JP3558160B2 - ガス放電表示パネルの電極構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、DC駆動型のガス放電表示パネルの電極構造及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、DC駆動型のガス放電表示パネルはNi、Al等の導電性材料が陰極として用いられた。最近では、導電性材料の陰極基体の表面にLaBと絶縁体であるBaAlを混合した物質を被覆する陰極の構造(特開平7−230770号公報)が提案されている。
【0003】
図3a及び図3bは上記従来例のガス放電表示パネルの構造を示す模式図である。このガス放電表示パネルはプラズマアドレス表示装置(特開平1−217396号公報)に特開平7−230770号公報の電極構造を適用したものである。このガス放電表示パネルは表示セル1と放電セル2と両者の間に介在する厚み50μmのガラスシートからなる共通の薄板ガラス3とを積層したフラットパネル構造を有する。
【0004】
表示セル1は透明ガラスからなる前面板4を用いて構成されており、片面に図示しないカラーフィルタ及び信号電極7が順次積層形成された前面板4と、前面板4の片面側に設けられた薄板ガラス3とが、スペーサ17を介して所定の間隔で接着され、その間隙内が液晶層6で満たされている。信号電極7は、例えば酸化インジウム・酸化スズからなるITO電極材料を放電セルの隔壁8とは直交する方向に、カラーフィルタの各色素列の直上に配置し、各色素列(カラーフィルタ)と略同一寸法となるように、上記カラーフィルタ上に例えば蒸着法やスパッタリング法によって形成した後、フォトリソグラフィによりパターン化されたものである。
【0005】
放電セル2は透明ガラスからなる背面板5を用いて構成されており、背面板5上には陽極11と陰極12が放電空間10内に露出して形成されている。陰極12は、図3bに示すようにバス電極13と被覆電極14から成り、バス電極13及び陽極11はAg、被覆電極14はLaBとBaAlの混合物で構成される。なお、隔壁8は陽極11上に沿って形成されている。さらに周縁部において前面板4及び背面板5の片面が相互に向かい合う状態であり、薄板ガラス3は片面に複数の隔壁、陽極、陰極が形成された背面板5と、シール材9を用いて気密接合される。
【0006】
また、前面板4と背面板5のそれぞれ上記片面とは反対側の他面には図示しない互いに直交する偏光板が配されている。
【0007】
以上より、上記ガス放電表示パネルは背面板5及び前面板4を薄板ガラス3を介して互いに結合し、薄板ガラス3、背面板5、複数の隔壁8によって形成される複数の放電空間10内に、イオン化可能なガスを封入することで製造される。ここで、イオン化可能なガス種として例えばヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン及びこれら混合ガスが封入される。
【0008】
以上の構成において、例えば、放電空間10に対応する陽極11及び陰極12間に所定の電圧が印加されると、陽極11及び陰極12がそれぞれアノード、カソードとして作用し、放電空間10の部分のガスが選択的にイオン化されてプラズマ放電が発生し、その内部は略アノード電位に維持される。この状態で、信号電極7にデータ電圧が印加されると、放電空間10に対応する画素の液晶層6に薄板ガラス3を介してデータ電圧が書き込まれる。プラズマ放電が終了すると、放電空間10は浮遊電位となり、対応する画素の液晶層6に書き込まれた電圧は、次の書き込み期間(例えば1フレーム後)まで保持される。この時、放電空間10はサンプリングスイッチとして機能し、各画素の液晶層6はサンプリングキャパシターとして機能している。各画素の液晶層6に対して信号電極7から書き込まれたデータ電圧によって液晶が動作することから画素単位で表示が行われる。従って、プラズマ放電を発生させて列方向に並ぶ複数の画素の液晶層6にデータ電圧を書き込む一対の放電空間を行方向に順次走査していくことで、二次元画像の表示を行うことができる。
【0009】
図4も上記従来例のガス放電表示パネルの構造を示す模式図である。このガス放電表示パネルはDC駆動型のプラズマディスプレイパネル(特開平8−335439号公報、以下、DC−PDPと記す)であり、陰極材料として内層にAg、外層にAlを用いた2層構造の例を示している。このガス放電表示パネルはガラスからなる平板状の背面板5と前面板4とが互いに平行かつ対向して配設され、この両基板4、5はその間に設けられた隔壁8により一定の間隔に保持されている。また、前面板4の背面側には陰極12が設けられており、さらに前記陰極はバス電極13と被覆電極14の2層構造を有している。背面板5の前面側には陽極11が陰極12と直交するようにして設けられている。さらに、背面板5及び隔壁8の壁面にはそれぞれの発光色に対応した蛍光体18が形成される。したがって前面板4と背面板5と隔壁8に囲まれる放電空間10が形成され、放電空間10にイオン化可能なガスが封入される。また、イオン化可能なガス種として例えばヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン及びこれら混合ガスが封入される。
【0010】
このDC−PDPでは、陰極と陽極の間に図示しない直流電源から所定の電圧を印加することにより放電が行われる。そして、この放電により生じる紫外線により蛍光体18が励起され、蛍光体の種類に応じた発光色を備えた光が、前面板4を透過して外部に放射される。この結果、表示面として前面板4に二次元画像が表示される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来のDC駆動型ガス放電表示パネルの放電セル構造(特開平7−230770号公報)には以下の課題がある。
【0012】
特開平7−230770号公報において被覆電極に耐スパッタ性に優れるLaBとBaAlを混合した材料を用いた電極構造が開示されている。発明者達は、上記発明を元に種々の検討を重ねた結果、放電過程においてLaBが積極的に放電に寄与し、BaAlはほとんど放電に寄与していないことを確認した。すなわちLaBのみで構成される被覆電極と比較し、LaBとBaAlを混合した材料を用いた電極構造は放電空間に露出する被覆電極表面の放電に寄与する領城(二次電子放出に優れるLaB占有分)が狭くなるため放電電流が減少し、陰極の劣化抑制に効果があることを我々は新たに見出した。
【0013】
しかしながら、上記発明において誘電体であるBaAlの混合割合を増やし放電電流を制限するほど、放電空間とバス電極間を結ぶ導電性粒子の連鎖が途切れ易く、導通路が確保され難い。その結果、陰極膜内部で電位差が生じアーク放電が発生する。特に陰極の活性化工程(初期エージング)中が顕著であり、アーク放電の発生した場所では陰極の劣化が助長される。初期エージング後も、初期エージング時のアーク放電により陰極の劣化した部分と正常に初期化された部分では放電特性が異なるため、放電の均一性に欠け、被覆電極全体が正常に活性化されたものより陰極の劣化が早い。
【0014】
したがって、特開平7−230770号公報において示されるように電流を制限することでスパッタリングエネルギーを滅らし陰極の劣化を低減しても、アーク放電に起因する陰極の劣化が助長され、パネル寿命を大幅に改善することは困難である。更に放電の均一性が損なわれ安定した表示品位が得難い。
【0015】
そこで本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、導電性粒子と絶縁性粒子の混合物からなる被覆電極を、放電電流を制限しスパッタによる陰極の劣化を低減する放電層と、放電層とバス電極間の電気的導通を確保することでアーク放電を抑制し陰極の劣化を低減する導通層で構成することで、放電電流を制限し陰極の劣化を抑制したまま、バス電極と放電空間との導通路を確保し、アーク放電による陰極の劣化及び放電の不均一性を改善し、画面全域が安定且つ低電圧で放電し、長寿命なガス放電表示パネルを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明のガス放電表示パネルは、放電空間に露出した陽極と陰極を、該放電間隔を隔てて基板上に平行に配置し、この陽極と陰極を気密容器内にイオン化可能なガスと共に封入してなるガス放電表示パネルにおいて、該陰極は該基板上に設けられた導電性材料からなるバス電極と、該バス電極の該放電空間側に設けられた被覆電極との少なくとも2層を有し、該被覆電極は導電性粒子と絶縁性粒子を含有し、該被覆電極の一部或いは全体が、前記放電空間に表面が露出する放電層と、該放電層と前記バス電極との間において該バス電極と該放電層との電気的導通を確保するために設けられた導通層の2層からなり、前記導電性粒子と前記絶縁性粒子の混合割合が、該放電層において両粒子の総体積に対して該導電性粒子の体積が20%以上かつ50%未満であり、該導通層において両粒子の総体積に対して該導電性粒子の体積が50%以上かつ100%未満であることを特徴とする。1つの実施態様では導電性粒子と絶縁性粒子が放電層と導通層でそれぞれ同一物質である。1つの実施態様では放電層を構成する導電性粒子の連鎖が放電層の膜厚方向に2〜10連鎖相当の膜厚を有する。1つの実施態様では導電性粒子は希土類元素La、Gd、Y,Nd,Ceの六ホウ化物又は四ホウ化物のいずれかであり、絶縁性粒子は、BaAl23またはAl23又はLa23のいずれかからなる。1つの実施態様ではガス放電表示パネルが液晶層を有するプラズマアドレス表示装置である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態のガス放電表示パネルについて、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において図面の各部の寸法の比は必ずしも正確なものではない。
【0018】
図1a及び図1bはプラズマアドレス表示装置に本発明を適用した第一の実施形態であり、本発明に係わる放電表示パネルの放電セルおよびその形成方法について説明する。なお、実際には薄板ガラス3の上に表示セル1が存在するが、図1aは表示セル1を省略している。
【0019】
図1aに示すガス放電表示パネルの放電セル2の形成方法について説明する。先ず最初に洗浄及びアニール処理をした背面板5上にAgを主成分とする感光性電極ぺースト(デュポン製DC206)を使用し、スクリーン印刷法で1層べた印刷した後、ベルト式乾燥炉にて140℃を10分間保持し乾燥させる。その後、所定の条件で、露光、現像、乾燥を行ないパターンニングした後、焼成を行ない、陽極11及びバス電極13を形成する。本実施例では焼成後でバス電極13は幅100μm、膜厚5μm、陽極11は幅400μm、膜厚5μmを得た。その材質としてAgを用いるが、例えばアルミニウム、ニッケル、銀−パラジウム等、従来の導電性材料を用いることもできる。なお、上記バス電極13及び陽極11は蒸着法、スパッタリング法などで薄膜を形成した後フォトエッチングでのパターンニングや、サンドブラスト法、スクリーン印刷法によるパターン印刷などの形成法を用いてもよい。
【0020】
被覆電極14は、放電空間に露出する電極表面において、放電に寄与する面積を狭くすることで放電電流を抑制する放電層15と、放電層15とバス電極13の電気的導通を確保する導通層16の2層から構成される。
【0021】
上記放電層15及び導通層16とも高二次電子放出効率及び耐スパッタ性に優れる導電性粒子と、低二次電子放出効率及び耐スパッタ性に優れる絶縁性粒子の混合物質からなり、各層により混合割合が異なる。
【0022】
特に、放電時間の経過により、被覆電極14の放電層15が劣化し、導通層16が露出した場合でも、放電特性の急激な変化を防止するため、上記2層においてそれぞれ導電性粒子と絶縁性粒子は同じ種、類を使用する方が望ましい。ここでは、上記被覆電極の形成が容易なサンドブラスト法による形成法を以下の方法で行なった。
【0023】
陽極11及びバス電極13を形成した後に、被覆電極14(導通層16)形成のため下記のぺーストを使用し、スクリーン印刷法によって1層べた印刷を行ない、ベルト式乾燥炉にて140℃を10分間保持し乾燥させる。
【0024】
以下に、被覆電極14(導通層16)をサンドブラスト法で形成する際のぺースト組成を説明する。前記ぺーストは、主成分である粒子と、バインダーとして機能する焼成により絶縁性金属酸化物となる有機金属又はガラスフリットと、溶剤、更に樹脂の有機性添加物の混合物からなる。
【0025】
粒子成分としては高二次電子放出効率及び耐スパッタ性に優れる導電性粒子と、低二次電子放出効率及び耐スパッタ性に優れる絶縁性粒子からなる混合物質を用いる。導通層16における上記粒子の混合比は放電層15とバス電極13の電気的導通を良好にするため、導電性粒子を絶縁性粒子に対し多く含み、具体的には両粒子の総体積に対して導電性粒子の体積の割合が50%以上かつ100%未満であることが好ましい。さらに好ましくは両粒子の総体積に対して導電性粒子の体積の割合が50%以上かつ99%以下である。さらに好ましくは両粒子の総体積に対して導電性粒子の体積の割合が50%以上かつ80%以下である。
【0026】
本実施例では導電性粒子としてGdBと絶縁性粒子としてBaAlを体積比2:1の割合で混合したものを使用する。
【0027】
上記粒子は、導電性粒子は少なくとも高二次電子放出効率、耐スパッタ性に優れるものであれば特に限定はなく、例えば、GdBの他、LaB、YB等を用いても良い。更に絶縁性粒子は少なくとも低二次電子放出効率、耐スパッタ性であればよく、例えばBaAlの他、Al,Laなどを用いても良い。
【0028】
また、上記粒子の混合物の上記ぺーストに対する含有量は陰極として機能する範囲であればよい。
【0029】
上記有機金属はアルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素、又は希土類元素のアルコキシド又はカルボン酸塩を選択することができ、上記有機金属が焼成により生成された絶縁性金属酸化物がバインダーとしての機能以外に陰極としての役割を果たす場合もある。
【0030】
上記ガラスフリットはホウ酸塩及びケイ酸塩を主成分とし、鉛、硫黄、セレン、ビスマス等の一種類以上を含有した、例えばホウケイ酸鉛ガラス又はホウケイ酸ビスマスガラスなどの各種ガラスを用いることができる。尚、これら粒子又はガラスフリットの粒径は、数十ミクロンからサブミクロンのものが好適に用いることができる。
【0031】
尚、前記有機金属はぺースト中において液体状に存在しているため、ガラスフリットを混入したものより粒子の分散性が優れている。上記有機金属及びガラスフリットの含有量は、粒子の粒径にもよるが、ガラスフリット又は有機金属から熱工程を経て形成される金属酸化物が粒子成分に対して1重量%以下だと焼成後の各粒子間又は粒子と前記背面板との密着性が損なわれ、また、30重量%以上であれば導電性の低下や陰極としての特性が損なわれるため、1〜30重量%の間が望ましい。
【0032】
更に、上記ぺーストに添加する有機性添加物としては、セルロース樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エボナイト、ポリシロキ酸シリケートなどが挙げられる。前記有機性添加物の含有量は、ガラス又は粒子との混合物の流動性及び成形性を維持するためには、粘性が高くならないようにする必要があり、一方、乾燥後の硬化時には十分な保形性を有していることが望ましい。このような点から、有機性添加物の含有量は粒子成分に対して0.5重量%以上、10重量%以下が望ましい。
【0033】
また、上記ぺースト中に加えられる溶媒とは、前記有機性添加物を相溶するものであれば特に限定するものではなく、例えばα−テルピネオール、トルエン、キシレン、ベンゼン、フタル酸エステル等の芳香族溶剤や、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、オキシアルコール等の高級アルコール類、あるいはジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、酢酸エステル、グリセライド等のエステル類を用いることができる。更に、溶媒を緩やかに揮発させるために、前記溶媒を2種類以上併用することも可能である。また、前記溶媒の含有量は、前記の有機性添加物の種類、添加量によって異なるが、印刷性を維持するためある程度粘性を低くすることが望ましい。
【0034】
以上より、1つの実施態様において上記ぺーストの組成は、上記ぺーストに対して成分として体積比でGdBとBaAlの混合比が2:1となるように、平均粒3μmのGdB粉末を42重量%、平均粒径2μmのBaAl粉末を18重量%、ガラスフリットとして平均粒径2μmのホウケイ酸鉛ガラスを6重量%、α−テルピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを各14重量%、エチルセルロース系樹脂を6重量%含有するものを使用する。
【0035】
更に被覆電極14における放電層15形成のため下記のぺーストを使用し、スクリーン印刷法によって1層べた印刷を行ない、ベルト式乾燥炉にて140℃を10分間保持し乾燥させる。
【0036】
以下に、放電層15をサンドブラストで形成する際のぺースト組成を説明する。前記ぺーストは、主成分である粒子と、バインダーとして機能する焼成により絶縁性金属酸化物となる有機金属又はガラスフリットと、溶剤と、更に樹脂の有機性添加物との混合物からなる。
【0037】
粒子成分は高二次電子放出効率及び耐スパッタ性に優れる導電性粒子と、低二次電子放出効率及び耐スパッタ性に優れる絶縁性粒子からなる混合物質を用いる。上記粒子の混合比は放電空間に露出する電極表面において放電に寄与する領域(二次電子放出効率に優れた導電性粒子の占有分)を狭くすることで、放電電流を抑制するため、絶縁性粒子を導電性粒子に対し多く含み、具体的には両粒子の総体積に対して導電性粒子の体積の割合が20%以上50%未満であることが望ましい。
【0038】
本実施例では導電性粒子としてGdBと絶縁性粒子としてBaAlを体積比で1:2の割合で混合したものを使用する。
【0039】
上記粒子は、導電性粒子は少なくとも高二次電子放出効率、耐スパッタ性に優れるものであれば特に限定はなく、例えば、GdBの他、LaB,YB等を用いても良い。更に絶縁性粒子は少なくとも低二次電子放出効率であればよく、例えばBaAlの他、Al、Laなどを用いても良い。
【0040】
また、上記粒子の混合物の上記ぺーストに対する含有量は陰極として機能する範囲であればよい。
【0041】
上記有機金属はアルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素、又は希土類元素のアルコキシド又はカルボン酸塩を選択することができ、上記有機金属が焼成により生成された絶縁性金属酸化物がバインダーとしての機能以外に陰極としての役割を果たす場合もある。
【0042】
上記ガラスフリットはホウ酸塩及びケイ酸塩を主成分とし、鉛、硫黄、セレン、ビスマス等の一種類以上を含有した、例えばホウケイ酸鉛ガラス又はホウケイ酸ビスマスガラスなどの各種ガラスを用いることができる。尚、これら粒子又はガラスフリットの粒径は、数十ミクロンからサブミクロンのものが好適に用いることができる。
【0043】
尚、前記有機金属はぺースト中において液体状に存在しているため、ガラスフリットを混入したものより粒子の分散性が優れている。上記有機金属及びガラスフリットの含有量は、粒子の粒径にもよるが、ガラスフリット又は有機金属から熱工程を経て形成される金属酸化物が粒子成分に対し1重量%以下だと焼成後の各粒子間又は粒子と前記背面板との密着性が損なわれ、また、30重量%以上であれば導電性の低下や陰極としての特性が損なわれるため、1〜30重量%の間が望ましい。
【0044】
更に、上記ぺーストに添加する有機性添加物としては、セルロース樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エボナイト、ポリシロキ酸シリケートなどが挙げられる。前記有機性添加物の含有量は、ガラス又は粒子との混合物の流動性及び成形性を維持するためには、粘性が高くならないようにする必要があり、一方、乾燥後の硬化時には十分な保形性を有していることが望ましい。このような点から、有機性添加物の含有量は粒子成分に対して0.5重量%以上、10重量%以下が望ましい。
【0045】
また、上記ぺースト中に加えられる溶媒とは、前記有機性添加物を相溶するものであれば特に限定するものではなく、例えばα−テルピネオール、トルエン、キシレン、ベンゼン、フタル酸エステル等の芳香族溶剤や、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、オキシアルコール等の高級アルコール類、あるいはジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、酢酸エステル、グリセライド等のエステル類を用いることができる。更に、溶媒を緩やかに揮発させるために、前記溶媒を2種類以上併用することも可能である。また、前記溶媒の含有量は、前記の有機性添加物の種類、添加量によって異なるが、印刷性を維持するためある程度粘性を低くすることが望ましい。
【0046】
以上より、1つの実施態様において上記ぺーストの組成は、上記ぺーストに対して粒子成分として体積比でGdBとBaAlの混合比が1:2となるように、平均粒径3μmのGdB粉末を22重量%、平均粒径2μmのBaAl粉末を38重量%、ガラスフリットとして平均粒径2μmのホウケイ酸鉛ガラスを6重量%、α−テルピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを各14重量%、エチルセルロース系樹脂を6重量%含有するものを使用する。
【0047】
然る後、所定の条件でドライフィルムレジストをラミネート及び露光、現像、サンドブラストを行ないパターンニングした後、ドライフィルムレジストの剥離を行なうことで被覆電極14を形成する。
【0048】
本実施例では、膜厚20μm(放電層10μm、導通層10μm)、幅150μmを得た。特に放電層15に関して、ある程度の導通路を確保するため、導電性粒子と絶縁性粒子の混合比にもよるが、本実施例は膜を構成する導電性粒子の連鎖が2〜10程度の膜厚を有することが望ましい。
【0049】
被覆電極14の形成方法において、本実施例では高価で複雑な装置の必要がなく、しかも簡単な工程で形成できることからサンドブラスト法で形成しているが、本発明の実施の形態はこれに限るものではなく、サンドブラスト法のほか、スクリーン印刷法、蒸着法、電着法、スパッタリング法、溶射法等の形成法を用いてもよい。また、本実施例は陰極12がバス電極13と被覆電極14から構成されているが、陽極11も同様な構造を有してもよい。
【0050】
次に隔壁8を、低融点ガラス及び適当な充填剤を含む厚膜絶縁ぺースト(奥野製薬工業G3−2125)を使用し、スクリーン印刷法により形成した後、ベルト式乾燥炉にて140℃を10分間保持し乾燥させる。本実施例では11層印刷を行ない、膜厚200μmを得た。なお、隔壁8の形成にはサンドブラスト法などで形成してもよい。
【0051】
その後、背面板5が熱変形を起こさない範囲の所定の温度、ここでは585℃で焼成することにより、隔壁8及び陽極11、陰極12が形成される。ただし、陽極11、陰極12、隔壁8の配置及び膜厚、寸法はこれらに限られず、従来の様々な構造を有する放電セル形状と同様であってもよい。また、ここでは放電セル構成物である陰極12、陽極11、隔壁8を形成した後に一斉に焼成を行なっているが、各放電セル構成物を形成する毎に個々に焼成を行なってもよい。
【0052】
その後洗浄及びアニール処理をした薄板ガラス3を重ね、周辺部を低融点ガラスなどのシール材9で気密的に接合する。さらに、放電空間10にイオン化可能なガスを封入して放電セル2を完成させる。本実施例にはイオン化可能なガス種としてキセノンを用いるが、その他ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン及びこれら混合ガスを封入してもよい。この放電セルは、DC駆動型のプラズマアドレス表示装置となるが、以上説明した放電セルに関する陰極構造、製造方法以外は従来技術と同様に製造される。
【0053】
第二の実施の形態として、DC−PDPに本発明を適用した例を示す。図2a及び図2bに示すガス放電表示パネルの製造方法について以下説明する。洗浄及びアニール処理をした前面板4にスクリーン印刷法によりAgを主成分とする電極ぺースト(ナミックス製XFP5392)を使用しバス電極13を形成した後、ベルト式乾燥炉にて140℃を10分間保持し乾燥させる。本実施例では2層印刷を行ない、幅100μm、膜厚5μmを得た。その他のバス電極材料として例えばアルミニウム、ニッケル、銀、銀−パラジウム等、従来の導電性材料を用いることもできる。なお、上記バス電極13は蒸着法、スパッタリング法などで薄膜を形成した後、フォトエッチングでのパターンニングやサンドブラスト法等の形成法を用いてもよい。
【0054】
被覆電極14は、放電空間に露出する電極表面において、放電に寄与する面積を狭くすることで放電電流を抑制する放電層15と、放電層15とバス電極13の電気的導通を確保する導通層16の2層から構成される。
【0055】
上記放電層15及び導通層16とも高二次電子放出効率及び耐スパッタ性に優れる導電性粒子と、低二次電子放出効率及び耐スパッタ性に優れる絶縁性粒子の混合物質からなり、各層により混合割合が異なる。
【0056】
特に、放電時間の経過により、放電層15が劣化し、導通層16が露出した場合でも、放電特性の急激な変化を少なくするため、上記2層においてそれぞれ導電性粒子と絶縁性粒子は同じ種類を使用することが望ましい。ここでは、上記被覆電極14の形成が容易なスクリーン印刷法による形成法を以下の方法で行なった。
【0057】
バス電極13を形成した後に、被覆電極14の導通層16形成のため下記のぺーストを使用し、スクリーン印刷法により1層パターン印刷を行ない、ベルト式乾燥炉にて140℃を10分間保持し乾燥させる。本実施例では、膜厚10μm、幅120μmを得た。
【0058】
以下に、導通層16をスクリーン印刷法で形成する際のぺースト組成を説明する。前記ぺーストは、主成分である粒子と、バインダーとして機能する焼成により絶縁性金属酸化物となる有機金属又はガラスフリットと、溶剤、更に樹脂の有機性添加物の混合物からなる。
【0059】
粒子成分としては高二次電子放出効率及び耐スパッタ性に優れる導電性粒子と、低二次電子放出効率及び耐スパッタ性に優れる絶縁性粒子からなる混合物質を用いる。導通層16における上記粒子の混合比は放電層15とバス電極13の電気的接触を良好にするため、導電性粒子を絶縁性粒子に対し多く含み、具体的には両粒子の総体積に対して導電性粒子の体積が50%以上かつ100%未満であることが好ましい。さらに好ましくは両粒子の総体積に対して導電性粒子の体積の割合が50%以上かつ99%以下である。さらに好ましくは両粒子の総体積に対して導電性粒子の体積の割合が50%以上かつ80%以下である。
【0060】
本実施例では、導電性粒子としてLaB、絶縁性粒子は混合しないものを使用する。
【0061】
上記金属粒子は、導電性粒子は少なくとも高二次電子放出効率、耐スパッタ性に優れるものであれば特に限定はなく、例えば、LaBの他、GdB、YB等を用いても良い。
【0062】
また、上記粒子の混合物の上記ぺーストに対する含有量は陰極として機能する範囲であればよい。
【0063】
上記有機金属はアルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素、又は希土類元素のアルコキシド又はカルボン酸塩を選択することができ、上記有機金属が焼成により生成された絶縁性金属酸化物がバインダーとしての機能以外に陰極としての役割を果たす場合もある。
【0064】
上記ガラスフリットはホウ酸塩及びケイ酸塩を主成分とし、鉛、硫黄、セレン、ビスマス等の一種類以上を含有した、例えばホウケイ酸鉛ガラス又はホウケイ酸ビスマスガラスなどの各種ガラスを用いることができる。尚、これら粒子又はガラスフリットの粒径は、数十ミクロンからサブミクロンのものが好適に用いることができる。
【0065】
尚、前記有機金属はぺースト中において液体状に存在しているため、ガラスフリットを混入したものより粒子の分散性が優れている。上記有機金属及びガラスフリットの含有量は、粒子の粒径にもよるが、ガラスフリット又は有機金属から熱工程を経て形成される金属酸化物が粒子成分に対して1重量%以下だと焼成後の各粒子間又は粒子と前記背面板との密着性が損なわれ、また、30重量%以上であれば導電性の低下や陰極としての特性が損なわれるため、1〜30重量%の間が望ましい。
【0066】
更に、上記ぺーストに添加する有機性添加物としては、セルロース樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エボナイト、ポリシロキ酸シリケートなどが挙げられる。前記有機性添加物の含有量は、ガラス又は粒子との混合物の流動性及び成形性を維持するためには、粘性が高くならないようにする必要があり、一方、乾燥後の硬化時には十分な保形性を有していることが望ましい。このような点から、有機性添加物の含有量は粒子成分に対して0.5重量%以上、10重量%以下が望ましい。
【0067】
また、上記ぺースト中に加えられる溶媒とは、前記有機性添加物を相溶するものであれば特に限定するものではなく、例えばα−テルピネオール、トルエン、キシレン、ベンゼン、フタル酸エステル等の芳香族溶剤や、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、オキシアルコール等の高級アルコール類、あるいはジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、酢酸エステル、グリセライド等のエステル類を用いることができる。更に、溶媒を緩やかに揮発させるために、前記溶媒を2種類以上併用することも可能である。また、前記溶媒の含有量は、前記の有機性添加物の種類、添加量によって異なるが、印刷性を維持するためある程度粘性を低くすることが望ましい。
【0068】
以上より、1つの実施態様において上記ペーストの組成は、上記ペーストに対して粒子成分として平均粒径3μmのLaB粉末を60重量%、ガラスフリットとして平均粒径2μmのホウケイ酸鉛ガラスを6重量%、α−テルピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを各14重量%、エチルセルロース系樹脂を6重量%含有するものを使用する。
【0069】
更に被覆電極14における放電層15形成のため下記のペーストを使用し、スクリーン印刷法によって1層パターン印刷を行ない、ベルト式乾燥炉にて140℃を10分間保持し乾燥させる。本実施例では、膜厚20μm、幅140μmを得た。
【0070】
以下に、被覆電極14(放電層15)をスクリーン印刷法で形成する際のペースト組成を説明する。前記ペーストは、主成分である粒子と、バインダーとして機能する焼成により絶縁性金属酸化物となる有機金属又はガラスフリットと、溶剤と、更に樹脂の有機性添加物の混合物からなる。
【0071】
粒子成分は高二次電子放出効率及び耐スパッタ性に優れる導電性粒子と、低二次電子放出効率及び耐スパッタ性に優れる絶縁性粒子からなる混合物質を用いる。上記粒子の混合比は放電空間に露出する電極表面において放電に寄与する領域(二次電子放出効率に優れた導電性粒子の占有分)を狭くすることで、放電電流を抑制するため、絶縁性粒子を導電性粒子に対し多く含み、具体的には両粒子の総体積に対して導電性粒子の体積割合が20%以上50%未満であることが望ましい。
【0072】
本実施例では導電性粒子としてLaBと絶縁性粒子としてLaを1:2の割合で混合したものを使用する。
【0073】
上記粒子は、導電性粒子は少なくとも高二次電子放出効率、耐スパッタ性に優れるものであれば特に限定はなく、例えば、LaBの他、GdB、YB等を用いても良い。更に絶縁性粒子は少なくとも低二次電子放出効率であればよく、例えばLaの他、Al、BaAlなどを用いても良い。
【0074】
また、上記粒子の混合物の上記ペーストに対する含有量は陰極として機能する範囲であればよい。
【0075】
上記有機金属はアルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素、又は希土類元素のアルコキシド又はカルボン酸塩を選択することができ、上記有機金属が焼成により生成された絶縁性金属酸化物がバインダーとしての機能以外に陰極としての役割を果たす場合もある。
【0076】
上記ガラスフリットはホウ酸塩及びケイ酸塩を主成分とし、鉛、硫黄、セレン、ビスマス等の一種類以上を含有した、例えばホウケイ酸鉛ガラス又はホウケイ酸ビスマスガラスなどの各種ガラスを用いることができる。尚、これら粒子又はガラスフリットの粒径は、数十ミクロンからサブミクロンのものが好適に用いることができる。
【0077】
尚、前記有機金属はペースト中において液体状に存在しているため、ガラスフリットを混入したものより粒子の分散性が優れている。上記有機金属及びガラスフリットの含有量は、粒子の粒径にもよるが、ガラスフリット又は有機金属から熱工程を経て形成される金属酸化物が粒子成分に対し1重量%以下だと焼成後の各粒子間又は粒子と前記背面板との密着性が損なわれ、また、30重量%以上であれば導電性の低下や陰極としての特性が損なわれるため、1〜30重量%の間が望ましい。
【0078】
更に、上記ペーストに添加する有機性添加物としては、セルロース樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エボナイト、ポリシロキ酸シリケートなどが挙げられる。前記有機性添加物の含有量は、ガラス又は粒子との混合物の流動性及び成形性を維持するためには、粘性が高くならないようにする必要があり、一方、乾燥後の硬化時には十分な保形性を有していることが望ましい。このような点から、有機性添加物の含有量は金属粒子成分に対して0.5重量%以上、10重量%以下が望ましい。
【0079】
また、上記ペースト中に加えられる溶媒とは、前記有機性添加物を相溶するものであれば特に限定するものではなく、例えばα−テルピネオール、トルエン、キシレン、ベンゼン・フタル酸エステル等の芳香族溶剤や、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、オキシアルコール等の高級アルコール類、あるいはジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、酢酸エステル、グリセライド等のエステル類を用いることができる。更に、溶媒を緩やかに揮発させるために、前記溶媒を2種類以上併用することも可能である。また、前記溶媒の含有量は、前記の有機性添加物の種類、添加量によって異なるが、印刷性を維持するためある程度粘性を低くすることが望ましい。
【0080】
以上より、上記ぺーストの組成は、上記ペーストに対して粒子成分として体積比でLaBとLaの混合比が1:2となるように、平均粒径3μmのLaB粉末を20重量%、平均粒径2μmのLa粉未を40重量%、ガラスフリットとして平均粒径2μmのホウケイ酸鉛ガラスを6重量%、α−テルピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを各14重量%、エチルセルロース系樹脂を6重量%含有するものを使用する。
【0081】
本実施例では、膜厚20μm(放電層10μm、導通層10μm)、幅150μmを得た。特に放電層15に関して、ある程度の導通路を確保するため、導電性粒子と絶縁性粒子の混合比にもよるが、本実施例では膜を構成する導電性粒子の連鎖が2〜10相当の膜厚であることが望ましい。
【0082】
被覆電極14の形成方法において、本実施例では高価で複雑な装置の必要がなく、しかも簡単な工程で形成できることからスクリーン印刷法で形成しているが、本発明の実施の形態はこれに限るものではなく、スクリーン印刷法のほか、サンドブラスト法、蒸着法、電着法、スパッタリング法、溶射法等の従来の形成法を用いてもよい。また、本実施例は陰極12がバス電極13と被覆電極14から構成されているが、陽極11も同様な構造を有してもよい。
【0083】
洗浄及びアニール処理された背面板5には前面板4の陰極12と直行する方向に陽極11が形成される。陽極11はスクリーン印刷法によりAgを主成分とする電極ぺースト(ナミックス製 XFP5392)を使用し形成した後、ベルト式乾燥炉にて140℃を10分間保持し乾燥させる。本実施例では1層印刷を行ない、幅100μm、膜厚10μmを得た。その他の陽極材料として例えばアルミニウム、ニッケル、銀、銀−パラジウム等、従来の導電性材料を用いることもできる。なお、上記陽極は蒸着法、スパッタリング法などで薄膜を形成した後、フォトエッチングでのパターンニングやサンドブラスト法等の従来の形成法を用いてもよい。
【0084】
次に、隔壁8を陽極11の間の背面板5上に、低融点ガラス及び適当な充填剤を含む厚膜絶縁ペースト(奥野製薬工業G3−2125)を使用し、スクリーン印刷法により形成した後、ベルト式乾燥炉にて140℃を10分間保持し乾燥させる。本実施例では10層印刷を行ない、幅150μm、膜厚200μmを得た。なお、隔壁8の形成にはサンドブラスト法など従来の方法で形成してもよい。次に、背面板5や隔壁8の側面にスクリーン印刷法によりそれぞれの表示色に対応する蛍光体18を塗布する。
【0085】
その後、前面板4及び背面板5が熱変形を起こさない範囲の所定の温度、ここでは585℃で焼成することにより、隔壁8及び陽極11、陰極12が形成される。ただし、陽極11、陰極12、隔壁8の配置及び膜厚、寸法はこれらに限られず、従来の様々な構造を有する放電セル形状と同様であってもよい。また、ここでは放電セル構成物である陰極12、陽極11、隔壁8、蛍光体18を形成した後に一斉に焼成を行なっているが、各放電セル構成物を形成する毎に個々に焼成を行なってもよい。
【0086】
その後、前面板4上の陰極12と背面板5上の陽極11が向かい合うように前面板4と背面板5を重ね、周辺部を低融点ガラスなどのシール材9で気密的に接合する。さらに、放電空間10にイオン化可能なガスを封入して本実施例におけるガス放電表示パネルが完成する。本実施例にはイオン化可能なガス種としてXeを用いるが、その他ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン及びこれら混合ガスを封入してもよい。
【0087】
第三の実施の形態として、第1の実施の形態において被覆電極14(導通層16及び放電層15)を構成するバインダーに、熱工程により絶縁性金属酸化物となる有機金属を適用した例を示すものであり、以下に被覆電極14を形成する際に用いるペーストを示す。
【0088】
被覆電極14(導通層16)を形成する際に用いるペーストの組成は、上記ペーストに対して粒子成分として体積比でGdBとBaAlの混合比が2:1となるように、平均粒径3μmのGdB粉末を38重量%、平均粒径2μmのBaAl粉末を22重量%、有機アルミニウムを25重量%、α−テルピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを各5重量%、エチルセルロース系樹脂を5重量%含有するものを使用する。
【0089】
被覆電極14(放電層15)を形成する際に用いるペーストの組成は、上記ペーストに対して粒子成分として体積比でGdBとBaAlの混合比が1:2となるように、平均粒径3μmのGdB粉末を22重量%、平均粒径2μmのBaAl粉末を38重量%、有機アルミニウムを25重量%、α−テルピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを各5重量%、エチルセルロース系樹脂を5重量%含有するものを使用する。
【0090】
なお、上記被覆電極14を形成する際に用いるペースト組成以外の、材料、構造、形成法等は第一の実施の形態と同一でありここでは省略する。
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、被覆電極を、放電電流を制限しスパッタによる陰極の劣化を低滅する放電層と、放電層とバス電極間の電気的導通を確保することでアーク放電を抑制し陰極の劣化を低減する導通層の2層構造とし、上記放電層及び導通層を構成する高二次電子放出効率及び耐スパッタ性に優れる導電性粒子と、低二次電子放出効率及び耐スパッタ性に優れる絶縁性粒子を、放電層で両粒子の総体積に対して導電性粒子の体積の割合が20%以上50%未満であり、導通層で両粒子の総体積に対して導電性粒子の体積の割合が50%以上100%未満の混合比で構成することで以下の効果がある。
【0092】
▲1▼放電空間に露出する被覆電極表面(放電層)とバス電極間の導通路が良好になりアーク放電が減少した。特に初期エージング時に多発するアーク放電が顕著に減り、初期エージングが容易になる。
【0093】
▲2▼したがって、初期エージング時のアーク放電による局所的な陰極の劣化が抑制され、初期エージング後の放電の均一性が向上する。
【0094】
▲3▼さらに、初期エージング後の電極表面状態が均一になることで、放電時間の経過に伴う陰極の劣化が低減された。その結果、スパッタ飛散物の付着による透過率劣化が抑制されパネル寿命が改善される。
【0095】
▲4▼放電空間に露出する被覆電極表面において放電に寄与する領域(二次電子放出効率に優れた導電性粒子の占有割合)を狭くすることで、放電電流を低減し放電時間の経過に伴う陰極の劣化が低減された。その結果、スパッタ飛散物の付着による透過率劣化が抑制されパネル寿命が改善される。
【0096】
▲5▼放電層とバス電極の間に放電層と組成が類似した導通層を挟むことで、放電時間の経過と共に放電層が劣化し、露出した導通層が放電に寄与しても、導通層の組成が放電層と類似しているため放電特性の経時変化が少ない。
【0097】
▲6▼したがって、放電層の誘電体比率を増し放電電流を抑制する場合、放電層の導通路の不均一性によるアーク放電を低減するため放電層の膜厚を薄くし放電層の導通路を確保することが可能である。
【0098】
以上より、本発明により画面全域が安定且つ低電圧で放電し、長寿命なガス放電表示パネルの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1a】本発明の第一の実施例における、プラズマアドレス表示装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
【図1b】図1aの被覆電極の詳細な構造を示す模式的な断面図である。
【図2a】本発明の第二の実施例における、DC駆動型プラズマディスプレイパネルの製造方法を説明するための模式的な断面図である。
【図2b】図2aの被覆電極の詳細な構造を示す模式的な断面図である。
【図3a】従来のプラズマアドレス表示装置の構造を示す模式的な断面図である。
【図3b】図3aの被覆電極の詳細な構造を示す模式的な断面図である。
【図4】従来のDC駆動型プラズマディスプレイパネルの構造を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
10 放電空間
11 陽極
12 陰極
13 バス電極
14 被覆電極
15 被覆電極放電層
16 被覆電極導通層

Claims (5)

  1. 放電空間に露出した陽極と陰極を、該放電間隔を隔てて基板上に平行に配置し、この陽極と陰極を気密容器内にイオン化可能なガスと共に封入してなるガス放電表示パネルにおいて、
    該陰極は該基板上に設けられた導電性材料からなるバス電極と、該バス電極の該放電空間側に設けられた被覆電極との少なくとも2層を有し、
    該被覆電極は導電性粒子と絶縁性粒子を含有し、
    該被覆電極の一部或いは全体が、前記放電空間に表面が露出する放電層と、該放電層と前記バス電極との間において該バス電極と該放電層との電気的導通を確保するために設けられた導通層の2層からなり、前記導電性粒子と前記絶縁性粒子の混合割合が、該放電層において両粒子の総体積に対して該導電性粒子の体積が20%以上かつ50%未満であり、該導通層において両粒子の総体積に対して該導電性粒子の体積が50%以上かつ100%未満であることを特徴とするガス放電表示パネル。
  2. 前記導電性粒子と前記絶縁性粒子が前記放電層と前記導通層でそれぞれ同一物質であることを特徴とする請求項1に記載のガス放電表示パネル。
  3. 前記放電層において、該放電層を構成する前記導電性粒子の連鎖が該放電層の膜厚方向に2〜10連鎖相当の膜厚を有することを特徴とする請求項1に記載のガス放電表示パネル。
  4. 前記導電性粒子が希土類元素La、Gd、Y、Nd、Ceの六ホウ化物又は四ホウ化物からなり、前記絶縁性粒子が、BaAl23、Al23又はLa23からなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガス放電表示パネル。
  5. 前記ガス放電表示パネルが液晶層を有するプラズマアドレス表示装置であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のガス放電表示パネル。
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