JP3555360B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等に用いられるトロイダル型無段変速機における伝達トルクの均等化のための機構に関する。
【0002】
【従来の技術】トロイダル型無段変速装置は、特開昭56ー108947号公報や特開昭58ー54262号公報に記載された技術の様に、入出力ディスク間にパワーローラを大きな力で押しつけ、その間の油膜の剪断によって動力をつたえる。動力伝達時に作用する力は接触点でのディスクとパワーローラの速度ベクトルの差のベクトルに比例したものとなる。変速はパワーローラを傾転させることにより接触点での入出力ディスクの半径比を変化させることで行なう。パワーローラは回転自在に、かつ、傾転運動も可能な状態でローラ支持部材により支持される。ローラ支持部材は油圧シリンダ装置により軸方向に変位可能な構造となっている。
【0003】
油圧シリンダ装置の油圧は変速制御弁により制御される。この変速制御弁は互いに相対移動可能な状態にはまり合ったスリーブ及びスプールを有している。スリーブ及びスプールの一方は変速制御装置のコントローラで得られた目標変速比に応じて、ステップモータなどのアクチュエータにより位置が制御され、他方は前記ローラ支持部材の傾転角度(変速比)に応じてローラ支持部材と連結されたカムにより位置が決定される構成となっている。ここで、カムと変速制御弁との接触を確実なものとするために、バネにより変速制御弁の一方がカムに押しつけられる構成になっている。
【0004】
トロイダル型無段変速機は、伝達トルク容量を大きくするために複数のパワーローラを有する構成とするが、例えば、入出力ディスクを二組み有するダブルキャビティ型で、各キャビティにパワーローラを2個づつ計4個有するもの等が一般的である。
【0005】
このように複数のパワーローラを有していても、その内の一つにだけプリセスカムが接続され、そのパワーローラの傾転角度量と軸方向変位量を機械的に変速制御弁へとフィードバックして傾転角度を制御する構成となっている。
つまり制御油圧は、プリセスカムが接続されているパワーローラはもちろん、残りのパワーローラに対しても作用する構成となっている。即ち、各パワーローラを駆動する油圧シリンダ装置には、共通の制御圧が作用することになり、その制御圧に釣り合うだけのトルクを各パワーローラが伝達するので、伝達トルクは全て等しくなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このようなトロイダル型無段変速機にあっては、先にも述べたように、カム機構と変速制御弁の接続を確実なものとするために、バネを用いて予圧する構造となっている。このバネによる予圧力はカム付きの支持機構に対しては、反力が常に作用する。つまり、カム付きの支持機構には制御圧+バネ力が作用するのに対し、残りの支持機構には制御圧のみが作用するため、トルク分担に不均衡が生じる。
【0007】
このトルク分担の不均衡は、パワーローラ毎に傾転角度に微小な差が生じて、入出力ディスクとの接触点におけるスリップ率の差を発生させて吸収している。即ち、伝達トルクがプラスの場合、トルク分担が大きなパワーローラはスリップ率が大きくなる変速比Hi側へと微小に傾転し、その分トラクション係数が大きくなり、等しい押圧力で、より大きなトラクション力を発生させ、これがピストン差圧力+バネ力と釣り合う。
反対にトルク分担が小さなパワーローラはスリップ率が小さくなる変速比Low側へと微小に傾転し、その分トラクション係数が小さくなり、等しい押圧力で、より小さなトラクション力を発生し、これがピストン差圧力と釣り合う。
【0008】
ところで、トロイダル型無段変速機における押圧力は一定の力を発生する皿バネと入力トルクに比例した押圧力を発生するローディングカムにより、図6の様な特性を持っている。ローディングカムによる押圧力で運転している領域では、接触点でのトラクション係数が一定値になるように設定されており、設計トラクション係数と呼んでいる(皿バネ領域では、一定の押圧力であるため運転時のトラクション係数より小さな値となり余裕は大きくなる)。
この設計トラクション係数は接触点でのトラクションオイルの特性から決まるトラクション係数の最大値から、余裕代を考えて決められる。設計トラクション係数を大きくし過ぎれば、滑りまでの余裕が小さくなり、小さくし過ぎると、押圧力を大きく設定しなければならず、回転部材のフリクションの増大を招き、効率が悪化する。従って、通常は、ある余裕を見込んだ上で、できるだけ大きな値となるような設計トラクション係数を設定する。
【0009】
しかしながら、先に述べた様なトルク分担の不均衡が生じると、もっともトルクを分担している、即ち、最も大きなトラクション係数で運転している接触点を基準に設計する必要が生じてくる。そして、最もトルク分担の不均衡が大きくなるのは、押圧力が皿バネからローディングカムへと変化する辺り(図6で示す丸の周辺)で運転している場合である。なぜならば、接触点に於けるトラクション力の大きさに対して、バネ力の大きさの割合が最大となるからである。従って、一定の余裕を確保するためには、少なくとも、皿バネの力を強くする事が必要となる(より完璧にするためにはローディングカムの設計トラクション係数も少し小さくする必要がある。)。しかしながら、これらは変速機としての効率の悪化を招くという問題がある。
本発明は、かかる従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、変速機としての効率を悪化させることなく、伝達トルクの均等化を図ったトロイダル型無段変速機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために本発明のトロイダル型無段変速機では、
(1)プリセスカムが接続されていないパワーローラ支持部材に、カム機構と変速制御弁を接続するための予圧機構と同等の力を作用させるための予圧力キャンセル手段を設ける事で、全てのパワーローラ支持部材に作用する力を均等化させることで、各パワーローラのトルク分担を均等化させるものである。
(2)プリセスカムが接続されているパワーローラ支持部材に、カム機構と変速制御弁を接続するための予圧機構とほぼ等しく、反対向きの力を発生させる予圧力キャンセル手段を設ける事で予圧機構の反力を相殺し、各パワーローラのトルク分担を均等化させるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は本実施の形態のトロイダル型無段変速機を示し、図2はその断面を示したものである。
上記図1に示すトロイダル型無段変速機10は図中左側に設けられる動力源としての図外のエンジンの回転が、トルクコンバータ12を介して該トロイダル型無段変速機10に入力されるようになっている。
上記トルクコンバータ12は一般に良く知られているものであって、ポンプインペラ12a、タービンランナ12bおよびステータ12cを備え、特に該トルクコンバータ12ではロックアップクラッチ12dが設けられている。
【0012】
そして、上記トロイダル型無段変速機10は、上記トルクコンバータ12の出力回転軸14と同軸上に配置されるトルク伝達軸16が設けられ、該トルク伝達軸16に第一トロイダル変速部18と第二トロイダル変速部20とがタンデム配置されている。
上記トルク伝達軸16は中空に形成されると共に、ハウジング22に対し軸方向の若干の移動が可能に取付けられている。
【0013】
上記第一、第二トロイダル変速部18、20は、それぞれの対向面がトロイダル曲面に形成される一対の第一入力ディスク18a、第一出力ディスク18bおよび第二入力ディスク20a、第二出力ディスク20bと、それぞれの対向面間に摩擦接触されるパワーローラ18c、18dおよび20c、20dとによって構成される。
【0014】
上記第一トロイダル変速部18は上記トルク伝達軸16の図中左方に配置されると共に、上記第二トロイダル変速部20は該トルク伝達軸16の図中右方に配置され、かつ、それぞれの第一入力ディスク18aおよび第二入力ディスク20aは互いに外側に配置されると共に、第一出力ディスク18bおよび第二出力ディスク20bは互いに内側に配置されている。
そして、上記第一、第二入力ディスク18a、20aはボールスプライン24、26を介して上記トルク伝達軸16に、回転方向に係止されかつ軸方向の滑らかな移動が可能に取付けられている。
【0015】
一方、上記第一、第二出力ディスク18b、20bは、上記トルク伝達軸16に相対回転可能に嵌合された出力ギア28にスプライン嵌合され、該第一、第二出力ディスク18b、20bに伝達された回転力は、該出力ギア28およびこれに噛み合いされる入力ギア30aを介してカウンターシャフト30に伝達され、更に、回転力出力経路を介して図外の出力軸に伝達される。
【0016】
ところで、上記第一入力ディスク18aの外側にはローディングカム装置34が設けられ、該ローディングカム装置34には、回転力入力経路を介して伝達されるエンジン回転が入力され、この入力トルクに応じた押圧力が該ローディングカム装置34によって発生されるようになっている。
尚、上記ローディングカム装置34のローディングカム34aは、上記トルク伝達軸16に相対回転可能に嵌合されると共に、スラストベアリング36を介して該トルク伝達軸16に係止される。
【0017】
また、上記第二入力ディスク20aと上記トルク伝達軸16の図中右方端部との間に皿バネ38が設けられている。
従って、上記ローディングカム装置34で発生される押圧力は、第一入力ディスク18aに作用すると共に、上記トルク伝達軸16および上記皿バネ38を介して第二入力ディスク20aにも作用し、かつ上記皿バネ38によって発生される予圧力は、第二入力ディスク20aに作用すると共に、上記トルク伝達軸16および上記ローディングカム装置34を介して第一入力ディスク18aにも作用するようになっている。
【0018】
ところで、上記ローディングカム装置34と上記トルクコンバータ12との間の回転力入力経路には、車両の前進時と後進時の回転方向を切り替える前後進切替装置40が設けられる。
上記前後進切替装置40は、ダブルプラネタリー方式の遊星歯車機構42と、該遊星歯車機構42のキャリア42aを上記出力回転軸14に締結可能なフォワードクラッチ44と、該遊星歯車機構42のリングギア42bを上記ハウジング22に締結可能なリバースブレーキ46とによって構成される。
【0019】
そして、上記前後進切替装置40では、フォワードクラッチ44を締結すると共に、リバースブレーキ46を開放することにより、エンジン回転と同方向の回転が上記ローディングカム装置34に入力され、かつ、フォワードクラッチ44を開放してリバースブレーキ46を締結することにより、逆方向の回転が入力されるようになっている。
尚、上記遊星歯車機構42で、42cはサンギア、42d、42eは互いに噛み合いされるプラネタリギアである。
【0020】
ところで、上記第一トロイダル変速部18および第二トロイダル変速部20に設けられたパワーローラ18c、18dおよび20c、20dは、中心軸cに対して対称に配置され、それぞれのパワーローラ18c、18d、20c、20dは変速制御装置としての変速制御弁60および油圧シリンダ装置50、52、54、56を介して、車両運転条件に応じて傾斜(傾転)され、もって前記第一、第二入力ディスク18a、20aの回転を無段階に変速して前記第一、第二出力ディスク18b、20bに伝達するようになっている。
【0021】
即ち、上記パワーローラ18c、18dおよび20c、20dは図2、図3に示したように、それぞれのパワーローラ18c、18dおよび20c、20dに対応して設けられた油圧シリンダ装置50、52、54、56によって上下移動されるトラニオン50a、52a、54a、56aに、ピボットシャフト50b、52b、54b、56bを介して回転自在に装着され、該トラニオン50a、52a、54a、56aが上下移動されることによって、パワーローラ18c、18dおよび20c、20dは傾転できるようになっている。
【0022】
従って、上記パワーローラ18c、18dおよび20c、20dの傾転量、即ち該トラニオン50a、52a、54a、56aの回転量は、上記油圧シリンダ装置50、52、54、56の稼動量によって決定されることになる。
【0023】
ここで、本発明の変速制御に関して、図2を参照しながら説明する。
変速制御弁60は、ステップモータ61によって駆動されるロッド62とスリーブ63と、該スリーブ63の内径部に嵌挿されるスプール64と該スプール64を前記ステップモータ61とは反対方向に押圧するスプリング65を備えている。このスプリング65によりスプール64はリンク67aに常に押しつけられ、メカニカルなフィードバックが確実に働く構成としている。
【0024】
このことが、逆に、スプリング65はスプール64の動きに応じて伸び縮みするので、スプール64の動き、即ち、トラニオン50a、52a、54a、56aの傾転角度と軸方向変位量に応じた反力をプリセスカム67およびリンク67aを通じてトラニオン50a、52a、54a、56aに及ぼしていることにもなる。
尚、上記スリーブ63の外周には軸方向の溝が形成され、該溝にピンが係合されることにより、該スリーブ63は回転されることなく軸方向に移動できるようになっている。
また、上記スプール64の上記スプリング65が設けられたのと反対側端には、上記トラニオン50a、52a、54a、56aの内の一つの回転量と軸方向移動量が、プリセスカム67およびリンク67aを介して軸方向の移動量に変換されて、この軸方向移動量をフィードバック量として導入されるようになっている。
即ち、上記トラニオン50a、52a、54a、56aの回転量は、上記パワーローラ18c、18dおよび20c、20dの傾転量に比例しており、該トラニオンの回転量をフィードバックすることは、パワーローラ18c、18dおよび20c、20dの傾転量をフィードバックすることになる。
【0025】
変速制御弁60には導入ポート68から油圧ポンプ69により作り出されたライン圧が導入され、上記スリーブ63と上記スプール64の相対位置関係により第一ポート68a、または、第二ポート68bにライン圧が供給される。
【0026】
上記第一ポート68a、及び、第二ポート68bからのライン圧は、上記油圧シリンダ装置、50、52、54、56に、管路70a、70b、72a、72b、74a、74b、76a、76b、を介して供給される。該油圧シリンダ装置、50、52、54、56は、それぞれ上側室Aと下側室Bがピストン50c、52c、54c、56cによって隔成され、上側室Aに下側室Bより高い油圧が供給されることにより、それぞれのトラニオン50a、52a、54a、56aは下方に移動され、かつ、これとは反対に下側室Bに上側室Aより高い油圧が供給されることにより、それぞれのトラニオン50a、52a、54a、56aは上方に移動される。
【0027】
一方、第一トロイダル変速部18の油圧シリンダ装置50、52および第二トロイダル変速部20の油圧シリンダ装置54、56は、それぞれ一方の上側室Aと他方の下側室B及び一方の下側室Bと他方の上側室Aとが交差して連通され、油圧シリンダ装置50及び54と、油圧シリンダ装置52及び56とは互いに逆方向に稼動されるようになっている。
【0028】
上記油圧シリンダ装置50、54の上側室Aと油圧シリンダ装置52、56の下側室Bとは上記変速制御弁60の第一ポート68aに接続され、油圧シリンダ装置50、54の下側室Bと52、56の上側室Aとは上記変速制御弁60の第二ポート68bに接続されている。
【0029】
いまトラニオン50aの回転量と軸方向移動量が、プリセスカム67およびリンク67aを介して軸方向の移動量に変換されてスプール64の位置を変化させているとする。定常運転時は入力ディスク18aからパワーローラ18cのトラクション力とパワーローラ18cから出力ディスク18bへのトラクション力の反力の合計値が油圧シリンダ装置50により発生させられた差圧とスプリング65の反力との合計値1と釣り合う事になる。
【0030】
残りのトラニオン52a、54a、56aには傾転角度と軸方向変位に応じたスプリング65が発生している力と等価な力を発生する予圧力キャンセル手段(反力補償手段)82、84、86が設けられており、各パワーローラ18d、20c、20dからのトラクション力の合計値は、それぞれ対応する油圧シリンダ装置52、54、56で生じた差圧と前記予圧力キャンセル手段82、84、86からの力の合計値2とが釣り合う構成となっている。
【0031】
スプリング65がトラニオン50aに及ぼす力と、予圧力キャンセル手段82、84、86がトラニオン52a、54a、56aに及ぼす力は、傾転運動、軸方向変位にかかわらず、常に等しくなるので、合計値1と合計値2の値も等しくなる。従って、釣り合うべきトラクション力も全て等しくなり、結果としてトルク分担が均等になる。
【0032】
次に、前記予圧力キャンセル手段82、84、86について図2、図3(a)(b)(c)に基づいて説明する。
この実施の形態に於ては前記予圧力キャンセル手段82、84、86は油圧シリンダ装置52、54、56内に設置されている。前記予圧力キャンセル手段82、84、86は板状バネ90と、該板状バネ90を所定の位置に固定するストッパ91、及びピストン52c、(54c、56c)に設けられた斜面92から構成されている。
【0033】
ピストン52c、(54c、56c)に設けられた斜面92の角度はプリセスカム67及び、リンク67aによりスプール64にフィードバックされる量と比率が等しくなる様に設定されている。即ち、リンク比が2であるとすると、斜面92の角度はプリセスカム67が有する斜面の傾きの1/2となる。この時板状バネ90のバネ定数はスプリング65と等しいものを用いる。
【0034】
ここで、板状バネ90がピストン52c、(54c、56c)と接触する部分は、図3(b)に示すように、円形状(球状)に加工されており、トラニオン52a、54a、56aの傾転運動と一体で回転するピストン52c、(54c、56c)との接触部のフリクションを、出来るかぎり小さくするような工夫がなされている。このフリクションが小さくならないと、プリセスカム67と接続されているトラニオン50aの傾転方向のフリクションだけが小さく、残りのトラニオン52a、54a、56aの傾転方向フリクションは大きくなり、このフリクションの違いが伝達トルクの差として現われてしまう。
【0035】
板状バネ90は、変速比が最Lowの時にスプリング65がトラニオン50aに及ぼしている力と等価な力を発生できる位置にストッパ91により固定されている。後は、板状バネ90は上記の特性を有していることから、トラニオン52a、54a、56aが傾転運動をしても、軸方向に変位しても、常にスプリング65が発生するのと等価な力を発生してそれぞれのトラニオン52a、54a、56aに力を及ぼしている。
【0036】
(その他の実施の形態)
先の実施の形態に於ては、予圧力キャンセル手段82、84、86をプリセスカム67と接続されているトラニオン50a以外の、残りのトラニオン52a、54a、56aに対して設ける構成としたため、例えば、4個のパワーローラを有する場合には、予圧力キャンセル手段を3個設ける必要がある。
これに対するのが本第2の実施の形態である。
本第2の実施の形態においては、スプリング65からの反力を相殺する構成の予圧力キャンセル手段を設けてある。従って、プリセスカム67と接続されているトラニオン50aにのみ設置すればよいという利点がある。
本第2の実施の形態における予圧力キャンセル手段の機能としては、遠ざかると引き合う力が弱くなり、近づくと引き合う力が強くなるというバネとは逆の特性が必要になる。そこで、磁力を用いて、その特性を実現する。周知の通り磁力は距離の二乗に反比例した強さで働き、その特性は、例えば、図7のごとくである。
【0037】
第2の実施の形態の詳細を図4、図5、図7に基づいて説明する。
図4において、100は予圧力キャンセル手段としての磁石、101は鉄芯である。磁石100はCVTケースに固定されている。鉄芯101はプリセスカム67と連結されているトラニオン50aに設置されており、磁石100と引き合うことでトラニオン50aに対して力を及ぼす構造になっている。
【0038】
鉄芯101は、トラニオン50aが軸方向に変位するのにつれて軸方向を移動するのと同時に、図5(a)に示すごとく、斜面を有することで、トラニオン50aが傾転運動することによっても、磁石100中心部との距離Lが連続的に変化して、吸引力が変化する構造になっている。ここで、鉄芯101が有する斜面の傾きは、プリセスカム67によりスプール64へフィードバックされる量の傾転分と軸方向変位分の比率と等しくなるような量に設定されている(即ち、最初の実施の形態と同じ)。
【0039】
スプリング65からの反力と磁力により受ける力の大きさの関係は、例えば、図7に示すような特性になっている。即ち、スプリング65の反力が軸方向変位量に応じて線形な関係で変化するのに応じて、磁力は距離の二乗に反比例した、バネ力にほぼ近い関係で変化し、力の方向は反対向きとなるようにする。
【0040】
このように設定すればトラニオン50aに作用する外力の合計値は常に、ほぼ一定となるだけでなく、スプリング65からの力だけが作用する場合に比較して、力の大きさが小さくなるので、トルク分担率の不均等を小さくすることが出来る(元々磁力の特性が非線形である上に、軸方向と傾転方向の両方で磁石100と鉄芯101の距離が変化するため、完全に打ち消す構成には出来ない。)。
【0041】
上記鉄芯101の構造としては、図5(a)以外に同図(b)、(c)等が考えられる。
図5(b)の例は斜面を有する代わりに、段差を設けた例である。
磁石100aと鉄芯101aとの距離は段差102aを境にL1とL2になるような構造になっている。もし右周りに傾転すれば距離が近い部分が磁石100aと対向する面積が増加し、作用する力の大きさが増え、左周りに傾転すればその面積は減少し、作用する力の大きさも減る。即ち、傾転運動にともない、磁石100aと鉄芯101aの距離が近い部分と遠い部分の面積比が変化して、傾転角度に応じた力を発生させることができる。
【0042】
図5(c)はトラニオン50aを挟んで磁石100b、100cを2箇所に設けた例である。
鉄芯101bは一体で環状に作られており、それぞれの磁石の上に段差102b、103bが来るように作られている(段差の向きも考慮すると、鉄芯101bには4箇所の段差が有り、その内の2箇所102b、103bが磁石上に来ている)。
更に、磁石100b、100cの下には環状の鉄材104が設置されている。環状の鉄材104の設置と鉄芯101bの一体化は磁束の通りやすい経路を作ることで、磁力を高める役目を果たしている。この構成の場合、磁石100b、100cは、例えば図に示した様に、表と裏でS極、N極がくるようなものが望ましい。
【0043】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明のトロイダル型無段変速機にあっては、上記構成を採用したため、変速機としての効率を悪化させることなく、伝達トルクを均等化することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施の形態を示すシステム図である。
【図2】本発明の1実施の形態の断面を示すシステム図である。
【図3】図2のZ矢視部を示す詳細図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の断面を示すシステム図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す詳細図である。
【図6】押圧力を示す特性図である。
【図7】第2の実施の形態の力の関係を示す説明図である。
【符号の説明】
10 トロイダル型無段変速機
18 第一のトロイダル型無段変速機
20 第二のトロイダル型無段変速機
18a 第一入力ディスク
18b 第一出力ディスク
20a 第二入力ディスク
20b 第二出力ディスク
18c、18d パワーローラ
20c、20d パワーローラ
34 ローディングカム装置
38 皿バネ
50、52 油圧シリンダ装置
54、56 油圧シリンダ装置
50a,52a,54a,56a トラニオン(パワーローラ支持部材)
60 変速制御弁
61 ステップモータ(アクチュエータ)
63 スリーブ(変速制御弁)
64 スプール(変速制御弁)
65 スプリング(変速制御弁)
67 プリセスカム
67a リンク
82、84、86 予圧力キャンセル手段
90 板状バネ(予圧力キャンセル手段)
92 斜面(予圧力キャンセル手段)
100、100a 磁石(予圧力キャンセル手段)
100b、100b’磁石(予圧力キャンセル手段)
101、101a、101b 鉄芯(予圧力キャンセル手段)
102a、102b、103b 段差(予圧力キャンセル手段)

Claims (6)

  1. 入力ディスクから、これに同軸配置した出力ディスクと、これらのディスクの対向面に押しつけられた複数のパワーローラと、パワーローラを回転自在に支持するとともに傾転運動も可能でかつ上下変位可能なパワーローラ支持部材と、前記パワーローラ支持部材を上下方向に変位させる油圧シリンダ装置とを有したトロイダル型無段変速装置であって、
    油圧シリンダ装置の油圧を制御する変速制御弁を有しており、変速制御弁は互いに相対移動可能な状態にはまり合ったスリーブ及びスプールを有しており、スリーブ及びスプールの一方は指令される目標傾転角度に応じて位置が決定され、その変位にはアクチュエータが用いられ、他方は前記パワーローラ支持部材の実傾転角度に応じて位置が決定され、その変位にはカム機構が用いられるもので、変位の変速制御弁への伝達を確実にするための予圧機構を有するトロイダル型無段変速機において、
    カム機構が付いていないパワーローラ支持部材に対して、前記予圧機構と等価な力を発生する予圧力キャンセル手段を設け、該予圧力キャンセル手段は予圧機構の設置による傾転方向のフリクションを低減するための手段を有することを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 入力ディスクから、これに同軸配置した出力ディスクと、これらのディスクの対向面に押しつけられた複数のパワーローラと、パワーローラを回転自在に支持するとともに傾転運動も可能でかつ上下変位可能なパワーローラ支持部材と、前記パワーローラ支持部材を上下方向に変位させる油圧シリンダ装置とを有したトロイダル型無段変速装置であって、
    油圧シリンダ装置の油圧を制御する変速制御弁を有しており、変速制御弁は互いに相対移動可能な状態にはまり合ったスリーブ及びスプールを有しており、スリーブ及びスプールの一方は指令される目標傾転角度に応じて位置が決定され、その変位にはアクチュエータが用いられ、他方は前記パワーローラ支持部材の実傾転角度に応じて位置が決定され、その変位にはカム機構が用いられるもので、変位の変速制御弁への伝達を確実にするための予圧機構を有するトロイダル型無段変速機において、
    カム機構が付いていないパワーローラ支持部材に対して、前記予圧機構と等価な力を発生する予圧力キャンセル手段を設け、該予圧力キャンセル手段はカム機構と等価な斜面を傾転方向に有し、その斜面の傾きと上下方向変位量の比率はカム機構と同等に設定されており、該斜面によりバネを伸び縮みさせる構造になっていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  3. 入力ディスクから、これに同軸配置した出力ディスクと、これらのディスクの対向面に押しつけられた複数のパワーローラと、パワーローラを回転自在に支持するとともに傾転運動も可能でかつ上下変位可能なパワーローラ支持部材と、前記パワーローラ支持部材を上下方向に変位させる油圧シリンダ装置とを有したトロイダル型無段変速装置であって、
    油圧シリンダ装置の油圧を制御する変速制御弁を有しており、変速制御弁は互いに相対移動可能な状態にはまり合ったスリーブ及びスプールを有しており、スリーブ及びスプールの一方は指令される目標傾転角度に応じて位置が決定され、その変位にはアクチュエータが用いられ、他方は前記パワーローラ支持部材の実傾転角度に応じて位置が決定され、その変位にはカム機構が用いられるもので、変位の変速制御弁への伝達を確実にするための予圧機構を有するトロイダル型無段変速機において、
    カム機構が付いていないパワーローラ支持部材に対して、前記予圧機構と等価な力を発生する予圧力キャンセル手段を設け、該予圧力キャンセル手段は、磁石と、斜面または段差を有する鉄芯からなることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  4. 入力ディスクから、これに同軸配置した出力ディスクと、これらのディスクの対向面に押しつけられた複数のパワーローラと、パワーローラを回転自在に支持するとともに傾転運動も可能でかつ上下変位可能なパワーローラ支持部材と、前記パワーローラ支持部材を上下方向に変位させる油圧シリンダ装置とを有したトロイダル型無段変速装置であって、
    油圧シリンダ装置の油圧を制御する変速制御弁を有しており、変速制御弁は互いに相対移動可能な状態にはまり合ったスリーブ及びスプールを有しており、スリーブ及びスプールの一方は指令される目標傾転角度に応じて位置が決定され、その変位にはアクチュエータが用いられ、他方は前記パワーローラ支持部材の実傾転角度に応じて位置が決定され、その変位にはカム機構が用いられるもので、変位の変速制御弁への伝達を確実にするための予圧機構を有するトロイダル型無段変速機において、
    カム機構が付いているパワーローラ支持部材に対して、前記予圧機構と等価でそれを打ち消す方向に力を作用させる予圧力キャンセル手段を設け、該予圧力キャンセル手段は予圧機構の設置による傾転方向のフリクションを低減するための手段を有することを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  5. 入力ディスクから、これに同軸配置した出力ディスクと、これらのディスクの対向面に押しつけられた複数のパワーローラと、パワーローラを回転自在に支持するとともに傾転運動も可能でかつ上下変位可能なパワーローラ支持部材と、前記パワーローラ支持部材を上下方向に変位させる油圧シリンダ装置とを有したトロイダル型無段変速装置であって、
    油圧シリンダ装置の油圧を制御する変速制御弁を有しており、変速制御弁は互いに相対移動可能な状態にはまり合ったスリーブ及びスプールを有しており、スリーブ及びスプールの一方は指令される目標傾転角度に応じて位置が決定され、その変位にはアクチュエータが用いられ、他方は前記パワーローラ支持部材の実傾転角度に応じて位置が決定され、その変位にはカム機構が用いられるもので、変位の変速制御弁への伝達を確実にするための予圧機構を有する題記のトロイダル型無段変速機において、
    カム機構が付いているパワーローラ支持部材に対して、前記予圧機構と等価でそれを打ち消す方向に力を作用させる予圧力キャンセル手段を設け、該予圧力キャンセル手段はカム機構と等価な斜面を傾転方向に有し、その斜面の傾きと上下方向変位量の比率はカム機構と同等に設定されており、該斜面によりバネを伸び縮みさせる構造になっていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  6. 入力ディスクから、これに同軸配置した出力ディスクと、これらのディスクの対向面に押しつけられた複数のパワーローラと、パワーローラを回転自在に支持するとともに傾転運動も可能でかつ上下変位可能なパワーローラ支持部材と、前記パワーローラ支持部材を上下方向に変位させる油圧シリンダ装置とを有したトロイダル型無段変速装置であって、
    油圧シリンダ装置の油圧を制御する変速制御弁を有しており、変速制御弁は互いに相対移動可能な状態にはまり合ったスリーブ及びスプールを有しており、スリーブ及びスプールの一方は指令される目標傾転角度に応じて位置が決定され、その変位にはアクチュエータが用いられ、他方は前記パワーローラ支持部材の実傾転角度に応じて位置が決定され、その変位にはカム機構が用いられるもので、変位の変速制御弁への伝達を確実にするための予圧機構を有する題記のトロイダル型無段変速機において、
    カム機構が付いているパワーローラ支持部材に対して、前記予圧機構と等価でそれを打ち消す方向に力を作用させる予圧力キャンセル手段を設け、該予圧力キャンセル手段は、磁石と、斜面または段差を有する鉄芯からなることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
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