JP3561854B2 - 磁性粒子式電磁クラッチ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、電磁粉の磁性粒子を磁化することにより締結作用を行う磁性粒子式電磁クラッチに関する。
【0002】
【従来技術】
かかる磁性粒子式電磁クラッチは、そのアウター部材とインナー部材との間に滑り要素として電磁粉を介在させて、相対的な回転差を有する両部材間に電流による磁界を発生させ電磁粉の磁性粒子を磁化させることで、伝達トルクを制御するものである。
【0003】
磁界を発生させる励磁コイルをインナー部材側に有する例として特開昭61−266836号公報に記載のものがあり、アウター部材側に励磁コイルを有する例としては特開昭60−132133号公報記載のものがある。
前者の公報に記載された例を図10に示し簡単に説明する。
【0004】
インナー部材に相当するドリブンメンバー01が中心のロータ02と一体に回転し、ドリブンメンバー01の周りをアウター部材に相当するドライブメンバー05が覆っており、同ドライブメンバー05はロータ02にベアリング010 を介して回転自在に支持されるブラケット06、同ブラケット06の外周に固定される偏平円筒状をした周壁07、同周壁07の開口を塞ぐカバー部材08からなり、これらは一体に回転する。
【0005】
ドリブンメンバー01の外周部には励磁コイル03が周方向に巻回される形で内蔵され、同電磁コイル03に電力を供給するためロータ02の外周にスリップリング011 が設けられている。
以上のようなドリブンメンバー01とドライブメンバー05との互いの間隙に電磁粉Pが介在している。
【0006】
概ね以上のような構造の電磁クラッチは、通常ロータ02を水平にして使用されるが、ドライブメンバー05が回転すると、遠心力によって電磁粉Pはドライブメンバー05の周壁07の内周面とドリブンメンバー01の外周面との間の間隙015 部分およびその付近に集まり、ドライブメンバー05とドリブンメンバー01との間の滑り要素として作用する。
【0007】
しかるに励磁コイル03に通電があると、励磁コイルの周りに磁界が発生し、電磁粉Pの磁性粒子は磁化され間隙015 の周辺の電磁粉Pも間隙015 に移動して鎖状に結合し、電磁粉Pを介してトルクがドリブンメンバー01に伝達される。
この結合力すなわち伝達トルクは、励磁コイル03に流れる電流の大きさに比例し、また電流を断つと結合力は完全に消失する。
【0008】
ところが該電磁クラッチが駆動を停止し励磁コイル03を消磁するとともにドライブメンバー05が回転を止めると、電磁粉Pは重力により落下し、中心側にあるベアリングの間に侵入したり、外部に漏れたり等の不具合があるとともに、ドライブメンバー05の周壁07の下方内周にのみ偏って溜まり過ぎて、始動時等に滑り要素としてよりも抵抗要素として作用したりすることがある。
【0009】
そこで上記例においても、ドライブメンバー05のブラケット06とドリブンメンバー01との対向する互いの側面にテーパした円環状の邪魔板020 ,021 を外周方向を開口して突出させ、カバー08とドリブンメンバー01との対向する互いの側面にテーパした円環状の邪魔板022 ,023 を外周方向を開口して突出させ、以上の邪魔板020 ,021 ,022 ,023 により回転停止時に中心側に落下する電磁粉をその上側で受けて両側に案内して落下させ中心側に電磁粉が侵入するのを防止している。
【0010】
【解決しようとする課題】
しかし電磁粉Pがドライブメンバー05の周壁07の下方内周に偏って集積することは避けられない。
図11ないし図13は本電磁クラッチの概略構成図であり、電磁粉Pの分布状態を示している。
図11は、該電磁クラッチが駆動している時を示しており、電磁粉Pは回転による遠心力および励磁コイル03の励磁による磁界によりドライブメンバー05の周壁07の内周面とドリブンメンバー01の外周面との間の間隙015 部分に万遍なく集まっている。
【0011】
励磁コイル03が消磁されドライブメンバーが回転を停止すると、邪魔板020 ,022 の上部より上方にあった電磁粉Pは落下にあたって邪魔板020 ,021 ,022 ,023 の上半部によって受けられ両側に案内されてさらに落下して中心側には侵入しない。
そして電磁粉Pの落ち着いた状態では図12および図13に示すような分布状態をなす。
【0012】
すなわち電磁粉Pの殆どはドライブメンバー05の周壁07の下方内周に偏って集積し、僅かに邪魔板020 ,021 ,022 ,023 の上部に一部の電磁粉Pが引っ掛かって保持されている。
【0013】
したがって始動時に集積した電磁粉が抵抗になり、回転バランスもくずれ所要のトルク伝達が得られない等の不具合は避けられない。
前記後者の特開昭60−132133号公報に記載された励磁コイルをアウター部材側に内蔵する例でも同様である。
【0014】
また以上の例ではアウター部材がドライブメンバーであって回転するものであるので、始動時に上記問題があるものの回転駆動すれば遠心力により電磁粉Pは図11に示すようにドライブメンバー05の周壁07の内周面とドリブンメンバー01の外周面との間の間隙015 部分に万遍なく分布するが、アウター部材が固定されて回転しない固定式電磁クラッチであると、遠心力はあまり期待できないので、停止時に図12および図13に示すように電磁粉Pがアウター部材の下部に偏って集積していると、駆動後も電磁粉Pの偏在がなかなか解消されず所要のトルク伝達が実現できないことがある。
【0015】
本発明はかかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、回転停止時に可及的に電磁粉の偏在を避け、円滑な始動と回転バランスを容易に維持して所要のトルク伝達が得られる磁性粒子式電磁クラッチを供する点にある。
【0016】
【課題を解決するための手段および作用】
上記目的を達成するために、本請求項1記載の発明は、対向する側壁間の外周を周壁が覆うアウター部材の内側に相対的に回転するインナー部材が配設され、前記アウター部材と前記インナー部材との少なくとも一方に励磁コイルが内蔵され、前記アウター部材とインナー部材との間隙に電磁粉が介在され、前記励磁コイルを励磁することで磁化された前記電磁粉の連鎖により前記アウター部材と前記インナー部材とを結合可能とする磁性粒子式電磁クラッチにおいて、前記アウター部材の周壁とインナー部材の周壁との少なくとも一方の両側側縁に前記励磁コイルの磁力より弱い磁力を有する軸方向に内外2対の磁化部材を円周方向に配置し、前記外側1対の磁化部材が前記内側1対の磁化部材より磁力が弱い磁性粒子式電磁クラッチとした。
【0019】
励磁コイルの励磁を解き駆動を停止したとしても、円周方向に配置された磁化部材が電磁粉を吸引保持して下方への落下をある程度避けて、可及的に周壁の下部に偏って集積するのを防止することができる。
なお磁化部材は励磁コイルの磁力より弱い磁力を有するもので、励磁コイルによるトルク伝達制御には殆ど影響を与えない。
トルク伝達時には磁化部材の磁力にはあまり影響を受けずに励磁コイルの励磁によりアウター部材の周壁とインナー部材の外周面との間の間隙に電磁粉を集め磁化してトルク伝達制御を行うことができ、停止時には円環状磁化部材は電磁粉をその内周に周方向にあまり偏りなく吸着する。
そのため、始動時に回転が円滑に開始し、回転バランスも維持され所要のトルク伝達制御が正確にできる。
そして再びトルク伝達駆動を行う場合に、励磁コイルが励磁されると外側の磁化部材に吸着されていた電磁粉は磁力が弱いので剥離し易く、間隙の中央に容易に移動してトルク伝達に寄与することができる。
【0020】
請求項2記載の発明は、対向する側壁間の外周を周壁が覆うアウター部材の内側に相対的に回転するインナー部材が配設され、前記アウター部材と前記インナー部材との少なくとも一方に励磁コイルが内蔵され、前記アウター部材とインナー部材との間隙に電磁粉が介在され、前記励磁コイルを励磁することで磁化された前記電磁粉の連鎖により前記アウター部材と前記インナー部材とを結合可能とする磁性粒子式電磁クラッチにおいて、前記アウター部材の両側壁とインナー部材の両側壁との少なくとも一方の前記間隙に対応する部分に前記励磁コイルの磁力より弱い磁力を有する径方向に内外2対の磁化部材を円周方向に配置し、前記内側1対の磁化部材が前記外側1対の磁化部材より磁力が弱い磁性粒子式電磁クラッチである。
【0021】
トルク伝達時には磁化部材の磁力にはあまり影響を受けずに励磁コイルの励磁により間隙に電磁粉を集め磁化してトルク伝達制御を行うことができ、停止時には円環状磁化部材は電磁粉をその内側面に周方向にあまり偏りなく吸着する。
そのため、始動時に回転が円滑に開始し、回転バランスも維持され所要のトルク伝達制御が正確にできる。
そして再びトルク伝達駆動を行う場合に、励磁コイルが励磁されると径の小さい内側の磁化部材に吸着されていた電磁粉は磁力が弱いので剥離し易く、間隙の中央に容易に移動してトルク伝達に寄与することができ、円滑かつ確実なトルク伝達制御ができる。
【0022】
【実施例】
以下図1ないし図3に図示した本発明の一実施例について説明する。
図1ないし図3は本実施例の磁性粒子式電磁クラッチ1の概略構成図であり、アウター部材2が対向する円板状の側壁3,4および側壁3,4の外周間を連結する偏平円筒状の周壁5からなり、同アウター部材2の内部にインナー部材6がロータ7に嵌着されて配設され、アウター部材2とインナー部材6とは同軸に相対的に回転する。
【0023】
アウター部材2の周壁5には励磁コイル8が周方向に巻回される形で内蔵されている。
アウター部材2とインナー部材6の互いの間隙に電磁粉Pが介在している。
そしてアウター部材2の側壁3,4とインナー部材6の側面との対向する互いの側面にテーパした円環状の邪魔板10,11,12,13を外周方向を開口して突出させ電磁粉室を形成するとともに、同環状の各電磁粉室を周方向に亘って等間隔に配列された隔壁15によって複数の小室16に分割している(図3参照)。
【0024】
電磁粉Pは、アウター部材2の回転により遠心力が作用してアウター部材2の周壁5の内周に万遍なく集まり、インナー部材6の外周面との間の間隙17にあって電磁粉Pは滑り要素として作用してアウター部材2とインナー部材6との互いの相対的な回転を円滑にする。
【0025】
アウター部材2の回転をインナー部材6に伝達する場合、励磁コイル8に通電して励磁すると、励磁コイル8の周りに磁界が生じ、アウター部材2の周壁5の内周に集まった電磁粉Pの磁性粒子は磁化されてインナー部材6の外周面との間隙17にさらに吸引されて鎖状に連結されインナー部材6とアウター部材2とを繋ぐようにして回転トルクがインナー部材6に伝達される。
励磁コイル8への通電量により伝達トルクは制御される。
【0026】
このように該電磁クラッチ1を運転中は、図1に示すように電磁粉Pは主に間隙17にいずれにも偏ることなく分布する。
ここで励磁コイルへの通電を停止して励磁を解除し、アウター部材2の回転が停止すると、遠心力が無くなり上方に位置した電磁粉Pは重力により落下する。
【0027】
概ね中心より上方にあった電磁粉Pは、上方に開口した中心より上半部の電磁粉室に落下し、その各小室16に入って隔壁15により保持され、さらに下方へは落下せず、中心部への電磁粉Pの侵入は防止されている。
そして停止中の電磁粉Pの分布は、図2および図3に示すようにアウター部材2の周壁5の下部に集まる電磁粉Pと、上半部の各小室16に保持された電磁粉Pとに分かれ、従来のように周壁下部に殆どの電磁粉Pが集まってしまうのを防止することができる。
【0028】
このようにアウター部材2の周壁下部には過度に電磁粉Pが集積しないので、始動にあたって電磁粉Pの滑り作用が維持され抵抗となることはない。
したがって円滑に始動することができ、回転バランスも容易に維持されて所要のトルク伝達制御が正確にできる。
円環状の電磁粉室を隔壁15で仕切り小室16に分割する簡単な構成であり、コストもかからない。
【0029】
上記においては、アウター部材2は駆動側として回転するものとしたが、同アウター部材2を固定して回転しないような固定式電磁クラッチの使い方も可能であり、例えば電磁ブレーキとしての使い方である。
【0030】
この場合アウター部材2は回転しないので、遠心力は作用せず、従来のように停止時に電磁粉Pがアウター部材2の周壁5の下部にのみ集積してしまうと、始動時に抵抗となるとともに、励磁コイル8を励磁しても短時間に環状の間隙17に偏りなく分布させることはできないが、本実施例の場合上記したように停止時にアウター部材2の周壁5の下部にのみ集積せず中心より上半部の電磁粉室の小室16にも電磁粉Pが多く集積しているので、始動にあたってアウター部材2の周壁5の下部に集積した電磁粉Pが抵抗となることはなく円滑な始動が可能であるとともに、インナー部材6の邪魔板11,13に設けられた電磁粉室の小室16に集積した電磁粉Pはインナー部材6の回転で周囲に散って短時間に環状の間隙17に偏りなく分布して回転バランスを維持しながら所要のトルク伝達を行うことができる。
【0031】
次に別の第2の実施例について図4ないし図6の概略構成図に基づき説明する。
本実施例の磁性粒子式電磁クラッチ20は、そのアウター部材21およびインナー部材26が前記実施例とほぼ同様であり、励磁コイル28もアウター部材21側に内蔵されており、各邪魔板30,31,32,33も同様にあって電磁粉室を形成しているが、隔壁はなく小室に分割されてはいない。
【0032】
そしてアウター部材21の周壁22の内周の両側側縁に周方向に連続して円環状の磁化部材35,36が嵌合している。
磁化部材としては通常の永久磁石を用いてもよく、また樹脂・ゴム系磁石を用いれば軽量で取付け加工がし易くでき、また磁化材の粉末を含んだ塗料を塗布するものでもよく加工がし易い。
【0033】
磁化部材35,36の磁力は、励磁コイル28が通電されて磁界を生じ電磁粉Pの磁性粒子を磁化する磁力よりは弱く、磁化部材35,36の磁力は殆ど回転トルクの伝達に影響を与えず、図4に示すようにトルク伝達時にはアウター部材21の周壁22の内周に万遍なく電磁粉Pは分布している。
【0034】
そして停止時には、磁化部材35,36は電磁粉Pを吸着し、図5および図6に示すように電磁粉Pは円環状の磁化部材35,36の内周に分離して吸着して周方向にはあまり偏りなく分布することができる。
したがって始動時に回転が円滑に開始し、回転バランスも維持され所要のトルク伝達制御が正確にできる。
【0035】
本実施例では磁化部材35,36を円環状に連続して設けたが、図7に示す第3の実施例のように複数の分割された磁化部材39をアウター部材38の内周に周方向に所定の間隔を存して配列するようにしてもよい。
【0036】
停止時に各磁化部材39は電磁粉Pを吸着し、隣り合う磁化部材39,39間の凹部に入り込んだ電磁粉Pは、両側の磁化部材39,39に吸着した電磁粉Pが連結しあって閉じ込められるようにして保持され、図7に示すような前記図6に示した例とあまり変わらない電磁粉Pの分布が実現できる。
【0037】
以上の実施例では、停止時に電磁粉Pを保持するのに磁化部材を用いたが、これを電磁石にしてもよい。
そしてかかる第4の実施例では、電磁クラッチ駆動時には該電磁石を励磁せず、停止時に励磁して電磁粉Pを吸着保持するようにする。
【0038】
したがって駆動時には電磁石の磁力の影響は全くなく、本来のトルク伝達のための励磁コイルによる電磁粉Pの磁化およびトルク伝達制御を精度良く行うことができる。
また始動時において電磁石の磁力を解除することで、電磁粉Pの剥離が容易となり、トルク伝達時に電磁粉Pが介在する必要のあるアウター部材の周壁とインナー部材の外周面との間の間隙に移動し易く、円滑な始動が可能である。
【0039】
次にさらに別の第5の実施例について図8に示し説明する。
同例は図4ないし図6に図示した磁化部材35,36をアウター部材21の周壁22に設けた例と略同じ構造をしており、インナー部材40を覆うアウター部材41の周壁42の内周の両側側縁に周方向に連続して円環状の磁化部材45,46が嵌合するとともに、同各磁化部材45,46の内側に新たに周方向に連続した円環状の磁化部材47,48が嵌合している。
【0040】
外側・内側の磁化部材45,46,47,48の磁力は、励磁コイル43の励磁による磁力よりも弱く、また外側の磁化部材45,46は、内側の磁化部材47,48よりも磁力が弱い。
したがってトルク伝達時には磁化部材45,46,47,48の磁力にはあまり影響を受けずに励磁コイル43の励磁によりアウター部材41の周壁42とインナー部材40の外周面との間の間隙44に電磁粉Pを集め磁化してトルク伝達制御を行うことができ、停止時には円環状磁化部材45,46,47,48は電磁粉Pをその内周に周方向にあまり偏りなく吸着する(図8参照)。
【0041】
そこで始動時に回転が円滑に開始し、回転バランスも維持され所要のトルク伝達制御が正確にできる。
そして再びトルク伝達駆動を行う場合に、励磁コイルが励磁されると外側の磁化部材45,46に吸着されていた電磁粉Pは磁力が弱いので剥離し易く、間隙44の中央に容易に移動してトルク伝達に寄与することができる。
【0042】
上記実施例では、アウター部材41の周壁42に磁化部材45,46,47,48を設けたが、アウター部材の側壁に磁化部材を設けた第6の実施例を図9に示す。
同例のインナー部材50を覆うアウター部材51の周壁52には励磁コイル56が内蔵され、側壁53,54には周壁52とインナー部材50の外周との間のの間隙55に対応する外周部に円環状の磁化部材65,66が配設され、その内側に径を小さくした円環状の磁化部材67,68が配設されている。
【0043】
磁化部材65,66,67,68の磁力は、励磁コイル56の励磁による磁力よりも弱く、また間隙55の中央部より離れた方の内側の磁化部材67,68は、間隙55の中央部に近い外側の磁化部材65,66よりも磁力が弱い。
したがってトルク伝達時には磁化部材65,66,67,68の磁力にはあまり影響を受けずに励磁コイル56の励磁により間隙55に電磁粉Pを集め磁化してトルク伝達制御を行うことができ、停止時には円環状磁化部材65,66,67,68は電磁粉Pをその内側面に周方向にあまり偏りなく吸着する(図9参照)。
【0044】
そこで始動時に回転が円滑に開始し、回転バランスも維持され所要のトルク伝達制御が正確にできる。
そして再びトルク伝達駆動を行う場合に、励磁コイルが励磁されると径の小さい内側の磁化部材67,68に吸着されていた電磁粉Pは磁力が弱いので剥離し易く、間隙55の中央に容易に移動してトルク伝達に寄与することができ、円滑かつ確実なトルク伝達制御ができる。
【0045】
以上の実施例では、励磁コイルをアウター部材の周壁内に内蔵したが、インナー部材側に内蔵してもよい。
また磁化部材または電磁石もアウター部材側でなくインナー側に設けてもよい。
【0046】
アウター部材は、自身回転してインナー部材との間でトルク伝達を行う場合のほか、固定され回転しない固定式電磁クラッチの場合でも適用可能であり、特に固定式電磁クラッチの場合は遠心力があまり期待できないが、本発明の電磁クラッチは遠心力に頼らず停止時に電磁粉が一部に偏って集中せず周方向に万遍なく略平均化して分布できるので、始動時に電磁粉が抵抗として作用したり所要の伝達トルクが得られない等といった不具合を解消できる従来にない効果が期待できる。
【0047】
またアウター部材が固定式の場合は、円環状の磁化部材や電磁石をアウター部材の内周に円周方向に一周に亘って設けたが、上方側にのみ配設しても停止時に電磁粉が一か所に集中することを防止できる。
【0048】
【発明の効果】
本発明は、磁性粒子式電磁クラッチの電磁粉室を隔壁により複数の小室に分割したので、励磁コイルの励磁を解き駆動を停止した時に上方に位置していた電磁粉の落下を上方に開口を向けた小室が受け止め隔壁で保持して、中心側への電磁粉の侵入を防止するとともに可及的に周壁の下部に偏って集積するのを防止することができ、始動時の円滑な駆動および回転バランスが良好に保たれ所要のトルク伝達制御が可能である。
【0049】
またアウター部材とインナー部材との少なくとも一方に前記励磁コイルの磁力より弱い磁力を有する磁化部材を円周方向に配置することで、励磁コイルの励磁を解き駆動を停止したとしても、円周方向に配置された磁化部材が電磁粉を吸引保持して下方への落下をある程度避けて、可及的に周壁の下部に偏って集積するのを防止することができ、始動時の円滑な駆動および回転バランスが良好に保たれ所要のトルク伝達制御が可能である。
なお磁化部材は励磁コイルの磁力より弱い磁力を有するもので、励磁コイルによるトルク伝達制御には殆ど影響を与えない。
【0050】
さらにアウター部材とインナー部材との少なくとも一方に電磁石を円周方向に配置し、前記励磁コイルへの通電時には前記電磁石を消磁することで、励磁コイルの励磁を解き駆動を停止したとしても、円周方向に配置された電磁石を励磁し電磁粉を吸引保持して下方への落下をある程度避けて、可及的に周壁の下部に偏って集積するのを防止することができるとともに、励磁コイルへの通電時には該電磁石を消磁し、励磁コイルによるトルク伝達制御には影響を与えない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る磁性粒子式電磁クラッチの駆動時の概略構成図である。
【図2】停止時の同概略構成図である。
【図3】正面視した停止時の同概略構成図である。
【図4】第2の実施例の磁性粒子式電磁クラッチの駆動時の概略構成図である。
【図5】停止時の同概略構成図である。
【図6】正面視した停止時の同概略構成図である。
【図7】第3の実施例の磁性粒子式電磁クラッチの正面視した停止時の同概略構成図である。
【図8】第5の実施例の磁性粒子式電磁クラッチの停止時の概略構成図である。
【図9】第6の実施例の磁性粒子式電磁クラッチの停止時の概略構成図である。
【図10】従来の磁性粒子式電磁クラッチの断面図である。
【図11】同磁性粒子式電磁クラッチの駆動時の概略構成図である。
【図12】停止時の同概略構成図である。
【図13】正面視した停止時の同概略構成図である。
【符号の説明】
P…電磁粉、
1…磁性粒子式電磁クラッチ、2…アウター部材、3,4…側壁、5…周壁、
6…インナー部材、7…ロータ、8…励磁コイル、10,11,12,13…邪魔板、15…隔壁、16…小室、17…間隙、
20…磁性粒子式電磁クラッチ、21…アウター部材、22…周壁、26…インナー部材、28…励磁コイル、30,31,32,33…邪魔板、35,36…磁化部材、
38…アウター部材、39…磁化部材、
40…インナー部材、41…アウター部材、42…周壁、43…励磁コイル、44…間隙、45,46,47,48…磁化部材、
50…インナー部材、51…アウター部材、52…周壁、53,54…側壁、56…励磁コイル、65,66,67,68…磁化部材。
Claims (4)
- 対向する側壁間の外周を周壁が覆うアウター部材の内側に相対的に回転するインナー部材が配設され、
前記アウター部材と前記インナー部材との少なくとも一方に励磁コイルが内蔵され、
前記アウター部材とインナー部材との間隙に電磁粉が介在され、
前記励磁コイルを励磁することで磁化された前記電磁粉の連鎖により前記アウター部材と前記インナー部材とを結合可能とする磁性粒子式電磁クラッチにおいて、
前記アウター部材の周壁とインナー部材の周壁との少なくとも一方の両側側縁に前記励磁コイルの磁力より弱い磁力を有する軸方向に内外2対の磁化部材を円周方向に配置し、前記外側1対の磁化部材が前記内側1対の磁化部材より磁力が弱いことを特徴とする磁性粒子式電磁クラッチ。 - 対向する側壁間の外周を周壁が覆うアウター部材の内側に相対的に回転するインナー部材が配設され、
前記アウター部材と前記インナー部材との少なくとも一方に励磁コイルが内蔵され、
前記アウター部材とインナー部材との間隙に電磁粉が介在され、
前記励磁コイルを励磁することで磁化された前記電磁粉の連鎖により前記アウター部材と前記インナー部材とを結合可能とする磁性粒子式電磁クラッチにおいて、
前記アウター部材の両側壁とインナー部材の両側壁との少なくとも一方の前記間隙に対応する部分に前記励磁コイルの磁力より弱い磁力を有する径方向に内外2対の磁化部材を円周方向に配置し、前記内側1対の磁化部材が前記外側1対の磁化部材より磁力が弱いことを特徴とする磁性粒子式電磁クラッチ。 - 前記アウター部材は、固定され、
前記磁化部材は、前記アウター部材の円周方向の上側部分にのみ配設されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の磁性粒子式電磁クラッチ。 - 前記磁化部材は、電磁石であり、
前記励磁コイルへの通電時には前記電磁石を消磁する電磁石消磁手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか記載の磁性粒子式電磁クラッチ。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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