JPH1170822A - フライホイール型エネルギ蓄積装置 - Google Patents

フライホイール型エネルギ蓄積装置

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JPH1170822A
JPH1170822A JP23426597A JP23426597A JPH1170822A JP H1170822 A JPH1170822 A JP H1170822A JP 23426597 A JP23426597 A JP 23426597A JP 23426597 A JP23426597 A JP 23426597A JP H1170822 A JPH1170822 A JP H1170822A
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axis
vehicle
actuator
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英雄 中井
Katsuji Okuda
勝治 奥田
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一徳 吉田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】車両においてフライホイールに運動エネルギを
蓄積させるとともに、その蓄積された運動エネルギを必
要に応じて発電機により電気エネルギに変換して出力す
るフライホイール型エネルギ蓄積装置において、軸受が
フライホイールから受ける荷重がフライホイールのジャ
イロ効果によって過大になることと、フライホイールの
車体に対する相対角が過大になることとを抑制する。 【解決手段】支持機構によりフライホイール支持体64
を固定部材60に対して、フライホイールのスピン軸線
が空間内において任意の方向を取り得るように支持する
とともに、車両の挙動とフライホイールの挙動との少な
くとも一方に関連する情報に基づき、支持機構によるフ
ライホイール支持体64の支持状態をアクチュエータ1
00により、軸受荷重と相対角とがいずれも各目標状態
となるように制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両においてフラ
イホイールに運動エネルギを蓄積させるとともに、その
蓄積された運動エネルギを必要に応じて発電機により電
気エネルギに変換して出力するフライホイール型エネル
ギ蓄積装置に関するものであり、特に、車両においてフ
ライホイールを支持する技術の改良に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】上記フライホイール型エネルギ蓄積装置
の従来技術がいくつか存在する。第1の従来技術は、軸
受を介してフライホイールをそれのスピン軸線回りに回
転可能に支持するフライホイール支持体を車体に固定
し、それにより、フライホイール支持体の車体に対する
相対角の変化を阻止するものである。第2の従来技術
は、フライホイール支持体を車体にスプリングにより弾
性的に支持させ、それにより、フライホイール支持体の
車体に対する相対角の変化を許容するものである。すな
わち、第1の従来技術は、フライホイール支持体を剛な
状態で支持する技術であり、これに対して、第2の従来
技術は、フライホイール支持体を軟な状態で支持する技
術なのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段,作用お
よび発明の効果】しかしながら、いずれの従来技術にも
いくつかの問題があった。第1の従来技術においては、
フライホイール支持体が車体に固定されているため、フ
ライホイールの回転中に車両の挙動が変化してフライホ
イールのスピン軸線が傾くと、フライホイールにジャイ
ロ効果が発生してしまうという問題があった。
【0004】ここに、「ジャイロ効果」とは、フライホ
イールにそれのスピン軸線を傾ける外力が作用すると、
その外力に対抗するようにモーメントがフライホイール
に発生する現象をいい、この現象は、フライホイールの
角運動量を保存しようとするために生じるものである。
このジャイロ効果に基づくモーメントは、スピン軸線を
傾ける際にそのスピン軸線が軌跡として描く一平面と直
角な一平面内においてスピン軸線を傾けるモーメントと
してフライホイールに発生する。
【0005】また、この「ジャイロ効果」は、車両のす
べての挙動変化によって発生するわけではなく、例えば
スピン軸線が垂直に立てられている場合には、車両の強
い旋回によって車体にローリングが発生する場合や、強
い加減速によって車体にピッチングが発生する場合や、
車両走行中に車両に作用する外乱、例えば路面凹凸,路
面突起等によって車体にローリングやピッチングが発生
する場合に、フライホイールにジャイロ効果が発生する
ことになる。
【0006】そのため、この第1の従来技術には、フラ
イホイールのジャイロ効果に基づいてフライホイール支
持体にモーメントが発生し、そのモーメントが原因とな
って、軸受がフライホイールから受ける荷重が増加して
しまうという問題があった。
【0007】なお、軸受がフライホイールから受ける荷
重には、フライホイールのジャイロ効果に基づく荷重の
他に、車両の並進運動(前後運動,上下運動および左右
運動)時に発生するものも存在する。しかし、この並進
運動時に発生する荷重は、ジャイロ効果に基づいて発生
する荷重に比較して小さいのが普通である。
【0008】このような荷重増加にもかかわらず軸受が
正常にフライホイールを支持可能とするためには、軸受
の大形化によって軸受の支持剛性を向上させなければな
らない。ここに、軸受の大形化は一般に、フライホイー
ル型エネルギ蓄積装置の大形化および重量増加を招くと
ともに、軸受の摺動抵抗が増加し、フライホイールの回
転抵抗も増加して、フライホイールの運動エネルギの損
失量が増加するという事態も招く。そのため、この第1
の従来技術には、さらに、フライホイール型エネルギ蓄
積装置の大形化および重量増加という問題と、フライホ
イールの運動エネルギの損失量増加という問題もあっ
た。
【0009】また、この第1の従来技術においては、フ
ライホイール支持体が車両に固定されているため、ジャ
イロ効果に基づくモーメントがフライホイール支持体に
発生すると、そのモーメントが車両に伝達されてしま
う。そのため、この第1の従来技術には、さらに、ジャ
イロ効果によって車両の挙動が変化してしまうという問
題もあった。
【0010】これに対して、第2の従来技術において
は、フライホイール支持体が車両に固定されてはいない
ため、第1の従来技術におけるとは異なり、ジャイロ効
果に基づくモーメントがフライホイールに発生しない。
そのため、軸受がフライホイールから受ける荷重が増加
してしまうことはなく、また、ジャイロ効果によって車
両の挙動が変化してしまうこともない。
【0011】しかしながら、この第2の従来技術におい
ては、車両の挙動変化により、フライホイールすなわち
フライホイール支持体の固定部材に対する相対角が著し
く増加する。ここに、相対角の増加は一般に、フライホ
イール支持体を干渉しないで収容するハウジングの必要
性から、フライホイール型エネルギ蓄積装置の大形化お
よび重量増加という事態を招く。また、フライホイール
支持体の単純な弾性支持は一般に、フライホイール支持
体と車両との共振を回避することが困難であり、そのた
め、フライホイール支持体の振動増加を招き易い。その
ため、この第2の従来技術には、フライホイール型エネ
ルギ蓄積装置の大形化および重量増加という問題と、フ
ライホイール支持体の振動増加という問題があった。ま
た、フライホイール型エネルギ蓄積装置においては、発
電機がフライホイール支持体に共に揺動するように取り
付けられ、また、発電機から電線が外部に延びるのが普
通である。そのため、上記第2の従来技術においては、
相対角の増加という問題により、発電機の電線の取り回
しの設計が困難になるという問題もあった。
【0012】本発明は、以上の事情を背景としてなされ
たものであり、その課題は、フライホイール支持体をハ
ードウェア的には軟な状態で支持する一方、ソフトウェ
ア的には軟な状態と剛な状態との間の任意の状態で支持
可能とすることにより、上記第1の従来技術の問題と第
2の従来技術の問題とを一緒に解決し得るフライホイー
ル型エネルギ蓄積装置を得ることにある。
【0013】この課題は下記態様のフライホイール型エ
ネルギ蓄積装置によって解決される。なお、以下の説明
において、本発明の各態様を、それぞれに項番号を付し
て請求項と同じ形式で記載する。各項に記載の特徴を組
み合わせて採用することの可能性を明示するためであ
る。
【0014】(1) 車両に位置固定に設けられる固定部材
と、自身の慣性により回転し続けることによって運動エ
ネルギを蓄積するフライホイールと、軸受を介してその
フライホイールをそれのスピン軸線回りに回転可能に支
持するフライホイール支持体と、そのフライホイール支
持体と前記固定部材との間に設けられ、フライホイール
支持体を前記スピン軸線が空間内において任意の方向を
取り得るように固定部材に対して回転可能に支持する支
持機構と、前記フライホイールとフライホイール支持体
との間に設けられ、フライホイールの回転により回転さ
せられることにより、電気エネルギを発生させる発電機
とを含み、フライホイールに蓄積された運動エネルギを
必要に応じて電気エネルギに変換して出力するフライホ
イール型エネルギ蓄積装置において、前記車両の挙動と
前記フライホイールの挙動との少なくとも一方に関連す
る情報に基づき、前記支持機構による前記フライホイー
ル支持体の支持状態を、前記軸受が前記フライホイール
から受ける荷重と、フライホイールの前記固定部材に対
する相対角とがいずれも各目標状態となるように制御す
る支持状態制御装置を設けたことを特徴とするフライホ
イール型エネルギ蓄積装置(請求項1)。この装置にお
いては、フライホイール支持体が支持機構により軟な状
態で支持される一方、その支持状態が支持状態制御装置
により、車両の挙動とフライホイールの挙動との少なく
とも一方に関連する情報に基づき、軟な状態と剛な状態
との間の状態に制御され、それにより、軸受がフライホ
イールから受ける荷重と、フライホイールの固定部材に
対する相対角とがいずれも各目標状態となるようにされ
る。したがって、この装置によれば、フライホイール支
持体を常に剛な状態で支持する場合に発生する問題、す
なわち、ジャイロ効果によって軸受荷重が過大となって
しまうという問題の発生が回避されるとともに、フライ
ホイール支持体を常に軟な状態で支持する場合に発生す
る問題、すなわち、フライホイールの相対角が過大とな
ってしまうという問題の発生が回避されるという効果が
得られる。この装置において「車両の挙動に関連する情
報」には例えば、車両自体の挙動を表す情報や、車両の
挙動を変化させるために車両に関して行われる操作を表
す情報や、その操作を生じさせる原因である物理量を表
す情報等がある。ここに、「車両自体の挙動を表す情
報」として、車体(ばね上部材)の加速度(前後加速
度,左右加速度および上下加速度)や、車輪(ばね下部
材)の加速度(前後加速度,左右加速度および上下加速
度)や、車体の姿勢角(ピッチ角,ロール角およびヨー
角)や、車体の姿勢角の変化速度である姿勢角速度(ピ
ッチレート,ロールレートおよびヨーレート)があり、
また、「車両の操作を表す情報」として、ステアリング
操作量(ステアリング角等)や、アクセル操作量(アク
セル角等)や、ブレーキ操作量(ブレーキ操作力,操作
ストローク等)がある。なお、車体の走行速度である車
速は、車両自体の挙動を表す情報として考えることも、
車両の操作を表す情報として考えることもできる。ま
た、「その操作を生じさせる原因である物理量を表す情
報」には例えば、車両の現在または将来における路面の
状態を表す情報がある。また、この装置において「フラ
イホイールの挙動に関連する情報」には例えば、フライ
ホイール自体の挙動を表す情報や、フライホイールの軸
受に関連する情報等がある。ここに、「フライホイール
自体の挙動を表す情報」には例えば、フライホイールす
なわちフライホイール支持体の、固定部材すなわち車両
に対する相対角や、フライホイールのスピン軸線回りの
角速度等があり、「フライホイールの軸受に関連する情
報」には、軸受荷重、すなわち、軸受がフライホイール
から受ける荷重(力またはモーメント)を表す情報等が
ある。また、この装置において「荷重と相対角とがいず
れも各目標状態となる」用語は例えば、荷重と相対角と
がいずれも各目標値となることを意味する用語として使
用したり、荷重と相対角とがそれぞれ変化することが許
容される目標範囲内に維持されることを意味する用語と
して使用したり、荷重と相対角とがそれぞれ超えること
が許容されない各限界値を超えないことを意味する用語
として使用することができる。また、各目標値,各目標
範囲および各限界値は、固定値とすることができるが、
可変値とすることもできる。例えば、相対角の目標値
を、フライホイール支持体を完全に剛な状態で支持する
とフライホイールに強いジャイロ効果が発生することが
予想される状態においては、フライホイールのスピン軸
線が絶対空間内において固定されるように、車体姿勢角
に応じて変化する一方、フライホイール支持体を完全に
剛な状態で支持してもフライホイールに強いジャイロ効
果が発生しないことが予想される状態においては、0と
なるように決定することができるのである。また、この
装置において「フライホイール」は、専用のものとして
設けたり、発電機のロータとしての機能を兼ねるものと
して設けることができる。また、この装置において「発
電機」は、発電機として機能し、フライホイールの運動
エネルギを電気エネルギに変換する状態と、モータとし
て機能し、外部からの電気エネルギをフライホイールの
運動エネルギに変換する状態とに切り換わるモータ/発
電機として設けることができる。 (2) 前記支持状態制御装置が、(a) 外部からの信号に応
じて力を発生させるアクチュエータと、(b) そのアクチ
ュエータと前記支持機構との間にアクチュエータと直列
に設けられてアクチュエータにより発生させられた力を
支持機構に伝達する直列弾性部材と、(c) 前記アクチュ
エータに並列に設けられた並列弾性部材とを含む(1) 項
に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置(請求項
2)。アクチュエータは常に正常であるとは限らず、何
らかの理由で故障する場合がある。また、故障には、ア
クチュエータの可動部が入力信号にかかわらずロックし
てしまうモードや、フリーになってしまうモードがあ
る。これに対して、本項に記載のフライホイール型エネ
ルギ蓄積装置においては、アクチュエータの可動部が故
障してロックした場合には、直列弾性部材の効果によ
り、固定部材とフライホイール支持体との相対回転が完
全に阻止される状態から回避されるため、直列弾性部材
が存在しない場合に比較して、軸受荷重の増加が抑制さ
れるという効果が得られる。また、アクチュエータの可
動部が故障してフリーとなった場合には、並列弾性部材
の効果により、固定部材とフライホイール支持体との相
対回転がある程度制限されるため、並列弾性部材が存在
しない場合に比較して、フライホイール支持体の相対角
の増加が抑制されるという効果も得られる。また、アク
チュエータが非作用状態でフリーとなる形式である場合
には、並列弾性部材の効果により、フライホイールの相
対角が、アクチュエータの非作用状態でも過大とならず
に済むという効果も得られる。上記フライホイール型エ
ネルギ蓄積装置において「アクチュエータ」は例えば、
ロータリ型としたりリニア型とすることができ、また、
電気モータとしたり、空圧モータまたは空圧シリンダと
空圧制御装置との組合せとしたり、油圧モータまたは油
圧シリンダと油圧制御装置との組合せとすることができ
る。 (3) 前記支持機構が、第1支持軸線回りに前記固定部材
と相対回転可能に連結される一方、前記第1支持軸線と
交差する第2支持軸線回りに前記フライホイール支持体
と相対回転可能に連結された可動部材を含み、前記支持
状態制御装置が、(a) 外部からの信号に応じて第1力を
発生させる第1アクチュエータと、(b)外部からの信号
に応じて第2力を発生させる第2アクチュエータと、
(c) 前記第1アクチュエータにより発生させられた第1
力を前記可動部材に伝達し、それにより、前記フライホ
イール支持体と前記固定部材との、前記第1支持軸線回
りの相対回転を制御する第1力伝達機構と、(d) 前記第
2アクチュエータにより発生させられた第2力を前記フ
ライホイール支持体に伝達し、それにより、そのフライ
ホイール支持体と前記固定部材との、前記第2支持軸線
回りの相対回転を制御する第2力伝達機構とを含む(1)
または(2) 項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装
置。 (4) 前記第1力伝達機構が、前記第1アクチュエータに
より発生させられた第1力を前記可動部材にモーメント
として伝達するものであり、前記第2力伝達機構が、前
記第2アクチュエータにより発生させられた第2力を前
記フライホイール支持体にモーメントとして伝達するも
のである(3) 項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積
装置。 (5) さらに、前記第1アクチュエータと前記可動部材と
の間に第1アクチュエータと直列に設けられた直列弾性
部材と、前記第2アクチュエータと前記フライホイール
支持体との間に第2アクチュエータと直列に設けられた
直列弾性部材と、前記第1アクチュエータに並列に設け
られた並列弾性部材と、前記第2アクチュエータに並列
に設けられた並列弾性部材とを含む(3) または(4) 項に
記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。 (6) 前記支持状態制御装置が、(a) 前記車両の挙動と前
記フライホイールの挙動との少なくとも一方に関連する
情報を検出する関連情報センサと、(b) 外部からの信号
に応じて力を発生させるアクチュエータと、(c) そのア
クチュエータにより発生させられた力を前記支持機構に
伝達し、それにより前記支持状態を制御する力伝達機構
と、(d) 検出された関連情報に基づいて前記アクチュエ
ータを制御するコントローラとを含む(1) ないし(5) 項
のいずれかに記載のフライホイール型エネルギ蓄積装
置。 (7) 前記関連情報センサが、前記荷重を検出する荷重セ
ンサと、前記相対角を検出する相対角センサと、前記フ
ライホイールのスピン軸線回りの角速度を検出する角速
度センサとの少なくとも一つを含む(6) 項に記載のフラ
イホイール型エネルギ蓄積装置。この装置においては、
アクチュエータが、荷重と相対角と角速度との少なくと
も一つの検出値を考慮して制御される。したがって、こ
の装置によれば、アクチュエータを検出値の考慮なしで
一方的に制御する場合に比較して、フライホイール支持
状態の制御精度を容易に向上させ得る。 (8) 前記関連情報センサが、(a) 前記荷重を検出する荷
重センサと、(b) 前記相対角を検出する相対角センサと
を含む(7) 項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装
置。この装置においては、アクチュエータが、荷重と相
対角との双方の検出値を考慮して制御される。したがっ
て、この装置によれば、フライホイール支持状態の制御
精度を一層容易に向上させ得る。 (9) 前記関連情報センサが、前記フライホイールのスピ
ン軸線回りの角速度を検出する角速度センサを含む(6)
項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。フライ
ホイールに生ずるジャイロ効果は、フライホイールのス
ピン軸線回りの角速度が大きい場合において小さい場合
におけるジャイロ効果より大きい。このように、ジャイ
ロ効果とフライホイールの角速度との間に一定の関係が
ある。これに対して、この(9) 項に記載のフライホイー
ル型エネルギ蓄積装置によれば、フライホイールの角速
度を考慮してアクチュエータを制御可能となるため、フ
ライホイール支持状態の制御精度を一層容易に向上させ
得る。 (10)前記関連情報センサが、(a) 前記荷重を検出する荷
重センサと、(b) 前記相対角を検出する相対角センサ
と、(c) 前記フライホイールのスピン軸線回りの角速度
を検出する角速度センサとを含む(6) 項に記載のフライ
ホイール型エネルギ蓄積装置。この装置においては、ア
クチュエータが、荷重と相対角との双方の検出値を考慮
して制御されるとともに、フライホイールの角速度をも
考慮して制御される。したがって、この装置によれば、
フライホイール支持状態の制御精度を一層容易に向上さ
せ得る。 (11)前記関連情報センサが、前記車両の挙動に関連する
情報を検出する車両挙動関連情報センサを含む(6) 項に
記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。車両の挙動
変化が原因となってフライホイールにジャイロ効果が発
生する。これに対して、本項に記載のフライホイール型
エネルギ蓄積装置においては、アクチュエータが車両挙
動を考慮して制御される。したがって、この装置によれ
ば、ジャイロ効果を予測してアクチュエータを制御可能
となり、フライホイール支持状態の制御応答性を容易に
向上させ得る。 (12)前記関連情報センサが、(a) 前記軸受を検出する荷
重センサと、(b) 前記相対角を検出する相対角センサ
と、(c) 前記車両の挙動に関連する情報を検出する車両
挙動関連情報センサとを含む(6) 項に記載のフライホイ
ール型エネルギ蓄積装置。この装置によれば、フライホ
イール支持状態の実際が考慮されるとともに、ジャイロ
効果を予測してアクチュエータを制御可能となり、フラ
イホイール支持状態の制御精度および制御応答性を容易
に向上させ得る。 (13)前記車両が、車両であり、前記車両挙動関連情報セ
ンサが、前記車両の挙動を検出する車両挙動センサを含
む(11)または(12)項に記載のフライホイール型エネルギ
蓄積装置。 (14)前記車両が、車両であり、前記車両挙動関連情報セ
ンサが、前記車両の操作量を検出する車両操作量センサ
を含み、前記コントローラが、検出された車両操作量に
基づき、前記車両の挙動を推定する車両挙動推定手段を
含む(11)または(12)項に記載のフライホイール型エネル
ギ蓄積装置。この装置においては、車両操作量に基づい
て車両挙動が推定され、その推定車両挙動に基づいてア
クチュエータが制御されるため、フライホイール支持状
態の制御応答性を容易に向上させ得る。 (15)前記車両が、車両であり、前記車両挙動関連情報セ
ンサが、(a) 前記車両の挙動を検出する車両挙動センサ
と、(b) 前記車両の操作量を検出する車両操作量センサ
とを含み、前記コントローラが、(a) 検出された車両操
作量に基づき、前記車両の挙動を推定する車両挙動推定
手段と、(b) 検出された車両挙動に基づき、推定された
車両挙動を修正する推定車両挙動修正手段とを含む(11)
または(12)項に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装
置。この装置においては、車両操作量に基づいて車両挙
動が推定され、その推定車両挙動に基づいてアクチュエ
ータが制御されるため、フライホイール支持状態の制御
応答性を容易に向上させ得るとともに、その推定車両挙
動が車両の実際挙動に基づいて修正されるため、車両挙
動の推定精度が向上する。 (16)前記発電機が、ロータとステータとを備えてモータ
として機能する状態と発電機として機能する状態とに切
り換わるモータ/発電機であり、前記フライホイール
が、前記ロータとして設けられるか、またはそのロータ
と共に回転可能に設けられた(1) ないし(15)項のいずれ
かに記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。 (17)前記車両が、動力源と車輪とを備えた自動車であ
り、当該フライホイール型エネルギ蓄積装置が、前記動
力源として機能し、前記フライホイールの運動エネルギ
を直接または間接に前記車輪に伝達することによってそ
の車輪を駆動し、その車輪の運動エネルギを直接または
間接にフライホイールに伝達することによってその車輪
を制動する(1) ないし(16)項のいずれかに記載のフライ
ホイール型エネルギ蓄積装置。 (18)前記自動車が、前記車輪を駆動するために燃焼エネ
ルギと電気エネルギとを併用するハイブリッド自動車で
あり、当該フライホイール型エネルギ蓄積装置が、電気
エネルギの発生源として使用される(17)項に記載のフラ
イホイール型エネルギ蓄積装置。 (19)車両に位置固定に設けられる固定部材と、自身の慣
性により回転し続けることによって運動エネルギを蓄積
するフライホイールと、軸受を介してそのフライホイー
ルをそれのスピン軸線回りに回転可能に支持するフライ
ホイール支持体と、そのフライホイール支持体と前記固
定部材とに設けられ、フライホイール支持体を前記スピ
ン軸線が空間内において任意の方向を取り得るように固
定部材に対して回転可能に支持する支持機構と、前記フ
ライホイールとフライホイール支持体とに設けられ、フ
ライホイールの回転によって回転させられることより、
電気エネルギを発生させる発電機とを含み、フライホイ
ールの運動エネルギを必要に応じて電気エネルギに変換
して出力するフライホイール型エネルギ蓄積装置におい
て、前記支持機構による前記フライホイール支持体の支
持状態を制御する支持状態制御装置を設けたことを特徴
とするフライホイール型エネルギ蓄積装置。この装置に
おいては、フライホイール支持体が支持機構により軟な
状態で支持される一方、その支持状態が支持状態制御装
置により、軟な状態と剛な状態との間の任意の態に制御
される。したがって、このフライホイール型エネルギ蓄
積装置によれば、前記第1の従来技術の問題と第2の従
来技術の問題とを一緒に解決し得る。 (20)前記支持状態制御装置が、前記車両の挙動と前記フ
ライホイールの挙動との少なくとも一方に関連する情報
に基づき、前記支持状態を制御するものである(19)項に
記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。この装置に
よれば、フライホイール支持体の支持状態を、車両の挙
動とフライホイールの挙動との少なくとも一方との関係
において容易に適正化し得る。 (21)前記支持状態制御装置が、外部からの信号に応じて
力を発生させるアクチュエータを駆動源として、前記支
持状態を電気的に制御するものである(19)または(20)項
に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。 (22)前記支持状態制御装置が、前記軸受が前記フライホ
イールから受ける荷重と、フライホイールの前記固定部
材に対する相対角とがいずれも各目標状態となるように
制御するものである(19)ないし(21)項のいずれかに記載
のフライホイール型エネルギ蓄積装置。この装置によれ
ば、フライホイール支持体の支持状態を、荷重と相対角
とがいずれも適正となるように容易に適正化し得る。 (23)前記支持状態制御装置が、(a) 外部からの信号に応
じて力を発生させるアクチュエータと、(b) そのアクチ
ュエータと前記支持機構との間にアクチュエータと直列
に設けられてそのアクチュエータにより発生させられた
力を支持機構に伝達する直列弾性部材と、アクチュエー
タに並列に設けられた並列弾性部材との少なくとも一方
とを含む(19)ないし(22)項のいずれかに記載のフライホ
イール型エネルギ蓄積装置。この装置によれば、少なく
とも並列弾性部材を有する態様を採用した場合には、ア
クチュエータが故障してフリーになっても、フライホイ
ール支持体の相対角が過大にならずに済み、また、少な
くとも直列弾性部材を有する態様を採用した場合には、
アクチュエータが故障してロックしても、軸受荷重が過
大にならずに済む。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明のさらに具体的な実
施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】本発明の一実施形態であるフライホイール
型エネルギ蓄積装置は、車両の一例である電気自動車の
一例であるハイブリッド電気自動車において使用され
る。
【0017】図1には、そのハイブリッド電気自動車の
全体構成が概念的にブロック図で示されている。図に
は、隣接した2個のブロックを連結する線として白抜き
の線と黒い線とが存在するが、白抜きの線は運動エネル
ギの流れを示し、黒い線は電気エネルギの流れを示して
いる。
【0018】このハイブリッド電気自動車は、燃焼エネ
ルギによって運動エネルギを発生させる燃焼機関として
のエンジン10と上記フライホイール型エネルギ蓄積装
置20とをそれぞれ動力源として備えている。また、こ
のハイブリッド電気自動車は、エンジン10とフライホ
イール型エネルギ蓄積装置20とが、エンジン10の運
動エネルギとフライホイール型エネルギ蓄積装置20の
運動エネルギとが電気エネルギという形態に変換された
状態で加算されるという意味において直列に接続された
シリーズ型である。また、このハイブリッド電気自動車
は、鉛電池21をエンジン10にとっては直列となり、
フライホイール型エネルギ蓄積装置20にとっては並列
となる状態で備えている。
【0019】このハイブリッド電気自動車においては、
運転中、エンジン10が一定の回転速度で回転させられ
る。このエンジン10の回転軸には発電機22の回転軸
が連結されている。発電機22は、エンジン20の運動
エネルギとしてのトルクを電気エネルギとしての交流電
流に変換する。この発電機22には変流機24を介して
電流制御装置30が接続されている。変流機24は、コ
ンバータとして、発電機22からの交流電流を直流電流
に変換して電流制御装置30に供給する。
【0020】電流制御装置30には変流機32を介して
上記フライホイール型エネルギ蓄積装置20が接続され
ている。変流機32は、インバータとして、電流制御装
置30からの直流電流を交流電流に変換してフライホイ
ール型エネルギ蓄積装置20に供給する状態と、コンバ
ータとして、フライホイール型エネルギ蓄積装置20か
らの交流電流を直流電流に変換して電流制御装置30に
供給する状態と切り換えられる。電流制御装置30には
鉛電池21も接続されている。鉛電池21はエネルギ蓄
積機能を有する点でフライホイール型エネルギ蓄積装置
20と共通するが、エネルギを電気エネルギの形で蓄積
する点で、運動エネルギの形で蓄積するフライホイール
型エネルギ蓄積装置20と相違する。
【0021】電流制御装置30にはさらに、変流機42
を介してモータ/発電機44も接続されている。変流機
42は、インバータとして、電流制御装置30からの直
流電流を交流電流に変換してモータ/発電機44に供給
する状態と、コンバータとして、モータ/発電機44か
らの交流電流を直流電流に変換して電流制御装置30に
供給する状態とに切り換えられる。モータ/発電機44
の回転軸には減速ギヤ48を介して車輪50が連結され
ている。モータ/発電機44は、モータとして機能し、
変流機42からの交流電流を運動エネルギに変換する状
態と、発電機として機能し、車輪50の運動エネルギを
電気エネルギとしての交流電流に変換する状態とに切り
換えられる。
【0022】電流制御装置30は、発電機22とフライ
ホイール型エネルギ蓄積装置20と鉛電池21とモータ
/発電機44との間における電流の流れおよび/または
量を制御する。
【0023】このハイブリッド電気自動車においては、
図2にグラフで表すように、自動車の加速時には、エン
ジン10のパワーより大きな正のパワーが車輪50に伝
達され、減速時には、負のパワーが車輪50に伝達さ
れ、定常走行時には、エンジン10のパワーより小さな
正のパワーが車輪50に伝達される。
【0024】具体的には、加速時には、エンジン10の
運動エネルギに応じて発電機22が出力する電気エネル
ギと、フライホイール型エネルギ蓄積装置20がそれの
発電機を利用して出力する電気エネルギとの和がモータ
/発電機44に供給され、それにより、結果的に、エン
ジン10の運動エネルギとフライホイール型エネルギ蓄
積装置20の運動エネルギとの和が車輪50に伝達され
て車輪50が駆動される。
【0025】また、減速時には、発電機22からモータ
/発電機24への電気エネルギ供給が阻止される一方、
モータ/発電機44が発電機として機能し、車輪50の
運動エネルギに応じてそのモータ/発電機44から出力
される電気エネルギがフライホイール型エネルギ蓄積装
置20に供給される。このとき、フライホイール型エネ
ルギ蓄積装置20は、それのモータを利用してその電気
エネルギを運動エネルギに変換してフライホイールに蓄
積させる。
【0026】また、定常走行時には、発電機22からの
電気エネルギの一部が必要に応じてフライホイール型エ
ネルギ蓄積装置20に供給され、そのフライホイール型
エネルギ蓄積装置20は、それのモータを利用してその
電気エネルギを運動エネルギに変換してフライホイール
に蓄積させる。この定常走行時には、さらに、発電機2
2からの電気エネルギの別の一部が必要に応じて鉛電池
21に供給されて充電が行われ、それにより、鉛電池2
1に電気エネルギが常に正規の量で蓄積される。
【0027】電流制御装置30は、そのようなエネルギ
の伝達・変換が実現されるように発電機22とフライホ
イール型エネルギ蓄積装置20と鉛電池21とモータ/
発電機44との間における電流の流れおよび/または量
を制御するのである。
【0028】フライホイール型エネルギ蓄積装置20
は、図3に示すように、固定部材60とフライホイール
支持体64と支持機構68と支持状態制御装置70(図
8参照)とを含むように構成されている。
【0029】ところで、絶対空間(慣性系)には、X軸
とY軸とZ軸とが互いに直交する座標系が絶対座標系と
して固定的に設定されている。これに対して、上記ハイ
ブリッド電気自動車には、x軸とy軸とz軸とが互いに
直交する座標系が固定的に設定されている。x軸は、車
体前後方向に平行に、かつ、前側が正となるように設定
されており、y軸は、車体左右方向に平行に、かつ、車
体を真上から見た場合に左側となる側が正となるように
設定されており、z軸は、車体上下方向に平行に、か
つ、上側が正となるように設定されている。図3には、
x軸とz軸のみが示され、y軸は図示が省略されてい
る。そのxyz座標系は、ハイブリッド電気自動車と共
に移動して絶対座標系との相対位置関係が変化するもの
であることから、絶対座標系との関係において相対座標
系と称することができる。また、それら絶対座標系と相
対座標系とは、ハイブリッド電気自動車の姿勢が基準状
態にあるときに、互いに対応する軸同士が互いに平行と
なるように設定されている。
【0030】図4には、フライホイール支持体64の内
部構造が示されている。フライホイール支持体64は、
ハウジング74とステータ76とロータ78(フライホ
イールとして機能する)と軸受80とを含むように構成
されている。ステータ76はハウジング74内に位置固
定に設けられている。ロータ78はハウジング74内に
一軸線回りに回転可能に設けられている。本実施形態に
おいては、ロータ78の回転軸線Lが、フライホイール
のスピン軸線とされている。また、本実施形態において
は、ステータ76とロータ78とにより、モータとして
の機能と発電機としての機能との双方を有するモータ/
発電機が構成されている。ロータ78は軸受80により
回転可能かつ軸方向移動不能に支持されている。軸受8
0は、ロータ78からラジアル荷重とスラスト荷重との
双方を受ける。
【0031】図5には、支持機構68が平面図で示され
ている。支持機構68は、固定部材60とフライホイー
ル支持体64とに設けられ、そのフライホイール支持体
64を空間内において任意の方向を取り得るように固定
部材60に対して回転可能に支持する。支持機構68
は、可動部材84を備えている。この可動部材84は、
固定部材60とx軸回りに相対回転可能に連結される一
方、フライホイール支持体64とy軸回りに相対回転可
能に連結されている。
【0032】支持機構68は、それらの相対回転を次の
ような構造によって実現する。図3および図5に示すよ
うに、固定部材60の内面と可動部材84の外面とが、
隙間を隔てた同心の部分球面とされている。さらに、固
定部材60の内面に、x軸を中心とした一円周に沿って
延びる突条86が形成される一方、可動部材84の外面
に、x軸を中心とした一円周に沿って延びる環状溝88
が形成され、それら突条86と環状溝88とが摺動可能
に嵌合されている。それらにより、固定部材60と可動
部材84とのx軸回りの相対回転が実現されるのであ
る。同様に、フライホイール支持体64の外面と可動部
材84の内面とが、隙間を隔てた同心の部分球面とされ
ている。さらに、フライホイール支持体64の外面に、
y軸を中心とした一円周に沿って延びる環状溝92が形
成される一方、可動部材84の内面に、y軸を中心とし
た一円周に沿って延びる突条94が形成され、それら環
状溝92と突条94とが摺動可能に嵌合されている。そ
れにより、フライホイール支持体64と可動部材84と
のy軸回りの相対回転が実現されるのである。
【0033】なお、突条86は固定部材60に対して相
対変位させられないのに対して、突条94は相対変位さ
せられるため、固定部材60と可動部材84との相対回
転軸は常にx軸と一致するのに対して、可動部材84と
フライホイール支持体64との相対回転軸は常にy軸と
一致するのではなく、可動部材84が図3に示す基準位
置にあるときに限り一致する。しかし、説明を簡単にす
るために、以下の説明においては、可動部材84とフラ
イホイール支持体64との相対回転軸をy軸と称するこ
ととする。
【0034】支持状態制御装置70は、センサとアクチ
ュエータと力伝達機構とコントローラと増幅器とを含む
ように構成されているが、まず、図6および図7に基づ
き、アクチュエータと力伝達機構とについて説明し、次
に、図8に基づき、センサとコントローラと増幅器とに
ついて説明する。
【0035】アクチュエータは、外部からの信号に応じ
て力を発生させるものであり、力伝達機構は、そのアク
チュエータにより発生させられた力を支持機構68に伝
達するものである。それらアクチュエータおよび力伝達
機構は、フライホイール支持体64のx軸相対回転用と
y軸相対回転用とについて個々に設けられ、x軸および
y軸アクチュエータとx軸およびy軸力伝達機構とされ
ている。
【0036】図6には、x軸アクチュエータ100とx
軸力伝達機構102とが簡略化されて示されている。x
軸アクチュエータ100は、電気モータ(以下、単に
「モータ」という。)を主体とし、それのハウジングは
固定部材60に固定的に取り付けられている。これに対
して、x軸力伝達機構102は、x軸アクチュエータ1
00の回転軸に共に回転可能に取り付けられたゴム製の
ローラを主体とし、そのローラはそれの外周面において
可動部材84の外面に押し付けられている。したがっ
て、x軸アクチュエータ100の作動により、可動部材
84の固定部材60に対するx軸回りの相対回転が制御
され、結局、フライホイール支持体64の固定部材60
に対するx軸回りの相対回転が制御されることになる。
【0037】これに対して、図7には、y軸アクチュエ
ータ110とy軸力伝達機構112とが簡略化されて示
されている。それらy軸アクチュエータ110およびy
軸力伝達機構112は、上述のx軸アクチュエータ11
0およびx軸力伝達機構102とに準じた構成を有して
おり、可動部材84に固定的に取り付けられたy軸アク
チュエータ110のモータの回転軸にy軸力伝達機構1
12のローラが取り付けられ、かつ、そのローラがそれ
の外周面においてフライホイール支持体64の外面に押
し付けられている。したがって、y軸アクチュエータ1
10の作動により、フライホイール支持体64の固定部
材60に対するy軸回りの相対回転が制御されることに
なる。
【0038】図8には、フライホイール型エネルギ蓄積
装置20の電気的構成、すなわち、支持状態制御装置7
0のセンサ120等とコントローラ200と増幅器21
0とが示されている。センサ120等は、車両の挙動に
関連する情報とフライホイールとしてのロータ78の挙
動に関連する情報との双方を検出し、コントローラ20
0は、各軸アクチュエータ100,110を制御するた
めの信号を出力し、増幅器210は、コントローラ20
0からの出力信号を増幅して各軸アクチュエータ10
0,110に出力する。
【0039】センサ120等には、車両挙動に関連する
情報を検出する車両挙動関連情報センサと、ロータ78
の挙動に関連する情報を検出するロータ挙動関連情報セ
ンサとがある。
【0040】車両挙動関連情報センサには、車両操作量
を検出する車両操作量センサと、車両挙動自体を検出す
る車両挙動センサとがある。車両操作量センサには、ス
テアリングセンサ120とアクセルセンサ122とブレ
ーキセンサ124とがある。ステアリングセンサ120
は、運転者によるステアリングホイール130の操作状
態量(例えば、操作角,操作角速度)を検出し、アクセ
ルセンサ122は、運転者によるアクセルペダル132
等、アクセル操作部材の操作状態量(例えば、操作位
置,操作速度)を検出し、ブレーキセンサ124は、運
転者によるブレーキペダル134等、ブレーキ操作部材
の操作状態量(例えば、操作位置,操作速度)を検出す
る。これに対して、車両挙動センサには、車体加速度セ
ンサ140と車体姿勢角速度センサ142とがある。車
体加速度センサ140は、車体150の前後加速度,左
右加速度および上下加速度を検出する。車体姿勢角速度
センサ142は、車体150の姿勢角速度を絶対座標系
XYZ上において検出する。検出された姿勢角速度はコ
ントローラ200に供給され、そこで時間積分されるこ
とにより、車体150の姿勢角が検出される。具体的に
は、車体150のX軸回りの姿勢角(回転角)はロール
角ΘX 、Y軸回りの姿勢角(回転角)はピッチ角ΘY
Z軸回りの姿勢角(回転角)はヨー角ΘZ として検出さ
れる。
【0041】これに対して、ロータ挙動関連情報センサ
には、ロータ姿勢角速度センサ160と軸受荷重センサ
162とロータ角速度センサ164とがある。
【0042】ロータ姿勢角速度センサ160は、ロータ
78の回転軸線(フライホイールのスピン軸線)を相対
座標系xyz上において検出する。具体的には、ロータ
78の回転軸線のx軸回りの回転角を相対角θx 、y軸
回りの回転角を相対角θy 、z軸回りの回転角を相対角
θz として検出する。ここで、ロータ78の回転軸線の
傾きを相対角θx ,θy ,θz を用いて絶対座標系XY
Z上において記述すれば、X軸回りの絶対角QX は、 QX =θx +ΘX なる式で、Y軸回りの絶対角Qy は、 QY =θy +ΘY なる式で、Z軸回りの絶対角QZ は、 QZ =θz +ΘZ なる式で記述されることになる。
【0043】軸受荷重センサ162は、軸受80がロー
タ78からx軸回りのモーメントとして受ける軸受荷重
x と、y軸回りのモーメントとして受ける軸受荷重M
y とを検出する。ロータ角速度センサ164は、ロータ
78の回転軸線回りの角速度ωz を検出する。
【0044】以上説明した各種センサ120等はいずれ
も、コントローラ200の入力側に接続されている。コ
ントローラ200は、CPU230,ROM232およ
びRAM234を含むコンピュータ240を主体として
構成されている。このコントローラ200の出力側は、
増幅器210を介してx軸およびy軸アクチュエータ1
00,110に接続されている。コントローラ200
は、各種センサ120等からの信号に基づき、コンピュ
ータ240を作動させることにより、支持機構68によ
るフライホイール支持体64の支持状態(以下、単に
「フライホイール支持状態」という。)を制御する。
【0045】図9には、フライホイール支持状態の制御
原理が概念的に示されており、以下、この図を参照しつ
つ制御原理を説明するが、それに先立ち、フライホイー
ル支持体64の回転運動を記述する運動方程式を説明す
る。
【0046】ロータ78の角速度ωz は、固定部材60
のヨー角速度すなわち車体150のヨー角速度ΘZ ’に
対して十分に大きい。そのため、固定部材60および車
体150の慣性モーメントの影響を無視することができ
る。よって、フライホイール支持体64の回転運動を記
述する運動方程式は、X軸回りの回転については、X軸
回りの絶対角QX が、 QX =θx +ΘX なる式で記述されることから、次の式(1) となる。 Ifxθx ”+Cx θx ’+Gx θx +Ifzωz θy ’=
−IfxΘY ”−Ifzωz ΘY ’+Tx これに対して、Y軸回りの回転については、Y軸回りの
絶対角Qy が、 QY =θy +ΘY なる式で記述されることから、次の式(2) となる。 Ifyθy ”+Cy θy ’+Gy θy −Ifzωz θx ’=
−IfyΘY ”+Ifzωz ΘX ’+Ty ただし、 θx ,θy :フライホイール支持体64のx,y軸回り
の相対角 θx ’,θy ’:θx ,θy の時間微分値である相対角
速度 θx ”,θy ”:θx ’,θy ’の時間微分値である相
対角加速度 Ifx,Ify,Ifz:フライホイール支持体64のx,
y,z軸回りの慣性モーメント Cx ,Cy :θx ’,θy ’により発生する減衰力の減
衰係数 Gx ,Gy :θx ,θy により発生するばね力の弾性定
数 ωz :ロータ78の回転軸線回りの角速度 Ifzωz :ロータ78の回転軸線回りの角運動量 Tx ,Ty :各軸アクチュエータ100,110からフ
ライホイール支持体64にx,y軸回りに作用する制御
トルク
【0047】したがって、軸受80がロータ78からx
軸回りのモーメントとして受ける軸受荷重Mx は、次の
式(3) で表される。 Mx =−(Cx θx ’+Gx θx )−Ifzωz (θy
+ΘY ’)+Tx また、y軸回りのモーメントとして受ける軸受荷重My
は、次の式(4) で表される。 My =−(Cy θy ’+Gy θy )+Ifzωz (θx
+ΘX ’)+Ty
【0048】次に、フライホイール支持状態の制御原理
を図9を参照しつつ明する。まず、車両挙動が取得さ
れ、その車両挙動に基づき、フライホイール支持体64
の目標相対角θx * ,θy * と目標軸受荷重Mx * ,M
y * とが決定される。ロータ78のジャイロ効果による
悪影響が実相対角θx ,θy と実軸受荷重Mx,My
に生じないように決定されるのである。
【0049】目標相対角θx * ,θy * および目標軸受
荷重Mx * ,My * の決定は例えば次のようにして行わ
れる。目標相対角θx * ,θy * は、車両挙動としての
車体姿勢角ΘX ,ΘY に基づいて決定される。一方、車
体姿勢角ΘX ,ΘY の時間的変化を表す信号の周波数成
分のうち高周波数成分は、低周波数成分よりも、ロータ
78に強いジャイロ効果を発生させる原因になる。ま
た、相対角θx ,θy を0とすることは、車体150の
挙動変化によってロータ78の傾きが変化してロータ7
8に強いジャイロ効果が発生する可能性があることを意
味する一方、絶対角QX ,QY を0とすることは、車体
150の挙動変化にもかかわらずロータ78の絶対空間
内における傾きが変化せず、ロータ78にジャイロ効果
が発生しないことを意味する。したがって、高周波数成
分に応じて目標相対角θx * ,θy * の大きさを変化さ
せれば、高周波数成分が強いときに絶対角QX ,QY
0となる傾向が強くなり、車体150の挙動変化にもか
かわらずロータ78に強いジャイロ効果が発生しなくな
り、一方、低周波数成分が強いとき、すなわち、ロータ
78に強いジャイロ効果が発生しないと予想されるとき
に相対角θx ,θy に0となる傾向が強くなり、ロータ
78が固定部材60に対して大きく傾くことが防止され
る。
【0050】以上の知見に基づき、目標相対角θx *
θy * は、車体姿勢角ΘX ,ΘY の時間的変化を表す信
号の高周波成分が表す角度をHPF(ΘX ),HPF
(ΘY)で表せば、 θx * =−HPF(ΘX ) θy * =−HPF(ΘY ) として決定される。
【0051】なお、目標相対角θx * ,θy * は、それ
に代えて、またはそれと共に目標相対角速度θx *
θy * を使用することができる。ここに、目標相対角
速度θx * ,θy * は、目標相対角θx * ,θy *
の場合に準じて、 θx * =−HPF(ΘX ’) θy * =−HPF(ΘY ’) として決定される。
【0052】これに対して、目標軸受荷重Mx * ,My
* は、 Mx * =0 My * =0 として決定される。
【0053】以上のようにして目標相対角θ* と目標軸
受荷重M* とが決定されたならば、相対角誤差と軸受荷
重誤差とが算出される。ロータ姿勢角速度センサ160
の出力信号に基づく検出相対角θxD,θyDと目標相対角
θx * ,θy * との差として相対角誤差が算出され、軸
受荷重センサ162による検出軸受荷重MxD,MyDと目
標軸受荷重Mx * ,My * との差として軸受荷重誤差が
算出されるのである。
【0054】その後、算出された相対角誤差と軸受荷重
誤差とに基づいて前記制御トルクT x ,Ty がフィード
バック方式で算出される。検出相対角θxD,θyDと検出
軸受荷重MxD,MyDとがフィードバックされることによ
って目標相対角θx * ,θy * と目標軸受荷重Mx *
y * とが実現されるように制御トルクTx ,Ty がフ
ィードバック制御されるのである。それにより、相対角
誤差が0に近づくことと、軸受荷重誤差が0に近づくこ
ととが高いレベルで両立するように制御トルクTx ,T
y の大きさおよび向きが制御される。
【0055】このフィードバック制御において、フィー
ドバックゲイン、すなわち、相対角誤差および軸受荷重
誤差の変化に対する制御トルクTx ,Ty の算出値の変
化率を表す値を常に一定とすることは可能である。しか
しながら、ロータ78に発生するジャイロ効果は、ロー
タ角速度ωz が大きい場合において小さい場合における
より大きい。
【0056】そこで、本実施形態においては、フィード
バックゲインがロータ角速度ωz が大きい場合において
小さい場合におけるより大きくなる可変値とされてい
る。したがって、本実施形態によれば、ロータ角速度ω
z 、すなわち、ロータ78のジャイロ効果の強さとの関
係において適正な制御トルクTx ,Ty が算出され、フ
ライホイール支持状態の制御精度が向上するという効果
が得られる。
【0057】制御トルクTx ,Ty の算出は例えば次の
ようにして行われる。制御トルクTx ,Ty の算出につ
いてはPI制御が採用され、そのPI制御により、制御
トルクTX が次の式(5) を用いて算出される。
【0058】Tx =K1 (θx * −θxD)+K2 ∫(θ
x * −θxD)dt+K3 (θy * −θ yD)+K4 ∫(θy
* −θyD)dt+L1 θxD+L2 ∫θxDdt+L3 θyD+L
4 ∫θyDdt+K5 (Mx * −MxD)+K6 ∫(Mx *
xD)dt+K7 (My * −M yD)+K8 ∫(My * −M
yD)dt
【0059】また、制御トルクTy は次の式(6) を用い
て算出される。 Ty =K9 (θx * −θxD)+K10∫(θx * −θxD
dt+K11(θy * −θ yD)+K12∫(θy * −θyD)dt
+L9 θxD+L10∫θxDdt+L11θyD+L12∫θyDdt+
13(Mx * −MxD)+K14∫(Mx * −MxD)dt+K
15(My * −M yD)+K16∫(My * −MyD)dt
【0060】ただし、 ∫( )dt:時間t=0からtまでの区間での積分値 K1 〜K16:フィードバックゲイン L1 〜L4 ,L9 〜L12:係数
【0061】ここに、フィードバックゲインK1 〜K16
は、実験等によりチューニングされた値が使用される
が、固定値ではなく、ロータ角速度ωz に応じて変化す
る可変値とされている。ただし、フィードバックゲイン
1 〜K16は、メモリ容量節約のため、ロータ角速度ω
z の複数の代表値に対応した複数の離散値としてメモリ
に記憶されていて、ロータ角速度ωz の現在値が検出さ
れたならば、フィードバックゲインK1 〜K16の今回値
が上記複数の離散値を用いて補間により決定される。
【0062】例えば、ロータ角速度ωz の現在値が1
0,000〔rpm〕と20,000〔rpm〕との間
にあるときには、例えば、フィードバックゲインK1
ついては、そのフィードバックゲインK1 の離散値とし
て、ロータ角速度ωz が10,000〔rpm〕である
ときに対応する離散値K1 10,000 と20,000〔rp
m〕であるときに対応する離散値K1 20,000 とがメモリ
から読み出され、 K1 ={(K1 10,000 −K1 20,000 )/(10,000
−20,000)}(ωz −10,000)+K1
10,000 なる補間式を用いて、ロータ角速度ωz の現在値に対応
するフィードバックゲインK1 が決定される。
【0063】なお、制御トルクTx ,Ty は、フィード
バック制御理論またはPID制御理論以外の理論を用い
て算出することができ、例えば、現代制御理論を用いて
算出することができる。
【0064】ところで、車両挙動は、それ自体をセンサ
により検出することによって取得することが可能である
が、センサにより検出することが困難な種類の車両挙動
も存在する。また、車両挙動自体をセンサにより検出す
る場合には、検出値と実際値との間に時間的な遅れが存
在するため、目標値の決定精度を十分に向上させること
ができない可能性がある。
【0065】そこで、本実施形態においては、車両挙動
を変化させる一原因として車両操作量が検出され、その
車両操作量に基づいて車両挙動が推定され、その推定車
両挙動に基づいて各軸アクチュエータ100,110が
制御される。したがって、本実施形態によれば、フライ
ホイール支持状態を素早く制御可能となるという効果が
得られる。
【0066】なお、本実施形態においては、車両挙動を
変化させる一原因として車両操作量が検出されるように
なっているが、例えば、その車両操作量を発生させる一
原因である路面の突起,凹凸状態,左右方向傾斜状態
等、路面情報や、当該車両が将来走行すべき道路の屈曲
状態,前後方向傾斜状態等、道路情報を検出し、それに
基づいて現在の車両挙動または将来の車両挙動を推定
し、その車両挙動に基づいて各軸アクチュエータ10
0,110を制御してもよい。
【0067】しかし、車両操作量のみに基づいて車両挙
動を推定する場合には、その推定精度が低下する可能性
がある。
【0068】そこで、本実施形態においては、車両挙動
の実際値もセンサにより検出され、その検出値と推定値
との差である車両挙動誤差が0となるように車両挙動の
推定特性が適応させられる。したがって、本実施形態に
よれば、車両挙動を素早くかつ精度よく取得可能となる
という効果が得られる。
【0069】図10には、車両挙動を取得する一手法が
示されている。この手法においては、センサにより車両
操作量が検出されるとともに、車両への入力と車両から
の出力との関係を数式等で表す車両モデルが設定され、
その車両モデルの下、センサにより検出された車両操作
量に基づいて車両挙動が推定される。一方、センサによ
り車両挙動が検出され、その検出車両挙動と推定車両挙
動との差である車両挙動誤差に応じて適応機構が作動す
る。推定車両挙動は、修正機構により修正され、その修
正機構は、適応機構からの情報と検出車両挙動とに基づ
いて推定車両挙動を修正する。車両モデルにおける各種
パラメータは常に一定とは限らないため、推定車両挙動
を実際値に近づくように修正するのである。なお、修正
機構は、適応機構からの情報のみに基づいて推定車両挙
動を修正する態様とすることが可能であり、検出車両挙
動を考慮することは不可欠ではない。
【0070】これに対して、図11には、車両挙動を取
得する別の手法が示されている。この手法においては、
センサにより車両操作量が検出されるとともに、車両へ
の入力と車両からの出力との関係を記述する状態方程式
により定義されるオブザーバが設けられ、そのオブザー
バが、センサにより検出された車両操作量に基づいて作
動させられることにより、車両挙動が推定される。一
方、センサにより車両挙動が検出され、その検出車両挙
動と推定車両挙動との差である車両挙動誤差が0となる
ように、オブザーバにおける各種パラメータが適応させ
られる。
【0071】以上説明した制御原理に基づいてフライホ
イール支持状態を制御するため、コンピュータのROM
に図12にフローチャートで表されているアクチュエー
タ制御ルーチンが記憶されている。
【0072】本ルーチンは、車両走行中、繰り返し実行
される。各回の実行時にはまず、ステップS1(以下、
単に「S1」で表す。)において、前述のようにして、
必要なセンサからの信号に基づいて車両挙動が取得され
る。次に、S2において、前述のようにして、取得され
た車両挙動に基づき、相対角と軸受荷重とについて目標
値が決定される。その後、S3において、前述のように
して、必要なセンサからの信号に基づき、相対角と軸受
荷重とロータ角速度とについて検出値が取得される。続
いて、S4において、前述のようにして、決定された目
標値と取得された検出値とに基づき、各軸アクチュエー
タ100,110により実現すべき制御トルクが算出さ
れ、その後、S5において、算出された制御トルクが実
現されるように各軸アクチュエータ100,110が駆
動される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0073】以上の説明から明らかなように、本実施形
態によれば、フライホイール支持体64が完全に剛な状
態で支持されるわけではないため、ロータ78のジャイ
ロ効果が原因となってロータ78の軸受荷重が過大とな
ることが防止されるという効果が得られる。
【0074】図13には、本実施形態の一効果として、
振動が車体150からロータ78に伝達される際の振動
伝達特性が、フライホイール支持体64をスプリングに
より弾性支持する一従来例と対比してグラフで表されて
いる。本実施形態による振動伝達特性は実線グラフで、
従来例による振動伝達特性は破線グラフでそれぞれ表さ
れている。また、図の(a) には、車体150にx軸方向
に加えられた振動がロータ78にx軸方向に伝達される
場合の振動伝達特性が示され、図の(b) には、車体15
0にy軸方向に加えられた振動がロータ78にx軸方向
に伝達される場合の振動伝達特性が示され、図の(c) に
は、車体150にx軸方向に加えられた振動がロータ7
8にy軸方向に伝達される場合の振動伝達特性が示さ
れ、図(d)には、車体150にy軸方向に加えられた振
動がロータ78にy軸方向に伝達される場合の振動伝達
特性が示されている。
【0075】それらグラフから明らかなように、本実施
形態によれば、従来例と比較して、振動が車体150か
らロータ78に伝達され難くなり、ロータ78が共振し
し難くなって、ロータ78の防振機能が良好に実現され
るという効果が得られる。また、このようにロータ78
が効果的に防振されることによっても、軸受荷重Mの過
大化が防止されるという効果も得られる。
【0076】さらに、本実施形態によれば、その軸受荷
重の過大化防止という効果に基づき、ロータ78の軸受
80の大形化が防止されるという効果や、フライホイー
ル支持体64の大形化および重量増加が防止されるとい
う効果や、ロータ78の回転抵抗の増加によるロータ7
8の運動エネルギ損失量の増加が防止されるという効果
が得られる。
【0077】さらに、本実施形態によれば、フライホイ
ール支持体64が完全に軟な状態で支持されるわけでも
ないため、フライホイール支持体64と固定部材60と
の相対角の過大化が防止されるという効果が得られる。
【0078】さらに、本実施形態によれば、その相対角
の過大化防止という効果に基づき、フライホイール支持
体64の傾き量が減少し、フライホイール型エネルギ蓄
積装置の大形化および重量増加が防止されるという効果
が得られる。
【0079】図14には、別の実施形態であるフライホ
イール型エネルギ蓄積装置の機械的構成が示されてい
る。なお、本実施形態は、電気的構成については、先の
実施形態と共通であり、機械的構成については、x軸お
よびy軸力伝達機構のみが異なり、他の要素については
共通であるため、各軸力伝達機構のみを詳細に説明し、
他の要素については同一の符号を使用することによって
詳細な説明を省略する。
【0080】フライホイール支持状態を制御するため
に、先の実施形態においては、x軸およびy軸力伝達機
構102,112が、x軸およびy軸アクチュエータ1
00,110の作動力をローラによって可動部材84お
よびフライホイール支持体64に伝達する構造とされて
いたが、本実施形態においては、図14〜図16に示す
ように、x軸およびy軸力伝達機構300,302が、
x軸およびy軸アクチュエータ304,306の作動力
をワイヤ310,312によって可動部材84およびフ
ライホイール支持体64に伝達する構造とされている。
【0081】各軸力伝達機構300,302において
は、図14にy軸力伝達機構302のみが代表的に示さ
れているように、各軸アクチュエータ304,306が
固定部材60に固定的に取り付けられるとともに、複数
個のプーリ320が固定部材60に固定的に取り付けら
れ、それらプーリ320にワイヤ310,312が巻き
掛けられている。各ワイヤ310,312は、各軸アク
チュエータ304,306を駆動源とする各軸ワイヤ駆
動装置330,332によって正方向と逆方向とに駆動
される。すなわち、x軸力伝達機構300は、プーリ3
20とワイヤ310とx軸ワイヤ駆動装置330とによ
って構成され、一方、y軸力伝達機構302は、プーリ
320とワイヤ312とy軸ワイヤ駆動装置332とに
よって構成されているのである。
【0082】図15には、x軸力伝達機構300が断面
図で概念的に示されている。ワイヤ310の一端部(図
において右側の端部)は、固定部材60をy軸に沿って
負の向きに貫通し、固定部材60の内面に到達する。そ
の後、ワイヤ310の一端部は、固定部材60の内面に
沿って図において反時計方向に延び、固定部材60に取
り付けられたガイド340に巻き掛けられる。続いて、
ワイヤ310の一端部は、固定部材60と可動部材84
との隙間を通過し、可動部材84の外面に達し、その
後、その外面に沿って時計方向に延びて、y軸と一致す
る位置を超えた位置で固定されている。
【0083】なお、本実施形態においては、固定部材6
0と可動部材84との間においてワイヤ310が折れ曲
がる部位においてガイド340しか設けられていない
が、これは、可動部材84と固定部材60との隙間が実
際には極めて狭く、1個のガイド340で十分に機能す
ると考えられるためである。その機能をさらに高めるこ
とが必要である場合には例えば、ワイヤ310が可動部
材84の外面において折れ曲がる部位においてワイヤ3
10を案内する別のガイドを固定部材60に取り付ける
ことができる。
【0084】これに対して、ワイヤ310の他端部(図
において左側の端部)は、ワイヤ310の一端部の場合
とz軸に関して対称的に取り回されており、固定部材6
0,ガイド340および固定部材60と可動部材84と
の隙間を順に通過して可動部材84に固定されている。
【0085】したがって、x軸アクチュエータ304の
正方向作動が行われれば、ワイヤ310の一端部が固定
部材60から引き出される一方、ワイヤ310の他端部
が固定部材60内に引き込まれ、それにより、可動部材
84が反時計方向に回転させられる。これに対して、x
軸アクチュエータ306の逆方向作動が行われれば、上
記の場合とは逆に、可動部材84が時計方向に回転させ
られる。
【0086】図16には、y軸力伝達機構302が断面
図で概念的に示されている。このy軸力伝達機構302
はx軸力伝達機構300に準じた構成とされている。ワ
イヤ312の一端部(図において右側の端部)は、固定
部材60,固定部材60と可動部材84との隙間および
可動部材84を順にx軸に沿って正の向きに貫通し、可
動部材84の内面に到達する。その後、ワイヤ312の
一端部は、可動部材84の内面に沿って反時計方向に延
び、可動部材84に取り付けられたガイド344に巻き
掛けられる。さらに、ワイヤ312の一端部は、可動部
材84とフライホイール支持体64との隙間を通過し、
フライホイール支持体64の外面に到達し、その外面に
沿って時計方向に延びて、x軸と一致する位置を超えた
位置で固定されている。ガイド344の個数について
は、ガイド340の場合と事情は同じである。ワイヤ3
12の他端部(図において左側の端部)は、ワイヤ31
2の一端部の場合とz軸に関して対称的に取り回されて
いる。
【0087】したがって、y軸アクチュエータ306の
正方向作動が行われれば、図17に示すように、ワイヤ
312の一端部が固定部材60から引き出される一方、
ワイヤ312の他端部が固定部材60内に引き込まれ、
それにより、フライホイール支持体64が反時計方向に
回転させられる。これに対して、y軸アクチュエータ3
06の逆方向作動が行われれば、上記の場合とは逆に、
フライホイール支持体64が時計方向に回転させられ
る。
【0088】図18には、x軸アクチュエータ304と
x軸ワイヤ駆動装置330とが示されている。
【0089】x軸アクチュエータ304は、パルスモー
タ350と減速ギヤ352と直線運動部材354とを含
むように構成されている。パルスモータ350は固定部
材60に固定的に取り付けられ、そのパルスモータ35
0の回転軸に小歯車358が取り付けられている。その
小歯車358にかみ合う大歯車360が固定部材60に
回転可能に取り付けられており、それら小歯車358と
大歯車360とによって減速ギヤ352が構成されてい
る。直線運動部材354は、本実施形態においては、大
歯車360の外周の一部分として設けられていて、パル
スモータ350の回転によって疑似的な直線運動を行わ
せられる。
【0090】x軸ワイヤ駆動装置330は、直線運動部
材354の運動をワイヤ310の運動に変換する運動変
換機構364を備えている。運動変換機構364は、固
定部材60に直線運動可能に支持され、直線運動部材3
54と共に直線運動する駆動ラック366と、固定部材
60に回転可能に取り付けられたピニオン368と、固
定部材60に直線運動可能に支持され、ワイヤ310と
共に直線運動する従動ラック370とを備えている。駆
動ラック366と従動ラック370とはいずれれピニオ
ン368にかみ合わせられていて、駆動ラック366の
直線運動がピニオン368によって従動ラック370の
直線運動に変換される。
【0091】直線運動部材354は、第1コイルばね3
74を介して固定部材60と連結される一方、第2コイ
ルばね376を介して駆動ラック366と連結されてい
る。すなわち、第1コイルばね374がx軸アクチュエ
ータ304との関係において並列弾性部材として機能
し、第2コイルばね376がx軸アクチュエータ304
との関係において直列弾性部材として機能するようにな
っているのである。図19には、それらx軸アクチュエ
ータ304,第1コイルばね374および第2コイルば
ね376と、固定部材60と、可動部材84(x軸アク
チュエータ304によって駆動される部材)との関係が
概念的に示されている。
【0092】したがって、本実施形態によれば、x軸ア
クチュエータ304が故障によりフリーになってしまっ
た場合には、第1コイルばね374の効果により、相対
角θが過大にならずに済み、また、x軸アクチュエータ
304が故障によりロックしてしまった場合には、第2
コイルばね376の効果により、可動部材84の支持状
態が完全に剛な状態にならずに軸受荷重Mが過大になら
ずに済む。すなわち、x軸アクチュエータ304の故障
に対する救済措置が講じられているのである。
【0093】また、本実施形態においては、第1コイル
ばね374の弾性係数が第2コイルばね376の弾性係
数より低くされている。したがって、本実施形態によれ
ば、弾性係数が第1コイルばね374と第2コイルばね
376とで等しいか、または第1コイルばね374の方
が高い場合に比較して、x軸アクチュエータ304が故
障によりロックしてしまった場合における相対角の増加
量を少なく抑えることが容易になるという効果が得られ
る。
【0094】y軸アクチュエータ306およびy軸ワイ
ヤ駆動装置332の構造は、x軸アクチュエータ304
およびx軸ワイヤ駆動装置330に準じた構造であるた
め、文章および図示による説明を省略する。
【0095】図20には、さらに別の実施形態であるフ
ライホイール型エネルギ蓄積装置の機械的構成が示され
ている。なお、本実施形態は、電気的構成については、
先の二つの実施形態と共通であり、機械的構成について
は、各軸ワイヤ駆動装置のみが異なり、他の要素につい
ては共通であるため、各軸ワイヤ駆動装置のみを詳細に
説明し、他の要素については同一の符号を使用すること
によって詳細な説明を省略する。
【0096】図20には、x軸アクチュエータ304と
x軸ワイヤ駆動装置400とが示されている。
【0097】本実施形態においては、ワイヤ310が、
図18に示す先の実施形態とは異なり、中間部において
二分割され、第1分割端部404(図において右側の端
部)が固定部材60に連結される一方、第2分割端部4
06(図において左側の端部)が直線運動部材354に
連結されている。x軸ワイヤ駆動装置400は、直線運
動部材354の運動をワイヤ310の運動に変換する運
動変換機構として、第1分割端部404の経路の向きを
変えるプーリ410と、第2分割端部406の経路の向
きを変えるプーリ412とを備えている。それらプーリ
410,412はいずれも固定部材60に回転可能に取
り付けられている。
【0098】第1分割端部404は、第1コイルばね4
20を介して固定部材60に連結されている。また、直
線運動部材354は、第2コイルばね422を介して固
定部材60に連結されている。また、第2分割端部40
6は、第3コイルばね424を介してプーリ412に連
結されている。第1コイルばね420はx軸アクチュエ
ータ304との関係において直列弾性部材として機能
し、第2コイルばね422は並列弾性部材として機能
し、第3コイルばね424は直列弾性部材として機能す
るようになっているのである。図21には、それらx軸
アクチュエータ304,第1コイルばね420,第2コ
イルばね422および第3コイルばね424と固定部材
60と可動部材84(x軸アクチュエータ304によっ
て駆動される部材)との関係が概念的に示されている。
【0099】したがって、本実施形態によれば、x軸ア
クチュエータ304が故障によりフリーになってしまっ
た場合には、第2コイルばね422の効果により、相対
角θが過大にならずに済み、また、x軸アクチュエータ
304が故障によりロックしてしまった場合には、第1
コイルばね420および第3コイルばね424の効果に
より、可動部材84の支持状態が完全に剛な状態になら
ずに軸受荷重Mが過大にならずに済む。すなわち、本実
施形態においても、x軸アクチュエータ304の故障に
対する救済措置が講じられているのである。
【0100】y軸アクチュエータおよびy軸ワイヤ駆動
装置の構造は、x軸アクチュエータ304およびx軸ワ
イヤ駆動装置400に準じた構造であるため、文章およ
び図示による説明を省略する。
【0101】図22および図23には、さらに別の実施
形態であるフライホイール型エネルギ蓄積装置の機械的
構成が示されている。なお、本実施形態は、電気的構成
については、先の二つの実施形態と共通であり、機械的
構成については、ワイヤの取り回しのみが異なり、他の
要素については共通であるため、ワイヤの取り回しのみ
を詳細に説明し、他の要素については同一の符号を使用
することによって詳細な説明を省略する。なお、各軸ア
クチュエータおよび各軸ワイヤ駆動装置については、図
18に示す構造としたり、図20に示す構造とすること
ができる。
【0102】図22には、x軸ワイヤ駆動装置450に
より駆動されるワイヤ310の取り回しが示されてい
る。ワイヤ310の一端部(図において右側の端部)
は、固定部材60および固定部材60と可動部材84と
の隙間をy軸に沿って負の向きに貫通し、可動部材84
の外面に到達した後、固定部材60に取り付けられたガ
イド452に巻き掛けられ、その後、可動部材84の外
面に沿って時計方向に延び、その後、可動部材84に固
定されている。これに対して、ワイヤ310の他端部
(図において左側の端部)は、ワイヤ310の一端部の
場合とz軸に関して対称的に取り回されている。したが
って、x軸アクチュエータ304の正方向作動が行われ
れば、可動部材84が反時計方向に回転させられ、逆方
向作動が行われれば、可動部材84が時計方向に回転さ
せられる。
【0103】これに対して、図23には、y軸ワイヤ駆
動装置460により駆動されるワイヤ312の取り回し
が示されている。ワイヤ312の一端部(図において右
側の端部)は、固定部材60,固定部材60と可動部材
84との隙間,可動部材84および可動部材84とフラ
イホイール支持体64との隙間を順にx軸に沿って負の
向きに貫通し、フライホイール支持体64の外面に到達
した後、可動部材84に取り付けられたガイド462に
巻き掛けられ、その後、フライホイール支持体64の外
面に沿って時計方向に延び、その後、フライホイール支
持体64に固定されている。ワイヤ312の他端部(図
において左側の端部)は、ワイヤ312の一端部の場合
とz軸に関して対称的に取り回されている。したがっ
て、y軸アクチュエータ306の正方向作動が行われれ
ば、フライホイール支持体64が反時計方向に回転させ
られ、逆方向作動が行われれば、フライホイール支持体
64が時計方向に回転させられる。
【0104】なお付言すれば、上述のいくつかの実施形
態においてワイヤ310,312は、各軸アクチュエー
タ300,304により発生させられた力を自由な伝達
経路を経て可動部材68およびフライホイール支持体6
4に伝達する力伝達媒体として使用されているが、ワイ
ヤ310,312に代えてベルトを使用したり、チェー
ンを使用することができる。
【0105】図24には、さらに別の実施形態であるフ
ライホイール型エネルギ蓄積装置の機械的構成が示され
ている。なお、本実施形態は、電気的構成については、
先の四つの実施形態と共通であり、機械的構成について
のみが異なるため、機械的構成のみを詳細に説明し、電
気的構成については同一の符号を使用することによって
詳細な説明を省略する。
【0106】本実施形態であるフライホイール型エネル
ギ蓄積装置は、フライホイール支持体500を備えてい
る。フライホイール支持体500は、図25に示すよう
に、ハウジング502を備えており、そのハウジング5
02内にフライホイール504が収容されている。フラ
イホイール504の両側から一対の回転軸506,50
7が同軸に延び出させられており、各回転軸506は各
軸受508,509を介してハウジング502に回転は
許容される軸方向移動は制限された状態で支持されてい
る。各軸受508,509は、フライホイール504の
ラジアル荷重とスラスト荷重との双方を受ける。
【0107】フライホイール支持体500は、モータ/
発電機510を備えている。モータ/発電機510は、
回転軸506に同軸に連結された状態でハウジング50
2に取り付けられている。モータ/発電機510は、ス
テータとロータとを有するとともに、モータとして機能
することにより、フライホイール504に蓄積された運
動エネルギを電気エネルギに変換する状態と、発電機と
して機能することにより、電気エネルギを運動エネルギ
に変換してフライホイール504に蓄積する状態とに切
り換わる。
【0108】フライホイール支持体500はまた、フラ
イホイール504がハウジング502内において傾くこ
とがなく、正常に回転する場合には機能しないが、軸受
508,509の損傷によってフライホイール504が
ハウジング502内において傾いたときに機能し、フラ
イホイール504が直接にハウジング502に当接する
ことを防止するとともにフライホイール504がある程
度にはスムーズに回転することを保証するフェールセー
フ機構514を備えている。そのフェールセーフ機構5
14は例えば、タッチダウンベアリングである。
【0109】なお、本実施形態においては、フライホイ
ールとして機能する部材はフライホイール504の他に
も存在し、一対の回転軸506,507およびモータ/
発電機510のロータもフライホイールとして機能す
る。
【0110】図24に示すように、フライホイール型エ
ネルギ蓄積装置は、車体に固定的に取り付けられる固定
部材520を備えている。その固定部材520とフライ
ホイール支持体500とは支持機構522により、x軸
回りの相対回転可能かつy軸回りの相対回転に互いに連
結されている。支持機構522は、可動部材524を備
えている。可動部材524は、固定部材520とx軸回
りに回転可能に連結されるとともに、フライホイール支
持体500とy軸回りに回転可能に連結されている。
【0111】図26に示すように、支持機構522はさ
らに、x軸に沿って同軸に延びる第1支持軸528と第
2支持軸530とを備えている。第1支持軸528は、
x軸方向における一側において、可動部材524を固定
部材520に相対回転可能に連結し、一方、第2支持軸
530は、x軸方向における他側において、可動部材5
24を固定部材520に相対回転可能に連結する。各支
持軸528,530は、固定部材520の側からその固
定部材520に固定の各ブラケット532,534を貫
通して可動部材524に到達しており、各ブラケット5
32,534に取り付けられた各軸受536,538
と、可動部材524に取り付けられた各軸受540,5
42とを介して固定部材520と可動部材524とに支
持されている。
【0112】固定部材520と可動部材524とのx軸
相対回転はそのような構造により実現されるが、可動部
材524とフライホイール支持体500とのy軸相対回
転もそれに準じた構造により実現される。具体的には、
図27に示すように、支持機構522が、y軸に沿って
同軸に延びる第3支持軸546と第4支持軸548とを
備えるとともに、第3支持軸546は、y軸方向におけ
る一側において、可動部材524をフライホイール支持
体500に相対回転可能に連結し、一方、第4支持軸5
48は、y軸方向における他側において、可動部材52
4をフライホイール支持体500に相対回転可能に連結
する。各支持軸546,548は、可動部材524の側
からその可動部材524を貫通してフライホイール支持
体500に到達しており、可動部材524に取り付けら
れた各軸受550,552と、フライホイール支持体5
00に取り付けられた各軸受554,556とを介して
可動部材524とフライホイール支持体500とに支持
されている。
【0113】図24に示すように、フライホイール型エ
ネルギ蓄積装置はまた、x軸アクチュエータ560とy
軸アクチュエータ562とを備えている。
【0114】x軸アクチュエータ560は、図26に示
すように、固定部材520にx軸方向における一側にお
いてx軸と同軸となる姿勢で固定的に取り付けられてい
る。x軸アクチュエータ560は、第1回転軸566を
備えているが、その第1回転軸566は前記第1支持軸
528と一体的に設けられている。これに対して、y軸
アクチュエータ562は、図27に示すように、可動部
材524にy軸方向における一側においてy軸と同軸と
なる姿勢で固定的に取り付けられている。y軸アクチュ
エータ562は、第2回転軸568を備えているが、そ
の第2回転軸568は前記第3支持軸546と一体的に
設けられている。
【0115】図26に示すように、x軸アクチュエータ
560の第1回転軸566と可動部材524とは、第1
回転軸566の位置においてそれと同軸に設けられた第
1ねじりばね570により互いに連結されている。第1
回転軸566と可動部材524との相対回転が抑制さ
れ、それにより、x軸アクチュエータ560の作動力が
第1ねじりばね570により可動部材524に伝達され
るようになっているのである。すなわち、第1ねじりば
ね570が、x軸力伝達機構を構成しているのである。
また、可動部材524と固定部材520とは、第2支持
軸530の位置においてそれと同軸に設けられた第2ね
じりばね572により互いに連結されている。可動部材
524と固定部材520との相対回転が抑制されている
のである。すなわち、第1ねじりばね570が、x軸ア
クチュエータ560との関係において直列弾性部材とし
て機能し、第2ねじりばね572が、並列弾性部材とし
て機能するようになっているのである。
【0116】x軸相対回転およびx軸アクチュエータ5
60の作動力伝達はそのような構造により実現される
が、y軸相対回転およびy軸アクチュエータ562の作
動力伝達もそれに準じた構造により実現される。
【0117】すなわち、図27に示すように、y軸アク
チュエータ562の第2回転軸568とフライホイール
支持体500とは、第2回転軸568の位置においてそ
れと同軸に設けられた第3ねじりばね574により互い
に連結されている。第2回転軸568とフライホイール
支持体500との相対回転が抑制され、それにより、y
軸アクチュエータ562の作動力が第3ねじりばね57
4によりフライホイール支持体500に伝達されるよう
になっているのである。すなわち、第3ねじりばね57
4が、y軸力伝達機構を構成しているのである。また、
可動部材524とフライホイール支持体500とは、第
4支持軸548の位置においてそれと同軸に設けられた
第4ねじりばね576により互いに連結されている。可
動部材524とフライホイール支持体500との相対回
転が抑制されているのである。すなわち、第3ねじりば
ね574が、y軸アクチュエータ562との関係におい
て直列弾性部材として機能し、第4ねじりばね576
が、並列弾性部材として機能するようになっているので
ある。
【0118】以上、本発明のいくつかの実施形態を図面
に基づいて詳細に説明したが、これらの他にも、特許請
求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて
種々の変更,改良を施した形態で本発明を実施すること
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるフライホイール型エ
ネルギ蓄積装置が搭載されたハイブリッド電気自動車の
構成を概念的に示すブロック図である。
【図2】そのハイブリッド電気自動車におけるエンジン
の使用状態とフライホイール型エネルギ蓄積装置の使用
状態との関係を説明するためのグラフである。
【図3】上記フライホイール型エネルギ蓄積装置を示す
斜視図である。
【図4】図3におけるフライホイール支持体を示す断面
図である。
【図5】上記フライホイール型エネルギ蓄積装置におけ
る支持機構を示す平面図である。
【図6】上記フライホイール型エネルギ蓄積装置におけ
るx軸アクチュエータとx軸力伝達機構とを示す断面図
である。
【図7】上記フライホイール型エネルギ蓄積装置におけ
るy軸アクチュエータとy軸力伝達機構とを示す断面図
である。
【図8】上記フライホイール型エネルギ蓄積装置におけ
る支持状態制御装置の電気的構成を示すブロック図であ
る。
【図9】図8におけるコントローラによりフライホイー
ル支持状態が制御される原理を示す工程図である。
【図10】図9における車両挙動の取得工程の詳細の一
例を示す工程図である。
【図11】図9における車両挙動の取得工程の詳細の別
の例を示す工程図である。
【図12】図8におけるコントローラのコンピュータの
ROMに記憶されているルーチンのうち本発明と関連が
深いものを示すフローチャートである。
【図13】上記実施形態の一効果を一従来例との対比に
おいて説明するためのグラフである。
【図14】本発明の別の実施形態であるフライホイール
型エネルギ蓄積装置を示す斜視図である。
【図15】そのフライホイール型エネルギ蓄積装置にお
けるx軸アクチュエータとx軸力伝達機構とを示す断面
図である。
【図16】そのフライホイール型エネルギ蓄積装置にお
けるy軸アクチュエータとy軸力伝達機構とを示す断面
図である。
【図17】そのy軸力伝達機構の作動状態の一例を示す
断面図である。
【図18】上記フライホイール型エネルギ蓄積装置にお
けるx軸アクチュエータとx軸ワイヤ駆動装置とを示す
正面図である。
【図19】上記フライホイール型エネルギ蓄積装置の力
伝達系を概念的に示す図である。
【図20】本発明のさらに別の実施形態であるフライホ
イール型エネルギ蓄積装置におけるx軸アクチュエータ
とx軸ワイヤ駆動装置とを示す正面図である。
【図21】そのフライホイール型エネルギ蓄積装置の力
伝達系を概念的に示す図である。
【図22】本発明のさらに別の実施形態であるフライホ
イール型エネルギ蓄積装置におけるx軸アクチュエータ
とx軸力伝達機構とを示す断面図である。
【図23】そのフライホイール型エネルギ蓄積装置にお
けるy軸アクチュエータとy軸力伝達機構とを示す断面
図である。
【図24】本発明のさらに別の実施形態であるフライホ
イール型エネルギ蓄積装置を示す斜視図である。
【図25】そのフライホイール型エネルギ蓄積装置にお
けるフライホイール支持体を示す断面図である。
【図26】上記フライホイール型エネルギ蓄積装置にお
ける支持機構のうちx軸相対回転を実現する部分を示す
断面図である。
【図27】その支持機構のうちy軸相対回転を実現する
部分を示す断面図である。
【符号の説明】
20 フライホイール型エネルギ蓄積装置 60,520 固定部材 64,500 フライホイール支持体 68,522 支持機構 70 支持状態制御装置 80,508,509 軸受 78 ロータ 84,524 可動部材 100,304,560 x軸アクチュエータ 102,300,400 x軸力伝達機構 110,306,562 y軸アクチュエータ 112,302 y軸力伝達機構 374,400 第1コイルばね 376,422 第2コイルばね 310,312 ワイヤ 424 第3コイルばね 504 フライホイール 510 モータ/発電機 528,530,546,548 第1ないし第4支持
軸 570,572,574,576 第1ないし第4ねじ
りばね

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両に位置固定に設けられる固定部材と、 自身の慣性により回転し続けることによって運動エネル
    ギを蓄積するフライホイールと、 軸受を介してそのフライホイールをそれのスピン軸線回
    りに回転可能に支持するフライホイール支持体と、 そのフライホイール支持体と前記固定部材との間に設け
    られ、フライホイール支持体を前記スピン軸線が空間内
    において任意の方向を取り得るように固定部材に対して
    回転可能に支持する支持機構と、 前記フライホイールとフライホイール支持体との間に設
    けられ、フライホイールの回転により回転させられるこ
    とにより、電気エネルギを発生させる発電機とを含み、
    フライホイールに蓄積された運動エネルギを必要に応じ
    て電気エネルギに変換して出力するフライホイール型エ
    ネルギ蓄積装置において、 前記車両の挙動と前記フライホイールの挙動との少なく
    とも一方に関連する情報に基づき、前記支持機構による
    前記フライホイール支持体の支持状態を、前記軸受が前
    記フライホイールから受ける荷重と、フライホイールの
    前記固定部材に対する相対角とがいずれも各目標状態と
    なるように制御する支持状態制御装置を設けたことを特
    徴とするフライホイール型エネルギ蓄積装置。
  2. 【請求項2】前記支持状態制御装置が、(a) 外部からの
    信号に応じて力を発生させるアクチュエータと、(b) そ
    のアクチュエータと前記支持機構との間にアクチュエー
    タと直列に設けられてアクチュエータにより発生させら
    れた力を支持機構に伝達する直列弾性部材と、(c) 前記
    アクチュエータと並列に設けられた並列弾性部材とを含
    む請求項1に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装
    置。
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