JP3555328B2 - ローラホルダ及びそれを用いたプリンタの紙送り装置 - Google Patents

ローラホルダ及びそれを用いたプリンタの紙送り装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転駆動される紙送りローラと、記録紙を押圧狭持するピンチローラで構成するプリンタの紙送り装置に関し、特に、ピンチローラを回転可能に保持するローラホルダの形状に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタなどの記録装置においては、記録紙を搬送するのに、回転駆動する紙送りローラと、記録紙を押圧狭持し、また、負荷を減らす為に回転可能なピンチローラを備えており、そのピンチローラは、ピンチローラホルダに組み込まれていることが多い。従来、図8、図9、図10、に示すように、記録紙7を介して紙送りローラ1を押圧する円筒状のローラ本体22aと、その両端に、回転負荷を低減するためローラ本体22aより径を小さくした軸部22bとで構成されたピンチローラ22と、ピンチローラ22を保持し、紙送りローラ1にピンチローラ22を負勢するためのてこの役目をするピンチローラホルダ23と、負勢力を与えるバネ4と、てこの支点となる部材、本例では、フレーム6とで構成されていた。ピンチローラホルダ23は、組み立てる際に、ピンチローラ22が、落下しないように、また、記録紙取り出しなどにおいて、レリーズ状態(紙送りローラ1と、ピンチローラ22の負勢が解除された状態)にする際に、ピンチローラホルダ23より、ピンチローラ22が落下しないよう、ピンチローラ22を回転可能に保持する必要がある。そのため、ピンチローラホルダ23の両側部には、ピンチローラ22の両端に備えられた軸部22b保持するために、スナップフィットを備えた軸受が設けられていた。具体的には図9に示すように、紙送りローラ1に押圧したときに荷重を受け、かつ、ピンチローラの回転中心を決める半円状の軸受23aと、ピンチローラ22の組み込みの時にガイドとなる案内溝23bが設けられていた。案内溝23bの幅は、ピンチローラの軸部22bの径より小さく設定されており、ヒンジ部23cは、弾性変形可能に形成されている。また、ピンチローラホルダの内壁23dは、ピンチローラ22の軸22bを案内溝23bに挿入したときのローラ本体22aの軌跡(一点鎖線f)と干渉しない位置に設けられている。ピンチローラ22をホルダに組み込む場合、ピンチローラ22の軸22bは、ピンチローラホルダ23のヒンジ部23cを弾性変形しながら進み、半円部23aに達すると、ヒンジ部23cの弾性変形は解かれ元の形状に復帰する。この組み込みの際、ピンチローラ22のローラ本体22aとホルダの内壁23dは接触することがない。このように組み込まれた状態では、ピンチローラ22の軸部22bの径が、ピンチローラホルダ23の案内溝23bの巾より大きいため外れることはない。ピンチローラホルダ23は複雑な形状をしているため、通常、プラスチックスで成形加工され製造されている。ピンチローラ22は、円筒部材であるため、プラスチックスの成形加工、切削加工や、金属の切削加工により製造されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように構成された従来技術では、以下のような課題があった。
【0004】
ピンチローラホルダ23をプラスチックスの成形加工で製造する際、ピンチローラ22のローラ本体22aの入る部分、すなわちホルダの内壁23dと、半円状の軸受23a、案内溝23bとは、成形型の抜き方向が異なるため、スライド型を用いる必要があった。つまり、図9に示すように、半円状の軸受23a、溝部23bは、スナップフィット構造を得るために、矢印D、D’方向に成形型を移動し、内壁23dを形成するためには成形型を、矢印Eまたは、F方向にへ移動することが必要になり、通常の両開き型構造ではなく、スライド型構造をとる必要があった。スライド型は、型構造が複雑になるため、型の製造費用が高く、また、通常、成形加工のサイクルタイムも長くなるため生産性が落ち、部品が高価になるという課題があった。
【0005】
さらに、もう一つの課題を図8により説明する。紙送りローラ1とピンチローラ22間に、記録紙7を挿入していく際に、記録紙7の挿入ガイドとして、通常、紙案内5が設けられる。挿入された記録紙7は紙案内5に沿って進み、先端は一旦、紙送りローラ1に衝突する。紙送りローラ1に対し、記録紙7の圧力角を小さくしてあるため、記録紙7は図8の上方に曲げられ、ピンチローラホルダ23に沿って進み、ピンチローラ22に先端が当たった後、ピンチローラ22に沿って、ピンチローラ22と紙送りローラ1の間に引き込まれていく。しかし、上述の構成の場合、記録紙の先端が当接する部分では、ピンチローラホルダ23の内壁23dと、ピンチローラのローラ本体22a間の隙間が大きくなっているため、記録紙7とピンチローラ22のローラ本体22aとの圧力角が大きくなってしまい、ピンチローラ22のローラ本体22aに記録紙7の先端が引っかかり、記録紙の挿入が円滑に行われない場合があった。特に、装置の小型化のために、ピンチローラ径を小さくした場合、紙厚が薄く、腰のない記録紙は、殆ど挿入できない状態になることもあった。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、安価で、かつ、記録紙の挿入性が良好なプリンタの紙送り装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明におけるローラホルダは、記録紙を押圧狭持し搬送する一対の紙送りローラの少なくとも一方のローラであって、円筒状のローラ部の両端に、突出した軸が設けられたローラを保持するローラホルダにおいて、前記ローラの軸を挿入可能に開放された一方の端と、挿入された前記ローラの軸が当接する他方の端と、該他方の端と前記一方の端を結ぶ略平行もしくは前記一方の端側に拡開する壁面からなり、かつ所定の弾性力を有する二つの軸受と、前記ローラのローラ部に対向するように前記二つの軸受間に設けられた壁部であって、前記軸受の一方の端側の前記壁部の先端部分に、前記軸受側に突出した突出部が設けられた壁部とを有し、前記突出部は、前記軸受に前記軸が取り付けられた状態の前記ローラの前記ローラ部を押さえることにより、前記軸が前記軸受から離脱することを防止するとともに、前記記録紙の先端を前記ローラ部に向けて案内することを特徴とする。
【0008】
また、本発明におけるプリンタの紙送り装置は、回転駆動される紙送りローラと、該紙送りローラに付勢されるピンチローラであって、円筒状のローラ部の両端に、突出した軸が設けられたピンチローラとにより、記録紙を押圧狭持し搬送するプリンタの紙送り装置において、前記ピンチローラの軸を挿入可能に開放された一方の端と、挿入された前記ピンチローラの軸が当接する他方の端と、該他方の端と前記一方の端を結ぶ略平行もしくは前記一方の端側に拡開する壁面からなり、かつ所定の弾性力を有する二つの軸受と、前記ピンチローラのローラ部に対向するように前記二つの軸受間に設けられた壁部であって、前記軸受の一方の端側の前記壁部の先端部分に、前記軸受側に突出した突出部が設けられた壁部とを有し、前記突出部の内壁により、前記ピンチローラの軸が前記軸受から離脱することを防止するとともに、前記突出部の外壁により、前記紙送りローラと前記ピンチローラとの間に挿入される記録紙の先端を前記紙送りローラと前記ピンチローラが接する位置に案内することを特徴とする。
【0009】
ローラホルダをこのような形状にすることにより、上下方向に成形型を抜くのみの単純なプラスチック成形加工で、ローラホルダを製造することが可能となる。
【0010】
すなわち、本発明のローラホルダの軸受には、ローラの軸が軸受から落下することを防止するためのスナップフィット構造がないため、軸受を形成する成形型を、軸を挿入するために設けられた軸受の解放端側に抜くことができ、ピンチローラの軸が軸受から落下することを防止するための突出部は、軸以外の位置(ローラ部)に設けられているため、突出部を形成するための成形型は、軸受を形成する成形型の抜き方向とは反対の方向に抜くことで、ローラホルダを成形加工することができる。
【0011】
また、ローラをローラホルダに挿入する際は、弾性力を有する軸受が変形することで、ローラ本体が、ホルダに設けられた突出部をのりこえ、ローラがホルダに装着される。装着後は、軸受は元の形状に復元し、突出部により、ホルダからローラが落下することが防止される。従って、軸受は、組立性を損なわない程度で、かつ、ローラの装着後、塑性変形を生じない程度の弾性体で形成されていることが望ましい。
【0013】
このようにピンチローラホルダを形成することにより、ピンチローラホルダの内壁と、ピンチローラのローラ本体間の隙間を小さくでき、更に、ピンチローラホルダの突出部の外壁により、記録紙の先端を、紙送りローラとピンチローラの接触する部分に案内するため、記録紙の先端が当接する部分の記録紙とピンチローラとの圧力角を小さくでき、腰のない記録紙であっても、その挿入を円滑に行うことができる。
【0014】
また、前記ローラ(ピンチローラ)のローラ部には、円周方向に溝が形成されており、該溝を前記突出部が押さえることにより、前記軸が前記軸受から離脱することを防止することで、記録紙挿入時の記録紙とピンチローラの圧力角を更に低減することが可能になり、記録紙挿入性が向上するという効果を奏する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を用いて本発明を詳細に説明する。図1は、本発明によるプリンタの斜視図、図2は本発明によるプリンタの紙送り装置の断面図であり、プリンタの構成、動作の説明を以下行う。
【0016】
1は紙送りローラ、2はピンチローラ、3はピンチローラホルダ、7は紙案内である。紙送りローラ1は、紙送り軸6に同心で固定されており、紙送り軸6の一端には歯車が固定されている。紙送りモータ9を回転することにより、輪列8を介して、動力、回転が伝達され、紙送り軸6、さらに紙送り軸に固定されている紙送りローラ1は回転する。ピンチローラ2は、ピンチローラホルダ3に保持されている。ピンチローラホルダ3のピンチローラ2とは逆側に、バネ4が掛けられており、バネ4の他端は、フレーム6に掛けられている。また、ピンチローラホルダ3のピンチローラ2とバネ4の中間は、フレーム6に回動可能に支持されており、てこの原理でピンチローラ2を、紙送りローラ1に負勢している。記録紙は、ピンチローラ2と紙送りローラ1に狭持され、紙送りローラ1が回転することにより、紙送りローラ1に同期して送られる。紙送りの量は、紙送りモータ9の回転角を制御し、所望の紙送り量を得る事ができ、通常、制御の簡単さからステップモータが多く使用される。
【0017】
10は印字ヘッド(図示せず)を搭載したキャリッジである。キャリッジ10は、キャリッジモータ32にベルト31で接続されている。キャリッジモータ32が回転することによりキャリッジ10は、ガイド軸33に沿って直線運動を行う。キャリッジ10の移動に同期して、印字ヘッドを駆動することにより印字が得られる。
【0018】
記録紙7は、矢印A方向より挿入される。挿入された記録紙7は、紙案内5にガイドされならが進み、紙送りローラ1に先端が衝突する。その後、紙送りローラ1に沿って進み、今度は、ピンチローラホルダ3に衝突する。さらに、今度は、ピンチローラホルダ3に沿って進み、ピンチローラ2に進む。ピンチローラ2に沿って記録紙7は進み、ピンチローラ2と、紙送りローラ1の接点に到達する。このとき、紙送りローラ1が回転していると、記録紙7は、紙送りローラ1と、ピンチローラ2に押圧狭持され、紙送りが可能となる。
【0019】
記録紙7をピンチローラ2と紙送りローラ1で押圧狭持した後、紙送りモータ9を所定量回転させ、印字位置まで紙送りを行い、キャリッジ移動及び、印字ヘッド駆動、所定量の紙送り、の動作を繰り返し、記録紙7に画像、文章などを記録していく。記録紙の挿入は、一枚一枚、手で挿入していく場合や、自動給紙装置により、一度に装填した記録紙を、自動的に分離、挿入する場合、また、ロール紙を使用する場合等、いろいろな方法があるが、記録紙の先端は上述の経路をたどり挿入されていく。
【0020】
以下、図3、図4を用い、ピンチローラ2とピンチローラホルダ3の関係を詳細に説明する。図3は、本発明によるプリンタの紙送り装置のピンチローラホルダの平面図(a)、側面図(b)、及び断面図(c)であり、図4は、本発明のピンチローラ装着時のピンチローラホルダの断面図である。
【0021】
ピンチローラ2は、装着された後、紙送りローラを押圧する円筒状のローラ本体2a(以下、このように、記録紙もしくは紙送りローラを押圧する部分を単に押圧部ともいう)と、押圧部2aの両端に、ローラ本体とで同芯状に設けられた円筒状の軸部2bで構成される。軸部2bは、ピンチローラ2の回転負荷を低減するため、押圧部2aより小さな径になっている。ピンチローラホルダ3は、その両端にピンチローラ2を回転可能に保持するために、ピンチローラ2の軸部2bを保持する軸受部3uが設けられている。軸受部3uは、ピンチローラ2の軸部2bの回転中心を決める半円部3aと、ピンチローラ2の組み込みの際にガイドとなる案内溝3b、弾性変形可能なヒンジ部3cとで構成されている。また、溝3bは、ピンチローラ2の軸部2bの径より広くできており、かつ、紙送りローラ1側の端が開放されている。この案内溝3bに沿ってピンチローラ2の軸部2bを組み込む。ピンチローラ2は、ピンチローラホルダ3に組み込まれ、更にプリンタに取り付けられた後、バネ4により、紙送りローラ1に付勢される。この状態では、ピンチローラ2の軸部2bは、ピンチローラホルダ3の半円部3aに当接し、これにより、紙送りローラ1にに対するピンチローラ2の位置決めがなされる。
【0022】
ピンチローラ2の押圧部2aに対向する位置に内壁3dが設けられており、ピンチローラ2をピンチローラホルダ3に組み込んだ後は、ピンチローラ2の外周と、内壁3dは所定の間隔をもって対向する。内壁3dを構成する部分は、ピンチローラホルダ3の強度確保の役割も兼ねている。内壁3dの先端部分には、軸受側に突出した突出部3eが設けられている。図4に示すように、案内溝3bに沿って、ピンチローラ2の軸部2bを軸受部に挿入したときの押圧部2aの外径の軌跡(図4の一点鎖線a)に干渉する位置に、突出部3eが設けられている。。
【0023】
実際にピンチローラを組み込む場合、図4の点線に示すように、ピンチローラホルダ3の内壁3dには、突出部3eが設けられているため、ヒンジ部3cを弾性的に撓ませ、ピンチローラを組み込むことになる。つまり、ピンチローラ2の押圧部2aの外径軌跡は一点鎖線bを通ることとなるので、ヒンジ部3cの形状、材質は、撓みに対し、十分な強度を持つよう、弾性限度内であるよう設定されている。ピンチローラ2が組み込まれた後は、ヒンジ部3cは元の位置に復帰し、内壁3dの突出部3eが、押圧部2aの挿入時の軌跡(図4の一点鎖線a)内に戻る。つまり、ピンチローラ2は、ピンチローラホルダ3の内壁3dの突出部3eとヒンジ部3cに挟まれた状態となり、本体への組立時や、通常の使用範囲内で落下、外れることがなく、取り扱いが容易になる。また、記録紙7を取り除く場合等に、ピンチローラホルダ3をレリーズ状態(記録紙の押圧が解除され、記録紙が自由に動かせる状態)にした場合にも、ピンチローラ2がピンチローラ3より外れることがない。
【0024】
以下、図2、図4により、記録紙7の挿入時の説明を行う。紙送りローラ1に衝突し、次にピンチローラホルダ3の突出部3eの外壁3fに沿って進んできた記録紙7は、突出部3eの先端から、ピンチローラ2の押圧部2aに進む。このとき、図8に示す従来例では、ピンチローラホルダ23の内壁23dの先端が、ピンチローラ22の押圧部22aと離れてしまうため、記録紙7とピンチローラ22の押圧部22aとの圧力角を十分低くとることができなかった。しかし、本発明においては、ピンチローラホルダ3の内壁3dの先端と、ピンチローラ2の押圧部2aとの隙間を小さく、記録紙7と押圧部2aの圧力角が低くなり、記録紙の挿入が円滑に行われるという効果が得られる。内壁3dは、押圧時に、ピンチローラ2の押圧部2aと接触しない距離に、また、内壁3dの先端に設けられた突出部3eは、同じく、押圧時に、記録紙7を挟まない、つまり、紙送りローラ1と、紙案内5にたいし、隙間のとれる位置まで近づけて設定されている。このことにより、上述のように記録紙7とピンチローラ2の押圧部2aとの圧力角を小さくすることができる。
【0025】
また、ピンチローラの外れ防止を、ピンチローラホルダ3のヒンジ部3cと、内壁3dの先端に設けられた突出部3eとでできるため、図9に示す従来例にようにピンチローラホルダ23の案内溝部23bをスナップフィット形状にする必要は無くなり、ピンチローラホルダ3の案内溝部3bを、半円部3aの径と同一、または、開放側に向かって広くすることが可能となる。つまり、半円部3a、案内溝部3b、内壁3dが矢印B、B’方向に成形型を移動するだけで成形可能になる。このことにより、通常の両開きの成形型構造が使用できる。型構造の簡略化、サイクルタイムの短縮化が実現し、安価に製造可能となる効果がある。
【0026】
以下、図5、図6を用い、本発明による他の実施形態について、説明する。図5は、本発明の他の実施形態における、記録紙の挿入時のピンチローラホルダの断面図、図6(a)、(b)、(c)は、各々、本発明の他の実施形態のピンチローラホルダの平面図、側面図、断面図である。12はピンチローラ、13はピンチローラホルダ、7は紙案内であり、ピンチローラ12、ピンチローラホルダ13以外の構成、動作は、前述の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0027】
ピンチローラ12は、円筒状の押圧部12aと、押圧部12aの両側面に設けられた軸部12bと、押圧部12aに設けられた押圧部12aより径の小さい溝12cとで構成される。一方、ローラホルダ13の、内壁13dの中央部付近には、ピンチローラをホルダに組み込んだときに、ピンチローラ12の溝12cに対向するように、凸部13eが設けられている。
【0028】
前述の実施形態と同様にして、半円部13aを有する軸受部に、軸部12bを挿入する際、凸部13eの先端は、図7に示すように、押圧部12aの溝12cの外径の軌跡(一点鎖線c)に干渉するように設定されている。また、凸部13e以外の内壁13dの先端も、押圧部12aの外径の軌跡(一点鎖線c)に干渉するように設定されている。
【0029】
このように形成された、凸部13e及び内壁13dの先端により、ヒンジ部3cが撓み、ピンチローラがホルダに装着される。つまり、押圧部13a、溝12cの外径は、一点鎖線d,eで示す軌跡を通り、組み込まれることになる。組み立てられた後、ヒンジ部13cは元の位置に復帰する。このような構成により、前述の実施形態と同様に、ピンチローラホルダ13の内壁13d、凸部13eの先端とヒンジ部13cに挟まれたピンチローラ12は、ホルダ13から落下することがない。また、ピンチローラホルダ13の案内溝部13bと、内壁13b、凸部13eとを前述の実施形態と同様に、同方向、つまり、図6の矢印C、C’方向に型を移動することが可能であり、通常の両開き型で成形することができる。型構造の簡略化、サイクルタイムの短縮により安価に製造、提供できる。
【0030】
図5に戻り、記録紙7の挿入時の説明を行う。紙送りローラ1に衝突し、次にピンチローラホルダ13の外壁に沿って進んできた記録紙7は、内壁13dの先端、凸部13eの先端を経てピンチローラ12の押圧部12aに進む。凸部12eの先端は、ピンチローラ12の溝12cに入り込んでいるため、前述の実施形態よりも、更に記録紙7と押圧部12aとの圧力角を低下することができ、より記録紙の挿入性が向上するといる効果がある。
【0031】
尚、本実施形態では、ピンチローラ12の溝12c、ピンチローラホルダ13の凸部13eは、一組で構成したが、複数組で構成しても当然のことながら同様の効果が得られる。また、ピンチローラの複数の溝に対し、ピンチローラホルダの凸部が同数なくても、少なくとも、一対のピンチローラの溝と、ピンチローラホルダの組み合わせが存在すれば、同様の効果を得ることが可能である。
【0032】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のローラホルダは、円筒状のローラ部(押圧部)の両端に、突出した軸が設けられたローラと、該ローラの軸を挿入可能に解放された一方の端と、挿入されたローラの軸が当接する他方の端と、該他方の端と、前記一方の端を結ぶ略平行もしくは、前記一方の端側に拡開する壁面からなり、かつ所定の弾性力を有する軸受と、この軸受に軸が取り付けられた状態のローラのローラ部を、押さえることにより、ローラの軸が軸受から離脱することを防止する突出部とを有するため、従来のローラホルダにように、軸受にスナップフィットを設ける必要が無く、上下方向に成形型を抜くのみの単純なプラスチック成形加工で、ローラホルダを製造することが可能となる。これにより、ピンチローラホルダの成形型の型構造の簡略化、サイクルタイムの短縮による、安価なプリンタの紙送り装置の提供が可能である。
【0033】
更に、本発明の紙送り装置は、ピンチローラホルダに設けられた突出部の内壁により、ピンチローラの軸が、軸受から離脱することを防止するとともに、この突出部の外壁により、紙送りローラとピンチローラとの間に挿入される記録紙の先端が紙送りローラとピンチローラが接する位置に案内されるように形成されているため、ピンチローラホルダの内壁と、ピンチローラのローラ本体間の隙間を小さくでき、更に、ピンチローラホルダの突出部の外壁により、記録紙の先端を、紙送りローラとピンチローラの接触する部分に案内するため、記録紙の先端が当接する部分の記録紙とピンチローラとの圧力角を小さくでき、腰のない記録紙であっても、その挿入を円滑に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜視図。
【図2】本発明の一実施形態を示す示す断面図。
【図3】本発明の一実施形態を示す平面図、側面図、及び断面図。
【図4】本発明の一実施形態の取り付け状態を示す断面図。
【図5】本発明の他の実施形態を示す示す断面図。
【図6】本発明の他の実施形態を示す平面図、側面図、及び断面図。
【図7】本発明の他の実施形態の取り付け状態を示す断面図。
【図8】従来例を示す示す断面図。
【図9】従来例を示す平面図、側面図、及び断面図。
【図10】従来例の取り付け状態を示す断面図。
【符号の説明】
1 紙送りローラ
2、12 ピンチローラ
2a、12a ピンチローラの押圧部
2b、12b ピンチローラの軸部
12c ピンチローラの溝
3、13 ピンチローラホルダ
3a、13a ピンチローラホルダの半円部
3b、13b ピンチローラホルダの案内溝部
3c、13c ピンチローラホルダのヒンジ部
3d、13d ピンチローラホルダの内壁部
13c ピンチローラホルダの凸部
4 バネ
5 紙案内

Claims (4)

  1. 記録紙を押圧狭持し搬送する一対の紙送りローラの少なくとも一方のローラであって、円筒状のローラ部の両端に、突出した軸が設けられたローラを保持するローラホルダにおいて、
    前記ローラの軸を挿入可能に開放された一方の端と、挿入された前記ローラの軸が当接する他方の端と、該他方の端と前記一方の端を結ぶ略平行もしくは前記一方の端側に拡開する壁面からなり、かつ所定の弾性力を有する二つの軸受と、
    前記ローラのローラ部に対向するように前記二つの軸受間に設けられた壁部であって、前記軸受の一方の端側の前記壁部の先端部分に、前記軸受側に突出した突出部が設けられた壁部とを有し、
    前記突出部は、前記軸受に前記軸が取り付けられた状態の前記ローラの前記ローラ部を押さえることにより、前記軸が前記軸受から離脱することを防止するとともに、前記記録紙の先端を前記ローラ部に向けて案内することを特徴とするローラホルダ。
  2. 請求項1記載のローラホルダにおいて、前記ローラのローラ部には、円周方向に溝が形成されており、該溝を前記突出部が押さえることにより、前記軸が前記軸受から離脱することを防止することを特徴とするローラホルダ。
  3. 回転駆動される紙送りローラと、該紙送りローラに付勢されるピンチローラであって、円筒状のローラ部の両端に、突出した軸が設けられたピンチローラとにより、記録紙を押圧狭持し搬送するプリンタの紙送り装置において、
    前記ピンチローラの軸を挿入可能に開放された一方の端と、挿入された前記ピンチローラの軸が当接する他方の端と、該他方の端と前記一方の端を結ぶ略平行もしくは前記一方の端側に拡開する壁面からなり、かつ所定の弾性力を有する二つの軸受と、
    前記ピンチローラのローラ部に対向するように前記二つの軸受間に設けられた壁部であって、前記軸受の一方の端側の前記壁部の先端部分に、前記軸受側に突出した突出部が設けられた壁部とを有し、
    前記突出部の内壁により、前記ピンチローラの軸が前記軸受から離脱することを防止するとともに、前記突出部の外壁により、前記紙送りローラと前記ピンチローラとの間に挿入される記録紙の先端を前記紙送りローラと前記ピンチローラが接する位置に案内することを特徴とするプリンタの紙送り装置。
  4. 請求項3記載のプリンタの紙送り装置において、前記ピンチローラのローラ部には、円周方向に溝が形成されており、該溝を前記突出部が押さえることにより、前記軸が前記軸受から離脱することを防止することを特徴とするプリンタの紙送り装置。
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