JP3559933B2 - ハニカム構造、その製造方法および装置 - Google Patents

ハニカム構造、その製造方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はセラミックのハニカム構造の押出しに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セラミックのハニカム構造体は内燃機関の排気ガスを浄化する触媒の支持体としてまた微粒子を除去するフィルターとして有効である。このハニカム構造体はキン青石、アルミナ、シリコンカーバイドで一般に形成され、またその形状の面から押出しによって形成されるのが普通である。
【0003】
ハニカム構造体がカタリチックコンバーターとして効率良く機能するためには、そのセルが排気ガスと反応する触媒材料のための相当に大きな表面積をもたらす必要がある。またセル壁の断面が薄くて大きな開口面積を有し、排気系内の背圧を低下させる必要がある。しかもその壁の薄いハニカム構造体は機械的熱的に一体性があって通常自動者で生ずる衝撃や熱的要求に耐えるものでなければならない。
【0004】
従来はそのような壁の薄いハニカム構造体を形成するための押出しダイは中実のダイブランクの射出面に射出通路を鋸で切り、かなり長い供給孔を流入面からその射出通路と連通するように穿孔することによって形成していた。例えば米国特許No.3,790,654参照。また該米国特許に開示されているように、供給孔はスロット(射出通路)一本一本と連通するように設けてもよいし、一本おきに連通するように設けてもよいが、いずれにしても供給孔は一体的なダイ内を相当長い距離延びることになる。
【0005】
押し出される材料がスロット内で合体してハニカム構造体として押し出されるためには、押し出される材料が射出面から押し出される前にスロット内で横方向に展開して一体的な格子状に組合わさるための時間が与えられるように供給孔が充分長い必要がある。あるいは供給孔の数を増やして、各供給孔から横方向に展開すべき材料の量を減らしてやる必要がある。
【0006】
従来はハニカム構造体を形成するための押出しダイとして平らなダイが使用されていた。例えば、米国特許No.3,836,302、No.4,118,456、No.4,687,433、No.4,877,766を参照されたい。これらの特許に開示されている装置は比較的断面積の小さいワンピースの構造を押し出すのには適していた。しかしながら、ハニカム構造体の断面積は使用されるダイのサイズで制限されてしまう。これは断面積の大きいハニカム構造体を製造する必要があるときには問題となる。平らな押出しダイで大きなワンピースのハニカム構造体を形成するのは単にコスト高になると言うだけではなかった。したがって従来は平らなダイで押し出した小さなハニカム構造体を組み合せてフリットでシールして大きなハニカム構造体としていた。これは時間と労力を必要とする作業であり、満足の行くものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、大きなセラミックのハニカム構造体を効率よくかつコスト効率良く製造する方法がなお求められている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、長さと幅と、相対向する平らな2面間に厚みを有するシート状のハニカム構造体が提供される。このシートは前記2面間に延びる複数の隔壁を有し、その隔壁によってこのシートの厚み方向に延びる両端の開口したセルが形成されている。隔壁はシートの長さ方向幅方向の両方に多数並べられ、シートに縦横にセルが形成されている。
【0009】
細長いハニカムシートは射出通路を備えた連続した外面(望ましくは円筒面)を有する長手方向に延びる部材とされた押出しダイを使用して形成される。ダイの周方向に延びる一組の射出通路がダイの軸方向(長手方向)に間隔をおいて設けられ、ダイの軸方向に延びるもう一組の射出通路がダイの周方向に間隔をおいて設けられる。この周方向射出通路と軸方向射出通路はダイの外面全体で互いに交差する。内側の中心通路がダイの軸方向に延び、複数の供給孔がその中心通路から半径方向外報に延び、材料を射出通路を通って外面からハニカム押出し体として押し出されるように導く。このようなダイを製造する方法については後述する。
【0010】
シート状のハニカム構造体を形成する装置には成形可能な材料をダイに供給し、射出通路を通して外面から押し出すための搬送装置が必要である。さらに前記外面の近くに配されその外面から押し出される材料を切断することができるカッターが必要である。この切断を行うためには、ダイとカッターを相対的に回転させて、押し出されたハニカムシートをカッターで切断させる機構が必要である。
【0011】
押出しの際には、成形可能な材料をダイの内部通路から供給孔を通して射出通路に送りこむ。射出通路が材料で満たされると、材料はハニカム押出し体としてダイの外面から押し出される。ダイとカッターが相対的に回転させられると、そのハニカム押出し体は細長いシート状にダイから切り離される。このダイで環状のハニカム構造体を形成することもできる。
【0012】
【実施例】
図1は本発明の押出し装置の斜視図である。本装置は外面4を備えたロータリーダイ2を備えている。その外面4に近接してカッター6が配されている。ロータリーダイ2の一端はドライブハウジング8に接続され、他端には端壁10が設けられている。後に詳述するように、外面4にはロータリーダイ2の軸方向に間隔をおいて配された周方向に延びる複数の射出通路18が設けられている。さらに外面4にはロータリーダイ2の軸方向に延びる複数の射出通路50が外面4の周方向に間隔をおいて設けられている。
【0013】
図2は図1の押出し装置の一部の側断面図である。図2に示すようにハウジンズ8内にはピストン12を軸方向に駆動するロッド14が配されている。押出しの際にはピストン12とロッド14は矢印Aの方向に動いて材料を通路21からチャンバ20、供給孔16を通って射出通路18に押し込む。射出通路18を流れる材料は射出通路50をも満たし、ハニカム構造体が外面4から押し出される。図3は図2の3−3線断面図である。
【0014】
図4は本発明の一実施例の押出し装置の一部断面側面図である。図4において図1〜3と同様な要素には同じ番号を付し、説明は省略する。通路21をバレル22が取り巻いており、そのバレル22内でピストン12とロッド14が往復する。ロータリーダイ2とバレル22は一緒に固定されたハウジング30に対して回転するようになっている。この回転を助けるためにバレル22とハウジング30の間に軸受24が配されている。ハウジング30にはさらに供給室28に通ずる開口26が設けられている。ハウジング30のダイ2と反対側の端部から油圧ラム9が延びている。押出しの際にはピスト12がラム9の近くに後退した状態で、押出し材料が通路21に開口26、供給室28を通って充填される。ここでラム9がピストン12とロッド14を押し込むと、通路21内の材料がダイ2を通って外面4から押し出される。図4の右側に示すような材料供給装置をダイ2の左側にも設けて両側から材料を供給するようにしてもよい。このようにすれば一方のピストンが後退している間に他方のピストンがダイ2に材料を供給するようにすることができるため、ダイ2にほぼ連続的に材料を供給することができる。またこの構成はダイ2が極めて長いときにも有用である。またピストン12を使用した押し出し装置の替わりにスクリュータイプ等の連続押し出し装置を使用してもよい。
【0015】
図5は本発明の他の実施例の押出し装置の一部断面側面図である。図5において図4と同様な要素には同じ番号を付し、説明は省略する。図4に示す実施例と図5に示す実施例の実質的な差は後者においては、装置全体が、模式的に示す軸受33に回転自在に支持されていて、その長さ方向の軸を中心として回転することである。ラム9に油圧を供給するための油圧ライン34がロタリーシール32を介してラム9に接続されている。この実施例の作用は図4の実施例とほぼ同じである。
【0016】
図6は本発明の一実施例の押出し装置の軸に直角な面で切った断面図である。図6において図1と同様な要素には同じ番号を付し、説明は省略する。チャンバー20内の材料はピストン12(図1)で圧縮されると、供給孔16を通って射出通路18、50に押し込まれ、さらに外面4から押し出され、外面4上にハニカム構造押出し体Eを形成する。本実施例においてはダイ2は公知の気孔によって矢印C方向に回転せしめられる。押出し体Eの形成はカッター6から時計方向に進んだ位置から始まる。ダイ2が回転するにつれて押出し体Eの厚みが増して来ると、ダイ2の外面4に近接してあるいは摺設するように固定されているカッター6によって押出し体Eが外面4からはがされ、矢印Bの方向に引っ張られる。ダイ2からはがされる押出し体Eの厚みは、ダイ2を通される材料の容積流量やダイ2の回転速度を変えることによって変えられる。ダイ2を回転させる替わりにダイ2を固定してカッター6を回転させてもよいし、両者を回転させてもよい。
【0017】
ダイ2からはがされたままの押出し体Eは材料がセラミックの場合未焼成の状態であり、誘電ドライヤー等で乾燥した後、焼成される。セラミック以外にも、プラスチック、ゴム、ガラス先駆物質、ガラスーセラミック先駆物質等を押し出すこともできる。
【0018】
図7は本発明で押し出されるハニカムシートEの斜視図である。図7に示すようにハニカムシートEは互いに交差する隔壁W1、W2で仕切られた多数のセルPを備えている。またこのシートEは、ダイ2の外面4に長さ方向に間隔をおいて配された、環状のテーパーした部分を有するダイ2の縁部(米国特許No.3,836,302参照)によって形成された滑らかな側面eを有している。
【0019】
図8は一対のハニカムシートを押し出すようにした本発明の他の実施例の押出し装置の軸に直角な面で切った断面図である。図8の装置は第2のカッター6’が追加され、第1のカッター6と第2のカッター6’の間で外面4から押し出された材料が第2の押出し体E’として第2のカッター6’ではがされる以外は図6の装置とほぼ同じである。この方法は押出し体の厚みを減らしたいときには有効である。ダイを通される材料の容積流量やダイやカッターの回転速度を変えたりしてもそう良好には押出し体の厚みを減らすことができない。図8に示す状態では、第1の押出し体Eは無駄になるが、両カッター6、6’の位置を押出し体E、E’の両方が使えるような位置にすることは可能である。
【0020】
図9は4枚のハニカムシートを押し出すようにした本発明の他の実施例の押出し装置の軸に直角な面で切った断面図である。図9の装置は第2、第3、第4のカッター6’、6’’、6’’’が追加され、第2、第3、第4の押出し体E’、E’’、E’’’がそれぞれカッター6’、6’’、6’’’ではがされる以外は図6の装置とほぼ同じである。この構成によれば度に複数のハニカムシートをダイ2から取り出すことができる。この場合には材料の容量流量を大きくしたり、またダイとカッターの相対回転速度を下げて押し出すのが望ましい。
【0021】
図10は外側マスクを設けた本発明の他の実施例の押出し装置の軸に直角な面で切った断面図である。図10の装置は外側マスク36を設けた以外は図6の装置とほぼ同じである。外側マスク36はダイ2の長さ方向にダイ2の長さいっぱいに延びる押出しゾーン38以外の部分においてはダイ2の外面4を覆っており、材料はこの押出しゾーン38の部分においてのみ押し出される。押出しゾーン38以外の部分に位置する外面部分に通じる供給孔16と射出通路は外側マスク36で塞がれる。この構成は、材料の容積流量を所望の厚みのシートが得られるレベルまで落とせない場合や、ダイ2とカッター6の相対回転速度が充分に上げられないときに特に有用である。
【0022】
図11は内側マスクを設けた本発明の他の実施例の押出し装置の軸に直角な面で切った断面図である。図11の装置は内側マスク40を設けた以外は図6の装置とほぼ同じである。内側マスク40はチャンバー40内をサブチャンバー42のみを残して塞いでおり、ダイ2の内面44のその内側マスク40と接触していない部分のみが押し出しを許すようになっている。ダイ2の内面44の内側マスク40でカバーされていない部分はサブチャンバー42から材料を受け取ってその材料を押出しゾーン38’において外面4から押し出す。内側マスク40は押出しゾーン38’以外の部分における押出しを禁止する。この押出しゾーン38’もダイ2の長さ方向にダイ2の長さいっぱいに延びている。図10の装置と同様に、この装置は材料の容積流量を充分に落とせない場合でも所望の厚みのシートが得られ、またダイ2とカッター6の相対回転速度が充分に上げられないときに特に有用である。
【0023】
図12は本発明の押出しダイとともに使用するのに適したカッターの他の例を示す断面図である。図12に示すように、供給孔16、射出通路18、50を通って外面40から押し出された押出し体Eはフレーム107にわたされたワイヤー106によって切断される。図6のカッター6と同様に、このワイヤー106もカッターとダイ2の外面4の相対的回転によって押出し体Eを切断する。
【0024】
図13は本発明の押出しダイとともに使用するのに適したカッターのさらに他の例を示す断面図である。本例のカッターは中空円筒状のカッターハウジング207を備えている。このハウジング207の一端には鋭い刃206が設けられており、ハウジング207が矢印Hの方向に進むとその刃206がダイ2の外面4上の押出し体を外面4から切りとるようになっている。すなわち、ダイ2はハウジング207内にピッタリ入るようになっており、ダイ2がハウジング207内に入って行くにしたがって刃206がダイ2の外面4上の押出し体を外面4から切りとるようになっている。この際、ハウジング207が矢印Gの方向に回転することによって切断が助けられる。押出し体がプラスチックである場合には加熱によって切断を助ける。上述の各実施例とは異なり、本例ではハニカム押出し体Eはリング状になる。この形状は押出し体の厚みが所望の厚みになるまで押し出すことによって得られる。
【0025】
図14は内側そらせ板を設けた本発明の他の実施例の押出し装置の軸に直角な面で切った断面図である。上述のようにダイ2は外面4に通じる供給孔16と射出通路18、50を備えている。本実施例ではコア46から半径方向外に延びる複数のそらせ板48がダイ2内に設けられている。ダイ2内の材料の流れは通常プラグ形であるため、これらのそらせ板48によって軟らかい押出し材料の半径方向以外のあらゆる方向の断面が小さくなり、これによってダイ2の周方向への押出し速度のばらつきを招く材料の固さのばらつきが小さくなる。このようなそらせ板48の替わりに回転自在のスパイダー(図14と似た構成であるがそらせ板48の先端が内面44に接していない)を通路20内に配しても同様な効果を得ることができる。
【0026】
図15は図1の楕円15−15内の部分の拡大図である。図15に示すように外面4には周方向に延びる射出通路18とその周方向射出通路18と交差する軸方向射出通路50が設けられている。これらの射出通路によって複数の隆起部51が形成されており、この隆起部51によって押出し体内にセルが形成される。また図15に示すように供給孔16が周方向射出通路18と軸方向射出通路50の交点の一部(全部とではない)と整列している。射出通路の供給孔16と整列していない部分には狭い射出通路内の横方向の流れによって材料が充填される。図15に示す供給孔16の配列は多くの使用可能な配列の内の単なる一例である。例えばもっと多くの交点に対して供給孔16を設けてもよいし、全ての交点に対して供給孔16を設けてもよい。また供給孔16が交点以外の部分で射出通路に連通するようにしてもよい。
【0027】
図16はダイの外面の構成の変形例を示す拡大図である。この例では軸方向射出通路50はほぼ直線であるが、周方向射出通路18’がジグザグになっている。
【0028】
図17は図16のダイを使用して押し出す状態を示す斜視図である。図示のように供給孔16および射出通路18’、50を通った材料は外面4から押し出され押出し体Eを形成する。押出し体Eは隔壁e1、e2、e3を備えている。これらの隔壁e1、e2、e3は外面4から遠去かるにつれて互いの間の距離が大きくなるような面内にそれぞれ位置している。これは外面4が円形の断面を有し、周方向射出通路が半径方向に延びていることに由来するものであり、本発明のほぼ全ての実施態様について言えることである。射出通路が直線的に延びている場合には、そのような押出し体は、伸張性のある材料で形成されるとき以外は、ダイからある程度の距離押し出されると、裂けやすくなる。したがって射出通路が直線的に延びている場合には、断裂のおそれなく、形成できるのは薄いハニカムシートに限られてしまう。図17は隔壁e2は外面4に近いところではジグザグになっているが外面4から離れるにしたがってほぼ平らになっていくことを示している。この用に射出通路18’をジジグザグにすることによって、押出し体が伸張されて断裂するおそれなく押出しをすることができる。径の大きなダイを使用することによっても断裂するおそれなく押出しをすることができるが、これはコスト的に問題となる。
【0029】
図18はダイの外面の構成の他の変形例を示す拡大図である。この変形例においては射出通路18”がサインカーブ状をしている。この例でも図16の変形例とほぼ同様な効果を得ることができる。
【0030】
図19は本発明の第1の実施例のダイを形成するワッシャー部材の斜視図、図20はその平面図である。本実施例のダイ2は複数のワッシャー部材58を重ね合わせて形成される。ワッシャー部材58は一体的に形成された内側環状部66と外側環状部62とからなっている。内側環状部66は供給孔16を形成する複数の半径方向に延びる通路を備えている。外側環状部62も射出通路50を形成する複数の半径方向に延びる通路を備えている。射出通路50は供給孔16と整列している。図19に示すようにワッシャー部材58は内側環状部66に複数の隆起部64を備えており、外側環状部62との間に段を形成している。複数のワッシャー部材58が図21、22に示すように重ねられてダイ2を形成する。図21、22に示すように重ねられれた状態で、各ワッシャー部材58の外側環状部62一方の面60と隣接するワッシャー部材58の他方の面68の間に射出通路18が形成される。複数のワッシャー部材58を図21、22に示すように重ねてろう付けするか、軸方向に圧力をかけることによってダイ2とすることげできる。また図21に示すように複数のワッシャー部材58によって形成されたチャンバー20内を軸方向に延びる整列ロッド47等の内部支持構造によってワッシャー部材58を互いに位置決めしてもよい。これは図23に示すロッド147にやや似ている。
【0031】
材料は矢印A(図22)で示すように供給孔16を通って流れ、そこから射出通路18、50内に流れ込む。
【0032】
図23は複数のワッシャー部材で形成される本発明の第2の実施例のダイの斜視図である。本実施例では複数のワッシャー部材158が軸方向に延びる複数のロッド147に装着される。各ワッシャー部材158は射出通路150によって分けられた複数の外面部分104を備えている。隣接するワッシャー部材158の間に射出通路118が形成される。この構成については図24により詳細に示されている。各ワッシャー部材158は中央に開口144を有し、複数のワッシャー部材158の中央開口144によってチャンバー120が形成される。またこの中央開口144は隣接するワッシャー部材158間の間隔とともに広い供給孔116を形成する。各供給孔116は隣接するワッシャー部材158の外方に傾斜したリム149間に形成される外側にいくにしたがって狭くなるようにテーパーした射出通路118に通じている。このテーパーによってバッチ材料が射出通路118ないを外側に向かって流れるにしたがって抵抗が大きくなり、材料が横方向に射出通路150に流れこむのが促進される。これは射出通路118、150を流れる材料が互いに繋がって連続した壁を形成するのに有利である。押し出される材料は矢印A(図23)で示すようにチャンバー120、供給孔116から射出通路118、150内に流れ込む。図25は1個のワッシャー部材158の図24の25−25線から見た端面図である。
【0033】
図26は複数のワッシャー部材で形成される本発明の第3の実施例のダイの一部の側面図であり、図27は図26の27−27線断面図である。本実施例においては、周方向に間隔をおいて設けられた複数の半径方向に延びる供給孔216を有するパイプ247上に複数のワッシャー部材258が取り付けられる。各ワッシャー部材258は射出通路250で分けられた複数の外面部分204を備えている。隣接するワッシャー部材258の間には射出通路218が形成される。本実施例においては材料はパイプ247内部のチャンバー220から供給孔216を通って外方に流れ射出通路218に流れ込む。この材料が半径方向外方に流れるにしたがって射出通路250内に入り、時間が経つにつれて押出し体がハニカムの形状をとる。
【0034】
周方向に配された複数のスペーサ部材251がワッシャー部材258を位置決めする。各スペーサ部材251は複数の歯253を有し、その歯253の間にワッシャー部材258の三角形のリムと相補する形状のギャップが形成されており、そのギャップとリムの係合によってワッシャー部材258が所定の位置に保持される。チャンバー220がパイプ247の内面244によって形成され、供給孔216がそのチャンバー220から半径方向外方に延びている。各供給孔216ハパイプ247の外面の形成された凹部245に連通しており、その凹部245によって押出し材料が複数の射出通路218、250に展開される。これらの射出通路218、250は上述の他の実施例と同様にほぼ外面204内に設けられている。凹部245は図26に示す丸い断面形状の替わりに直線的な断面形状を備えていてもよい。さらにワッシャー部材258は図23から25に示す実施例におけるようにテーパーしていてもよい。
【0035】
図28は図26のロータリーダイの変形例の側面図であり、図29は図28の29−29線断面図である。本例では、周方向に間隔をおいて設けられた複数の半径方向に延びる供給孔316を有するパイプ347上に複数のワッシャー部材358が取り付けられる。各ワッシャー部材358は射出通路350で分けられた複数の外面部分304を備えている。隣接するワッシャー部材358の間には射出通路318が形成される。本例においては材料はパイプ347内部のチャンバー320から供給孔316を通って外方に流れ射出通路318に流れ込む。この材料が半径方向外方に流れるにしたがって射出通路350内に入り、時間が経つにつれて押出し体がハニカムの形状をとる。
【0036】
図19から図29に示すワッシャー部材からなる実施例は図16から図18に示すように周方向射出通路がジグザグ形状やサインカーブ状をしている時に特に有効である。このような周方向射出通路は各ワッシャー部材の縁部を所望の形状とすることによって得られる。
【0037】
図30は本発明の他の実施態様のロータリーダイのベースパイプを示す一部破断側面図、図31はそのベースパイプ上に外側パイプを設けた状態を示す一部破断側面図であり、両図は本発明の一実施例のロータリーダイの製造手順を示している。まず、内面44で形成されるチャンバー20を有するベースパイプ70を用意し、そのベースパイプ70の外側から穿孔して供給孔16を設ける。次に、公知の方法によって外側パイプ72をベースパイプ70上にかぶせて図31のようにする。その後、その外側パイプ72の外面4から外側パイプ72を貫通して射出通路18、50(図示せず)を切る。この場合には外側パイプ72をベースパイプ70にろう付けなどによって一体化する必要がある。しかしながら、外側パイプ72をベースパイプ70に焼き嵌めや滑り嵌めによって固定する場合には射出通路18は外側パイプ72を貫通するように設けられるが、射出通路50は外側パイプ72の一体性を失わせないように外側パイプ72を貫通しないように設けられる。次に、カッター6をハニカムシートを上述のようにダイから切り離すように外面4に近接して配する。
【0038】
図32は図30、31の実施例の変形例を示す一部破断側面図である。本例ではその内面が形成するチャンバー20を有する内側パイプ74を用意し、その内側パイプ74の外側からチャンバー20に達するように穿孔して供給通路76を設ける。次に、公知の方法によってベースパイプ70を内側パイプ74上にかぶせた後、ベースパイプ70の外側から供給孔16を穿孔する。図31に関連して上述したように、次に外側パイプ72の外面4から外側パイプ72を貫通して射出通路18、50(図示せず)を切る。供給通路76、供給孔16および射出通路18、50(図示せず)は材料がチャンバー20から外面4に流れることができるように連通していなければならない。これらの通路および孔の配置が図33に示されている。
【0039】
図34から36は供給孔穿孔の種々の態様を示す断面図である。図34に示す態様では供給孔16はダイ2の外部から穿孔したほぼ円筒形の孔であり、その孔の外面4に隣接した部分は短いピン19で埋められる。ピン19の上面は外面4と面一にされる。つぎにそのピン19を埋めた外面に射出通路18、50がその少なくとも一部が供給孔16に達するような深さに切られる。図35に示す態様は供給孔16がテーパーしている以外は図34に示す態様とほぼ同じである。図36に示す態様では供給孔16にねじが切られスタッド19がねじ込まれるようになっている。スタッド19をねじ込んだ後、図34、35の態様と同様にして射出通路がスタッド19に切られる。
【0040】
図37は供給孔穿孔の他の態様を示す断面図である。本態様では精度を要求される供給孔16を直接穿孔する替わりに供給孔16より径の大きな孔をまず穿孔し、所望の大きさに精度よく穿孔された一端の閉鎖された孔を有するピンをその孔に閉鎖端が外側になるようにして埋める。次に、そのピンの孔(供給孔16)に達するように、射出通路18、50を外面にピンの閉鎖端を通って切る。その結果、射出通路18、50は供給孔16と連通する。図37において、肩部54に接続された円筒部56を有する真っ直ぐなピン52がダイ2に穿孔された孔に挿入される。肩部54がそのピンをその位置に保持し、ピン52内の孔が供給孔16を形成している。図38は図37の38−38線方向に見た平面図である。
【0041】
図39は供給孔穿孔のさらに他の態様を示す断面図である。この態様ではテーパーしたピン152をダイ2に穿孔された同様な形状の孔に押し込む。そのテーパーしたピン152テーパーした壁部156を有し、供給孔16を形成する孔を内部に備えている。図37、39に示すピンははんだ付けやろう付けでダイ2に固定される。
【0042】
図40は外部加圧気孔を備えた本発明の一実施例のロータリーダイの一部破断側面図である。本実施例の構成はスプリング80によって外面4に向かって付勢された複数の加圧プレート78を備えている以外は図3、6、8、9、10、11に示す各実施例とほぼ同じである。各加圧プレート78は最初は外面4に極めて接近して位置せしめられており、押出し体が外面4から出て来るにつれて外方に移動される。このプレートは押出し体が外面から出て来る前に、射出通路18、50が材料でほぼ満たされるのを簡単な方法で保証するものである。
【0043】
図41は本発明のダイの周囲に配されてハニカムペレットを形成するカバー(通常金属で作られる)の一部の斜視図である。カバー82はダイ2の上に外面4と接するように装着される。カバー82は複数の開口84を備えており、この開口84を通って押し出される押出し体は円筒状のハニカムとなり、それを切断してず42に示すようなペレットPとする。図41では説明の都合上ダイ2の外面の一部はカバー82で覆われていないが実際にはカバー82はダイ2全体を覆う。
【0044】
上述した本発明の全ての態様において、押出し体は押出し中、切断中あるいはその後変形する可能性がある。したがって押出し体を強化して、変形や断裂に対する抵抗を増大しておくのが望ましい。押し出される材料に応じて公知の種々の方法をこの目的のために用いることができる。
【0045】
実験例
10インチラム押出機に取り着けるためのロータリーダイアセンブリを製造した。そのロータリーダイアセンブリはそのラム押出機に取り着けられたスパイダーに支持されたセントラルシャフトの周囲に回転するように設計されていた。そのラム押出機は固定され、ダイアセンブリはラム押出機から独立して回転された。またダイアセンブリはバッチ材料が高い押出し圧力で漏れないようにシールされた。そのダイアセンブリは床置きの変速モーターとスプロケット付きの減速装置で駆動された。そのスプロケットにはダイアセンブリの後端に取りつけられたスプロケットを駆動するチェーンがかけられた。スプロケットとチェーンには安全のためにカバーをかけた。
【0046】
ダイは外径28.575cm、内径22.225cmのスチールパイプから加工された。幅0.031cm、深さ0.726cmの外側通路をそのパイプの外面に溝のこで切った。その外側通路は周方向に1.5°間隔で切り、軸方向には0.363cm間隔で切った。径0.254cm、深さ2680cmの孔が1個おきのスロットの交点と交差するように設けられた。
【0047】
米国特許No.3,385,997の実施例3Eに従って調製された粘土、タルク、アルミナを含む押出しバッチはラム押出機で本例のダイを通して通常の方法で押し出すことができる。一つの実験では、このようなバッチの乾燥成分をリツルフォードブレンダー(Littleford blender)で混合し、マラーミキサーに移して、水を加え可塑化した。そのバッチを0.318cmの孔を備えたダイで2度押し出した。
【0048】
次に、バッチをラム押出機で、ダイを6rpmで回転させながら1700psiで押した。約20°間隔でダイの表面に配した2個のカッターで押出し体を2枚のシートにして切離し、2個のカッターの間で約1cm厚のシートを得た。残りの押出し体は廃棄もしくはリサイクルのために回収した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の押出し装置の斜視図
【図2】図1の押出し装置の一部の側断面図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】本発明の一実施例の押出し装置の一部断面側面図
【図5】本発明の他の実施例の押出し装置の一部断面側面図
【図6】本発明の一実施例の押出し装置の軸に直角な面で切った断面図
【図7】本発明で押し出されるハニカムシートEの斜視図
【図8】一対のハニカムシートを押し出すようにした本発明の他の実施例の押出し装置の軸に直角な面で切った断面図
【図9】4枚のハニカムシートを押し出すようにした本発明の他の実施例の押出し装置の軸に直角な面で切った断面図
【図10】外側マスクを設けた本発明の他の実施例の押出し装置の軸に直角な面で切った断面図
【図11】内側マスクを設けた本発明の他の実施例の押出し装置の軸に直角な面で切った断面図
【図12】本発明の押出しダイとともに使用するのに適したカッターの他の例を示す断面図
【図13】本発明の押出しダイとともに使用するのに適したカッターの他の例を示す断面図
【図14】内側そらせ板を設けた本発明の他の実施例の押出し装置の軸に直角な面で切った断面図
【図15】図1の楕円15−15内の部分の拡大図
【図16】ダイの外面の構成の変形例を示す拡大図
【図17】図16のダイを使用して押し出す状態を示す斜視図
【図18】ダイの外面の構成の他の変形例を示す拡大図
【図19】本発明のロータリーダイワッシャー部材の第1の実施例の斜視図
【図20】図19のロータリーダイワッシャー部材の平面図
【図21】複数の図19に示すワッシャー部材をダイを形成するように組み合せた状態を示す側面図
【図22】図21の22−22線断面図
【図23】複数のワッシャー部材で形成される本発明の第2の実施例のダイの斜視図
【図24】図23の24−24線断面図
【図25】1個のワッシャー部材の図24の25−25線から見た端面図
【図26】複数のワッシャー部材で形成される本発明の第3の実施例のダイの一部の側面図
【図27】図26の27−27線断面図
【図28】図26のロータリーダイの変形例の側面図
【図29】図28の29−29線断面図
【図30】本発明の他の実施態様のロータリーダイの内側パイプを示す一部破断側面図
【図31】図30のベースパイプ上に外側パイプを設けた状態を示す一部破断側面図
【図32】図30、31の実施例の変形例を示す一部破断側面図
【図33】図32の33−33線断面図
【図34】供給孔穿孔の一態様を示す断面図
【図35】供給孔穿孔の他の態様を示す断面図
【図36】供給孔穿孔のさらに他の態様を示す断面図
【図37】供給孔穿孔の他の態様を示す断面図
【図38】図37の38−38線方向に見た平面図
【図39】供給孔穿孔のさらに他の態様を示す断面図
【図40】外部加圧気孔を備えた本発明の一実施例のロータリーダイの一部破断側面図
【図41】本発明のダイの周囲に配されてハニカムペレットを形成するカバーの一部の斜視図
【図42】図41の構成で製造されるハニカムペレットの斜視図
【符号の説明】
2 ロータリーダイ
4 外面
6 カッター
12 ピストン
14 ロッド
16 供給孔16
18、50 射出通路
20 チャンバー

Claims (8)

  1. シート状のハニカム構造体を形成する方法であって、
    少なくとも2次元に連続した外面と、その外面からハニカム状の押出し体を押し出すことができるように形成された互いに交差する複数の押出し通路とを備えたダイとそのダイの前記外面近傍に配されその外面から押し出された押出し体を切断する切断手段とからなる押出し装置を設け、
    成形可能な材料を前記ダイの押出し通路を通して前記外面から外方に押し出してハニカム状押出し体を形成し、
    前記切断手段を前記ダイに対して相対的に回転させてその切断手段によりそのハニカム状押出し体を細長いシート状に前記外面から切り離すことを特徴とする方法。
  2. 前記連続した外面が長手方向に延びる円筒面であり、前記切断手段がその円筒面の伸びる方向にほぼ平行に延び、前記押出し通路が前記外面の長手方向に間隔をおいて設けられその周方向に延びる複数の周方向射出通路と前記外面の周方向に間隔をおいて設けられその長手方向に延びる軸方向射出通路とを備えていることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記成形可能な材料が焼結されてセラミックを形成し得る材料であることを特徴とする請求項2記載の方法。
  4. 前記切断手段の前記ダイに対する相対的な回転が、どちらか一方を固定し、他方を回転させることによって得られることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の方法。
  5. シート状のハニカム構造体を形成する装置であって、
    少なくとも2次元に連続した外面と、互いに交差する複数の押出し通路とを備えたダイ、
    成形可能な材料を前記ダイに供給し、前記射出通路を通して外面から半径方向外方に押し出しハニカム押出し体を形成する搬送手段、
    前記ダイの前記外面近傍に配されその外面から押し出された押出し体をその外面の位置で切断することのできる切断手段、および
    前記切断手段を前記ダイに対して相対的に回転させる駆動手段からなり、
    前記切断手段を前記外面近傍に位置させてその切断手段を前記ダイに対して相対的に回転させることにより前記ハニカム状押出し体を細長いシート状に前記外面から切り離すようになっていることを特徴とする装置。
  6. 前記連続した外面が長手方向に延びる円筒面であり、前記切断手段がその円筒面の伸びる方向にほぼ平行に延び、前記押出し通路が前記外面の長手方向に間隔をおいて設けられその周方向に延びる複数の周方向射出通路と前記外面の周方向に間隔をおいて設けられその長手方向に延びる軸方向射出通路とを備えていることを特徴とする請求項5記載の装置。
  7. 複数の開口を備え前記ダイの外面に被せられるカバーを備え、前記搬送手段が前記ダイの外面から外方に移動する前記成形可能な材料をそのカバーの前記開口を通すようになっており、前記駆動手段が前記切断手段にその開口を通って出てくる押出し体を切断させるようになっており、それによってペレット状のハニカム構造体を得ることを特徴とする請求項5または6記載の装置。
  8. リング状のハニカム構造体を形成する方法であって、
    長手方向に延びる円筒面状の外面と、その外面からハニカム状の押出し体を押し出すことができるように形成された互いに交差する複数の押出し通路とを備えたダイと、そのダイと同軸の円筒状をなし、前記ダイが中に入る大きさの中央開口を有するとともにその開口の一端を形成する縁部にその周全体にわたって延びる環状の刃を有する切断手段とからなる押出し装置を設け、
    成形可能な材料を前記ダイの押出し通路を通して前記外面から外方に押し出してハニカム状押出し体を形成し、
    前記切断手段を前記ダイに対して前記外面全体にわたって軸方向に相対的に移動させて前記環状の刃によりそのハニカム状押出し体をリング状に前記外面から切り離すことを特徴とする方法。
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