JP3560588B2 - マイクロストリップライン・フィルタ及びパッケージ部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波帯で動作する電子機器に配備されるマイクロストリップライン・フィルタ及びそれを用いたパッケージ部品に関する。
【0002】
【発明の背景】
マイクロ波帯ないしミリ波帯で動作する通信機器の送信系及び受信系のフィルタとして、マイクロストリップライン・フィルタが多用されている。
図6は、この種のマイクロストリップライン・フィルタの一例となる1/4波長結合型フィルタの外観斜視図である。このような1/4波長結合型フィルタでは、要求性能に応じて、使用する基板の材質又はセクション数が決められる。
ここでは、ミリ波帯域によく使用される厚さ0.25mmのアルミナ基板(比誘電率εr=9.7、誘電正接tanδ=0.003@10GHz)B2を用い、その上にマイクロストリップラインによるバンド・パス・フィルタ(以下、「BPF」と称する)を形成した例について説明する。
【0003】
図6に示した従来の1/4波長結合型フィルタは、主伝送モードでミリ波のような高い周波数領域では、周波数分散効果と放射特性により、BPFの帯域外減衰特性が大幅に劣化することが知られている。その対策として、図7に例示した導電性カバーCをBPFの空間開放側に配置し、主に放射特性による帯域外減衰劣化を改善している。このような導電性カバーCによるシールドの効果を図8に示す。
図8の横軸は測定周波数[GHz]、縦軸は通過損失と反射減衰量であり、Dはシールドされたときの反射減衰量特性、Eはシールドなしのときの反射減衰量特性、Fはシールドされたときの通過損失特性、Gはシールドなしのときの通過損失特性である。
図8から明らかなように、導電性カバーCを配置してシールドすることにより、帯域外の周波数での減衰劣化が防止される。
【0004】
導電性カバーCによるシールド対策は、放射特性に対しては有効であるが、分散効果に対しては効果がさほど高くない。
すなわち、シールドされたとしても、周波数分散効果によって、マイクロストリップラインの主伝送モードである準TEMモードの他に周波数が高い領域で伝送可能となる表面波(TEモード、TMモード)が発生し、この伝送特性のために、BPFの帯域外減衰が劣化してしまう。従って、導電性カバーCで帯域外減衰特性が改善される周波数領域は、アルミナ基板(Al203 99.5% t=0.25mm)を用いた場合、30GHz未満である。
【0005】
従って、30GHz以上の周波数帯域で良好なフィルタ特性を実現しようとすると、分散効果のために帯域外減衰特性は劣化し、そのフィルタを使用する電子機器が必要とする特性を得ることはできない。
そこで、さらなる対策として、劣化した帯域外減衰量を補うに充分なBPFを縦続に追加配置する方法(第1方法)や、分散効果を軽減するために基板の厚さを薄くする方法(第2方法)などが考えられる。
【0006】
しかしながら、第1の方法は、BPF数が増加するために、挿入損失がBPFの数量に比例して増加するばかりか、サイズが大きくなり、コストアップの要因になる。また、第2の方法は、基板厚を薄くしたまま伝送系の特性インピーダンスを保とうすると、BPFを構成するマイクロストラップラインの線路幅が狭くなり、導体損失が増大する。
図6に示した基板におけるマイクロストリップラインの特性インピーダンスは50Ωで、マイクロストリップラインの線路幅は、基板厚が0.25mmの場合、約0.25mmである。もし、基板厚を0.1mmとするならば、線路幅もまた約0.1mmとなる。そのため導体損失が増大し、これを用いた電子機器の性能を充たすことができない。
【0007】
本発明は、上記諸問題を解消し、分散効果による帯域外減衰特性の劣化や薄い誘電体基板を使用することに起因する導体損失の増加を防ぐことができる、改善されたマイクロストリップライン・フィルタを提供することを、その課題とする。
本発明の他の課題は、上記のようなマイクロストリップライン・フィルタを有するパッケージ部品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のマイクロストリップライン・フィルタは、所定の厚みの誘電体基板上に、マイクロストリップラインからなるフィルタ部が形成され、さらに、前記フィルタ部の入力側及び前記出力側に、前記フィルタ部が挿入接続される伝送系の特性インピーダンスと前記フィルタ部の特性インピーダンスとの整合条件を充たすマイクロストリップラインが形成されたものである。前記誘電体基板は、周波数分散効果による影響で帯域外減衰特性が劣化して前記フィルタ部がフィルタとして実用性がなくなる厚み以下となる厚みであり、前記フィルタ部は、前記伝送系の特性インピーダンスよりも低い特性インピーダンスとなるように形成されていることを特徴とする。「周波数分散効果による影響度合いが所定値以下となる厚み」とは、その厚みがフィルタとして動作させる上で実用性に耐え得る厚みかどうかにより決まる。通常は、それ以上厚くすると周波数分散効果による影響が出て帯域外減衰特性の劣化につながり、フィルタとしての実用性がなくなるという厚みが、上記の所定値となる。
【0009】
本発明の他のマイクロストリップライン・フィルタは、所定の厚みの誘電体基板上に、マイクロストリップラインでフィルタ部が形成され、さらに、前記フィルタ部の入力側及び前記出力側に、それぞれ所定の高周波用電子回路とのインピーダンスを整合させるインピーダンス整合回路が配備されたものである。前記誘電体基板の厚みは0.1mmであり、前記フィルタ部は、前記フィルタ部が挿入接続され且つ前記高周波用電子回路の周波数特性の影響を受ける伝送系の特性インピーダンスよりも低い特性インピーダンスとなるように形成されている。
【0010】
本発明のパッケージ部品は、マイクロストリップライン・フィルタと、このマイクロストリップライン・フィルタの入力側及び出力側にそれぞれ接続される一対の高周波用電子回路とを一つの筐体に収容してなるパッケージ部品であって、マイクロストリップライン・フィルタは、所定の厚みの誘電体基板上に、マイクロストリップラインでフィルタ部が形成され、さらに、前記フィルタ部の入力側に前記一対の高周波用電子回路の一方とのインピーダンスを整合させる第1インピーダンス整合回路、前記フィルタ部の出力側に前記一対の高周波用電子回路の他方とのインピーダンスを整合させる第2のインピーダンス整合回路が配備されており、前記誘電体基板の厚みは0.1mmであり、前記フィルタ部は、前記フィルタ部が挿入接続され且つ前記高周波用電子回路の周波数特性の影響を受ける伝送系の特性インピーダンスよりも低い特性インピーダンスとなるように形成されていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。
図1は、本発明のマイクロストリップライン・フィルタの一例となる1/4波長結合型フィルタの平面図であり、図2は、図1の1/4波長結合型フィルタの電気的な構成図である。図1及び図2の対応する部分には同一符号を付している。
【0012】
図1の1/4波長結合型フィルタは、誘電体基板(比誘電率εr=9.7、誘電正接tanδ=0.003@10GHz)B1上に、BPF1を形成し、信号入力端4とBPF1の入力端との間に両者のインピーダンスを整合させるためのインピーダンス変換部2を形成し、さらに、信号出力端6とBPF1の出力端との間に両者のインピーダンスを整合させるためのインピーダンス変換部3を形成して構成される。
【0013】
基板B1は、図6に示した従来の基板B2よりも薄い、0.1mmの厚みのアルミナ基板を用いている。そのため、0.25mmの厚みの基板を用いている従来のマイクロストリップライン・フィルタよりも周波数分散効果による影響を受けにくくなり、影響度合いを軽減することができる。
【0014】
BPF1は、それが挿入接続される伝送系の特性インピーダンスである50Ωよりも低い30Ωの特性インピーダンスとなるように構成されている。そのため、導体損失の増大が抑えられるようになっている。
【0015】
インピーダンス変換部2,3は、BPF1の特性インピーダンス(30Ω)と伝送系の特性インピーダンス(50Ω)のインピーダンス変換を行う。
より具体的には、インピーダンス変換部2はBPF1と信号入力端4とを結ぶ、特性インピーダンスZのマイクロストリップラインであり、インピーダンス変換部3はBPF1と信号出力端5とを結ぶ、特性インピーダンスZのマイクロストリップラインである。
BPF1の特性インピーダンスをZ1、伝送系の特性インピーダンスをZoとすると、両者を整合させるための条件は、マイクロストリップラインの特性インピーダンスZが、√(Zo・Z1)の値であって、その長さが使用周波数の1/4波長とすることである。
図12は、このことを模式的に表している。伝送系の特性インピーダンスZoが50Ω、BPF1の特性インピーダンスZ1が30Ωなので、インピーダンス変換部2,3の特性インピーダンスZは、約39Ωとなる。
【0016】
このような1/4波長結合型フィルタでは、伝送系から信号入力端4を通じて入力された高周波信号が、インピーダンス変換部2を経てBPF1に入力され、ここでフィルタリングされた後、インピーダンス変換部3を介して信号出力端5から伝送系に送出される。
【0017】
次に、本実施形態の1/4波長結合型フィルタにおいて、基板厚を0.1mmにするとともに、BPF1の特性インピーダンスZ1を伝送系の特性インピーダンスZoよりも低い30Ωとした根拠を、より詳細に説明する。
【0018】
[基板厚]
基板厚と周波数分散効果との影響を表す場合、実効誘電率εeffという指標が用いられる。周波数分散効果と実効誘電率εeffとの関係は、図9のように表され、基板厚が従来のように0.25mmの場合は、高周波信号の周波数が高くなるほど一定値から離れ、増大していくことがわかる。つまり、高周波信号の周波数が高くなって実効誘電率εeffが増大するほど、周波数分散効果が大きくなる。この傾向は、基板厚が厚くなるほど顕著になる。
結局、図9は、基板厚0.25mmよりも基板厚0.1mmの方が周波数分散効果の小さいこと、つまり、基板厚が薄いほど周波数分散効果による影響度合いが軽減されることを示している。
【0019】
[特性インピーダンス]
マイクロストリップラインのような線路の損失には、導体損失、誘電体損失、放射損失がある。一般に、線路幅が狭くなるにつれて、その導体損失は増大する。これは、線路幅が狭くなるにつれて線路のバルク抵抗が大きくなるためである。本実施形態で用いるマイクロストリップラインの線路幅が0.25mmの場合、バルク抵抗は0.28Ω/10mmであるが、線路幅を0.1mmとすると、バルク抵抗は0.71Ω/10mmというように、約2.5倍に増加する。これを防ぐために、本実施形態では、BPF1の特性インピーダンスを従来例の50Ωから30Ωに低下させることで、線路幅を0.25mmに保ち、マイクロストリップラインの導体損失の増大を防いでいる。
【0020】
特性インピーダンスZoと線路幅Wとの関係は、一般に図10のように表される。すなわち、低い特性インピーダンスZoにおいては、線路幅Wが広くならざるを得ないことがわかる。特性インピーダンスZoの相違は、通過損失、反射減衰量の変化にも現れる。このことを図11に従って説明する。
図11は、特性インピーダンスZoとBPF1の特性との関係説明図であり、(a)のA部の拡大図が(b)となる。図11の縦軸は通過損失と反射減衰量、横軸は測定周波数[GHz]である。
これらの図は、基板厚0.1mmのアルミナ基板B1に対して、マイクロストリップラインの特性インピーダンスZoを50Ωにした場合と30Ωにした場合のBPF1の特性を示している。図中、Hは50Ωのときの反射減衰量特性、Iは30Ωのときの反射減衰量特性、Jは50Ωのときの通過損失特性、Kは30Ωのときの通過損失特性である。
【0021】
このように、第1実施形態の1/4波長結合型フィルタでは、基板厚を従来のものよりも薄くして分散効果による影響を小さくするとともに、薄い基板による導体損失の増大を防ぐために伝送系の特性インピーダンスZoよりも低い特性インピーダンスZ1でBPF1を形成し、さらに、BPF1の入出力端に、伝送系の特性インピーダンスZoとの整合をとるインピーダンス変換部2,3を配備したので、分散効果による帯域外減衰特性の劣化及び導体損失の増加を防ぐことができるようになるのである。
【0022】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態は、第1実施形態のマイクロストリップライン・フィルタを含むパッケージ部品として使用する場合の例を示す。このパッケージ部品は、マイクロストリップライン・フィルタの入力側及び出力側の双方にMMICで構成される増幅回路を配備するとともに、このマイクロストリップライン・フィルタとMMICとを一つの筐体に収容したものである。
【0023】
図3は、このパッケージ部品の構成図である。パッケージ入力端20の後段に増幅回路8を配備し、この増幅回路8とBPF1の入力端との間に、信号入力端4を介して第1整合回路6を配備するとともに、パッケージ出力端21の前段に増幅回路9を配備し、この増幅回路9とBPF1の出力端との間に、信号出力端5を介して第2整合回路7を配備している。BPF1は、第1実施形態で説明した特徴を持つBPFである。
【0024】
図3において、ZAMPoutは増幅回路6の出力端の特性インピーダンス、ZBPFi nはBPF1の入力端の特性インピーダンス、ZBPFoutはBPF1の出力端の特性インピーダンス、ZAMPinは増幅回路9の入力端の特性インピーダンスである。
第1整合回路6及び第2整合回路7は、伝送系の特性インピーダンスのみならず、増幅回路8,9の周波数特性をも考慮したインピーダンス整合を行う。すなわち、第1整合回路6は特性インピーダンスZAMPoutとZBPFinとを整合させるための整合回路であり、整合回路7は特性インピーダンスZBPFoutとZAMPinとを整合させるための整合回路である。
【0025】
このように構成されるパッケージ部品では、伝送系からパッケージの入力端20を通じて入力され、増幅回路8で増幅された高周波信号が、第1整合回路6を経てBPF1に入力され、ここでフィルタリングされた後、第2整合回路7を経て増幅回路9で増幅され、パッケージ出力端21から伝送系に送出される。
【0026】
このパッケージ部品では、基板厚を従来のものよりも薄くして周波数分散効果による影響度合いを軽減させるとともに、薄い基板による導体損失の増大を防ぐために伝送系の特性インピーダンスZoよりも低い特性インピーダンスZ1でBPF1を形成し、さらに、BPF1の入力端に第1整合回路6を介して増幅回路8を配備し、BPF1の出力端に第2整合回路7を介して増幅回路9を配備したので、周波数分散効果による帯域外減衰特性の劣化及び導体損失の増加を防ぐことができ、さらに、増幅回路8、9の周波数特性を考慮したフィルタ設計ができるようになり、このパッケージ部品を用いる伝送システムの要求に、より柔軟に対応することができるようになるという利点が生じる。
【0027】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態を説明する。
第3実施形態では、通信機の送信系に用いられるパッケージ部品について説明する。このパッケージ部品は、第1実施形態のマイクロストリップライン・フィルタの入力側にアップコンバータに組み込まれるミクサを配備し、その出力側に、MMICで構成される増幅回路を配備するとともに、これらを一つの筐体に収容して構成される。
【0028】
図4は、この実施形態のパッケージ部品の構成図である。
このパッケージ部品は、パッケージ入力端20の後段に、中間周波信号を送信用の高周波信号に変換するアップコンバータに組み込まれるミクサ10を配備し、このミクサ10とBPF1の入力端との間に、信号入力端4を介して第1整合回路6を配備するとともに、パッケージ出力端21の前段に増幅回路9を配備し、この増幅回路9とBPF1の出力端との間に、信号出力端21を介して第2整合回路7を配備している。
BPF1は、第1実施形態で説明した特徴を持つBPFである。増幅回路9と第2整合回路7は、第2実施形態と同じものである。第1整合回路6は、厳密には第2実施形態のものとは異なるが、ここでは、便宜上、第2実施形態のものと同じ符号を付している。
【0029】
図4において、ZMIXoutはミクサ10の高周波出力端の特性インピーダンス、ZBPFinはBPF1の入力端の特性インピーダンス、ZBPFoutはBPF1の出力端の特性インピーダンス、ZAMPinは増幅回路9の入力端の特性インピーダンスである。
【0030】
第1整合回路6及び第2整合回路7は、伝送系の特性インピーダンスのみならず、ミクサ10及び増幅回路9の周波数特性をも考慮したインピーダンス整合を行う。すなわち、第1整合回路6は特性インピーダンスZMIXoutとZBPFinの整合回路であり、第2整合回路7は特性インピーダンスZBPFoutとZAMPinの整合回路である。
【0031】
このように構成されるパッケージ部品は、伝送系からパッケージ入力端20を通じて入力され、ミクサ10で周波数変換された高周波信号が、第1整合回路6を経てBPF1に入力され、ここでフィルタリングされた後、第2整合回路7を経て増幅回路9で増幅され、パッケージ出力端21から伝送系に送出される。
【0032】
第3実施形態のパッケージ部品では、基板厚を従来のものよりも薄くして分散効果による影響を小さくするとともに、薄い基板による導体損失の増大を防ぐために伝送系の特性インピーダンスZoよりも低い特性インピーダンスZ1でBPF1を形成し、さらに、BPF1の入力端に第1整合回路6を介してミクサ10を配備し、BPF1の出力端に第2整合回路7を介して増幅回路9を配備したので、分散効果による帯域外減衰特性の劣化及び導体損失の増加を防ぐことができ、さらに、ミクサ10及び増幅回路9の周波数特性を加味したフィルタ設計ができるようになり、送信系で必要となるスプリアス特性、特に局発波抑圧をより少ないフィルタの数と段数で実現することができる。
【0033】
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態を説明する。
第4実施形態では、通信機の受信系に用いられるパッケージ部品について説明する。このパッケージ部品は、第1実施形態のマイクロストリップライン・フィルタの入力側に低雑音高周波増幅器の代表例であるローノイズアンプを配備し、その出力側にミクサ回路を配備するとともに、これらを一つの筐体に収容して構成される。
【0034】
すなわち、図5に示されるように、パッケージ出力端21(受信系では、これが入力となる)の後段に高周波信号の受信用増幅回路であるローノイズアンプ11を配備し、このローノイズアンプ11とBPF1の入力端との間に、信号出力端5を介して第2整合回路7を配備するとともに、パッケージ入力端20の前段に、高周波信号を中間周波信号に変換するダウンコンバータに組み込まれるミクサ10を配備し、このミクサ10とBPF1の出力端との間に、信号入力端4を介して第1整合回路6を配備している。BPF1は、第1実施形態で説明した特徴を持つBPFである。
第2整合回路7及び第1整合回路6は、第2実施形態と同じものとすることができる。
【0035】
図5において、ZMIXinはミクサの高周波入力端の特性インピーダンス、ZBPFoutはBPF1の出力端の特性インピーダンス、ZBPFinはBPFの入力端の特性インピーダンス、ZAMPoutはローノイズアンプ11の出力端の特性インピーダンスである。
第1整合回路6は特性インピーダンスZMIXinとZBPFoutの整合回路であり、第2整合回路7はZBPFinとZAMPoutの整合回路である。
【0036】
このように構成されるパッケージ部品では、パッケージ出力端21を通じて入力され、ローノイズアンプ11で増幅された高周波信号が、第2整合回路7を経てBPF1に入力され、ここでフィルタリングされた後、第1整合回路7を経てミクサ10で周波数変換され、パッケージ入力端20から受信系に送出される。
【0037】
第4実施形態のパッケージ部品では、基板厚を従来のものよりも薄くして分散効果による影響を小さくするとともに、薄い基板による導体損失の増大を防ぐために伝送系の特性インピーダンスZoよりも低い特性インピーダンスZ1でBPF1を形成し、さらに、BPF1の入力端に第2整合回路7を介して低雑音増幅回路11を配備し、BPF1の出力端に第1整合回路6を介してミクサ10を配備したので、周波数分散効果の影響による帯域外減衰特性の劣化及び導体損失の増加を防ぐことができる。また、ミクサ10及びローノイズアンプ11の周波数特性を加味したフィルタの設計ができるようになり、受信系で必要となるスプリアス特性をより少ないフィルタ段数で実現することができ、イメージ周波数による雑音特性の劣化を防ぐことができる。さらに、損失を少なくすることができるので、雑音特性を良くすることができる。このように、通信器の受信系に本発明を適用することによる効果には充分なものがある。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、周波数分散効果による帯域外減衰特性の劣化を防ぐことができ、また、薄い基板を使用することに起因する導体損失の増大をも防ぐことができるという、特有の効果を奏することができる。
また、フィルタ部の前後に高周波用電子部品を配するとともに、これらの電子部品とフィルタ部との間にインピーダンス整合を図る回路を介在させるようにしたので、本発明の適用用途に柔軟に対応できるようになるという効果も生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による1/4波長結合型フィルタの平面図。
【図2】第1実施形態の1/4波長結合型フィルタの電気的な構成図。
【図3】本発明の第2実施形態によるパッケージ部品の電気的な構成図。
【図4】本発明の第3実施形態によるパッケージ部品の電気的な構成図。
【図5】本発明の第4実施形態によるパッケージ部品の電気的な構成図。
【図6】従来の1/4波長結合型フィルタの外観斜視図。
【図7】図6における1/4波長結合型フィルタの特性を向上させるために導電性カバーでシールドした状態を示す説明図。
【図8】導電性カバーによるシールドの有無の変化を示した特性説明図。
【図9】実効誘電率εeffの周波数特性図。
【図10】線路の特性インピーダンスZoと線路幅Wとの関係説明図。
【図11】(a)は線路の特性インピーダンスZoとBPFの特性の関係説明図、(b)は部分拡大図。
【図12】インピーダンス変換の原理説明図。
【符号の説明】
1 BPF
2,3 インピーダンス変換部
4 信号入力端
5 信号出力端
6,7 整合回路
8,9 増幅回路
10 ミクサ
11 低雑音増幅器
20 パッケージ入力端
21 パッケージ出力端
Claims (6)
- 所定の厚みの誘電体基板上に、マイクロストリップラインからなるフィルタ部が形成され、さらに、前記フィルタ部の入力側及び出力側に、前記フィルタ部が挿入接続される伝送系の特性インピーダンスと前記フィルタ部の特性インピーダンスとの整合条件を充たすマイクロストリップラインが形成されており、
前記誘電体基板は、周波数分散効果による影響で帯域外減衰特性が劣化して前記フィルタ部がフィルタとして実用性がなくなる厚み以下となる厚みであり、
前記フィルタ部は、前記伝送系の特性インピーダンスよりも低い特性インピーダンスとなるように形成されている、
マイクロストリップライン・フィルタ。 - 所定の厚みの誘電体基板上に、マイクロストリップラインでフィルタ部が形成され、さらに、前記フィルタ部の入力側及び出力側に、それぞれ所定の高周波用電子回路とのインピーダンスを整合させるインピーダンス整合回路が配備されており、
前記誘電体基板の厚みは0.1mmであり、
前記フィルタ部は、前記フィルタ部が挿入接続され且つ前記高周波用電子回路の周波数特性の影響を受ける伝送系の特性インピーダンスよりも低い特性インピーダンスとなるように形成されている、
マイクロストリップライン・フィルタ。 - 前記高周波用電子回路が高周波信号を増幅する増幅回路であり、
前記インピーダンス整合回路は、前記フィルタ部と各々の高周波用電子回路とのインピーダンス整合条件を充たすマイクロストリップラインである、
請求項2記載のマイクロストリップライン・フィルタ。 - 前記フィルタ部の入力側に存在する高周波用電子回路が、中間周波信号を送信用高周波信号に変換するアップコンバータに組み込まれるミクサであり、
前記フィルタ部の出力側に存在する高周波用電子回路が、フィルタリングされた高周波信号を増幅する増幅回路である、
請求項2記載のマイクロストリップライン・フィルタ。 - 前記フィルタ部の入力側に存在する高周波用電子回路が受信用高周波増幅回路であり、
前記フィルタ部の出力側に配備される高周波用電子回路が、フィルタリングされた受信用高周波信号を中間周波信号に変換するダウンコンバータに組み込まれるミクサである、
請求項2記載のマイクロストリップライン・フィルタ。 - マイクロストリップライン・フィルタと、このマイクロストリップライン・フィルタの入力側及び出力側にそれぞれ接続される一対の高周波用電子回路とを一つの筐体に収容してなるパッケージ部品であって、
前記マイクロストリップライン・フィルタは、
所定の厚みの誘電体基板上に、マイクロストリップラインでフィルタ部が形成され、さらに、前記フィルタ部の入力側に前記一対の高周波用電子回路の一方とのインピーダンスを整合させる第1インピーダンス整合回路、前記フィルタ部の出力側に前記一対の高周波用電子回路の他方とのインピーダンスを整合させる第2のインピーダンス整合回路が配備されており、
前記誘電体基板の厚みは0.1mmであり、
前記フィルタ部は、前記フィルタ部が挿入接続され且つ前記高周波用電子回路の周波数特性の影響を受ける伝送系の特性インピーダンスよりも低い特性インピーダンスとなるように形成されている、
パッケージ部品。
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