JP3557707B2 - 気相成長装置における反応管の取外し方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、気相成長装置における反応管の取外し方法に関し、詳しくは、リン化合物を含む原料ガスを用いて基板上に半導体薄膜を形成する気相成長装置における反応管の取外し方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
気相成長装置を使用したMOCVD法により、基板上にインジウムリンのようなリンを含む化合物半導体薄膜を形成する場合、薄膜形成に寄与しなかった原料のリン化合物が分解して反応管の内面等に黄リンとして付着したり下部に落下したりする。この黄リンは、毒性及び発火性を有する物質であるため、反応管内を清掃するために気相成長装置を分解し、反応管を取外して大気に曝すと、付着物(落下物も含む、以下同様)中の黄リンが空気中の酸素と急激に反応して発火し、毒ガスが発生するなど、非常に危険であるという問題がある。さらに、この黄リンの燃焼により他の有害な付着物が加熱されて蒸発することもあった。
【0003】
また、このように反応管を取外す際に黄リンが燃焼すると、気相成長装置が設置されているクリーンルーム内の空気を汚染するため、クリーンルーム内が所定の清浄度になるまでの長時間、次の作業が行えなくなるという問題もあった。
【0004】
このため、気相成長装置を分解する前に反応管内に酸素を含むガスを導入し、上記黄リンを酸化して安定な酸化リンに変化させたり、反応管を加熱して黄リンを赤リンに変化させたりすることが提案されている(特開平6−283429号公報,実開平4−127642号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これらの方法によれば、従来に比べて比較的安全に作業を行うことができるが、付着物が厚い場合には、付着物の中心部の黄リンまでを酸化リンや赤リンに変化させることが困難なため、付着物を反応管内面から剥離したときや、付着物が割れたときなどに黄リンが露出して燃焼するおそれがあった。
【0006】
そこで本発明は、気相成長装置を分解して黄リンが付着している反応管を取外す際の黄リンの発火を簡単な手順で防止することができる気相成長装置の構造及びその反応管の取外し方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、、本発明の気相成長装置における反応管の取外し方法は、気相成長装置を分解して反応管を取外すにあたり、該反応管内を0℃以下の温度に冷却してから反応管を取外すことを特徴としている。
【0009】
【作 用】
反応管内に付着している付着物、特に黄リンを0℃以下に冷却することにより、黄リンの活性度を低下させて発火点(60℃)との温度差を大きくすることができ、さらに、反応管を取外したときに反応管内に空気が流入すると、空気中の水分が0℃以下に冷却されている黄リンの表面で氷結し、生成した氷の膜が酸素と黄リンとの接触を遮断する。また、反応管を取外した後に黄リン表面の氷の膜が溶けても、生成した水分が黄リンを湿潤状態にするため、発火する危険はほとんどない。
【0010】
【実施例】
以下、本発明を、図面に示す実施例に基づいてさらに詳細に説明する。図1及び図2は、それぞれ本発明方法に使用する気相成長装置の一例を示すもので、図1は縦型気相成長装置、図2は横型気相成長装置を示している。
【0011】
まず、図1に示す縦型気相成長装置は、垂直方向に設置された反応管1の上端部にガス導入管2を、下端部側面にガス排気管3をそれぞれ設けるとともに、反応管1の下端部に蓋部材4を介して基板交換室5を連設し、蓋部材4の中心部を貫通する軸部材6の上端に基板7を載置するサセプタ8を装着したもので、反応管1の外周には、サセプタ8を介して基板7を加熱するための加熱手段9が設けられている。
【0012】
そして、前記ガス導入管2には、原料ガス等の気相成長操作に必要なガスを反応管1内に導入するための原料ガス導入管2aと、反応管1内をパージするためのパージガスを反応管1内に導入するためのパージガス導入管2bとが接続されるとともに、該パージガス導入管2bの外周部には、冷凍機の冷却コイル10等の冷却手段が設けられている。
【0013】
上記冷却コイル10等の冷却手段は、パージガス導入管2bから反応管1内に導入するパージガス、例えば窒素ガス等の不活性ガスを0℃以下の温度に冷却することができる能力を有するものが用いられる。
【0014】
このように形成した気相成長装置を分解して反応管1を取外すにあたっては、パージガス導入管2bから反応管1内に導入するパージガスを、前記冷却コイル10で0℃以下の温度に冷却してから反応管1内に導入し、反応管1内に存在する黄リンを含む付着物Aを0℃以下の温度まで冷却する。
【0015】
このように0℃以下の温度のパージガスを反応管1内に導入して黄リンを0℃以下に冷却することにより、黄リンの活性度を低下させて発火点(60℃)との温度差を大きくすることができる。さらに、反応管1を取外して反応管1内に空気が流入したときに、空気中の水分が0℃以下に冷却されている黄リンの表面で氷結するので、生成した氷の膜が酸素と黄リンとの接触を遮断して黄リンの発火を防止する。また、反応管11を取外した後に温度が上昇して黄リン表面の氷の膜が溶けても、生成した水分が黄リンを湿潤状態にするため、黄リンが発火する危険はほとんどない。したがって、気相成長装置を分解して反応管1を取外す作業を安全かつ容易に行うことができる。
【0016】
また、図2に示す横型気相成長装置は、上記縦型気相成長装置と略同様に構成され、水平方向に設置された反応管11の一端部にガス導入管12を、他端部側面にガス排気管13をそれぞれ設けるとともに、反応管1のガス排気管13側端部に蓋部材14を介して基板交換室15を連設し、蓋部材14の中心部を貫通する軸部材16の先端に基板17を載置するサセプタ18を装着したもので、反応管11の外周には、サセプタ18を介して基板17を加熱するための加熱手段19が設けられている。
【0017】
そして、前記ガス導入管12には、前記同様に、原料ガス等の気相成長操作に必要なガスを反応管11内に導入するための原料ガス導入管12aと、反応管11内をパージするためのパージガスを反応管11内に導入するためのパージガス導入管12bとが接続されるとともに、反応管11内に0℃以下の温度の低温不活性ガスを導入するための低温ガス導入管12cが接続されている。
【0018】
上記低温ガス導入管12cは、低温不活性ガスの発生源、例えば低温液化ガス貯槽等に接続されており、低温液化ガス、例えば液体窒素を直接、あるいは液体窒素を気化した低温の窒素ガスを反応管11内に導入できるように形成されている。
【0019】
このように、反応管11に0℃以下の温度の低温不活性ガスを導入することができる低温ガス導入管12cを設けることにより、気相成長装置を分解して反応管1を取外す前に、低温不活性ガスで反応管11内の黄リンを含む付着物Aを0℃以下の温度に冷却することができ、前記同様に、反応管11を取外す際の黄リンの発火を防止することができる。
【0020】
なお、取外す前の反応管内の温度は、0℃以下であれば十分に初期の目的を達成することができるが、低温にするほど黄リンの発火防止効果が向上し、その持続時間も長くなるので、パージガスの冷却に要するコストや低温不活性ガスの使用コストと、所望の発火防止効果との兼ね合いから適当な温度を選択すればよい。
【0021】
また、前記両実施例では、反応管内を冷却するための低温のガスを、反応管に設けられているガス導入管側から導入して排気管側から排出するようにしているが、排気管側から逆方向に導入するようにしてもよく、これらとは別に低温のガスを導入あるいは排出するための配管を別途反応管に設けるようにしてもよい。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、反応管内に付着した黄リンの発火を確実に防止することができ、反応管の取外し作業を安全かつ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の一実施例を説明するための縦型気相成長装置の断面図である。
【図2】本発明方法の他の実施例を説明するための横型気相成長装置の断面図である。
【符号の説明】
1,11…反応管、2,12…ガス導入管、2a,12a…原料ガス導入管、2b,12b…パージガス導入管、3,13…ガス排気管、4,14…蓋部材、5,15…基板交換室、6,16…軸部材、7,17…基板、8,18…サセプタ、9,19…加熱手段、10…冷却コイル、12c…低温ガス導入管、A…付着物
Claims (1)
- 反応管内でリン系の原料を用いて気相成長を行う気相成長装置における反応管を取外すにあたり、該反応管内を0℃以下の温度に冷却してから反応管を取外すことを特徴とする気相成長装置における反応管の取外し方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP08013295A JP3557707B2 (ja) | 1995-04-05 | 1995-04-05 | 気相成長装置における反応管の取外し方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP08013295A JP3557707B2 (ja) | 1995-04-05 | 1995-04-05 | 気相成長装置における反応管の取外し方法 |
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JPH08279463A JPH08279463A (ja) | 1996-10-22 |
JP3557707B2 true JP3557707B2 (ja) | 2004-08-25 |
Family
ID=13709718
Family Applications (1)
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JP08013295A Expired - Fee Related JP3557707B2 (ja) | 1995-04-05 | 1995-04-05 | 気相成長装置における反応管の取外し方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3557707B2 (ja) |
-
1995
- 1995-04-05 JP JP08013295A patent/JP3557707B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH08279463A (ja) | 1996-10-22 |
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