JP3561692B2 - 希土類元素含有合金の組織制御方法、同合金粉末及びそれを用いた磁石 - Google Patents

希土類元素含有合金の組織制御方法、同合金粉末及びそれを用いた磁石 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は希土類元素含有合金、特に磁石用希土類元素含有合金の内部組織を制御する方法、その方法によって得られた該合金粉末及びその合金粉末を用いた磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁石用合金としてNd−Fe−B系合金がその高特性から急激に生産量を伸ばしており、HD(ハードディスク)用、MRI(磁気共鳴映像法)用あるいは、各種モーター用等に使用されている。通常は、Ndの一部をPr、Dy等他の希土類元素で置換したもの(Rと表記する。)、またFeの一部をCo、Ni等他の遷移元素で置換したもの(Tと表記する。)が一般的であり、Nd−Fe−B系合金を含め、R−T−B系合金と総称されている。
【0003】
R−T−B系合金は、磁化作用に寄与する強磁性相R14Bの結晶を主相とし、非磁性で希土類元素の濃縮した低融点のRリッチ相を結晶粒界に持つ合金で、活性な金属であることから一般に真空又は不活性ガス中にて溶解され、金型に鋳造されてきた。
この合金鋳塊は、粉砕され3μm(FSSS:フィッシャーサブシーブサイザーでの測定)程度の粉末とした後、磁場中でプレス成形され、焼結炉で約1000〜1100℃の高温にて焼結され、その後必要に応じ熱処理、機械加工され、耐食のためのメッキをされ磁石化されるのが普通である。
【0004】
合金中のRリッチ相は、以下の点で重要な役割を担っている。
1)融点が低く、焼結時に液相となり、磁石の高密度化、従って磁化の向上に寄与する。
2)粒界の凹凸を無くし、逆磁区のニュークリエーションサイトを減少させ保磁力を高める。
3)主相を磁気的に絶縁することから保磁力を高める。
従ってRリッチ相の分散状態が悪いと磁石としての特性及び耐食性に影響するため、均一であることが重要となる。
最終的な磁石としてのRリッチ相の分布は、原料用合金塊の組織に大きく影響される。すなわち、金型にて鋳造された場合、冷却速度が遅いため往々にして結晶粒が大きくなる。この結果、粉砕したときの粒が結晶粒径よりはるかに細かくなる。Rリッチ相は厚さの大きいラメラ状になっており、このため分散性が悪い。したがって粉砕したときの粒が結晶粒径より細かいとRリッチ相を含まない主相のみの粒とRリッチ相のみの粒とが別々に存在し均一な混合がしにくくなる。
【0005】
金型鋳造でのもう一つの問題は、冷却速度が遅いため初晶としてγ―Feが生成しやすくなることである。γ―Feは約910℃以下では、α―Feに変態する。この変態したα―Feは、磁石製造時の粉砕効率の悪化をもたらし、焼結後も残存すれば磁気特性の低下をもたらす。そこで金型にて鋳造したインゴットの場合は、高温で長時間にわたる均質化処理によるα―Feの消去が必要となってくる。
【0006】
これらを解決するため、金型鋳造方法より速い冷却速度で鋳造する方法として、ストリップキャスティング法(SC法)が紹介され実際の工程にて使用されている。
これは内部が水冷された銅ロール上に溶湯を流し、小数点以下数mmの薄帯に鋳造することにより、急冷凝固させるものであり、結晶組織を微細化させ、Rリッチ相が微細に分散した組織を有する合金を生成させるものである。合金内のRリッチ相が微細に分散しているため、粉砕、焼結後のRリッチ相の分散性も良好となり、磁気特性向上に成功している(特開平5−222488号公報、特開平5−295490号公報)。また、α―Feも発生しにくくなっている。
【0007】
更に、このようなSC法を用いた合金では、解砕方法として、水素解砕を行うことが普通である。この方法は、特にRリッチ相が水素を吸蔵し、それに伴う体積膨張によってRリッチ相から割れ崩壊する性質を利用したもので、微粉砕の前の解砕に利用されており、従ってRリッチ相の間隔をいかに制御するかが粉砕粒度を決めるうえで重要なポイントとなる。
【0008】
このように、磁石特性に重要な影響を与えるRリッチ相の分布(間隔)を制御するためには、鋳造時の冷却速度が重要であり、特にRリッチ相の凝固付近での温度制御が重要である。
特開平8−176755号公報では、結晶粒界のみでなく、主相(R14B相)内にもRリッチ相(公報中では共晶領域と呼んでいる。)が存在し、この間隔の制御が磁石特性上重要で、これを達成するために最後まで液相として存在するRリッチの部分が凝固するまでの温度域(800〜600℃)を5℃/秒以上の冷却速度で冷却することが好ましいと記載されている。
特開平10−36949号公報では、800〜600℃間の平均冷却速度を1.0℃/秒以下にしRリッチ相の間隔を広げ、3〜15μmにすることが開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、合金塊のRリッチ相の分布を制御することが磁石特性上重要であり、このためにRリッチ相の液相から凝固までの温度領域の冷却速度を制御することが必要である。しかるに先に述べたSC法においては、該温度領域はロールから離れ落ちる付近で始まり、ロールから落ちた後まだ完全な凝固が完了していないが、その温度制御方法については、明確なる方法が開示されていないのが現状である。ロール上での冷却速度を制御するには、ロールの周速度を変えるか、流すメタル量を調整して厚さを変える程度しか調整のしようがなかったが、これには種々の難しい問題がある。即ち、主相が凝固した後は、ロールとの接触が面接触から点接触に変わり、冷却速度は急速に遅くなる。αFeのない良好な組織の合金塊を安定して得る場合、溶湯および主相が凝固した合金塊がロール上に乗っている時間は精々数秒であり、ロール上でRリッチ相が凝固するまでの温度領域を制御することはできない。ロール周速度を遅くして合金塊がロール上に乗っている時間を長くすると、合金塊の厚さが厚くなりαFeが生成してしまう。また坩堝傾動速度を遅くしてロールに供給する溶湯量を少なくすると、ロールに到達する前に溶湯の温度が下がり初晶のγFeが生成しやすくなる。さらに溶湯の供給を絞ると、ロール上に到達する前に凝固してしまう。
このようにSC法においてロール上でのRリッチ相の凝固温度付近の冷却速度制御は、その鋳造組織を変化させるほど有効な手段が無かった。また、鋳造された合金がロールから落ちた後についても、合金組織を制御するための具体的手段については従来殆ど開示されていない。
本発明は、主として従来からの回転ロール法においてロールから離れ落下した以降での合金片の冷却速度を制御することにより、合金の内部組織、特にRリッチ相の分布状態を制御することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するためになされたもので、以下の構成からなる。
(1)希土類元素含有合金を真空又は不活性ガス中にて溶解し、溶解された溶湯を真空又は不活性ガス雰囲気中の室内にて、冷却された回転ロール上に流し、冷却して薄帯状に凝固させた直後、該凝固薄帯を片状に破砕し、該破砕合金片を前記室内に置かれた収納容器内に収め、冷却媒体により前記破砕合金片の冷却速度を制御することを特徴とする希土類元素含有合金の組織制御方法。
(2)収納容器が、内部に冷却用仕切り板を設け、その中に冷却媒体として気体又は液体を流通させて破砕合金片の冷却速度を制御できるものである(1)に記載の希土類元素含有合金の組織制御方法。
(3)収納容器が、内部に冷却媒体として不活性ガスを流通させて破砕合金片の冷却速度を制御できるものである(1)に記載の希土類元素含有合金の組織制御方法。
(4)不活性ガスを収納容器内に設けた通気口を有する冷却用仕切り板から流出させる(3)に記載の希土類元素含有合金の組織制御方法。
(5)収納容器が、内部に区画仕切り板を設け、破砕合金片の冷却速度を制御できるものである(1)〜(4)のいずれかに記載の希土類元素含有合金の組織制御方法。
(6)破砕合金片の冷却速度を制御した後、さらに破砕合金片を室内より別室に移し、冷却する工程を有する請求項(1)〜(5)のいずれかに記載の希土類元素含有合金の組織制御方法。
(7)希土類元素含有合金溶湯を回転ロール上に流し、冷却して薄帯状に凝固させる方法がストリップキャスティング法である(1)〜(6)のいずれかに記載の希土類元素含有合金の組織制御方法。
(8)破砕合金片の冷却速度を制御して希土類元素含有合金のRリッチ相の平均間隔を3〜15μmとする(1)〜(7)のいずれかに記載の希土類元素含有合金の組織制御方法。
(9)破砕合金片の800〜600℃間の平均冷却速度が10〜300℃/分である(1)〜(8)のいずれかに記載の希土類元素含有合金の組織制御方法。
(10)希土類元素含有合金が、R−T−B系合金(式中、RはYを含む希土類元素(Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)のうちの少なくとも1種、TはFeを主成分とし一部をCo、Ni等で置換してもよい)である(1)〜(9)のいずれかに記載の希土類元素含有合金の組織制御方法。
(11)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の方法により得られた厚さが0.1〜0.6mmで、Rリッチ相の平均間隔が3〜15μmである破砕合金片を粉砕した希土類元素含有合金粉末。
(12)上記(11)の合金粉末を成形、焼結した磁石。
【0011】
【発明の実施の形態】
希土類元素含有合金は、その活性な性質から大気を遮断した溶解室中にて溶解され鋳造されるのが一般である。溶解室内は真空又はアルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気である。図1は、本発明に適用されるSC法での鋳造方法を示す概略図である。溶解室1内に置かれた坩堝2内にて、誘導電流加熱により原料金属等は溶解され合金となって保持される。次に、その溶湯は坩堝2の傾動により隣接した真空の鋳造室10内に設置され、内部を水冷された回転ロール3上に樋4、タンディッシュ5を介して流され、ロール3上で冷却凝固を開始する。
【0012】
凝固合金は、回転ロール途中にてロール3から離れる。凝固合金がロール3に巻きつかないうちに、適当なガイドを用いて落下させる。
ロールから出た状態では、合金は高温で脆いため、簡単なガイドロール6等の破砕手段を用いることにより、あるいは簡易的には邪魔板等に当てることで脆く崩れ、片状に破砕されて落下する。また収納容器8内に落下したときの衝撃で破砕させてもよい。
【0013】
溶湯がロールに接触してからロールを離れて破砕されるまでは、せいぜい数秒であり、先に述べたように、この段階で凝固合金は、まだ赤熱状態にあり最も低凝固点であるRリッチ相は、完全には凝固を完了していない。
通常は、この破砕した合金片7は、ロールに隣接して置かれた箱型の収納容器8内に落下させ貯められる。合金は、高温では酸化が進むため、通常この収納容器は鋳造装置と同じ鋳造室10内におかれ、放置して合金が酸化しない温度まで冷却していた。また特開平9−155507号公報では破片合金片を入れた収納容器を隣接する別室に移し、そこで不活性ガス等を用いて冷却していた。しかしこの冷却は合金の組織の制御を目的としたものではない。
【0014】
本発明では、第一に凝固点の組織、特に低融点のRリッチ相を制御するために鋳造後の破砕合金片(以下合金片という)の収納容器を鋳造室内に置き、そこで冷却媒体により合金片の冷却温度を制御する方法である。この方法では合金片を収納容器に落下させながら同時に冷却することができるので、前記特許公報に記載のように鋳造終了後に収納容器を別室に移して冷却する方法に比べ、冷却が均一になり、また冷却速度の制御開始までの温度低下がないので制御温度範囲を広くすることができる。この方法により特に合金組織に影響する800〜600℃間の冷却速度の制御が容易となる。
第二にRリッチ相が完全に凝固し内部組織が固まった以降の冷却速度は、内部組織に影響しないとともに、合金片をなるべく早く取り出すことが工程上要求されるため、酸化の進まない100〜200℃程度の大気に取り出せる温度まで、不活性雰囲気等でなるべく急速な冷却が好ましい。
【0015】
上記2点を達成するため、例えば図2に示すように収納容器下部にステンレス製網233を設け、そこからヘリウム等の不活性の冷却ガス23を流せるような容器とし、合金片の落下収納直後から、ガスを流入し、そのガス量を変えることにより合金片の冷却速度を変えることができる。先に述べた800〜600℃間のRリッチ相凝固温度を超えたら、次の大気に取り出せる温度までは、最大のガス流量で冷却することができる。
【0016】
上記例では、合金片が大きく堆積し、その堆積物の間に流すガスの気相接触による冷却であるので容器が大きい場合、堆積物が重なって冷却速度に限界があることもある。あるいは、容器内での冷却のばらつきがでやすくなる。
このような場合、図3に示すように収納容器内を中空仕切り板211にて区切り、仕切り板内部に冷却媒体22を流し仕切り板と合金片との接触冷却をさせることにより合金片の冷却速度を速めることができる。この方法は冷却媒体と合金片は接触しないので、冷却媒体としては不活性ガスの外、空気等のガス、あるいは水等の液体も用いることができる。
さらに冷却方法としては図4のようにして行うこともできる。図4は冷却用の仕切り板212の下部の通気口212Aから冷却用の不活性ガス23を一部容器内に流し合金片を冷却する方法である。
合金の内部組織が固まった後の冷却は出来るだけ急速に冷却する方が効率的であり、特に続けて鋳造を行う場合はそうすることが好ましい。それには前記したように鋳造室内で急速冷却をしてもよいが、また収納容器を別室に移してそこで急速冷却することもできる。
【0017】
収納容器を別室に移す場合は、容器上部に蓋をし、鋳造室から出し、別室の不活性ガス室へ送り再度冷却を行うことができる。このときの容器は、完全密閉容器でなくてもよく、移送時のみ不活性ガスが容器からオーバーフローする程度に流し続けていられればよい。あるいは移送時間が短ければ、ガスが充満した後、容器の上部に蓋をした状態でガス供給は止めてもよい。この場合にはガス供給用のホース等を容器から切り離し、その接続部に栓をすれば容器と蓋とは完全に密閉しなくてもアルゴン等の不活性ガスは大気より重いため容器から漏れ出ることがない。
その他不活性ガスを流出させる方法としては図5に示すような中空の仕切り板213の側面に通気口213Aを設け、そこからガスを流出させることもできる。
【0018】
図5、図6は、容器の中間に収納容器内を区画するための仕切り板24を入れたもので、合金片が小分けされるため冷却が進み易い。この区画仕切り板がないと合金片が容器内で偏在したりして塊状になり、冷却が阻害されることがある。冷却は冷却用仕切り板213の通気口213Aあるいは容器底のステンレス製網233から不活性ガスを容器内に流出させて行う。冷却方法としては図3、図4に示すような方法でもよい。冷却終了後の収納容器の取り出しは例えば鋳造室の側面に開閉可能な扉を設けて行うことができる。
【0019】
上記のような2段階の冷却速度を容器内にて制御する方法により、特に第一の高温域での温度制御によりRリッチ相の分布を制御できる。また、第一の温度域での冷却速度にかかわらず、内部組織に影響のない第二の温度域を急速に冷却できるので工程がスムースに進められる。
【0020】
この方法により、SC法にてほぼ0.1〜0.6mm厚さの合金片を鋳造するとロールから離れ収納容器内に落ちたときの合金片の温度が800℃近傍になる。そこから前述の容器内での冷却方法を各種選んで第一の温度域での冷却速度を遅くすることでRリッチ相の間隔が広くなり、冷却速度を上げることにことによりRリッチ相の間隔を狭めることができる。本発明における鋳造法としては図1に示すようなSC法に限らず、双ロールを用い、回転するロール間に溶湯を流すなどの方法を用いることができる。
本発明の方法によりR−T−B系合金等(式中、RはYを含む希土類元素(Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)のうちの少なくとも1種、TはFeを主成分とし1部をCo、Ni等で置換してもよい)希土類元素含有合金のRリッチ相の間隔を3〜15μm程度に制御することが出来る。Rリッチ相の間隔をこの範囲にするには800〜600℃間の平均冷却速度は10〜300℃/分が適し、好ましくは10〜200℃/分、さらに好ましくは10〜50℃/分である。
【0021】
ここでRリッチ相の間隔は、合金片の厚さ方向の断面をエメリー紙で研磨した後、アルミナ、ダイヤモンド等を使用してバフ研磨した面を走査型電子顕微鏡(SEM)の反射電子像による観察で求められる。Rリッチ相は主相となるRFe14B相よりも平均原子番号が大きいため、反射電子像では主相よりも明るく観察される。そしてRリッチ相の間隔は、厚さ方向の断面観察で次のようにして行う。厚さ面の中央でロール面に平行(ロールの軸に平行な方向)に線分を引き、その線分が横切ったRリッチ相の数で線分の長さを割る。これを5視野繰り返したときの平均値をもってRリッチ相の間隔とする。
【0022】
Rリッチ相の間隔は、本発明の方法により3〜15μm、好ましくは3〜12μm、さらに好ましくは4〜10μmとすることができる。Rリッチ相の間隔が15μmを越えると、Rリッチ相の分散状態が悪くなり、磁場成形用に粉末粒径3〜5μmに微粉砕したときRリッチ相が存在する粉末粒子の割合が減少する。従って磁場成形後のRリッチ相の分散状態も悪化して、焼結性の低下を招き、磁石化後の磁化、保磁力の低下をもたらす。
また、Rリッチ相の偏在は部分的な保持力の低下をもたらし、磁石化後の角型性の低下をもたらす。
一方、3μm未満であると結晶粒の微細化しすぎによる磁気特性が悪くなる弊害が出てくる。
【0023】
次に上記の合金片を粉砕、成形、焼結することにより、高特性の異方性磁石を製造することができる。
【0024】
粉砕は、通常、水素解砕、中粉砕、微粉砕の順で行なわれ、一般的には3〜5μm(FSSS)程度の粉末にされる。
【0025】
ここで、水素解砕は、前工程の水素吸蔵工程と後工程の脱水素工程に分けられる。水素吸蔵工程では、2.7×10Pa〜4.9×10Paの圧力の水素ガス雰囲気で、主に合金片のRリッチ相に水素を吸蔵させ、この時に生成されるR−水素化物によりRリッチ相が体積膨張することを利用して、合金片自体を微細に割ることまたは無数の微細な割れ目を生じさせる。本発明の合金片の場合、ほとんどのRリッチ相に沿って割れ目を生じさせることができる。特に、主相結晶粒界にはRリッチ相が存在しており、水素を吸蔵させることによりほとんどの結晶粒界に割れ目を生じさせることができる。したがって、中粉砕、微粉砕を経て製造された粉末のほとんどが単結晶となり、磁気特性を向上させることができる。この水素吸蔵は常温〜600℃程度の範囲で実施されるが、Rリッチ相の体積膨張を大きくして効率良く割るためには、常温〜100℃程度の範囲で実施することが好ましい。好ましい処理時間は1時間以上である。この水素吸蔵工程により生成したR−水素化物は大気中では不安定であり酸化され易いため、200〜600℃程度で130Pa以下の真空中に保持する脱水素処理を行なうことが好ましい。この処理により、大気中で安定なR−水素化物に変化させることができる。好ましい処理時間は30分以上である。水素吸蔵後から焼結までの各工程で酸化防止のための雰囲気管理がなされている場合は、脱水素処理を省くこともできる。
なお、この水素解砕をせずに中粉砕、微粉砕することもできる。
【0026】
中粉砕とは、合金片をアルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中で、例えば500μm以下まで粉砕することである。このための粉砕機には、例えばブラウンミル粉砕機がある。本発明の水素解砕した合金片の場合、既に微細に割れている、または内部に無数の微細な割れ目が生じているため、この中粉砕を省略することもできる。
【0027】
微粉砕とは、3〜5μm(FSSS)程度に粉砕することである。このための粉砕機には、例えばジェットミル装置がある。この場合、粉砕時の雰囲気はアルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気とする。これらの不活性ガス中に2質量%以下、好ましくは1質量%以下の酸素を混入させてもよい。このことにより粉砕効率が向上するとともに、粉砕後の粉末の酸素濃度が1000〜10000ppmとなり耐酸化性が向上する。また、焼結時の異常粒成長を抑制することもできる。
【0028】
成形は磁場中で行われるが、磁場成形時に粉末と金型内壁との摩擦を低減し、また粉末どおしの摩擦も低減させて配向性を向上させるため、粉末にはステアリン酸亜鉛等の潤滑剤を添加することが好ましい。好ましい添加量は0.01〜1質量%である。添加は微粉砕前でも後でもよいが、磁場中成形前に、アルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中でV型ブレンダー等を用いて十分に混合することが好ましい。
【0029】
微粉砕された粉末は、磁場中成形機でプレス成形される。金型は、キャビティ内の磁界方向を考慮して、磁性材と非磁性材を組み合わせて作製される。成形圧力は0.5〜2t/cmが好ましい。成形時のキャビティ内の磁界は5〜20kOeが好ましい。また、成形時の雰囲気はアルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気が好ましいが、上述の耐酸化処理した粉末の場合、大気中でも可能である。
【0030】
焼結は、1000〜1100℃で行なわれる。焼結する前に成形体から潤滑剤と水素は完全に除去しておく必要がある。潤滑剤の好ましい除去条件は、成形体を1.3Pa以下の真空中またはアルゴン減圧フロー雰囲気中、300〜500℃で30分以上保持することである。また、水素の好ましい除去条件は、1.3Pa以下の真空中、700〜900℃で30分以上保持することである。焼結時の雰囲気はアルゴンガス雰囲気または1.3Pa以下の真空雰囲気が好ましい。保持時間は1時間以上が好ましい。
【0031】
焼結後、保磁力向上のため、必要に応じて500〜650℃で熱処理することができる。好ましい雰囲気はアルゴンガス雰囲気または真空雰囲気である。好ましい保持時間は30分以上である。
【0032】
【実施例】
以下、実施例を説明しながら組織(Rリッチ相)の制御結果を示す。
(実施例1)
合金組成が、Nd:30.0質量%、B:1.00質量%、Co:2.0質量%、Al:0.30質量%、Cu:0.10質量%、残部鉄になるように、金属ネオジウム、フェロボロン、コバルト、アルミニウム、銅、鉄を配合し、アルミナ坩堝を使用して、アルゴンガス1気圧雰囲気中で、高周波溶解炉(坩堝)で溶解し、溶湯を周速度0.97m/秒で回転している直径40cmの銅ロール上にタンディッシュを介して流した。溶湯の全質量は15kgであり、鋳造開始時の溶湯温度は1450℃とした。また、鋳造している間、銅ロールの内部を水冷した。
【0033】
銅ロール上で凝固した合金は、銅ロールから離脱、落下する位置に設置したガイドロールで破砕し、その下に設置した箱型の収納容器に貯めた。収納容器は、外寸で縦31cm、横21cm、高さ40cmであり、肉厚5mmの鉄板で作製した。さらに図2の如く、収納容器の底には底板から1cmの高さの位置に目幅5mmのステンレス製の網を置き、破砕した合金片をこの網の上に貯めた。
なお、鋳造開始直前から鋳造終了10分後までこのステンレス製網の下から上部に向かってアルゴンガスを流量30リットル/分で流し続けた。
【0034】
合金の落下時の温度は、収納容器内に貯めた合金片の温度とほぼ同じである考え、収納容器の側面に小さな穴を開け、この穴から収納容器内部に突き出すように設置した熱電対で測定することで求めた。この方法で求めた合金片の落下時の温度は780℃であった。合金片はその後ゆっくり冷却していき、600℃まで冷却するのにかかった時間は5分であった。
鋳造終了10分後、ステンレス製網の下から上部に向かって流すアルゴンガスの流量を100リットル/分まで増やし合金片を冷却した。2時間後の合金片の温度は98℃であった。その後、合金片を大気中に取り出し、マイクロメーターによる平均厚さの測定と、SEMの反射電子像による断面写真を用いたRリッチ相の間隔の測定を行った。測定結果は表1に記す。
【0035】
(実施例2)
実施例1と同様の組成になるように原料金属等を配合し、実施例1の装置を用いて、合金片を作製した。収納容器は図2に示すものを使用した。但し、鋳造開始直前から、ヘリウムガスを収納容器底部から流量100リットル/分で流し続けた。合金片の落下時の温度は750℃であり、600℃まで冷却するのにかかった時間は40秒であった。
鋳造終了後も、ヘリウムガスをそのまま流し続けて合金片を冷却したところ、鋳造終了から30分後には合金片の温度は96℃まで下がった。その後、合金片を大気中に取り出し、マイクロメーターによる平均厚さの測定と、SEMの反射電子像による断面写真を用いたRリッチ相の間隔の測定を行った。測定結果は表1に記す。
【0036】
(実施例3)
実施例1と同様の組成になるように原料金属等を配合し、実施例1と同様の条件で溶解し、溶湯を実施例1と同様の銅製ロール上に鋳造した。
銅ロール上で凝固した合金は、実施例1と同様のガイドロールで破砕し、その下に設置した箱型の収納容器に貯めた。収納容器は、外寸で縦31cm、横21cm、高さ40cmであり、肉厚5mmの鉄板で作製した。さらに図3の如く、収納容器内部に厚さ7cmの鉄製仕切り板211を、銅ロールの回転軸に垂直方向に沿って等間隔で2枚設置した。なお、それぞれの仕切り板内部に流したガスは収納容器内に漏れ出ない構造とした。それぞれの仕切り板内部には、鋳造直前からアルゴンガスを流量100リットル/分で流し続けた。
【0037】
実施例1と同様の方法で求めた合金の落下時の温度は790℃であった。合金片はその後ゆっくり冷却していき、600℃まで冷却するのにかかった時間は7分であった。
鋳造終了後も、アルゴンガスをそのまま流し続けて合金片を冷却したところ、鋳造終了から2時間後の合金片の温度は106℃まで下がった。その後、合金片を大気中に取り出し、マイクロメーターによる平均厚さの測定と、SEMの反射電子像による断面写真を用いたRリッチ相の間隔の測定を行った。測定結果は表1に記す。
【0038】
(実施例4)
実施例1と同様の組成になるように原料金属等を配合し、実施例3の装置を用いて、合金片を作製した。収納容器は図3に示すもので、但し、それぞれの仕切り板内部には、鋳造直前から水を流量30リットル/分で流し続けた。
実施例1と同様の方法で求めた合金の落下時の温度は790℃であった。合金片はその後ゆっくり冷却していき、600℃まで冷却するのにかかった時間は6分であった。
鋳造終了後も、水をそのまま流し続けて合金片を冷却したところ、鋳造終了から2時間後の合金片の温度は98℃まで下がった。その後、合金片を大気中に取り出し、マイクロメーターによる平均厚さの測定と、SEMの反射電子像による断面写真を用いたRリッチ相の間隔の測定を行った。測定結果は表1に記す。
【0039】
(実施例5)
実施例1と同様の組成になるように原料金属等を配合し、実施例1と同様の条件で溶解し、溶湯を実施例1の銅製ロール上に鋳造した。
銅ロール上で凝固した合金は、実施例1のガイドロールで破砕し、その下に設置した箱型の収納容器に貯めた。収納容器は、外寸で縦31cm、横21cm、高さ40cmであり、肉厚5mmの鉄板で作製した。さらに図4の如く、収納容器内部に厚さ7cmで下部から容器内部に向かってガスが流れ出る構造の鉄製仕切り板212を、銅ロールの回転軸に垂直方向に沿って等間隔で2枚設置した。それぞれの仕切り板内部には、鋳造直前からアルゴンガスを通気口212Aから流量30リットル/分で流し続けた。
【0040】
実施例1と同様の方法で求めた合金の落下時の温度は780℃であった。合金片はその後ゆっくり冷却していき、600℃まで冷却するのにかかった時間は5分であった。
鋳造終了10分後、それぞれの仕切り板に流すアルゴンガスの流量を100リットル/分まで増やし、収納容器上部に蓋をした後、真空装置から大気中に取り出し、直ちにアルゴンガス置換されている別室に移した。この操作に伴って増加した室内の酸素濃度を下げることと合金片を冷却することの両方を兼ねて、収納容器を別室に移動した後も、それぞれの仕切り板には流量100リットル/分のアルゴンガスを流し続けた。
鋳造終了から2時間後の合金片の温度は94℃であった。その後、合金片を大気中に取り出し、マイクロメーターによる平均厚さの測定と、SEMの反射電子像による断面写真を用いたRリッチ相の間隔の測定を行った。測定結果は表1に記す。なお、この合金片の酸素濃度を測定したところ140ppmであり、実施例1の場合の合金片の酸素濃度130ppmと同等であった。このことから、収納容器を移動させたことによる合金片の酸化は認められなかった。
【0041】
(実施例6)
合金組成が、Nd:29.0質量%、Dy:3.5質量%、B:1.05質量%、Co:1.0質量%、Al:0.30質量%、Cu:0.10質量%、残部鉄になるように、金属ネオジウム、金属ディスプロシム、フェロボロン、コバルト、アルミニウム、銅、鉄を配合し、アルミナ坩堝を使用して、アルゴンガス1気圧雰囲気中で、高周波溶解炉で溶解した。この溶湯は、実施例1と同様のタンディッシュを介して、実施例1の銅ロール上に流した。溶湯の全質量は15kgであり、鋳造開始時の溶湯温度は1450℃とした。ロール周速度は0.97m/秒とした。
【0042】
銅ロール上で凝固した合金は、実施例1のガイドロールで破砕し、その下に設置した箱型の収納容器に貯めた。収納容器は、外寸で縦31cm、横21cm、高さ40cmであり、肉厚5mmの鉄板で作製した。さらに図5の如く、収納容器内部に厚さ2cmの区画仕切り板24を、銅ロールの回転軸に垂直方向に沿って、収納容器内に等間隔で2枚設置した。この仕切り板は、アルミナを主成分とする耐火物であり、1000℃での熱伝導率は0.2kcal/(mh℃)(0.23W/m・℃)である。また、これらの仕切り板の中間に、厚さ3cmの鉄製の冷却用仕切り板213を設置した。この仕切り板は内部が空洞になっており、両側面には直径1mmの穴213Aを多数開け、これらの穴から収納容器内部に不活性ガスを流し込んで、合金片を冷却できる構造になっている。なお、鋳造開始直前から鋳造終了10分後までアルゴンガスを流量10リットル/分で仕切り板に流し、仕切り板側面の穴から流出するアルゴンガスで合金片を冷却した。
【0043】
実施例1と同様の方法で求めた合金の落下時の温度は690℃であった。合金片はその後ゆっくり冷却していき、600℃まで冷却するのにかかった時間は6分であった。
鋳造終了10分後から、それぞれの仕切り板に流すアルゴンガスの流量を50リットル/分に増やし、仕切り板側面の穴から吹き出すアルゴンガスで合金片を冷却した。2時間後の合金片の温度は101℃であった。その後、合金を大気中に取り出し、マイクロメーターによる平均厚さの測定と、SEMの反射電子像による断面写真を用いたRリッチ相の間隔の測定を行った。測定結果は表1に記す。
【0044】
(実施例7)
実施例6と同様の組成になるように原料金属等を配合し、実施例1と同様の条件で溶解し、溶湯を実施例1の銅製ロール上に鋳造した。
銅ロール上で凝固した合金は、実施例1のガイドロールで破砕し、その下に設置した箱型の収納容器に貯めた。収納容器は、実施例1の容器内に、厚さ2cmの区画仕切り板を、銅ロールの回転軸に垂直方向に沿って、収納容器内に等間隔で3枚設置し、図6のような構造にした。この仕切り板の材質は実施例6の場合と同じである。鋳造開始直前から鋳造終了10分後まで収納容器底部のステンレス製網の下から上に向かってアルゴンガスを流量10リットル/分で流した。
【0045】
実施例1と同様の方法で求めた合金の落下時の温度は690℃であった。合金片はその後ゆっくり冷却していき、600℃まで冷却するのにかかった時間は6分であった。
鋳造終了10分後から、収納容器下部のステンレス製網の下から上部に向かって流すガスをヘリウムガスにして流量100リットル/分で流し合金を冷却した。30分後の合金片の温度は103℃であった。その後、合金を大気中に取り出し、マイクロメーターによる平均厚さの測定と、SEMの反射電子像による断面写真を用いたRリッチ相の間隔の測定を行った。測定結果は表1に記す。
【0046】
(比較例1)
実施例1と同様の組成になるように原料金属等を配合し、実施例1と同様の条件で溶解し、溶湯を実施例1の銅製ロール上に鋳造した。
銅ロール上で凝固した合金は、実施例1のガイドロールで破砕し、その下に設置した箱型の収納容器に貯めた。収納容器は、外寸で縦31cm、横21cm、高さ40cmであり、肉厚5mmの鉄板で作製した。但し、収納容器内には実施例1〜7のような網や冷却用仕切り板、区画仕切り板を設けず、不活性ガス等による冷却を行わず、収納容器内の合金片の冷却速度は制御しなかった。
【0047】
実施例1と同様の方法で求めた合金の落下時の温度は790℃であった。合金片はその後の冷却速度は極めて遅く、ゆっくり冷却していき、600℃まで冷却するのにかかった時間は1時間であった。さらに、合金片の温度が低くなるほど、冷却速度がおそくなり、合金片の温度が大気中で酸化の進まない200℃になったのは、鋳造終了8時間後であり、非常に長時間かかった。
その後、合金を大気中に取り出したところ、合金片同士が強固に融着しており、マイクロメーターによる平均厚さの測定は不可能であった。SEMの反射電子像による断面写真を用いたRリッチ相の間隔の測定については可能であり、測定結果を表1に記す。
【0048】
【表1】
Figure 0003561692
【0049】
磁石の製造
(実施例8)
実施例1で得られた合金片を水素解砕、中粉砕、微粉砕の順に粉砕した。水素解砕工程の前工程である水素吸蔵工程の条件は、100%水素雰囲気、1気圧で1時間保持とした。水素吸蔵反応開始時の合金片の温度は25℃であった。また後工程である脱水素工程の条件は、13Pa真空中、500℃で1時間保持した。中粉砕にはブラウンミル装置を用い、水素解砕した粉末を100%窒素雰囲気中で425μm以下まで粉砕した。この粉末に、ステアリン酸亜鉛粉末を0.07質量%添加し、100%窒素雰囲気中でV型ブレンダーで十分混合した後、ジェットミル装置で3.2μm(FSSS)まで微粉砕した。粉砕時の雰囲気は、4000ppmの酸素を混合した窒素雰囲気中とした。その後、再度、100%窒素雰囲気中でV型ブレンダーで十分混合した。得られた粉末の酸素濃度は2500ppmであった。またこの粉末の炭素濃度の分析から、粉末に混合されているステアリン酸亜鉛粉末は0.05質量%であると計算された。
【0050】
次に、得られた粉末を100%窒素雰囲気中で横磁場中成形機でプレス成形した。成形圧は1.2t/cmであり、金型のキャビティ内の磁界は15kOeとした。
得られた成形体を、1.3×10−3Pa真空中、500℃で1時間保持し、次いで1.3×10−3Pa真空中、800℃で2時間保持し、ステアリン酸亜鉛及び水素を除去した後、1.3×10−3Pa真空中、1060℃で2時間保持して焼結させた。焼結密度は7.52g/cmであり十分な大きさの密度となった。さらに、この焼結体をアルゴン雰囲気中、540℃で1時間熱処理した。
【0051】
直流BHカーブトレーサーでこの焼結体の磁気特性を測定したところ、Br=13.9kG、iHc=10.6kOe、(BH)max=45.4MGOeであった。この焼結体の酸素濃度は3100ppmであった。
また、この焼結体の断面を鏡面研磨し、この面を偏光顕微鏡で観察したところ、結晶粒の大きさは平均で15〜20μmであり、ほぼ均一の大きさであった。
【0052】
(比較例2)
比較例1で得られた合金片を、実施例8と同様の方法で粉砕して、3.3μm(FSSS)の大きさの粉末を得た。粉末の酸素濃度は2600ppmであった。この粉末を使って、実施例8と同様の方法で磁場中成形、焼結し、異方性磁石を作製した。但し、焼結温度1060℃の場合、焼結密度は7.38g/cmであり、焼結不十分であった。このため、焼結温度を1090℃まで上げた。
【0053】
得られた焼結体の磁気特性を実施例8と同じ直流BHカーブトレーサーで測定したところ、焼結温度1060℃の場合は、Br=13.5kG、iHc=9.8kOe、(BH)max=42.8MGOeであった。また、焼結温度1090℃の場合は、13.8kG、iHc=7.4kOe、(BH)max=35.2MGOeであった。なお、磁石の酸素濃度は、それぞれ3100ppm、3200ppmであった。
また、これらの焼結体の断面を鏡面研磨し、この面を偏光顕微鏡で観察したところ、焼結温度1060℃の焼結体の結晶粒の大きさは平均で15〜20μmであり、ほぼ均一の大きさであった。ところが、焼結温度1090℃の焼結体の場合、大部分の結晶粒についてはほぼ均一であり平均で20〜25μmの大きさであったが、所々に数十〜数百μmの大きさまで成長した結晶粒が認められた。
焼結温度1060℃で十分な大きさの密度にならなかった原因を調べるため、微粉砕後の粒子の断面を、走査型電子顕微鏡の反射電子像で観察した。その結果、実施例8の場合、端にRリッチ相が付いている粒子が多数認められたのに対し、比較例2の場合、このような粒子はかなり少なく、Rリッチ相だけの粒子が目立った。このことから、比較例2の粉末ではRリッチ相の分散性が悪く、このため、実施例8と同じ焼結温度では十分な密度の焼結体にならなかったことが分かった。
【0054】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、合金片を収納容器内で冷却速度、特に800〜600℃間の冷却速度を制御することにより、合金のRリッチ相の分布を容易に制御でき、またそれ以下の温度領域での冷却を急速に行えるため、鋳造後の合金片の冷却時間を短縮でき操業上非常に有効である。また、本発明の方法により製造した合金片の微粉末を焼結した磁石はRリッチ相の分散がよく磁石特性も良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】希土類元素含有合金の溶解、鋳造方法を示す概略図である。
【図2】鋳造、破砕した合金片を収納容器中で冷却する一つの方法を示す図である。
【図3】同上の冷却方法の他の例を示す図である。
【図4】同上の冷却方法のさらに他の例を示す図である。
【図5】同上の冷却方法のさらに他の例を示す図である。
【図6】同上の冷却方法のさらに他の例を示す図である。
【符号の説明】
1 溶解室
2 坩堝
3 ロール
4 樋
5 タンディシュ
6 ガイドロール
7 合金片
8 収納容器
10 鋳造室
211,212 冷却用仕切り板
212A 通気口
213 冷却用仕切り板
213A 通気口
22 不活性ガス又は冷却液体
23 不活性ガス
233 ステンレス製網
24 区画仕切り板

Claims (11)

  1. 希土類元素含有合金を真空又は不活性ガス中にて溶解し、溶解された溶湯を真空又は不活性ガス雰囲気中の室内にて、冷却された回転ロール上に流し、冷却して薄帯状に凝固させた直後、該凝固薄帯を片状に破砕し、厚さが0.1〜0.6mmの該破砕合金片を前記室内に置かれた収納容器内に収め、冷却媒体により前記破砕合金片の冷却速度を制御し、Rリッチ相の平均間隔を3〜15μmとすることを特徴とする希土類元素含有合金の組織制御方法。
  2. 収納容器が、内部に冷却用仕切り板を設け、その中に冷却媒体として気体又は液体を流通させて破砕合金片の冷却速度を制御できるものである請求項1に記載の希土類元素含有合金の組織制御方法。
  3. 収納容器が、内部に冷却媒体として不活性ガスを流通させて破砕合金片の冷却速度を制御できるものである請求項1に記載の希土類元素含有合金の組織制御方法。
  4. 不活性ガスを収納容器内に設けた通気口を有する冷却用仕切り板から流出させる請求項3に記載の希土類元素含有合金の組織制御方法。
  5. 収納容器が、内部に区画仕切り板を設け、破砕合金片の冷却速度を制御できるものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の希土類元素含有合金の組織制御方法。
  6. 破砕合金片の冷却速度を制御した後、さらに破砕合金片を室内より別室に移し、冷却する工程を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の希土類元素含有合金の組織制御方法。
  7. 希土類元素含有合金溶湯を回転ロール上に流し、冷却して薄帯状に凝固させる方法がストリップキャスティング法である請求項1〜6のいずれか1項に記載の希土類元素含有合金の組織制御方法。
  8. 破砕合金片の800〜600℃間の平均冷却速度が10〜300℃/分である請求項1〜8のいずれか1項に記載の希土類元素含有合金の組織制御方法。
  9. 希土類元素含有合金が、R−T−B系合金(式中、RはYを含む希土類元素(Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)のうちの少なくとも1種、TはFeを主成分とし一部をCo、Ni等で置換してもよい)である請求項1〜9のいずれか1項に記載の希土類元素含有合金の組織制御方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法により得られた厚さが0.1〜0.6mmで、Rリッチ相の平均間隔が3〜15μmである破砕合金片を粉砕した希土類元素含有合金粉末。
  11. 請求項10の合金粉末を成形、焼結した磁石。
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