイッチパネル29の延在面に延び、車内空間31側に配置される面板25は、端部25aに対して屈曲してサンドイッチパネル29の延在面に対してたとえば約45度程度の角度を成すように傾斜して連なり、端部25aから遠ざかるにつれて面板26から遠ざかるように延び、面板26に対して所定の間隔L1に達した位置から端部25aに対して遠ざかる領域で、面板26との間に所定の間隔L1を保ってサンドイッチパネル29の延在面に延びている。
【0018】
このような各面板25,26の一体に形成される端部25a,26aによって、構体22の連結部24が構成される。換言すれば、連結部24は、サンドイッチパネル29の一部によって構成される。各面板25,26の台枠23に近接する端部25a,26aを除く残余の端部は、端部25a,26aと同様に形成されて、構体22を構成する他のパネルと連結するための連結部とされてもよいし、その他の構造であってもよい。
【0019】
制振材27は、ゴム系材料または高分子系材料から成る。具体的には、制振材27として、たとえば商品名アンダーシールとして市販されるアスファルト系材料、もしくは商品名ダンシェープまたはオロテックスとして市販されるゴム系材料を用いることができる。これらのアスファルト系材料またはゴム系材料は、中高周波数域の振動に対する制振特性が優れている。
【0020】
この制振材27は、上述のように連結部24付近の各面板25,26間に設けられて、各面板25,26にたとえば接着されて固定されている。この制振材27は、車内空間31側の面板25に関連して見たとき、各面板25,26が分岐する位置から、パネル内側の面に沿って連結部24に対して遠ざかる方向に距離L2の位置まで設けられる。距離L2は、制振すべき面板25,26の曲げ波(振動)の波長の2分の1程度に決定される。これによって距離L2の2倍の波長(=周波数分の1)の振動に対する制振特性が優れている。
【0021】
コア28は、制振材27が設けられる領域を除いて、各面板25,26間に設けられ、各面板25,26にたとえば接着されて固定される。このコア28は、連続した気泡によって多数の空隙が形成されるいわゆるロハセルのコアである。このコア28は、硬質発泡合成樹脂製であり、硬質発泡合成樹脂としては、たとえばポリメタクリルイミドが好適に用いられる。このポリメタクリルイミドは、他の合成樹脂の発泡体と比較して、引張強度、圧縮強度、弾性率、専断強度などの機械的強度が大きく、特に低温下での特性が優れ、さらに耐熱性、耐溶剤性、断熱性に優れている。
【0022】
このように構成されるサンドイッチパネル29は、不燃性の材料によって、軽量(重量が小さい)であって、かつ高剛性に形成することができる。さらにサンドイッチパネル29は、型を用いて形成することが可能であり、3次元的な曲面形状のパネルを形成することができ、上述のような先頭車両の先頭部の構体21に好適に用いることができる。
【0023】
台枠23は、枕梁を含む複数のたとえば鋼製の梁を用いて枠組みして形成される。この台枠23は、枕梁で、車輪を備える台車に連結され、台枠23は台車上に設けられる。この台枠23の周縁部に上述のサンドイッチパネル29を用いた構体22が、連結部材33を介して連結される。
【0024】
連結部材33は、2つの取付片を有するL字形の部材である。この連結部材33は、台枠23の周縁部の上部に、一方の取付片を重ねた状態で、たとえばボルトを用いて固定される。この状態で連結部材33の他方の取付片は、台枠23から立上がるように突出しており、この他方の取付片に外部空間側から連結部24を重ね、たとえばボルトおよびナットを用いて連結部24が連結部に固定される。これによって構体22が、連結部材33を介して、台枠23に固定される。このようにして構体22が台枠23の周縁部から上方に立上がるように、しっかりと固定されて設けられ、構体22と台枠23とによって車体21が構成される。
【0025】
このような本実施の形態の防音構造20によれば、構体22が、繊維強化合成樹脂材料から成る2つの面板25,26間に、多数の空隙を有するコア22が設けられるサンドイッチパネル29を用いて構成され、軽量かつ高剛性の構体を得ることができる。この構体22の連結部24付近では、2つの面板25,26間に制振材27が設けられており、各面板25,26の連結部24付近の部分が振動することを抑制することができる。これによって連結部24から、各面板25,26の連結部24付近の部分を介して、各面板25,26の連結部付近を除く領域の部分に振動が伝達されることを防ぐことができる。
【0026】
このような構体22は、構体22が連結される台枠23ととも車体21を構成する車両構体であって、台枠23が台車に連結されているので、車両の走行に伴って台車などにおいて発生する振動が、台枠23、連結部材33を経て、構体22の連結部24に伝達される。この連結部24に伝わった振動は、各面板25,26に伝達されるけれども、上述のように連結部付近の各面板25,26間には、制振材27が設けられているので、この領域の面板25,26の振動が抑制される。したがって台枠23から構体22に振動が伝達されても、振動が伝達されるのは連結部付近までであり、構体22の大きな領域において、具体的には連結部おび連結部付近を除く、各面板25,26間にコア28が設けられる領域において、各面板25,26の振動が小さくなり各面板25,26の振動が騒音の発生源となることを防ぐことができる。
【0027】
このように構体22を構成するためのサンドイッチパネル29の内部に制振材27を設けて騒音の発生を防止する防音構造20としているので、構体22を23に連結するだけで防音構造20も実現される。したがって施工作業は、容易でありかつ手間を少なくできる。また制振材27は、コア28と同様にして面板間に設ければよく、構体の製造は、制振材27を設けないパネルを用いる構体を製造する作業とほぼ同様であって、構体22は容易に製造することができ、防音構造を実現した構体を製造するためのコストを低減できる。さらに別途の部材を設ける必要がないので、全体の重量を小さくすることができる。
【0028】
このように鉄道車両の走行に伴って構体22が振動して騒音を発生することを防止することができる。具体的には、車体21を構成する構体22の車内空間31側に臨む面板25の連結部付近を除く領域の部分に、台枠23から振動が伝達されることを防ぐことができる。これによって鉄道車両の走行に伴って台枠23に振動が伝達されても、構体22が車内空間31の騒音の発生源となることを防ぐことができる。したがって騒音の小さい良好な環境の車内空間31を形成することができる。また構体22の車内空間31側の表面は、面板によって形成されるので、外観上の見栄えは良好であって、別途に表面材などを設けなくてもよい。構体の車内空間側表面には、吸音材および表面材などを設けなくてもよく、これらの部材を別途に設けることによって車内空間が小さくなってしまうことを防ぐことができ、車内騒音を小さくしたうえで可及的に大きな車内空間を形成することができる。
【0029】
また各面板25,26は、連結部24付近において、外部空間30側の面板26が、サンドイッチパネル29の延在面に沿って延び、内部空間31側の面板25が、サンドイッチパネル29の延在面に対して傾斜して延びているので、サンドイッチパネル29の延在面に投影した制振材27の配置領域Sが小さくても、車内空間31側の面板25への制振材27接触領域(距離L2の領域)を大きくすることができる。これによって制振材27が設けられる領域Sが大きくなることによる強度低下および重量増加を防止し、かつ車内騒音の発生源となる面板25の振動を大きく抑制することができる。
【0030】
さらに制振材27が上述のような材料から成るので、面板25,26に伝わる振動のうち中高周波数域の振動をより確実に抑制し、減衰させて小さくすることができる。また距離L2の2倍波長を有する周波数付近の振動をより確実に制振できる。この距離L2を、台枠から面板25,26に伝わる各周波数の振動成分のうち、最も騒音の原因としての寄与が大きい、周波数の振動の波長の2分の1とすることによって、最も騒音の原因となる周波数付近の振動を小さく抑えることができ、防音効果を高くすることができる。
【0031】
図3は、本発明の実施の他の形態の防音構造20Aを示す斜視図である。防音構造20Aは、上述の図1および図2に示す防音構造20と類似しており、対応する構成に同一数字に「A」を添えた符号を付し、異なる構成についてだけ説明し、同様の構成については説明を省略する。防音構造20Aが採用される構体22Aは、宇宙機の外壁を構成するための構体であって、サンドイッチパネル29Aと太陽電池パネル50とによって構成される。サンドイッチパネル29Aは、上述の形態と同様の材料から成る各面板25A,26Aが、周縁部で相互に積層されて、一体に形成され、連結部24Aが全周に延びて形成されている。各面板25A,26Aは、連結部24Aに連なって相互に拡開して間隔をあけるように構成されている。このような連結部付近において全周にわたって、各面板25A,26A間に制振材27Aが設けられ、さらに制振材27Aに囲まれた領域において、各面板25A,26A間にコア28Aが設けられる。制振材27Aおよびコア28Aの材質は、上述の形態とそれぞれ同一である。
【0032】
このようなサンドイッチパネル29Aの一方の面板26Aは、中央部において他方の面板25A側に凹に形成され、これによってサンドイッチパネル29Aに凹所が形成される。この凹所に、複数の太陽電池を有する太陽電池パネル50が嵌込まれて設けられる。この構体22Aは、図示しない宇宙機の機体などに、上述の形態と同様にして、連結部24Aで連結され、外壁を形成して宇宙機の内部空間を形成する。太陽電池パネル50が外部空間側に臨んでおり、宇宙機内で必要とされる電力を作り出すことができる。
【0033】
この実施の形態においても、構体22Aに、構体が連結される機体などから振動が伝達されても、各面板25A,26Aが中央部分の大きな領域の部分で振動することを防ぐことができる。これによって面板25Aが宇宙機の内部空間内の騒音の発生源となることを防ぐことができる。このように防音効果を達成したうえで、上述の形態と同様に、製造を容易にしてコストを小さくできるうえ、宇宙機内の空間を大きくすることができる。また面板26Aの振動を抑制することによって、太陽電池パネル50が振動することを防止し、太陽電池パネル50の損傷防止に寄与することができる。
【0034】
上述の実施の形態は、本発明の実施の例に過ぎず、本発明の範囲内で構成を変更することができる。たとえば鉄道車両に代えて、他の車両の外壁を形成するための構体に実施するようにしてもよい。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、構造体に連結される構体は、繊維強化合成樹脂材料から成る2つの面板間に、多数の空隙を有するコアが設けられるサンドイッチパネルを用いて構成され、軽量かつ高剛性の構体を得ることができる。この構体の構造体に連結される連結部付近では、2つの面板間に制振材が設けられており、各面板の連結部付近の部分が振動することを抑制することができる。これによって連結部から、各面板の連結部付近の部分を介して、各面板の連結部付近を除く領域の部分に振動が伝達されることを防ぐことができる。したがって構造体から構体に振動が伝達されても、振動が伝達されるのは連結部付近までであり、構体の大きな領域において、各面板の振動が小さくなり各面板の振動が騒音の発生源となることを防ぐことができる。
【0036】
このように構体を構成するためのサンドイッチパネルの内部に制振材を設けて騒音の発生を防止する防音構造としているので、構体を構造体に連結するだけで防音構造も実現される。したがって施工作業は、たとえば吸音材を別途に設けるなどの困難かつ手間を要する作業を必要とせず、容易でかつ手間を少なくできる。また制振材は、コアと同様にして面板間に設ければよく、構体の製造は、制振材を設けないパネルを用いる構体を製造する作業とほぼ同様であって、構体は容易に製造することができ、製造コストを低減できる。さらに別途の部材を設ける必要がないので、全体の重量を小さくすることができる。さらに制振材が、連結部付近にだけ設けられ、制振材の設けられる領域を小さくし、制振材の設けられる領域が大きくなることによる強度低下および重量増加を防止することができる。
また本発明によれば、2つの面板が相互に貼り合わされ一体に形成される。このようにして各面板の端部によって連結部が形成される。このように貼り合わされる2つの面板が分岐する位置から、パネル内側の面に沿って連結部から遠ざかる方向に、制振すべき面板の振動の波長の2分の1程度の位置まで、制振材が設けられる。これによって面板の振動に対する制振特性を向上することができる。
また本発明によれば、車体を構成する構体の車内空間側に臨む面板の連結部付近を除く領域の部分に、台枠から振動が伝達されることを防ぐことができる。これによって鉄道車両の走行に伴って台枠に振動が伝達されても、構体が車内空間の騒音の発生源となることを防ぐことができる。したがって騒音の小さい良好な環境の車内空間を形成することができる。また構体の車内空間側の表面は、面板によって形成されるので、外観上の見栄えは良好であって、別途に表面材などを設けなくてもよい。構体の車内空間側表面には、吸音材および表面材などを設けなくてもよく、これらの部材を別途に設けることによって車内空間が小さくなってしまうことを防ぐことができ、車内騒音を小さくしたうえで可及的に大きな車内空間を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態のサンドイッチパネルを用いた構体の防音構造20を示す断面図である。
【図2】防音構造20が採用される鉄道車両の車体21の一部を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の他の形態のサンドイッチパネルを用いた構体の防音構造20Aを示す断面図である。
【図4】従来の技術の構体の防音構造1を示す断面図である。
【図5】他の従来の技術の防音パネル11を示す断面図である。
【符号の説明】
20 防音構造
21 車体
22,22A 構体
23 台枠
24,24A 連結部
25,26;25A,26A 面板
27;27A 制振材
28;28A コア
30 外部空間
31 車内空間
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば台枠などの構造体に連結される構体などの防音構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、従来の技術の構体の防音構造1を示す断面図である。鉄道車両の車体2は、台枠3に構体4が連結されて構成され、この車体2内に運転室などが形成される。構体4は、車体2の重量を小さくし、かつ剛性を大きくするために、繊維強化合成樹脂材料から成る2枚の面板5,6間に、発泡合成樹脂から成るコア7が設けられるサンドイッチパネルによって構成されている。これにより、製作工程の大幅な削減が図られるばかりでなく、美観も保たれる。この構体4には、各面板5,6に連なって一体に形成される連結部8が形成されており、この連結部8で構体4は、台枠3に固定された連結金具9を介して台枠3に連結されている。
【0003】
車体2は、台枠3が図示しない台車に連結されて、台車上に設けられる。したがって車体2を構成する構体4には、台車から台枠3を経て、車両の走行に伴う振動が伝達されてしまう。具体的には、台枠3に伝わった振動が、連結部8から各面板5,6に伝わる。このようにして振動が伝わり、各面板5,6のうち、車内側の面板5が振動すると、車内空気を振動させて、車内騒音を発生させてしまう。このような車内騒音を低減するために、面板5の車内側表面にスポンジ状の吸音材10を貼り付けて、車内騒音を低減している。
【0004】
図5は、他の従来の技術の防音パネル11を示す断面図である。この防音パネル11は、特開平6−307066に示されている。防音パネル11は、2枚のアルミニウム平板12a,12b間に、粘弾性樹脂層13を挿入して一体的に成形したサンドイッチ制振板14に、アルミニウム発泡材15を張付け、さらにアルミニウム発泡材15のサンドイッチ制振板14とは反対側に、アルミニウム平板16を張付けている。この防音パネル11は、サンドイッチ制振板14を音源側に配置して設けられ、音源からの空気の振動が伝わることによる最も音源側のアルミニウム平板12bの曲げ振動を、粘弾性樹脂層13を含むサンドイッチ制振板14の効果によって低減し、さらに音源から遠ざかる側に放射される音についてもアルミニウム発泡材15で吸収して低減できるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような防音構造1では、構体4を連結した後に、吸音材10を張り付けなければならず、防音構造1を実現するための施工作業に手間を要するうえ、曲面形状の構体4に対しては、吸音材10の張り付けが困難であり、施工作業が困難である。また吸音材10を露出させると外観上の見栄えが悪くなるので、吸音材10の車内側にさらに表面材11を設けなければならず、施工作業にさらなる手間を要する。またこのように吸音材10および表面材11を設けることによって車内空間が小さくなってしまう。さらに吸音材10を車内空間側の表面の全領域にわたって張り付けなければ、車内騒音を低減する効果が達成されないので、吸音材10を構体4の車内空間側の表面の全領域に設ける必要があり、施工作業の手間が多くなるだけでなく、製造コストが高くなり、また車体の重量も大きくなってしまう。
【0006】
また特開平6−307066の防音パネル11では、パネルの厚み方向一方側にある音源からの音を手段することを目的としており、パネルの全領域にわたって一様な構造とされている。したがって3枚のアルミニウム平板12a,112b,16が、パネルの全領域に設けられ、これら各アルミニウム平板間に粘弾性樹脂層13およびアルミニウム発泡材15が、全領域にわたって設けられることになり、全体重量が大きくなってしまう。
【0007】
本発明の目的は、施工作業が容易かつ手間を必要とせず、製造コストを低減でき、さらに全体の重量を小さくすることができるサンドイッチパネルを用いた構体の防音構造を提供することである。
【0008】
また本発明の目的は、車内空間を可及的に大きくすることができるサンドイッチパネルを用いた構体の防音構造を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、予め定める構造体に、連結部で連結される構体の防音構造であって、
構体は、繊維強化合成樹脂材料から成る2つの面板間に、前記連結部付近にだけ、制振材が設けられ、連結部付近を除く領域では、多数の空隙を有するコアが設けられるサンドイッチパネルを用いて構成されることを特徴とするサンドイッチパネルを用いた構体の防音構造である。
【0010】
本発明に従えば、構造体に連結される構体は、繊維強化合成樹脂材料から成る2つの面板間に、多数の空隙を有するコアが設けられるサンドイッチパネルを用いて構成され、軽量かつ高剛性の構体を得ることができる。この構体の構造体に連結される連結部付近では、2つの面板間に制振材が設けられており、各面板の連結部付近の部分が振動することを抑制することができる。これによって連結部から、各面板の連結部付近の部分を介して、各面板の連結部付近を除く領域の部分に振動が伝達されることを防ぐことができる。したがって構造体から構体に振動が伝達されても、振動が伝達されるのは連結部付近までであり、構体の大きな領域において、各面板の振動が小さくなり各面板の振動が騒音の発生源となることを防ぐことができる。
【0011】
このように構体を構成するためのサンドイッチパネルの内部に制振材を設けて騒音の発生を防止する防音構造としているので、構体を構造体に連結するだけで防音構造も実現される。したがって施工作業は、たとえば吸音材を別途に設けるなどの困難かつ手間を要する作業を必要とせず、容易でかつ手間を少なくできる。また制振材は、コアと同様にして面板間に設ければよく、構体の製造は、制振材を設けないパネルを用いる構体を製造する作業とほぼ同様であって、構体は容易に製造することができ、製造コストを低減できる。さらに別途の部材を設ける必要がないので、全体の重量を小さくすることができる。さらに制振材が、連結部付近にだけ設けられ、制振材の設けられる領域を小さくし、制振材の設けられる領域が大きくなることによる強度低下および重量増加を防止することができる。
また本発明は、前記サンドイッチパネルの2つの面板は、前記構体に近接して配置される端部で相互に貼り合わされるようにして一体に形成され、この端部によって連結部が形成され、
前記制振材は、2つの面板が分岐する位置から、パネル内側の面に沿って連結部から遠ざかる方向に、制振すべき面板の振動の波長の2分の1程度の位置まで設けられることを特徴とする。
本発明に従えば、2つの面板が相互に貼り合わされ一体に形成される。このようにして各面板の端部によって連結部が形成される。このように貼り合わされる2つの面板が分岐する位置から、パネル内側の面に沿って連結部から遠ざかる方向に、制振すべき面板の振動の波長の2分の1程度の位置まで、制振材が設けられる。これによって面板の振動に対する制振特性を向上することができる。
また本発明は、前記予め定める構造体は、鉄道車両の車体を構成する台枠であり、
前記構体は、台枠に連結されて台枠とともに車体を構成する構体であることを特徴とする。
【0012】
本発明に従えば、車体を構成する構体の車内空間側に臨む面板の連結部付近を除く領域の部分に、台枠から振動が伝達されることを防ぐことができる。これによって鉄道車両の走行に伴って台枠に振動が伝達されても、構体が車内空間の騒音の発生源となることを防ぐことができる。したがって騒音の小さい良好な環境の車内空間を形成することができる。また構体の車内空間側の表面は、面板によって形成されるので、外観上の見栄えは良好であって、別途に表面材などを設けなくてもよい。構体の車内空間側表面には、吸音材および表面材などを設けなくてもよく、これらの部材を別途に設けることによって車内空間が小さくなってしまうことを防ぐことができ、車内騒音を小さくしたうえで可及的に大きな車内空間を形成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態のサンドイッチパネルを用いた構体の防音構造20を示す断面図であり、図2は、防音構造20が採用される鉄道車両の車体21の一部を簡略化して示す断面図である。図1には、図2のセクションIを拡大して示し、図2は、先頭車両の車体21の車両前後軸に垂直な平面における断面を示す。新幹線などの高速鉄道車両では、先頭車両の先頭部は、トンネルに突入する際に発生する衝撃音を低減するためなどに、先鋭化し、形状が連続した3次元的曲面を組合わせた流線形状に形成され、複雑な形状となっている。このような形状の先頭部を容易に形成してこの先頭部を含む先頭車両を容易に製造するために、加えて先頭車両の車体21の重量を小さくするために、構体22は複合材料から成るサンドイッチパネルを用いて構成される。
【0014】
防音構造20は、車体21を構成する構造体である台枠23に、連結部24で連結されて台枠23とともに車体21を構成する構体22の防音構造である。車体21は、台枠23に構体22を被るようにして、台枠23の周縁部に全周にわたって構体22が連結され、外部空間30と仕切られる内部空間31が形成される。
【0015】
構体22は、繊維強化合成樹脂材料から成る2つの面板25,26間に、前記連結部24付近では制振材27が設けられ、連結部付近を除く領域では多数の空隙を有するコア28が設けられるサンドイッチパネル29を用いて構成される。構体21は、サンドイッチパネル29だけから成ってもよいし、他のパネルなどの部材と組み合わせて構成されてもよい。
【0016】
サンドイッチパネル29の面板25は、複合材料であるプリプレグを積層して硬化させて形成される。プリプレグは、繊維強化熱硬化性合成樹脂製であって、繊維強化材に合成樹脂が含浸されて構成される。繊維強化材は、たとえばたて糸およびよこ糸が、カーボン繊維、ガラス繊維またはアラミド繊維から成る平織または朱子織などの織物である。たとえばカーボン繊維は、強度の観点から好ましい。また合成樹脂は、たとえば不飽和ポリエステル、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂またはエポキシ樹脂である。もう1つの面板26も面板25と同様にして形成される。
【0017】
各面板25,26は、台枠23に近接して配置される端部で、相互に貼り合わされるようにして一体に形成される。具体的にはプリプレグを積層し、硬化して各面板25,26を形成するときに、端部25a,26aにおいて各面板25,26を相互に積層した状態で、プリプレグを硬化させて形成される。各面板25,26の一体に形成される端部25a,26aを除く残余の領域では、相互に間隔をあけて配置されている。具体的には、外部空間30側に配置される面板26は、端部26aに滑らかに連なってサンドイッチパネル29の延在面に延び、車内空間31側に配置される面板25は、端部25aに対して屈曲してサンドイッチパネル29の延在面に対してたとえば約45度程度の角度を成すように傾斜して連なり、端部25aから遠ざかるにつれて面板26から遠ざかるように延び、面板26に対して所定の間隔L1に達した位置から端部25aに対して遠ざかる領域で、面板26との間に所定の間隔L1を保ってサンドイッチパネル29の延在面に延びている。
【0018】
このような各面板25,26の一体に形成される端部25a,26aによって、構体22の連結部24が構成される。換言すれば、連結部24は、サンドイッチパネル29の一部によって構成される。各面板25,26の台枠23に近接する端部25a,26aを除く残余の端部は、端部25a,26aと同様に形成されて、構体22を構成する他のパネルと連結するための連結部とされてもよいし、その他の構造であってもよい。
【0019】
制振材27は、ゴム系材料または高分子系材料から成る。具体的には、制振材27として、たとえば商品名アンダーシールとして市販されるアスファルト系材料、もしくは商品名ダンシェープまたはオロテックスとして市販されるゴム系材料を用いることができる。これらのアスファルト系材料またはゴム系材料は、中高周波数域の振動に対する制振特性が優れている。
【0020】
この制振材27は、上述のように連結部24付近の各面板25,26間に設けられて、各面板25,26にたとえば接着されて固定されている。この制振材27は、車内空間31側の面板25に関連して見たとき、各面板25,26が分岐する位置から、パネル内側の面に沿って連結部24に対して遠ざかる方向に距離L2の位置まで設けられる。距離L2は、制振すべき面板25,26の曲げ波(振動)の波長の2分の1程度に決定される。これによって距離L2の2倍の波長(=周波数分の1)の振動に対する制振特性が優れている。
【0021】
コア28は、制振材27が設けられる領域を除いて、各面板25,26間に設けられ、各面板25,26にたとえば接着されて固定される。このコア28は、連続した気泡によって多数の空隙が形成されるいわゆるロハセルのコアである。このコア28は、硬質発泡合成樹脂製であり、硬質発泡合成樹脂としては、たとえばポリメタクリルイミドが好適に用いられる。このポリメタクリルイミドは、他の合成樹脂の発泡体と比較して、引張強度、圧縮強度、弾性率、専断強度などの機械的強度が大きく、特に低温下での特性が優れ、さらに耐熱性、耐溶剤性、断熱性に優れている。
【0022】
このように構成されるサンドイッチパネル29は、不燃性の材料によって、軽量(重量が小さい)であって、かつ高剛性に形成することができる。さらにサンドイッチパネル29は、型を用いて形成することが可能であり、3次元的な曲面形状のパネルを形成することができ、上述のような先頭車両の先頭部の構体21に好適に用いることができる。
【0023】
台枠23は、枕梁を含む複数のたとえば鋼製の梁を用いて枠組みして形成される。この台枠23は、枕梁で、車輪を備える台車に連結され、台枠23は台車上に設けられる。この台枠23の周縁部に上述のサンドイッチパネル29を用いた構体22が、連結部材33を介して連結される。
【0024】
連結部材33は、2つの取付片を有するL字形の部材である。この連結部材33は、台枠23の周縁部の上部に、一方の取付片を重ねた状態で、たとえばボルトを用いて固定される。この状態で連結部材33の他方の取付片は、台枠23から立上がるように突出しており、この他方の取付片に外部空間側から連結部24を重ね、たとえばボルトおよびナットを用いて連結部24が連結部に固定される。これによって構体22が、連結部材33を介して、台枠23に固定される。このようにして構体22が台枠23の周縁部から上方に立上がるように、しっかりと固定されて設けられ、構体22と台枠23とによって車体21が構成される。
【0025】
このような本実施の形態の防音構造20によれば、構体22が、繊維強化合成樹脂材料から成る2つの面板25,26間に、多数の空隙を有するコア22が設けられるサンドイッチパネル29を用いて構成され、軽量かつ高剛性の構体を得ることができる。この構体22の連結部24付近では、2つの面板25,26間に制振材27が設けられており、各面板25,26の連結部24付近の部分が振動することを抑制することができる。これによって連結部24から、各面板25,26の連結部24付近の部分を介して、各面板25,26の連結部付近を除く領域の部分に振動が伝達されることを防ぐことができる。
【0026】
このような構体22は、構体22が連結される台枠23ととも車体21を構成する車両構体であって、台枠23が台車に連結されているので、車両の走行に伴って台車などにおいて発生する振動が、台枠23、連結部材33を経て、構体22の連結部24に伝達される。この連結部24に伝わった振動は、各面板25,26に伝達されるけれども、上述のように連結部付近の各面板25,26間には、制振材27が設けられているので、この領域の面板25,26の振動が抑制される。したがって台枠23から構体22に振動が伝達されても、振動が伝達されるのは連結部付近までであり、構体22の大きな領域において、具体的には連結部おび連結部付近を除く、各面板25,26間にコア28が設けられる領域において、各面板25,26の振動が小さくなり各面板25,26の振動が騒音の発生源となることを防ぐことができる。
【0027】
このように構体22を構成するためのサンドイッチパネル29の内部に制振材27を設けて騒音の発生を防止する防音構造20としているので、構体22を23に連結するだけで防音構造20も実現される。したがって施工作業は、容易でありかつ手間を少なくできる。また制振材27は、コア28と同様にして面板間に設ければよく、構体の製造は、制振材27を設けないパネルを用いる構体を製造する作業とほぼ同様であって、構体22は容易に製造することができ、防音構造を実現した構体を製造するためのコストを低減できる。さらに別途の部材を設ける必要がないので、全体の重量を小さくすることができる。
【0028】
このように鉄道車両の走行に伴って構体22が振動して騒音を発生することを防止することができる。具体的には、車体21を構成する構体22の車内空間31側に臨む面板25の連結部付近を除く領域の部分に、台枠23から振動が伝達されることを防ぐことができる。これによって鉄道車両の走行に伴って台枠23に振動が伝達されても、構体22が車内空間31の騒音の発生源となることを防ぐことができる。したがって騒音の小さい良好な環境の車内空間31を形成することができる。また構体22の車内空間31側の表面は、面板によって形成されるので、外観上の見栄えは良好であって、別途に表面材などを設けなくてもよい。構体の車内空間側表面には、吸音材および表面材などを設けなくてもよく、これらの部材を別途に設けることによって車内空間が小さくなってしまうことを防ぐことができ、車内騒音を小さくしたうえで可及的に大きな車内空間を形成することができる。
【0029】
また各面板25,26は、連結部24付近において、外部空間30側の面板26が、サンドイッチパネル29の延在面に沿って延び、内部空間31側の面板25が、サンドイッチパネル29の延在面に対して傾斜して延びているので、サンドイッチパネル29の延在面に投影した制振材27の配置領域Sが小さくても、車内空間31側の面板25への制振材27接触領域(距離L2の領域)を大きくすることができる。これによって制振材27が設けられる領域Sが大きくなることによる強度低下および重量増加を防止し、かつ車内騒音の発生源となる面板25の振動を大きく抑制することができる。
【0030】
さらに制振材27が上述のような材料から成るので、面板25,26に伝わる振動のうち中高周波数域の振動をより確実に抑制し、減衰させて小さくすることができる。また距離L2の2倍波長を有する周波数付近の振動をより確実に制振できる。この距離L2を、台枠から面板25,26に伝わる各周波数の振動成分のうち、最も騒音の原因としての寄与が大きい、周波数の振動の波長の2分の1とすることによって、最も騒音の原因となる周波数付近の振動を小さく抑えることができ、防音効果を高くすることができる。
【0031】
図3は、本発明の実施の他の形態の防音構造20Aを示す斜視図である。防音構造20Aは、上述の図1および図2に示す防音構造20と類似しており、対応する構成に同一数字に「A」を添えた符号を付し、異なる構成についてだけ説明し、同様の構成については説明を省略する。防音構造20Aが採用される構体22Aは、宇宙機の外壁を構成するための構体であって、サンドイッチパネル29Aと太陽電池パネル50とによって構成される。サンドイッチパネル29Aは、上述の形態と同様の材料から成る各面板25A,26Aが、周縁部で相互に積層されて、一体に形成され、連結部24Aが全周に延びて形成されている。各面板25A,26Aは、連結部24Aに連なって相互に拡開して間隔をあけるように構成されている。このような連結部付近において全周にわたって、各面板25A,26A間に制振材27Aが設けられ、さらに制振材27Aに囲まれた領域において、各面板25A,26A間にコア28Aが設けられる。制振材27Aおよびコア28Aの材質は、上述の形態とそれぞれ同一である。
【0032】
このようなサンドイッチパネル29Aの一方の面板26Aは、中央部において他方の面板25A側に凹に形成され、これによってサンドイッチパネル29Aに凹所が形成される。この凹所に、複数の太陽電池を有する太陽電池パネル50が嵌込まれて設けられる。この構体22Aは、図示しない宇宙機の機体などに、上述の形態と同様にして、連結部24Aで連結され、外壁を形成して宇宙機の内部空間を形成する。太陽電池パネル50が外部空間側に臨んでおり、宇宙機内で必要とされる電力を作り出すことができる。
【0033】
この実施の形態においても、構体22Aに、構体が連結される機体などから振動が伝達されても、各面板25A,26Aが中央部分の大きな領域の部分で振動することを防ぐことができる。これによって面板25Aが宇宙機の内部空間内の騒音の発生源となることを防ぐことができる。このように防音効果を達成したうえで、上述の形態と同様に、製造を容易にしてコストを小さくできるうえ、宇宙機内の空間を大きくすることができる。また面板26Aの振動を抑制することによって、太陽電池パネル50が振動することを防止し、太陽電池パネル50の損傷防止に寄与することができる。
【0034】
上述の実施の形態は、本発明の実施の例に過ぎず、本発明の範囲内で構成を変更することができる。たとえば鉄道車両に代えて、他の車両の外壁を形成するための構体に実施するようにしてもよい。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、構造体に連結される構体は、繊維強化合成樹脂材料から成る2つの面板間に、多数の空隙を有するコアが設けられるサンドイッチパネルを用いて構成され、軽量かつ高剛性の構体を得ることができる。この構体の構造体に連結される連結部付近では、2つの面板間に制振材が設けられており、各面板の連結部付近の部分が振動することを抑制することができる。これによって連結部から、各面板の連結部付近の部分を介して、各面板の連結部付近を除く領域の部分に振動が伝達されることを防ぐことができる。したがって構造体から構体に振動が伝達されても、振動が伝達されるのは連結部付近までであり、構体の大きな領域において、各面板の振動が小さくなり各面板の振動が騒音の発生源となることを防ぐことができる。
【0036】
このように構体を構成するためのサンドイッチパネルの内部に制振材を設けて騒音の発生を防止する防音構造としているので、構体を構造体に連結するだけで防音構造も実現される。したがって施工作業は、たとえば吸音材を別途に設けるなどの困難かつ手間を要する作業を必要とせず、容易でかつ手間を少なくできる。また制振材は、コアと同様にして面板間に設ければよく、構体の製造は、制振材を設けないパネルを用いる構体を製造する作業とほぼ同様であって、構体は容易に製造することができ、製造コストを低減できる。さらに別途の部材を設ける必要がないので、全体の重量を小さくすることができる。さらに制振材が、連結部付近にだけ設けられ、制振材の設けられる領域を小さくし、制振材の設けられる領域が大きくなることによる強度低下および重量増加を防止することができる。
また本発明によれば、2つの面板が相互に貼り合わされ一体に形成される。このようにして各面板の端部によって連結部が形成される。このように貼り合わされる2つの面板が分岐する位置から、パネル内側の面に沿って連結部から遠ざかる方向に、制振すべき面板の振動の波長の2分の1程度の位置まで、制振材が設けられる。これによって面板の振動に対する制振特性を向上することができる。
また本発明によれば、車体を構成する構体の車内空間側に臨む面板の連結部付近を除く領域の部分に、台枠から振動が伝達されることを防ぐことができる。これによって鉄道車両の走行に伴って台枠に振動が伝達されても、構体が車内空間の騒音の発生源となることを防ぐことができる。したがって騒音の小さい良好な環境の車内空間を形成することができる。また構体の車内空間側の表面は、面板によって形成されるので、外観上の見栄えは良好であって、別途に表面材などを設けなくてもよい。構体の車内空間側表面には、吸音材および表面材などを設けなくてもよく、これらの部材を別途に設けることによって車内空間が小さくなってしまうことを防ぐことができ、車内騒音を小さくしたうえで可及的に大きな車内空間を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態のサンドイッチパネルを用いた構体の防音構造20を示す断面図である。
【図2】防音構造20が採用される鉄道車両の車体21の一部を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の他の形態のサンドイッチパネルを用いた構体の防音構造20Aを示す断面図である。
【図4】従来の技術の構体の防音構造1を示す断面図である。
【図5】他の従来の技術の防音パネル11を示す断面図である。
【符号の説明】
20 防音構造
21 車体
22,22A 構体
23 台枠
24,24A 連結部
25,26;25A,26A 面板
27;27A 制振材
28;28A コア
30 外部空間
31 車内空間
Claims (3)
- 予め定める構造体に、連結部で連結される構体の防音構造であって、
構体は、繊維強化合成樹脂材料から成る2つの面板間に、前記連結部付近にだけ、制振材が設けられ、連結部付近を除く領域では、多数の空隙を有するコアが設けられるサンドイッチパネルを用いて構成されることを特徴とするサンドイッチパネルを用いた構体の防音構造。 - 前記サンドイッチパネルの2つの面板は、前記構体に近接して配置される端部で相互に貼り合わされるようにして一体に形成され、この端部によって連結部が形成され、
前記制振材は、2つの面板が分岐する位置から、パネル内側の面に沿って連結部から遠ざかる方向に、制振すべき面板の振動の波長の2分の1程度の位置まで設けられることを特徴とする請求項1記載のサンドイッチパネルを用いた防音構造。 - 前記予め定める構造体は、鉄道車両の車体を構成する台枠であり、
前記構体は、台枠に連結されて台枠とともに車体を構成する構体であることを特徴とする請求項1記載のサンドイッチパネルを用いた構体の防音構造。
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