JP3560031B2 - 医療器具用バルーンおよびその成形 - Google Patents
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本発明は、一般的には医療器具のためのバルーンおよびそれを成形するための方法と装置に関する。さらに詳しくは、本発明は医療用および外科用バルーンと、そして血管形成術、弁形成述および泌尿器科学用途等のために設計されたもののようなそれらを備えているカテーテルに関する。これらバルーンは特定の最終用途にとって望ましいふくらみ性質を持つように調節し得る能力を発揮する。特に重要なふくらみ性質は、バルーンが折りたたみしわを除去するようにふくらまされた後、引伸ばされない非延伸寸法をこえて膨張または引伸ばされる量またはパーセントである。この点に関し特に適しているバルーンは所望のバルーン形状に成形されたナイロンまたはポリアミドチューブ製である。
カテーテルバルーンおよびそれらを備えている医療器具は、血管の妨害された区域を通る血流を増加させるために血管および他の体内通路の狭い個所または妨害が緩和される血管形成術および他の医学的操作のような外科学的処置において使用するために良く知られている。例えば、典型的なバルーン血管形成術操作においては、部分的に閉塞した血管内腔は血管妨害部位へ動脈システムによって経皮的に通されたバルーンカテーテルの使用によって拡張される。その時バルーンは妨害部位において血管内腔を拡張するためふくらませられる。
基本的に、バルーンカテーテルは、その先端またはのその近くのようなその全長に沿った所望の位置に小さいふくらまし得るバルーンを有する薄い可撓性のチューブである。バルーンカテーテルは、典型的には螢光鏡誘導を使って血管内腔、心臓通路、尿路等のような体内通路中へ挿入されるように設計されている。
過去においては、医療器具バルーンは、一旦到達すればバルーンの破裂またはバルーン破裂のリスクを実質上増加させることなしに有意な程度それ以上ふくれることができない作業直径または指定した初期膨張直径へふくれるのを許容する強度および可撓性を示す壁厚を持っていた。これら材料のバルーンは、この作業直径をこえて実質的な程度に引伸ばしたり、膨張したり、または順応できない実質上非延伸性のバルーンであるとして特徴化できる。そのような実質上非延伸性のバルーンは、一旦折りじわを総体に除くようにふくらませれば、それ以上有意な程度にふくらまない紙風船に性質がある程度似ているとして特徴化できる。医療用バルーンとして使用するために使用され、または提案されたこの非延伸性タイプのポリマー材料はポリエチレンテレフタレートを含んでいる。
ポリ塩化ビニルおよび架橋したポリエチレンのような他のタイプの材料は、それらが破裂するまで圧力が増加するにつれ容積が増し、または引伸ばされる点において延伸性であると特徴化できる。これらの材料は一般に弾力性であり、および/または引伸ばし得る。そのような伸張できる材料が医療用バルーンとして使用される時、バルーンの作業直径または指定拡張直径を材料の延伸性に基いて越えることができる。
実質上非延伸性バルーンは、それらはそれぞれの指定拡張直径を有意にこえてふくれることがなく、それにより過膨張過誤の可能性を最小化するため、しばしば有利であると考えられる。その理論は、妨害部位に望まれる拡張寸法に実質上相当する開いたそしてふくらんだ直径を持っている血管造影バルーンのようなバルーンを選択するだけでよいことである。しかしながら動脈のような生理的脈管は一般に先細であり、そして容易に入手し得るカテーテルバルーンと常には一致しない。そして時折バルーンの直径を当初期待していた以上に増加し得ることは好ましいことがある。実質上非延伸性のバルーンでは、そのような期待以上の膨張は厳しく制限される。他方、それから医療用バルーンがつくられる種の非延伸性材料は一般に比較的高い引張り強度値を有し、それらは特にタフな病巣を拡張するために典型的に望ましい属性である。
ポリ塩化ビニルのようなもっと容易に延伸し得る材料は、典型的には低い引張り強度と、そしてポリエチレンテレフタレートのような実質上非延伸性材料より大きい伸びを発揮する。この比較的低い引張り強度は可能性あるバルーン故障の危険を増加する。それらの大きい最終伸びのため、最も容易に膨張し得る材料は、一旦到達したバルーンのふくらんだ作業形状を追加の拡張を実現するためにさらに膨張できるから、めいめいの特定バルーン寸法について広範囲の有効ふくらみもしくは拡張寸法を提供することができる。しかしひろがった拡張範囲を持っているこの性質は、処置されている血管を損傷することがある過膨張の危険の増大による危険性なしとせず、そして過膨張リスクは他の場合に望ましいよりも大きいバルーン壁厚の使用によって補わなければならないであろう。
ポリエチレンテレフタレートのような材料は、その特に高い引張り強度およびぴったり制御し得るふくれ性質の見地から有利であるが、それは一般に非延伸性であること以外に望ましくない性質を持っている。ある状況においては、ポリエチレンテレフタレートの二軸配向は血管形成術バルーンへ過剰の結晶化度を与え、もしくはヤング率が単に高すぎるであろう。このような状況下では、バルーン自体またはそのより厚い脚部分は、案内カテーテルを通って、および/または心臓脈管系を通って、そして特に拡張すべき狭くなった動脈を通って挿入するために望まれる細いプロフィルのタイプを提供するために容易に上下に屈曲しないであろう。屈曲または羽ばたきに対する抵抗は、弁形成術用途を意図したもののような大きなバルーンになった時に特に難しい問題である。
また、ポリエチレンテレフタレートのような薄壁材料は、特に曲げた時ピンホールを形成し、または他の弱化微候を有する。そのような傾向は、ポリエチレンテレフタレート医療用バルーンを実質上弱くする偶発的損傷を避けるように取扱いにおいて極端な注意を必要とする。より細いプロフィルのそしてより可撓性のバルーンおよびバルーン脚は壁を薄くすることによってつくられることが既知であるが、このように薄くしたポリエチレンテレフタレートバルーンは極めて脆弱になり、そして所望の安全性を維持し、そしてピンホール形成および/または破裂なしで心臓脈管系を通って挿入に耐えられないであろう。
ポリエチレンテレフタレートのような材料は、多数の用途において望ましい薬物または潤滑剤のコーティングを容易に受付けない。ポリエチレンテレフタレート材料は、加熱接着であれ、または既知の生体適合性接着剤であれ、融着するのが困難である。
本発明により、ポリエチレンテレフタレート材料からつくったもののような実質上非延伸性医療用バルーンのこれらの望ましくないおよび/または不利な性質は有意義に排除される。同時に、これらタイプの材料の利益の多数が提供され、または接近させる。さらに、本発明はポリ塩化ビニルのようなもっと弾力性材料の利点の多くを、比較的低い引張り強さの不利益と、そして血管等の過度の膨張へ導くことができる過剰の膨張性の可能性なしに実現する。
要約すると、本発明はバルーンの作業または完全にふくらんだがしかし非延伸拡張プロフィルをこえて、しかし限度内においてバルーン器具の特定の要請に応答できる所望の程度へ膨張が可能であるように、限られたそして一般に制御された膨張性を有する材料でつくったカテーテルおよび医療用カテーテルバルーンを形成し、提供することにより、これらの目的を達成し、この線に沿った有益な性質を提供する。本発明は、適正な軸方向延伸、半径膨張および熱処理操作により、成形装置内でバルーンに成形されるナイロン材料またはポリアミド材料のような要望に応じ得る材料の使用を含む。
本発明の一般的目的は、医療用バルーンを成形するための改良された装置および方法を提供することである。
本発明の他の一目的は、高圧力において制御された膨張性を発揮する医療用バルーンを成形するための改良された装置および方法を提供することである。
本発明の他の一目的は、拡張のある範囲を提供する一方、そのような融通性に関連することがあり得るリスクを最小化する医療用バルーンを成形するための改良された装置および方法を提供することである。
本発明の他の一目的は、ナイロンまたはポリアミドのような材料のチューブをカテーテルバルーンに成形するために特に適した改良された血管形成術カテーテルバルーン成形方法および装置を提供することである。
本発明の他の一目的は、比較的非晶質のチューブを医療用バルーンに半径方向に膨張させるための改良された手段および方法を提供することである。
本発明の他の一目的は、バルーンカテーテルに関連して投与するために有益な潤滑剤その他のような材料で容易に被覆されるバルーンカテーテルを成形するための改良された装置および方法を提供することである。
本発明の他の一目的は、良好な強度と望ましい可撓性の組合せを発揮するバルーンを成形するための改良された装置および方法を提供することである。
本発明の他の一目的は、他の部品へ容易に融着する能力を発揮する医療用バルーンを成形するための改良された装置および方法を提供することである。
本発明のこれらおよび他の目的、特徴および利益は、以下の詳細な説明の考慮によって明瞭に理解されるであろう。
図面の簡単な説明
第1図は、血管形成術に適した典型的な構造を有するバルーンカテーテルの一部断面正面図である。
第2a,2b,2c,2dおよび2e図は、本発明に従って医療用バルーンへ変形するために次第に処理される時のチューブの正面図である。
第3図は、第2a,2b,2c,2dおよび2e図に示した処理ステップを実施するための好ましい装置の断面図である。
第4図は、異なる半径方向膨張性質を提供するように設計したナイロンバルーンを含む、各種材料でつくったバルーンについて、バルーン寸法対バルーン膨張圧力のプロットである。
第5図および第6図は、調節性に対する熱固定の機能を図示するプロットである。
第7図は、調節性に対するたが膨張比の関係を図示するプロットである。
特定具体例の説明
例示的カテーテルが第1図に参照番号21によって総体に指定されている。カテーテル21は根本端23および先端24を有するカテーテルチューブ22を含んでいる。案内カテーテル25も図示されている。医療用バルーン26は、カテーテルチューブ22の先端部分へカテーテルチューブを通る1個以上の開口27を覆う位置で固着されて図示されている。根本端29および先端31を有するような内側の細長い本体28がカテーテルチューブ22の内腔を通って延びている。内側本体28は、それが単に案内機能であるか、またはそれは血流中へ物質を挿入するか、または血流のパラメータを測定する等の能力をも提供することを意図しているかによって、内側本体が実現すべき機能に応じて中実であるか、または内腔を持つことができる。
バルーン26を除いて、これら種々の部品はこの分野で一般に認められている機能を果たす。典型的には、案内カテーテル25の助けにより、内側本体28およびカテーテルチューブ22は、バルーンが閉塞部位に位置するまで心臓脈管系へ挿入される。この段階において、バルーン26は典型的にはたたまれそして潰され、そしてそれはバルーン26がカテーテル22のまわりに一般に重なる程度に、第1図に示したふくらんだ直径よりも小さい外径を有する。バルーンが一旦閉塞部位へ操縦されれば、加圧流体が開口を通過し、そしてバルーン26の膨張のためにカテーテルチューブ22の根本端23から挿入される。これは病変部拡張、閉塞減少または同様な処置の所望結果を達成するために、体内の所望部位において半径方向外側へ向いた力を与えるための比較的平滑な外表面または作業プロフィルをそれが提供するまでバルーンをひろげる。本発明の重要な一面によれば、バルーン26の内側表面に対するより大きな圧力の伝達は、第1図に想像線で示すような、その作業プロフィルをこえるバルーン26の実際の半径方向外側へ向いた運動を含む付加的な力をバルーン26の外表面が病変部その他へ伝達することを許容する。
第2a,2b,2c,2dおよび2e図は、押出したナイロンまたはポリアミドのような材料であるチューブ32を成形したバルーン33または修飾したバルーン34への成形を図示する。バルーン33または34のどちらも最初の非延伸または作業プロフィルへふくらみ、次により大きな圧力の適用によってそれをこえて限定されたおよび/または制御された程度へふくらむ能力を持っている。バルーン33および34それぞれは、バルーン部分35,36と、脚部分37,38を含んでいる。脚部分37,38はバルーンがカテーテル21のチューブへ固定される部分である。例示的用途においては、チューブ32はバルーンのために意図された直径の約1/4の直径を持つように押出される。この押出されたチューブ32はまた、バルーン33,34の所望壁厚の6倍ないし12倍近くのオーダーの公称壁厚を持っている。
第2b図は、そのもとの長さの約3倍に軸方向に引伸ばされた後のチューブ32aを図示する。この引伸ばしまたは引抜き操作は大体室温で実施され、典型的にはそれがそれ以上の引伸ばしに対して認知し得る抵抗を示す点へ引伸ばされるまで進められる。典型的には、この引張り力は特定のチューブ32の降伏点より大きいが、しかし選定した材料の長さ方向の究極引張り強度より小さい。一般的に云えば、この軸方向伸張操作はチューブ32aの壁厚がチューブ32の壁厚の約半分になるまで、および/またはチューブ32aの直径がチューブ32の外径の約半分ないし40%になるまで実施される。実際に伸びた長さは、典型的にはもとのチューブ32の長さの約2倍ないし約4倍にすることがてきる。チューブ32の実際の引伸ばしは、単にチューブ32を軸方向に引伸ばすか、またはチューブ32を寸法決めダイスを通して引張るかまたは引抜くことによって実行することができる。
第2c図は、第2b図の縦方向伸張操作が完了した後に実施されるステップを図示する。これはチューブ32aの一部分が主として半径方向に膨張し、それによってバルーン部分35を脚部分37から区画するステップである。このステップは、加圧流体によりチューブ32aの内壁へ加えられる圧力によって実施される。典型的には、バルーン部分35はチューブ32aの外径の約6倍のオーダーの外径を持つであろう。加圧流体は配合空気、窒素またはアルゴンのような気体を含み得る。水またはアルコールのような液体ももしそれらがバルーン中に残存流体の問題を起こさなければ使用し得るであろう。一般的に云えば、バルーンが大きければ大きいほど、膨張流体の流速が速くなるであろう。増大する寸法の典型的にオーダーに一般的に格付けされる心臓バルーンの実例は、冠状動脈に使用するために設計されたもの、末梢動脈に使用するために設計されたもの、および心臓弁に使用のための弁形成術バルーンである。他のバルーンは前立腺尿道を拡張するための尿道形成術バルーンを含む。
第2c図に図示する操作は、半径方向膨張が発生する位置を制御することによって容易化される。この結果を実現する有利な方法は、半径方向膨張の間バルーン部分35へ、脚部37への熱の適用を避けながら熱の局部的適用を実施することである。そのような局部区域の温度上昇はその位置のナイロン、ポリアミド等の降伏点を低くし、それによってこの選定した区域の半径方向膨張を容易化するであろう。一例として、このステップを実施する温度は典型的には約35℃と多分90℃の間とすることができ、最適温度は使用する特定の材料にいくらか依存する。
チューブ32aの半径方向膨張およびそのバルーン部分35と脚37への成形を制御するための手段が設けられる。これは成形装置内の条件および/または膨張位置を制御しそしてモニターすることによって達成できる。この点に関する例示的手段はここに記載する成形装置内に含まれている。さもなければ、この機能は流体通過の速度を厳密に制御し、そしてその圧力をモニターすることによって達成できる。例えば弁形成術バルーンについては、以下のアプローチを取ることができる。約0.140インチ(0.3556cm)の直径および0.006インチ(0.01524cm)の壁厚を有する縦に引伸ばしたチューブがシールされ、そして水のような液体が約2ml/分の割合でチューブ内へポンプされる。この寸法のチューブおよびこの割合において、バルーンの膨張は約300psi(21.1kg/cm2)ゲージにおいて始まり、そして約150psi(10.55kg/cm2)ゲージに低下する。膨張はこの態様で所望のバルーン形状を有する成形物が得られるまで続き、これは有意義な圧力上昇によって観察できる。ポンピングは約180ないし200psi(12.7ないし14.0kg/cm2)の圧力に達するまで続けられる。この圧力条件はもし望むならば持続することができる。
満足なバルーンは、第2c図に示すステップを含む方法を進め、その後選択した材料が熱固定されるまでその上昇温度を維持することにより、バルーンをその半径方向膨張した形状および寸法近くに寸法安定、熱セットもしくは熱成形することによってつくることができる。本発明に従って達成される調節自在性は特定の熱固定条件の関数である。固定温度は使用する材料のタイプ、壁厚および処理時間によって変えることができる。典型的な固定温度はナイロン材料に対しては約100℃ないし約160℃であり、そして典型的な処理時間は約1分ないし約4分である。
そのようなバルーン33は脚37とバルーン部分35の作業表面の間を一般に延びる区域に見られる膨張こぶ39を含むことができる。結節、みね、リブ、玉縁などとも記載することができるこれら膨張こぶは、この区域におけるナイロンのような材料の不均一な膨張から生ずるものと信じられる。バルーン上にこれら膨張こぶ39の存在を最小化することを望むときは、半径方向収縮を伴う二次的縦方向引伸ばしとそれに続く二次的半径方向膨張を熱固定されていないバルーンについて進めることができ、それらステップは第2dおよび2e図に図示されている。
第2d図に関し、熱固定されていない第2c図のバルーン33は、再び典型的には降伏点より大きいがしかしバルーン33の終局引張り強度より小さい軸方向を向いた力を適用することによって縦に引伸ばされる。もし望むならば、この軸方向の力は第2b図に示した操作において適用した軸方向の力の大きさと実質上同じにすることができる。次に半径方向膨張が、第2e図に示したバルーン34を製造するために例えばバルーン内腔中へ加圧流体を導入することによって実施される。この操作は、バルーン部分36、脚部分38、および一般に望ましい場合はその間の先細の接続表面の注意深い成形を実現するため、金型キャビティ内で実施するのがしばしば好ましい。得られる修飾したバルーン34は典型的には有意な膨張こぶ39を含まず、そしてバルーン部分36と脚部分38の間に均一な過渡区域を持つであろう。この追加の縦方向膨張または引伸ばしは非配向材料の区域を実質上なくす。
バルーン33を形成する操作が用いられようが、またはバルーン34が形成する操作が続けられようが、形成されたバルーン33,34は好ましくはその膨張した寸法を固定するため与圧されたバルーン33,34が加熱される熱固定ステップへ掛けられる。セッティングは典型的には85℃以上、典型的には実際の材料およびバルーンの寸法および厚みにいくらか依存してバルーン材料の融点までの温度において実施される。例えば、ナイロン12に対する典型的な固定温度は120℃において1分間である。この熱処理により、バルーンはその形状とその膨張した寸法の大部分、典型的には冷却した時その約95%以上を維持するであろう。好ましくは、バルーンはそれが総体に冷却するまで与圧され続ける。もしこの熱固定操作を用いなければ、バルーンは金型内でブローまたは膨張した寸法の約40ないし50%へ速やかに収縮するであろう。
特にこの熱固定操作に関し、重要な要件は熱成形し得る材料の使用である。ある材料が他の形状に熱で成形し得ればそれは熱成形し得る材料である。ナイロンは熱成形可能なプラスチックである。それはその融点以下の温度へ加熱し、他の形状および/または寸法を取るように変形または成形することができる。冷却した時、熱成形性材料はそのような新しい形状および/または寸法を保持する。この操作は実質上反覆し得る。これに反し、天然手ラテックスゴム、架橋ポリエチレンまたはシリコーンゴムのような熱硬化性材料は、一旦硬化するとその寸法および/または形状へ架橋され、もはや熱変形できない。また、二軸配向したポリエチレンテレフタレートは結晶化する傾向を有し、二軸配向しないポリエチレンテレフタレートにおいて典型的である熱成形性を失う。本発明のナイロンバルーンをあらかじめ定めた高温度、例えば約80℃において長時間加熱し、次に冷却する時、それはバルーン形状へ熱成形される。もしバルーンがこの温度以上へ再加熱されれば、それは異なる形状を有するバルーンへ成形される。
第3図は、ここで論じた医療用バルーンを成形するのに適した成形装置を図示する。この装置はパリソン41を医療器具その他のためのバルーンに変形する。この装置は縦方向延伸、半径方向膨張、加熱および冷却を達成し、そして半径方向膨張をモニターするための手段を含み、これらのすべてはハード回路、マイクロプロセッサ、または他のコンピュータ化した制御装置によって都合よく制御することができる。制御されるこれらのパラメータはこのため精密に設定でき、そして特定のパリソンを所望の特定寸法および性質を有するバルーンに成形するための最適条件を提供するために容易に変更することができる。ここでは特定のパラメータはナイロンのようなバルーン材料に典型的に適したものが提供され、そしてこれらパラメータ値はバルーンに成形される特定の材料について必要に応じ変えることができることが理解されるであろう。
図示した装置は、パリソン41が装置を通過するときパリソンを多数のバルーン部について異なるステップを一般に同時に実施する能力を持っている。これはパリソン41として使用されるチューブの各バッチの厚みおよび他の属性の変動のために特に有用である。
この装置は、例えばスライドレール42に沿って相互に関して適切に取付けられた一連の要素を含んでいる。時々これらの要素のいくつかの運動が一般に既知の原理および構造に従ってピストンアセンブリ(図示せず)のような適当な手段によって実施される。
加圧流体源43は、良く知られた原理に従って一以上のレギュレータ44と協力して加圧流体をパリソンの端部分中へ導入するために設置される。一以上の弁45もパリソン41内の加圧流体の流速および容積の制御を助ける。パリソン41の異なる位置を係合するためにグリッパアセンブリ46および47が設けられる。好ましくは中間グリッパアセンブリ48も設けられる。一以上の冷却室51,52,53,54も好ましくは設けられる。これらは装置の各種アセンブリを相互に熱的に分離する手段として特に有用である。また自由ブロー半径方向膨張室もしくは金型55および成形室56も含まれる。
好ましくは、これら各種の室の温度を例えば約0℃と約150℃以上の間で制御およひ/または変えるための手段が設けられる。この点に関し図示したアセンブリは適当な流体入口57および流体出口58へポンプで流入および流出される熱流体をとじ込めるためのジャケットを含んでいる。熱流体を各流体ジャケット61,62,63,64,65,66内に収容するためにO−リング59等が設けられる。
図示する装置の使用においては、パリソン41が最初装置全体を通って、典型的にはグリッパアセンブリ46とグリッパアセンブリ47の間を通って供給または引き廻される。グリッパアセンブリ47のパッド68が内側へ動き、パリソン41の下流端部分をそれがパリソン41のこの部分を絞めつけ、好ましくはこの時パリソンをヒートシールする程度に係合する。一般に同時に、グリッパアセンブリ46のパッド67は、それがパッド67に関してパリソン41の運動を防止するが、しかし望む時加圧流体のそれを通る流れをなお許容する程度に、パリソン41を装置の図示した上流位置において係合する。グリッパアセンブリ47は次に、グリッパアセンブリ46と47の間に固定されたパリソンの全長がその長さの2倍以上約4倍まで、典型的には未延伸長さの約3倍に引伸ばされるまで、下流方向(第3図に図示するように右へ)動く。
次に、自由ブロー半径方向膨張室55が加熱した熱流体を流体ジャケット62中へ送ることによって加熱される。冷却室51,52、または他の適当な手段は、流体ジャケット62からの熱が実質上自由ブロー半径方向膨張室55内にあるパリソンの全長だけに与えられるように熱的隔離を提供する。パリソンのこの特定部分の温度は、特定のパリソン41および所望のバルーン性質に応じて約70℃と120℃またはそれ以上の間の温度へ加熱されるであろう。このとき源43からのパリソン41中の加圧流体はグリッパアセンブリ46に挟まれたパリソン全長を通り、そして自由ブロー室55におけるパリソン長さ中へ通過する。もし望むならば、この特定の圧力適用をグリッパアセンブリ48の上流のパリソン41の部分へ限定するためにグリッパアセンブリ48を使用することができる。
自由ブロー半径方向膨張室55の主目的は、一般に第2c図に示されているように、パリソン41のその部分をバルーン33へ半径方向に膨張させることである。しばしば半径方向膨張の量を精密に制御することが望ましく、そしてそのための手段が設けられる。第3図に図示されているこの手段は、スライド自在なインサートまたはリング69を含んでいる。インサート69が膨張するバルーン33によって係合される時、それは半径方向膨張の所望の程度が達成されたことを信号する適当なスイッチ等(図示せず)に達するまで第3図に示したように左方へ空気または金属スプリング(図示せず)に抗して移動する。この時、半径方向膨張を中断するステップが取られる。これは典型的には流体ジャケット62内の加熱した熱流体を約10℃または特定のパリソン41および所望の特定の性質に応じてそれよりいくらか低いまたは高いより冷たい温度を有する熱流体によって冷却することを含む。次にバルーン部分33へ加えられた圧力は、例えばバルーンが冷却された後弁45を通って排出を許容することによってなくされる。もし使用したならば、グリッパアセンブリ48が解放され、バルーン部分43はグリッパアセンブリ47によるパリソンの下流端部分の移動によって自由ブロー半径方向膨張室55から成形室56中へ動かされる。これは典型的には第2d図に図示する縦方向引伸ばしステップを同時に達成する。一旦この位置を取れば、加圧流体が成形室56内にあるパリソンのその部分の中へポンプされ、そしてパリソンのこの部分を約70℃から融点直下、例えば150℃まで、または特定のパリソンおよびバルーンの所望の性質によってはそれ以上までの上昇温度へ再加熱するために、熱流体が流体ジャケット65中へ通過される。
一般的に云えば、成形室56内の温度は自由ブロー室55へ適用される温度より高く、そして同時に自由ブロー室55において適用される圧力と等しいか低い圧力を成形室56内のパリソンの内壁へ与えるのが通常有利である。例えば、ナイロンが材料である時、自由ブロー室55内の温度は環境より少し高く、好ましくは約30〜60℃の範囲内にあることができるが、成形室56内の温度はこの範囲の上限または必要ならばそれより上であることができる。例示的な圧力は成形室56において10気圧のオーダであり、自由ブロー半径方向膨張室55においては該圧力の2倍以上であることを含むであろう。正確な圧力は成形すべきバルーンの材料により、そして壁厚およびたが応力によって決定される。
成形室56内で修飾したバルーン34へ加えた熱により、バルーン34はそれによって熱成形され、この点に関するヒートセットは熱可塑性プラスチックの温度をそれがふくらんだストレス下にある間に上げることを含む。その後で流体ジャケット65内の熱流体は、成形室56内の形成されたバルーン34の寸法および形状を実質上維持させるために冷却用流体で交換される。圧力が解放された後、バルーンは装置から取出される。その後このように成形されたパリソンは、カテーテル21のような医療器具へ組込むためのバルーン26を形成するために第2e図に示した線AおよびBに一般的に沿って切断される。
パリソンはそれがこの装置を通過するにつれてそれらの成形の種々の段階にあるバルーンを含んでいることが認められるであろう。好ましくは、これは以下のようにいくらか逆の態様において実施される。自由ブロー室55内でのバルーン33の当初の引伸ばしおよび形成後、この装置は成形室56内のパリソンの一部分が自由ブロー室55内の膨張の前に半径方向に膨張するように使用され、これは一般に以下のように生起する。成形室56がここに記載するように加熱され、そしてバルーン34を形成するように加圧される。その後グリッパアセンブリ48が室55と56の間のパリソンを閉じる。次に自由ブロー室55が加熱され、そしてバルーン33を成形するために半径方向膨張がここに記載するように実施される。次にバルーン33が成形室56へ動かされ、そしてこのプロセスが実質上くり返される。
バルーンは室55中の自由ブローなしで成形室56内で完全につくることができることを理解すべきである。しかしながらこの態様でつくられたバルーンは多数のこぶを示すことがある。
装置に使用するのに適した流体に関し、圧力源43が最終医療器具バルーン26内表面から除去するのに余分の処理を必要としない流体を提供するのが典型的に有利である。この点に関して考慮に入れなければならないのは、流体の水分および流体の廃棄の容易性および安全性である。特に適当な流体は加熱した窒素ガスである。ジャケット61ないし66内で使用する流体に関しては、装置にとって必要などのような作動温度においても液体状態である流体を使用するのが典型的にベストである。好ましくは、この流体は作動範囲を通じて一般に一貫した粘度を維持し、低い処理温度において熱流体の性質を変化させる固化、結晶生成等の開始を避けられるものである。
バルーンおよびパリソンがそれからつくられる材料に関しては、それらは典型的にはナイロンおよびポリアミドである。好ましくは、これら材料は非晶質性質を持っているが、しかし本発明によって提供される条件下で成形されるのに十分な結晶化度を持っている。材料はまた、実質上の引張り強度を持ち、折りたたんだり広げた後でもピンホール形成に対して抵抗性であり、そして一般にかき傷抵抗性でなければならない。材料は上昇温度においてブローを可能にする固有粘度を持たなければならない。本発明に従ってナイロンまたはポリアミド材料に対して好ましい典型的な固有粘度範囲は約0.8ないし約1.5であり、約1.3が特に好ましい。材料はまた、相当に良好な耐湿性を有することが望ましい。ナイロン12タイプの材料がこれらの有益な性質を持っていることが判明した。他の例示的ナイロンは、ナイロン11,ナイロン9,ナイロン69およびナイロン66を含む。
さらにナイロンまたはポリアミド材料の固有粘度に関し、このような材料は押出しの間および最後のバルーン成形を通じそれらの固有粘度を一般に維持できるものと信じられる。さらに、これまで医療用バルーンの成形に使用されたポリエチレンテレフタレートのような他の材料はこの固有粘度維持を示さず、ペレット材料の固有粘度は押出しの間実質的に低下し、ポリエチレンテレフタレートバルーンはそのもとになったポリエチレンテレフタレートペレットよりも低い固有粘度を持つ結果となることがわかった。さらに、高いバルーン固有粘度は最終成形バルーンにピンホールが発生する可能性を減らすものと信じられる。
本発明に従って用いることができるナイロンまたはポリアミド材料に関し、それらはエポキシ接着剤、ウレタン接着剤、シアノアクリレート、およびナイロン等に適当な他の接着剤により、そしてさらにホットメルト接合、超音波溶接、熱融着等によってカテーテル21へ接合することができる。さらに、これらバルーンはタップ接合、収縮嵌合、糸等の機械的手段によってカテーテルへ取付けることができる。ナイロンまたはポリアミド材料また、Kevlerまたは超高抗張力ポリエチレンのような線状材料で補強した形で提供することができる。使用されるこのポリマー材料は、ヘパリン等の医薬材料、およびポリビニルピロリドンのような非血栓源性潤滑剤で被覆することができる。加えてこのポリマー材料は硫酸バリウム、炭酸ビスマス、ヨウ素含有分子のような放射線不透過性媒体や、可塑剤、押出し潤滑剤、顔料、抗酸化剤等のような他の添加剤を充填することができる。
本発明に従って使用されるナイロンまたはポリアミドは、脚区域においてさえも大きい壁厚を許容するのに十分なように可撓性であるが、体腔または案内カテーテル中へ挿入のためそれ自体の上に折り重ねることができる構造をなお提供する。これらナイロンまたはポリアミドは、ここに論じたようにバルーンに成形した時、約15,000ないし約35,000psi(1054.5ないし2460kg/cm2),好ましくは約20,000ないし約32,000psi(1406ないし2249.6kg/cm2)の計算引張り強度を有する。
本発明による材料は、与えられた圧力を適用する時最初非引伸ばしもしくは非延伸状態または作業寸法へふくらむ能力を発揮する医療器具バルーンを形成する。それらはまた、その状態をこえて制御されたそして制限された態様で引伸ばされるようにさらにふくらむ能力を持っている。そのような引伸ばしまたは延伸の程度は必要なように限度内で設計することができる。換言すれば、本発明によるバルーンは、単にバルーンを満たすのに必要なよりも高い圧力によっていくらか膨張することを許容するが、しかしこの付加的膨張は過膨張の危険が存在するほど実質的ではない。
本発明による材料は、バルーン成形中にその非延伸または作業寸法をこえて一般に予定したパーセントだけ引伸ばされる能力を持つように調節できなければならない。このパーセントはパリソンがバルーンへ処理される条件に依存する。本発明による適当な材料は半径方向膨張の少なくとも10パーセント点の範囲内の値をカバーするように調節することができる。ある種のナイロンを含むいくつかの材料は25または30パーセント点の調節範囲を示すことができ、そして例えば10%またはそれ以下、および約30%以上もの高い半径方向膨張を発揮することができる。
この状況を実証するため、異なる材料、すなわちポリ塩化ビニル、架橋したポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートおよびナイロンの血管形成術バルーンについてテストを行った。これらのデータは第4図にグラフとして報告されている。壁厚は実用できるバルーンを形成するために材料の性質に応じて変えた。ポリエチレンテレフタレートバルーン(B)は0.010mmの壁厚を持っていた。ポリ塩化ビニルバルーン(C)は0.064mmの壁厚を有し、またポリエチレンバルーン(D)は0.058mmの壁厚を持っていた。バルーンCおよびDのデータはThe American Journal of Cardiology,1986年1月号に“Effect of Inflatioin Pressure on Coronary Angioplasty Balloons"と題して報告されており、これらテストは環境条件で実施されているが、第4図中の残りのバルーンは37℃でテストされた。ナイロンバルーン(A)の一つは0.013mmの壁厚と、そしてたが膨張比5.2を持っていた。ナイロンバルーンの他の一つ(E)は0.008mmの壁厚と、たが膨張比4.3を持っていた。本発明によるバルーンの設計自在性は、押出し時のチューブもしくはパリソンの平均直径で平均バルーン直径を割った商として定義されるたが膨張比の関数である。
第4図は、“0"として定義したその作業寸法をこえたバルーン寸法(直径または半径のような)の増加パーセントに対する種々の血管形成術カテーテルへ加えた流体の相対的圧力をプロットする。ポリ塩化ビニルのようなしなやかな材料は圧力が増すにつれて徐々に成長し、そして作業寸法に達した後そしてバルーンの破裂限界に達する以前にそれ以上の膨張が停止する前に、いくらかの限られた追加の圧力増加を許容することが認められるであろう。このような材料では、相対的圧力の少しの増加(プロットAおよびBの材料と比較して)はバルーン寸法を著しく増加させる。ポリエチレンテレフタレート(PET)のような材料はそれらの作業寸法へふくれるが、プロットしたカーブの他のもののようにそれを大きい程度こえない。
カーブEによって示されるナイロンまたはポリアミド材料は第4図において比較的長いそして平坦なカーブを示し、これは膨張圧力の比較的小さい追加増分の適用によってゆるやかに膨張し続けることを指示する。一旦非延伸膨張プロフィルまたは作業寸法に達すること、この設計したナイロンバルーンは他のふくらんだプロフィルへ上昇することができる程度の適切な延伸性またはしなやかさを持つ。カーブDのポリエチレンバルーンは当初ナイロンバルーンEのカーブと同程度に膨張するが、このナイロンバルーンはカーブDのポリエチレンバルーンまたはカーブCのポリ塩化ビニルバルーンよりも破裂なしで大きい膨張圧力に耐えることができる。このことはカーブEのナイロンバルーンは実質上より薄い壁厚を持っていることを考えれば特に有意義である。第4図に示したようなデータを基にして、追加した膨張圧力に関連する従順な膨張を予測することが可能である。本発明によるバルーンは、それが作業寸法をこえて約5%の低い率から作業寸法の約35%以上の高い率まで半径方向に膨張するようにこの成長性質を発揮することができる。
前に観察したように、バルーン膨張率調節性は、本発明によるバルーン材料のためのヒートセット条件およびたが膨張比の関数である。そのような材料については、ヒートセット温度を上げると与えられた膨張圧力における仕上がりバルーンの寸法が増し、そして標準的なエチレンオキシド処理のような滅菌後に典型的に発生する収縮を減らす。処理の間パリソンへ加えられるたが膨張の量は仕上ったバルーンが発揮するであろう膨張量に著しく影響を有する。
第5および第6図は仕上ったバルーンの膨張性に対する変化するヒートセット条件の影響を図示する。このヒートセットは、バルーンがバルーン材料のガラス転移温度以上の温度へ加熱され、そしてガラス転移温度以下へ冷却される時に達成される。ナイロンまたはポリアミドのような材料については、約90ないし180℃の温度がすぐれたヒートセット能力を持っている。ガラス転移温度はこのヒートセット温度以下であり、そして20ないし40℃の範囲内の温度でよい。バルーンは体温において良好な可撓性を示し、これは例えば使用中バルーン挿入および操縦性を容易化する。
第5図は、それらが異なるヒートセット温度へかけられたことを除いて実質上同じナイロンバルーンについて、37℃でテストした4種の膨張プロットを与える。めいめいの場合において、バルーンは2分間加熱/冷却サイクルへかけられ、冷却は室温へである。各バルーンはその後エチレンオキシド滅菌へかけられた。カーブFは120℃のヒートセット温度へかけられ、カーブGは130℃,カーブHは140℃,そしてカーブIは150℃であった。これらカーブは異なる膨張性質およびそのようにして得られた調節のタイプを例証することが認められるであろう。第6図のカーブJおよびKは100℃においてヒートセットされたバルーンのものであるが、カーブJバルーンは滅菌したがカーブKバルーンは滅菌しなかった。同様にカーブLおよびMは両者とも140℃でヒートセットしたが、カーブLは滅菌した場合を、そしてカーブMは滅菌しない場合を示す。
バルーン調節性とたが膨張比との間の関係が第7図に示されている。異なるたが膨張比を有する3個の滅菌しないナイロンバルーンが37℃で破裂するまで膨張させてテストされた。4.9の比較的高いたが膨張比(カーブN)は約7%のバルーン膨張(破裂することなく安全に)を与えた。3.7たが膨張比(カーブO)は約23%のバルーン膨張を与え、3.3たが膨張比(カーブP)は約36%の膨張比を与えた。
さらに、本発明によるナイロンまたはポリアミドバルーンは制御された膨張性質を提供し、そしてポリ塩化ビニルまたはポリエチレンのような他の材料では必要なほどの大きい壁厚を要せずして破裂することなく与えられた圧力に耐える。これらナイロンバルーンのこのような薄い壁厚バルーンが小さい血管、病巣および/またはカテーテルへ入って行くことを許容する。本発明による適当なバルーンは約0.0002インチ(0.000508cm)から0.002インチ(0.00508cm)のシエルもしくは壁厚を持つことができる。例示的な好ましい壁厚範囲は約0.0004ないし約0.001インチ(0.001016ないし0.00254cm)の間である。
ナイロンのような材料は、体温よりずっと高いガラス転移温度を有するポリエチレンテレフタレートのような他のバルーン材料よりも、使用温度である体温において軟らかく、そして可撓性である。少なくともある種のナイロンについては、ガラス転移温度は体温に近く、そしてナイロンバルーンは、一般に熟成形等を含むここに記載したタイプの処理を行った後でさえも可撓性および軟らかさを増進する非晶質性質を発揮する。このためナイロンバルーンはそれらが体内にある時ガラス転移状態にあることができるが、医療バルーン材料として使用し得る他の多数の材料ではそうではない。
ナイロン製のバルーンは、圧力が除去された時バルーンの直径が減少し、それによって体内からの取出しを容易化する性質を発揮する。この減少はバルーンの寸法を認知し得る程縮小する材料の応力緩和によって生ずるものと信じられる。ポリエチレンテレフタレートのような他の材料はこの有利な性質を発揮することが知られていない。ポリエチレンテレフタレート医療用バルーンの特徴である不利な性質は滅菌時大きい材料しわを発生することであり、このしわは体温においてさえも200psi(14.06kg/cm2)のオーダーの非常に高い膨張圧力が適用されるまで続く。ナイロンまたはポリアミドバルーンが滅菌される時に、材料しわ発生はあっても少しであり、そしてこれらは8psi(0.5624kg/cm2)のオーダーの低い膨張圧力において実質上消滅する。
ナイロン材料は、もしパリソンをかなりの期間カバーせずに放置しても環境から過剰の水分を吸収しない点において処理の間望ましい安定性を発揮する。ポリエチレンテレフタレートのような材料はもしパリソンをバルーンに成形前保護バッグ等の中に貯えなければ環境水分によって劣化する。
記載した本発明の具体例は本発明の原理の適用のいくつかの例証であることが理解されるであろう。多数の修飾が当業者によって本発明の真の精神および範囲を逸脱することなくなされることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は血管形成術に適したバルーンカテーテルの一部断面正面図、第2a、2b,2c,2dおよび2e図は本発明の医療用バルーンを成形するステップを示す正面図、第3図は前記バルーン成形のための装置の断面図、第4図は種々の材料でつくったバルーンの膨張圧力と寸法の関係を示すグラフ、第5図および第6図はヒートセット条件とバルーンの膨張性関係を示すグラフ、第7図はたが膨張比とバルーンの膨張性の関係を示すグラフである。
21はカテーテル、26はバルーン、41はパリソン、43は加圧流体源、46,47,18はグリッパアセンブリ、42はレール、55は自由ブロー半径方向膨張室、56はブロー成形室、61,62,63,64,65,66はジャケットである。
Claims (9)
- カテーテル本体と、カテーテル本体の長さに沿って配置された拡張バルーンを備えているバルーン医療器具カテーテルであって、
前記バルーンはあらかじめ定めた直径を有する二軸配向したバルーンを提供するように、軸方向へ引伸ばしそして半径方向に膨張させたナイロン材料製のチューブよりなり、
前記ナイロン材料はヒト体温範囲内のガラス転移温度を持っており、そして前記二軸配向ナイロンバルーンは少なくとも15,000psi(1054.5kg/cm2)の計算引張り強度を持っていることを特徴とする医療器具カテーテル。 - 前記ナイロン材料はナイロン12材料である請求項1の医療器具カテーテル。
- 前記軸方向引伸ばしは大体室温において実施される請求項1または2の医療器具カテーテル。
- 前記半径方向膨張は室温より高い上昇温度において実施される請求項1または2の医療器具カテーテル。
- 前記上昇温度は35℃と90℃の間の温度である請求項4の医療器具カテーテル。
- 前記バルーンは、バルーンを90℃ないし180℃の温度へ加熱し、そして加熱したバルーンを20℃ないし40℃へ冷却することによってヒートセットされている請求項1ないし5のいずれかの医療器具カテーテル。
- 前記バルーンは15,000ないし35,000psi(1054.5ないし2460kg/cm2)の計算引張り強度を持っている請求項1ないし6のいずれかの医療器具カテーテル。
- 前記バルーンは20,000ないし32,000psi(1460ないし2249.6kg/cm2)の計算引張り強度を持っている請求項1ないし6のいずれかの医療器具カテーテル。
- 血管形成術カテーテルであり、そして前記拡張バルーンは血管形成術バルーンである請求項1ないし8のいずれかの医療器具カテーテル。
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