JP3555288B2 - スライドカバーを有するカメラ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮影レンズの前面を覆う位置と撮影レンズの前面から退避する位置との間でスライド可能なスライドカバーを有するカメラに関する。
【０００２】
【従来の技術】
この種のカメラとして、例えば実開平４−５５３０９号公報に開示されたものが知られている。このカメラは、カメラ本体の前面に配置されるスライドカバーを備え、このスライドカバーの上下のガイド突起がカメラ外カバーの上面および下面に形成されたガイド溝に係合され、この係合によりスライドカバーがカメラ横方向にスライドされるよう構成されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来カメラでは、スライドカバー案内用のガイド溝がカメラ外カバーの上下面にそれぞれ形成されているため、カメラ使用時／非使用時を問わずガイド溝の多くの部分が外部に露出することになり、ガイド溝に異物が入り易くスライドカバーをスムーズに開閉できなくなるおそれがあった。
【０００４】
本発明の目的は、スライドカバー案内用のガイド溝に異物が入り難くしたスライドカバーを有するカメラを提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
一実施の形態を示す図３に対応づけて説明すると、本発明は、撮影レンズ４Ａの前面を覆う閉位置と撮影レンズ４Ａの前面から退避する開位置との間でカメラ本体の前面に沿ってスライド可能なスライドカバー１を有するカメラに適用される。
カメラ本体は、その外郭を構成する外カバー２と、外カバー２の内側に配置される内カバー３と、内カバー３の前面よりも奥まった位置においてスライドカバー１のスライドを案内するガイド溝３ｄとを備え、スライドカバー１は、カメラ背面側に張り出され外カバーを貫通して外カバー２と内カバー３との隙間に挿通される貫通部１Ａと、貫通部１Ａの先端にに形成され、ガイド溝３ｄに摺動可能に係合されるガイド突起１ａとを備える。
【０００６】
なお、本発明の構成を説明する上記課題を解決するための手段の項では、本発明を分かり易くするために実施の形態の図を用いたが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。
【０００７】
【発明の実施の形態】
図１〜図８により本発明の一実施の形態を説明する。
図１，図２は本発明に係るカメラの正面図、図３，図４はそれぞれ図１，図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線およびＩＶ−ＩＶ線断面図である。２はカメラ本体の外郭を成すアウターカバーであり、以下、アウターカバー２のうちカメラ本体の前面，上面および下面を形成する部分をそれぞれ前カバー２Ａ，上カバー２Ｂおよび下カバー２Ｃと呼ぶ。前カバー２Ａの前面には図示右上にストロボ発光窓１１が設けられるとともに、中央部分に略矩形の開口部２ａ（図２）が形成され、その左側に開口部２ａと連通する上下一対のスリット２ｂ（図１）が延設されている。
【０００８】
３はアウターカバー２の内側に配置されるインナーカバーであり、その前面の所定箇所には、上部にファインダ窓３ａおよび測距窓３ｂが、下部にレンズ鏡筒４が突出／退避可能なレンズ窓３ｃがそれぞれ形成されている。これらのファインダ窓３ａ，測距窓３ｂおよびレンズ窓３ｃは、前カバー２Ａの開口部２ａから露出可能とされる。レンズ鏡筒４は複数の撮影レンズ４Ａを保持し、図３に示す沈胴位置から図４に示す広角端位置、さらにはそれよりも突出した望遠端位置まで光軸Ｌ方向に移動可能とされる。
【０００９】
１は前カバー２Ａの前面に配置されるスライドカバーであり、図１に示す閉位置と、図２に示す開位置との間でカメラ横方向にスライド可能とされる。スライドカバー１は、閉位置では前カバー２Ａの開口部２ａを塞いで撮影レンズ４Ａ，ファインダ窓３ａおよび測距窓３ｂを覆い、開位置では開口部２ａから退避してこれらを露出させる。
【００１０】
次に、図５〜図８も参照してスライドカバー１のスライド機構について詳述する。
図５，図６は図２，図３のＶ−Ｖ線，ＶＩ−ＶＩ線断面図、図７，図８は図３の部分拡大図である。スライドカバー１の上下部には、カメラ背面側に張り出した張り出し部１Ａがそれぞれ形成され、これら上下張り出し部１Ａの下面および上面先端には、一対の爪１ａが光軸Ｌと直交する方向に突設されている。一方、インナーカバー３の上下面には、前面からある程度奥まった位置にガイド溝３ｄがカメラ横方向に延設され、これらのガイド溝３ｄにスライドカバー１の爪１ａが摺動可能に係合される。インナーカバー３の上面および下面は、上カバー２Ｂの下面および下カバー２Ｃの上面とそれぞれ所定間隔をおいて対向しており、その隙間にスライドカバー１の張り出し部１Ａが位置する。
【００１１】
なお図３において、５は上カバー２Ｂに設けられた液晶表示窓、６は液晶表示パネル、７は液晶表示バックライト、８はモード選択スイッチ、９は電気実装基板、１０はクリックスイッチ、１２はファインダである。
【００１２】
以上のように構成されたカメラにおいて、スライドカバー１が閉位置にあるときには、図１に示すように撮影レンズ４Ａ，ファインダ窓３ａおよび測距窓３ｂが覆われる。このとき、前カバー２Ａの開口部２ａが塞がれているために開口部２ａからガイド溝３ｄに異物が侵入するおそれはない。スライドカバー１の左方においては、ガイド溝３ｄがスリット２ｂを介して外部と連通しているが、スリット２ｂは幅が狭く、しかもガイド溝３ｄが奥まった位置にあるので、スリット２ｂから異物が侵入してガイド溝３ｄに入り込むおそれは殆どない。
【００１３】
スライドカバー１に左方の力を加えると、上下の爪１ａがインナーカバー３の上下ガイド溝３ｄを摺動しつつスライドカバー１が左方にスライドする。その際、上下の張り出し部１Ａは、前カバー２Ａの開口部２ａを貫通した状態で上下カバー２Ｂ，２Ｃとインナーカバー３との隙間を移動する。スライドカバー１が所定位置まで移動すると、張り出し部１Ａは開口部２ａからスリット２ｂに移り、以降はスリット２ｂを貫通した状態で移動する。図２および図６に示すようにスライドカバー１が完全に開くと、撮影レンズ４Ａ，ファインダ窓３ａおよび測距窓３ｂが露出され、撮影可能な状態となる。
【００１４】
スライドカバー１の開状態では、前カバー２Ａの開口部２ａが開放されるためガイド溝３ｄが外部と連通するが、ガイド溝３ｄが奥まった位置にあるので異物が侵入するおそれは殆どない。一方、スリット２ｂは張り出し部１ａによって塞がれているので、スリット２ｂからガイド溝３ｄに異物が侵入するおそれは全くない。
【００１５】
ところで、本実施の形態では、図１から分かるようにスライドカバー１の爪１ａがスライドカバー１の右側にのみ設けられているので、左側にも爪１ａを設けた場合と比べてスリット２ｂの長さを短くできる。したがってスライドカバー閉時にスリット２ｂからガイド溝３ｄへの異物の侵入を最小限に抑制できる。
【００１６】
以上の実施の形態において、アウターカバー２が外カバーを、インナーカバー３が溝形成部材を、張り出し部１Ａが貫通部を、爪１ａがガイド突起をそれぞれ構成する。
【００１７】
なお、ガイド溝をインナーカバーに形成した例を示したが、インナーカバーとは別の部材に形成してもよい。またスライドカバーの形状や開閉方向も実施の形態に限定されない。
【００１８】
【発明の効果】
本発明によれば、カメラ外カバーの内側に配置された内カバーの更に奥まった位置にスライド用のガイド溝を設ける一方、スライドカバーにはカメラ背面側に張り出される貫通部を設け、この貫通部が、外カバーを貫通し外カバーと内カバーの間の隙間に挿通された状態で貫通部先端のガイド突起が上記ガイド溝に摺動可能に係合されるようにしたので、外カバーの上下面にガイド溝を形成した場合と比べてガイド溝に異物が入りにくく、スライドカバーが開閉不能になることがない。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施の形態に係るカメラの正面図であり、スライドカバーが閉じた状態を示す。
【図２】図１と同様の図であり、スライドカバーが開いた状態を示す。
【図３】図１のＩＩＩ−ＩＩＩ線断面図。
【図４】図２のＩＶ−ＩＶ線断面図。
【図５】図１のＶ−Ｖ線断面図。
【図６】図２のＶＩ−ＶＩ線断面図。
【図７】図３の部分拡大図。
【図８】図３の部分拡大図。
【符号の説明】
１ スライドカバー
１Ａ 張り出し部
１ａ 爪
２ アウターカバー
２Ａ 前カバー
２Ｂ 上カバー
２Ｃ 下カバー
２ａ 開口部
２ｂ スリット
３ インナーカバー
３ａ ファインダ窓
３ｂ 測距窓
３ｄ ガイド溝
４ レンズ鏡筒
４Ａ 撮影レンズ

Claims (1)

1. 撮影レンズの前面を覆う閉位置と撮影レンズの前面から退避する開位置との間でカメラ本体の前面に沿ってスライド可能なスライドカバーを有するカメラにおいて、
   前記カメラ本体は、その外郭を構成する外カバーと、該外カバーの内側に配置される内カバーと、該内側カバーの前面より奥まった位置において前記スライドカバーのスライドを案内するガイド溝とを備え、
   前記スライドカバーは、カメラ背面側に張り出され前記外カバーを貫通して該外カバーと内カバーとの隙間に挿通される貫通部と、該貫通部の先端に形成され、前記ガイド溝に摺動可能に係合されるガイド突起とを備えることを特徴とするスライドカバーを有するカメラ。

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