JP3559236B2 - レーダ信号処理方法およびこの方法を用いたレーダ装置 - Google Patents
レーダ信号処理方法およびこの方法を用いたレーダ装置 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、空中線が艦船に搭載されているなど、揺動によって放射ビームの傾斜が変化する放射特性がファンビーム等の2次元空中線を用いたレーダ装置によって、目標位置の3次元情報を得るレーダ信号処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
3次元空間を移動する目標を捕らえやすくするため、レーダ電波を扇状(ファンという)に展開して放射するファンビーム方式のレーダ装置がある。この場合、一般には高さ方向に対して扇状に放射する。
目標が捕捉されたとき、ファンビームのどの部分(仰角方向の位置)で目標が捕捉されたかは判らないから、目標の高度を知るためには、特別な工夫が必要となる。
ファンビーム式のレーダ装置で、目標の3次元の高度(位置)情報を得る一般的な方法の一つとしてVビーム方式と呼ばれるものがある。
【0003】
図21はVビーム方式で3次元情報を得る方法の原理説明図である。
図21において、1はVビーム方式の3次元レーダ装置、2は3次元レーダ装置1から放射され、空間において鉛直方向に広がりを持つ鉛直ファンビーム、3は鉛直ファンビーム2に対して予め設定した角度θの傾斜を持って放射される傾斜ファンビーム、4は任意の高度に位置する目標、Rは目標の距離、hは目標の高度、ωは3次元レーダ装置1の空中線回転速度、Φは鉛直ファンビーム2と傾斜ファンビーム3との相対角度、mは目標の高さにおける鉛直ファンビーム2と傾斜ファンビーム3の間の距離である。
【0004】
次にVビーム方式の3次元レーダ1における高度情報算出方法について説明する。図22は目標の高度算出方式を示すブロック図である。
図22において、10は目標距離算出部、11は受信時刻差算出部、12は目標高度算出部である。
【0005】
3次元レーダ装置1の空中線は水平方向に回転速度ωで走査されるため、任意の高度にある1つの目標からは、鉛直ファンビーム2と傾斜ファンビーム3のそれぞれから反射エコーが受信される。
このとき、レーダ波の発射からエコーの到着までの時間によって目標までの距離Rが求められる。
また、鉛直ファンビーム2によって目標4から反射されるエコーの受信時刻をt1、傾斜ファンビーム3から反射されるエコーの受信時刻をt2とする。受信時刻差算出部11ではt1とt2の時刻差Δtを算出する。目標高度算出部12では、以下に示す計算によって目標の高度を算出する。
【0006】
目標4の高さhにおける鉛直ファンビーム2と傾斜ファンビーム3の間の距離mは、図21から式(1)で表される。
m=R・ω・Δt ‥‥ (1)
また、目標の高度hは式(2)で表される。
h=m/tan Φ ‥‥ (2)
ここに式(1)を代入することにより
h=R・ω・Δt/tan Φ
これにより、目標4の高度を知ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の3次元レーダ装置は以上のように構成され、2つのファンビームからの受信信号を利用して幾何学的な計算によって目標の高度情報を取得していた。しかしながら、このような方式では2つのビームを放射するために、空中線の構造的な規模が大きくなると共に、消費電力も大きくなるなどの問題点があった。
また、同方向に2つの電波を発射させるため、アンテナ構造が横方向又は縦方向に大きくなり取り扱いにくくなるという問題があった。
また、2つの電波発射装置のうち、1つが破壊されると高度の測定が不可能となるという問題があった。
また、アンテナが揺動すると高度の算出誤差が増えるという問題があった。
【0008】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、単一ファンビーム方式の2次元レーダ装置を用いて、また、消費電力も2次元レーダ装置と同等のままで目標の3次元的高度情報を得る3次元レーダ信号処理方法及びこの処理方法を用いたレーダ装置を得ることを目的とする。
また、アンテナ構造を横方向又は縦方向に広がらず取扱し易いものとすることを目的とする。また、アンテナが揺動しても誤差が増えることがないレーダ信号処理方法を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明のレーダ信号処理方法は、垂直方向に所定の広がりを持つファンビーム状のレーダ電波を放射する2次元レーダ装置を、揺動体上に設置して、ファンビーム状のレーダ電波の揺動体の揺動による傾斜の角度を計測しつつ水平方向に繰り返し走査する手順と、
走査ごとに、目標体から反射したレーダ電波によって目標方位を計測し、連続する2回の走査における目標方位の差を求める手順と、
計測したファンビーム状のレーダ電波の傾斜角度と、目標方位の差とに基づき、目標の高度を算出する手順とを含むものである。
【0010】
また、垂直方向に所定の広がりを持つファンビーム状のレーダ電波を放射する2次元レーダ装置を、揺動体上に設置して、ファンビーム状のレーダ電波の揺動体の揺動による傾斜の角度を計測しつつ水平方向に繰り返し走査する手順と、
走査ごとに、目標体から反射したレーダ電波によって目標方位を計測し、連続する2回の走査における目標方位の差を求める手順と、
計測したファンビーム状のレーダ電波の傾斜角度と、目標方位の差とに基づき、目標の方位角を補正する手順とを含むものである。
【0011】
また、連続する2回の走査におけるレーダ電波の傾斜の角度差に対して閾値を設定する手順と、
傾斜角度の差が閾値を上回るか否かに応じて、目標の高度を算出する手順を実行するか否かを決定する高度演算実行判断手順と、
走査ごとの目標の高度変化の大きさに応じて、閾値を変化させる閾値変化手順とを含むものである。
【0012】
また、連続する2回の走査におけるレーダ電波の傾斜角度の差に対して閾値を設定する手順と、
傾斜角度の差が閾値を上回るか否かに応じて、目標の方位角を補正する手順を実行するか否かを決定する方位補正演算実行判断手順と、
走査ごとの目標の方位変化の大きさに応じて、閾値を変化させる閾値変化手順とを含むものである。
【0013】
また、ファンビーム状のレーダ電波の傾斜角度を毎走査ごとに変化させる手順と、少なくとも1度は傾斜の角度を水平面に対して垂直にする手順とを含むものである。
【0014】
また、レーダ電波の傾斜角度が互いに異なる2つのファンビーム状のレーダ電波を、1つの走査間に、ほぼ180度の走査位相差で放射する手順を含むものである。
【0015】
また、2つのファンビームの一方の広がりを水平面に対して垂直とする手順を含むものである。
【0016】
また、レーダ装置を艦船上に設置する手順と、艦船の揺動状態を検出する手順と、検出した揺動状態にもとづきファンビームが垂直線となす角度の変化が艦船の揺動によって相殺されることがないように、傾斜の角度の変化の周期または位相を変化させる手順とを含むものである。
【0017】
また、目標が発信した高度情報を受信する手順と、この高度情報が受信出来ないときに、計測したファンビームの傾斜の角度と、目標方位の差とに基づき、目標の高度を算出する手順で得た高度によつて高度情報を補完する手順とを含むものである。
【0018】
また、レーダ電波を放射するアンテナとして、それぞれが位相制御可能な複数のアンテナ素子で構成したアレイアンテナを用いる手順と、
アレイアンテナを制御して、ファンビームが垂直線となす角度を変化させる手順とを含むものである。
【0019】
この発明によるレーダ装置は、揺動体上に設置され、垂直方向に所定の広がりを持つファンビーム状のレーダ電波を、水平面に対して傾斜させて放射し、揺動体の揺動による傾斜角の変化を計測しつつ水平方向に走査する2次元レーダ装置、2次元レーダ装置の各走査における目標体からの反射電波によって各走査における目標方位を計測し、目標方位の各走査間の差を求める目標探知方位差演算回路、目標方位の差に基づき、目標の高度を算出する高度演算回路とを備えたものである。
【0020】
また、大地に対して揺動する台上に設置され、レーダ電波を垂直方向に所定の広がりを持ち、かつ、垂直線に対して傾斜したファンビーム状に放射しつつ水平方向に走査する2次元レーダ装置、
2次元レーダ装置の受信波の各走査における目標方位を計測し、目標方位の各走査間の差を求める目標探知方位差演算回路、
目標方位の差に基づき、目標の方位角度を補正する方位補正回路とを備えたものである。
【0021】
また、連続する2回の走査におけるレーダ電波の傾斜角度の差に対して閾値を設定し、差が閾値を下回る場合には、高度演算回路を実行させない高度演算中止回路を備えたものである。
【0022】
また、連続する2回の走査におけるレーダ電波の傾斜角度の差に対して閾値を設定し、差が閾値を下回る場合には、方位補正回路を実行させない方位補正中止回路を備えたものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるレーダ信号処理方法を説明するための原理説明図である。
図1において、21は垂直方向に所定の広がりを持つ単一のファンビーム状のレーダ電波を水平面に対して傾斜させて放射するレーダ装置で、水平方向に回転する機構を備え、図示しない揺動する揺動体、例えば艦船の上などに設置されている。22は任意の高度に位置する目標(目標体)、Rはレーダ装置21と目標22の間の距離である。また、Dはレーダ装置21と目標を結ぶ線分を水平面に投影した場合の距離である。
hは目標22の水平面(レーダ装置21が設置されている水平面)からの高度である。
26はレーダ装置21から放射されるファンビームの形状、Φ1 は任意のn走査目(レーダ装置21の1回転が1走査において、ファンビーム26の鉛直線に対する相対角度であり、あらかじめ所定の傾斜角度を与えてあるが艦船のゆれに応じてΦ1 が変化しても、図示しないセンサによって常に計測されている。
28は現在時点(前記n走査目)のレーダ方位を示す線、Θ1 はレーダ方位28に対する目標22の方位の相対角度である。
dは距離Rにおける目標22とレーダ方位28を示す線との間の水平距離である。
【0024】
前述のとおり、レーダ装置21は、例えば揺動する艦船や車両上(揺動体)に設置されており、1回転毎(1走査毎)に、主としてファンビーム26の傾きΦ1 が変化する。
また、図2は図1に続くn+1走査目の状態を示しており、Φ2 はn+1走査目におけるファンビーム26と鉛直線との相対角度(計測された値)である。Θ2 は同じくn+1走査目のレーダ方位に対する目標方位の相対角度である。
【0025】
図1、図2において、レーダ装置21が艦船等に搭載され揺動している場合、Θ1 ≠Θ2 、Φ1 ≠Φ2 となる。これを利用して、目標(目標体)の水平面からの高度hを算出することができる。即ち、
図1において目標22の位置関係は式(3)〜(5)で表される。
d = h・tan Φ1 ‥‥ (3)
d = D・sin Θ1 ‥‥ (4)
D2 =R2 − h2 ‥‥ (5)
式(3)〜(5)を変形することにより、式(6)と(7)が得られる。
【0026】
【数1】
【0027】
式(7)を変形して、目標22の水平面からの高度hは、式(8)のように表すことができる。
h2 × (tan 2 Φ1 +sin 2 Θ1 )=R2 sin 2 Θ1
h2 ={R2 sin 2 Θ1 }/ (tan 2 Φ1 +sin 2 Θ1 )
h ={R・ sin Θ1 }/ (tan 2 Φ1 +sin 2 Θ1 )1/2 ‥‥(8)
n走査とn+1走査の間に目標22の位置が変わらない場合には、
h(n) = h(n+1) であるから、式(9)が成立する。
式(9)を変形し、下記に示す式(10)の近似を適用することにより
式(11)が成立する。即ち、
【0028】
【数2】
【0029】
【数3】
【0030】
式(11)において、各走査におけるレーダ方位28に対する目標22の方位の相対角度Θ1 及びΘ2 は測定できないが、前述のとおりΦ1 、Φ2 は測定されているので、揺動等によってファンビーム26の傾斜角Φ1 とΦ2 が異なる値となった場合は、目標探知したレーダの方位差(目標方位差Θ1 −Θ2 )を測定することにより、式(11)から近似的にΘ2 が、従って同時にΘ1 が求まり、これをもとに式(9)から目標の高度を算出することができる。
【0031】
なお、目標の真方位(ΘTGT とする)は式(12)に示すように、目標を探知した時(n+1走査目)のレーダ方位(図では28に相当) ΘRDR 2 に式(11)で算出する目標相対角度Θ2 を加算することによって求められる。
ΘTGT2 = ΘRDR 2 + Θ2 ‥‥ (12)
以上に説明した信号処理方法を実施することによって、レーダ装置21のアンテナ部が従来の2次元レーダ装置とほぼ同様の装置構成のままで、目標の3次元情報を得ることが可能となる。
【0032】
理解を助けるため以上に説明した処理方法の流れを図3のフローチャートに示す。図3において、ステップS01では、レーダ電波を、垂直方向に所定の広がりを持つファンビーム状の電波を水平面に対して傾斜させて放射しつつ水平方向に走査する2次元レーダ装置を、揺動体上に設置して、傾斜の角度を計測しつつ空間を走査する。
ステップS02では、2次元レーダ装置の受信波の各走査における目標方位を計測し、目標方位の各走査間の差(Θ1 −Θ2 )を求める。図示しないがこの演算は目標探知方位差演算回路により実行する。
【0033】
ステップS03では、計測したファンビームの傾斜の角度(Φ1 、Φ2 )と、目標方位の差(Θ1 −Θ2 )とに基づき、目標の高度hを式(11)と式(9)により算出する。なお、上記式(9),(11)による高度hの演算は、図示しない高度演算回路により実行する。
ステップS04では、計測したファンビームの傾斜の角度と、目標方位の差とに基づき、目標の方位角度を式(12)により補正する。図示しないがこの補正演算は方位補正回路により実行する。
以上の説明に於いて、レーダ装置21は回転走査すると説明したが、繰り返し走査するものであれば往復動作でもよい。
また、連続する2回の走査のデータを処理すると説明したが、1回飛びにデータを処理してもよい。
【0034】
実施の形態2.
実施の形態1の式(11)において、揺動が小さく、tan Φ1 とtan Φ2 の差が小さい場合には、式(11)の分母が小さくなって、Θ2 の算出結果に含まれる誤差が増大する。
そこで、揺動角度|Φ2 −Φ1 |に対して任意の閾値Φa を設定し、
|Φ2 −Φ1 |> Φa の場合には以上に説明した演算を即座に実行するが、
|Φ2 −Φ1 |< Φa の場合には、図示しない方位補正中止回路により、方位補正回路の補正実行を中止させ、n−1走査目とn走査目で算出した目標の真方位をn+1走査目における目標の真方位Θ2 とみなす。
【0035】
閾値Φaの設定は、図示しない閾値設定回路により実行するが、その設定方法は、例えば、このレーダ装置が搭載される艦船の種類や、航行する海域の気象に応じて予測される揺れの大きさから決定してもよいし、また、現在の揺れの程度を計測してリアルタイムに設定を変更してもよい。
上記で、揺動の変化幅(Φ1 −Φ2 )に対して、一定の閾値Φaを設定すると説明したが、目標の見かけの移動角度が大きいほどΦaは大きくなければならない。しかし、余り大きくすると、|Φ2 −Φ1 |> Φa となる機会が減少してしまう。そこで、図4に示すように、目標22がレーダ装置に対して方位方向の速度をもって運動している場合、方位方向の速度が速いほど、閾値Φa を自動的に大きくする方向に変化させる。これは閾値変化手順と呼ぶ。これによって、目標の真方位算出における誤差を最小限に抑える効果が得られる。
【0036】
理解を助けるため上記の処理の流れを図5にフローチャートとして示す。図5には、実施の形態3で説明する部分も含めてある。
図に於いて、ステップS51では、揺動により変動するファンビームの傾斜の角度の1走査毎の差に対して、高度演算用の閾値Φhと方位演算用の閾値Φaとを設定する(閾値設定回路)。
ステップS52では、傾斜の角度の1走査毎の差が閾値ΦaとΦhの何れかを上回るか否かを判定し、その結果に応じて、ステップS53の目標の高度を算出する手順とステップS54の目標の方位角度を補正する手順を実行するか否かをそれぞれ判断する(高度演算実行判断手順、方位補正演算実行判断手順という)。
こうして得た高度の変化と方位の変化の1走査ごとの大きさから、ステップS55で閾値を変化させる。(閾値変化手順)
ステップS52で、閾値を上回らないときは、図示しない高度演算中止回路、または補正演算中止回路により、それぞれの演算を中止する。
【0037】
実施の形態3.
高度hの算出においても実施の形態2で説明したとおりに、揺動角度|Φ2 −Φ1 |に対して任意の閾値Φh を設定(図示しない閾値設定回路による)し、
|Φ2 −Φ1 |<Φh の場合には、図示しない高度演算中止回路により、高度演算回路の動作を中止させ、n走査目における高度計算結果をn+1走査目の高度であるとみなす。
閾値Φhの設定方法は実施の形態1の閾値Φaと同じであるので説明を省略する。
また、図6に示すように、目標が高度変化を伴って運動している場合、高度変化率が大きいほど閾値Φh を自動的に大きくするように変化させることによって、目標の高度算出における誤差を最小限に抑える効果が得られる。
【0038】
実施の形態4.
艦船等の外部からの揺動を利用する代わりに、図7に示すように、地上固定型レーダ装置(勿論艦船などに搭載されているレーダ装置でも有効である)の空中線部に放射ビームの傾斜角変化機構211を設けることによって、揺動による傾斜変化の効果を得るようにしてもよい(レーダ電波の傾斜角度を毎走査ごとに変化させる手順という)。
図7において261、262、263は傾斜角変化機構211によって変化したビームを示している。
また、少なくとも1度は、任意のn走査目で放射ビームを傾斜なし(Φ=0とする)として目標の真方位を確定し、n+1走査目以降から放射ビームを傾斜させることによって、方位方向の誤差要因を軽減するようにしてもよい。
【0039】
実施の形態5.
艦船等の揺動がない場合に、これに代わる揺動の効果を得る方法として、図8に示すように、2次元の空中線を背面合わせとし、それぞれの放射ビーム26、265の傾斜角を相互に異なる(図ではΦ1 、Φ2 )ように設定することにより、艦船等の揺動の有無に関わらず揺動がある場合と同様の効果を得ることができる。図において、281はレーダ方位28と180度の方位を示す線である。
このように設定する場合、例えば片方のビームが発射不能となった場合でも、実施の形態1に示す1つのビームだけで目標の3次元位置情報を得ることができるので、レーダ装置の見かけの故障率が低下し、システムの安全性が向上する。このようにほぼ180度の走査位相差のある電波を発射する場合には、アンテナは背中合わせとなつて、横方向の寸法を縮小する効果があり取扱が容易となる。
【0040】
実施の形態6.
実施の形態5の図8の構成を用いるに際して、図9に示すように一方の放射ビームを垂直とする(2つのレーダ電波の一方の傾斜角度を水平面に対して垂直にする手順と言う)ことにより、揺動のない場合あるいは地上固定の場合に、常に目標の真方位を直接得ることができるため、方位方向の誤差要因を軽減すると共に実施例5と同様の効果を奏する。無論、垂直側のビームが発射不能となる故障が生じても、実紙の形態1の方法により、目標の3次元位置情報を得ることはできる。
【0041】
実施の形態7.
実施の形態4の傾斜角変化機構211を用いて傾斜角を変化させる場合、艦船などの揺動の周期と位相が変化機構211の動作と一致して揺動の大きさが相殺されてしまう恐れがある。そこで、艦船の揺動を検出するとともに、傾斜角変化機構211を制御して、図10に示すように、放射ビームの傾きを艦船の揺動の周期や位相と異なる周期、異なる位相となるように、強制的に連続変化させることにより揺動の有無によらずに3次元計測ができるだけでなく、走査周期と揺動周期の一致によって放射ビームの傾きの変化が相殺され、測定精度にばらつきが生じることが軽減できる。
【0042】
実施の形態8.
レーダ装置の一つとして、目標である飛行体が発信する航空機の属性、機種、飛行高度などの情報を受信するために、地上から特定の符号パルスを送信するものがあり、一般に2次監視レーダ(SSR:Secondary Surveilance Radar)と呼ばれている。軍用のものでは、特にSIF(Selective Identification Featur)と呼ばれている。しかし、妨害電波などの存在その他の条件により、常に確実に高度情報が得られるとは限らない。そこで高度情報が得られないときに、実施の形態1〜7に示す信号処理方式をSIF空中線装置に適用することにより、目標の高度情報を補完する。
【0043】
実施の形態9.
2次元の回転型ファンビームアンテナのかわりに、図11、図12に示すように、1次元のアレイアンテナをn行、m列のマトリクス状に配置し、2次元のビーム走査において電気的に傾斜ありと傾斜なしのビームを、例えば走査毎に切り換えることにより、同様の効果が得られる。図11は傾斜なし(垂直)のビーム走査を示し、図12は傾斜ビームによる走査の状態を示している。
【0044】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のレーダ信号処理方法は、傾斜させた1つのファンビーム状のレーダ電波の傾斜角の揺動を利用して、目標の高度を演算しているので、2次元レーダを用いて目標の高度情報を得ることができる。
【0045】
また、傾斜させた1つのファンビーム状のレーダ電波の傾斜角の揺動を利用して、目標の方位角の誤差補正をしているので、2次元レーダを用いて目標の3次元位置情報を得ることができる。
【0046】
また、レーダ電波の傾斜角の走査毎の差に対して閾値を設定し、実測値が閾値を下回るときには高度演算を行わないようにしているので、揺動が少ないときに誤差が増大することを防ぐことが出来る。
【0047】
また、レーダ電波の傾斜角の走査毎の差に対して閾値を設定し、実測値が閾値を下回るときには方位の補正演算を行わないようにしているので、揺動が少ないときに誤差が増大することを防ぐことが出来る。
【0048】
また、電波の傾斜角を毎走査ごとに変化させ、また少なくとも1走査は、水平面に対して垂直としているので、揺動が少なくても3次元計測を行うことができ、更に方位情報を間接的な演算なしに直接得ることができる。
【0049】
また、アンテナから180度方向に2つの異なる傾斜の電波を発射するので、揺動がなくても高度演算が行える。アンテナ構造が横方向に広がらず取り扱いやすい。
【0050】
また、2つのアンテナのうち、一方は垂直とすることにより、通常は演算なしに目標の方位を高精度で得、垂直側のアンテナが破壊されたときに傾斜しているアンテナだけで目標の3次元位置情報を得ることができ、システムの安全性が向上する。
【0051】
また、レーダ装置を艦船上に設置し、艦船の揺動により傾斜の変化が相殺されないように傾斜を制御しているので、揺動の程度や周期の変化などによって位置演算精度が影響されることがない。
【0052】
また、SSRまたはSIFシステムにおいて、目標からの高度情報の入手が困難となった場合にも、高度情報を補完することが出来る。
【0053】
また、アレイアンテナを使用して傾斜したファンビーム状の電波を発信しているので、装置構成が簡単になる。
【0054】
この発明によるレーダ装置は、大地に対して揺動する台上に設置され傾斜したファンビーム状の電波を発射する2次元レーダ装置と、前記電波による目標方位の差を各走査ごとに求める目標探知方位差演算回路と、前記目標方位差と別途測定した前記傾斜角とにもとづき目標の高度を演算する高度演算回路とを備えているので、2次元レーダ装置でありながら目標の高度情報を得ることができるる。
【0055】
また、揺動により変動するファンビーム状のレーダ電波の傾斜の角度の連続する2回の走査における差に対して閾値を設定し、前記差が前記閾値を下回る場合には、別途測定した前記傾斜角とにもとづき目標の方位を補正する方位補正回路とを備えているので、傾斜したファンビーム状の電波でありながら目標の正確な方位情報を得ることができる。
【0056】
また、揺動により変動するファンビーム状のレーダ電波の傾斜の角度の連続する2回の走査における差に対して閾値を設定し、前記差が前記閾値を下回る場合には、高度演算を実行させない高度演算中止回路を備えたので、揺動が少ないときに目標の高度情報が不正確になることがない。
【0057】
また、揺動により変動するファンビーム状のレーダ電波の傾斜の角度の連続する2回の走査における差に対して閾値を設定し、前記差が前記閾値を下回る場合には、方位補正回路を実行させない方位補正中止回路を備えたので、揺動が少ないときに目標の方位情報が不正確になるということはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のn走査目におけるレーダ装置と目標の位置関係の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1のn+1走査目におけるレーダ装置と目標の位置関係の説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1の信号処理方法のフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態2に係る信号処理方式の目標方位変化率による閾値Φaの自動補正を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る信号処理方法のフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態3に係る信号処理方法の目標高度変化率による閾値Φhの自動補正説明図である。
【図7】本発明の実施の形態4に係るビーム傾斜変化機構を有するレーダ装置のビームの状態説明図である。
【図8】本発明の実施の形態5に係る背面合わせレーダ装置の傾斜ビーム形状説明図である。
【図9】本発明の実施の形態6に係る背面合わせレーダ装置の傾斜ビーム形状説明図である。
【図10】本発明の実施の形態7に係るレーダ装置の傾斜ビーム形状説明図である。
【図11】本発明の実施の形態9に係るレーダ装置のビーム形状説明図である。
【図12】図11のレーダ装置の傾斜ビーム形状説明図である。
【図13】従来のVビーム方式3次元レーダ装置と目標の位置関係説明図である。
【図14】図13の場合の、目標高度算出を行う処理装置のブロック図である。
【符号の説明】
1 3次元レーダ装置、 2 鉛直ファンビーム、
3 傾斜ファンビーム、 4 目標、 5 目標の距離R、
6 目標の高度h、 7 空中線回転速度ω、
8 鉛直ファンビームと傾斜ファンビームの相対角度Θ、
9 鉛直ファンビームと傾斜ファンビームの距離m、
10 目標距離算出部、 11 受信時刻差算出部、
12 目標高度算出部、
21 単一のファンビームを放射するレーダ装置、 22 目標、
23 目標の距離R、 24 目標の水平距離D、 25 目標の高度h、
26 n走査目のファンビーム形状、
27 n走査目のファンビームの傾斜角度Φ1 、 28 レーダ方位、
29 n走査目のレーダ方位に対する目標方位の相対角度Θ1 、
30 距離Rにおける目標とレーダ方位間の距離、
31 n+1走査目におけるファンビームの傾斜角度Φ2 、
32 n+1走査目のレーダ方位に対する目標方位の相対角度Θ2 、
211 傾斜角変化機構、 281 180度方向のレーダ方位。
【発明の属する技術分野】
この発明は、空中線が艦船に搭載されているなど、揺動によって放射ビームの傾斜が変化する放射特性がファンビーム等の2次元空中線を用いたレーダ装置によって、目標位置の3次元情報を得るレーダ信号処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
3次元空間を移動する目標を捕らえやすくするため、レーダ電波を扇状(ファンという)に展開して放射するファンビーム方式のレーダ装置がある。この場合、一般には高さ方向に対して扇状に放射する。
目標が捕捉されたとき、ファンビームのどの部分(仰角方向の位置)で目標が捕捉されたかは判らないから、目標の高度を知るためには、特別な工夫が必要となる。
ファンビーム式のレーダ装置で、目標の3次元の高度(位置)情報を得る一般的な方法の一つとしてVビーム方式と呼ばれるものがある。
【0003】
図21はVビーム方式で3次元情報を得る方法の原理説明図である。
図21において、1はVビーム方式の3次元レーダ装置、2は3次元レーダ装置1から放射され、空間において鉛直方向に広がりを持つ鉛直ファンビーム、3は鉛直ファンビーム2に対して予め設定した角度θの傾斜を持って放射される傾斜ファンビーム、4は任意の高度に位置する目標、Rは目標の距離、hは目標の高度、ωは3次元レーダ装置1の空中線回転速度、Φは鉛直ファンビーム2と傾斜ファンビーム3との相対角度、mは目標の高さにおける鉛直ファンビーム2と傾斜ファンビーム3の間の距離である。
【0004】
次にVビーム方式の3次元レーダ1における高度情報算出方法について説明する。図22は目標の高度算出方式を示すブロック図である。
図22において、10は目標距離算出部、11は受信時刻差算出部、12は目標高度算出部である。
【0005】
3次元レーダ装置1の空中線は水平方向に回転速度ωで走査されるため、任意の高度にある1つの目標からは、鉛直ファンビーム2と傾斜ファンビーム3のそれぞれから反射エコーが受信される。
このとき、レーダ波の発射からエコーの到着までの時間によって目標までの距離Rが求められる。
また、鉛直ファンビーム2によって目標4から反射されるエコーの受信時刻をt1、傾斜ファンビーム3から反射されるエコーの受信時刻をt2とする。受信時刻差算出部11ではt1とt2の時刻差Δtを算出する。目標高度算出部12では、以下に示す計算によって目標の高度を算出する。
【0006】
目標4の高さhにおける鉛直ファンビーム2と傾斜ファンビーム3の間の距離mは、図21から式(1)で表される。
m=R・ω・Δt ‥‥ (1)
また、目標の高度hは式(2)で表される。
h=m/tan Φ ‥‥ (2)
ここに式(1)を代入することにより
h=R・ω・Δt/tan Φ
これにより、目標4の高度を知ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の3次元レーダ装置は以上のように構成され、2つのファンビームからの受信信号を利用して幾何学的な計算によって目標の高度情報を取得していた。しかしながら、このような方式では2つのビームを放射するために、空中線の構造的な規模が大きくなると共に、消費電力も大きくなるなどの問題点があった。
また、同方向に2つの電波を発射させるため、アンテナ構造が横方向又は縦方向に大きくなり取り扱いにくくなるという問題があった。
また、2つの電波発射装置のうち、1つが破壊されると高度の測定が不可能となるという問題があった。
また、アンテナが揺動すると高度の算出誤差が増えるという問題があった。
【0008】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、単一ファンビーム方式の2次元レーダ装置を用いて、また、消費電力も2次元レーダ装置と同等のままで目標の3次元的高度情報を得る3次元レーダ信号処理方法及びこの処理方法を用いたレーダ装置を得ることを目的とする。
また、アンテナ構造を横方向又は縦方向に広がらず取扱し易いものとすることを目的とする。また、アンテナが揺動しても誤差が増えることがないレーダ信号処理方法を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明のレーダ信号処理方法は、垂直方向に所定の広がりを持つファンビーム状のレーダ電波を放射する2次元レーダ装置を、揺動体上に設置して、ファンビーム状のレーダ電波の揺動体の揺動による傾斜の角度を計測しつつ水平方向に繰り返し走査する手順と、
走査ごとに、目標体から反射したレーダ電波によって目標方位を計測し、連続する2回の走査における目標方位の差を求める手順と、
計測したファンビーム状のレーダ電波の傾斜角度と、目標方位の差とに基づき、目標の高度を算出する手順とを含むものである。
【0010】
また、垂直方向に所定の広がりを持つファンビーム状のレーダ電波を放射する2次元レーダ装置を、揺動体上に設置して、ファンビーム状のレーダ電波の揺動体の揺動による傾斜の角度を計測しつつ水平方向に繰り返し走査する手順と、
走査ごとに、目標体から反射したレーダ電波によって目標方位を計測し、連続する2回の走査における目標方位の差を求める手順と、
計測したファンビーム状のレーダ電波の傾斜角度と、目標方位の差とに基づき、目標の方位角を補正する手順とを含むものである。
【0011】
また、連続する2回の走査におけるレーダ電波の傾斜の角度差に対して閾値を設定する手順と、
傾斜角度の差が閾値を上回るか否かに応じて、目標の高度を算出する手順を実行するか否かを決定する高度演算実行判断手順と、
走査ごとの目標の高度変化の大きさに応じて、閾値を変化させる閾値変化手順とを含むものである。
【0012】
また、連続する2回の走査におけるレーダ電波の傾斜角度の差に対して閾値を設定する手順と、
傾斜角度の差が閾値を上回るか否かに応じて、目標の方位角を補正する手順を実行するか否かを決定する方位補正演算実行判断手順と、
走査ごとの目標の方位変化の大きさに応じて、閾値を変化させる閾値変化手順とを含むものである。
【0013】
また、ファンビーム状のレーダ電波の傾斜角度を毎走査ごとに変化させる手順と、少なくとも1度は傾斜の角度を水平面に対して垂直にする手順とを含むものである。
【0014】
また、レーダ電波の傾斜角度が互いに異なる2つのファンビーム状のレーダ電波を、1つの走査間に、ほぼ180度の走査位相差で放射する手順を含むものである。
【0015】
また、2つのファンビームの一方の広がりを水平面に対して垂直とする手順を含むものである。
【0016】
また、レーダ装置を艦船上に設置する手順と、艦船の揺動状態を検出する手順と、検出した揺動状態にもとづきファンビームが垂直線となす角度の変化が艦船の揺動によって相殺されることがないように、傾斜の角度の変化の周期または位相を変化させる手順とを含むものである。
【0017】
また、目標が発信した高度情報を受信する手順と、この高度情報が受信出来ないときに、計測したファンビームの傾斜の角度と、目標方位の差とに基づき、目標の高度を算出する手順で得た高度によつて高度情報を補完する手順とを含むものである。
【0018】
また、レーダ電波を放射するアンテナとして、それぞれが位相制御可能な複数のアンテナ素子で構成したアレイアンテナを用いる手順と、
アレイアンテナを制御して、ファンビームが垂直線となす角度を変化させる手順とを含むものである。
【0019】
この発明によるレーダ装置は、揺動体上に設置され、垂直方向に所定の広がりを持つファンビーム状のレーダ電波を、水平面に対して傾斜させて放射し、揺動体の揺動による傾斜角の変化を計測しつつ水平方向に走査する2次元レーダ装置、2次元レーダ装置の各走査における目標体からの反射電波によって各走査における目標方位を計測し、目標方位の各走査間の差を求める目標探知方位差演算回路、目標方位の差に基づき、目標の高度を算出する高度演算回路とを備えたものである。
【0020】
また、大地に対して揺動する台上に設置され、レーダ電波を垂直方向に所定の広がりを持ち、かつ、垂直線に対して傾斜したファンビーム状に放射しつつ水平方向に走査する2次元レーダ装置、
2次元レーダ装置の受信波の各走査における目標方位を計測し、目標方位の各走査間の差を求める目標探知方位差演算回路、
目標方位の差に基づき、目標の方位角度を補正する方位補正回路とを備えたものである。
【0021】
また、連続する2回の走査におけるレーダ電波の傾斜角度の差に対して閾値を設定し、差が閾値を下回る場合には、高度演算回路を実行させない高度演算中止回路を備えたものである。
【0022】
また、連続する2回の走査におけるレーダ電波の傾斜角度の差に対して閾値を設定し、差が閾値を下回る場合には、方位補正回路を実行させない方位補正中止回路を備えたものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるレーダ信号処理方法を説明するための原理説明図である。
図1において、21は垂直方向に所定の広がりを持つ単一のファンビーム状のレーダ電波を水平面に対して傾斜させて放射するレーダ装置で、水平方向に回転する機構を備え、図示しない揺動する揺動体、例えば艦船の上などに設置されている。22は任意の高度に位置する目標(目標体)、Rはレーダ装置21と目標22の間の距離である。また、Dはレーダ装置21と目標を結ぶ線分を水平面に投影した場合の距離である。
hは目標22の水平面(レーダ装置21が設置されている水平面)からの高度である。
26はレーダ装置21から放射されるファンビームの形状、Φ1 は任意のn走査目(レーダ装置21の1回転が1走査において、ファンビーム26の鉛直線に対する相対角度であり、あらかじめ所定の傾斜角度を与えてあるが艦船のゆれに応じてΦ1 が変化しても、図示しないセンサによって常に計測されている。
28は現在時点(前記n走査目)のレーダ方位を示す線、Θ1 はレーダ方位28に対する目標22の方位の相対角度である。
dは距離Rにおける目標22とレーダ方位28を示す線との間の水平距離である。
【0024】
前述のとおり、レーダ装置21は、例えば揺動する艦船や車両上(揺動体)に設置されており、1回転毎(1走査毎)に、主としてファンビーム26の傾きΦ1 が変化する。
また、図2は図1に続くn+1走査目の状態を示しており、Φ2 はn+1走査目におけるファンビーム26と鉛直線との相対角度(計測された値)である。Θ2 は同じくn+1走査目のレーダ方位に対する目標方位の相対角度である。
【0025】
図1、図2において、レーダ装置21が艦船等に搭載され揺動している場合、Θ1 ≠Θ2 、Φ1 ≠Φ2 となる。これを利用して、目標(目標体)の水平面からの高度hを算出することができる。即ち、
図1において目標22の位置関係は式(3)〜(5)で表される。
d = h・tan Φ1 ‥‥ (3)
d = D・sin Θ1 ‥‥ (4)
D2 =R2 − h2 ‥‥ (5)
式(3)〜(5)を変形することにより、式(6)と(7)が得られる。
【0026】
【数1】
【0027】
式(7)を変形して、目標22の水平面からの高度hは、式(8)のように表すことができる。
h2 × (tan 2 Φ1 +sin 2 Θ1 )=R2 sin 2 Θ1
h2 ={R2 sin 2 Θ1 }/ (tan 2 Φ1 +sin 2 Θ1 )
h ={R・ sin Θ1 }/ (tan 2 Φ1 +sin 2 Θ1 )1/2 ‥‥(8)
n走査とn+1走査の間に目標22の位置が変わらない場合には、
h(n) = h(n+1) であるから、式(9)が成立する。
式(9)を変形し、下記に示す式(10)の近似を適用することにより
式(11)が成立する。即ち、
【0028】
【数2】
【0029】
【数3】
【0030】
式(11)において、各走査におけるレーダ方位28に対する目標22の方位の相対角度Θ1 及びΘ2 は測定できないが、前述のとおりΦ1 、Φ2 は測定されているので、揺動等によってファンビーム26の傾斜角Φ1 とΦ2 が異なる値となった場合は、目標探知したレーダの方位差(目標方位差Θ1 −Θ2 )を測定することにより、式(11)から近似的にΘ2 が、従って同時にΘ1 が求まり、これをもとに式(9)から目標の高度を算出することができる。
【0031】
なお、目標の真方位(ΘTGT とする)は式(12)に示すように、目標を探知した時(n+1走査目)のレーダ方位(図では28に相当) ΘRDR 2 に式(11)で算出する目標相対角度Θ2 を加算することによって求められる。
ΘTGT2 = ΘRDR 2 + Θ2 ‥‥ (12)
以上に説明した信号処理方法を実施することによって、レーダ装置21のアンテナ部が従来の2次元レーダ装置とほぼ同様の装置構成のままで、目標の3次元情報を得ることが可能となる。
【0032】
理解を助けるため以上に説明した処理方法の流れを図3のフローチャートに示す。図3において、ステップS01では、レーダ電波を、垂直方向に所定の広がりを持つファンビーム状の電波を水平面に対して傾斜させて放射しつつ水平方向に走査する2次元レーダ装置を、揺動体上に設置して、傾斜の角度を計測しつつ空間を走査する。
ステップS02では、2次元レーダ装置の受信波の各走査における目標方位を計測し、目標方位の各走査間の差(Θ1 −Θ2 )を求める。図示しないがこの演算は目標探知方位差演算回路により実行する。
【0033】
ステップS03では、計測したファンビームの傾斜の角度(Φ1 、Φ2 )と、目標方位の差(Θ1 −Θ2 )とに基づき、目標の高度hを式(11)と式(9)により算出する。なお、上記式(9),(11)による高度hの演算は、図示しない高度演算回路により実行する。
ステップS04では、計測したファンビームの傾斜の角度と、目標方位の差とに基づき、目標の方位角度を式(12)により補正する。図示しないがこの補正演算は方位補正回路により実行する。
以上の説明に於いて、レーダ装置21は回転走査すると説明したが、繰り返し走査するものであれば往復動作でもよい。
また、連続する2回の走査のデータを処理すると説明したが、1回飛びにデータを処理してもよい。
【0034】
実施の形態2.
実施の形態1の式(11)において、揺動が小さく、tan Φ1 とtan Φ2 の差が小さい場合には、式(11)の分母が小さくなって、Θ2 の算出結果に含まれる誤差が増大する。
そこで、揺動角度|Φ2 −Φ1 |に対して任意の閾値Φa を設定し、
|Φ2 −Φ1 |> Φa の場合には以上に説明した演算を即座に実行するが、
|Φ2 −Φ1 |< Φa の場合には、図示しない方位補正中止回路により、方位補正回路の補正実行を中止させ、n−1走査目とn走査目で算出した目標の真方位をn+1走査目における目標の真方位Θ2 とみなす。
【0035】
閾値Φaの設定は、図示しない閾値設定回路により実行するが、その設定方法は、例えば、このレーダ装置が搭載される艦船の種類や、航行する海域の気象に応じて予測される揺れの大きさから決定してもよいし、また、現在の揺れの程度を計測してリアルタイムに設定を変更してもよい。
上記で、揺動の変化幅(Φ1 −Φ2 )に対して、一定の閾値Φaを設定すると説明したが、目標の見かけの移動角度が大きいほどΦaは大きくなければならない。しかし、余り大きくすると、|Φ2 −Φ1 |> Φa となる機会が減少してしまう。そこで、図4に示すように、目標22がレーダ装置に対して方位方向の速度をもって運動している場合、方位方向の速度が速いほど、閾値Φa を自動的に大きくする方向に変化させる。これは閾値変化手順と呼ぶ。これによって、目標の真方位算出における誤差を最小限に抑える効果が得られる。
【0036】
理解を助けるため上記の処理の流れを図5にフローチャートとして示す。図5には、実施の形態3で説明する部分も含めてある。
図に於いて、ステップS51では、揺動により変動するファンビームの傾斜の角度の1走査毎の差に対して、高度演算用の閾値Φhと方位演算用の閾値Φaとを設定する(閾値設定回路)。
ステップS52では、傾斜の角度の1走査毎の差が閾値ΦaとΦhの何れかを上回るか否かを判定し、その結果に応じて、ステップS53の目標の高度を算出する手順とステップS54の目標の方位角度を補正する手順を実行するか否かをそれぞれ判断する(高度演算実行判断手順、方位補正演算実行判断手順という)。
こうして得た高度の変化と方位の変化の1走査ごとの大きさから、ステップS55で閾値を変化させる。(閾値変化手順)
ステップS52で、閾値を上回らないときは、図示しない高度演算中止回路、または補正演算中止回路により、それぞれの演算を中止する。
【0037】
実施の形態3.
高度hの算出においても実施の形態2で説明したとおりに、揺動角度|Φ2 −Φ1 |に対して任意の閾値Φh を設定(図示しない閾値設定回路による)し、
|Φ2 −Φ1 |<Φh の場合には、図示しない高度演算中止回路により、高度演算回路の動作を中止させ、n走査目における高度計算結果をn+1走査目の高度であるとみなす。
閾値Φhの設定方法は実施の形態1の閾値Φaと同じであるので説明を省略する。
また、図6に示すように、目標が高度変化を伴って運動している場合、高度変化率が大きいほど閾値Φh を自動的に大きくするように変化させることによって、目標の高度算出における誤差を最小限に抑える効果が得られる。
【0038】
実施の形態4.
艦船等の外部からの揺動を利用する代わりに、図7に示すように、地上固定型レーダ装置(勿論艦船などに搭載されているレーダ装置でも有効である)の空中線部に放射ビームの傾斜角変化機構211を設けることによって、揺動による傾斜変化の効果を得るようにしてもよい(レーダ電波の傾斜角度を毎走査ごとに変化させる手順という)。
図7において261、262、263は傾斜角変化機構211によって変化したビームを示している。
また、少なくとも1度は、任意のn走査目で放射ビームを傾斜なし(Φ=0とする)として目標の真方位を確定し、n+1走査目以降から放射ビームを傾斜させることによって、方位方向の誤差要因を軽減するようにしてもよい。
【0039】
実施の形態5.
艦船等の揺動がない場合に、これに代わる揺動の効果を得る方法として、図8に示すように、2次元の空中線を背面合わせとし、それぞれの放射ビーム26、265の傾斜角を相互に異なる(図ではΦ1 、Φ2 )ように設定することにより、艦船等の揺動の有無に関わらず揺動がある場合と同様の効果を得ることができる。図において、281はレーダ方位28と180度の方位を示す線である。
このように設定する場合、例えば片方のビームが発射不能となった場合でも、実施の形態1に示す1つのビームだけで目標の3次元位置情報を得ることができるので、レーダ装置の見かけの故障率が低下し、システムの安全性が向上する。このようにほぼ180度の走査位相差のある電波を発射する場合には、アンテナは背中合わせとなつて、横方向の寸法を縮小する効果があり取扱が容易となる。
【0040】
実施の形態6.
実施の形態5の図8の構成を用いるに際して、図9に示すように一方の放射ビームを垂直とする(2つのレーダ電波の一方の傾斜角度を水平面に対して垂直にする手順と言う)ことにより、揺動のない場合あるいは地上固定の場合に、常に目標の真方位を直接得ることができるため、方位方向の誤差要因を軽減すると共に実施例5と同様の効果を奏する。無論、垂直側のビームが発射不能となる故障が生じても、実紙の形態1の方法により、目標の3次元位置情報を得ることはできる。
【0041】
実施の形態7.
実施の形態4の傾斜角変化機構211を用いて傾斜角を変化させる場合、艦船などの揺動の周期と位相が変化機構211の動作と一致して揺動の大きさが相殺されてしまう恐れがある。そこで、艦船の揺動を検出するとともに、傾斜角変化機構211を制御して、図10に示すように、放射ビームの傾きを艦船の揺動の周期や位相と異なる周期、異なる位相となるように、強制的に連続変化させることにより揺動の有無によらずに3次元計測ができるだけでなく、走査周期と揺動周期の一致によって放射ビームの傾きの変化が相殺され、測定精度にばらつきが生じることが軽減できる。
【0042】
実施の形態8.
レーダ装置の一つとして、目標である飛行体が発信する航空機の属性、機種、飛行高度などの情報を受信するために、地上から特定の符号パルスを送信するものがあり、一般に2次監視レーダ(SSR:Secondary Surveilance Radar)と呼ばれている。軍用のものでは、特にSIF(Selective Identification Featur)と呼ばれている。しかし、妨害電波などの存在その他の条件により、常に確実に高度情報が得られるとは限らない。そこで高度情報が得られないときに、実施の形態1〜7に示す信号処理方式をSIF空中線装置に適用することにより、目標の高度情報を補完する。
【0043】
実施の形態9.
2次元の回転型ファンビームアンテナのかわりに、図11、図12に示すように、1次元のアレイアンテナをn行、m列のマトリクス状に配置し、2次元のビーム走査において電気的に傾斜ありと傾斜なしのビームを、例えば走査毎に切り換えることにより、同様の効果が得られる。図11は傾斜なし(垂直)のビーム走査を示し、図12は傾斜ビームによる走査の状態を示している。
【0044】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のレーダ信号処理方法は、傾斜させた1つのファンビーム状のレーダ電波の傾斜角の揺動を利用して、目標の高度を演算しているので、2次元レーダを用いて目標の高度情報を得ることができる。
【0045】
また、傾斜させた1つのファンビーム状のレーダ電波の傾斜角の揺動を利用して、目標の方位角の誤差補正をしているので、2次元レーダを用いて目標の3次元位置情報を得ることができる。
【0046】
また、レーダ電波の傾斜角の走査毎の差に対して閾値を設定し、実測値が閾値を下回るときには高度演算を行わないようにしているので、揺動が少ないときに誤差が増大することを防ぐことが出来る。
【0047】
また、レーダ電波の傾斜角の走査毎の差に対して閾値を設定し、実測値が閾値を下回るときには方位の補正演算を行わないようにしているので、揺動が少ないときに誤差が増大することを防ぐことが出来る。
【0048】
また、電波の傾斜角を毎走査ごとに変化させ、また少なくとも1走査は、水平面に対して垂直としているので、揺動が少なくても3次元計測を行うことができ、更に方位情報を間接的な演算なしに直接得ることができる。
【0049】
また、アンテナから180度方向に2つの異なる傾斜の電波を発射するので、揺動がなくても高度演算が行える。アンテナ構造が横方向に広がらず取り扱いやすい。
【0050】
また、2つのアンテナのうち、一方は垂直とすることにより、通常は演算なしに目標の方位を高精度で得、垂直側のアンテナが破壊されたときに傾斜しているアンテナだけで目標の3次元位置情報を得ることができ、システムの安全性が向上する。
【0051】
また、レーダ装置を艦船上に設置し、艦船の揺動により傾斜の変化が相殺されないように傾斜を制御しているので、揺動の程度や周期の変化などによって位置演算精度が影響されることがない。
【0052】
また、SSRまたはSIFシステムにおいて、目標からの高度情報の入手が困難となった場合にも、高度情報を補完することが出来る。
【0053】
また、アレイアンテナを使用して傾斜したファンビーム状の電波を発信しているので、装置構成が簡単になる。
【0054】
この発明によるレーダ装置は、大地に対して揺動する台上に設置され傾斜したファンビーム状の電波を発射する2次元レーダ装置と、前記電波による目標方位の差を各走査ごとに求める目標探知方位差演算回路と、前記目標方位差と別途測定した前記傾斜角とにもとづき目標の高度を演算する高度演算回路とを備えているので、2次元レーダ装置でありながら目標の高度情報を得ることができるる。
【0055】
また、揺動により変動するファンビーム状のレーダ電波の傾斜の角度の連続する2回の走査における差に対して閾値を設定し、前記差が前記閾値を下回る場合には、別途測定した前記傾斜角とにもとづき目標の方位を補正する方位補正回路とを備えているので、傾斜したファンビーム状の電波でありながら目標の正確な方位情報を得ることができる。
【0056】
また、揺動により変動するファンビーム状のレーダ電波の傾斜の角度の連続する2回の走査における差に対して閾値を設定し、前記差が前記閾値を下回る場合には、高度演算を実行させない高度演算中止回路を備えたので、揺動が少ないときに目標の高度情報が不正確になることがない。
【0057】
また、揺動により変動するファンビーム状のレーダ電波の傾斜の角度の連続する2回の走査における差に対して閾値を設定し、前記差が前記閾値を下回る場合には、方位補正回路を実行させない方位補正中止回路を備えたので、揺動が少ないときに目標の方位情報が不正確になるということはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のn走査目におけるレーダ装置と目標の位置関係の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1のn+1走査目におけるレーダ装置と目標の位置関係の説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1の信号処理方法のフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態2に係る信号処理方式の目標方位変化率による閾値Φaの自動補正を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る信号処理方法のフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態3に係る信号処理方法の目標高度変化率による閾値Φhの自動補正説明図である。
【図7】本発明の実施の形態4に係るビーム傾斜変化機構を有するレーダ装置のビームの状態説明図である。
【図8】本発明の実施の形態5に係る背面合わせレーダ装置の傾斜ビーム形状説明図である。
【図9】本発明の実施の形態6に係る背面合わせレーダ装置の傾斜ビーム形状説明図である。
【図10】本発明の実施の形態7に係るレーダ装置の傾斜ビーム形状説明図である。
【図11】本発明の実施の形態9に係るレーダ装置のビーム形状説明図である。
【図12】図11のレーダ装置の傾斜ビーム形状説明図である。
【図13】従来のVビーム方式3次元レーダ装置と目標の位置関係説明図である。
【図14】図13の場合の、目標高度算出を行う処理装置のブロック図である。
【符号の説明】
1 3次元レーダ装置、 2 鉛直ファンビーム、
3 傾斜ファンビーム、 4 目標、 5 目標の距離R、
6 目標の高度h、 7 空中線回転速度ω、
8 鉛直ファンビームと傾斜ファンビームの相対角度Θ、
9 鉛直ファンビームと傾斜ファンビームの距離m、
10 目標距離算出部、 11 受信時刻差算出部、
12 目標高度算出部、
21 単一のファンビームを放射するレーダ装置、 22 目標、
23 目標の距離R、 24 目標の水平距離D、 25 目標の高度h、
26 n走査目のファンビーム形状、
27 n走査目のファンビームの傾斜角度Φ1 、 28 レーダ方位、
29 n走査目のレーダ方位に対する目標方位の相対角度Θ1 、
30 距離Rにおける目標とレーダ方位間の距離、
31 n+1走査目におけるファンビームの傾斜角度Φ2 、
32 n+1走査目のレーダ方位に対する目標方位の相対角度Θ2 、
211 傾斜角変化機構、 281 180度方向のレーダ方位。
Claims (14)
- 垂直方向に所定の広がりを持つファンビーム状のレーダ電波を放射する2次元レーダ装置を、揺動体上に設置して、前記揺動体の揺動による前記ファンビーム状のレーダ電波の傾斜の角度の変化を計測しつつ、水平方向に繰り返し走査する手順と、
前記走査ごとに、目標体から反射した前記レーダ電波によって目標方位を計測し、連続する2回の走査における前記目標方位の差を求める手順と、
前記計測したファンビーム状のレーダ電波の傾斜角度と、前記目標方位の差とに基づき、前記目標の高度を算出する手順とを含むことを特徴とするレーダ信号処理方法。 - 垂直方向に所定の広がりを持つファンビーム状のレーダ電波を放射する2次元レーダ装置を、揺動体上に設置して、前記揺動体の揺動による前記ファンビーム状のレーダ電波の傾斜の角度の変化を計測しつつ、水平方向に繰り返し走査する手順と、
前記走査ごとに、目標体から反射した前記レーダ電波によって目標方位を計測し、連続する2回の走査における前記目標方位の差を求める手順と、
前記計測したファンビーム状のレーダ電波の傾斜角度と、前記目標方位の差とに基づき、前記目標の動揺による方位角誤差を補正する手順とを含むことを特徴とするレーダ信号処理方法。 - 連続する2回の走査におけるレーダ電波の傾斜角度の差に対して閾値を設定する手順と、
前記傾斜角度の差が前記閾値を上回るか否かに応じて、目標の高度を算出する手順を実行するか否かを決定する高度演算実行判断手順と、
走査ごとの目標の高度変化の大きさに応じて、前記閾値を変化させる閾値変化手順とを含むことを特徴とする請求項1記載のレーダ信号処理方法。 - 連続する2回の走査におけるレーダ電波の傾斜角度の差に対して閾値を設定する手順と、
前記傾斜角度の差が前記閾値を上回るか否かに応じて、目標の方位角を補正する手順を実行するか否かを決定する方位補正演算実行判断手順と、
走査ごとの目標の方位変化の大きさに応じて、前記閾値を変化させる閾値変化手順とを含むことを特徴とする請求項2記載のレーダ信号処理方法。 - ファンビーム状のレーダ電波の傾斜角度を、毎走査ごとに変化させる手順と、少なくとも1走査は前記傾斜角度を水平面に対して垂直にする手順とを含むことを特徴とする請求項1または2記載のレーダ信号処理方法。
- ファンビーム状のレーダ電波の傾斜角度が互いに異なる2つのファンビーム状のレーダ電波を、1つの走査の間に、ほぼ180度の走査位相差で放射する手順を含むことを特徴とする請求項1または2記載のレーダ信号処理方法。
- 2つのファンビーム状のレーダ電波の一方の傾斜角度を水平面に対して垂直にする手順を含むことを特徴とする請求項6記載のレーダ信号処理方法。
- レーダ装置を艦船上に設置する手順と、前記艦船の揺動状態を検出する手順と、
検出した前記艦船の揺動状態にもとづき、ファンビーム状のレーダ電波の傾斜角度の変化が、前記艦船の揺動によって相殺されることがないように、前記傾斜角度の変化の周期又は位相を変化させる手順とを含むことを特徴とする請求項5に記載のレーダ信号処理方法。 - 目標である飛行体が発信した高度情報を受信する手順と、この高度情報が受信出来ないときに、計測したファンビームの傾斜の角度と、目標方位の差とに基づき、前記目標の高度を算出する手順で得た高度によつて前記高度情報を補完する手順とを含むことを特徴とする請求項1記載のレーダ信号処理方法。
- レーダ電波を放射するアンテナとして、それぞれが位相制御可能な複数のアンテナ素子で構成したアレイアンテナを用いる手順と、
前記アレイアンテナを制御して、ファンビームの傾斜の角度を変化させる手順とを含むことを特徴とする請求項5または6に記載のレーダ信号処理方法。 - 揺動体上に設置され、垂直方向に所定の広がりを持つファンビーム状のレーダ電波を、水平面に対して傾斜させて放射し、前記揺動体の揺動による前記傾斜角の変化を計測しつつ水平方向に走査する2次元レーダ装置、前記2次元レーダ装置の各走査における目標体からの反射電波によって目標方位を計測し、前記目標方位の各走査間の差を求める目標探知方位差演算回路、
前記目標探知方位の差と別途測定した前記傾斜の角度とに基づき、前記目標の高度を算出する高度演算回路とを備えたことを特徴とするレーダ装置。 - 揺動体上に設置され、垂直方向に所定の広がりを持つファンビーム状のレーダ電波を水平面に対して傾斜させて放射し前記揺動体の揺動による前記傾斜角の変化を計測しつつ水平方向に走査する2次元レーダ装置、
前記2次元レーダ装置の各走査における目標体からの反射電波によって各走査における目標方位を計測し、前記目標方位の各走査間の差を求める目標方位差演算回路、
前記目標方位の差と別途測定した前記傾斜角度とに基づき、前記目標の方位角度を補正する方位補正回路とを備えたことを特徴とするレーダ装置。 - 連続する2回の走査におけるレーダ電波の傾斜角度の差を求め、この差に対して閾値を設定する閾値設定回路と、前記差が前記閾値を下回る場合には、高度演算回路を実行させない高度演算中止回路を備えたことを特徴とする請求項11記載のレーダ装置。
- 連続する2回の走査におけるレーダ電波の傾斜角度の差を求め、この差に対して閾値を設定する閾値設定回路と、前記差が前記閾値を下回る場合には、方位補正回路を実行させない方位補正中止回路を備えたことを特徴とする請求項12記載のレーダ装置。
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