JP3563139B2 - ガス放出防止器 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、LPガス等のガスボンベのバルブ出口に取り付けられ、大規模地震や豪雪、台風によるガス容器の転倒をはじめとする種々の衝撃などによってガス供給設備の破損事故が発生した場合に、そのガス流路を遮断し、ガス容器からのガス放出を阻止して災害を防止するガス放出防止器に関し、特にその作動状態を外部から目視することができるガス放出防止器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のガス放出防止器として、出願人はすでに図2に示すものを出願している(実願平1−54050号参照)。
【0003】
上記出願に開示したガス放出防止器Aは、ガスを流入口1aから流出口1bに流通させるガス流通孔1cを形成した防止器本体1と、ガス流通孔1c内でこの軸線方向に摺動可能に設けてガス流通孔1cを遮断する円筒状の主弁2と、ガス流通孔1c内に装填して主弁2を流入口1a側に付勢するスプリング3と、ガス流通孔1c内の流出口1b側でスプリング3を受けかつ上記軸線方向に摺動可能に設けた円筒状の摺動部材4と、流出口1b側の摺動部材4の端部を受けかつ上記軸線方向と直交する方向に摺動する調圧部材5と、この調圧部材5を上記軸線と直交しかつ防止器本体1の外部からガス流通孔1cに向けて弾発する圧縮コイルバネ6と、前記ガス流通孔1cに流出口1b側から流入口1a側へのガスの逆流を防ぐ逆止弁10とを具備した構成となっている。
【0004】
上記のような構成においては、冬季などのようにガス供給圧力が小さくしかも使用量が少なくてガス放出量が少ないときには、主弁2の下流側のガス流通孔1c内のガス圧力が低いので、調圧部材5の受ける圧力は小さい。したがって、圧縮コイルバネ6の変位量が小さく、調圧部材5は下がらない(図2参照)。したがって、摺動部材4は右側に最大限変位した状態でスプリング3を付勢する。すなわち、主弁2が流入口側(右側)に付勢されているので、主弁2は流出口1b側には変位せず、ガス流通孔1cを遮断しない。ただ、異常時にはガス放出量が多くなり、主弁2の上流側よりも下流側のガス流通孔1c内の圧力が急激に下がるので、主弁2の前後で差圧が生じ、主弁2がスプリング3の付勢力に抗して流出口1b側に移動し、ガス流通孔1cを遮断する。
【0005】
また、夏季の場合のようにガス供給圧力が高くてガス放出量も多くしかもガス流通孔1c内の圧力が高い場合、調圧部材5は押し下げられた状態となる。この場合には摺動部材4は左よりに変位し、スプリング3も伸びきった状態となる。したがって、異常にガス放出量が多くなると、主弁2の前後で差圧が発生し、スプリング3の付勢力に抗して主弁2が左側に移動し、ガス流通孔1cを遮断する。
【0006】
このように、上記構成のガス放出防止器Aによれば、ガス供給圧力が低くてガス放出量が少ない場合や、逆にガス供給圧力が高くなって放出量が多い場合でも、異常時にはガス流通孔を遮断することができるという特長がある。
【0007】
ところで、このようなガス放出防止器は、図3に示すように、その流入口1a側がガスボンベ30のバルブ出口30aに取り付けられるとともに、その流出口1b側が配管31に取り付けられている。この配管31には圧力調整器32とガスメータ33とが取り付けられ、使用場所に供給されるようになっている。
【0008】
図3に示すように、複数のガスボンベ30を1本の配管31で結び、この配管31からガス使用場所にガスを供給する場合、実際にはガスボンベ30ごとにボンベ内の内圧が異なっている。そこで、このような場合にガスを使用すると、各ボンベ30の内圧にそれほど差がなければ問題はないが、ボンベ30ごとに内圧に極端な差があると、ガスは使用場所に流れるのではなく、高圧側のボンベ30から低圧側のボンベ30に逆流してしまう(図2中の矢印)。すると高圧側のボンベ30からは、望まれるガス放出量よりも過大なガスが放出されるために、ガス放出防止器が誤動作してガス流通孔1cを遮断してしまうという問題がある。
【0009】
そこで、前記逆止弁10を設けて、ガスボンベ30内の圧力がそれぞれ異なっていることに起因するガスの逆流を防止して誤動作を防止している。すなわち、ガスの供給が開始されると、高圧のガスボンベ30から供給先にガスが供給されるとともに、他の低圧のガスボンベ30にガスが流れ込もうとする。これにより、高圧のガスボンベ30は、供給先でのガスの使用量よりもガス放出量が大となろうとする。しかし、低圧側のガスボンベ30には、逆止弁10が設けられているので、ガスは低圧側のガスボンベ30には逆流しない。したがって、高圧のガスボンベ30からは、通常のガス使用量よりも過大な量は放出されないことになり、高圧側のガスボンベ30の放出防止器は動作せず、ガス流通孔1cを遮断しない。また通常のガス使用時には、逆止弁10は常に開いているのでガスの放出に支障をきたすことはない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記ガス放出防止器では、前記主弁2がガス流通孔1cの遮断状態にあるか、ガス流通孔1cの開放状態にあるかどうかは、外部から認識することができないという問題がある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、主弁の作動状態を外部から目視することができるガス放出防止器を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、逆止弁と主弁との間のガス流通孔に臨んで、該ガス流通孔内の圧力に進退して外部から目視可能なピストンを設け、前記ピストンを覆う透明なカバーを設けたことを特徴とする。
【0013】
【作用】
ガスが前記ガス流通孔内を流入口から主弁を介して流出口に向けてガスが流れている場合には、ガス流通孔内の圧力は所定の値となるので、前記ピストンは突出する方向に移動し、この突出を外部から目視することにより、主弁がガス流通孔を開放状態としていることを検知することができる。一方、主弁が流入口を遮断した場合には、ガスはガス流通孔内を流れないので、ガス流通孔内の圧力はほぼ0に低下し、これにより、前記ピストンは退入する方向に移動し、この退入を外部から目視することにより、主弁がガス流通孔を遮断していることを検知することができる。
【0014】
【実施例】
図1は、本発明の一実施例を示すもので、従来例を示す図2と同一構成および構成が若干異なっても同一機能を有するものについては同一符号を付して説明を省略する。
【0015】
流入口1a側のガス流通孔1cには、円筒状の主弁ガイド2aが嵌合されている。この主弁ガイド2aには、主弁ガイド2aの上流側と下流側とを連通させる連通孔2bが設けられている。また、主弁ガイド2aの内側には、主弁2が嵌合されている。符号2cはガスを連通させる孔である。
【0016】
調圧部材5は、従来例と同様であり、摺動部材4の後端部と接する部分は、断面図において凹曲部5aに形成されている。
【0017】
また、この実施例では弾発部材として、小さいバネ定数を持つ圧縮コイルバネ6aと、この圧縮コイルバネ6aよりも大きなバネ定数を持つ圧縮コイルバネ6bが用いられている。これら圧縮コイルバネ6a・6bは、調圧部材5を下から弾発するように防止器本体1の外周に取り付けられたケース8内で、軸線を共用しかつ弱い圧縮コイルバネ6aの外側に強い圧縮コイルバネ6bを離間させて収容されている。すなわち、両者の圧縮コイルバネ6a・6bは、互いに縁が切られており、しかも図1の状態では、弱い圧縮コイルバネ6aの下端は、調圧部材5の上端に当接されているが、強い圧縮コイルバネ6bの下端は、調圧部材5の上端に接触していないように設定されている。強い圧縮コイルバネ6bの下端と、調圧部材5の上端との離間距離Lは、後述するように、弱い圧縮コイルバネ6aの動作点が安全基準の動作点よりも徐々に下がる位置で、強い圧縮コイルバネ6bが動作する位置に設定される。符号5Bはテフロン(登録商標)加工を施したOリングである。
【0018】
流出口1b側のガス流通孔1cには、流出口1b側から流入口1a側へのガスの逆流を防止する逆止弁10がガス流通孔1cの軸線方向に摺動可能に設けられている。この逆止弁10は、有底円筒状のもので、中空の大径部10aと、やはり中空の小径部10bと、底板部10cとからなっている。小径部10bには、ガスを逆止弁10の上流側と下流側とに連通させる連通孔10dが設けられている。底板部10cの外周には、Oリング10eが嵌められている。このOリング10eは、流出口1bからガスが逆流して逆止弁10を流入口1a側に移動したときに、その差圧によってガス流通孔1cの拡径部1c1の段部に当接してガスを遮断する構成になっている。なお、符号11は逆止弁10の抜け止め用止め輪である。この止め輪11は、ガス流通孔1cの拡径部1c2に嵌め込まれている。
【0019】
さらに、前記主弁2と逆止弁10との間の放出器本体1には、これらの間に位置するガス流通孔1cに連通する貫通孔12が形成されている。この貫通孔12内にはピストン13が進退可能に挿入されている。このピストン13の内端側にはフランジ13aが形成されており、このフランジ13aには、前記貫通孔12の気密性を保持するためのOリング14が取り付けられている。また、前記ピストン13は青色に着色されている。前記貫通孔12の外側開口部には、前記ピストン13をガイドする筒状の蓋体15が取り付けられており、この蓋体15とピストン13のフランジ13aとの間に、ピストン13を退入方向に付勢す圧縮るコイルスプリング16が取り付けられている。また、前記蓋体15の外面には、透明なプラスチック製のカバー17が気密性を保って固定されている。
【0020】
次に、本実施例のガス放出防止器の作用について説明する。
【0021】
上記のような構成においては、冬季などのようにガス供給圧力が小さくしかも使用量が少なくてガス放出量が少ないときには、主弁2の下流側のガス流通孔1c内のガス圧力が低いので、調圧部材5の受ける圧力は小さい。したがって、圧縮コイルバネ6の変位量が小さく、調圧部材5は下がらない。したがって、摺動部材4は右側に最大限変位した状態でスプリング3を付勢する。すなわち、主弁2が流入口側(右側)に付勢されているので、主弁2は流出口1b側には変位せず、ガス流通孔1cを遮断しない。ただ、異常時にはガス放出量が多くなり、主弁2の上流側よりも下流側のガス流通孔1c内の圧力が急激に下がるので、主弁2の前後で差圧が生じ、主弁2がスプリング3の付勢力に抗して流出口1b側に移動し、ガス流通孔1cを遮断する。
【0022】
また、夏季の場合のようにガス供給圧力が高くてガス放出量も多くしかもガス流通孔1c内の圧力が高い場合、調圧部材5は押し下げられた状態となる。この場合には摺動部材4は左よりに変位し、スプリング3も伸びきった状態となる。したがって、異常にガス放出量が多くなると、主弁2の前後で差圧が発生し、スプリング3の付勢力に抗して主弁2が左側に移動し、ガス流通孔1cを遮断する。
【0023】
このように、上記構成のガス放出防止器Aによれば、ガス供給圧力が低くてガス放出量が少ない場合や、逆にガス供給圧力が高くなって放出量が多い場合でも、異常時にはガス流通孔を遮断することができる。
【0024】
ここで、複数のガスボンベ30のうち、一つの内圧が高圧となって、他の内圧が低圧となっている場合を考える。この場合、ガスの供給が開始されると、高圧のガスボンベから供給先にガスが供給されるとともに、他の低圧のガスボンベにガスが流れ込もうとする。すなわち、高圧のガスボンベ30は、供給先でのガスの使用量よりもガス放出量が大となろうとする。しかし、低圧側のガスボンベ30には、逆止弁10が設けられているので、ガスは低圧側のガスボンベ30には逆流しない。したがって、高圧のガスボンベ30からは、通常のガス使用量よりも過大な量は放出されないことになり、高圧側のガスボンベ30の放出防止器は動作せず、ガス流通孔1cを遮断しない。
【0025】
また、ガスが前記ガス流通孔1c内を流入口1aから主弁2を介して流出口1bに向けてガスが流れている場合には、ガス流通孔1内の圧力は所定の値となるので、前記ピストン13は突出する方向に移動し、この突出を外部から目視することにより、主弁がガス流通孔を開放状態としていることを検知することができる。なお、カバー17を透明なプラスチックで形成するとともに、ピストン13を青色に着色したので、ピストン13の突出を外部からきわめて容易に目視により認識することができる。
【0026】
一方、主弁2が流入口1aを遮断した場合には、ガスはガス流通孔1c内を流れないので、ガス流通孔1c内の圧力はほぼ0に低下し、これにより、前記ピストン13は退入する方向に移動し、この退入を外部から目視することにより、主弁2がガス流通孔1cを遮断していることを検知することができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明のガス放出防止器によれば、逆止弁と主弁との間のガス流通孔に臨んで、該ガス流通孔内の圧力により進退するピストン設けたので、ピストンの進退状態を目視することにより、主弁の作動状態を外部から簡単にかつ確実に目視で確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すガス放出防止器の断面図である。
【図2】従来例のガス放出防止器の断面図である。
【図3】従来例の複数のガスボンベを用いた場合の概念図である。
【符号の説明】
1 防止器本体
1a 流入口
1b 流出口
1c ガス流通孔
2 主弁
3 付勢部材
4 摺動部材
5 調圧部材
6a・6b 弾発部材
10 逆止弁
13 ピストン

Claims (1)

  1. ガスを流入口から流出口に流通させるガス流通孔を形成した防止器本体と、ガス流通孔内でこの軸線方向に摺動可能に設けてガス流通孔を遮断する主弁と、ガス流通孔内に装填して主弁を流入口側に付勢する付勢部材と、ガス流通孔内の流出口側で付勢部材を受け上記軸線方向に摺動可能に設けられた摺動部材と、流出口側の摺動部材の端部を受けかつ上記軸線方向と直交する方向に摺動する調圧部材と、この調圧部材を上記軸線と直交しかつ防止器本体の外部からガス流通孔に向けて弾発する弾発部材と、前記ガス流通孔に流出口側から流入口側へのガスの逆流を防ぐ逆止弁とを具備し、ガス流通孔内のガス圧力に応じて上記弾発部材を変位させることにより上記軸線と直交する方向に調圧部材を摺動させ、調圧部材の変位に応じて摺動部材を上記軸線方向に変位させることにより付勢部材を介して主弁を変位させてガス流通孔を遮断するようにしたガス放出防止器であって、
    前記逆止弁と主弁との間のガス流通孔に臨んで、該ガス流通孔内の圧力により進退して外部から目視可能なピストンを設け、
    前記ピストンを覆う透明なカバーを設けたことを特徴とするガス放出防止器。
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