JP3562256B2 - フライホイール型エネルギ蓄積装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両においてフライホイールに運動エネルギを蓄積させるとともに、その蓄積された運動エネルギを必要に応じて発電機により電気エネルギに変換して出力するフライホイール型エネルギ蓄積装置に関するものであり、特に、車両においてフライホイールを支持する技術の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記フライホイール型エネルギ蓄積装置の従来技術がいくつか存在する。
第1の従来技術は、軸受を介してフライホイールをそれのスピン軸線回りに回転可能に支持するフライホイール支持体を車体に固定し、それにより、フライホイール支持体の車体に対する相対角の変化を阻止するものである。
第2の従来技術は、フライホイール支持体を車体にスプリングにより弾性的に支持させ、それにより、フライホイール支持体の車体に対する相対角の変化を許容するものである。
すなわち、第1の従来技術は、フライホイール支持体を剛な状態で支持する技術であり、これに対して、第2の従来技術は、フライホイール支持体を軟な状態で支持する技術なのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段,作用および発明の効果】
しかしながら、いずれの従来技術にもいくつかの問題があった。
第1の従来技術においては、フライホイール支持体が車体に固定されているため、フライホイールの回転中に車両の挙動が変化してフライホイールのスピン軸線が傾くと、フライホイールにジャイロ効果が発生してしまうという問題があった。
【0004】
ここに、「ジャイロ効果」とは、フライホイールにそれのスピン軸線を傾ける外力が作用すると、その外力に対抗するようにモーメントがフライホイールに発生する現象をいい、この現象は、フライホイールの角運動量を保存しようとするために生じるものである。このジャイロ効果に基づくモーメントは、スピン軸線を傾ける際にそのスピン軸線が軌跡として描く一平面と直角な一平面内においてスピン軸線を傾けるモーメントとしてフライホイールに発生する。
【0005】
また、この「ジャイロ効果」は、車両のすべての挙動変化によって発生するわけではなく、例えばスピン軸線が垂直に立てられている場合には、車両の強い旋回によって車体にローリングが発生する場合や、強い加減速によって車体にピッチングが発生する場合や、車両走行中に車両に作用する外乱、例えば路面凹凸,路面突起等によって車体にローリングやピッチングが発生する場合に、フライホイールにジャイロ効果が発生することになる。
【0006】
そのため、この第1の従来技術には、フライホイールのジャイロ効果に基づいてフライホイール支持体にモーメントが発生し、そのモーメントが原因となって、軸受がフライホイールから受ける荷重が増加してしまうという問題があった。
【0007】
なお、軸受がフライホイールから受ける荷重には、フライホイールのジャイロ効果に基づく荷重の他に、車両の並進運動(前後運動,上下運動および左右運動)時に発生するものも存在する。しかし、この並進運動時に発生する荷重は、ジャイロ効果に基づいて発生する荷重に比較して小さいのが普通である。
【0008】
このような荷重増加にもかかわらず軸受が正常にフライホイールを支持可能とするためには、軸受の大形化によって軸受の支持剛性を向上させなければならない。ここに、軸受の大形化は一般に、フライホイール型エネルギ蓄積装置の大形化および重量増加を招くとともに、軸受の摺動抵抗が増加し、フライホイールの回転抵抗も増加して、フライホイールの運動エネルギの損失量が増加するという事態も招く。そのため、この第1の従来技術には、さらに、フライホイール型エネルギ蓄積装置の大形化および重量増加という問題と、フライホイールの運動エネルギの損失量増加という問題もあった。
【0009】
また、この第1の従来技術においては、フライホイール支持体が車両に固定されているため、ジャイロ効果に基づくモーメントがフライホイール支持体に発生すると、そのモーメントが車両に伝達されてしまう。そのため、この第1の従来技術には、さらに、ジャイロ効果によって車両の挙動が変化してしまうという問題もあった。
【0010】
これに対して、第2の従来技術においては、フライホイール支持体が車両に固定されてはいないため、第1の従来技術におけるとは異なり、ジャイロ効果に基づくモーメントがフライホイールに発生しない。そのため、軸受がフライホイールから受ける荷重が増加してしまうことはなく、また、ジャイロ効果によって車両の挙動が変化してしまうこともない。
【0011】
しかしながら、この第2の従来技術においては、車両の挙動変化により、フライホイールすなわちフライホイール支持体の固定部材に対する相対角が著しく増加する。ここに、相対角の増加は一般に、フライホイール支持体を干渉しないで収容するハウジングの必要性から、フライホイール型エネルギ蓄積装置の大形化および重量増加という事態を招く。また、フライホイール支持体の単純な弾性支持は一般に、フライホイール支持体と車両との共振を回避することが困難であり、そのため、フライホイール支持体の振動増加を招き易い。そのため、この第2の従来技術には、フライホイール型エネルギ蓄積装置の大形化および重量増加という問題と、フライホイール支持体の振動増加という問題があった。
また、フライホイール型エネルギ蓄積装置においては、発電機がフライホイール支持体に共に揺動するように取り付けられ、また、発電機から電線が外部に延びるのが普通である。そのため、上記第2の従来技術においては、相対角の増加という問題により、発電機の電線の取り回しの設計が困難になるという問題もあった。
【0012】
本発明は、以上の事情を背景としてなされたものであり、その課題は、フライホイール支持体をハードウェア的には軟な状態で支持する一方、ソフトウェア的には軟な状態と剛な状態との間の任意の状態で支持可能とすることにより、上記第1の従来技術の問題と第2の従来技術の問題とを一緒に解決し得るフライホイール型エネルギ蓄積装置を得ることにある。
【0013】
この課題は下記態様のフライホイール型エネルギ蓄積装置によって解決される。なお、以下の説明において、本発明の各態様を、それぞれに項番号を付して請求項と同じ形式で記載する。各項に記載の特徴を組み合わせて採用することの可能性を明示するためである。
【0014】
(1) 車両に位置固定に設けられる固定部材と、
自身の慣性により回転し続けることによって運動エネルギを蓄積するフライホイールと、
軸受を介してそのフライホイールをそれのスピン軸線回りに回転可能に支持するフライホイール支持体と、
そのフライホイール支持体と前記固定部材との間に設けられ、フライホイール支持体を前記スピン軸線が空間内において任意の方向を取り得るように固定部材に対して回転可能に支持する支持機構と、
前記フライホイールとフライホイール支持体との間に設けられ、フライホイールの回転により回転させられることにより、電気エネルギを発生させる発電機と
を含み、フライホイールに蓄積された運動エネルギを必要に応じて電気エネルギに変換して出力するフライホイール型エネルギ蓄積装置において、
前記車両の挙動を変化させるために車両に関して行われる操作を表す情報と、その操作を生じさせる原因である物理量を表す情報との少なくとも一方を含む情報に基づき、前記支持機構による前記フライホイール支持体の支持状態を、前記軸受が前記フライホイールから受ける荷重と、フライホイールの前記固定部材に対する相対角とがいずれも各目標状態となるように制御する支持状態制御装置を設けたことを特徴とするフライホイール型エネルギ蓄積装置(請求項1)。
この装置においては、フライホイール支持体が支持機構により軟な状態で支持される一方、その支持状態が支持状態制御装置により、車両の挙動を変化させるために車両に関して行われる操作を表す情報と、その操作を生じさせる原因である物理量を表す情報との少なくとも一方を含む情報に基づいて、軟な状態と剛な状態との間の状態に制御され、それにより、軸受がフライホイールから受ける荷重と、フライホイールの固定部材に対する相対角とがいずれも各目標状態となるようにされる。
したがって、この装置によれば、フライホイール支持体を常に剛な状態で支持する場合に発生する問題、すなわち、ジャイロ効果によって軸受荷重が過大となってしまうという問題の発生が回避されるとともに、フライホイール支持体を常に軟な状態で支持する場合に発生する問題、すなわち、フライホイールの相対角が過大となってしまうという問題の発生が回避されるという効果が得られる。
フライホイール型エネルギ蓄積装置に関連の深い情報として、「車両の挙動に関連する情報」や「フライホイールの挙動に関連する情報」があり、この「車両の挙動に関連する情報」には例えば、車両自体の挙動を表す情報や、車両の挙動を変化させるために車両に関して行われる操作を表す情報や、その操作を生じさせる原因である物理量を表す情報等がある。本発明は、これら「車両の挙動に関連する情報」のうち、車両の挙動を変化させるために車両に関して行われる操作を表す情報と、その操作を生じさせる原因である物理量を表す情報との少なくとも一方に基づいて支持機構によるフライホイール支持体の支持状態を制御することを特徴とするものなのであり、「車両自体の挙動を表す情報」の利用を排除するものではない。ここに、「車両自体の挙動を表す情報」として、車体(ばね上部材)の加速度(前後加速度,左右加速度および上下加速度)や、車輪(ばね下部材)の加速度(前後加速度,左右加速度および上下加速度)や、車体の姿勢角(ピッチ角,ロール角およびヨー角)や、車体の姿勢角の変化速度である姿勢角速度(ピッチレート,ロールレートおよびヨーレート)があり、また、「車両の操作を表す情報」として、ステアリング操作量(ステアリング角等)や、アクセル操作量(アクセル角等)や、ブレーキ操作量(ブレーキ操作力,操作ストローク等)がある。なお、車体の走行速度である車速は、車両自体の挙動を表す情報として考えることも、車両の操作を表す情報として考えることもできる。また、「その操作を生じさせる原因である物理量を表す情報」には例えば、車両の現在または将来における路面の状態を表す情報がある。
また、本発明は、前記「フライホイールの挙動に関連する情報」の利用も排除するものではなく、「フライホイールの挙動に関連する情報」には、例えば、フライホイール自体の挙動を表す情報や、フライホイールの軸受に関連する情報等がある。ここに、「フライホイール自体の挙動を表す情報」には例えば、フライホイールすなわちフライホイール支持体の、固定部材すなわち車両に対する相対角や、フライホイールのスピン軸線回りの角速度等があり、「フライホイールの軸受に関連する情報」には、軸受荷重、すなわち、軸受がフライホイールから受ける荷重(力またはモーメント)を表す情報等がある。
また、この装置において「荷重と相対角とがいずれも各目標状態となる」とは、例えば、荷重と相対角とがいずれも各目標値となることを意味する用語として使用したり、荷重と相対角とがそれぞれ変化することが許容される目標範囲内に維持されることを意味する用語として使用したり、荷重と相対角とがそれぞれ超えることが許容されない各限界値を超えないことを意味する用語として使用することができる。また、各目標値,各目標範囲および各限界値は、固定値とすることができるが、可変値とすることもできる。例えば、相対角の目標値を、フライホイール支持体を完全に剛な状態で支持するとフライホイールに強いジャイロ効果が発生することが予想される状態においては、フライホイールのスピン軸線が絶対空間内において固定されるように、車体姿勢角に応じて変化する一方、フライホイール支持体を完全に剛な状態で支持してもフライホイールに強いジャイロ効果が発生しないことが予想される状態においては、0となるように決定することができるのである。
また、この装置において「フライホイール」は、専用のものとして設けたり、発電機のロータとしての機能を兼ねるものとして設けることができる。
また、この装置において「発電機」は、発電機として機能し、フライホイールの運動エネルギを電気エネルギに変換する状態と、モータとして機能し、外部からの電気エネルギをフライホイールの運動エネルギに変換する状態とに切り換わるモータ/発電機として設けることができる。
(2) 前記支持状態制御装置が、(a) 外部からの信号に応じて力を発生させるアクチュエータと、(b) そのアクチュエータと前記支持機構との間にアクチュエータと直列に設けられてアクチュエータにより発生させられた力を支持機構に伝達する直列弾性部材と、(c) 前記アクチュエータに並列に設けられた並列弾性部材とを含む(1) 項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置(請求項2)。
アクチュエータは常に正常であるとは限らず、何らかの理由で故障する場合がある。また、故障には、アクチュエータの可動部が入力信号にかかわらずロックしてしまうモードや、フリーになってしまうモードがある。
これに対して、本項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置においては、アクチュエータの可動部が故障してロックした場合には、直列弾性部材の効果により、固定部材とフライホイール支持体との相対回転が完全に阻止される状態から回避されるため、直列弾性部材が存在しない場合に比較して、軸受荷重の増加が抑制されるという効果が得られる。また、アクチュエータの可動部が故障してフリーとなった場合には、並列弾性部材の効果により、固定部材とフライホイール支持体との相対回転がある程度制限されるため、並列弾性部材が存在しない場合に比較して、フライホイール支持体の相対角の増加が抑制されるという効果も得られる。
また、アクチュエータが非作用状態でフリーとなる形式である場合には、並列弾性部材の効果により、フライホイールの相対角が、アクチュエータの非作用状態でも過大とならずに済むという効果も得られる。
上記フライホイール型エネルギ蓄積装置において「アクチュエータ」は例えば、ロータリ型としたりリニア型とすることができ、また、電気モータとしたり、空圧モータまたは空圧シリンダと空圧制御装置との組合せとしたり、油圧モータまたは油圧シリンダと油圧制御装置との組合せとすることができる。
(3) 前記支持機構が、第1支持軸線回りに前記固定部材と相対回転可能に連結される一方、前記第1支持軸線と交差する第2支持軸線回りに前記フライホイール支持体と相対回転可能に連結された可動部材を含み、前記支持状態制御装置が、(a) 外部からの信号に応じて第1力を発生させる第1アクチュエータと、(b) 外部からの信号に応じて第2力を発生させる第2アクチュエータと、(c) 前記第1アクチュエータにより発生させられた第1力を前記可動部材に伝達し、それにより、前記フライホイール支持体と前記固定部材との、前記第1支持軸線回りの相対回転を制御する第1力伝達機構と、(d) 前記第2アクチュエータにより発生させられた第2力を前記フライホイール支持体に伝達し、それにより、そのフライホイール支持体と前記固定部材との、前記第2支持軸線回りの相対回転を制御する第2力伝達機構とを含む(1) または(2) 項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
(4) 前記第1力伝達機構が、前記第1アクチュエータにより発生させられた第1力を前記可動部材にモーメントとして伝達するものであり、前記第2力伝達機構が、前記第2アクチュエータにより発生させられた第2力を前記フライホイール支持体にモーメントとして伝達するものである(3) 項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
(5) さらに、前記第1アクチュエータと前記可動部材との間に第1アクチュエータと直列に設けられた直列弾性部材と、前記第2アクチュエータと前記フライホイール支持体との間に第2アクチュエータと直列に設けられた直列弾性部材と、前記第1アクチュエータに並列に設けられた並列弾性部材と、前記第2アクチュエータに並列に設けられた並列弾性部材とを含む(3) または(4) 項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
(6) 前記支持状態制御装置が、(a) 前記車両の挙動と前記フライホイールの挙動との少なくとも一方に関連する情報であって、前記車両の挙動を変化させるために車両に関して行われる操作を表す情報と、その操作を生じさせる原因である物理量を表す情報との少なくとも一方を含むものを検出する関連情報センサと、(b) 外部からの信号に応じて力を発生させるアクチュエータと、(c) そのアクチュエータにより発生させられた力を前記支持機構に伝達し、それにより前記支持状態を制御する力伝達機構と、(d) 検出された関連情報に基づいて前記アクチュエータを制御するコントローラとを含む(1) ないし(5) 項のいずれかに記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
(7) 前記関連情報センサが、前記荷重を検出する荷重センサと、前記相対角を検出する相対角センサと、前記フライホイールのスピン軸線回りの角速度を検出する角速度センサとの少なくとも一つを含む(6) 項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
この装置においては、アクチュエータが、荷重と相対角と角速度との少なくとも一つの検出値を考慮して制御される。したがって、この装置によれば、アクチュエータを検出値の考慮なしで一方的に制御する場合に比較して、フライホイール支持状態の制御精度を容易に向上させ得る。
(8) 前記関連情報センサが、(a) 前記荷重を検出する荷重センサと、(b) 前記相対角を検出する相対角センサとを含む(7) 項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
この装置においては、アクチュエータが、荷重と相対角との双方の検出値を考慮して制御される。したがって、この装置によれば、フライホイール支持状態の制御精度を一層容易に向上させ得る。
(9) 前記関連情報センサが、前記フライホイールのスピン軸線回りの角速度を検出する角速度センサを含む(6) 項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
フライホイールに生ずるジャイロ効果は、フライホイールのスピン軸線回りの角速度が大きい場合において小さい場合におけるジャイロ効果より大きい。このように、ジャイロ効果とフライホイールの角速度との間に一定の関係がある。これに対して、この(9) 項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置によれば、フライホイールの角速度を考慮してアクチュエータを制御可能となるため、フライホイール支持状態の制御精度を一層容易に向上させ得る。
(10)前記関連情報センサが、(a) 前記荷重を検出する荷重センサと、(b) 前記相対角を検出する相対角センサと、(c) 前記フライホイールのスピン軸線回りの角速度を検出する角速度センサとを含む(6) 項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
この装置においては、アクチュエータが、荷重と相対角との双方の検出値を考慮して制御されるとともに、フライホイールの角速度をも考慮して制御される。したがって、この装置によれば、フライホイール支持状態の制御精度を一層容易に向上させ得る。
(11)前記関連情報センサが、前記車両の挙動に関連する情報を検出する車両挙動関連情報センサを含む(6) 項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
車両の挙動変化が原因となってフライホイールにジャイロ効果が発生する。これに対して、本項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置においては、アクチュエータが車両挙動を考慮して制御される。したがって、この装置によれば、ジャイロ効果を予測してアクチュエータを制御可能となり、フライホイール支持状態の制御応答性を容易に向上させ得る。
(12)前記関連情報センサが、(a) 前記軸受を検出する荷重センサと、(b) 前記相対角を検出する相対角センサと、(c) 前記車両の挙動に関連する情報を検出する車両挙動関連情報センサとを含む(6) 項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
この装置によれば、フライホイール支持状態の実際が考慮されるとともに、ジャイロ効果を予測してアクチュエータを制御可能となり、フライホイール支持状態の制御精度および制御応答性を容易に向上させ得る。
(13) 記車両挙動関連情報センサが、前記車両の挙動を検出する車両挙動センサを含む(11)または(12)項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
(14) 記車両挙動関連情報センサが、前記車両の操作量を検出する車両操作量センサを含み、前記コントローラが、検出された車両操作量に基づき、前記車両の挙動を推定する車両挙動推定手段を含む(11)または(12)項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
この装置においては、車両操作量に基づいて車両挙動が推定され、その推定車両挙動に基づいてアクチュエータが制御されるため、フライホイール支持状態の制御応答性を容易に向上させ得る。
(15) 記車両挙動関連情報センサが、(a) 前記車両の挙動を検出する車両挙動センサと、(b) 前記車両の操作量を検出する車両操作量センサとを含み、前記コントローラが、(a) 検出された車両操作量に基づき、前記車両の挙動を推定する車両挙動推定手段と、(b) 検出された車両挙動に基づき、推定された車両挙動を修正する推定車両挙動修正手段とを含む(11)または(12)項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
この装置においては、車両操作量に基づいて車両挙動が推定され、その推定車両挙動に基づいてアクチュエータが制御されるため、フライホイール支持状態の制御応答性を容易に向上させ得るとともに、その推定車両挙動が車両の実際挙動に基づいて修正されるため、車両挙動の推定精度が向上する。
(16)前記発電機が、ロータとステータとを備えてモータとして機能する状態と発電機として機能する状態とに切り換わるモータ/発電機であり、前記フライホイールが、前記ロータとして設けられるか、またはそのロータと共に回転可能に設けられた(1) ないし(15)項のいずれかに記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
(17)前記車両が、動力源と車輪とを備えた自動車であり、当該フライホイール型エネルギ蓄積装置が、前記動力源として機能し、前記フライホイールの運動エネルギを直接または間接に前記車輪に伝達することによってその車輪を駆動し、その車輪の運動エネルギを直接または間接にフライホイールに伝達することによってその車輪を制動する(1) ないし(16)項のいずれかに記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
(18)前記自動車が、前記車輪を駆動するために燃焼エネルギと電気エネルギとを併用するハイブリッド自動車であり、当該フライホイール型エネルギ蓄積装置が、電気エネルギの発生源として使用される(17)項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
(19)車両に位置固定に設けられる固定部材と、
自身の慣性により回転し続けることによって運動エネルギを蓄積するフライホイールと、
軸受を介してそのフライホイールをそれのスピン軸線回りに回転可能に支持するフライホイール支持体と、
そのフライホイール支持体と前記固定部材とに設けられ、フライホイール支持体を前記スピン軸線が空間内において任意の方向を取り得るように固定部材に対して回転可能に支持する支持機構と、
前記フライホイールとフライホイール支持体とに設けられ、フライホイールの回転によって回転させられることより、電気エネルギを発生させる発電機と
を含み、フライホイールの運動エネルギを必要に応じて電気エネルギに変換して出力するフライホイール型エネルギ蓄積装置において、
前記支持機構による前記フライホイール支持体の支持状態を制御する支持状態制御装置を設けたことを特徴とするフライホイール型エネルギ蓄積装置。
この装置においては、フライホイール支持体が支持機構により軟な状態で支持される一方、その支持状態が支持状態制御装置により、軟な状態と剛な状態との間の任意の態に制御される。したがって、このフライホイール型エネルギ蓄積装置によれば、前記第1の従来技術の問題と第2の従来技術の問題とを一緒に解決し得る。
(20)前記支持状態制御装置が、前記車両の挙動と前記フライホイールの挙動との少なくとも一方に関連する情報に基づき、前記支持状態を制御するものである(19)項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
この装置によれば、フライホイール支持体の支持状態を、車両の挙動とフライホイールの挙動との少なくとも一方との関係において容易に適正化し得る。
(21)前記支持状態制御装置が、外部からの信号に応じて力を発生させるアクチュエータを駆動源として、前記支持状態を電気的に制御するものである(19)または(20)項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
(22)前記支持状態制御装置が、前記軸受が前記フライホイールから受ける荷重と、フライホイールの前記固定部材に対する相対角とがいずれも各目標状態となるように制御するものである(19)ないし(21)項のいずれかに記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
この装置によれば、フライホイール支持体の支持状態を、荷重と相対角とがいずれも適正となるように容易に適正化し得る。
(23)前記支持状態制御装置が、(a) 外部からの信号に応じて力を発生させるアクチュエータと、(b) そのアクチュエータと前記支持機構との間にアクチュエータと直列に設けられてそのアクチュエータにより発生させられた力を支持機構に伝達する直列弾性部材と、アクチュエータに並列に設けられた並列弾性部材との少なくとも一方とを含む(19)ないし(22)項のいずれかに記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
この装置によれば、少なくとも並列弾性部材を有する態様を採用した場合には、アクチュエータが故障してフリーになっても、フライホイール支持体の相対角が過大にならずに済み、また、少なくとも直列弾性部材を有する態様を採用した場合には、アクチュエータが故障してロックしても、軸受荷重が過大にならずに済む。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のさらに具体的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
本発明の一実施形態であるフライホイール型エネルギ蓄積装置は、車両の一例である電気自動車の一例であるハイブリッド電気自動車において使用される。
【0017】
図1には、そのハイブリッド電気自動車の全体構成が概念的にブロック図で示されている。図には、隣接した2個のブロックを連結する線として白抜きの線と黒い線とが存在するが、白抜きの線は運動エネルギの流れを示し、黒い線は電気エネルギの流れを示している。
【0018】
このハイブリッド電気自動車は、燃焼エネルギによって運動エネルギを発生させる燃焼機関としてのエンジン10と上記フライホイール型エネルギ蓄積装置20とをそれぞれ動力源として備えている。また、このハイブリッド電気自動車は、エンジン10とフライホイール型エネルギ蓄積装置20とが、エンジン10の運動エネルギとフライホイール型エネルギ蓄積装置20の運動エネルギとが電気エネルギという形態に変換された状態で加算されるという意味において直列に接続されたシリーズ型である。また、このハイブリッド電気自動車は、鉛電池21をエンジン10にとっては直列となり、フライホイール型エネルギ蓄積装置20にとっては並列となる状態で備えている。
【0019】
このハイブリッド電気自動車においては、運転中、エンジン10が一定の回転速度で回転させられる。このエンジン10の回転軸には発電機22の回転軸が連結されている。発電機22は、エンジン20の運動エネルギとしてのトルクを電気エネルギとしての交流電流に変換する。この発電機22には変流機24を介して電流制御装置30が接続されている。変流機24は、コンバータとして、発電機22からの交流電流を直流電流に変換して電流制御装置30に供給する。
【0020】
電流制御装置30には変流機32を介して上記フライホイール型エネルギ蓄積装置20が接続されている。変流機32は、インバータとして、電流制御装置30からの直流電流を交流電流に変換してフライホイール型エネルギ蓄積装置20に供給する状態と、コンバータとして、フライホイール型エネルギ蓄積装置20からの交流電流を直流電流に変換して電流制御装置30に供給する状態と切り換えられる。電流制御装置30には鉛電池21も接続されている。鉛電池21はエネルギ蓄積機能を有する点でフライホイール型エネルギ蓄積装置20と共通するが、エネルギを電気エネルギの形で蓄積する点で、運動エネルギの形で蓄積するフライホイール型エネルギ蓄積装置20と相違する。
【0021】
電流制御装置30にはさらに、変流機42を介してモータ/発電機44も接続されている。変流機42は、インバータとして、電流制御装置30からの直流電流を交流電流に変換してモータ/発電機44に供給する状態と、コンバータとして、モータ/発電機44からの交流電流を直流電流に変換して電流制御装置30に供給する状態とに切り換えられる。モータ/発電機44の回転軸には減速ギヤ48を介して車輪50が連結されている。モータ/発電機44は、モータとして機能し、変流機42からの交流電流を運動エネルギに変換する状態と、発電機として機能し、車輪50の運動エネルギを電気エネルギとしての交流電流に変換する状態とに切り換えられる。
【0022】
電流制御装置30は、発電機22とフライホイール型エネルギ蓄積装置20と鉛電池21とモータ/発電機44との間における電流の流れおよび/または量を制御する。
【0023】
このハイブリッド電気自動車においては、図2にグラフで表すように、自動車の加速時には、エンジン10のパワーより大きな正のパワーが車輪50に伝達され、減速時には、負のパワーが車輪50に伝達され、定常走行時には、エンジン10のパワーより小さな正のパワーが車輪50に伝達される。
【0024】
具体的には、加速時には、エンジン10の運動エネルギに応じて発電機22が出力する電気エネルギと、フライホイール型エネルギ蓄積装置20がそれの発電機を利用して出力する電気エネルギとの和がモータ/発電機44に供給され、それにより、結果的に、エンジン10の運動エネルギとフライホイール型エネルギ蓄積装置20の運動エネルギとの和が車輪50に伝達されて車輪50が駆動される。
【0025】
また、減速時には、発電機22からモータ/発電機24への電気エネルギ供給が阻止される一方、モータ/発電機44が発電機として機能し、車輪50の運動エネルギに応じてそのモータ/発電機44から出力される電気エネルギがフライホイール型エネルギ蓄積装置20に供給される。このとき、フライホイール型エネルギ蓄積装置20は、それのモータを利用してその電気エネルギを運動エネルギに変換してフライホイールに蓄積させる。
【0026】
また、定常走行時には、発電機22からの電気エネルギの一部が必要に応じてフライホイール型エネルギ蓄積装置20に供給され、そのフライホイール型エネルギ蓄積装置20は、それのモータを利用してその電気エネルギを運動エネルギに変換してフライホイールに蓄積させる。この定常走行時には、さらに、発電機22からの電気エネルギの別の一部が必要に応じて鉛電池21に供給されて充電が行われ、それにより、鉛電池21に電気エネルギが常に正規の量で蓄積される。
【0027】
電流制御装置30は、そのようなエネルギの伝達・変換が実現されるように発電機22とフライホイール型エネルギ蓄積装置20と鉛電池21とモータ/発電機44との間における電流の流れおよび/または量を制御するのである。
【0028】
フライホイール型エネルギ蓄積装置20は、図3に示すように、固定部材60とフライホイール支持体64と支持機構68と支持状態制御装置70(図8参照)とを含むように構成されている。
【0029】
ところで、絶対空間(慣性系)には、X軸とY軸とZ軸とが互いに直交する座標系が絶対座標系として固定的に設定されている。これに対して、上記ハイブリッド電気自動車には、x軸とy軸とz軸とが互いに直交する座標系が固定的に設定されている。x軸は、車体前後方向に平行に、かつ、前側が正となるように設定されており、y軸は、車体左右方向に平行に、かつ、車体を真上から見た場合に左側となる側が正となるように設定されており、z軸は、車体上下方向に平行に、かつ、上側が正となるように設定されている。図3には、x軸とz軸のみが示され、y軸は図示が省略されている。そのxyz座標系は、ハイブリッド電気自動車と共に移動して絶対座標系との相対位置関係が変化するものであることから、絶対座標系との関係において相対座標系と称することができる。また、それら絶対座標系と相対座標系とは、ハイブリッド電気自動車の姿勢が基準状態にあるときに、互いに対応する軸同士が互いに平行となるように設定されている。
【0030】
図4には、フライホイール支持体64の内部構造が示されている。フライホイール支持体64は、ハウジング74とステータ76とロータ78(フライホイールとして機能する)と軸受80とを含むように構成されている。ステータ76はハウジング74内に位置固定に設けられている。ロータ78はハウジング74内に一軸線回りに回転可能に設けられている。本実施形態においては、ロータ78の回転軸線Lが、フライホイールのスピン軸線とされている。また、本実施形態においては、ステータ76とロータ78とにより、モータとしての機能と発電機としての機能との双方を有するモータ/発電機が構成されている。ロータ78は軸受80により回転可能かつ軸方向移動不能に支持されている。軸受80は、ロータ78からラジアル荷重とスラスト荷重との双方を受ける。
【0031】
図5には、支持機構68が平面図で示されている。支持機構68は、固定部材60とフライホイール支持体64とに設けられ、そのフライホイール支持体64を空間内において任意の方向を取り得るように固定部材60に対して回転可能に支持する。支持機構68は、可動部材84を備えている。この可動部材84は、固定部材60とx軸回りに相対回転可能に連結される一方、フライホイール支持体64とy軸回りに相対回転可能に連結されている。
【0032】
支持機構68は、それらの相対回転を次のような構造によって実現する。
図3および図5に示すように、固定部材60の内面と可動部材84の外面とが、隙間を隔てた同心の部分球面とされている。さらに、固定部材60の内面に、x軸を中心とした一円周に沿って延びる突条86が形成される一方、可動部材84の外面に、x軸を中心とした一円周に沿って延びる環状溝88が形成され、それら突条86と環状溝88とが摺動可能に嵌合されている。それらにより、固定部材60と可動部材84とのx軸回りの相対回転が実現されるのである。同様に、フライホイール支持体64の外面と可動部材84の内面とが、隙間を隔てた同心の部分球面とされている。さらに、フライホイール支持体64の外面に、y軸を中心とした一円周に沿って延びる環状溝92が形成される一方、可動部材84の内面に、y軸を中心とした一円周に沿って延びる突条94が形成され、それら環状溝92と突条94とが摺動可能に嵌合されている。それにより、フライホイール支持体64と可動部材84とのy軸回りの相対回転が実現されるのである。
【0033】
なお、突条86は固定部材60に対して相対変位させられないのに対して、突条94は相対変位させられるため、固定部材60と可動部材84との相対回転軸は常にx軸と一致するのに対して、可動部材84とフライホイール支持体64との相対回転軸は常にy軸と一致するのではなく、可動部材84が図3に示す基準位置にあるときに限り一致する。しかし、説明を簡単にするために、以下の説明においては、可動部材84とフライホイール支持体64との相対回転軸をy軸と称することとする。
【0034】
支持状態制御装置70は、センサとアクチュエータと力伝達機構とコントローラと増幅器とを含むように構成されているが、まず、図6および図7に基づき、アクチュエータと力伝達機構とについて説明し、次に、図8に基づき、センサとコントローラと増幅器とについて説明する。
【0035】
アクチュエータは、外部からの信号に応じて力を発生させるものであり、力伝達機構は、そのアクチュエータにより発生させられた力を支持機構68に伝達するものである。それらアクチュエータおよび力伝達機構は、フライホイール支持体64のx軸相対回転用とy軸相対回転用とについて個々に設けられ、x軸およびy軸アクチュエータとx軸およびy軸力伝達機構とされている。
【0036】
図6には、x軸アクチュエータ100とx軸力伝達機構102とが簡略化されて示されている。x軸アクチュエータ100は、電気モータ(以下、単に「モータ」という。)を主体とし、それのハウジングは固定部材60に固定的に取り付けられている。これに対して、x軸力伝達機構102は、x軸アクチュエータ100の回転軸に共に回転可能に取り付けられたゴム製のローラを主体とし、そのローラはそれの外周面において可動部材84の外面に押し付けられている。したがって、x軸アクチュエータ100の作動により、可動部材84の固定部材60に対するx軸回りの相対回転が制御され、結局、フライホイール支持体64の固定部材60に対するx軸回りの相対回転が制御されることになる。
【0037】
これに対して、図7には、y軸アクチュエータ110とy軸力伝達機構112とが簡略化されて示されている。それらy軸アクチュエータ110およびy軸力伝達機構112は、上述のx軸アクチュエータ110およびx軸力伝達機構102とに準じた構成を有しており、可動部材84に固定的に取り付けられたy軸アクチュエータ110のモータの回転軸にy軸力伝達機構112のローラが取り付けられ、かつ、そのローラがそれの外周面においてフライホイール支持体64の外面に押し付けられている。したがって、y軸アクチュエータ110の作動により、フライホイール支持体64の固定部材60に対するy軸回りの相対回転が制御されることになる。
【0038】
図8には、フライホイール型エネルギ蓄積装置20の電気的構成、すなわち、支持状態制御装置70のセンサ120等とコントローラ200と増幅器210とが示されている。センサ120等は、車両の挙動に関連する情報とフライホイールとしてのロータ78の挙動に関連する情報との双方を検出し、コントローラ200は、各軸アクチュエータ100,110を制御するための信号を出力し、増幅器210は、コントローラ200からの出力信号を増幅して各軸アクチュエータ100,110に出力する。
【0039】
センサ120等には、車両挙動に関連する情報を検出する車両挙動関連情報センサと、ロータ78の挙動に関連する情報を検出するロータ挙動関連情報センサとがある。
【0040】
車両挙動関連情報センサには、車両操作量を検出する車両操作量センサと、車両挙動自体を検出する車両挙動センサとがある。車両操作量センサには、ステアリングセンサ120とアクセルセンサ122とブレーキセンサ124とがある。ステアリングセンサ120は、運転者によるステアリングホイール130の操作状態量(例えば、操作角,操作角速度)を検出し、アクセルセンサ122は、運転者によるアクセルペダル132等、アクセル操作部材の操作状態量(例えば、操作位置,操作速度)を検出し、ブレーキセンサ124は、運転者によるブレーキペダル134等、ブレーキ操作部材の操作状態量(例えば、操作位置,操作速度)を検出する。これに対して、車両挙動センサには、車体加速度センサ140と車体姿勢角速度センサ142とがある。車体加速度センサ140は、車体150の前後加速度,左右加速度および上下加速度を検出する。車体姿勢角速度センサ142は、車体150の姿勢角速度を絶対座標系XYZ上において検出する。検出された姿勢角速度はコントローラ200に供給され、そこで時間積分されることにより、車体150の姿勢角が検出される。具体的には、車体150のX軸回りの姿勢角(回転角)はロール角Θ、Y軸回りの姿勢角(回転角)はピッチ角Θ、Z軸回りの姿勢角(回転角)はヨー角Θとして検出される。
【0041】
これに対して、ロータ挙動関連情報センサには、ロータ姿勢角速度センサ160と軸受荷重センサ162とロータ角速度センサ164とがある。
【0042】
ロータ姿勢角速度センサ160は、ロータ78の回転軸線(フライホイールのスピン軸線)を相対座標系xyz上において検出する。具体的には、ロータ78の回転軸線のx軸回りの回転角を相対角θ、y軸回りの回転角を相対角θ、z軸回りの回転角を相対角θとして検出する。ここで、ロータ78の回転軸線の傾きを相対角θ,θ,θを用いて絶対座標系XYZ上において記述すれば、X軸回りの絶対角Qは、
=θ+Θ
なる式で、Y軸回りの絶対角Qは、
=θ+Θ
なる式で、Z軸回りの絶対角Qは、
=θ+Θ
なる式で記述されることになる。
【0043】
軸受荷重センサ162は、軸受80がロータ78からx軸回りのモーメントとして受ける軸受荷重Mと、y軸回りのモーメントとして受ける軸受荷重Mとを検出する。ロータ角速度センサ164は、ロータ78の回転軸線回りの角速度ωを検出する。
【0044】
以上説明した各種センサ120等はいずれも、コントローラ200の入力側に接続されている。コントローラ200は、CPU230,ROM232およびRAM234を含むコンピュータ240を主体として構成されている。このコントローラ200の出力側は、増幅器210を介してx軸およびy軸アクチュエータ100,110に接続されている。コントローラ200は、各種センサ120等からの信号に基づき、コンピュータ240を作動させることにより、支持機構68によるフライホイール支持体64の支持状態(以下、単に「フライホイール支持状態」という。)を制御する。
【0045】
図9には、フライホイール支持状態の制御原理が概念的に示されており、以下、この図を参照しつつ制御原理を説明するが、それに先立ち、フライホイール支持体64の回転運動を記述する運動方程式を説明する。
【0046】
ロータ78の角速度ωは、固定部材60のヨー角速度すなわち車体150のヨー角速度Θ’に対して十分に大きい。そのため、固定部材60および車体150の慣性モーメントの影響を無視することができる。よって、フライホイール支持体64の回転運動を記述する運動方程式は、X軸回りの回転については、X軸回りの絶対角Qが、
=θ+Θ
なる式で記述されることから、次の式(1) となる。
fxθ”+Cθ’+Gθ+Ifzωθ’=−IfxΘ”−IfzωΘ’+T
これに対して、Y軸回りの回転については、Y軸回りの絶対角Qが、
=θ+Θ
なる式で記述されることから、次の式(2) となる。
fyθ”+Cθ’+Gθ−Ifzωθ’=−IfyΘ”+IfzωΘ’+T
ただし、
θ,θ:フライホイール支持体64のx,y軸回りの相対角
θ’,θ’:θ,θの時間微分値である相対角速度
θ”,θ”:θ’,θ’の時間微分値である相対角加速度
fx,Ify,Ifz:フライホイール支持体64のx,y,z軸回りの慣性モーメント
,C:θ’,θ’により発生する減衰力の減衰係数
,G:θ,θにより発生するばね力の弾性定数
ω:ロータ78の回転軸線回りの角速度
fzω:ロータ78の回転軸線回りの角運動量
,T:各軸アクチュエータ100,110からフライホイール支持体64にx,y軸回りに作用する制御トルク
【0047】
したがって、軸受80がロータ78からx軸回りのモーメントとして受ける軸受荷重Mは、次の式(3) で表される。
=−(Cθ’+Gθ)−Ifzω(θ’+Θ’)+T
また、y軸回りのモーメントとして受ける軸受荷重Mは、次の式(4) で表される。
=−(Cθ’+Gθ)+Ifzω(θ’+Θ’)+T
【0048】
次に、フライホイール支持状態の制御原理を図9を参照しつつ明する。
まず、車両挙動が取得され、その車両挙動に基づき、フライホイール支持体64の目標相対角θ ,θ と目標軸受荷重M ,M とが決定される。ロータ78のジャイロ効果による悪影響が実相対角θ,θと実軸受荷重M,Mとに生じないように決定されるのである。
【0049】
目標相対角θ ,θ および目標軸受荷重M ,M の決定は例えば次のようにして行われる。
目標相対角θ ,θ は、車両挙動としての車体姿勢角Θ,Θに基づいて決定される。一方、車体姿勢角Θ,Θの時間的変化を表す信号の周波数成分のうち高周波数成分は、低周波数成分よりも、ロータ78に強いジャイロ効果を発生させる原因になる。また、相対角θ,θを0とすることは、車体150の挙動変化によってロータ78の傾きが変化してロータ78に強いジャイロ効果が発生する可能性があることを意味する一方、絶対角Q,Qを0とすることは、車体150の挙動変化にもかかわらずロータ78の絶対空間内における傾きが変化せず、ロータ78にジャイロ効果が発生しないことを意味する。したがって、高周波数成分に応じて目標相対角θ ,θ の大きさを変化させれば、高周波数成分が強いときに絶対角Q,Qが0となる傾向が強くなり、車体150の挙動変化にもかかわらずロータ78に強いジャイロ効果が発生しなくなり、一方、低周波数成分が強いとき、すなわち、ロータ78に強いジャイロ効果が発生しないと予想されるときに相対角θ,θに0となる傾向が強くなり、ロータ78が固定部材60に対して大きく傾くことが防止される。
【0050】
以上の知見に基づき、目標相対角θ ,θ は、車体姿勢角Θ,Θの時間的変化を表す信号の高周波成分が表す角度をHPF(Θ),HPF(Θ)で表せば、
θ =−HPF(Θ
θ =−HPF(Θ
として決定される。
【0051】
なお、目標相対角θ ,θ は、それに代えて、またはそれと共に目標相対角速度θ,θを使用することができる。ここに、目標相対角速度θ,θは、目標相対角θ ,θ の場合に準じて、
θ=−HPF(Θ’)
θ=−HPF(Θ’)
として決定される。
【0052】
これに対して、目標軸受荷重M ,M は、
=0
=0
として決定される。
【0053】
以上のようにして目標相対角θと目標軸受荷重Mとが決定されたならば、相対角誤差と軸受荷重誤差とが算出される。ロータ姿勢角速度センサ160の出力信号に基づく検出相対角θxD,θyDと目標相対角θ ,θ との差として相対角誤差が算出され、軸受荷重センサ162による検出軸受荷重MxD,MyDと目標軸受荷重M ,M との差として軸受荷重誤差が算出されるのである。
【0054】
その後、算出された相対角誤差と軸受荷重誤差とに基づいて前記制御トルクT,Tがフィードバック方式で算出される。検出相対角θxD,θyDと検出軸受荷重MxD,MyDとがフィードバックされることによって目標相対角θ ,θ と目標軸受荷重M ,M とが実現されるように制御トルクT,Tがフィードバック制御されるのである。それにより、相対角誤差が0に近づくことと、軸受荷重誤差が0に近づくこととが高いレベルで両立するように制御トルクT,Tの大きさおよび向きが制御される。
【0055】
このフィードバック制御において、フィードバックゲイン、すなわち、相対角誤差および軸受荷重誤差の変化に対する制御トルクT,Tの算出値の変化率を表す値を常に一定とすることは可能である。しかしながら、ロータ78に発生するジャイロ効果は、ロータ角速度ωが大きい場合において小さい場合におけるより大きい。
【0056】
そこで、本実施形態においては、フィードバックゲインがロータ角速度ωが大きい場合において小さい場合におけるより大きくなる可変値とされている。したがって、本実施形態によれば、ロータ角速度ω、すなわち、ロータ78のジャイロ効果の強さとの関係において適正な制御トルクT,Tが算出され、フライホイール支持状態の制御精度が向上するという効果が得られる。
【0057】
制御トルクT,Tの算出は例えば次のようにして行われる。
制御トルクT,Tの算出についてはPI制御が採用され、そのPI制御により、制御トルクTが次の式(5) を用いて算出される。
【0058】
=K(θ −θxD)+K∫(θ −θxD)dt+K(θ −θyD)+K∫(θ −θyD)dt+LθxD+L∫θxDdt+LθyD+L∫θyDdt+K(M −MxD)+K∫(M −MxD)dt+K(M −MyD)+K∫(M −MyD)dt
【0059】
また、制御トルクTは次の式(6) を用いて算出される。
=K(θ −θxD)+K10∫(θ −θxD)dt+K11(θ −θyD)+K12∫(θ −θyD)dt+LθxD+L10∫θxDdt+L11θyD+L12∫θyDdt+K13(M −MxD)+K14∫(M −MxD)dt+K15(M −MyD)+K16∫(M −MyD)dt
【0060】
ただし、
∫( )dt:時間t=0からtまでの区間での積分値
〜K16:フィードバックゲイン
〜L,L〜L12:係数
【0061】
ここに、フィードバックゲインK〜K16は、実験等によりチューニングされた値が使用されるが、固定値ではなく、ロータ角速度ωに応じて変化する可変値とされている。ただし、フィードバックゲインK〜K16は、メモリ容量節約のため、ロータ角速度ωの複数の代表値に対応した複数の離散値としてメモリに記憶されていて、ロータ角速度ωの現在値が検出されたならば、フィードバックゲインK〜K16の今回値が上記複数の離散値を用いて補間により決定される。
【0062】
例えば、ロータ角速度ωの現在値が10,000〔rpm〕と20,000〔rpm〕との間にあるときには、例えば、フィードバックゲインKについては、そのフィードバックゲインKの離散値として、ロータ角速度ωが10,000〔rpm〕であるときに対応する離散値K 10,000 と20,000〔rpm〕であるときに対応する離散値K 20,000 とがメモリから読み出され、
={(K 10,000 −K 20,000 )/(10,000−20,000)}(ω−10,000)+K 10,000
なる補間式を用いて、ロータ角速度ωの現在値に対応するフィードバックゲインKが決定される。
【0063】
なお、制御トルクT,Tは、フィードバック制御理論またはPID制御理論以外の理論を用いて算出することができ、例えば、現代制御理論を用いて算出することができる。
【0064】
ところで、車両挙動は、それ自体をセンサにより検出することによって取得することが可能であるが、センサにより検出することが困難な種類の車両挙動も存在する。また、車両挙動自体をセンサにより検出する場合には、検出値と実際値との間に時間的な遅れが存在するため、目標値の決定精度を十分に向上させることができない可能性がある。
【0065】
そこで、本実施形態においては、車両挙動を変化させる一原因として車両操作量が検出され、その車両操作量に基づいて車両挙動が推定され、その推定車両挙動に基づいて各軸アクチュエータ100,110が制御される。したがって、本実施形態によれば、フライホイール支持状態を素早く制御可能となるという効果が得られる。
【0066】
なお、本実施形態においては、車両挙動を変化させる一原因として車両操作量が検出されるようになっているが、例えば、その車両操作量を発生させる一原因である路面の突起,凹凸状態,左右方向傾斜状態等、路面情報や、当該車両が将来走行すべき道路の屈曲状態,前後方向傾斜状態等、道路情報を検出し、それに基づいて現在の車両挙動または将来の車両挙動を推定し、その車両挙動に基づいて各軸アクチュエータ100,110を制御してもよい。
【0067】
しかし、車両操作量のみに基づいて車両挙動を推定する場合には、その推定精度が低下する可能性がある。
【0068】
そこで、本実施形態においては、車両挙動の実際値もセンサにより検出され、その検出値と推定値との差である車両挙動誤差が0となるように車両挙動の推定特性が適応させられる。したがって、本実施形態によれば、車両挙動を素早くかつ精度よく取得可能となるという効果が得られる。
【0069】
図10には、車両挙動を取得する一手法が示されている。この手法においては、センサにより車両操作量が検出されるとともに、車両への入力と車両からの出力との関係を数式等で表す車両モデルが設定され、その車両モデルの下、センサにより検出された車両操作量に基づいて車両挙動が推定される。一方、センサにより車両挙動が検出され、その検出車両挙動と推定車両挙動との差である車両挙動誤差に応じて適応機構が作動する。推定車両挙動は、修正機構により修正され、その修正機構は、適応機構からの情報と検出車両挙動とに基づいて推定車両挙動を修正する。車両モデルにおける各種パラメータは常に一定とは限らないため、推定車両挙動を実際値に近づくように修正するのである。なお、修正機構は、適応機構からの情報のみに基づいて推定車両挙動を修正する態様とすることが可能であり、検出車両挙動を考慮することは不可欠ではない。
【0070】
これに対して、図11には、車両挙動を取得する別の手法が示されている。この手法においては、センサにより車両操作量が検出されるとともに、車両への入力と車両からの出力との関係を記述する状態方程式により定義されるオブザーバが設けられ、そのオブザーバが、センサにより検出された車両操作量に基づいて作動させられることにより、車両挙動が推定される。一方、センサにより車両挙動が検出され、その検出車両挙動と推定車両挙動との差である車両挙動誤差が0となるように、オブザーバにおける各種パラメータが適応させられる。
【0071】
以上説明した制御原理に基づいてフライホイール支持状態を制御するため、コンピュータのROMに図12にフローチャートで表されているアクチュエータ制御ルーチンが記憶されている。
【0072】
本ルーチンは、車両走行中、繰り返し実行される。各回の実行時にはまず、ステップS1(以下、単に「S1」で表す。)において、前述のようにして、必要なセンサからの信号に基づいて車両挙動が取得される。次に、S2において、前述のようにして、取得された車両挙動に基づき、相対角と軸受荷重とについて目標値が決定される。その後、S3において、前述のようにして、必要なセンサからの信号に基づき、相対角と軸受荷重とロータ角速度とについて検出値が取得される。続いて、S4において、前述のようにして、決定された目標値と取得された検出値とに基づき、各軸アクチュエータ100,110により実現すべき制御トルクが算出され、その後、S5において、算出された制御トルクが実現されるように各軸アクチュエータ100,110が駆動される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0073】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、フライホイール支持体64が完全に剛な状態で支持されるわけではないため、ロータ78のジャイロ効果が原因となってロータ78の軸受荷重が過大となることが防止されるという効果が得られる。
【0074】
図13には、本実施形態の一効果として、振動が車体150からロータ78に伝達される際の振動伝達特性が、フライホイール支持体64をスプリングにより弾性支持する一従来例と対比してグラフで表されている。本実施形態による振動伝達特性は実線グラフで、従来例による振動伝達特性は破線グラフでそれぞれ表されている。また、図の(a) には、車体150にx軸方向に加えられた振動がロータ78にx軸方向に伝達される場合の振動伝達特性が示され、図の(b) には、車体150にy軸方向に加えられた振動がロータ78にx軸方向に伝達される場合の振動伝達特性が示され、図の(c) には、車体150にx軸方向に加えられた振動がロータ78にy軸方向に伝達される場合の振動伝達特性が示され、図(d) には、車体150にy軸方向に加えられた振動がロータ78にy軸方向に伝達される場合の振動伝達特性が示されている。
【0075】
それらグラフから明らかなように、本実施形態によれば、従来例と比較して、振動が車体150からロータ78に伝達され難くなり、ロータ78が共振しし難くなって、ロータ78の防振機能が良好に実現されるという効果が得られる。また、このようにロータ78が効果的に防振されることによっても、軸受荷重Mの過大化が防止されるという効果も得られる。
【0076】
さらに、本実施形態によれば、その軸受荷重の過大化防止という効果に基づき、ロータ78の軸受80の大形化が防止されるという効果や、フライホイール支持体64の大形化および重量増加が防止されるという効果や、ロータ78の回転抵抗の増加によるロータ78の運動エネルギ損失量の増加が防止されるという効果が得られる。
【0077】
さらに、本実施形態によれば、フライホイール支持体64が完全に軟な状態で支持されるわけでもないため、フライホイール支持体64と固定部材60との相対角の過大化が防止されるという効果が得られる。
【0078】
さらに、本実施形態によれば、その相対角の過大化防止という効果に基づき、フライホイール支持体64の傾き量が減少し、フライホイール型エネルギ蓄積装置の大形化および重量増加が防止されるという効果が得られる。
【0079】
図14には、別の実施形態であるフライホイール型エネルギ蓄積装置の機械的構成が示されている。なお、本実施形態は、電気的構成については、先の実施形態と共通であり、機械的構成については、x軸およびy軸力伝達機構のみが異なり、他の要素については共通であるため、各軸力伝達機構のみを詳細に説明し、他の要素については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0080】
フライホイール支持状態を制御するために、先の実施形態においては、x軸およびy軸力伝達機構102,112が、x軸およびy軸アクチュエータ100,110の作動力をローラによって可動部材84およびフライホイール支持体64に伝達する構造とされていたが、本実施形態においては、図14〜図16に示すように、x軸およびy軸力伝達機構300,302が、x軸およびy軸アクチュエータ304,306の作動力をワイヤ310,312によって可動部材84およびフライホイール支持体64に伝達する構造とされている。
【0081】
各軸力伝達機構300,302においては、図14にy軸力伝達機構302のみが代表的に示されているように、各軸アクチュエータ304,306が固定部材60に固定的に取り付けられるとともに、複数個のプーリ320が固定部材60に固定的に取り付けられ、それらプーリ320にワイヤ310,312が巻き掛けられている。各ワイヤ310,312は、各軸アクチュエータ304,306を駆動源とする各軸ワイヤ駆動装置330,332によって正方向と逆方向とに駆動される。すなわち、x軸力伝達機構300は、プーリ320とワイヤ310とx軸ワイヤ駆動装置330とによって構成され、一方、y軸力伝達機構302は、プーリ320とワイヤ312とy軸ワイヤ駆動装置332とによって構成されているのである。
【0082】
図15には、x軸力伝達機構300が断面図で概念的に示されている。ワイヤ310の一端部(図において右側の端部)は、固定部材60をy軸に沿って負の向きに貫通し、固定部材60の内面に到達する。その後、ワイヤ310の一端部は、固定部材60の内面に沿って図において反時計方向に延び、固定部材60に取り付けられたガイド340に巻き掛けられる。続いて、ワイヤ310の一端部は、固定部材60と可動部材84との隙間を通過し、可動部材84の外面に達し、その後、その外面に沿って時計方向に延びて、y軸と一致する位置を超えた位置で固定されている。
【0083】
なお、本実施形態においては、固定部材60と可動部材84との間においてワイヤ310が折れ曲がる部位においてガイド340しか設けられていないが、これは、可動部材84と固定部材60との隙間が実際には極めて狭く、1個のガイド340で十分に機能すると考えられるためである。その機能をさらに高めることが必要である場合には例えば、ワイヤ310が可動部材84の外面において折れ曲がる部位においてワイヤ310を案内する別のガイドを固定部材60に取り付けることができる。
【0084】
これに対して、ワイヤ310の他端部(図において左側の端部)は、ワイヤ310の一端部の場合とz軸に関して対称的に取り回されており、固定部材60,ガイド340および固定部材60と可動部材84との隙間を順に通過して可動部材84に固定されている。
【0085】
したがって、x軸アクチュエータ304の正方向作動が行われれば、ワイヤ310の一端部が固定部材60から引き出される一方、ワイヤ310の他端部が固定部材60内に引き込まれ、それにより、可動部材84が反時計方向に回転させられる。これに対して、x軸アクチュエータ306の逆方向作動が行われれば、上記の場合とは逆に、可動部材84が時計方向に回転させられる。
【0086】
図16には、y軸力伝達機構302が断面図で概念的に示されている。このy軸力伝達機構302はx軸力伝達機構300に準じた構成とされている。ワイヤ312の一端部(図において右側の端部)は、固定部材60,固定部材60と可動部材84との隙間および可動部材84を順にx軸に沿って正の向きに貫通し、可動部材84の内面に到達する。その後、ワイヤ312の一端部は、可動部材84の内面に沿って反時計方向に延び、可動部材84に取り付けられたガイド344に巻き掛けられる。さらに、ワイヤ312の一端部は、可動部材84とフライホイール支持体64との隙間を通過し、フライホイール支持体64の外面に到達し、その外面に沿って時計方向に延びて、x軸と一致する位置を超えた位置で固定されている。ガイド344の個数については、ガイド340の場合と事情は同じである。ワイヤ312の他端部(図において左側の端部)は、ワイヤ312の一端部の場合とz軸に関して対称的に取り回されている。
【0087】
したがって、y軸アクチュエータ306の正方向作動が行われれば、図17に示すように、ワイヤ312の一端部が固定部材60から引き出される一方、ワイヤ312の他端部が固定部材60内に引き込まれ、それにより、フライホイール支持体64が反時計方向に回転させられる。これに対して、y軸アクチュエータ306の逆方向作動が行われれば、上記の場合とは逆に、フライホイール支持体64が時計方向に回転させられる。
【0088】
図18には、x軸アクチュエータ304とx軸ワイヤ駆動装置330とが示されている。
【0089】
x軸アクチュエータ304は、パルスモータ350と減速ギヤ352と直線運動部材354とを含むように構成されている。パルスモータ350は固定部材60に固定的に取り付けられ、そのパルスモータ350の回転軸に小歯車358が取り付けられている。その小歯車358にかみ合う大歯車360が固定部材60に回転可能に取り付けられており、それら小歯車358と大歯車360とによって減速ギヤ352が構成されている。直線運動部材354は、本実施形態においては、大歯車360の外周の一部分として設けられていて、パルスモータ350の回転によって疑似的な直線運動を行わせられる。
【0090】
x軸ワイヤ駆動装置330は、直線運動部材354の運動をワイヤ310の運動に変換する運動変換機構364を備えている。運動変換機構364は、固定部材60に直線運動可能に支持され、直線運動部材354と共に直線運動する駆動ラック366と、固定部材60に回転可能に取り付けられたピニオン368と、固定部材60に直線運動可能に支持され、ワイヤ310と共に直線運動する従動ラック370とを備えている。駆動ラック366と従動ラック370とはいずれれピニオン368にかみ合わせられていて、駆動ラック366の直線運動がピニオン368によって従動ラック370の直線運動に変換される。
【0091】
直線運動部材354は、第1コイルばね374を介して固定部材60と連結される一方、第2コイルばね376を介して駆動ラック366と連結されている。すなわち、第1コイルばね374がx軸アクチュエータ304との関係において並列弾性部材として機能し、第2コイルばね376がx軸アクチュエータ304との関係において直列弾性部材として機能するようになっているのである。図19には、それらx軸アクチュエータ304,第1コイルばね374および第2コイルばね376と、固定部材60と、可動部材84(x軸アクチュエータ304によって駆動される部材)との関係が概念的に示されている。
【0092】
したがって、本実施形態によれば、x軸アクチュエータ304が故障によりフリーになってしまった場合には、第1コイルばね374の効果により、相対角θが過大にならずに済み、また、x軸アクチュエータ304が故障によりロックしてしまった場合には、第2コイルばね376の効果により、可動部材84の支持状態が完全に剛な状態にならずに軸受荷重Mが過大にならずに済む。すなわち、x軸アクチュエータ304の故障に対する救済措置が講じられているのである。
【0093】
また、本実施形態においては、第1コイルばね374の弾性係数が第2コイルばね376の弾性係数より低くされている。したがって、本実施形態によれば、弾性係数が第1コイルばね374と第2コイルばね376とで等しいか、または第1コイルばね374の方が高い場合に比較して、x軸アクチュエータ304が故障によりロックしてしまった場合における相対角の増加量を少なく抑えることが容易になるという効果が得られる。
【0094】
y軸アクチュエータ306およびy軸ワイヤ駆動装置332の構造は、x軸アクチュエータ304およびx軸ワイヤ駆動装置330に準じた構造であるため、文章および図示による説明を省略する。
【0095】
図20には、さらに別の実施形態であるフライホイール型エネルギ蓄積装置の機械的構成が示されている。なお、本実施形態は、電気的構成については、先の二つの実施形態と共通であり、機械的構成については、各軸ワイヤ駆動装置のみが異なり、他の要素については共通であるため、各軸ワイヤ駆動装置のみを詳細に説明し、他の要素については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0096】
図20には、x軸アクチュエータ304とx軸ワイヤ駆動装置400とが示されている。
【0097】
本実施形態においては、ワイヤ310が、図18に示す先の実施形態とは異なり、中間部において二分割され、第1分割端部404(図において右側の端部)が固定部材60に連結される一方、第2分割端部406(図において左側の端部)が直線運動部材354に連結されている。x軸ワイヤ駆動装置400は、直線運動部材354の運動をワイヤ310の運動に変換する運動変換機構として、第1分割端部404の経路の向きを変えるプーリ410と、第2分割端部406の経路の向きを変えるプーリ412とを備えている。それらプーリ410,412はいずれも固定部材60に回転可能に取り付けられている。
【0098】
第1分割端部404は、第1コイルばね420を介して固定部材60に連結されている。また、直線運動部材354は、第2コイルばね422を介して固定部材60に連結されている。また、第2分割端部406は、第3コイルばね424を介してプーリ412に連結されている。第1コイルばね420はx軸アクチュエータ304との関係において直列弾性部材として機能し、第2コイルばね422は並列弾性部材として機能し、第3コイルばね424は直列弾性部材として機能するようになっているのである。図21には、それらx軸アクチュエータ304,第1コイルばね420,第2コイルばね422および第3コイルばね424と固定部材60と可動部材84(x軸アクチュエータ304によって駆動される部材)との関係が概念的に示されている。
【0099】
したがって、本実施形態によれば、x軸アクチュエータ304が故障によりフリーになってしまった場合には、第2コイルばね422の効果により、相対角θが過大にならずに済み、また、x軸アクチュエータ304が故障によりロックしてしまった場合には、第1コイルばね420および第3コイルばね424の効果により、可動部材84の支持状態が完全に剛な状態にならずに軸受荷重Mが過大にならずに済む。すなわち、本実施形態においても、x軸アクチュエータ304の故障に対する救済措置が講じられているのである。
【0100】
y軸アクチュエータおよびy軸ワイヤ駆動装置の構造は、x軸アクチュエータ304およびx軸ワイヤ駆動装置400に準じた構造であるため、文章および図示による説明を省略する。
【0101】
図22および図23には、さらに別の実施形態であるフライホイール型エネルギ蓄積装置の機械的構成が示されている。なお、本実施形態は、電気的構成については、先の二つの実施形態と共通であり、機械的構成については、ワイヤの取り回しのみが異なり、他の要素については共通であるため、ワイヤの取り回しのみを詳細に説明し、他の要素については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略する。なお、各軸アクチュエータおよび各軸ワイヤ駆動装置については、図18に示す構造としたり、図20に示す構造とすることができる。
【0102】
図22には、x軸ワイヤ駆動装置450により駆動されるワイヤ310の取り回しが示されている。ワイヤ310の一端部(図において右側の端部)は、固定部材60および固定部材60と可動部材84との隙間をy軸に沿って負の向きに貫通し、可動部材84の外面に到達した後、固定部材60に取り付けられたガイド452に巻き掛けられ、その後、可動部材84の外面に沿って時計方向に延び、その後、可動部材84に固定されている。これに対して、ワイヤ310の他端部(図において左側の端部)は、ワイヤ310の一端部の場合とz軸に関して対称的に取り回されている。したがって、x軸アクチュエータ304の正方向作動が行われれば、可動部材84が反時計方向に回転させられ、逆方向作動が行われれば、可動部材84が時計方向に回転させられる。
【0103】
これに対して、図23には、y軸ワイヤ駆動装置460により駆動されるワイヤ312の取り回しが示されている。ワイヤ312の一端部(図において右側の端部)は、固定部材60,固定部材60と可動部材84との隙間,可動部材84および可動部材84とフライホイール支持体64との隙間を順にx軸に沿って負の向きに貫通し、フライホイール支持体64の外面に到達した後、可動部材84に取り付けられたガイド462に巻き掛けられ、その後、フライホイール支持体64の外面に沿って時計方向に延び、その後、フライホイール支持体64に固定されている。ワイヤ312の他端部(図において左側の端部)は、ワイヤ312の一端部の場合とz軸に関して対称的に取り回されている。したがって、y軸アクチュエータ306の正方向作動が行われれば、フライホイール支持体64が反時計方向に回転させられ、逆方向作動が行われれば、フライホイール支持体64が時計方向に回転させられる。
【0104】
なお付言すれば、上述のいくつかの実施形態においてワイヤ310,312は、各軸アクチュエータ300,304により発生させられた力を自由な伝達経路を経て可動部材68およびフライホイール支持体64に伝達する力伝達媒体として使用されているが、ワイヤ310,312に代えてベルトを使用したり、チェーンを使用することができる。
【0105】
図24には、さらに別の実施形態であるフライホイール型エネルギ蓄積装置の機械的構成が示されている。なお、本実施形態は、電気的構成については、先の四つの実施形態と共通であり、機械的構成についてのみが異なるため、機械的構成のみを詳細に説明し、電気的構成については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0106】
本実施形態であるフライホイール型エネルギ蓄積装置は、フライホイール支持体500を備えている。フライホイール支持体500は、図25に示すように、ハウジング502を備えており、そのハウジング502内にフライホイール504が収容されている。フライホイール504の両側から一対の回転軸506,507が同軸に延び出させられており、各回転軸506は各軸受508,509を介してハウジング502に回転は許容される軸方向移動は制限された状態で支持されている。各軸受508,509は、フライホイール504のラジアル荷重とスラスト荷重との双方を受ける。
【0107】
フライホイール支持体500は、モータ/発電機510を備えている。モータ/発電機510は、回転軸506に同軸に連結された状態でハウジング502に取り付けられている。モータ/発電機510は、ステータとロータとを有するとともに、モータとして機能することにより、フライホイール504に蓄積された運動エネルギを電気エネルギに変換する状態と、発電機として機能することにより、電気エネルギを運動エネルギに変換してフライホイール504に蓄積する状態とに切り換わる。
【0108】
フライホイール支持体500はまた、フライホイール504がハウジング502内において傾くことがなく、正常に回転する場合には機能しないが、軸受508,509の損傷によってフライホイール504がハウジング502内において傾いたときに機能し、フライホイール504が直接にハウジング502に当接することを防止するとともにフライホイール504がある程度にはスムーズに回転することを保証するフェールセーフ機構514を備えている。そのフェールセーフ機構514は例えば、タッチダウンベアリングである。
【0109】
なお、本実施形態においては、フライホイールとして機能する部材はフライホイール504の他にも存在し、一対の回転軸506,507およびモータ/発電機510のロータもフライホイールとして機能する。
【0110】
図24に示すように、フライホイール型エネルギ蓄積装置は、車体に固定的に取り付けられる固定部材520を備えている。その固定部材520とフライホイール支持体500とは支持機構522により、x軸回りの相対回転可能かつy軸回りの相対回転に互いに連結されている。支持機構522は、可動部材524を備えている。可動部材524は、固定部材520とx軸回りに回転可能に連結されるとともに、フライホイール支持体500とy軸回りに回転可能に連結されている。
【0111】
図26に示すように、支持機構522はさらに、x軸に沿って同軸に延びる第1支持軸528と第2支持軸530とを備えている。第1支持軸528は、x軸方向における一側において、可動部材524を固定部材520に相対回転可能に連結し、一方、第2支持軸530は、x軸方向における他側において、可動部材524を固定部材520に相対回転可能に連結する。各支持軸528,530は、固定部材520の側からその固定部材520に固定の各ブラケット532,534を貫通して可動部材524に到達しており、各ブラケット532,534に取り付けられた各軸受536,538と、可動部材524に取り付けられた各軸受540,542とを介して固定部材520と可動部材524とに支持されている。
【0112】
固定部材520と可動部材524とのx軸相対回転はそのような構造により実現されるが、可動部材524とフライホイール支持体500とのy軸相対回転もそれに準じた構造により実現される。具体的には、図27に示すように、支持機構522が、y軸に沿って同軸に延びる第3支持軸546と第4支持軸548とを備えるとともに、第3支持軸546は、y軸方向における一側において、可動部材524をフライホイール支持体500に相対回転可能に連結し、一方、第4支持軸548は、y軸方向における他側において、可動部材524をフライホイール支持体500に相対回転可能に連結する。各支持軸546,548は、可動部材524の側からその可動部材524を貫通してフライホイール支持体500に到達しており、可動部材524に取り付けられた各軸受550,552と、フライホイール支持体500に取り付けられた各軸受554,556とを介して可動部材524とフライホイール支持体500とに支持されている。
【0113】
図24に示すように、フライホイール型エネルギ蓄積装置はまた、x軸アクチュエータ560とy軸アクチュエータ562とを備えている。
【0114】
x軸アクチュエータ560は、図26に示すように、固定部材520にx軸方向における一側においてx軸と同軸となる姿勢で固定的に取り付けられている。x軸アクチュエータ560は、第1回転軸566を備えているが、その第1回転軸566は前記第1支持軸528と一体的に設けられている。これに対して、y軸アクチュエータ562は、図27に示すように、可動部材524にy軸方向における一側においてy軸と同軸となる姿勢で固定的に取り付けられている。y軸アクチュエータ562は、第2回転軸568を備えているが、その第2回転軸568は前記第3支持軸546と一体的に設けられている。
【0115】
図26に示すように、x軸アクチュエータ560の第1回転軸566と可動部材524とは、第1回転軸566の位置においてそれと同軸に設けられた第1ねじりばね570により互いに連結されている。第1回転軸566と可動部材524との相対回転が抑制され、それにより、x軸アクチュエータ560の作動力が第1ねじりばね570により可動部材524に伝達されるようになっているのである。すなわち、第1ねじりばね570が、x軸力伝達機構を構成しているのである。また、可動部材524と固定部材520とは、第2支持軸530の位置においてそれと同軸に設けられた第2ねじりばね572により互いに連結されている。可動部材524と固定部材520との相対回転が抑制されているのである。すなわち、第1ねじりばね570が、x軸アクチュエータ560との関係において直列弾性部材として機能し、第2ねじりばね572が、並列弾性部材として機能するようになっているのである。
【0116】
x軸相対回転およびx軸アクチュエータ560の作動力伝達はそのような構造により実現されるが、y軸相対回転およびy軸アクチュエータ562の作動力伝達もそれに準じた構造により実現される。
【0117】
すなわち、図27に示すように、y軸アクチュエータ562の第2回転軸568とフライホイール支持体500とは、第2回転軸568の位置においてそれと同軸に設けられた第3ねじりばね574により互いに連結されている。第2回転軸568とフライホイール支持体500との相対回転が抑制され、それにより、y軸アクチュエータ562の作動力が第3ねじりばね574によりフライホイール支持体500に伝達されるようになっているのである。すなわち、第3ねじりばね574が、y軸力伝達機構を構成しているのである。また、可動部材524とフライホイール支持体500とは、第4支持軸548の位置においてそれと同軸に設けられた第4ねじりばね576により互いに連結されている。可動部材524とフライホイール支持体500との相対回転が抑制されているのである。すなわち、第3ねじりばね574が、y軸アクチュエータ562との関係において直列弾性部材として機能し、第4ねじりばね576が、並列弾性部材として機能するようになっているのである。
【0118】
以上、本発明のいくつかの実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これらの他にも、特許請求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を施した形態で本発明を実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるフライホイール型エネルギ蓄積装置が搭載されたハイブリッド電気自動車の構成を概念的に示すブロック図である。
【図2】そのハイブリッド電気自動車におけるエンジンの使用状態とフライホイール型エネルギ蓄積装置の使用状態との関係を説明するためのグラフである。
【図3】上記フライホイール型エネルギ蓄積装置を示す斜視図である。
【図4】図3におけるフライホイール支持体を示す断面図である。
【図5】上記フライホイール型エネルギ蓄積装置における支持機構を示す平面図である。
【図6】上記フライホイール型エネルギ蓄積装置におけるx軸アクチュエータとx軸力伝達機構とを示す断面図である。
【図7】上記フライホイール型エネルギ蓄積装置におけるy軸アクチュエータとy軸力伝達機構とを示す断面図である。
【図8】上記フライホイール型エネルギ蓄積装置における支持状態制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図9】図8におけるコントローラによりフライホイール支持状態が制御される原理を示す工程図である。
【図10】図9における車両挙動の取得工程の詳細の一例を示す工程図である。
【図11】図9における車両挙動の取得工程の詳細の別の例を示す工程図である。
【図12】図8におけるコントローラのコンピュータのROMに記憶されているルーチンのうち本発明と関連が深いものを示すフローチャートである。
【図13】上記実施形態の一効果を一従来例との対比において説明するためのグラフである。
【図14】本発明の別の実施形態であるフライホイール型エネルギ蓄積装置を示す斜視図である。
【図15】そのフライホイール型エネルギ蓄積装置におけるx軸アクチュエータとx軸力伝達機構とを示す断面図である。
【図16】そのフライホイール型エネルギ蓄積装置におけるy軸アクチュエータとy軸力伝達機構とを示す断面図である。
【図17】そのy軸力伝達機構の作動状態の一例を示す断面図である。
【図18】上記フライホイール型エネルギ蓄積装置におけるx軸アクチュエータとx軸ワイヤ駆動装置とを示す正面図である。
【図19】上記フライホイール型エネルギ蓄積装置の力伝達系を概念的に示す図である。
【図20】本発明のさらに別の実施形態であるフライホイール型エネルギ蓄積装置におけるx軸アクチュエータとx軸ワイヤ駆動装置とを示す正面図である。
【図21】そのフライホイール型エネルギ蓄積装置の力伝達系を概念的に示す図である。
【図22】本発明のさらに別の実施形態であるフライホイール型エネルギ蓄積装置におけるx軸アクチュエータとx軸力伝達機構とを示す断面図である。
【図23】そのフライホイール型エネルギ蓄積装置におけるy軸アクチュエータとy軸力伝達機構とを示す断面図である。
【図24】本発明のさらに別の実施形態であるフライホイール型エネルギ蓄積装置を示す斜視図である。
【図25】そのフライホイール型エネルギ蓄積装置におけるフライホイール支持体を示す断面図である。
【図26】上記フライホイール型エネルギ蓄積装置における支持機構のうちx軸相対回転を実現する部分を示す断面図である。
【図27】その支持機構のうちy軸相対回転を実現する部分を示す断面図である。
【符号の説明】
20 フライホイール型エネルギ蓄積装置
60,520 固定部材
64,500 フライホイール支持体
68,522 支持機構
70 支持状態制御装置
80,508,509 軸受
78 ロータ
84,524 可動部材
100,304,560 x軸アクチュエータ
102,300,400 x軸力伝達機構
110,306,562 y軸アクチュエータ
112,302 y軸力伝達機構
374,400 第1コイルばね
376,422 第2コイルばね
310,312 ワイヤ
424 第3コイルばね
504 フライホイール
510 モータ/発電機
528,530,546,548 第1ないし第4支持軸
570,572,574,576 第1ないし第4ねじりばね

Claims (2)

  1. 車両に位置固定に設けられる固定部材と、
    自身の慣性により回転し続けることによって運動エネルギを蓄積するフライホイールと、
    軸受を介してそのフライホイールをそれのスピン軸線回りに回転可能に支持するフライホイール支持体と、
    そのフライホイール支持体と前記固定部材との間に設けられ、フライホイール支持体を前記スピン軸線が空間内において任意の方向を取り得るように固定部材に対して回転可能に支持する支持機構と、
    前記フライホイールとフライホイール支持体との間に設けられ、フライホイールの回転により回転させられることにより、電気エネルギを発生させる発電機と
    を含み、フライホイールに蓄積された運動エネルギを必要に応じて電気エネルギに変換して出力するフライホイール型エネルギ蓄積装置において、
    前記車両の挙動を変化させるために車両に関して行われる操作を表す情報と、その操作を生じさせる原因である物理量を表す情報との少なくとも一方を含む情報に基づき、前記支持機構による前記フライホイール支持体の支持状態を、前記軸受が前記フライホイールから受ける荷重と、フライホイールの前記固定部材に対する相対角とがいずれも各目標状態となるように制御する支持状態制御装置を設けたことを特徴とするフライホイール型エネルギ蓄積装置。
  2. 前記支持状態制御装置が、(a) 外部からの信号に応じて力を発生させるアクチュエータと、(b) そのアクチュエータと前記支持機構との間にアクチュエータと直列に設けられてアクチュエータにより発生させられた力を支持機構に伝達する直列弾性部材と、(c) 前記アクチュエータと並列に設けられた並列弾性部材とを含む請求項1に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
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