JP3559476B2 - 自動給餌装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、養魚用生け簀などにおいて、定時に定量の餌を給餌することができる自動給餌装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ハマチ、鯛、平目などの養魚用生け簀には、定時に定量の餌を給餌することができる自動給餌装置が設置されつつある。かかる自動給餌装置は、1日に数回の給餌作業の省力化を図るとともに、高価な餌を養魚の習性に応じて効率的に給餌できるようにするためのものである。
【0003】
上記のような自動給餌装置では、ホッパーに貯留されたペレット状の餌を、フィダー用モータで駆動されるスクリューフィダーで送り出しながら、拡散用モータで駆動されるブレードで周囲に弾き飛ばすようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、台風の接近等で養魚用生け簀から自動給餌装置を緊急に避難させたいような場合に、従来では、生け簀の足場に固定されたフレームから、ホッパー、スクリューフィダー、ブレード等を分解して取り外すようにしていたから、1台当たり約20〜30分もの取り外し時間が必要であり、全部で20台の自動給餌装置が設置されているような場合では、避難作業に約6〜10時間もかかることから、最新(例えば、2時間前)の台風の接近情報からでは作業を完了させることができないという問題があった。
【0005】
また、分解したホッパー、スクリューフィダー、ブレード等を船上のデッキや岸壁等に仮置きするとしても、置き方が悪いとこれらを損傷するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、生け簀等から簡単かつ迅速に移動させることができ、かつ船上のデッキ等に仮置きしたときにホッパー等を損傷するおそれがない自動給餌装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、ホッパーに貯留されたペレット状の餌を、フィダー用モータで駆動されるスクリューフィダーで送り出しながら、拡散用モータで駆動されるブレードで周囲に弾き飛ばすようにした自動給餌装置において、
上記ホッパー、スクリューフィダー、ブレード等を組み込むフレームは、自立型フレームと基礎フレームとに分割されて、自立型フレームにはホッパー、スクリューフィダー、ブレード等が予め組み込まれると共に、基礎フレームは生け簀等に予め取付けられて、基礎フレームに自立型フレームを脱着可能に取付けるようにしたことを特徴とする自動給餌装置を提供するものである。
【0008】
本発明によれば、生け簀等に予め取付けられた基礎フレームに、ホッパー、スクリューフィダー、ブレード等が予め組み込まれた自立型フレームを脱着可能に取付けるようにしたから、台風の接近等で緊急に避難させたいような場合に、基礎フレームから自立型フレームのみを取り外し、船上のデッキ等に移動させるだけで、自動給餌装置の全てを生け簀等から簡単かつ迅速に移動させることができる。また、自立型フレームであるから、船上のデッキや岸壁等にそのまま仮置きできて、ホッパー、スクリューフィダー、ブレード等を損傷するおそれがない。
【0009】
請求項2のように、上記スクリューフィダーは、ホッパー側を支点としてブレード側が旋回可能である構成であると、生け簀等の都合によってブレード(給餌)位置を変えることが可能になるとともに、ブレードを生け簀等の足場位置まで旋回させて補修等のメンテナンスが容易に行えるようになる。
【0010】
請求項3のように、上記ブレードは、チルト可能である構成であると、餌の弾き飛ばしの分布状態や飛距離を変えることが可能になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1〜図5に示すように、自動給餌装置は、ペレット状の餌(例えば、直径が8mm前後、長さが10mm前後)を貯留するホッパー1と、このホッパー1に貯留された餌を送り出すスクリューフィダー2と、このスクリューフィダー2で送り出された餌を周囲に弾き飛ばすブレード3と、基礎フレーム10及び自立型フレーム11とで基本構成されている。
【0013】
養魚用生け簀4は、ドラム缶形状の合成樹脂製フロート5の上部にL字形状の鋼管製足場6の水平部分6aをベルト7で固定するとともに、この足場6の垂直部分6bに囲い込み網8の端を結んで構成されている。
【0014】
上記足場6の水平部分6aには、小型の基礎フレーム10が予め載置されていて、この基礎フレーム10は、左右一対の底脚ブラケット10aがボルト用穴を利用して足場6の水平部分6aにボルト・ナットで固定されると共に、左右一対の前ブラケット10bがボルト用穴を利用して足場6の垂直部分6bにボルト・ナットで固定されている。
【0015】
また、大型の自立型フレーム11には、上記ホッパー1、スクリューフィダー2、ブレード3等が予め組み込まれている。
【0016】
この自立型フレーム11には、4本の垂直な脚ブラケット11aが設けられて、この各脚ブラケット11aによって船上のデッキや岸壁等に自立できるようになっている。
【0017】
上記基礎フレーム10の上部の左右一対の上ブラケット10cには、自立型フレーム11の左右一対のブラケット11dが上方から載置されるようになっていて、上ブラケット10cの長さ方向の中間位置には、底脚ブラケット10aとの間で上ブラケット10cを支える前ステー10eの上端位置決めピン10fが突設されるとともに、前ステー10eの分岐ステー10gと後ステー10hの各上端部には計4個のボルトねじ穴10iが形成されている。
【0018】
また、自立型フレーム11のブラケット11dには、上端位置決めピン10fに嵌合する位置決め穴11eと、ボルトねじ穴10iに一致するボルト挿通穴11fとが形成されている。
【0019】
そして、基礎フレーム10の上ブラケット10cに自立型フレーム11のブラケット11dを上方から載置して、上端位置決めピン10fに位置決め穴11eを嵌合させて位置決めした状態で、4本のボルト20をブラケット11dのボルト挿通穴11fを挿通させて上ブラケット10cのボルトねじ穴10iに螺合して締結することにより、基礎フレーム10に自立型フレーム11が取付けられるようになる。なお、養魚用生け簀4の足場6に固定された基礎フレーム10に自立型フレーム11を取付けたときには、4本の脚ブラケット11aは水面Lの上方で宙ぶらりの状態である。
【0020】
上記自立型フレーム11の上部には、合成樹脂製のホッパー1が嵌め込まれて固定される一方、このホッパー1の出口管12には、スクリューフィダー2の入口管13が旋回可能に支持されると共に、このスクリューフィダー2の出口シュート14には、ブレード3が上下方向へチルト可能に支持されている。上記ホッパー1の上部には、餌補充用の開閉蓋1aが取付けられている。
【0021】
上記スクリューフィダー2は、図6〜図8に詳細に示すように、アルミニューム製フィダー管15の内部にスクリューコンベア16が収納されていて、このスクリューコンベア16の前軸端部16aはフィダー管15の前端蓋15aで回転自在に支持されている。上記スクリューコンベア16の前軸端部16a側のスクリューには、2〜3ピッチ分だけ欠除された欠除部16cが形成されている。
【0022】
このフィダー管15の後端蓋15bの外面にはフィダー用モータ17が固定され、このフィダー用モータ17の出力軸がスクリューコンベア16の後軸端部16bに連結されて、フィダー用モータ17によりスクリューコンベア16が回転駆動されるようになる。このスクリューコンベア16の回転駆動により、上記ホッパー1の出口管12から入口管13を介してフィダー管15内に送り込まれた餌が出口シュート14の方向に送り出されるようになる。なお、フィダー用モータ17は防水ケース18で密封されている。
【0023】
上記フィダー管15の後端蓋15bの外面にU字状の金属製ガード18aを取付けると、防水ケース18が破損しないように保護できる。このガード18aは、2本を十字状に取付けるのが好ましい(二点鎖線参照)。また、このガード18aは、後述するように、手で掴んでフィダー管15を左右方向に旋回させるときに利用することができる。
【0024】
上記フィダー管15の後端部側の上部には上記入口管13が溶接固定され、この入口管13の取付けフランジ部13aには、円弧状のボルト挿通長穴13bが形成されている。また、上記ホッパー1の出口管12の取付けフランジ部12aには、具体的に図示しないがボルト挿通穴が形成されて、両取付けフランジ部12a,13aにボルトを挿通させてナットを螺合することにより、両取付けフランジ部12a,13aが締結固定されて、ホッパー1の出口管12にフィダー管15の入口管13が支持されるようになる。そして、上記ボルト・ナットを緩めると、取付けフランジ部13aのボルト挿通長穴13bの角度範囲θ(図5参照…例えば65度)で、入口管13を支点としてフィダー管15とともにブレード3側を左右方向に旋回させることが可能となる。
【0025】
上記自立型フレーム11の前部には、フィダー管15の下部を支承するレールブラケット11bが旋回可能範囲にわたって設けられると共に、このレールブラケット11bには、最端旋回位置でフィダー管15を当て止めるストッパー部11cが形成されている。なお、このストッパー部11cは無くても良い。
【0026】
このフィダー管15は、常時は、自立型フレーム11の前部とフィダー管15の上部とを連結するV字状ワイヤ19により、不用意に旋回等しないように保持されている。なお、このV字状ワイヤ19は無くても良い。
【0027】
上記フィダー管15の前端部側の下部には、断面U字状の上記出口シュート14の後端部が溶接固定されて、出口シュート14が斜め下向きとなるように設けられている。
【0028】
図8に示したように、上記出口シュート14の先端部の一側面にはL字状のモータブラケット22がボルト・ナット等で固定され、このモータブラケット22には拡散用モータ23が固定され、この拡散用モータ23の出力軸23aには、上記出口シュート14の先端部前方を遮るように伸長させた4枚ばねのFRP製ブレード3が固定されて、拡散用モータ23によりブレード3が回転駆動されるようになる。このブレード3の回転駆動により、上記フィダー管15から送り出されて出口シュート14を滑り落ちてきた餌が周囲に弾き飛ばされるようになる。なお、拡散用モータ23は防水ケース24で密封されている。
【0029】
上記出口シュート14は、餌が詰まったときのメンテナンス等のために、上面が開口したU字状断面のチャンネルを使用しているため、ブレード3で弾き飛ばされた餌が上面開口から出口シュート14内に飛び込んで、出口シュート14から餌が滑り落ちにくくなるおそれがある。そこで、特に出口シュート14の先端部側の上面開口をカバー25で塞ぐことにより、餌の飛び込みを予防することができる。
【0030】
上記モータブラケット22を出口シュート14にボルト・ナット等で固定するために、モータブラケット22と出口シュート14とに形成するボルト挿通穴を長穴にすれば、モータブラケット22とともにブレード3を上下方向にチルト(揺動…図7のF参照)させて、餌の拡散範囲を変化させることができる。
【0031】
また、上記フィダー管15は前端部側が僅かに下向きとなるように傾斜させられていて(例えば1.5度程度)、出口シュート14からフィダー管15内に入った海水等が自然に出口シュート14から排水されるようにしている。
【0032】
上記自立型フレーム11の一側部には制御ボックス27が取付けられ、この制御ボックス27内には、操作ボックスや制御ユニット等が格納されている。
【0033】
また、自立型フレーム11の制御ボックス27側の前脚ブラケット11aには、金具28cで固定したポール28aを介してソーラパネル28が取付けられ、このソーラパネル28で得られた電気を制御ボックス27内に設置されたバッテリー(不図示)に充電して、このバッテリーの電気で制御ユニットや上記各モータ17,23を駆動させるようになっている。なお、ソーラパネル28は、生け簀4の足場6に取付けても良い。
【0034】
上記ソーラパネル28の上部と下部には、円弧状に湾曲させた防鳥用針金28bをそれぞれ取付けている。この防鳥用針金28bにより、ソーラパネル28に大型の鳥(例えばカラス)が止まろうとしても、足や翼に防鳥用針金28bが当たるのを嫌って止まらなくなるから、鳥の糞でソーラパネル28が汚されて機能しなくなることが未然に防止できる。なお、防鳥用針金28bは、ソーラパネル28の下部のものを省略しても良い。
【0035】
一方、上記フィダー用モータ17及び拡散用モータ23は、制御ボックス27の制御ユニットにより次のように制御される。
【0036】
第1に、上記スクリューフィダー2のスクリューコンベア16は、スクリューのピッチが一定であることから、1回転で送り出される餌の量は予め計測(実測)しておくことができるので、フィダー用モータ17の回転数を制御することにより、餌を定量的に送り出すことができる。
【0037】
即ち、図9に示すように、フィダー用モータ17の目標回転数(餌の量)を予め設定しておいて、制御ボックス27の制御ユニット27aの演算制御部で制御した電流をフィダー用モータ17に印加すると、フィダー用モータ17は所定の速度で回転して、スクリューコンベア16が回転駆動されることにより、ホッパー1の出口管12から入口管13を介してフィダー管15内に送り込まれた餌が出口シュート14の方向に送り出されてゆく。そして、フィダー用モータ17の回転数をエンコーダ17aで検出し、その検出パルスを制御ユニット27aの周期演算部で演算して現在回転数を求め、この現在回転数が上記目標回転数に一致するまでフィダー用モータ17を回転させることにより、単位時間当たりの給餌量で送り出すことができる。
【0038】
第2に、上記ブレード3で餌を弾き飛ばすときと、餌を弾き飛ばさないとき(つまりブレードの空転状態)とでは、ブレード3に加わる負荷に違いが生じる。そこで、この負荷の有無によって変化する拡散用モータ23の電流レベルを計測することにより、餌の有無を判断することができる。
【0039】
そして、餌が無いと判断されたときに、上記フィダー用モータ17及び拡散用モータ23の回転を停止させるように上記制御ボックス27の制御ユニット27aで制御する。
【0040】
第3に、上記第2において餌を弾き飛ばすときにブレード3に加わる負荷の有無によって変化する拡散用モータ23の電流レベルを計測することにより、餌の有無を判断して、餌が無いと判断されたときに、少なくともホッパー1からブレード3まで餌が送り出される時間だけ上記フィダー用モータ17及び拡散用モータ23の回転を継続させるように上記制御ボックス27の制御ユニット27aで制御する。
【0041】
第4に、多量の餌を給餌する本格給餌の前に少量の餌を給餌する呼び込み給餌と、本格給餌の後に少量の餌を給餌する追加給餌との少なくとも一方を行うように上記制御ボックス27の制御ユニット27aで制御する。
【0042】
上記のように構成した自動給餌装置のハード部分の作用を説明する。ホッパー1に貯留されたペレット状の餌は、スクリューフィダー2のフィダー用モータ17で回転駆動されるスクリューコンベヤ16により、ホッパー1から定量的に送り出され、スクリューコンベヤ16の送り出し先端である欠除部16cを経てフィダー管15から出口シュート14に送り出され、この出口シュート14を滑り落ちてきた餌が拡散用モータ23で回転駆動されるブレード3により、周囲に弾き飛ばされて生け簀4に自動給餌されるようになる。
【0043】
このハード部においては、生け簀4に予め取付けられた基礎フレーム10に、ホッパー1、スクリューフィダー2、ブレード3等が予め組み込まれた自立型フレーム11を脱着可能に取付けることができるから、台風の接近等で緊急に避難させたいような場合に、4本のボルト20を緩め外して、基礎フレーム10から自立型フレーム11のみを取り外し、クレーン等で船上のデッキ等に移動させるだけで、自動給餌装置の全てを生け簀4から簡単かつ迅速に移動させることができる。具体的には、4本のボルト20を緩め外すだけであるから、1台当たり約5分で自立型フレーム11の取り外しと船上のデッキ等への移動が完了し、全部で20台の自動給餌装置が設置されているような場合でも、約100分(1時間40分)で避難作業が完了するので、2時間前の台風の接近情報からでも充分に作業を完了させることができる。
【0044】
また、自立型フレーム11であるから、4本の脚ブラケット11aにより、船上のデッキや岸壁等にそのまま仮置きできるとともに、自立型フレーム11にホッパー1、スクリューフィダー2、ブレード3等が組み込まれているから、これらを損傷するおそれがない。
【0045】
また、スクリューフィダー2は、ホッパー1側の入口管13を支点としてブレード2側が旋回可能であるから、生け簀4の都合によってブレード(給餌)位置を変えることが可能になるとともに、ブレード3を生け簀4の足場6の位置まで旋回させて補修等のメンテナンスが容易に行えるようになる。
【0046】
さらに、ブレード3は、上下方向にチルト可能であるから、餌の弾き飛ばしの分布状態や飛距離を変えることが可能になる。
【0047】
さらにまた、上記スクリューコンベア16の前軸端部16a側のスクリューに欠除部16cを形成しているから、スクリューコンベア16で送り出されてきた餌が欠除部16cで一時的に蓄えられながら押し出されるようになるから、餌の送り出しに脈動が生じなくなり、連続した餌の送り出しが可能になる。
【0048】
次に、上記自動給餌装置のソフト部分の作用を図10及び図11のフローチャートを参照しながら説明する。なお、図10の▲1▼〜▲9▼と図11の▲1▼〜▲9▼とは、それぞれ一致する番号同士が上下一連につながっているものである。
【0049】
ステップS1でスタートし、ステップS2で開始時間がきたかどうかを判断する。開始時間としては、例えば、8時00分、8時10分、10時00分、10時10分、14時00分、16時00分の6回を上記制御ボックス27の制御ユニット27aに設定しておく。これらの時間及び回数の設定は任意に変えることができる。なお、8時台と10時台には、それぞれ10分置きに2回繰り返すのは、後述する呼び込み給餌において、最初の呼び込み給餌では食い気を示さない養魚(特にハマチ)もいるから、食い気を示さない状態で本格給餌を開始しても餌が無駄になるので、10分後に再び呼び込み給餌を行って食い気を誘うようにするためである。
【0050】
そして、ステップS2でNOであれば、YESになるまでステップS2を繰り返す。ステップS2でYES(例えば、8時00分)であれば、ステップS3で1日に給餌量が設定値以上かどうかを判断する。即ち、養魚によって1日に給餌量(例えば、300Kg)を予め設定できるので、設定値以上(YES)であれば、給餌量のセンサー等が故障している可能性が有ることから、無駄な給餌を避けるために、ステップS2に戻る。
【0051】
ステップS3でNOであれば、ステップS4で呼び込み給餌が開始される。この呼び込み給餌では、上記フィダー用モータ16と拡散用モータ23との駆動により1分間に3Kg程度の餌を数分間だけ呼び込み給餌して、養魚の食い気を誘うようになる。
【0052】
まず、ステップS5でホッパー1に餌が有るかどうかを判断する。この判断は、餌を弾き飛ばすブレード3に加わる負荷の有無によって変化する拡散用モータ23の電流レベルを計測することにより、負荷が無いときにはホッパー1に餌が無い(NO)と判断する。なお、ステップS5でNOと判断された場合のルーチンは以下で説明する。
【0053】
ステップS5でYESであれば、ステップS6で、ステップS3と同様に、1日に給餌量が設定値以上かどうかを判断して、YESであれば、無駄な呼び込み給餌を避けるためにステップS23で給餌を終了する(上記フィダー用モータ17及び拡散用モータ23の回転を停止させる。以下同じ)。NOであれば、ステップS7で残餌数が設定値以上かどうかを判断する。この判断は、給餌されて海中に沈む餌の個数(残餌数)をセンサーで検出して、例えば、1分間当たりの個数が5個をもって設定値とする。そして、1分間当たりの個数が5個未満であれば、養魚の食い気が旺盛で残餌数が少なくなり、6個以上であれば、養魚に食い気が無くて残餌数が多くなる。そして、YESであれば、無駄な呼び込み給餌を避けるためにステップS23で給餌を終了する。
【0054】
この呼び込み給餌の場合、ステップS2のところで説明したように、8時台と10時台には、それぞれ10分置きに2回繰り返して、最初の呼び込み給餌では食い気を示さない養魚に対しては、10分後に再び呼び込み給餌を行って食い気を誘うようにする。
【0055】
ステップS7でNOであれば、ステップS8で呼び込み給餌量が設定値以上かどうかを判断する。ステップS8でNOであれば、ステップS4に戻って呼び込み給餌のルーチンを繰り返す。
【0056】
ステップS8でYESであれば、ステップS9で本格給餌が開始される。この本格給餌では、上記フィダー用モータ16と拡散用モータ23との駆動により1分間に10Kg程度の餌を本格給餌するようになる。
【0057】
まず、ステップS10で、ステップS5と同様に、ホッパー1に餌が有るかどうかを判断し、NOと判断された場合のルーチンは以下で説明する。
【0058】
ステップS10でYESであれば、ステップS11で、ステップS3と同様に、1日に給餌量が設定値以上かどうかを判断して、YESであれば、無駄な本格給餌を避けるためにステップS23で給餌を終了する。NOであれば、ステップS12で、ステップS7と同様に、残餌数が設定値以上かどうかを判断し、YESであれば、ステップS14の追加給餌のルーチンに移行する。
【0059】
ステップS12でNOであれば、ステップS13で本格給餌量が設定値以上かどうかを判断する。ステップS13でNOであれば、ステップS10に戻って本格給餌のルーチンを繰り返す。
【0060】
ステップS13でYESであれば、ステップS14で追加給餌が開始される。この追加給餌では、上記フィダー用モータ16と拡散用モータ23との駆動により1分間に3Kg程度の餌を追加給餌するようになる。この追加給餌では、本格給餌で食い気が無くなった強い養魚に代わって、食いそびれた弱い養魚にも給餌の機会が与えられる。
【0061】
まず、ステップS15で、ステップS5と同様に、ホッパー1に餌が有るかどうかを判断し、NOと判断された場合のルーチンは以下で説明する。
【0062】
ステップS15でYESであれば、ステップS16で、ステップS3と同様に、1日に給餌量が設定値以上かどうかを判断して、YESであれば、無駄な本格給餌を避けるためにステップS23で給餌を終了する。NOであれば、ステップS17で、ステップS7と同様に、残餌数が設定値以上かどうかを判断し、YESであれば、無駄な本格給餌を避けるためにステップS23で給餌を終了する。
【0063】
ステップS17でNOであれば、ステップS18で追加給餌量が設定値以上かどうかを判断する。ステップS18でNOであれば、ステップS15に戻って通過給餌のルーチンを繰り返す。ステップS18でYESであれば、ステップS23で給餌を終了する。
【0064】
一方、ステップS5、ステップS10及びステップS15でNOであれば、ステップS19で前回も餌がなかったかどうかを判断する。ステップS19でNOであれば、ホッパー1に餌が無いか、ホッパー1の出口に餌が詰まっているかであるから、ステップS23で給餌を終了する。
【0065】
そして、ホッパー1に餌が無いときには補給し、ホッパー1の出口に餌が詰まっているときは詰まりを解消した後に、ステップS1から再開すると(制御方法によっては、ステップS4の呼び込み給餌、ステップS9に本格給餌、ステップS14の追加給餌から再開することも可能)、ステップS2とステップS3とを経てステップS4で呼び込み給餌が開始されて、上記フィダー用モータ16と拡散用モータ23との駆動により呼び込み給餌されるようになるが、ホッパー1からブレード3まで餌が送り出される時間だけタイムラグが生じるので、このタイムラグの間にステップS5でホッパー1に餌が無い(NO)と再び判断されることになる。
【0066】
そこで、ステップS19でYESであれば、ステップS20において、少なくともホッパー1からブレード3まで餌が送り出される時間だけフィダー用モータ17及び拡散用モータ23の回転を継続させるように制御ボックス27の制御ユニット27aで制御する。
【0067】
そして、ステップS21で、拡散用モータ23の電流レベルを計測することにより、餌が有ると判断すると(YES)、ステップS4に戻って呼び込み給餌を再開する。また、依然として餌が無いと判断すると(NO)、ステップS22で規定量の餌を自動送りしたかどうかを判断し、NOであれば、ステップS20に戻って自動送りのルーチンを繰り返す。ステップS22でYESであれば、ステップS23で自動送りを終了する。
【0068】
上記のように構成した自動給餌装置のソフト部分の作用を説明する。上記スクリューフィダー2のスクリューコンベア16の1回転で送り出される餌の量は予め計測(実測)しておくことができるので、フィダー用モータ17の回転数を制御することにより、餌の正確な定量供給が可能となる。特に従来では、フィダー用モータ17の回転時間(数分)だけの制御であったから、5%程度の誤差が生じて定量性に欠けていたが、フィダー用モータ17の回転数を制御することにより、1%程度の誤差に止まって定量性が確保できるようになる。
【0069】
また、餌を弾き飛ばすときにブレード3に加わる負荷の有無によって変化する拡散用モータ23の電流レベルを計測することにより、餌の有無を判断して、餌が無いと判断されたときに、フィダー用モータ17及び拡散用モータ23の回転を停止させるようにしたから、拡散用モータ23の電流レベルの計測だけで餌の有無の判断が確実に行えるとともに電力の無駄な消費が抑制できるようになる。
【0070】
さらに、餌を弾き飛ばすときにブレード3に加わる負荷の有無によって変化する拡散用モータ23の電流レベルを計測することにより、餌の有無を判断して、餌が無いと判断されたときに、少なくともホッパー1からブレード3まで餌が送り出される時間だけフィダー用モータ17及び拡散用モータ23の回転を継続させるようにしたから、ホッパー1に餌が無いときは補給した後に、あるいはホッパー1の出口に餌が詰まっているときは詰まりを解消した後に、ホッパー1からブレード3まで餌が送り出される時間だけフィダー用モータ17及び拡散用モータ23の回転を継続させることにより、不必要なフィダー用モータ17及び拡散用モータ23の回転の停止を防止できて餌の定量供給が継続して行えるようになる。
【0071】
さらにまた、本格給餌前の呼び込み給餌によって、養魚の食い気の反応を見ながら本格給餌の要・不要を判断できるとともに、本格給餌後の追加給餌によって、食いそびれた弱い養魚等にも給餌の機会を与えて、より効率的に給餌ができるようになる。なお、呼び込み給餌と追加給餌とは、養魚の種類等によって選択的に採用することができる。
【0072】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明は、スクリューフィダーの1回転で送り出される餌の量を予め計測しておくことにより、スクリューフィダーを駆動するフィダー用モータの回転数を制御すれば、餌の正確な定量供給が可能となる。
【0073】
また、餌を弾き飛ばすときにブレードに加わる負荷の有無によって変化する拡散用モータの電流レベルを計測することにより、餌の有無を判断して、餌が無いと判断されたときに、上記フィダー用モータ及び拡散用モータの回転を停止させる構成とすれば(請求項2)、拡散用モータの電流レベルの計測だけで餌の有無の判断が確実に行えるとともに電力の無駄な消費が抑制できるようになる。
【0074】
さらに、餌を弾き飛ばすときにブレードに加わる負荷の有無によって変化する拡散用モータの電流レベルを計測することにより、餌の有無を判断して、餌が無いと判断されたときに、少なくともホッパーからブレードまで餌が送り出される時間だけフィダー用モータ及び拡散用モータの回転を継続させる構成とすれば(請求項3)、ホッパーに餌が無いときは補給した後に、あるいはホッパーの出口に餌が詰まっているときは詰まりを解消した後に、ホッパーからブレードまで餌が送り出される時間だけフィダー用モータ及び拡散用モータの回転を継続させることにより、不必要なフィダー用モータ及び拡散用モータの回転の停止を防止できて餌の定量供給が継続して行えるようになる。
【0075】
一方、請求項4のように、多量の餌を給餌する本格給餌の前に少量の餌を給餌する呼び込み給餌と、本格給餌の後に少量の餌を給餌する追加給餌との少なくとも一方を行うようにすれば、本格給餌前の呼び込み給餌によって、養魚の食い気の反応を見ながら本格給餌の要・不要を判断できるとともに、本格給餌後の追加給餌によって、食いそびれた弱い養魚等にも給餌の機会を与えて、より効率的に給餌ができるようになる。
【0076】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明は、生け簀等に予め取付けられた基礎フレームに、ホッパー、スクリューフィダー、ブレード等が予め組み込まれた自立型フレームを脱着可能に取付けるようにしたから、台風の接近等で緊急に避難させたいような場合に、基礎フレームから自立型フレームのみを取り外し、船上のデッキ等に移動させるだけで、自動給餌装置の全てを生け簀等から簡単かつ迅速に移動させることができる。また、自立型フレームであるから、船上のデッキや岸壁等にそのまま仮置きできて、ホッパー、スクリューフィダー、ブレード等を損傷するおそれがない。
【0077】
また、スクリューフィダーは、ホッパー側を支点としてブレード側が旋回可能である構成であると(請求項2)、生け簀等の都合によってブレード(給餌)位置を変えることが可能になるとともに、ブレードを生け簀等の足場位置まで旋回させて補修等のメンテナンスが容易に行えるようになる。
【0078】
さらに、ブレードは、チルト可能である構成であると(請求項3)、餌の弾き飛ばしの分布状態や飛距離を変えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動給餌装置の斜視図である。
【図2】自動給餌装置の分解斜視図である。
【図3】自動給餌装置の正面図である。
【図4】自動給餌装置の側面図である。
【図5】自動給餌装置の略画的平面図である。
【図6】スクリューフィダーであり、(a)は平面図、(b)は側面断面図である。
【図7】スクリューフィダーとブレードの拡大側面図である。
【図8】ブレードであり、(a)は平面断面図、(b)は(a)の正面図である。
【図9】フィダー用モータの制御回路図である。
【図10】自動給餌方法の前半分のフローチャートである。
【図11】自動給餌方法の後半分のフローチャートである。
【符号の説明】
1 ホッパー
2 スクリューフィダー
3 ブレード
4 養魚用生け簀
10 基礎フレーム
11 自立型フレーム
16 スクリューコンベア
17 フィダー用モータ
23 拡散用モータ
27 制御ボックス

Claims (3)

  1. ホッパーに貯留されたペレット状の餌を、フィダー用モータで駆動されるスクリューフィダーで送り出しながら、拡散用モータで駆動されるブレードで周囲に弾き飛ばすようにした自動給餌装置において、
    上記ホッパー、スクリューフィダー、ブレード等を組み込むフレームは、自立型フレームと基礎フレームとに分割されて、自立型フレームにはホッパー、スクリューフィダー、ブレード等が予め組み込まれると共に、基礎フレームは生け簀等に予め取付けられて、基礎フレームに自立型フレームを脱着可能に取付けるようにしたことを特徴とする自動給餌装置。
  2. 上記スクリューフィダーは、ホッパー側を支点としてブレード側が旋回可能である請求項1に記載の自動給餌装置。
  3. 上記ブレードは、チルト可能である請求項1又は請求項2に記載の自動給餌装置。
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