JP3560060B2 - 入浴介護用椅子 - Google Patents
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- A47C7/02—Seat parts
- A47C7/024—Seat parts with double seats
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、入浴介護用椅子であって、詳しくは浴室内で要介護者の身体を洗う際に使用され、要介護者(利用者)が安定した状態で、安心して楽に座ることができると共に、介護人が要介護者の身体を効果的かつ効率的に洗うことができる椅子を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
老齢化又は疾患等によって身体不自由になったり、または痴呆となった要介護者に対する介護サービスのニーズは近年拡大してきており、こうした介護サービス市場に参入する企業及び就業者も年々増加している。一方、経済的事情や家族的感情から外部への委託を避け従来からの家族による介護を選択する例も多い。
【0003】
委託介護であれ家族による介護であれ身体介護は担当する介護人の負担は重く、特に排便や入浴の介護は大変である。
【0004】
なかでも入浴の介護は、排便と異なり、その頻度やその手間のかけ具合は介護人に自由裁量の余地がありまた介護人の能力にもよるので、要介護者の満足のいく水準を常に維持するのがなかなか難しい。
【0005】
入浴介護といっても、例えば、単に要介護者の身体を湯船に浸けたり、または単に温水シャワーを掛けたりするのに止まる介護水準もあり、更に身体の上下および表裏の隅々に至るまでシャンプーや石鹸を用いて垢落としを行い、その後で洗い流すという丁寧な望ましい介護水準もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、要介護者の身体に十分な垢落としをするためには、湯船内においては、要介護者の身体を横向け、仰向け、うつ伏せ等何度も姿勢を換えさせたり、手足の上げ下ろしをさせたりする必要があり、介護人のみならず要介護者本人にとっても大変である。
【0007】
湯船の外、即ち流しの床ないし簀の子の上で、これを行うにしても上記と同じ難点は完全には否定できないし、床ないし簀の子に直接座ったり、寝たりすることには要介護者の心理的な抵抗感があると考えられる。
【0008】
また、市販の流し用腰掛けを使用し、これに要介護者を座らせることも考えられるが,これは要介護者の体がぐらつき易く、かつ滑り易いので、不安定で危険である。そして、特に内股から腰回りにかけての汚れ易い部分が洗いにくいという難点がある。
【0009】
上記のような問題から、要介護者が安全に楽に座ることができると共に、介護人が要介護者の身体、特に手の届きにくい下半身を効率よく容易に洗うことができる手段を提供することが強く望まれているところである。
【0010】
【課題を解決する手段】
上記の如き問題点を解決するための本発明に係る入浴介護用椅子は、一対の前脚と後脚と、これらの前脚と後脚の上端をそれぞれ連結すると共に相互に離間する着座部を前後方向に設けて着座部の間に手操作可能な空間部を形成し、この着座部の後部上方に延長した2本の支持杆の上端を連結するように背もたれ部を設け、前記着座部の前部の内方に上方に突出する一対の脚支持部を設ける共にその上部に利用者が姿勢を安定するために把持できる把持部を形成し、前記着座部と背もたれ部によって着座した利用者の身体をやや後方に傾斜した状態で支持し、前記脚支持部によって開脚状態を保持するように構成したことを特徴としている。
【0011】
また、一対の前脚と後脚と、これらの前脚と後脚の間に支持される着座部を設けており、この着座部は前後方向の側部と、この側部の後部を連結する後部によりU形に形成されて中間部に手操作可能な空間部を有し、この着座部の後部上方に延長した2本の支持杆の上端を連結して背もたれ部を設け、前記着座部の前部の内方に上方に突出する一対の脚支持部を設ける共にその上部に利用者が姿勢を安定するために把持できる把持部を形成し、前記着座部と背もたれ部によって着座した利用者の身体をやや後方に傾斜した状態で支持し、前記脚支持部によって開脚状態を保持するように構成したことを特徴としている。
【0012】
更に、前記一対の脚支持部は、逆U型に形成されていることを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1,2を参照して、本発明に係る入浴介護用椅子1の第1の実施の形態を説明する。
【0014】
入浴介護用椅子1は、一対の前脚2,2と一対の後脚3,3を持ち、前脚2,2と後脚3,3の下端は前後連結杆4,4でそれぞれ連結されている。そして、後脚3,3の間は横連結杆5で、また前後連結杆4,4はその中程で横連結杆5Aで連結されている。従って前後連結杆4,4と横連結杆5,5Aとによって四角形の強固な基礎構造を形成している。
【0015】
前後連結杆4,4の中間部から一対の支持杆6,6(後脚3を補強して第2の脚部を構成している部材)が上方に、かつ後方に傾斜して伸長しており、その支持杆6,6の上部同士を連結部材7(骨材)で連結し、更にこの連結部材7の前面にラグビーボール形の背もたれ部7Aが取り付けられている。
【0016】
また、支持杆6,6の中程を前記後脚3,3の上端と連結して支持杆6,6と後脚3,3と前後連結杆4,4とで三角形の強固な枠体を形成している。
【0017】
前記前脚2,2の上端と支持杆6,6の中間部の間に支持部材8,8を設け、この支持部材8,8上面に着座部8A,8Aを取り付けている。なお、この実施の形態においては、支持部材8,8とこれで支持される着座部8A,8Aは略楕円形、瞳形ないしは菱形に形成されている。また、前記連結部材8,8と着座部8A,8Aは水平に形成されるが、やや前部が高く後部が低くなるように傾斜をつけてもよい。
【0018】
図1及び図2の例においては着座部8A,8Aを二つに分離したものを示したが、安定感や違和感などからこの構造のものが好まれない場合は、二つの着座部の後部に尻を載せる部分を設けてコの字形又はU字形にして前部のみを開き、中間部分に手操作が出来る空間部を形成した便座形のものを採用できる。
【0019】
更に、前記着座部8A,8Aの前部の内側寄りの部分の上面ないし側面に上方に突出して脚支持部9,9を設けている。この脚支持部9,9は、用介護者の脚の内側部分を支持して開脚状態をするものであるが、要介護者がつかまりやすいように略逆U字形に形成されている。
【0020】
図3は上記脚支持部9,9の各種の形態を示すものであって、(A)は右側の着座部8Aに設けた脚支持部9を示しており、丸棒或いは丸パイプをU型に湾曲させて形成し、要介護者がその上部に掴まり易く、また脚部の内面を支持して両脚部をV形に強制的に開くように形成している。
【0021】
図(B)に示す右側の着座部8Aに設けた脚支持部9Aは、板状部材の上端部を逆U形に湾曲させて要介護者が掴まり易くすると共に、脚部の内側を広く支持して長時間の開脚状態を保持し易くしたものである。
【0022】
図(C)に示す右側の脚支持部9Bは、T形のステッキ状にして要介護者に違和感をなるべく与えないように配慮したものを示している。
【0023】
また図(D)は、図(C)に示した脚支持部9Bの変形であって、両端を球状に膨出させた掴み部13を形成している。
【0024】
図(E)は着座部8Aの正面図を示しており、脚支持部9ないし9Cの下端に断面がU字形の固定部材14を設けて板状の着座部8Aの縁部に嵌合させて固定するように形成したものである。
【0025】
図4は着座部の正面図であって、左側の着座部8Hと右側の着座部8Mとの間に空間部10を開け、そして両着座部8M、8Hを空間部10側に向けて傾斜させることによって、身体を安定して支持させ、脚部の内側を脚支持部9に凭れかけるように形成したものである。
【0026】
再び図1を参照して、椅子1の背もたれ部7Aは、要介護者が適当に反り返って寄り掛かれるように着座部8Aより後部の上方に配置するとともに、両着座部8A,8Aの間及びこの着座部8A,8Aと背もたれ部7Aの間に広い空間部10を形成している。この空間部10は、要介護者を両脚をV字形に開いて着座部8A,8A上に安定して着座させて要介護者の下半身を洗浄するための介護の手の動きを妨げないように設けたものである。
【0027】
前記の前脚2,2と後脚3,3と支持杆6,6と連結部材7と連結部材8,8及び脚支持部9,9等の構造材は、ステンレス・スチールパイプ、又はアルミニウム合金のパイプあるいは木材や合成樹脂を使用した成形体等を使用することができる。
【0028】
また、背もたれ部7Aと着座部8A,8Aは、プラスチック板上にウレタン・フォームを積層し、その表面をプラスチック・シートで覆って耐水性をもたせてながら要介護者の身体を柔らかく受け止めるようにしておくのが良い。なお、椅子1の底部には濡れた床でも滑らないように合成ゴム製の滑り止め11を取り付ける。
【0029】
図5と図6とは着座部8A,8AをV形に開いたり、平方に近くなるように閉じたり出来る入浴介護用椅子1Aの下部構造を示す正面図と平面図である。
【0030】
基礎部15は前部横枠15Aと後部横枠15Bと、これらの部材を一体的に連結する連結部材15Cで構成されている。そして前部横枠15Aは中空レール状に構成されており、前脚16の下端に設けた滑り部材16Aを案内するようになっている。
【0031】
更に、2本の前脚16は、中間部が連結部17で連結された連結部材18によって連結されている。前記着座部8A,8Aの後部下方には後脚20,20が設けられ、その下端は連結部材15C上を横滑りするか、この連結部材15Cに開口した横穴にガイドされて僅かに横移動するようになっている。また、前記後脚20の後方に延長部材21が設けてあり、この延長部材21の端部を軸22で後部横枠15B上に支持して着座部8A,8Aの後方の回動支点としている。
【0032】
従って、連結部17に設けてある作動片19を図6に矢印Fで示すように押して前記連結部材18をヘの字形に曲げると、前脚16,16を椅子1Aの中央に移動させると同時に着座部8A,8Aは矢印Sのように移動してその前部の間隔を縮めることができる。
【0033】
このように着座部8A,8Aが姿勢を変化させてその前部を接近させると、この着座部の上方に突出して設けてある脚支持部9,9の間隔が縮小することになり、要介護者が大きく股をV形に開かなくても着座することが出来るので、介護が容易になる。
【0034】
また、要介護者によっては、最初から大きく股を開くことを嫌う人もいるので、このような場合には最初は両足を合わせたような状態で脚支持部9,9を両足の間に挟ませたような状態で椅子1Aに座らせ、姿勢が安定し、安心感がでたことが分かった時に前記作動片19を前方に引き出して連結部材18を直線あるいはこれに近い状態にして両足の間の間隔を開けて介護することができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明に係る入浴介護用椅子は、着座部に腰を落とし、背もたれ部に凭れかかった状態で着座させて要介護者の身体の荷重を十分に受け止めることができ、しかも要介護者は着座部の前部の内側に設けた脚支持部で両足が合うように動くことが制限され、V字形の開脚状態で座った楽な姿勢を保持することができる。
【0036】
従って介護人によってとかく不潔になりがちな下半身を含む全身を、ほぼ隈なく、効率的に垢取りし、洗ってもらうことができる。
【0037】
更に、着座部の前部上面の内側に上方に突出して設けた脚支持部が着座した両脚の内側に当たって要介護者が椅子から滑り落ちることを防止して身体を安定させ安全であると共に、脚支持部の上部に利用者が姿勢を安定するために把持できる把持部を形成したので、着座したり立ち上がる際にこれに掴まることができ身体のバランスを安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る入浴介護用椅子の斜視図である。
【図2】本発明に係る入浴介護用椅子の側面図である。
【図3】着座部に設けた脚支持部を各種の形状を示すもので、(A)は逆U形の脚支持部を、(B)は板型の脚支持部を、(C)はステッキのT型形状をした脚支持部を、(D)は前記(C)の脚支持部の変形を示す図を、更に(E)は安定型の着座部と脚支持部の取付構造の正面図をそれぞれ示すものである。
【図4】2枚の着座部の固定状態を示す正面図である。
【図5】着座部を開閉できる椅子の要部を示す正面図である。
【図6】図5の椅子の要部の平面図である。
【符号の説明】
1,1A 入浴介護用椅子 2 前脚 3 後脚 4 前後連結杆
5,5A 横連結杆 6 支持杆 7 第1支持連結部
7A 背もたれ部 8 第2支持連結部 8A 着座部
9 脚支持部 10 空間部
15 基礎部 15A 前部横枠 15B 後部横枠
15C 連結部材 16 前脚 16A 滑り部材 18 連結部材
19 作動片 20 後脚
Claims (3)
- 一対の前脚と後脚と、これらの前脚と後脚の上端をそれぞれ連結すると共に相互に離間する着座部を前後方向に設けて着座部の間に手操作可能な空間部を形成し、この着座部の後部上方に延長した2本の支持杆の上端を連結するように背もたれ部を設け、前記着座部の前部の内方に上方に突出する一対の脚支持部を設ける共にその上部に利用者が姿勢を安定するために把持できる把持部を形成し、前記着座部と背もたれ部によって着座した利用者の身体をやや後方に傾斜した状態で支持し、前記脚支持部によって開脚状態を保持するように構成したことを特徴とする入浴介護用椅子。
- 一対の前脚と後脚と、これらの前脚と後脚の間に支持される着座部を設けており、この着座部は前後方向の側部と、この側部の後部を連結する後部によりU形に形成されて中間部に手操作可能な空間部を有し、この着座部の後部上方に延長した2本の支持杆の上端を連結して背もたれ部を設け、前記着座部の前部の内方に上方に突出する一対の脚支持部を設ける共にその上部に利用者が姿勢を安定するために把持できる把持部を形成し、前記着座部と背もたれ部によって着座した利用者の身体をやや後方に傾斜した状態で支持し、前記脚支持部によって開脚状態を保持するように構成したことを特徴とする入浴介護用椅子。
- 前記一対の脚支持部は逆U型に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の入浴介護用椅子。
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