JP3556229B2 - 脂肪物質の結晶化方法およびその方法を適用するための装置 - Google Patents
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Description
技術分野
本発明は脂肪物質の結晶化方法に係り、特にラウリン系脂肪(lauricfats)およびラウリン系あるいは非ラウリン系脂肪酸(lauric or non−lauric fatty acids)について、特に加圧濾過法を用いた分別を行うための脂肪物質の結晶化方法および装置に関する。
背景技術
栄養脂肪(nutrient fats)の分野において、カカオバターの全量置換または部分置換に関する技術領域が多くの研究の主題となっている。この理由は、主にカカオバターが高価であり、また、カカオバターの主たる特徴が、人間の体温においてほぼ完全に溶融する一方、それ以下の温度において十分に固形状態を保ち、取扱い性が良好であることによる。このカカオバターの用途は製菓工場およびチョコレート製造工場での利用が主たるものであるが、薬学分野において薬剤の賦形剤・結合剤(excipient)としても市場性も無視できない。
カカオバターの代替製品は、それらがラウリン系であるか、または非ラウリン系であるかによって、つまり出発材料としての脂肪がラウリル脂肪酸を豊富に含有しているか、否かによって大きく2種類に分類される。
本発明で取扱う製品の物理的特性が脂肪の領域に属するものであるため、本発明は油脂というより、むしろラウリン系の、特に脂肪の代替製品に関するものである。
しかしながら、本発明は精製した脂肪酸と低コストで代替できる分別されたラウリン系または非ラウン系の脂肪酸の製造にも関連している。
ラウリン系の代替製品を製造するために最も多く使用される脂肪はパーム脂肪(palm fat)であり、このパーム脂肪はパーム実核(palm nut kernels)から抽出される。その他の脂肪として、ココナッツ油脂(coconut oil),カライト脂肪(karite nut fat)や、キューフィ(cuphea),ババスーヤシ(babassu),マンゴー(mangue)またはサル核(sal kernels)から得られた脂肪を使用することができる。
このパーム脂肪を出発材料として、カカオバターに類似した製品を得るために、このパーム脂肪はその固形分を除去するための分別処理を受ける。この分別処理は、ヨウ素価が約17〜19であるパーム脂肪を出発材料として、ヨウ素価が7以下の固形部分を得ることを目的としている。この油脂技術分野において、脂肪の不飽和度を測定する指標としてヨウ素価を使用することは、その測定が迅速に可能であることおよび製品品質に良く対応した値が得られることなどの理由から広く知られている。製品の組成や物理的挙動については、より厳格で正確な判定を行うために他の分析方法が併用される。
現在、一般的に使用されている上記脂肪物質の分別プロセスは、下記のような異なった4つの方法により実施されている。
すなわち、第1の方法においては、脂肪物質は溶媒(一般的にはアセトン)と混合され、得られた混合物はその混合物中において結晶核の生成および結晶の成長が起こるまで、対流または蒸発による冷凍処理を実施される。これらの生成した結晶を調整(tempering)することにより安定化せしめた後に、結晶は濾過,デカンテーションや他の分離方法により液相部分から分離される。
第2の方法においては、脂肪物質は溶媒を使用せずに結晶化される。すなわち脂肪物質は、冷却されて界面活性剤(surfactant)と混合されて結晶化される。そして結晶化された部分が遠心分離法によって分離される。このプロセスは、ランザプロセス(Lanza process)の名称で広く知られている。
第3の方法においては、脂肪物質は、低温槽内に配置されたトレー(trays)または冷凍用トンネル内に移送されたトレー内において結晶化され凝固される。凝固した板状の脂肪物質は濾過袋(filtering bags)中に収容され、各濾過袋は油圧プレスの保持枠(cage)内に積み重ねられる。この状態で高圧力を作用させることにより、脂肪物質の軟質部(soft portion)は、油圧プレス内に残る脂肪物質の剛体部(rigid part)の性質が所定状態になるまで絞り出される。そして濾過袋は取り出され、前記剛体部から成る濾滓(cakes)は解砕される。
第4の方法においては、脂肪物質は結晶化槽内において部分的に凝固される。すなわち、ポンプ輸送が可能となるような限界範囲で脂肪物質が過冷却状態(super−cooling state)になるまで冷却される。次に脂肪物質はポンプによりフィルタープレス(濾過器)の濾過室(chambers)に供給される。フィルタープレスには冷却された隔壁を有する多数の濾過板と濾過膜(membranes)とを備えている。そして脂肪物質をフィルタープレス内に供給した後に、このフィルタープレスは、脂肪物質の結晶相の凝固および安定化に必要な時間の間だけ放置される。しかる後に、脂肪物質から液体部分を絞り出すために重要な圧力(この場合においては25〜70bars(2.5〜7.5MPa))を各濾過膜の背面側に作用させる。その後、この加圧力を取り除き、フィルタープレスを開枠して固形材である濾滓を解砕して取り出す。
上記公知の4つの処理方法のうち、前記先行する3つの処理方法のプロセスコストが高くなるという事実を考慮すると、最後の第4の方法が最も発達しており妥当である。すなわち、第1の方法においては、溶剤を回収するために必要なエネルギーコストおよび消耗した溶剤を補給するために必要なコストが大きくなる。一方、第2の方法においては、界面活性剤のコストが高くなる上に脂肪物質のロスが多くコスト増となる一方、第3の方法においてはプロセスの運転管理に要する労力コストが大きくなるためである。
しかしながら、上記第4の方法は前記第1〜第3の方法と比較して優位性を有しているにも拘らず、以下に示すような解決すべき課題を有していた。すなわち、脂肪物質の結晶化の制御が困難であるという問題点があった。また、結晶化した脂肪物質塊を、フィルタープレスの全濾過室に充満させるように移送することが困難であり、空の濾過室や部分的に空になった濾過室への加圧操作により、各濾過板が拘束されてしまうなどの問題点があった。
本発明は上記第4の方法を実施した場合に生じる上記の問題点に対して簡便かつ効果的な解決を与えることができる脂肪物質の結晶化方法およびその方法を実施するための装置を提供することを目的とする。
発明の開示
上記目的を達成するため、本発明に係る脂肪物質の結晶化方法は、脂肪物質を溶融せしめ、得られた溶融塊を分割して可及的に均質であり、一定の寸法を有する粒子(beads:溶球)を調製し、これらの粒子を、脂肪物質の融点より低い温度に予め冷却された水溶液中に供給し、脂肪物質粒子を凝固させるために必要な熱量を水溶液が吸収するように、水溶液に対する脂肪物質の濃度を調整し、脂肪物質粒子の表面部が迅速に凝固し、引き続き粒子全体に凝固が進行するような粒子/水溶液間の熱交換を各脂肪物質粒子が受けるように、水溶液に対する脂肪物質粒子の供給量を制御し、上記脂肪物質粒子を上記水溶液中で懸濁状態に保持し、上記粒子/水溶液の混合物の温度を、各粒子の結晶化が安定するように調整し、上記混合物の温度を、結晶化が完全に安定するまで維持し、引き続き、上記粒子/水溶液混合物と接触する表面が上記混合物の温度に近い温度に保持された表面を有する濾過位置に、上記粒子/水溶液混合物を移送し、低圧力下において上記水溶液から脂肪物質粒子を分離し、最後に、高圧力下において上記脂肪物質粒子から脂肪物質の液体部を抽出する各工程からなることを特徴とする。
本発明の他の目的は、上記プロセスを実施するための装置を提供することにある。すなわち、本発明に係る脂肪物質の結晶化装置は、溶融した脂肪物質の供給源と、温度が調製可能な水溶液の供給源と、所定の温度に調整可能なように配置された隔壁を備えた濾過板を多数装備したフィルタープレスとに接続された結晶化槽と、上記結晶化槽の内部に位置し、溶融した脂肪物質が供給される部位に配置され、上記脂肪物質を粒子に分割する手段と、上記結晶化槽内部へ供給する溶融脂肪物質の供給量および水溶液中における脂肪物質粒子の濃度を制御する手段と、上記結晶化槽内部に配置され、上記脂肪物質粒子を水溶液中において懸濁状態に保持する手段と、上記結晶化槽内部に配置され、脂肪物質粒子/水溶液混合物の温度を所定値に保持する手段となる冷却後の外部供給源に接続された温度調整手段と、上記混合物を上記結晶化槽からフィルタープレスに移送する手段とを備えることを特徴とする。
本発明のその他の詳細事項および特徴的構成については、本願明細書に添付した図面の記載内容から、より明確になるであろう。上記図面は本発明の方法を非限定的に例示したものであり、また本発明方法を実施するための装置をも示している。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の係る方法および装置を模式的に示す系統図、第2図は上記装置の結晶化槽を部分的に破断して模式的に示す正面図、第3図,第4図および第5図は、第2図に示す結晶化槽の変形例をそれぞれ示し、部分的に破断して示す斜視詳細図、第6図,第7図,第8図および第9図は、それぞれ本発明装置で使用するフィルタープレス(濾過器)のフィルターエレメントを模式的に示す縦断面図であり、第6図は脂肪物質/水溶液混合体の供給を受けるために待機している空のフィルターエレメントを示しており、第7図は混合体を供給した状態を示し、第8図および第9図は、それぞれ上記混合体を圧縮した状態、および固形の濾滓を排出している。
発明を実施するための最良の状態
本発明をより詳細に詳述するため、添付の図面に従ってこれを説明する。なお、添付の各図面において、同一の参照符号は同一または類似の構成要素を示している。
まず、第1に本願発明の範囲において、「脂肪物質(fatty substance)」という記載は、可及的に広い意味を有するものであり、脂肪酸のみならず脂肪を含有する脂肪酸をも意味し、これらの脂肪および脂肪酸がラウリン系のものであるか、非ラウリン系であるかを問わないものと解すべきである。しかしながら、前記のように、本願発明の方法は、ラウリン系脂肪およびラウリン系または非ラウリン系脂肪酸を処理するために、特に好適である。
添付図面に例示された本願発明に係る脂肪物質の結晶化方法は、水溶液中においてラウリン系の脂肪を結晶化する一方、後の加圧濾過によって分別し、濾過操作時に水溶液を回収するというプロセスに適用される。この結晶化方法は、まず第1に、手段(脂肪物質貯槽)1において脂肪を溶融する工程と手段(分割手段)2において上記溶融した脂肪塊3を粒子(beads)4に分割する工程とを有する。分割された粒子4は可及的に一定であり、この粒子は脂肪の融点より低い所定の温度に予め冷却された水溶液5内に供給される。水溶液に対する脂肪粒子の濃度は、脂肪粒子を凝固させるために必要な熱量を吸収する水溶液の容量によって調整される。そして水溶液5への脂肪粒子4の供給量は、手段(移送手段)6によって調節される。ここで供給量は、各脂肪粒子が粒子/水溶液相互間の熱交換を迅速に受け、その熱交換により粒子の表面が迅速に凝固し、引き続き粒子塊全体に凝固が進行するように調節される。
脂肪粒子は、手段(晶析器)7の水溶液中に懸濁状態で保持され、粒子/水溶液混合体8の温度は、各粒子の結晶化が安定するように調整される。そして混合体の温度は、上記結晶化が完全に安定化するまで手段(晶析器)7において、所定時間保持される。
しかる後に、上記粒子/水溶液混合体は、例えばポンプ手段9によって、濾過位置10に移送される。濾過位置10の、上記混合体と接触する表面部は混合体の温度に近い温度に保持されている。この濾過位置において、まず脂肪粒子は、低圧力下で水溶液から分離され、しかる後に、高圧力下で上記脂肪の液体部が上記脂肪粒子から最終的に抽出される。
図1に例示した脂肪物質の結晶化方法では、粒子/水溶液混合体を形成する手段(晶析器)7において、所定の容量の水溶液中に所定容量の脂肪粒子を供給することによって、脂肪粒子4を不連続的に結晶化させる。なお、上記水溶液は、手段(回収槽)11にて調製され、混合体の濾過処理後に水溶液は手段(回収槽)11に回収・循環するように構成されている。上記混合体が調製された後、混合体は、各脂肪粒子の結晶化が完結するまで、前記手段(晶析器)7内において、保持される。そして、この結晶化が安定したときにのみ、混合体は濾過位置に移送される。
なお、本発明において、水溶液中に懸濁した状態で保持された脂肪粒子の結晶化が安定化するまで、脂肪粒子の流束に対して冷却された水溶液を向流で循環させることにより、上記混合体中の脂肪粒子を連続的に結晶化させるように構成することも可能である。
このような処理を行うために効果的に方法として、溶融した脂肪を堅形槽の底部に供給するとともに、第2図ないし第5図のいずれかに示すような脂肪を粒子に分割する装置(device)を通過するように溶融脂肪を供給する方法が効果的である。この堅形槽を通り、水溶液の流束が、堅形槽の頂部から底部の方向に連続的に、または間欠的に流れる。そして次第に凝固するように形成された粒子が、水溶液より小さい比重を有するため、上方向に移動する。そして粒子/水溶液混合体は堅形槽の頂部において溢流して安定化槽に流入する。そして結晶化作用が安定化したときに、粒子/水溶液混合体は、1組の濾過器(filters)に供給される。これらの濾過器は、上記混合体によって満たされ、加圧操作により脂肪粒子から水溶液を分離するように1台ずつ順次動作する。この後、脂肪粒子はさらに加圧された状態に置かれ粒子の液体部分が絞り出される。
第1図に図示された結晶化方法において、手段7すなわち晶析器(crystalliser)には所定量の水溶液が供給される。この水溶液量は、晶析器に供給されるべき水溶液と脂肪粒子4とにより形成される混合体の所要濃度に応じて決定される。この水溶液の温度は、供給される前に、予め脂肪の融点より低い温度に調整される。脂肪がパーム脂肪(palm fat)である場合、水溶液の温度は5から27℃の範囲であり、より好ましくは8から20℃の範囲とすることが望ましい。
脂肪は均一な粒子形状であり、この水溶液中に供給される。この脂肪粒子の直径は0.1〜5mmの範囲とされるが、好ましくは1〜3mmの間にあることが望ましい。前記水溶液に対する脂肪粒子の濃度は、10〜70%の範囲であり、パーム脂肪の場合は20〜50%の範囲が好ましい。
上記脂肪粒子の水溶液への供給が停止されるまで、脂肪粒子は撹拌運動によって水溶液中に懸濁した状態に保持される。一旦、粒子/水溶液混合体が形成された後において、その混合体の温度は10〜23℃の範囲、好ましくは17〜20℃の範囲に保持される。これにより、混合体の各脂肪粒子の結晶化が安定化する。上記混合体の温度の保持は、冷却液12を厳密に制御することにより実行される。上記混合体の温度保持は2〜24時間継続され、特にパーム脂肪の場合には4〜10時間継続することが好ましい。
上記粒子/水溶液混合体が上記温度で所定時間保持されると、混合体は第1図に示すようにポンプ圧送または圧力差によって容易に濾過器10に移送できる。なお濾過器10について後述するが、上記混合体の温度に近い温度に予め調整されている。
この濾過器(フィルタープレス)において、まず1〜4バール(0.1〜0.4MPa)の圧力で上記混合体から水溶液が分離され、回収槽11に回収される。次に15〜70バール(1.5〜7.0MPa)の圧力下で脂肪粒子の液体部分が絞り出される。脂肪がパーム脂肪である場合には、上記加圧力は20〜40バール(2.0〜4.0MPa)であることが好ましい。
使用する水溶液として単に水で形成したものを使用することができる。しかし、脂肪中に含有される遊離脂肪酸の突発的なけん化(saponification)を防止する寒天と脂肪粒子の相互凝集(mutual agglomeration)を防止する観点とから、上記水溶液は酸および界面活性剤(surfactant)を含有するものが好ましい。
上記脂肪粒子を水溶液中に供給する前に、上記酸は、水溶液に添加され、pH値が6.8〜7.0の水溶液を得る。そして、この水溶液の弱酸性は維持される。酸として、より安価で経済的な他の酸を使用しても何ら不都合はないが、抗酸化効果(anti−oxidising effect)が高いクエン酸を使用することが好ましい。一方、パーム脂肪用の界面活性剤としては、陰イオン系,陽イオン系,両性(双性)イオン系,非イオン系などの乳化剤(emulsifier)から好適なものを選択することができる。
各図に示すように上記方法を実施するための本発明に係る脂肪物質の結晶化装置は、溶融した脂肪物質の供給源14と、温度が調整可能な水溶液の供給源15′と、所定の温度に調整可能なように配置された隔壁を備えた濾過板を多数装備したフィルタープレス10とに接続された結晶化槽13を備える。
また、手段15が結晶化槽13の内部に配設される。手段15は溶融した脂肪物質が供給される部位16の近傍に配置され、上記脂肪物質を粒子4に分割するように構成される。
さらに手段6は上記結晶化槽13の内部へ供給する溶融脂肪物質の供給量および水溶液中における脂肪物質粒子の濃度を制御するために配設される。また、手段17が結晶化槽13の内部に配設され、この手段17は、上記脂肪物質粒子を水溶液中において懸濁状態に保持する。
一方、手段18が上記結晶化槽内部に配置され、この手段18は脂肪粒子/水溶液混合体の温度を所定値に保持するための冷却流体の外部供給源12に接続されている。また手段19が上記混合体を結晶化槽13から濾過器(フィルタープレス)10に移送するために配設されている。この濾過器10の隔壁は、冷却流体によって温度調整される。この冷却流体は貯槽20に貯蔵されるとともに、ポンプ21によって循環される。さらに水溶液を再利用し移送するための手段22が設けられている。上記水溶液は濾過器において脂肪粒子から分離されたものであり、水溶液の供給源15′方向に移送される。
上記結晶化槽としては、いかなる型式のものでも使用することが可能であるが、第1図および第2図に示すように堅型で保温壁(insulated well)22′を備えた結晶化槽13を使用することが有利である。この結晶化槽13において溶融した脂肪物質は、結晶化槽の底部位置16に供給される。また結晶化槽はその高さ方向の要部に熱交換器23と撹拌機24とを備えている。上記熱交換器23は結晶化槽と同心状に配置され、前記脂肪物質粒子/水溶液混合体の温度を所定の値に保持する手段18を構成する。
一方、上記撹拌機24は、結晶化槽に装着された回転軸(shaft)25と撹拌翼(blades)26とにより構成され、この回転軸25の中心軸が、結晶化槽の中心軸と一致するように配置されている。上記撹拌翼26は方向性がある(directional)ものが好ましく、撹拌翼は回転軸の長手方向および回転軸の中心軸を通る平面に対して均等に分配配置される。上記撹拌機24は、前記脂肪粒子を水溶液中に懸濁状態に保持する手段17を構成する。
また溶融脂肪を粒子に分割するために装備された前記手段15は、第1図および第2図に示すように、結晶化槽13内部に形成される。すなわち、手段15は、規則的に穿孔された多孔板27によって形成され、この多孔板27は、その周縁部が結晶化槽の下部内壁に固着するように取り付けられている。図において、この多孔板27は平坦で結晶化槽の中心軸に直交する形状に形成されているが、湾曲させたり、中高凸状に形成したり、または凹面状に形成することも可能である。多孔板27の穿孔28の寸法は、所望する脂肪粒子の体積に応じて適宜選定される。
また熱交換器23を循環する冷却液は、その温度および流量の両条件が一定となるように、ポンプ29によって制御される。上記冷却液としては、通常の水が用いられるが、使用温度条件によっては、水とプロピレングリコールとの混合体を使用してもよい。
溶融した脂肪を粒子に分割する前記手段15として、第3図および第4図に示すように、円形または箱形の泡鐘型(bell−type)の脂肪分割手段を形成してもよい。すなわち槽の中心軸に対して直角に槽内に固定され、中央開口31を有する板30上に上記泡鐘を配置して形成してもよい。この場合、両端が解放された導管32が中央開口31の周縁部に固定され、導管32が板30の上方に延びるように固定される。また、導管32を覆うように泡鐘33が板30に固定される。このとき、導管32の上端部35と泡鐘33との間に空間34が残されるように位置決めされる。この泡鐘33の全周で、板30と導管32の上部との間の領域に規則的な穿孔36が設けられている。
また、これらの脂肪を粒子に分割する手段15は、第5図に示すように、結晶化槽の中心軸に対して直角方向に槽内に固定された平板30と、平行な長穴36とによって形成することもできる。上記各長穴36は箱体37によって覆われている。この箱体37は断面がU字状であり、高さが異なるフランジ38,39を有している。この箱体37は、その長い方のフランジ38の自由端40が平板30の上面側に固定される一方、短い方のフランジ39の自由端41には多数の切欠(notcher)42が形成されている。上記切欠は自由端41の全長を規則的に分割するような位置に形成されている。
このU字形断面を有する箱体37は、2つのフランジ38,39の間のそのフランジと平行に配置された平坦な垂直隔壁(flat vertical partition)43を有する。この垂直隔壁43は、平板30に固定されるとともに、前記長穴36と短い方のフランジ39との間に配置される。この垂直隔壁43の高さは、その上端45と断面U字状の箱体の腹板(web)46との空間44が残るように調整されている。
構成要素が第6図ないし第9図に模式的に示されている濾過器10自体は、隔室板式フィルタープレス(chambered plate filter press)として公知のものである。この濾過器10において、各フィルターエレメント室47にはそれぞれ可撓性を有する濾過膜(flexible membrane)48が備えられており、この背面49に加圧した流体が供給できるように構成されている。
上記濾過器の操作手順は、次の通りである。
まず、粒子/水溶液混合体を第7図に示す濾過器の供給管50に供給し、混合体から懸濁した脂肪粒子を濾過し、さらに圧力1〜4bar(0.1〜0.4MPa)に増加させて水溶液を抽出する。水溶液は直ちに出口管51に回収され、さらに第1図に示す回収槽11に移送されて再利用される。
次に、各濾過膜48の背面の圧力を15〜70バール(1.5〜7.0MPa)に調整することにより各フィルターエレメント室47を加圧して締め固める。この間、脂肪中の液体部が出口管52方向に絞り出される。そして各フィルターエレメント室47には、第8図に示すように、生成した濾滓(product cake)56が残される。この濾滓は高い融点を有する。
次に、粒子/水溶液混合体の供給管53をブロー洗浄する。
次に、濾液の出口管54をブロー洗浄する。
次に、濾過膜48を加圧するために回路55を真空排気する。
次に、第9図に示すように濾滓56を解砕して排出する。
次に、必要に応じて洗浄工程を実施した後に、濾過器を閉止し、新たな原料混合体の移送・受入れの準備を行う。
本発明は以上述べた実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲において多くの変更や改造を施すことができるものと解釈すべきである。
当然のこととして、ラウリン系脂肪以外のいかなる脂肪物質についても、本願発明方法と同様にして、または本願発明方法と実質的に類似した方法によって処理できることは言うまでもない。また、脂肪に含有される遊離脂肪酸のけん化を防止するために、水と酸とから成る水溶液を使用することは、勿論脂肪を処理する場合にのみ適用されることも言うまでもない。
本発明は脂肪物質の結晶化方法に係り、特にラウリン系脂肪(lauricfats)およびラウリン系あるいは非ラウリン系脂肪酸(lauric or non−lauric fatty acids)について、特に加圧濾過法を用いた分別を行うための脂肪物質の結晶化方法および装置に関する。
背景技術
栄養脂肪(nutrient fats)の分野において、カカオバターの全量置換または部分置換に関する技術領域が多くの研究の主題となっている。この理由は、主にカカオバターが高価であり、また、カカオバターの主たる特徴が、人間の体温においてほぼ完全に溶融する一方、それ以下の温度において十分に固形状態を保ち、取扱い性が良好であることによる。このカカオバターの用途は製菓工場およびチョコレート製造工場での利用が主たるものであるが、薬学分野において薬剤の賦形剤・結合剤(excipient)としても市場性も無視できない。
カカオバターの代替製品は、それらがラウリン系であるか、または非ラウリン系であるかによって、つまり出発材料としての脂肪がラウリル脂肪酸を豊富に含有しているか、否かによって大きく2種類に分類される。
本発明で取扱う製品の物理的特性が脂肪の領域に属するものであるため、本発明は油脂というより、むしろラウリン系の、特に脂肪の代替製品に関するものである。
しかしながら、本発明は精製した脂肪酸と低コストで代替できる分別されたラウリン系または非ラウン系の脂肪酸の製造にも関連している。
ラウリン系の代替製品を製造するために最も多く使用される脂肪はパーム脂肪(palm fat)であり、このパーム脂肪はパーム実核(palm nut kernels)から抽出される。その他の脂肪として、ココナッツ油脂(coconut oil),カライト脂肪(karite nut fat)や、キューフィ(cuphea),ババスーヤシ(babassu),マンゴー(mangue)またはサル核(sal kernels)から得られた脂肪を使用することができる。
このパーム脂肪を出発材料として、カカオバターに類似した製品を得るために、このパーム脂肪はその固形分を除去するための分別処理を受ける。この分別処理は、ヨウ素価が約17〜19であるパーム脂肪を出発材料として、ヨウ素価が7以下の固形部分を得ることを目的としている。この油脂技術分野において、脂肪の不飽和度を測定する指標としてヨウ素価を使用することは、その測定が迅速に可能であることおよび製品品質に良く対応した値が得られることなどの理由から広く知られている。製品の組成や物理的挙動については、より厳格で正確な判定を行うために他の分析方法が併用される。
現在、一般的に使用されている上記脂肪物質の分別プロセスは、下記のような異なった4つの方法により実施されている。
すなわち、第1の方法においては、脂肪物質は溶媒(一般的にはアセトン)と混合され、得られた混合物はその混合物中において結晶核の生成および結晶の成長が起こるまで、対流または蒸発による冷凍処理を実施される。これらの生成した結晶を調整(tempering)することにより安定化せしめた後に、結晶は濾過,デカンテーションや他の分離方法により液相部分から分離される。
第2の方法においては、脂肪物質は溶媒を使用せずに結晶化される。すなわち脂肪物質は、冷却されて界面活性剤(surfactant)と混合されて結晶化される。そして結晶化された部分が遠心分離法によって分離される。このプロセスは、ランザプロセス(Lanza process)の名称で広く知られている。
第3の方法においては、脂肪物質は、低温槽内に配置されたトレー(trays)または冷凍用トンネル内に移送されたトレー内において結晶化され凝固される。凝固した板状の脂肪物質は濾過袋(filtering bags)中に収容され、各濾過袋は油圧プレスの保持枠(cage)内に積み重ねられる。この状態で高圧力を作用させることにより、脂肪物質の軟質部(soft portion)は、油圧プレス内に残る脂肪物質の剛体部(rigid part)の性質が所定状態になるまで絞り出される。そして濾過袋は取り出され、前記剛体部から成る濾滓(cakes)は解砕される。
第4の方法においては、脂肪物質は結晶化槽内において部分的に凝固される。すなわち、ポンプ輸送が可能となるような限界範囲で脂肪物質が過冷却状態(super−cooling state)になるまで冷却される。次に脂肪物質はポンプによりフィルタープレス(濾過器)の濾過室(chambers)に供給される。フィルタープレスには冷却された隔壁を有する多数の濾過板と濾過膜(membranes)とを備えている。そして脂肪物質をフィルタープレス内に供給した後に、このフィルタープレスは、脂肪物質の結晶相の凝固および安定化に必要な時間の間だけ放置される。しかる後に、脂肪物質から液体部分を絞り出すために重要な圧力(この場合においては25〜70bars(2.5〜7.5MPa))を各濾過膜の背面側に作用させる。その後、この加圧力を取り除き、フィルタープレスを開枠して固形材である濾滓を解砕して取り出す。
上記公知の4つの処理方法のうち、前記先行する3つの処理方法のプロセスコストが高くなるという事実を考慮すると、最後の第4の方法が最も発達しており妥当である。すなわち、第1の方法においては、溶剤を回収するために必要なエネルギーコストおよび消耗した溶剤を補給するために必要なコストが大きくなる。一方、第2の方法においては、界面活性剤のコストが高くなる上に脂肪物質のロスが多くコスト増となる一方、第3の方法においてはプロセスの運転管理に要する労力コストが大きくなるためである。
しかしながら、上記第4の方法は前記第1〜第3の方法と比較して優位性を有しているにも拘らず、以下に示すような解決すべき課題を有していた。すなわち、脂肪物質の結晶化の制御が困難であるという問題点があった。また、結晶化した脂肪物質塊を、フィルタープレスの全濾過室に充満させるように移送することが困難であり、空の濾過室や部分的に空になった濾過室への加圧操作により、各濾過板が拘束されてしまうなどの問題点があった。
本発明は上記第4の方法を実施した場合に生じる上記の問題点に対して簡便かつ効果的な解決を与えることができる脂肪物質の結晶化方法およびその方法を実施するための装置を提供することを目的とする。
発明の開示
上記目的を達成するため、本発明に係る脂肪物質の結晶化方法は、脂肪物質を溶融せしめ、得られた溶融塊を分割して可及的に均質であり、一定の寸法を有する粒子(beads:溶球)を調製し、これらの粒子を、脂肪物質の融点より低い温度に予め冷却された水溶液中に供給し、脂肪物質粒子を凝固させるために必要な熱量を水溶液が吸収するように、水溶液に対する脂肪物質の濃度を調整し、脂肪物質粒子の表面部が迅速に凝固し、引き続き粒子全体に凝固が進行するような粒子/水溶液間の熱交換を各脂肪物質粒子が受けるように、水溶液に対する脂肪物質粒子の供給量を制御し、上記脂肪物質粒子を上記水溶液中で懸濁状態に保持し、上記粒子/水溶液の混合物の温度を、各粒子の結晶化が安定するように調整し、上記混合物の温度を、結晶化が完全に安定するまで維持し、引き続き、上記粒子/水溶液混合物と接触する表面が上記混合物の温度に近い温度に保持された表面を有する濾過位置に、上記粒子/水溶液混合物を移送し、低圧力下において上記水溶液から脂肪物質粒子を分離し、最後に、高圧力下において上記脂肪物質粒子から脂肪物質の液体部を抽出する各工程からなることを特徴とする。
本発明の他の目的は、上記プロセスを実施するための装置を提供することにある。すなわち、本発明に係る脂肪物質の結晶化装置は、溶融した脂肪物質の供給源と、温度が調製可能な水溶液の供給源と、所定の温度に調整可能なように配置された隔壁を備えた濾過板を多数装備したフィルタープレスとに接続された結晶化槽と、上記結晶化槽の内部に位置し、溶融した脂肪物質が供給される部位に配置され、上記脂肪物質を粒子に分割する手段と、上記結晶化槽内部へ供給する溶融脂肪物質の供給量および水溶液中における脂肪物質粒子の濃度を制御する手段と、上記結晶化槽内部に配置され、上記脂肪物質粒子を水溶液中において懸濁状態に保持する手段と、上記結晶化槽内部に配置され、脂肪物質粒子/水溶液混合物の温度を所定値に保持する手段となる冷却後の外部供給源に接続された温度調整手段と、上記混合物を上記結晶化槽からフィルタープレスに移送する手段とを備えることを特徴とする。
本発明のその他の詳細事項および特徴的構成については、本願明細書に添付した図面の記載内容から、より明確になるであろう。上記図面は本発明の方法を非限定的に例示したものであり、また本発明方法を実施するための装置をも示している。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の係る方法および装置を模式的に示す系統図、第2図は上記装置の結晶化槽を部分的に破断して模式的に示す正面図、第3図,第4図および第5図は、第2図に示す結晶化槽の変形例をそれぞれ示し、部分的に破断して示す斜視詳細図、第6図,第7図,第8図および第9図は、それぞれ本発明装置で使用するフィルタープレス(濾過器)のフィルターエレメントを模式的に示す縦断面図であり、第6図は脂肪物質/水溶液混合体の供給を受けるために待機している空のフィルターエレメントを示しており、第7図は混合体を供給した状態を示し、第8図および第9図は、それぞれ上記混合体を圧縮した状態、および固形の濾滓を排出している。
発明を実施するための最良の状態
本発明をより詳細に詳述するため、添付の図面に従ってこれを説明する。なお、添付の各図面において、同一の参照符号は同一または類似の構成要素を示している。
まず、第1に本願発明の範囲において、「脂肪物質(fatty substance)」という記載は、可及的に広い意味を有するものであり、脂肪酸のみならず脂肪を含有する脂肪酸をも意味し、これらの脂肪および脂肪酸がラウリン系のものであるか、非ラウリン系であるかを問わないものと解すべきである。しかしながら、前記のように、本願発明の方法は、ラウリン系脂肪およびラウリン系または非ラウリン系脂肪酸を処理するために、特に好適である。
添付図面に例示された本願発明に係る脂肪物質の結晶化方法は、水溶液中においてラウリン系の脂肪を結晶化する一方、後の加圧濾過によって分別し、濾過操作時に水溶液を回収するというプロセスに適用される。この結晶化方法は、まず第1に、手段(脂肪物質貯槽)1において脂肪を溶融する工程と手段(分割手段)2において上記溶融した脂肪塊3を粒子(beads)4に分割する工程とを有する。分割された粒子4は可及的に一定であり、この粒子は脂肪の融点より低い所定の温度に予め冷却された水溶液5内に供給される。水溶液に対する脂肪粒子の濃度は、脂肪粒子を凝固させるために必要な熱量を吸収する水溶液の容量によって調整される。そして水溶液5への脂肪粒子4の供給量は、手段(移送手段)6によって調節される。ここで供給量は、各脂肪粒子が粒子/水溶液相互間の熱交換を迅速に受け、その熱交換により粒子の表面が迅速に凝固し、引き続き粒子塊全体に凝固が進行するように調節される。
脂肪粒子は、手段(晶析器)7の水溶液中に懸濁状態で保持され、粒子/水溶液混合体8の温度は、各粒子の結晶化が安定するように調整される。そして混合体の温度は、上記結晶化が完全に安定化するまで手段(晶析器)7において、所定時間保持される。
しかる後に、上記粒子/水溶液混合体は、例えばポンプ手段9によって、濾過位置10に移送される。濾過位置10の、上記混合体と接触する表面部は混合体の温度に近い温度に保持されている。この濾過位置において、まず脂肪粒子は、低圧力下で水溶液から分離され、しかる後に、高圧力下で上記脂肪の液体部が上記脂肪粒子から最終的に抽出される。
図1に例示した脂肪物質の結晶化方法では、粒子/水溶液混合体を形成する手段(晶析器)7において、所定の容量の水溶液中に所定容量の脂肪粒子を供給することによって、脂肪粒子4を不連続的に結晶化させる。なお、上記水溶液は、手段(回収槽)11にて調製され、混合体の濾過処理後に水溶液は手段(回収槽)11に回収・循環するように構成されている。上記混合体が調製された後、混合体は、各脂肪粒子の結晶化が完結するまで、前記手段(晶析器)7内において、保持される。そして、この結晶化が安定したときにのみ、混合体は濾過位置に移送される。
なお、本発明において、水溶液中に懸濁した状態で保持された脂肪粒子の結晶化が安定化するまで、脂肪粒子の流束に対して冷却された水溶液を向流で循環させることにより、上記混合体中の脂肪粒子を連続的に結晶化させるように構成することも可能である。
このような処理を行うために効果的に方法として、溶融した脂肪を堅形槽の底部に供給するとともに、第2図ないし第5図のいずれかに示すような脂肪を粒子に分割する装置(device)を通過するように溶融脂肪を供給する方法が効果的である。この堅形槽を通り、水溶液の流束が、堅形槽の頂部から底部の方向に連続的に、または間欠的に流れる。そして次第に凝固するように形成された粒子が、水溶液より小さい比重を有するため、上方向に移動する。そして粒子/水溶液混合体は堅形槽の頂部において溢流して安定化槽に流入する。そして結晶化作用が安定化したときに、粒子/水溶液混合体は、1組の濾過器(filters)に供給される。これらの濾過器は、上記混合体によって満たされ、加圧操作により脂肪粒子から水溶液を分離するように1台ずつ順次動作する。この後、脂肪粒子はさらに加圧された状態に置かれ粒子の液体部分が絞り出される。
第1図に図示された結晶化方法において、手段7すなわち晶析器(crystalliser)には所定量の水溶液が供給される。この水溶液量は、晶析器に供給されるべき水溶液と脂肪粒子4とにより形成される混合体の所要濃度に応じて決定される。この水溶液の温度は、供給される前に、予め脂肪の融点より低い温度に調整される。脂肪がパーム脂肪(palm fat)である場合、水溶液の温度は5から27℃の範囲であり、より好ましくは8から20℃の範囲とすることが望ましい。
脂肪は均一な粒子形状であり、この水溶液中に供給される。この脂肪粒子の直径は0.1〜5mmの範囲とされるが、好ましくは1〜3mmの間にあることが望ましい。前記水溶液に対する脂肪粒子の濃度は、10〜70%の範囲であり、パーム脂肪の場合は20〜50%の範囲が好ましい。
上記脂肪粒子の水溶液への供給が停止されるまで、脂肪粒子は撹拌運動によって水溶液中に懸濁した状態に保持される。一旦、粒子/水溶液混合体が形成された後において、その混合体の温度は10〜23℃の範囲、好ましくは17〜20℃の範囲に保持される。これにより、混合体の各脂肪粒子の結晶化が安定化する。上記混合体の温度の保持は、冷却液12を厳密に制御することにより実行される。上記混合体の温度保持は2〜24時間継続され、特にパーム脂肪の場合には4〜10時間継続することが好ましい。
上記粒子/水溶液混合体が上記温度で所定時間保持されると、混合体は第1図に示すようにポンプ圧送または圧力差によって容易に濾過器10に移送できる。なお濾過器10について後述するが、上記混合体の温度に近い温度に予め調整されている。
この濾過器(フィルタープレス)において、まず1〜4バール(0.1〜0.4MPa)の圧力で上記混合体から水溶液が分離され、回収槽11に回収される。次に15〜70バール(1.5〜7.0MPa)の圧力下で脂肪粒子の液体部分が絞り出される。脂肪がパーム脂肪である場合には、上記加圧力は20〜40バール(2.0〜4.0MPa)であることが好ましい。
使用する水溶液として単に水で形成したものを使用することができる。しかし、脂肪中に含有される遊離脂肪酸の突発的なけん化(saponification)を防止する寒天と脂肪粒子の相互凝集(mutual agglomeration)を防止する観点とから、上記水溶液は酸および界面活性剤(surfactant)を含有するものが好ましい。
上記脂肪粒子を水溶液中に供給する前に、上記酸は、水溶液に添加され、pH値が6.8〜7.0の水溶液を得る。そして、この水溶液の弱酸性は維持される。酸として、より安価で経済的な他の酸を使用しても何ら不都合はないが、抗酸化効果(anti−oxidising effect)が高いクエン酸を使用することが好ましい。一方、パーム脂肪用の界面活性剤としては、陰イオン系,陽イオン系,両性(双性)イオン系,非イオン系などの乳化剤(emulsifier)から好適なものを選択することができる。
各図に示すように上記方法を実施するための本発明に係る脂肪物質の結晶化装置は、溶融した脂肪物質の供給源14と、温度が調整可能な水溶液の供給源15′と、所定の温度に調整可能なように配置された隔壁を備えた濾過板を多数装備したフィルタープレス10とに接続された結晶化槽13を備える。
また、手段15が結晶化槽13の内部に配設される。手段15は溶融した脂肪物質が供給される部位16の近傍に配置され、上記脂肪物質を粒子4に分割するように構成される。
さらに手段6は上記結晶化槽13の内部へ供給する溶融脂肪物質の供給量および水溶液中における脂肪物質粒子の濃度を制御するために配設される。また、手段17が結晶化槽13の内部に配設され、この手段17は、上記脂肪物質粒子を水溶液中において懸濁状態に保持する。
一方、手段18が上記結晶化槽内部に配置され、この手段18は脂肪粒子/水溶液混合体の温度を所定値に保持するための冷却流体の外部供給源12に接続されている。また手段19が上記混合体を結晶化槽13から濾過器(フィルタープレス)10に移送するために配設されている。この濾過器10の隔壁は、冷却流体によって温度調整される。この冷却流体は貯槽20に貯蔵されるとともに、ポンプ21によって循環される。さらに水溶液を再利用し移送するための手段22が設けられている。上記水溶液は濾過器において脂肪粒子から分離されたものであり、水溶液の供給源15′方向に移送される。
上記結晶化槽としては、いかなる型式のものでも使用することが可能であるが、第1図および第2図に示すように堅型で保温壁(insulated well)22′を備えた結晶化槽13を使用することが有利である。この結晶化槽13において溶融した脂肪物質は、結晶化槽の底部位置16に供給される。また結晶化槽はその高さ方向の要部に熱交換器23と撹拌機24とを備えている。上記熱交換器23は結晶化槽と同心状に配置され、前記脂肪物質粒子/水溶液混合体の温度を所定の値に保持する手段18を構成する。
一方、上記撹拌機24は、結晶化槽に装着された回転軸(shaft)25と撹拌翼(blades)26とにより構成され、この回転軸25の中心軸が、結晶化槽の中心軸と一致するように配置されている。上記撹拌翼26は方向性がある(directional)ものが好ましく、撹拌翼は回転軸の長手方向および回転軸の中心軸を通る平面に対して均等に分配配置される。上記撹拌機24は、前記脂肪粒子を水溶液中に懸濁状態に保持する手段17を構成する。
また溶融脂肪を粒子に分割するために装備された前記手段15は、第1図および第2図に示すように、結晶化槽13内部に形成される。すなわち、手段15は、規則的に穿孔された多孔板27によって形成され、この多孔板27は、その周縁部が結晶化槽の下部内壁に固着するように取り付けられている。図において、この多孔板27は平坦で結晶化槽の中心軸に直交する形状に形成されているが、湾曲させたり、中高凸状に形成したり、または凹面状に形成することも可能である。多孔板27の穿孔28の寸法は、所望する脂肪粒子の体積に応じて適宜選定される。
また熱交換器23を循環する冷却液は、その温度および流量の両条件が一定となるように、ポンプ29によって制御される。上記冷却液としては、通常の水が用いられるが、使用温度条件によっては、水とプロピレングリコールとの混合体を使用してもよい。
溶融した脂肪を粒子に分割する前記手段15として、第3図および第4図に示すように、円形または箱形の泡鐘型(bell−type)の脂肪分割手段を形成してもよい。すなわち槽の中心軸に対して直角に槽内に固定され、中央開口31を有する板30上に上記泡鐘を配置して形成してもよい。この場合、両端が解放された導管32が中央開口31の周縁部に固定され、導管32が板30の上方に延びるように固定される。また、導管32を覆うように泡鐘33が板30に固定される。このとき、導管32の上端部35と泡鐘33との間に空間34が残されるように位置決めされる。この泡鐘33の全周で、板30と導管32の上部との間の領域に規則的な穿孔36が設けられている。
また、これらの脂肪を粒子に分割する手段15は、第5図に示すように、結晶化槽の中心軸に対して直角方向に槽内に固定された平板30と、平行な長穴36とによって形成することもできる。上記各長穴36は箱体37によって覆われている。この箱体37は断面がU字状であり、高さが異なるフランジ38,39を有している。この箱体37は、その長い方のフランジ38の自由端40が平板30の上面側に固定される一方、短い方のフランジ39の自由端41には多数の切欠(notcher)42が形成されている。上記切欠は自由端41の全長を規則的に分割するような位置に形成されている。
このU字形断面を有する箱体37は、2つのフランジ38,39の間のそのフランジと平行に配置された平坦な垂直隔壁(flat vertical partition)43を有する。この垂直隔壁43は、平板30に固定されるとともに、前記長穴36と短い方のフランジ39との間に配置される。この垂直隔壁43の高さは、その上端45と断面U字状の箱体の腹板(web)46との空間44が残るように調整されている。
構成要素が第6図ないし第9図に模式的に示されている濾過器10自体は、隔室板式フィルタープレス(chambered plate filter press)として公知のものである。この濾過器10において、各フィルターエレメント室47にはそれぞれ可撓性を有する濾過膜(flexible membrane)48が備えられており、この背面49に加圧した流体が供給できるように構成されている。
上記濾過器の操作手順は、次の通りである。
まず、粒子/水溶液混合体を第7図に示す濾過器の供給管50に供給し、混合体から懸濁した脂肪粒子を濾過し、さらに圧力1〜4bar(0.1〜0.4MPa)に増加させて水溶液を抽出する。水溶液は直ちに出口管51に回収され、さらに第1図に示す回収槽11に移送されて再利用される。
次に、各濾過膜48の背面の圧力を15〜70バール(1.5〜7.0MPa)に調整することにより各フィルターエレメント室47を加圧して締め固める。この間、脂肪中の液体部が出口管52方向に絞り出される。そして各フィルターエレメント室47には、第8図に示すように、生成した濾滓(product cake)56が残される。この濾滓は高い融点を有する。
次に、粒子/水溶液混合体の供給管53をブロー洗浄する。
次に、濾液の出口管54をブロー洗浄する。
次に、濾過膜48を加圧するために回路55を真空排気する。
次に、第9図に示すように濾滓56を解砕して排出する。
次に、必要に応じて洗浄工程を実施した後に、濾過器を閉止し、新たな原料混合体の移送・受入れの準備を行う。
本発明は以上述べた実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲において多くの変更や改造を施すことができるものと解釈すべきである。
当然のこととして、ラウリン系脂肪以外のいかなる脂肪物質についても、本願発明方法と同様にして、または本願発明方法と実質的に類似した方法によって処理できることは言うまでもない。また、脂肪に含有される遊離脂肪酸のけん化を防止するために、水と酸とから成る水溶液を使用することは、勿論脂肪を処理する場合にのみ適用されることも言うまでもない。
Claims (28)
- 脂肪物質の結晶化方法であり、特に加圧濾過によって分別されるラウリン系脂肪やラウリン系または非ラウリン系脂肪酸などの脂肪物質の結晶化方法において、脂肪物質を溶融せしめ、得られた溶融塊を分割して可及的に均質であり、直径が0.1〜3mmである粒子を調製し、これらの粒子を脂肪物質の融点より低い温度に予め冷却された水溶液であり、かつクエン酸を含有する水溶液中に供給し、脂肪物質粒子を凝固させるために必要な熱量を水溶液が吸収するように、水溶液に対する脂肪物質の濃度を調整し、脂肪物質粒子の表面部が迅速に凝固し、引き続き粒子全体に凝固が進行するような粒子/水溶液間の熱交換を各脂肪物質粒子が受けるように、水溶液に対する脂肪物質粒子の供給量を制御し、上記脂肪物質粒子を上記水溶液中で懸濁状態に保持し、上記粒子/水溶液混合物の温度を、各粒子の結晶化が安定するように調整し、上記混合物の温度を、結晶化が完全に安定するまで維持し、引き続き、上記粒子/水溶液混合物と接触する表面が上記混合物の温度に近い温度に保持された表面を有する濾過位置に、上記粒子/水溶液混合物を移送し、低圧力下において上記水溶液から脂肪物質粒子を分離し、最後に、高圧力下において上記脂肪物質粒子から脂肪物質の液体部を抽出する各工程からなることを特徴とする脂肪物質の結晶化方法。
- 所定体積の水溶液に所定体積の脂肪物質粒子を供給することにより、脂肪物質を非連続的に結晶化することを特徴とする請求の範囲第1項記載の脂肪物質の結晶化方法。
- 脂肪物質粒子の流束に対して水溶液を向流に循環させることにより、脂肪物質を連続的に結晶化することを特徴とする請求の範囲第1項記載の脂肪物質の結晶化方法。
- パーム脂肪のような脂肪物質の粒子が、5〜27℃の範囲の温度を有する水溶液中に供給されることを特徴とする請求の範囲第1項ないし第3項のいずれかに記載の脂肪物質の結晶化方法。
- 前記水溶液の温度が、8〜20℃であることを特徴とする請求の範囲第4項記載の脂肪物質の結晶化方法。
- 前記水溶液が水から成ることを特徴とする請求の範囲第1項ないし第5項のいずれかに記載の脂肪物質の結晶化方法。
- 脂肪粒子中に含有される遊離脂肪酸のけん化を防止するために、前記水溶液を水と酸とから構成することを特徴とする請求の範囲第4項記載の脂肪物質の結晶化方法。
- 脂肪粒子を水溶液中に供給する前に、水溶液のpH値が6.8〜7.0となるように前記酸を水に添加することを特徴とする請求の範囲第7項記載の脂肪物質の結晶化方法。
- 水溶液中における各脂肪物質の均一性を維持するため、および上記脂肪物質粒子の相互の凝集を防止するために、上記水溶液は界面活性剤を含有することを特徴とする請求の範囲第1項ないし第8のいずれかに記載の脂肪物質の結晶化方法。
- 前記界面活性剤として、陰イオン系,陽イオン系,両性(双性)イオン系,非イオン系の乳化剤のいずれかを選択することを特徴とする請求の範囲第9項記載の脂肪物質の結晶化方法。
- 粒子/水溶液混合体を撹拌することにより、脂肪物質を水溶液中において懸濁状態に保持することを特徴とする請求の範囲第1項ないし第10項のいずれかに記載の脂肪物質の結晶化方法。
- 脂肪粒子を結晶化する間、前記脂肪粒子/水溶液混合体の温度を10〜23℃の範囲に維持することを特徴とする請求の範囲第4項記載の脂肪物質の結晶化方法。
- 前記脂肪粒子/水溶液混合体の温度を17〜20℃の範囲に維持することを特徴とする請求の範囲第12項記載の脂肪物質の結晶化方法。
- 水溶液に対する脂肪物質の濃度が10〜70%となるように、水溶液中に所定量の脂肪物質粒子を供給することを特徴とする請求の範囲第1項ないし第13項のいずれかに記載の脂肪物質の結晶化方法。
- 水溶液中に供給される脂肪物質粒子量は、その粒子の濃度が20〜50%の範囲になるように調整されることを特徴とする請求の範囲第14項記載の脂肪物質の結晶化方法。
- 上記粒子の全量凝固を確保するために、脂肪物質粒子/水溶液混合体の温度を、2〜24時間維持することを特徴とする請求の範囲第1項ないし第15項のいずれかに記載の脂肪物質の結晶化方法。
- 上記混合体の温度を維持する期間が4〜10時間であることを特徴とする請求の範囲第16項記載の脂肪物質の結晶化方法。
- 前記水溶液は1〜4バール(0.1〜0.4MPa)の圧力での濾過操作により脂肪物質粒子から分離されることを特徴とする請求の範囲第1項ないし第17項のいずれかに記載の脂肪物質の結晶化方法。
- 脂肪物質粒子を水溶液から分離した後に、脂肪物質粒子に15〜70バール(1.5〜7.0MPa)の圧力を付加して脂肪物質の液体部を絞り出して濾過し、高融点を有する製品濾滓を残留物として残すことを特徴とする請求の範囲第1項ないし第18項のいずれかに記載の脂肪物質の結晶化方法。
- 上記脂肪物質粒子に付加される圧力が20〜40バール(2.0〜4.0MPa)であることを特徴とする請求の範囲第19項記載の脂肪物質の結晶化方法。
- 前記水溶液は脂肪物質粒子/水溶液混合体から分離された後に再利用されることを特徴とする請求の範囲第1項ないし第20項のいずれかに記載の脂肪物質の結晶化方法。
- 前記請求の範囲第1項ないし第21項のいずれかに記載された方法を実施するための脂肪物質の結晶化装置において、溶融した脂肪物質の供給源14と、クエン酸を含有し温度が調整可能な水溶液の供給源15′と、所定の温度に調整可能なように配置された隔壁を備えた濾過板を多数装備したフィルタープレス(濾過器)10とに接続された結晶化槽13と、上記結晶化槽13の内部に位置し、溶融した脂肪物質が供給される部位16に配置され、上記脂肪物質を直径が0.1〜3mmである粒子に分割する手段15と、上記結晶化槽13内部へ供給する溶融脂肪物質の供給量および水溶液中における脂肪物質粒子の濃度を制御する手段6と、上記結晶化槽13内部に配置され、上記脂肪物質粒子4を水溶液中において懸濁状態に保持する手段17と、上記結晶化槽13内部に配置され、脂肪物質粒子/水溶液混合物の温度を所定値に保持する手段となる冷却液の外部供給源12に接続された温度調整手段18と、上記混合物を上記結晶化槽からフィルタープレスに移送する手段19とを備えることを特徴とする脂肪物質の結晶化装置。
- 上記濾過器および水溶液の供給源は、濾過された水溶液を再利用するための手段(22)を備えることを特徴とする請求の範囲第22項記載の脂肪物質の結晶化方法。
- 前記結晶化槽13は、保温壁22′を備えた堅形円筒型であり、溶融した脂肪物質が底部に供給され、この結晶化槽はその高さ方向の要部に熱交換器23と撹拌機24とを備え、上記熱交換器23は結晶化槽と同心状に配置され、前記脂肪物質粒子/水溶液混合体の温度を所定の値に保持する手段18を構成する一方、上記撹拌機24は、結晶化槽に装着された回転軸25と撹拌翼26とにより構成され、この回転軸25の中心軸が、結晶化槽の中心軸と一致するように配置され、上記撹拌翼26は方向性があるものが好ましく、回転軸25の長手方向および回転軸の中心軸を通る平面に対して均等に分配配置され、上記撹拌機24は、前記脂肪粒子を水溶液中において懸濁状態に保持する手段17を構成することを特徴とする請求の範囲第22項又は第23項記載の脂肪物質の結晶化装置。
- 前記溶融脂肪を粒子に分割するために装備された前記手段15は、規則的に穿孔された多孔板27によって形成され、この多孔板27は、その周縁部が結晶化槽の下部内壁に固着するように取り付けられており、この多孔板27は平坦で結晶化槽の中心軸に直交する形状に形成されているか、または湾曲させたり、中高凸状に形成されたり、または凹面状に形成されるとともに、この多孔板27の穿孔28の寸法は、所望する脂肪粒子の体積に応じて適宜選定されることを特徴とする請求の範囲第24項記載の脂肪物質の結晶化装置。
- 前記溶融した脂肪物質を粒子4に分割する手段15は、円形または箱形の泡鐘型手段であり、この手段は、結晶化槽の中心軸に対して直角に固定された板30であって中央開口31を有する板30上に配置され、この手段は両端が開放された導管32を有し、この導管32は上記中央開口31に固定されて上記板30の上方に延びるように形成される一方、この手段は上記導管32を覆うように板30に固定された泡鐘33を備え、この泡鐘33は、上記導管32の上端部と泡鐘33との間に空間34が残るように固定され、この泡鐘33の全外周で板30と導管32の上部35との間の領域には、規則的な穿孔36が形成されていることを特徴とする請求の範囲第24項記載の脂肪物質の結晶化装置。
- 前記溶融した脂肪物質を粒子に分割する手段は、結晶化槽の中心軸に対して直角方向に結晶化槽内に固定された平板30と、平行な長穴36とを備え、上記各長穴36は箱体37によって覆われており、この箱体37は断面がU字状であり、高さが異なるフランジ38,39を有し、この箱体37は、その長い方のフランジ38の自由端40が平板30の上面側に固定される一方、短い方のフランジ39の自由端41には多数の切欠42が形成されており、上記切欠は自由端41の全長を規則的に分割するような位置に形成されており、このU字形断面を有する箱体37は、2つのフランジ38,39の間にそのフランジと平行に配置された平坦な隔壁43を有し、この隔壁43は、平板30に固定されるとともに、前記長穴36と短い方のフランジ39との間に配置され、この隔壁43の高さは、その上端45と断面U字状の箱体の腹板46との間に空間44が残るように調整されていることを特徴とする請求の範囲第24項記載の脂肪物質の結晶化装置。
- 前記濾過器10が濾過膜を装備したフィルタープレス型濾過器であることを特徴とする請求の範囲第22項ないし第27項のいずれかに記載の脂肪物質の結晶化装置。
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