JP2008137167A - ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハニカム構造体を製造するに際し、原料粉末を水と混練する混練工程において、原料粉末の練りを確保しつつ、完成品内部の気孔のサイズを確保する。
【解決手段】シリンダ70内に2本のスクリュー50、60を設置し、各スクリュー50、60に端面が楕円形状のパドル52、62を固定する。そして、各パドル52、62とシリンダ70の内壁面との間に形成される隙間のうちパドル52、62とシリンダ70の内壁面とがもっとも近づいた隙間部分と、各スクリュー50、60においてそれぞれ対向する各パドル52、62がもっとも近づいたときの隙間部分とで原料粉末を練る。
【選択図】図2
【解決手段】シリンダ70内に2本のスクリュー50、60を設置し、各スクリュー50、60に端面が楕円形状のパドル52、62を固定する。そして、各パドル52、62とシリンダ70の内壁面との間に形成される隙間のうちパドル52、62とシリンダ70の内壁面とがもっとも近づいた隙間部分と、各スクリュー50、60においてそれぞれ対向する各パドル52、62がもっとも近づいたときの隙間部分とで原料粉末を練る。
【選択図】図2
Description
本発明は、ハニカム構造体の製造方法に関し、特にハニカム構造体をかたどったワークを成形するためのセラミック材料の粘土を用意する混練工程に関する。
従来より、セラミックハニカム成形体を製造する方法が、例えば特許文献1で提案されている。この特許文献1では、カーボンやタルク等の粉末材料が混合された原料粉末と水とを混練したセラミック材料を用意する混練工程を行い、混練工程で得られた粘土状のセラミック材料を成形型から押し出すことで柱状のハニカム成形体を成形する押出工程を実施することにより、セラミックハニカム成形体を製造する方法が提案されている。
具体的に、混練工程では、まず、複数の粉末材料を混合して加湿した原料粉末を製造装置のシリンダ内に挿入する。次に、シリンダ内に配置した押込スクリューを当該押込スクリューの長軸を中心に回転させる。そして、シリンダの内壁面と押込スクリューとの間で原料粉末を押しつぶすことで混練し、粘土質のセラミック材料を製造する。
この後、混練工程で得られた粘土質のセラミック材料をスクリュー室に供給し、スクリュー室内に配置された押出スクリューによりセラミック材料を成形型から押し出すことで、ハニカム成形体を成形することができる。
特開2001−260116号公報
しかしながら、上記従来の技術では、混練工程において、原料粉末がシリンダ内の押込スクリューに衝突することや、シリンダの内壁面と押込スクリューとの間で原料粉末が押しつぶされること等により、原料粉末を構成する粒子の多くがせん断され破砕されてしまう。これにより、粒子が細かく破砕されたセラミック材料に基づいてハニカム成形体を成形して焼成した場合、完成したハニカム構造体に設けられる多数の気孔のサイズが低下してしまう。これに伴い、気孔率も低下してしまう。
ここで、気孔とはハニカム構造体の内部に形成される微少な空間であり、気孔率とはハニカム構造体の断面の単位面積当たりに含まれる気孔の割合である。すなわち、粒子が細かく破砕されることで、原料粉末における粒子と粒子との隙間が塞がれてしまい、気孔が形成されにくくなってしまう。
例えば、ハニカム構造体を車両の排ガス浄化フィルタとして用いる場合、エンジンから排出される排気ガスがハニカム構造体の気孔を介してハニカム構造体の壁を通過することで排気ガスに含まれる有害物質が取り除かれる。しかし、ハニカム構造体の気孔のサイズが低下してしまうことで、排気ガスがハニカム構造体の壁を通過しにくくなり、エンジン性能を確保できない可能性がある。
そこで、混練工程において原料粉末の練りを抑制し、完成品における気孔のサイズを確保することが考えられる。しかし、原料粉末の練りが不十分である場合、完成品が壊れやすくなってしまうため、原料粉末の練りを抑制することはできない。
本発明は、上記点に鑑み、ハニカム構造体を製造するに際し、原料粉末を水と混練する混練工程において、原料粉末の練りを確保しつつ、完成品内部の気孔のサイズを確保することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、ハニカム構造体を製造する上で、複数の粉末材料を混ぜ合わせた原料粉末を用意した後、当該原料粉末を水と混練することで原料粉末を粘土にする混練工程を行うに際し、一端側から他端側に原料粉末を送り出すフィードスクリュー(51、61)と、原料粉末を練る複数のパドル(52、62)と、をそれぞれ備えた第1スクリュー(50)、第2スクリュー(60)と、各スクリューを並べて収納すると共に、各スクリューに対応した円形状の断面によりまゆ型の断面形状をなすシリンダ(70)と、を備えた混練装置(10)を用意する。
このような混練装置において、各スクリューに備えられた複数のパドルの端面は非円形状をなしていると共に、当該複数のパドルが原料粉末を各スクリューの他端側に送るように各スクリューにそれぞれ固定されている。
そして、シリンダ内で各スクリューを互いに逆方向に回転させ、各フィードスクリューによって原料粉末を各スクリューの各他端側に送る。このとき、複数のパドルとシリンダの内壁面との間に形成される隙間のうちパドルとシリンダの内壁面とがもっとも近づいた隙間部分(120、140、230、240、320、340)で原料粉末を練る。
このように、シリンダの円形断面とパドルの端面の非円形状とが異なることにより、パドルとシリンダの内壁面とがもっとも近づいた隙間部分よりも大きい隙間部分に原料粉末が逃げ込む空間を形成することができる。これにより、原料粉末を適度に練ることができ、かつ、原料粉末を過度に押しつぶさないように練ることができる。したがって、原料粉末を破砕しきらないようにすることができるので、完成品における断面の気孔のサイズを確保することができる。
このような場合、混練工程では、各スクリューとして、シリンダ内の原料粉末が各スクリューの一端側から他端側に移動するように、複数のパドルの姿勢の方向をそれぞれ一定角度で回転させて固定したものを用いることができる。これにより、シリンダ内において原料粉末を練りつつ移動させることができる。
また、混練工程では、複数のパドルとして端面が楕円形状のものを用いることができる。これにより、断面が円形状のシリンダの内壁面とパドルとの間に、狭い隙間と広い隙間を設けることができ、狭い隙間で原料粉末を破砕して練ることができる。また、広い隙間に原料粉末を逃がすことができ、原料粉末を過度に練らないようにすることができる。
シリンダ内の原料粉末の移動について、各スクリューの一端側から他端側への原料粉末の移動を順送り、各スクリューの他端側から一端側への原料粉末の移動を逆送りと定義する。そして、混練工程では、各スクリューとして、当該各スクリューのうちフィードスクリュー側にそれぞれ固定された各パドルが原料粉末を順送りするように配置されると共に、各スクリューの他端側に固定された各パドル(54、64)が原料粉末を逆送りするように配置されたものを用いることができる。
このように、各スクリューに原料粉末を順送りする部分と逆送りする部分とを設け、シリンダ内を移動する原料粉末に逆送りの力を加えることで、シリンダ内で原料粉末の停滞を生じさせることができる。これにより、順送りされる原料粉末の混練を促進することができる。
また、混練工程では、各スクリューにおいてそれぞれ対向する各パドルがもっとも近づいたときの隙間部分(130、330)で原料粉末を練ることもできる。このとき、各スクリューにおいて対向する各パドルがもっとも近づいたときの隙間部分の間隔を1mm以上10mm以下とすることができる。
ここで、各パドルの隙間部分が1mm未満であるとシリンダ内における原料粉末の流れが悪くなってしまうため下限を1mm以上としている。また、各パドルの隙間部分が10mmよりも大きい場合では原料粉末の混練が不十分となってしまうため上限を10mm以下としている。
さらに、混練工程終了後、押出工程を行うことにより、混練装置に備えられた押出用スクリューにて、シリンダ内で練られた材料を成形型から押し出すことでハニカム成形体を成形することができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
本実施形態では、ハニカム構造体として排ガス浄化フィルタについて説明する。この排ガス浄化フィルタ(いわゆるDPF)は、例えば車両のエンジンから排出される排気ガスに含まれる汚染物質を浄化して大気に排出させるものとして用いられる。
本実施形態では、ハニカム構造体として排ガス浄化フィルタについて説明する。この排ガス浄化フィルタ(いわゆるDPF)は、例えば車両のエンジンから排出される排気ガスに含まれる汚染物質を浄化して大気に排出させるものとして用いられる。
図1は、本発明の一実施形態に係る排ガス浄化フィルタの斜視図である。この図に示されるように、排ガス浄化フィルタ1は、円柱形状を有しており、例えばセラミックスの焼結品をなしている。
また、排ガス浄化フィルタ1の内部は蜂の巣構造(以下、ハニカム構造という)になっており、円柱の軸方向に両端面2、3を貫通する多数の孔4を有している。各孔4は、当該各孔4を分離する壁5を介してそれぞれが隣接しており、各孔4が円柱の軸に垂直な方向に配列されることでそれぞれが独立した通路をなしている。言い換えると、壁5が格子状をなすことで、多数の孔4が構成される。上記壁5には図示しない気孔が多数設けられている。
そして、排ガス浄化フィルタ1の一方の端面2において、各孔4の一部には当該各孔4の開口部を栓詰めするための栓材6が設けられている。本実施形態では、栓材6は各孔4に千鳥状に設けられている。すなわち、栓材6が設けられた孔4の隣の孔4は栓材6が設けられていない状態になっており、開口した状態になっている。
さらに、排ガス浄化フィルタ1の他方の端面3の各孔4の一部にも上記一方の端面2と同様に栓材6が千鳥状に設けられている。この場合、端面3の各孔4に千鳥状に栓詰めされた各栓材6は、端面2側で栓詰めされていない各孔4の開口部に千鳥状に設けられている。以上が、本実施形態に係る排ガス浄化フィルタ1の構成である。
次に、上記排ガス浄化フィルタ1の製造方法について説明する。まず、ハニカム構造体をかたどったワークを成形するための原料粉末を用意する混合工程を行う。本実施形態では、シリカ、タルク、アルミナの各粉末材料、造孔材および有機バインダを規定量ずつ混ぜ合わせてコージェライト化材料を用意する。
なお、造孔材は、排ガス浄化フィルタ1の内部に気孔を形成するためのものであり、例えばカーボンや樹脂等が採用される。このような造孔材はこの後の焼成工程によって焼き飛ばされるため、排ガス浄化フィルタ1内には残らないようになっている。また、有機バインダは化学結合により原料粒子同士を強固に結びつけるものであり、例えばメチルセルロース等が採用される。
この後、上記混合工程にて用意した原料粉末を水と混練することで原料粉末を粘土化する混練工程を行う。本実施形態では、混練装置を用いて混練工程を実施する。図2は、混練装置の概略図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。なお、図2では混練装置10の内部を透視図で示してある。図2(a)に示されるように、混練装置10は、混練部20と、押出部30と、を備えて構成されている。
混練部20は、加湿された原料粉末(加湿粉)を混練するものである。このような混練部20は、当該混練部20に加湿粉を入れるための挿入口40と、加湿粉を混練するための第1スクリュー50、第2スクリュー60と、これら各スクリュー50、60を収納する円筒形状のシリンダ70と、を備えている。なお、各スクリュー50、60を駆動する部分は省略してある。
本実施形態では、シリンダ70は各スクリュー50、60を並べて収納すると共に、各スクリュー50、60に対応した円形状の断面によりまゆ型の断面形状をなしている。すなわち、各スクリュー50、60に対応した円形状の断面において各円の一部が重なった形状をなすことでシリンダ70の断面がまゆ型形状になっている(後述する図4参照)。
各スクリュー50、60は、一端部分に加湿粉を送り出すフィードスクリュー51、61と、中間部分に加湿粉を練るための複数のパドル52、62と、他端部分に加湿粉をフィードスクリュー51、61側に逆送りするリバーススクリュー53、63と、を備えている。
なお、本実施形態では、各スクリュー50、60の一端側から他端側への原料粉末の移動を順送り、各スクリュー50、60の他端側から一端側への原料粉末の移動を逆送りと定義する。
そして、各スクリュー50、60は、互いに逆方向に回転するようになっている。すなわち、混練装置10は、2本の第1、第2スクリュー50、60に備えられた各パドル52、62は各スクリュー50、60が回転することによって加湿粉を混練するパドル式のものである。
図3は、各スクリュー50、60に取り付けられた各パドル52、62の組み付け立体イメージを示したものである。この図に示されるように、各パドル52、62は板状のもので構成され、その端面が非円形状になっている。本実施形態では、各パドル52、62の端面は楕円形状になっている。そして、各パドル52、62の姿勢の方向をそれぞれ一定角度で回転させて各スクリュー50、60にそれぞれ取り付けてある。
本実施形態では、パドル52、62は各スクリュー50、60の各フィードスクリュー51、61と各リバーススクリュー53、63との間にそれぞれ21枚取り付けられている。21枚のパドル52、62うち13枚が順送り用のものとしてフィードスクリュー51、61側に取り付けられており、3枚が押出部30への排出用のものとしてリバーススクリュー53、63側に取り付けられている。そして、4枚が逆送り用のパドル54、64として順送り用のものと排出用のものとの間に取り付けられている。さらに、順送り用のものと逆送り用のものとの間に、バッファ用として1枚が取り付けられている。
そして、各スクリュー50、60が回転することによって、混練部20において加湿粉は図2(a)、(b)に示される矢印の方向に進んでいくこととなる。本実施形態では、上述のように、各スクリュー50、60に逆送り用のパドル54、64が取り付けられているので、加湿粉は逆送り側のパドル54、64によってフィードスクリュー51、61側に送られるが、順送り用のパドル52、62によって加湿粉がリバーススクリュー53、63側に押される力が大きいため、加湿粉はフィードスクリュー51、61側にかかる力を受けつつ、リバーススクリュー53、63側に進んでいくこととなる。
また、各スクリュー50、60に取り付けられている各パドル52、62は、各スクリュー50、60がそれぞれ回転することに伴って回転するが、その様子を図4に示す。図4は、図2(a)に示される各スクリュー50、60に取り付けられた各パドル52、62の断面図を示したものであり、(a)は図2(a)のA−A断面図、(b)は図2(a)のB−B断面図、(c)は図2(a)のC−C断面図である。図4に示される各図は、各スクリュー50、60が回転する際、それぞれ同時刻の断面を示している。
図4(a)では、第1スクリュー50に取り付けられたパドル52の長軸が水平方向を向いており、第2スクリュー60に取り付けられたパドル62の長軸が鉛直方向を向いており、各長軸が垂直の関係になっている。また、第1スクリュー50のパドル52の長軸の一端部分が第2スクリュー60のパドル62の曲面にもっとも近づいている。
本実施形態では、図4(a)に示される各パドル52、62の配置状態において、各パドル52、62の間隔は1mm〜10mmになっている。すなわち、間隔を1mm未満とすると材料を練りすぎてしまうことや、逆に各パドル52、62に材料による圧力がかかって練りが悪くなり生産性が低下してしまうため、下限を1mm以上としている。また、練りが不足して粘土として成り立たなくなるため、上限を10mm以下としている。
そして、図4(a)に示される各パドル52、62においてフィードスクリュー51、61側の各パドル52、62では、図4(b)に示されるように、各長軸がそれぞれ平行の関係になっている。さらに、図4(b)に示される各パドル52、62においてフィードスクリュー51、61側の各パドル52、62では、図4(c)に示されるように、第1スクリュー50のパドル52の長軸が鉛直方向を向いており、第2スクリュー60のパドル62の長軸が水平方向を向いており、各長軸が垂直の関係になっている。
なお、図4(c)において各パドル52、62の間隔は上記図4(a)の場合と同様に1mm〜10mmとなっている。
また、各パドル52、62は、それぞれ同時刻においては図4(a)〜(c)に示される配置関係となるが、例えば図4(a)に示される各パドル52、62は、時間経過と共に図4(a)、図4(b)、図4(c)の順に回転していくこととなる。そして、このような混練部20で練られた加湿粉は粘土状になって押出部30に移動していく。
押出部30は、混練部20にて混練されたものを型から押し出すものであり、各パドル52、62のうち排出用に対応する場所に配置されている。図2(a)、(b)に示されるように、押出部30は、送り出しパドル31と、押出用スクリュー32と、図示しない成形型と、を備えて構成されている。
送り出しパドル31は、混練部20で練られたものを押出用スクリュー32側に送り出すものである。また、押出用スクリュー32は、送り出しパドル31から送られてきた粘土を成形型から押し出すものである。以上が、本実施形態に係る混練装置10の全体構成である。
本実施形態では、上記混練装置10を用いて混練工程を行う。まず、混合工程で得られたコージェライト化材料の粉末材料を湿らせて加湿粉とする。そして、当該加湿粉を混練装置10の混練部20の挿入口40からシリンダ70内に入れ、各スクリュー50、60を互いに逆方向に回転させる。
これにより、加湿粉材料は各スクリュー50、60のフィードスクリュー51、61によってリバーススクリュー53、63側に送り出されると共に、順送り用の各パドル52、62によって練られながらシリンダ70内を進んでいく。
すなわち、上述のように各パドル52、62の端面は楕円形状であり、その長軸が図4(a)に示されるようにそれぞれ垂直の配置になっている場合、第1スクリュー50のパドル52とシリンダ70の内壁面との間に隙間100ができると共に、第2スクリュー60のパドル62とシリンダ70の内壁面との間に隙間110ができるため、材料はこれら隙間100、110を介してシリンダ70内を進む。これら隙間100、110は、材料が逃げやすい空間であり、当該隙間100、110では材料の練りが抑制される。
また、各パドル52、62とシリンダ70の内壁面との間に形成される隙間のうちパドル52、62とシリンダ70の内壁面とがもっとも近づいた隙間部分と、各スクリュー50、60においてそれぞれ対向する各パドル52、62がもっとも近づいたときの隙間部分とで原料粉末を練る。
具体的に、隙間部分とは、各パドル52、62が図4(a)に示される配置になっている場合、第1スクリュー50のパドル52とシリンダ70の内壁面との隙間120、第1スクリュー50のパドル52と第2スクリュー60のパドル62との隙間130、第2スクリュー60のパドル62とシリンダ70の内壁面との隙間140を指す。これら各隙間120〜140おいて原料粉末は破砕され練られる。なお、隙間130は、上述のように1mm〜10mmになっている。
同様に、各パドル52、62が図4(b)に示される配置になっている場合、加湿粉は第1スクリュー50のパドル52とシリンダ70の内壁面との隙間200、各パドル52、62の間の隙間210、第2スクリュー60のパドル62とシリンダ70の内壁面との隙間220を介してシリンダ70内を進む。これら隙間200〜220は、上記隙間100、110と同様の機能を果たす。
また、材料は第1スクリュー50のパドル52とシリンダ70の内壁面との隙間230、第2スクリュー60のパドル62とシリンダ70の内壁面との隙間240において破砕され練られる。
そして、各パドル52、62が図4(c)に示される配置になっている場合、上記図4(a)の場合と同様に、加湿粉は第1スクリュー50のパドル52とシリンダ70の内壁面との隙間300、第2スクリュー60のパドル62とシリンダ70の内壁面との間の隙間310を介してシリンダ70内を進み、第1スクリュー50のパドル52とシリンダ70の内壁面との隙間320、各スクリュー50、60の各パドル52、62の隙間330、第2スクリュー60のパドル62とシリンダ70の内壁面との隙間340において破砕され練られる。上記隙間300、310も、隙間100、110、200〜220と同様の機能を果たす。
このように、本実施形態では、シリンダ70内におけるパドル52、62とシリンダ70の内壁面との間に適度に隙間を設けて材料を過度に練らずにシリンダ70内を進ませるようにしている。これにより、材料を適度に練ることができる。
そして、材料が練られながらシリンダ70を進んでいくと、逆送り用のパドル54、64により、粘土状になった材料がフィードスクリュー51、61側に押し戻される。しかし、逆送りよりも順送りのほうが押す力が強いため、粘土状の材料は逆送り用の各パッド54、64によってフィードスクリュー51、61側に押し戻されつつリバーススクリュー53、63側に進んでいく。
このようにして逆送り用の各パッド54、64によって粘土状の材料の停滞を起こさせることにより、当該逆送り用の各パッド54、64部分で混練を促進することができ、材料の練りを安定させることができる。
この後、粘土状の材料は排出用の各パッド52、62を介して押出部30に移動する。こうして混練工程は終了する。そして、混練工程で得られた粘土を混練装置10の押出部30の成形型から押し出すことでハニカム成形体を成形する押出工程を行う。
すなわち、混練装置10の押出部30において送り出しパドル31により混練部20から粘土を押出用スクリュー32側に送り、押出用スクリュー32にて粘土を成形型から押し出すことでハニカム成形体を形成する。
続いて、当該ハニカム成形体を一定の長さに切断する切断工程を行い、排ガス浄化フィルタ1をかたどったハニカム成形体を得る。以下では、切断工程により個々に分割されたハニカム成形体をワークという。なお、ワークのサイズは、例えば径が160mm、高さが180mmとなっている。
そして、上記のようにして得られたワークを乾燥させる乾燥工程を行い、ワークの水分を除去する。当該乾燥工程を行うに際し、本実施形態では、ワークをトチで挟み、乾燥装置にてワークを乾燥させる。
この後、ワークの両端面に図示しないマスクテープを貼り付けるマスキング工程を行う。本工程では、マスクテープとして例えばポリエステル系の粘着性を有するシートが採用される。
続いて、マスクテープに穴を開ける穴開け工程を行う。すなわち、排ガス浄化フィルタ1の両端面2、3それぞれを上述のように栓詰めするため、ワークの両端面それぞれに貼り付けたマスクテープにレーザ光を照射して、マスクテープを千鳥状に穴開けする。
なお、本工程では、例えばワークの両端面をそれぞれカメラで撮影し、マスクテープにおいて穴開けすべき場所を演算した後、レーザにて穴開けする方法が採用される。ただし、ワークの両端面の各マスクテープに対する穴開けは、両端面において孔4一つ分だけ千鳥模様がシフトするように行う。
次に、マスクテープに穴開けされた各孔4の開口部に栓材6を設ける栓詰め工程を行う。これは、セラミック液にワークの両端面をそれぞれ浸し、マスクテープが穴開けされた部分の各孔4にこのセラミック液を進入させて栓詰めする。そして、栓詰めがなされたワークの両端面を加熱することで栓材6を形成する。
この後、ワークを台車に載せ、台車を焼成炉に搬入し、ワークを焼成する焼成工程を行う。具体的には、上記ワークが搭載された台車を焼成炉内に搬入し、焼成炉内で各ワークを例えば1500℃で加熱する。この後、焼成炉内から台車を搬出する。これにより、図1に示される排ガス浄化フィルタ1が完成する。
このようにして製造された排ガス浄化フィルタ1の壁5には、図示しない気孔が多数設けられている。完成品の断面を調べたところ、壁5の断面の単位面積当たりの気孔の割合は65%〜70%になっており、気孔の割合が壁5よりも高くなっていた。このことから、気孔のサイズが確保できていることがわかる。
上記排ガス浄化フィルタ1においてエンジンから排出される排気ガスに含まれる汚染物質は以下のようにして取り除かれる。すなわち、エンジンから排出された排気ガスは、まず、排ガス浄化フィルタ1の一方の端面2から各孔4のうち開口した孔4内に導かれる。続いて、排気ガスは、孔4内の通路を端面3側に進むと共に、当該孔4と隣の孔4とを分離する壁5を通過する。これにより、排気ガスに含まれる汚染物質が壁5の内部で取り除かれる。
そして、排気ガスは、排ガス浄化フィルタ1内に進入した孔4の隣の孔4内の通路を通って排ガス浄化フィルタ1の他方の端面3から排出される。このようにして、排ガス浄化フィルタ1にて排気ガスに含まれる汚染物質が除去されるようになっている。
以上説明したように、本実施形態では、混練装置10の混練部20において端面が楕円形状のパドル52、62を各スクリュー50、60に設け、当該スクリュー50、60を回転させることにより、材料を練ることを特徴としている。このように、端面が楕円形状のものをなすことで、円筒形状のシリンダ70内において材料が逃げやすい隙間100、110、200〜220、300、310を形成することができる。これにより、材料を過度に破砕しないようにすることができ、ひいては完成品における気孔のサイズを確保することができる。
また、混練部20においてパドル52、62を順送りのものと逆送りのものとで構成することが特徴となっている。すなわち、順送り用のパドル52、62で材料を練っていき、逆送り用のパドル52、62で材料に押し戻すような力を加え、シリンダ70内で材料の停滞を引き起こすことで、材料の練りを促進することができる。以上のようにして、材料の練りを確保しつつ、完成品の気孔のサイズを確保することができる。
このように、気孔のサイズを確保できるため、上記排ガス浄化フィルタ1を車両に搭載した場合、排気ガスが排ガス浄化フィルタ1の壁5を通過しにくくなることを防止でき、エンジン性能の低下を回避することができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。上記第1実施形態では、各スクリュー50、60において各パッド52、62として順送り用のものと逆送り用のものとが組み合わされていたが、順送り用のものだけで各パッド52、62を構成しても構わない。すなわち、第1実施形態で設けた逆送り用の各パッド54、64は、材料の練りを促進するためのものであり、材料の練りを確保できれば逆送り用のパッド54、64を設けなくても良い。
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。上記第1実施形態では、各スクリュー50、60において各パッド52、62として順送り用のものと逆送り用のものとが組み合わされていたが、順送り用のものだけで各パッド52、62を構成しても構わない。すなわち、第1実施形態で設けた逆送り用の各パッド54、64は、材料の練りを促進するためのものであり、材料の練りを確保できれば逆送り用のパッド54、64を設けなくても良い。
具体的に、逆送り用のパッド54、64を用いない場合、各スクリュー50、60を第1実施形態の場合よりも長くして順送り用のパッド52、62の数を増やす。これにより、順送り用のパッド52、62のみを用いた場合であっても、材料を長い距離だけ進ませることで材料の練りを確保することができる。
(他の実施形態)
上記各実施形態では、円柱形状の排ガス浄化フィルタ1について説明したが、排ガス浄化フィルタ1は円柱形状に限定されるものではなく、角柱等の他の柱形状のものであっても構わない。また、ハニカム構造体に栓材6が設けられていないモノリスを製造する場合であっても、上記方法を採用することができる。
上記各実施形態では、円柱形状の排ガス浄化フィルタ1について説明したが、排ガス浄化フィルタ1は円柱形状に限定されるものではなく、角柱等の他の柱形状のものであっても構わない。また、ハニカム構造体に栓材6が設けられていないモノリスを製造する場合であっても、上記方法を採用することができる。
1…排ガス浄化フィルタ、2、3…排ガス浄化フィルタの両端面、4…孔、10…混練装置、32…押出用スクリュー、50…第1スクリュー、60…第2スクリュー、51、61…フィードスクリュー、52、54、62、64…パドル、70…シリンダ、120、130、140、230、240、320、330、340…隙間部分。
Claims (7)
- 柱形状であって、当該柱形状の軸方向に前記柱形状の両端面(2、3)を貫通する複数の孔(4)を有して構成されるハニカム構造体の製造方法であって、
複数の粉末材料を混ぜ合わせた原料粉末を用意した後、当該原料粉末を水と混練することで前記原料粉末を粘土にする混練工程を含んでおり、
前記混練工程では、
一端側から他端側に前記原料粉末を送り出すフィードスクリュー(51、61)と、前記原料粉末を練る複数のパドル(52、62)と、をそれぞれ有する第1スクリュー(50)、第2スクリュー(60)と、
前記各スクリューを並べて収納すると共に、前記各スクリューに対応した円形状の断面によりまゆ型の断面形状をなすシリンダ(70)と、を備え、
前記複数のパドルの端面は非円形状をなしていると共に、当該複数のパドルは前記原料粉末を前記各スクリューの他端側に送るように前記各スクリューにそれぞれ固定された混練装置(10)を用意し、
前記各スクリューを互いに逆方向に回転させて前記複数のパドルで前記原料粉末を練るに際し、前記各フィードスクリューによって前記原料粉末を前記各スクリューの各他端側に送り、前記複数のパドルと前記シリンダの内壁面との間に形成される隙間のうち前記パドルと前記シリンダの内壁面とがもっとも近づいた隙間部分(120、140、230、240、320、340)で前記原料粉末を練ることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。 - 前記混練工程では、前記各スクリューとして、前記各スクリューを互いに逆方向に回転させたとき、前記原料粉末が前記各スクリューの他端側に移動するように、前記複数のパドルの姿勢の方向をそれぞれ一定角度で回転させてそれぞれ前記各スクリューに固定したものを用いることを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記混練工程では、前記複数のパドルとして端面が楕円形状のものを用いることを特徴とする請求項1または2に記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記シリンダ内において、前記各スクリューの一端側から他端側への前記原料粉末の移動を順送り、前記各スクリューの他端側から一端側への前記原料粉末の移動を逆送りと定義したとき、
前記混練工程では、前記各スクリューとして、当該各スクリューのうち前記フィードスクリュー側にそれぞれ固定された各パドルが前記原料粉末を順送りするように配置されると共に、前記各スクリューの他端側に固定された各パドル(54、64)が前記原料粉末を逆送りするように配置されたものを用いることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つの記載のハニカム構造体の製造方法。 - 前記混練工程では、前記各スクリューにおいてそれぞれ対向する各パドルがもっとも近づいたときの隙間部分(130、330)で前記原料粉末を練ることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記混練工程では、前記対向する各パドルがもっとも近づいたときの前記隙間部分の間隔は1mm以上10mm以下であることを特徴とする請求項5に記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記混練装置は、前記シリンダ内で練られた材料を成形型から押し出す押出用スクリュー(32)を備えており、前記混練工程が終了した後、当該混練工程で得られた粘土状の材料を前記押出用スクリューにて前記成形型から押し出すことでハニカム成形体を成形する押出工程を行うことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のハニカム構造体の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP2574437A3 (en) * | 2011-09-28 | 2014-06-11 | NGK Insulators, Ltd. | Extruder |
-
2006
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