JP3561427B2 - 金属材原板の加工用データ作成方法、および加工用データ作成用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 - Google Patents

金属材原板の加工用データ作成方法、および加工用データ作成用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製造された金属材原板の1枚又はロット毎に求められた加工用特性データを用いて夫々加工処理される金属材原板の加工用データ作成方法、および加工用データ作成用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、メーカーで製造された鋼板は、その所定位置に該鋼板の特性を表記したミルシートを貼付して出荷されている。このミルシートには、鋼板サイズ、TS(引張強さ),YP(降伏点)等の規格値が表記されている。そして、需要家は、鋼板の受入れ時や鋼板の加工時にミルシートの内容を、スペックの保証を示したものとして確認するようにしている。特に加工時には、各加工機器等に対する加工条件の設定を行うために利用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、鋼板の加工時における加工量δは、鋼板特性βと加工条件γとから、δ=f(β,γ)のように決定されるが、ミルシートに表記された規格値で鋼板の特性の全てを網羅できる訳もなく、実際には、鋼板毎に、あるいはロット毎に微妙な特性差を有している場合が少なくない。したがって、このような場合には、各鋼板に対して同一の加工条件を設定しても、一定の加工量δが得られるという保証がない。そこで、需要家側では、熟練工が実際の加工状況を監視し、鋼板毎の加工性の違いを"くせ"として捉えて、経験により加工条件を微妙に調整することで、この"くせ"に対応していた。
【0004】
一方、近年、加工設備は省人や生産効率の向上を図るべく自動化、合理化されてきている。したがって、かかる環境下、また近い将来において、熟練工の経験に頼ることなく鋼板毎の加工性の違いを事前に認識し、従来と同等乃至はそれ以上に適切な加工を施すシステムの構築が要求されると考えられる。
【0005】
それ故、本発明の目的は、金属材原板に対する加工用特性データに基づいて加工用データを得る金属材原板の加工用データ作成方法を提供することにある。
【0006】
また、本発明の目的は、求められた加工用特性データに基づいて加工工程で用いられる加工用データの作成を行うプログラムが記憶された加工用データ作成用プログラムの記憶媒体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金属材原板の加工用データ作成方法であって、各金属材原板から測定又は算定により加工用特性データを求めるステップと、得られた前記加工用特性データから前記金属材原板の需要家側の加工設備での加工条件を設定するためのランク分けを行うステップと、このランク分けされたランクデータを加工用データとしてランクデータ記憶手段に記憶するステップとからなるようにでき、このようにすることで、製造された金属材原板に対して、先ず加工用特性データが求められ、次いで、この加工用特性データから需要家側の加工設備での加工条件を設定するためのランク分けが行われ、次いで、得られたランクデータがランクデータ記憶手段に記憶される。このランクデータは加工工程において使用される。一方、ランク分けされたランクデータから加工条件を設定するステップと、設定された加工条件を加工用データとして加工条件記憶手段に記憶するステップとからなる場合には、加工条件自身が得られる。
【0008】
また、本発明は、加工用データ作成用プログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、該プログラムは、各金属材原板から測定又は算定により加工用特性データを求め、前記金属材原板の需要家側の加工設備での加工条件を設定するためのランク分けを行い、このランク分けに対応したランクデータを設定し、設定したランクデータを加工用データとしてランクデータ記憶手段に書き込ませる、各手順を有するので、これによれば、求められた加工用特性データから自動的にランクデータが得られる。一方、前記プログラムが、設定されたランクデータから加工条件を設定し、設定した加工条件を加工用データとしてランクデータ記憶手段に書き込ませる加工用データ作成用プログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である場合には、求められた加工用特性データから自動的に加工条件が得られる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、金属材原板の流れと電子化情報との関係を示す管理システムの概略を説明するためのフローチャートである。金属材原板の一例としての鋼板IRは、製造時や製造後の特性検査等によって、加工性に係わる鋼板特性が検出乃至は算定され、これらの鋼板特性が電子化情報IFとして作成される。電子化情報IFは、加工条件を決めるためのデータとして、加工用特性データの他、後述するランクデータや加工用条件等が、それぞれの実施態様に応じて、少なくとも1つは含まれる。電子化情報IFは基本的には各鋼板毎に検出し、乃至は算定することによって作成されるが、場合によっては、ロット毎にまとめて、すなわちロット単位でのデータを平均化する等して作成される。電子化情報IFは、例えば記録媒体Mに取り込まれる。
【0010】
ここで、電子化情報IFのうち、加工用特性データの具体例を示す。材料特性から得られるものとして、ヤング率、YP(引張強さ)、TS(降伏点)、加工硬化係数及びこれらの高温特性、熱膨張率、板厚方向の強度分布、溶接部のYP、TS等がある。残留応力から得られるものとして、板面内の残留応力偏差、表面の残留応力値、板厚方向の残留応力偏差等がある。表面性状から得られるものとして、赤や黒等の表面色、傷の位置、摩擦係数等がある。また、コイル状に巻成された場合の板厚とその偏差とか、延び易さを示すr値の方向による差異とか、表面粗度(ダル目等)等がある。
【0011】
これらの電子化情報IFが記録される記録体としての記録媒体Mとしては、鋼板表面に貼付可能なラベル、フロッピー、ディスク等の磁気記録媒体、光磁気記録デバイス、半導体集積回路等の電子デバイスが採用可能であり、これらのうち、ラベル以外は鋼板に貼付せずに鋼板とは別体としたものでもよい。また、鋼板の表面に直接刷り込みや打刻する形態でもよい。さらに、通信ラインによりデータ転送を可能にするシステムを採用する場合にあっては、記録媒体Mは、送信側のコンピュータに接続されたメモリとなる。これらの記録媒体Mは、前記課題を解決する手段における、記録部、記憶手段、ランクデータ記憶手段及び加工条件記憶手段等を構成する。
【0012】
また、表記形態は、数字、文字、記号そのもの、又はこれらを示すコード、図形や、代表的なバーコードが採用可能であり、さらには、色分けを利用したり、鋼板上での表記位置に対応させたりすることも可能である。また、記録形式は、電子、光、磁気を媒体としてデジタル信号、アナログ信号のいずれの形態でも可能である。
【0013】
各鋼板(あるいはロット)に対する電子化情報IFが得られると、続いて、鋼板と電子化情報IFとを照合するための付き合わせ情報(照合情報)がそれぞれに設定される。
【0014】
付き合わせ情報TDとしては、単純に、鋼板1枚毎やロット毎の管理をする際に一般的に採用されている連続番号を識別情報として付す管理ナンバー方式もあるし、需要家との間で予め決められた専用の番号やコードを識別情報として用いる方式、また電子化情報IFを兼用する方式等が採用可能である。電子化情報IFを兼用する方式として、例えば、加工用特性データを利用する場合、数値データ自体を利用したり、数値データを記号化やコード化したものでもよい。例えば、3桁の数値を利用し、1桁目は、加工用特性データの大きさを表すものとし、2桁目は加工用特性データの種類を表すものとし、3桁目は加工対象を表すものとして表現すればよい。この付き合わせ情報TDも、上記電子化情報IFと同様な記録媒体に記録されるものである。
【0015】
また、付き合わせ情報TDとして、電子化情報IFのうちの一部あるいは複数を、さらに場合によっては全てを採用することも可能である。付き合わせ情報TDは、鋼板の所定個所、例えば所定の隅部に貼付等され、一方、電子化情報IFが取り込まれた記録媒体Mには、同一乃至は対応する付き合わせ情報TDが書き込まれている。複数の電子化情報IFを付き合わせ情報TDとするときは、付き合わせ情報TDが1個であれば、特性データが酷似しているときは付き合わせエラーを生じる可能性があるが、複数で照合することでその可能性を極力抑制し得る。また、電子化情報IFの全てを付き合わせ情報TDとする場合には、鋼板から付き合わせ情報TD(すなわち電子化情報)を読み取る前においても、記録媒体M内の電子情報を必要に応じて、例えば受入れ検査における電子化情報IFのチェックや確認に供することが可能となるという利点がある。
【0016】
加工工程においては、加工機は、図略のセンサ(情報検出器)やリーダ(情報読取器)により、あるいは数字、文字等のような視認可能な形態で表現されている場合には作業者がこれらの内容を読み取ってキーボードからマニュアル入力することによって各鋼板から付き合わせ情報TDを機器側に認識可能に入力し、記録媒体M内の付き合わせ情報と照合させることが可能である。そして、一致あるいは関連した付き合わせ情報と対応して記録されている電子化情報IFが加工の内容に応じて読み出され、その内容から加工機に必要な加工条件が設定される。これにより、加工工程が自動的、支援的に実行されることとなる。
【0017】
図2は、鋼板製造工程中乃至は製造直後における特性データの検出あるいは算定を制御する制御装置のブロック図の一例を示す。
【0018】
図2において、圧延鋼板を製造する構成は、圧延ライン10と、その途中に配設され、インゴットに熱間矯正を施す熱間レベラ11とから構成される。制御系は、取り込んだ加工用特性データを保管するメモリを有する上位のホストコンピュータ1、プロセス制御とデータ取り込み制御を行うコンピュータ2、コンピュータ1、2及び後述の端末21との間でデー転送のためのライン管理を行うとともに、一時保管用のメモリを内蔵するコンピュータ3とを有し、さらに、測定データを取り込んで必要な演算を実行するとともにそのデータ取り込み指示や演算制御を行う演算・制御装置4、コンピュータ2,3間でのデータ交信、及び演算算制御装置4とコンピュータ3間でのデータ交信を可能にする通信ネットワーク5を備えるとともに、圧延ライン10上に設置され、圧延された鋼板IRの表面温度を幅方向に走査して計測する走査型温度計6、走査型温度計6からの測定信号をデジタルデータに変換する信号変換器7、及び圧延ライン10の移動量、すなわち圧延された鋼板IRの移送量を逐次検出する、例えば、移送機構にギア等を介して連結されたロータリエンコーダ等の移送量検出器8とから構成される。また、冷間レベラ20は必要に応じて鋼板IRに冷間矯正を施すもので、熱間レベラ11と同様な構成を備えている。端末21はキーボード等を備え、矯正条件を入力するものであり、制御装置22は入力された矯正条件に応じて冷間レベラ20の図略の駆動系を駆動制御させるものである。
【0019】
ホストコンピュータ1は、後述する鋼板の"くせ"に係わる加工用特性データの他、種々の加工において要求される可能性の高いデータを必要に応じて入力可能な端末部を備えている。また、ホストコンピュータ1は、各鋼板あるいはロットと対応付けて、前述した記録媒体に、電子化情報IFや付き合わせ情報TDを書き込ませる機能を有する。記録媒体が鋼板自体等の場合には、ホストコンピュータ1と鋼板との間にプリンタが介設され、このプリンタを介して所要の電子化情報IFと付き合わせ情報TDとを、あるいは付き合わせ情報TDのみをプリントアウトさせればよく、鋼板表面に刻印する場合には刻印装置を介して刻印させればよい。
【0020】
走査型温度計6は、測定対象物表面からの放射赤外線を受光し、受光量から表面温度を1次元方向に電子的に走査して測定するエリアセンサや、スポット的に測定する放射温度計であって鋼板の幅方向に移動可能に構成された温度計等が採用される。また、サーモセンサ等を鋼板表面の直ぐ近く間で接近させて表面の雰囲気温度を直接的に測定する温度計を幅方向に機構的に走査するものでもよい。走査位置、すなわ鋼板の幅方向の位置データyは演算・制御装置4で管理されており、一方、移動方向、すなわち位置データxは、移動量検出器8からの移送量データを取り込んで、演算・制御装置4で管理されている。従って、演算・制御装置4は、得られる温度データをT(x,y)として取り込んでいる。
【0021】
図3は、走査型温度計で得られた温度データT(x,y)から残留応力σC(x,y)を算定して取り込む手順を示すフローチャートである。これは、前述したように、加工用特性データが、夫々のセンサ等を利用して検出されるデータの他に、別の属性から演算によって算定、推定されるデータも有していることによるもので、加工用特性データを算定することにより求める例として、図2に示す構成より、温度データT(x,y)から残留応力σC(x,y)を算定する動作について説明する。
【0022】
インゴットが圧延ライン10に載せされて、熱間レベラ11で熱間矯正され、走査型温度計の測定領域まで移送されてくると、測温動作が開始される。測温動作が開始されると、移送量データ及び測温データとからT(x,y)が順次取り込まれる(ステップS1)。所定時間後、すなわち、移送量検出器8からの移送量データと、予め設定されている鋼板IRの長さデータとから鋼板の後端が通過すると、あるいは、温度が所定レベル以上低下して鋼板の後端が通過したと判断されると、温度データの取り込み終了する(ステップS3)。次いで、数1の算定式を利用して残留応力値σC(x,y)が計算される(ステップS5)。
【0023】
【数1】
Figure 0003561427
【0024】
算出された残留応力値σ(x,y)は通信ネットワーク5を介してコンピュータ3の内蔵メモリに一時的に保管される(ステップS7)。次いで、冷間レベラ20が適用されるか否かが判断される(ステップS9)。冷間レベラ20が適用されなければ、コンピュータ3の内蔵メモリに保管された残留応力値σC(x,y)はそのままコンピュータ1に転送されて、内蔵メモリに記憶される(ステップS11)。
【0025】
一方、冷間レベラ20が適用されるときは、演算・制御装置4は、コンピュータ3を介して端末21のキーボードから入力される矯正条件データと、コンピュータ3内の残留応力値σC(x,y)とを取り込んで、例えば特願平7−220742号明細書に記載の、数2の算定式を利用して、矯正後の残留応力値σc'(x,y)を算定する(ステップS13)。得られた値はコンピュータ1に転送されて、内蔵メモリに記憶される(ステップS15)。
【0026】
【数2】
Figure 0003561427
【0027】
次に、加工用特性データから加工性に応じたランクデータを作成する方法について、図4〜図7に示す線状加工の場合を例にして説明する。
【0028】
図4は、線状加熱による曲げ加工(後述の表3にも示す)を説明する図で、図4(a)は鋼板と線状加熱機とを示す概略斜視図、図4(b)は曲げ後の鋼板IRを示すである。図4において、線状加熱機30は、ガス供給源31、鋼板IRの上面側であって幅方向に平行に配設されたアーム32、及びアーム32の下面側に所定ピッチで所要パス数(本実施形態では15パス)だけ設けられたガスバーナのノズル33(火口)から構成されている。ガス供給源31には各ノズル33に対応して、供給量調節部311が設けられ、この調整部311を自動的あるいはマニュアル操作することで加熱量(すなわち加熱温度)の調整が可能になっている。かかる構成において、アーム32を鋼板IRに対して相対的に長手方向に移動しながら、ノズル33から可燃ガスを発火状態で噴射するとともに、加熱後、すなわちノズル33が通過した直後の鋼板面に、図略の冷却手段(送風手段や放水手段)により、加熱部及び加熱部周辺を冷却することで、加熱ラインを折線とした曲げを与える。なお、線状加熱機30としては、可燃ガスによる、鋼板を代表する金属材の加熱装置の他に、後述するように渦電流を利用して加熱を行うものでもよい。
【0029】
図5は、線状加熱による曲げの原理を説明するための図で、図5(a)は加熱状態の断面図、図5(b)は冷却状態の断面図である。図5(a)のようにノズル33側の面であって、ノズル33に対向する位置Aがバーナ加熱による膨張し、次いで、図5(b)のように位置A,Bを冷却すると、A部の圧縮による塑性歪み量が変化して、ノズル33側に曲がる。同様な作用を15パス分施すことによって、図4(b)のように円弧状に近似された曲げ加工が施される。
【0030】
図6は、鋼板IRの板継ぎ溶接を説明するための図である。図4(b)に示す、線状加熱により曲げられた鋼板IRを、図6に示すように、既設された他の鋼板IRK間に板継ぎ溶接する場合を考える。この場合、溶接性の点から許容される目違い量、すなわち必要な曲げ精度は、通常は±3mmであることが望ましい。また、曲がり量に大きな影響を持つ加工用特性データは鋼板表面の残留応力であるので、この残留応力の曲がり量への影響度をもとに、下記のようにしてランク分けを行う。
【0031】
すなわち、線状加熱による加工量δと1パス当りの角変形量θ(deg)との関係は、数3のように表せる。
【0032】
【数3】
Figure 0003561427
【0033】
数3をもとに、曲がり量δの許容誤差±3mmを1パス当りの角変形量θの許容誤差に換算すると、±0.0288degとなる。また、線状加熱1パス当りの角変形量θにおよぼす残留応力の影響度は、図7「鋼板の残留応力と線状加熱1パス当りの角変形量の関係図」から分かるように、0.023deg/kgf/mm2である。この2つの値から、曲がり量誤差±3mmに相当する残留応力のバラツキ範囲Δは、Δ=±0.0288/0.023≒±1.25kgf/mm2となる。従って、ランク分けは、表1のようになり、このランクデータを元に加工条件を設定すれば、必要な加工精度を得ることができることとなる。そして、残留応力値σ(kgf/mm2)とランクデータとをテーブルの形式で、記憶媒体に取り込んでおけばよい。
【0034】
【表1】
Figure 0003561427
【0035】
また、この表1を用いて付き合わせ情報について説明する。例えば残留応力値σ(kgf/mm2)が、0≧σ>−2.5であれば、所定の基準加熱量で線状加熱するときの、1パス当りの加工度合である角変形量θは、0.889≧θ>0.974であり、これをランク「1」と表している。そして、±1.25kgf/mm2のバラツキ範囲を考慮して、2.5kgf/mm2ずつ異なる範囲でそれぞれランク付けを、ランク「2」〜「8」のように設定している。従って、このランクデータを付き合わせ情報として鋼板側に、読取可能に持たせておけば、表1との付き合わせが可能となる。ランクデータの表現形態は、ランク「1」、ランク「2」とか、ランク「A」、ランク「B」のように数値や記号を用いる他、残留応力値自体を利用して、「0−2.5」、「2.5−5」のように、その数値範囲で、あるいは「1.25」、「3.75」のように、その中心値で、つまり所定の関係を有した態様で示してもよい。付き合わせ情報はランクデータと一致させておくことが照合の点からは好ましいが、前述の「0−2.5」の如き数値範囲や、「1.25」の如き中心値のように、必ずしも一致させておく必要はなく、これらの付き合わせ情報が残留応力値σ(kgf/mm2)のいずれの範囲に属するものかが判別し得れば、少なくともランク分けに応じた加工条件を設定することができる。
【0036】
次に、図8〜図11を用いて、加工用特性データからランクデータを作成する方法について、以下の「例1」〜「例3」により説明する。
【0037】
「例1」は、厚板(厚い鋼板)の条切断加工における横曲がり量を残留応力でランク分けする場合を示すもので、図8は、条切断加工機の概略斜視図である。図8において、条切断加工機40は、ガス供給量源41、鋼板IRの幅方向であって、鋼板に対し長手方向に相対移動可能に架橋されたフレーム42と、このフレーム42の幅方向に所定ピッチおきに設けられ、上記ガス供給量源41に配管を介して接続された複数のトーチ43とから構成されるガス熔断機である。なお、ガス供給源41は供給量調節部411を有し、トーチ43に送るガス量やガス圧(入熱量)を自動的、あるいはマニュアル操作により調整可能とされている。また、トーチ43の火口の寸法が切断代(しろ)に関係し、この切断代は鋼板IRの表面との離間距離に応じて、あるいはフレーム42の相対移動速度に応じて調整可能である。従って、フレーム42の移動速度で切断代の調整を行う態様では、フレーム42を移動させる図略の移動駆動部に対し、移動速度を調節し得る構成が採用されている。離間距離によって調整を行う加工機では、フレーム42を鋼板IRに対して接離方向に昇降し得る駆動部を備えればよい。
【0038】
条切断加工における横曲がり量は、鋼板の残留応力偏差の影響を受ける。そこで、コンピュータ2によって、残留応力偏差に応じてランク分けを行うことで、"くせ"に応じた加工を施すことが可能となる。
【0039】
図9は、残留応力偏差をランク分けする手順を示すフローチャートである。
【0040】
先ず、図3に示す手順を利用するなどして、板面内の残留応力値σ(kgf/mm2)が算定され(ステップS21)、次いで、この残留応力値の分布から、板面内での残留応力偏差の算出を行う(ステップS23)。残留応力偏差とは、板厚方向の残留応力値の偏差の平均値を板面分布として表現したものである。板面内の残留応力偏差が算出されると、予め作成された対照テーブル(残留応力偏差vsランクデータ)を用いてランク分けが行われる(ステップS25)。この対照テーブルは、基本的には前述した表1と同様な形式であって、横曲がり量の許容寸法に対応する、板面内の残留応力偏差の範囲と、各範囲に対し、該残留応力偏差の小さい方から順番に設定されたランク「1」、ランク「2」データを有してなるもので、算出された残留応力偏差が、対照テーブル内のいずれの残留応力偏差の範囲に含まれるかを照合乃至は検索し、この結果、該当することとなった範囲に対応するランクデータが出力されるようになっている。
【0041】
「例2」は、厚板(厚い鋼板)の条切断加工における横曲がり量を、該横曲がり量自体でランク分けする場合を示すもので、以下、図10のフローチャートに基づいて説明する。
【0042】
先ず、例えば、特公平4−8128号公報記載の(1)〜(23)式を利用して(特公平4−8129号公報も同じ)、条切断後の横曲がり量を算定する(ステップS31)。これは、条切断後の鋼板の形状変化は、残留応力に起因した現象であることから、鋼板の残留応力状態が分かれば切断後の横曲がりの形状変化量を推定することができることによる。すなわち、上記公報に記載されている方法によって、鋼板の残留応力値σc(x,y)を基に、切断後の条鋼での応力とモーメントの釣合から切断後の横曲がり量が求めるのである。
【0043】
そして、横曲がり量が算定されると、例えば許容量を考慮して、予め作成された対照テーブル(横曲がり量vsランクデータ)を用いてランク分けが行われる(ステップS33)。このランクデータに基づいて加工条件が設定される。設定されたランクデータは、前述した種々の形態の付き合わせ情報と対応して記録媒体に記録される。なお、加工条件としては、表3に示すように、「トーチ間の入熱差」や「切断代」が影響する。従って、加工時には、読み出されたランクデータに従って、これらの条件が自動的に、あるいは自動的に表示されたランクデータを確認してマニュアル操作によって調整される。
【0044】
「例3」は、厚板(厚い鋼板)の線状加熱による曲げ加工における曲がり量を残留応力値でランク分けする場合を示すもので、以下、図11のフローチャートに基づいて説明する。
【0045】
先ず、熱間レベラ11での熱間矯正後であって、常温まで冷却された時点での鋼板の残留応力値σtの推定乃至は測定を行う。残留応力値σtの求め方としては、以下の3通りが考えられる。
【0046】
第1の方法では、鋼板表面の温度分布を図2に示すように、走査型温度計6を利用して表面の温度分布を求め、前述した数1を利用して、温度データT(x,y)から残留応力σC(x,y)を算定する(ステップS41a)。第2の方法では、熱間矯正後の鋼板の表面温度T(x,y)及び予め分かっている鋼板規格(成分、強度、製造履歴等)と鋼板サイズ(特に厚み)を元に、これら各内容と残留応力値とを対応させた対照テーブルを利用して、残留応力値を得る(ステップS41b)。なお、対照テーブルは熱間矯正後の鋼板の表面温度T(x,y)、鋼板規格、鋼板サイズから残留応力値を算出する式から得られ、あるいは実験を通して得られた値に基づいて作成されている。第3の方法では、鋼板表面の残留応力値を、格子歪みから生じるX線の回折線のずれ角より推定するべくX線センサを利用して直接的に測定する(ステップS41c)。
【0047】
次に、冷間矯正が施されたかどうかが判断され、冷間矯正が施されていなければ、ステップS4に移行する。一方、冷間矯正が施されたのであれば、冷間矯正後の残留応力値の算定が、以下の3通りの方法によって行われる。
【0048】
第1の方法では、ステップS41a(またはステップS41b,41c)で得られた残留応力値σtと冷間矯正の実績条件(押し込み量と傾斜量:図2の端末21で設定:先に説明した冷間矯正条件と同じ意味)とから弾塑性計算式を利用して推定する(ステップS45a)。第2の方法では、熱間矯正で得た値を用いることなく、冷間矯正の実績条件(押し込み量と傾斜量:図2の端末21で設定)及び予め分かっている鋼板規格(成分、強度、製造履歴等)と鋼板サイズ(特に厚み)を元に、これら各内容と残留応力値とを対応させた対照テーブルを利用して、残留応力値を得る(ステップS45b)。第3の方法では、鋼板表面の残留応力値をX線センサを利用して直接的に測定する(ステップS45c)。
【0049】
そして、このようにして得られた残留応力値は、残留応力値を予め決められた所定の範囲ずつ振り分けてランク分けした対照テーブルと対比され、対応するランクデータが得られる(ステップS47)。
【0050】
なお、本フローチャートでは、予め決められた対応関係を記憶した、例えばROM等からなる対照テーブルを用いて、入力データに対応した出力データを送出するようにしたが、ROMテーブルに代えて、ランク分けの演算を直接行わせて、ランクデータを得るようにすることもできる。
【0051】
ここで、加工条件とランクデータとの関連について、線状加熱の場合で一例を示して説明する。前述した表1に対応する表2「ランクと加工条件(加熱温度)との関係」より、各ランクの鋼板を基準加熱温度の下で線状加熱した場合の変形量は、前述した数3より求まる。
【0052】
【表2】
Figure 0003561427
【0053】
表2は、目標の曲がり量を120mmに設定した場合の表である。例えば、ランク「1」に属する鋼板では、表2から分かるように、目標値120mmに対して96±3mmの変形となる。従って、、例えばランク「1」の鋼板を目標値通りの120mmだけ曲げるためには、目標値との差分24mm(=120−96)に相当する分、加工条件を変更すればよい。ここで、線状加熱における加工条件として、加熱温度を例にとる場合で説明する。
【0054】
図12は、基準温度に対する加熱温度の差(℃)と1パス当りの角変形量θの変化量Δθ(deg)との関係を示す図、図13は、基準温度に対する加熱温度の差(℃)とトータルの変形量δ(mm)との関係を示す図である。
【0055】
これらの図から分かるように、加熱温度1℃当りの変形量δは0.205mm/℃であり、ランク「1」の鋼板では、117℃(=24/0.205)だけ加熱温度を上げれば目標値通りの曲がり量を得る加工が達成される。その他のランクについては、上記ランク「1」と同様に計算することで加熱温度の上昇分(修正値)を算出することが可能となり、表2は、基準温度からの修正値(℃)をランクと対応付けて示している。
【0056】
そして、実際の加工(線状加熱)においては、ランクデータから、該ランクに応じた加熱温度が設定されることになる。
【0057】
また、線状加熱における曲がり量に影響を与える要因として、板厚方向への加熱深さが上げられる。これについては、以下に説明する加工条件により設定することができる。
【0058】
例えば、加熱手段として、ガスバーナを用いる場合、ガストーチの移動速度(加熱速度)、燃焼ガスと酸素の流量(混合比)、火口距離(ガストーチ火口と鋼板表面との距離)を調整する手段によって、加熱深さを調整し得ることから、残留応力値とこれらの加工条件を確認しておけば、かかる加工条件についてランクデータを持たせることも可能である。そして、得られたランクデータに対応して、上記加熱速度、混合比、火口距離のうちの、1つを、または設定方法によっては2つを、あるいは全ての加工条件を調整するように対照テーブルを作成しておけばよい。
【0059】
また、加熱深さを調整し得る他の加熱手段として、渦電流損を利用した高周波加熱を用いた装置が知られている。すなわち、鋼板の面に平行な高周波渦電流を深さ方向に浸透するように流し、鉄損で加熱する装置であって、発熱量Wは、数4のように表せる。
【0060】
【数4】
Figure 0003561427
【0061】
従って、高周波加熱では、加工条件として、周波数f等を調整することで、加熱温度、板厚方向への加熱深さを調整可能である。そして、残留応力値に応じて、これら電流i,周波数fと曲がり量のデータを得ておき、得られたデータから、電流iとランクデータとを、あるいは周波数fとランクデータとを対応付けた対照テーブルを作成すればよい。
【0062】
また、需要家側の加工設備、すなわち加工機器の性能を考慮してランク分けを行う必要がある。すなわち、鋼板に対する加工用諸量の入力を受けて上記加工用特性データから加工条件を設定するプログラムを記憶する記憶手段を持ち、かつ加工用特性データの少なくとも1個を付き合わせ情報として有するようにしてもよい。すなわち、金属材原板に設けられた記憶手段は加工用特性データとともに加工条件設定用のプログラムが記憶されているものである。なお、鋼板に付き合わせ情報のみ記録し、その他のデータは別体の記録媒体に記憶させた形態であってもよい。また、付き合わせ情報が加工用特性データ等を兼用するものである場合には、どの種類のデータとの付き合わせを行うかを予め知っておく必要があるとともに、自動的に付き合わせ処理を行わせる場合、付き合わせのためのプログラムが需要家側の制御装置に、あるいは上記別体の記録媒体にプログラムとして付加されて保管されていてもよい。
【0063】
加工工程では、先ず、記憶手段から加工条件設定用のプログラムがリーダ等(記憶手段が半導体メモリ等の場合には、加工機器の制御部が持つデータ取込手段等)で読み取られる。次いで、加工機器の制御部のキーボード(端末)等から加工のための必要な、すなわち制御対象に影響を与える加工用特性データ、あるいはランク分けのための加工条件に対する許容範囲データ、また加工機器に関する加工精度や加工性能、型式等の加工用諸量が入力される。そして、この後、加工条件設定用のプログラムは、入力された加工用諸量を用いて、取り込まれた加工用特性データから加工条件を作成する。したがって、加工工程で所望する加工用諸量(ランク分けの場合には、1ランク分の振り分け範囲データ等)を入力するだけで、自動的に加工条件が得られる。例えば、表1、表2を例に説明すれば、加工機に合った加工用諸量、許容幅等を入力すれば、前述した数式等を利用して、ランクデータとか加熱温度の修正値(加工条件)が自動的に算出される。なお、加工機器は加工条件設定用のプログラムを読み取るための読取プログラムを有していて、加工用諸量も自動的に加工条件設定用のプログラム中に取り込まれるようにすることもでき、このようにすることで、加工工程において更に省人化が図れる。
【0064】
これは、需要家の加工機器等が販売時に、把握できておれば、その精度、性能や機器の型式に合わせた加工条件、ランクデータを製造者側で作成可能であるが、需要家が不明な、いわゆる店頭売りの場合には、加工条件、ランクデータの作成用プログラムを付しておくことで、需要家側で自己の加工機器に合ったように加工条件、ランクデータを作成し得る。
【0065】
本発明は、表3に示すように、以下の加工態様にも適用可能である。
【0066】
【表3】
Figure 0003561427
【0067】
(1)切断や打ち抜き等のせん断加工
図14は、せん断加工の動作を説明する図で、(a)〜(c)は各加工部の側断面図で、(d)はせん断切口面の一般的な形状を示す図である。表3及び図14(d)に示すように、せん断加工では、"かえり"、"だれ"、"せん断面の(破断面)面積割合"が制御すべき対象とされ、加工硬化特性がこれらの制御対象に影響を与える要素となっている。また、せん断加工では、クリアランスやシャー角等のせん断加工条件が調整可能となっている。図14(a)に示すように、クリアランスとは、ダイスの孔径とポンチの径との差寸法をいい、図14(b)〜(c)に示すように、シャー角とは、ポンチあるいはダイスのせん断面に形成されるせん断角度である。
【0068】
そして、加工硬化特性に応じてせん断加工条件を設定する、すなわち径の順次異なるポンチを複数準備しておいて、設定された加工条件に応じて、これを自動、手動で交換し、また、シャー角の順次異なるポンチやダイスを準備しておいて、それらを加工条件に応じて自動、手動で交換することで、"かえり"、"だれ"、"せん断面の(破断面)面積割合"を制御可能である。
【0069】
そのためには、製造された鋼板から加工硬化特性を測定乃至は算定し、得られた加工硬化特性を加工用特性データ(電子化情報)として採用しておけばよい。また、加工硬化特性に代えて、加工条件としてのクリアランスやシャー角を電子化情報として採用することも可能となる。さらに、加工用特性データとしての加工硬化特性を加工性に応じてランク分けし、このランクデータに応じて加工条件としてのクリアランスやシャー角が対応して設定されるように対照テーブルを設けるようにしてもよい。このように加工硬化特性、加工性に応じて加工硬化特性から得られるランクデータ、及び加工条件であるクリアランスやシャー角、あるいはこれらのランクデータを電子化情報として持つようにしてもよい。そして、それらのうちのいずれか、あるいは複数のデータまたは全てのデータを付き合わせ情報として採用することで、鋼板と電子化情報との対応も確実に行える。なお、本加工態様および以下の加工態様において、加工条件やランクデータの作成は、前述したフローチャートで説明した作成方法と同様な手順に従って行えばよい。
【0070】
(2)型曲げ、折り曲げ、ロール曲げ及びロールフォーミング等の曲げ加工
図15において、(a)は型曲げ、(b)は折り曲げ、(c)はロール曲げを説明するための図である。これらの曲げ加工では、加工用特性データとしてYP(引張強さ)、TS(降伏点)が、加工条件として型の角度、曲げの半径、押し込み量、荷重が要素となり、これらによって、スプリングバックや、そりに影響が出る。したがって、加工用特性データとしてYP値やTS値を、加工条件として型の角度、曲げの半径、押し込み量、荷重を付き合わせ情報として用いることが可能であり、また、これらのデータをランク分けしたデータを付き合わせ情報とすることもできる。
【0071】
(3)深掘り加工
深掘り加工では、加工用特性データとして延び易さを示すr値の方向による差異、表面粗度(ダル目等)高温での材料特性が、加工条件としてしわ押さえ力、潤滑条件(潤滑油量等)が要素となり、これらによって、しわ、割れに影響が出る。したがって、加工用特性データとしてr値の方向による差異、表面粗度(ダル目等)高温での材料特性を、加工条件としてしわ押さえ力、潤滑条件(潤滑油量等)を付き合わせ情報として用いることが可能であり、また、これらのデータをランク分けしたデータを付き合わせ情報とすることもできる。
【0072】
(4)張出し加工
図16は、張出し加工を示す図である。球頭ポンチで鋼板に圧力を加えて張出し形状に成形するもので、加工用特性データとして表面粗度が、加工条件としてビードによる拘束量、しわ押さえ力、潤滑条件が要素となり、これらによって、くびれに影響が出る。したがって、加工用特性データとして表面粗度を、加工条件としてビードによる拘束量、しわ押さえ力、潤滑条件を付き合わせ情報として用いることが可能であり、また、これらのデータをランク分けしたデータを付き合わせ情報とすることもできる。
【0073】
(5)しごき加工
図17は、しごき加工を示す図で、ポンチを用いてダイスとの間で有底形状に成形する場合等に用いられる。しごき加工では、加工用特性データとして表面粗度が、加工条件として摩擦力(増摩剤量等)が要素となり、これらによって、破断の有無に影響を及ぼす。したがって、加工用特性データとして表面粗度を、加工条件として摩擦力(増摩剤量等)を付き合わせ情報として用いることが可能であり、また、これらのデータをランク分けしたデータを付き合わせ情報とすることもできる。
【0074】
(6)その他の加工
レーザ切断、プレス曲げやローラ曲げ(以上、表3に記載)、さらには、溶接加工、絞り加工、スピニング加工等にも適用できる。
【0075】
(7)また、本発明では、被加工材料として薄板や厚板の鋼板を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、アルミニウム板、アルミニウム合金板、銅板、およびチタン板等のように、製造された原板に対して切断や曲げ等の加工が施される板材に適用可能である。
【0076】
【発明の効果】
請求項1、4記載の発明によれば、各金属材原板から測定又は算定により得られた加工用特性データから自動的に加工用データとしてのランクデータを得ることができ、かつランクデータ記憶手段に記憶させることができる。したがって、ランクデータを用いて加工工程において金属材原板に加工を施すことができ、従来のような経験、熟練を要する作業が不要となり、作業能率の向上を図ることを可能にする。
【0077】
請求項2、5記載の発明によれば、各金属材原板から測定又は算定により得られた加工用特性データから自動的に加工用データとしての加工条件を得ることができ、かつ、加工条件記憶手段に記憶させることができる。したがって、設定された加工条件を用いて加工工程において金属材原板に加工を施すことができ、従来のような経験、熟練を要する作業が不要となり、作業能率の向上を図ることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属材原板の流れと、電子化情報との関係を示す管理システムの概略を説明するためのフローチャートである。
【図2】鋼板製造工程中乃至は製造直後における特性データの検出あるいは算定を制御する制御装置の一例を示すブロック図である。
【図3】走査型温度計で得られた温度データから残留応力を算定して取り込む手順を示すフローチャートである。
【図4】線状加熱による曲げ加工を説明する図で、(a)は鋼板と線状加熱機とを示す概略斜視図、(b)は曲げ後の鋼板を示す斜視図である。
【図5】線状加熱による曲げの原理を説明するための図で、(a)は加熱状態の断面図、(b)は冷却状態の断面図である。
【図6】鋼板の板継ぎ溶接を説明するための図である。
【図7】鋼板の残留応力と線状加熱1パス当りの角変形量の関係図である。
【図8】条切断加工機の概略斜視図である。
【図9】残留応力偏差をランク分けする手順を示すフローチャートである。
【図10】厚板(厚い鋼板)の条切断加工における横曲がり量を、該横曲がり量自体でランク分けする場合のフローチャートである。
【図11】厚板(厚い鋼板)の線状加熱による曲げ加工における曲がり量を残留応力値でランク分けする場合のフローチャートである。
【図12】基準温度に対する加熱温度の差と1パス当りの角変形量の変化量との関係を示す図である。
【図13】基準温度に対する加熱温度の差とトータルの変形量との関係を示す図である。
【図14】せん断加工の動作を説明する図で、(a)〜(c)は各加工部の側断面図で、(d)はせん断切口面の一般的な形状を示す図である。
【図15】曲げ加工を説明する図で、(a)は型曲げ、(b)は折り曲げ、(c)はロール曲げを示す図である。
【図16】張出し加工を示す図である。
【図17】しごき加工を示す図である。
【符号の説明】
1 ホストコンピュータ
2 コンピュータ
3 コンピュータ
4 演算・制御装置
5 通信ネットワーク
6 走査型温度計
7 信号変換器
8 移送量検出器
10 圧延ライン
11 熱間レベラ
20 冷間レベラ
21 端末
22 制御装置
30 線状加熱機
31 ガス供給源
32 アーム
33 ノズル33(火口)
311 供給量調節部
40 条切断加工機
41 ガス供給量源
42 フレーム
43 トーチ
411 供給量調節部
IR 鋼板
M 記録媒体
IF 電子化情報(加工用特性データ、ランクデータ、加工条件)
TD 付き合わせ情報

Claims (6)

  1. 金属材原板の加工用データを作成する方法であって、各金属材原板から測定又は算定により加工用特性データを求めるステップと、得られた前記加工用特性データから前記金属材原板の需要家側の加工設備での加工条件を設定するためのランク分けを行うステップと、このランク分けされたランクデータを加工用データとしてランクデータ記憶手段に記憶するステップとからなることを特徴とする金属材原板の加工用データ作成方法。
  2. 金属材原板の加工用データを作成する方法であって、各金属材原板から測定又は算定により加工用特性データを求めるステップと、得られた前記加工用特性データから前記金属材原板の需要家側の加工設備での加工条件を設定するためのランク分けを行うステップと、このランク分けされたランクデータから加工条件を設定するステップと、設定された加工条件を加工用データとして加工条件記憶手段に記憶するステップとからなることを特徴とする金属材原板の加工用データ作成方法。
  3. 前記加工用特性データを求めるステップは、鋼板製造工程中乃至は製造直後に実行されることを特徴とする請求項1または2に記載の金属材原板の加工用データ作成方法。
  4. 加工用データ作成用プログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、該プログラムは、各金属材原板から測定又は算定により加工用特性データを求め、前記金属材原板の需要家側の加工設備での加工条件を設定するためのランク分けを行い、このランク分けに対応したランクデータを設定し、設定したランクデータを加工用データとしてランクデータ記憶手段に書き込ませる、各手順を有することを特徴とする加工用データ作成用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
  5. 加工用データ作成用プログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、該プログラムは、各金属材原板から測定又は算定により加工用特性データを求め、前記金属材原板の需要家側の加工設備での加工条件を設定するためのランク分けを行い、このランク分けに対応したランクデータ設定し、この設定されたランクデータから加工条件を設定し、設定した加工条件を加工用データとしてランクデータ記憶手段に書き込ませる、各手順を有することを特徴とする加工用データ作成用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
  6. 前記加工用特性データを求める手順は、鋼板製造工程中乃至は製造直後に実行されることを特徴とする請求項4または5に記載の加工用データ作成用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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