JP3562221B2 - ハンダコテの加熱構造およびハンダ付け装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハンダコテを加熱する加熱構造およびそれを用いたハンダ付け装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のハンダ付け装置、例えばハンダ付けロボットによって自動的にハンダ付けを行う自動ハンダ付け装置のハンダヘッド付近が、図10に示されている。
【0003】
ハンダコテ100は、その外周に円筒状のヒータ111が装着される一方、ハンダヘッド101に保持されており、このハンダヘッド101の基部は、図示しないハンダ付けロボットのロボットアームに取り付けられており、ロボットアームの動きによってハンダコテ100が所定のハンダ付け箇所に導かれるようになっている。
【0004】
ハンダ心線(糸ハンダ)を、ハンダコテ100の先端部に自動供給する供給ノズル102は、供給ホルダ103を介して支持棒104に取り付けられており、この支持棒104は、ハンダヘッド101の突出した保持部105に保持されている。
【0005】
かかる自動ハンダ付け装置では、ハンダヘッド101に保持されたハンダコテ100が所定のハンダ付け箇所に導かれ、供給ノズル102からハンダコテ100の先端部に所定の供給角度でハンダ心線が自動供給されてハンダ付けされる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、このようなハンダ付け装置におけるハンダコテ100の加熱は、上述の図10および図11の断面図に示されるように、ハンダコテ100の外周に、円筒状のヒータ111を配置して加熱する外周加熱、あるいは、図12の断面図に示されるように、中心部に温度センサ117を備えるヒータ113を、ハンダコテ112の内部に配置してハンダコテ112の内部から加熱する内部加熱、あるいは、図13の断面図に示されるように、ハンダコテ114の内部に高周波誘導コイル115が巻回されたヒータ部としての特殊合金116を配設して高周波の電磁誘導によって加熱する高周波誘導加熱のいずれかによって行われる。
【0007】
本件発明者は、これら三種類の加熱について、その特性を以下のようにして評価した。
【0008】
すなわち、図14に示されるように、室温から設定温度(400°C)までハンダコテを加熱し、ハンダコテのコテ先に試験片を接触保持させたときのコテ先の温度変化を測定し、加熱を開始してから設定温度に達するまでの立ち上がり時間、試験片の接触によって設定温度から降下した熱下降温度および試験片の接触を開始してから再び設定温度に回復するまでの熱回復時間を、上述の内部加熱、外周加熱および高周波誘導加熱の三種類について測定した。図15〜図17にその測定結果を示す。
【0009】
コテ先温度の立ち上がり時間は、図15に示されるように、高周波誘導加熱が最も短く優れており、熱下降温度は、図16に示されるように、外周加熱が最も小さく優れており、さらに、コテ先の熱回復時間は、図17に示されるように内部加熱が最も短く優れている。
【0010】
以上のように、従来例の加熱構造は、それぞれ一長一短があり、特に、高速なハンダ付け作業においては、熱降下温度が大きくて、熱回復時間が長いと、コテ先の温度が低下してしまって安定なハンダ付け品質を確保できないといった難点がある。
【0011】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、従来例の加熱構造の短所を補って高速なハンダ付け作業においても、安定なハンダ付け品質を確保できるようにすることを主たる目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上述の目的を達成するために、次のように構成している。
【0013】
すなわち、本発明のハンダコテの加熱構造は、ハンダコテの外周に装着された円筒状のヒータにより前記ハンダコテを加熱する外周加熱、および、前記ハンダコテの内部に高周波誘導コイルが巻回されたヒータ部を配置し、該ヒータ部の高周波誘導により前記ハンダコテを加熱する高周波加熱を併用するものである。
【0015】
本発明のハンダ付け装置は、本発明に係るハンダコテの加熱構造を備えるものである。
【0017】
本発明のハンダコテの加熱構造によれば、ハンダコテの外周に装着された円筒状のヒータにより前記ハンダコテを加熱する外周加熱、および、前記ハンダコテの内部に高周波誘導コイルが巻回されたヒータ部を配置し、該ヒータ部の高周波誘導により前記ハンダコテを加熱する高周波加熱を併用するので、各加熱の短所を補って、立ち上がり時間や熱降下温度といった特性を改善することができる。
【0018】
また、外周加熱および高周波誘導加熱を併用しているので、ハンダコテのコテ先温度の立ち上がり時間を短く、かつ、熱下降温度を小さくできることになり、特に高速なハンダ付けにおけるコテ先温度の低下を抑制できることになる。
【0019】
本発明のハンダ付け装置によれば、コテ先温度の要求特性に応じたハンダ付けを行うことができ、特に、高速なハンダ付けにおけるコテ先温度の低下を抑制して安定なハンダ付け品質を確保できることになる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面によって本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の一つの実施の形態のハンダコテの加熱構造を備えた自動ハンダ付け装置を用いたシステムの構成図である。
【0023】
このハンダ付けシステムは、ハンダコテ1およびハンダコテ1にハンダ心線を供給する供給ノズル2等が後述のように配設されたハンダ付けロボット3と、該ロボット3の動きを制御するロボットコントローラ4と、ハンダ心線の供給やハンダコテ1の温度を測定する温度センサの出力に基づいてハンダコテ1の温度制御などを行うハンダ付けコントローラ5と、両コントローラ4,5を所定の手順で制御するシーケンサ6と、ハンダ付け対象物を撮像するCCDカメラ7と、このCCDカメラ7からの撮像信号を画像処理するとともに、その画像処理情報と、前記ハンダ付け対象物のCAD情報、すなわち、ハンダ付け対象物の設計上の位置情報とをマッチング処理してハンダ付け位置を補正するための補正値を演算して前記ロボットコントローラ4に与えるコンピュータ8とを備えている。
【0024】
図2は、図1のハンダコテ1の拡大断面図である。
【0025】
この実施の形態のハンダコテ1の加熱構造は、外周加熱と高周波誘導加熱とを併用した構造となっており、ハンダコテ1の外周には、円筒状のヒータ55が装着される一方、ハンダコテ1の内部には、高周波誘導コイル56が巻回されたヒータ部となる特殊合金57が配設されており、高周波誘導コイル56は、図示しない高周波電源に接続されている。なお、図2において、58は、ヒータ55を構成するヒータ線、59は、ステンレススチール製のパイプ、60は、ヒータ55の先端部に配置された温度センサである。
【0026】
このように外周加熱と高周波の電磁誘導による高周波誘導加熱とを併用しているので、上述の図15に示されるように、コテ先温度の立ち上がり時間を短くできるとともに、上述の図16に示されるように、コテ先の熱下降温度を小さくすることができ、これによって、高速なハンダ付けを行った場合に、コテ先の温度の低下を抑制することができ、安定したハンダ付け品質を確保できることになる。
【0027】
この実施の形態では、外周加熱と高周波誘導加熱とを併用したけれども、本発明の他の実施の形態として、さらに、内部加熱を併用してもよい。
【0028】
図3は、図1のハンダヘッド付近の部分断面図である。
【0029】
この実施の形態の自動ハンダ付け装置は、ヒータ55等の上述の加熱構造を有するハンダコテ1と、このハンダコテ1を保持するハンダヘッド10と、このハンダヘッド10を後述のように、一定の範囲内でハンダコテ1の軸方向(図3の上下方向)に沿って変位可能に保持するとともに、ハンダ付けロボット3のロボットアーム11の先端部に、連結軸12等を介して連結された保持プレート13と、ハンダコテ1の先端にハンダ心線を供給するハンダ心線送り装置としての供給ノズル2と、この供給ノズル2を保持する供給ホルダ14を、支持棒15を介して保持する保持部材16と、この保持部材16を、ハンダコテ1の軸線Pを中心とする周方向の任意の位置に回動させる回動機構17とを備えており、ハンダヘッド10に保持されたハンダコテ1は、ロボットアーム11の動きによって所定のハンダ付け箇所に導かれる。
【0030】
この実施の形態では、ハンダコテ1に対する供給ノズル2の位置、すなわち、ハンダ心線の供給位置を、従来のように、作業者が、供給ホルダ14のネジ18等を緩めて手動調整することなく、ハンダコテ1の軸方向に沿って自動調整できるように構成している。
【0031】
すなわち、この実施の形態では、ハンダ付けロボット3のロボットアーム11の先端部に、連結軸12等を介して固定的に取り付けられている保持プレート13に対して、ハンダコテ1を保持するハンダヘッド10が、ハンダコテ1の軸方向に一定の範囲Wで変位可能に取り付けられている。ハンダヘッド10は、保持プレート13と一体的な一対のガイドシャフト19に支持されており、これらのガイドシャフト19が挿通するハンダヘッド10の挿通孔20の内部には、ガイドシャフト19に外嵌されたバネ21が収納されており、ハンダコテ1の先端を、ハンダ付け対象物22に押圧することにより、前記バネ21の付勢力に抗してハンダヘッド10が、保持プレート13の端面に当接するまでの範囲Wに亘って変位できるように構成されている。
【0032】
一方、ハンダ心線を供給する供給ノズル2は、供給ホルダ14、支持棒15および保持部材16を介してハンダコテ1の軸方向に沿う一定の固定位置に保持されており、従来のように作業者が供給ホルダ14のネジ18等を緩めて手動調整しない限り、ハンダコテ3の軸方向に沿う位置は一定となっている。
【0033】
したがって、ハンダコテ1の先端を、ハンダ付け対象物22に押圧させる押圧量を可変することにより、ハンダヘッド10、したがってハンダコテ1がガイドシャフト19に沿って変位する変位量を可変することができ、これによって、例えば図4(a),(b)に示されるように、ハンダコテ1の先端から供給ノズル2の先端までのハンダコテ1の軸方向に沿う距離D、すなわち、ハンダコテ1に対する供給ノズル2の供給位置を、ハンダコテ1の軸方向に沿って可変できることになる。
【0034】
そこで、この実施の形態では、ハンダ付けロボット3のロボットアーム11の動きを指定するためのロボットアーム11の座標位置を、ロボットコントローラ4で数値として入力する際に、ハンダコテ1をハンダ付け対象物22に押圧させてハンダコテ1をその軸方向に沿って変位させる変位量が、所望の変位量、したがって、ハンダコテ1に対する供給ノズル2の位置が所望の供給位置になるように入力するものである。
【0035】
例えば、ハンダコテ1の先端から供給ノズル2の先端までの軸方向に沿う距離Dを大きくしたいときには、ロボットアーム11の座標位置を、ハンダ付け対象物22への押圧量が少なくなるように入力することにより、ハンダ付けの対象物22にハンダコテ1が当接することによるハンダヘッド10の変位量が少なくなり、ハンダコテ1の先端から供給ノズル2の先端までの距離Dが、図4(a)に示されるように大きくなり、逆に、ハンダコテ1の先端から供給ノズル2の先端までの距離Dを小さくしたいときには、ロボットアーム11の座標位置を、ハンダ付け対象物22への押圧量が大きくなるように入力することにより、ハンダ付けの対象物22にハンダコテ1が押圧されることによるハンダヘッド10の変位量が大きくなり、ハンダコテ1の先端から供給ノズル2の先端までの距離Dが、図4(b)に示されるように小さくなる。
【0036】
このようにロボットアーム11の動きを指定する座標を数値として入力することにより、すなわち、ロボットコントローラ4に対するプログラムによって、ハンダコテ1に対する供給ノズル2の位置を可変設定することができ、従来例のように、作業者が供給ホルダのネジ等を緩めて手動で供給ノズルの位置を調整するといった面倒な操作を必要とすることなく、ハンダ付けを行う箇所に応じて、最適な供給位置でハンダ心線を供給できることになる。
【0037】
すなわち、多種類の様々なハンダ付け箇所に迅速に対応させることができ、作業者による面倒な供給位置の手動変更操作を省略でき、ハンダ付け品質が安定して常に円滑に効率よく自動ハンダ付けを行うことができる。
【0038】
さらに、この実施の形態では、ハンダ付け箇所の手前に障害物がある場合やハンダ心線の供給角度に制約があるような場合に、それらを回避してハンダ付けを行えるようにするために、ハンダ心線を供給する供給ノズル2を、ハンダコテ1の軸線Pを中心とする周方向の任意の位置に回動させる回動機構17を備えている。
【0039】
この回動機構17は、図3に示されるようにロボットアーム11の連結部に取り付けられた支持アーム23に支持された正逆回転するステッピングモータ24と、このステッピングモータ24によって回転駆動される駆動プーリ25と、この駆動プーリ25との間でタイミングベルト26が巻掛けられて駆動プーリ25に従動して回転する従動プーリ27と、この従動プーリ27と一体に回転するとともに、供給ノズル2を保持する保持部材16が取り付けられた回転体28と、この回転体28の回転位置を検出する回転位置検出センサ29とを備えており、従動プーリ27とハンダヘッド10が取り付けられている連結軸12との間には、ベアリング30が介装されており、連結軸12は回転しないように構成されている。
【0040】
この回動機構17では、ステッピングモータ24の正方向あるいは逆方向の回転によって駆動プーリ25が回転駆動され、この駆動プーリ25の回転に従動して従動プーリ27が回転するとともに、この従動プーリ27と一体的な回転体28が回転して供給ホルダ14および該ホルダ14に保持された供給ノズル2が、図3の仮想線で示されるように、ハンダコテ1の軸線P回りに回動するものであり、ステッピングモータ24の制御、すなわち、供給ノズル2の回動位置の制御は、シーケンサ6によって行われる。
【0041】
この回動機構17によって、供給ノズル2を、ハンダコテ1を中心とする周方向の最適な位置に回動させてハンダ心線を供給してハンダ付けを行うものである。
【0042】
このハンダ付けの作業プロセスの一例を説明すると、先ず、ハンダコテ1のコテ先に、後述のエアーブローノズルなどによってエアーを吹き付けて洗浄し、ハンダコテ1をハンダ付けを行う箇所に当てる直前に、一次ハンダを供給してコテ先を濡らし、ハンダを介して熱を伝えてそのままの状態で予熱した後、二次ハンダを供給してハンダコテ1をハンダ付けを行う箇所に当てて加熱することにより、ハンダ付けを行うものである。
【0043】
なお、本発明の他の実施の形態として、回動機構17を省略し、従来と同様に、供給ノズル2を固定位置に設けてもよい。
【0044】
また、本発明の他の実施の形態として、正方向または逆方向の一方向のみに供給ノズル2を回転させるようにしてもよい。
【0045】
また、回動機構17は、モータやプーリに代えてシリンダやギア等で構成してもよい。
【0046】
(実施の形態2)
図5は、本発明の他の実施の形態の要部の部分断面図であり、図3に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0047】
この実施の形態においても、上述の図2に示されるように、外周加熱と高周波誘導加熱とが併用された加熱構造となっている。
【0048】
さらに、この実施の形態では、回動機構17の回転体28に保持部材16を介して保持された支持棒15には、ハンダ心線を供給する供給ノズル2の他に、ハンダコテ1のコテ先に、エアーを吹き付けて洗浄するためのエアーブローノズル31が装備されており、洗浄時には、回転体28を回転させながらエアーブローノズル31からハンダコテ1のコテ先の全周面にエアーを吹き付けて洗浄を行うように構成している。このように、単一のエアーブローノズル31をハンダコテ1の軸線P回りに回転させながらエアーを吹き付けてコテ先を洗浄するので、コテ先の全周面に亘って確実に洗浄して付着物を除去することができ、ハンダ付け品質の向上を図ることができる。
【0049】
なお、コテ先に吹き付ける洗浄材は、エアーに限らず、その他の気体あるいは微粒子等を用いてもよい。
【0050】
その他の構成は、上述の実施の形態と同様である。
【0051】
(実施の形態3)
図6は、本発明のさらに他の実施の形態の要部の部分断面図であり、図3に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0052】
この実施の形態においても、上述の図2に示されるように、外周加熱と高周波誘導加熱とが併用された加熱構造となっている。
【0053】
さらに、この実施の形態では、ハンダ心線を供給する供給ノズル2の位置を、ハンダコテ1のコテ先の清掃時やハンダコテ1の交換時に、邪魔にならない位置に自動的に退避させる一方、清掃や交換の終了後に再び元の位置で自動的に復帰させることができるように構成している。
【0054】
すなわち、この実施の形態では、供給ノズル2を、ハンダコテ1の軸線Pに対して傾斜させた供給位置と、ハンダコテ1の軸線Pに対して平行な退避位置とに亘って揺動させる揺動機構32を備えており、供給位置は、ハンダコテ1に対して所定の供給角度でハンダ心線を供給することができる位置であり、退避位置は、供給ノズル2が邪魔になることなく、ハンダコテ1の清掃および交換作業が実施できる位置である。
【0055】
この揺動機構32は、供給ノズル2を揺動可能に保持する供給ホルダ14に設けられたピニオン33と、このピニオン33に噛合するラック34と、このラック34を、供給ホルダ14を支持する支持棒15に沿って進退駆動するエアーシリンダ35とを備えており、エアーシリンダ35は、支持棒15に固定的に取り付けられている。
【0056】
この揺動機構32では、エアーシリンダ35のピストンロッド36を進退させることによってラック34およびピニオン33を介して、供給ノズル2を、ハンダコテ1に対して傾斜した供給位置とハンダコテ1に平行な退避位置との間で揺動させるものである。
【0057】
このように揺動機構32によって供給ノズル2を揺動させるので、ハンダコテ1の清掃時やハンダコテ1の交換時には、シーケンサ6によって揺動機構32を制御し、エアーシリンダ35のピストンロッド36を進出させて供給ノズル2を退避位置に揺動させて清掃あるいは交換作業を行い、その後、エアーシリンダ35のピストンロッド36を退入させて供給ノズル2を供給位置に復帰させるものである。
【0058】
これによって、ハンダコテ1のコテ先の清掃時に、供給ノズル2が邪魔になることがなく、コテ先を十分に清掃することができる。
【0059】
また、ハンダコテ1の交換を行った後に、供給ノズル2の位置を手動で元の位置に調整するといった面倒な作業を要することなく、交換前と同じ位置に復帰させることができる。
【0060】
その他の構成は、図3の実施の形態と同様である。
上述の実施の形態では、エアーシリンダ35のピストンロッド36の進退によって供給ノズル2を、供給位置と退避位置との二段階に切り換えたけれども、本発明の他の実施の形態として、正逆転モータの回転動力を、ピニオン33に伝達して供給ノズル2を任意に変位させるようにしてもよく、この場合には、供給ノズル2によるハンダ心線の供給角度を任意に設定することもできる。
【0061】
(実施の形態4)
図7は、本発明のさらに他の実施の形態の要部の部分断面図であり、図3に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0062】
この実施の形態においても、上述の図2に示されるように、外周加熱と高周波誘導加熱とが併用された加熱構造となっている。
【0063】
さらに、この実施の形態では、保持部材16には、供給ノズル2が保持されるとともに、ハンダ付けを行う箇所に対して高温の窒素ガスを吹き付けて予熱するガラス管ヒータ37が保持されており、ロボットアーム11の動きに応じて、ハンダコテ1と一体に移動するように構成されており、ハンダ付けの直前にハンダ付け箇所に、高温の窒素ガスを吹き付けて予備加熱を行うようにしている。
【0064】
このようにガラス管ヒータ37を、ハンダコテ1と一体に移動するように設けてハンダ付けの直前に局所的に高温の窒素ガスを吹き付けて予備加熱を行うので、ハンダ付け箇所の周辺の樹脂部品が熱変形を起こすといったことがなく、また、ハンダ付けの直前に予備加熱を行うので、熱効率が向上する。
【0065】
しかも、窒素ガスを使用するので、エアーを使用する場合のようにハンダや基地金属が酸化されることがなく、ハンダ付け品質の向上を図ることができる。
【0066】
また、このガラス管ヒータ37は、回動機構17によってハンダコテ1の軸線P回りに回動できるので、ガラス管ヒータ37からの高温窒素ガスの吹き付け方向を容易に変更できることになる。
【0067】
この実施の形態では、窒素ガスを用いたけれども、本発明の他の実施の形態として、エアーや他の不活性ガスを使用してもよい。
【0068】
(その他の実施の形態)
本発明の他の実施の形態として、上述の各実施の形態を適宜組み合わせてもよく、例えば、図5の実施の形態と図7の実施の形態とを組み合わせて図8に示されるように、エアーブローノズル31とガラス管ヒータ37とを備える構成としてもよい。
【0069】
上述の各実施の形態では、自動的にハンダ付けを行う自動ハンダ付け装置に適用したけれども、本発明のハンダコテの加熱構造は、自動に限らず、手動によるハンダ付け装置に適用してもよいのは勿論である。
【0070】
また、ハンダヘッド10の取付構造は、上述の実施の形態に限らず、例えば図9に示されるように、ハンダヘッド10に、保持プレート13のガイドシャフト19が摺接するガイドブッシュ70を装備し、ハンダヘッド10の収納凹部71と保持プレート13との間に、圧縮コイルバネ72を配備し、ハンダコテ1の先端を、ハンダ付け対象物に押圧することにより、前記圧縮コイルバネ72の付勢力に抗してハンダヘッド10が、保持プレート13の端面に当接するまでの範囲Wに亘ってガイドシャフト19に沿って変位できるようにしてもよい。
【0071】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ハンダコテの外周に装着された円筒状のヒータにより前記ハンダコテを加熱する外周加熱、および、前記ハンダコテの内部に高周波誘導コイルが巻回されたヒータ部を配置し、該ヒータ部の高周波誘導により前記ハンダコテを加熱する高周波加熱を併用するので、各加熱の短所を補って、ハンダコテのコテ先温度の立ち上がり時間や熱下降温度といった特性を改善することができる。
【0072】
また、外周加熱および高周波誘導加熱を併用しているので、ハンダコテのコテ先温度の立ち上がり時間を短く、かつ、熱下降温度を小さくできることになり、特に高速なハンダ付けにおけるコテ先温度の低下を抑制できることになり、安定なハンダ付け品質を確保できることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係るハンダ付けシステムの構成図である。
【図2】図1のハンダコテの断面図である。
【図3】本発明のハンダヘッド付近の部分断面図である。
【図4】動作説明に供する拡大図である。
【図5】本発明の他の実施の形態のハンダヘッド付近の部分断面図である。
【図6】本発明のさらに他の実施の形態のハンダヘッド付近の部分断面図である。
【図7】本発明のさらに他の実施の形態のハンダヘッド付近の部分断面図である。
【図8】本発明のさらに他の実施の形態のハンダヘッド付近の部分断面図である。
【図9】本発明の他の実施の形態のハンダヘッドの部分断面図である。
【図10】従来例を示す図である。
【図11】外周加熱の構成を示す図である。
【図12】内部加熱の構成を示す図である。
【図13】高周波誘導加熱の構成を示す図である。
【図14】ハンダコテのコテ先温度の変化を示す図である。
【図15】各加熱の立ち上がり時間を示すである。
【図16】各加熱の熱下降温度を示す図である。
【図17】各加熱の熱回復時間を示す図である。
【符号の説明】
1 ハンダコテ
2 供給ノズル
3 ハンダ付けロボット
10 ハンダヘッド
11 ロボットアーム
17 回動機構
22 ハンダ付け対象物
24 ステッピングモータ
25 駆動プーリ
27 従動プーリ
28 回転体
31 エアーブローノズル
32 揺動機構
37 ガラス管ヒータ
55 ヒータ
56 高周波誘導コイル
Claims (2)
- ハンダコテを加熱する構造であって、
前記ハンダコテの外周に装着された円筒状のヒータにより前記ハンダコテを加熱する外周加熱、および、前記ハンダコテの内部に高周波誘導コイルが巻回されたヒータ部を配置し、該ヒータ部の高周波誘導により前記ハンダコテを加熱する高周波加熱を併用することを特徴とするハンダコテの加熱構造。 - 請求項1に記載のハンダコテの加熱構造を備えることを特徴とするハンダ付け装置。
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