JP3555122B2 - 使用済みcrtの解体処理方法 - Google Patents

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  • Manufacture Of Electron Tubes, Discharge Lamp Vessels, Lead-In Wires, And The Like (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用済みCRTの解体処理方法に係り、さらに詳述すれと、例えば廃棄処分されるCRT機器に組み込まれているCRTを簡単に取り出して再利用し易くするための使用済みCRTの解体処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、資源の大切さや環境破壊の防止がクローズアップされると同時に、廃棄物処理場の不足も叫ばれ、廃材(ダスト)を極力出さずに再利用しようとする運動が進められつつある。また、廃棄されたものを処理する過程において、環境に悪い影響を及ぼすことがないリサイクルへの要求も強まっている。こうした要求に応え、使用済み製品の再利用化の研究が各方面で進められている。その中の一つにCRT機器も含まれている。
【0003】
図5は一般的なCRT機器の内部構造を示す概略構成配置図である。図5において、このCRT機器101では、キャビネット(機器本体)102内にCRT103や、各種電子部品が実装された図示せぬ回路基板類等が配置されている。このうち、CRT103は、略透明なガラス材で作られるパネル部112と鉛を混入させたガラス材で作られるファンネル部113とをフリットガラス(半田ガラス)により溶着し、管状に形成されている。また、このCRT103には、複数の取付用ブラケット106を一体的に有している金属製の防爆バンド105が、パネル部112とファンネル部113が接合されている部分を覆い、かつCRT103の外周を締め付けた状態にして取り付けられている。そして、防爆バンド105のブラケット部分106をキャビネット102の前面内側の固定用座部107に当接させ、さらにブラケット部分106と固定用座部107との間を取付用ネジ104で固定することによってCRT103がキャビネット102に取り付けられている。
ここで、CRT103自体はパネル部112,ファンネル部113等、ガラスで構成されている部分がほとんどであり、このため比較的再利用化もし易い。このため、CRT機器の分野では、再生処理がし易いCRT103に付いて再利用をしようとする研究が進められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、CRT機器に限ることなく、一般的に再生処理では、分解等に時間や労力がかかることから、経済性だけを考えた場合では再利用をしただけの価値が得られないのが実情である。
したがって、再利用をより促進させるには、簡単に分解処理等ができ、またコストも余りかかることのない方法で実施することが重要である。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は廃棄されたCRT機器内からCRTを簡単に取り出して再利用をし易くするための使用済みCRTの解体処理方法を提供することにある。さらに、他の目的は、以下に説明する内容の中で順次明らかにして行く。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、取付用ブラケット部を複数一体的に有している金属製のバンドが外周に締め付けられた状態にして取り付けられている使用済みCRTの解体処理方法において、定電圧を供給する定電圧供給手段と、前記定電圧供給手段からの電圧を定電力制御し、前記バンドに略一定の電力を供給する電力供給手段と、前記バンドの温度上昇を監視する温度監視手段と、予め計測された前記CRTの大きさによって前記バンドに必要とされる電力を予測し、前記電力供給手段の前記供給電力を制御するとともに、前記温度監視手段で監視された温度上昇状態に応じて前記電力供給手段による電力供給を制御する制御部とを備え、前記バンドに一定の電力を供給して加熱・膨張させて前記CRTより前記バンドを取り外すようにしたことを特徴としている。
【0007】
これによれば、金属製のバンドに一定の電力を供給して、このバンドを加熱・膨張させてCRTより取り除くので、CRTからのバンドの取り外し作業が簡単にできる。また、供給電力でバンドの加熱・膨張を制御することから、機種やメーカ別等によってバンドの太さに差があったとしても、温度上昇させるための容積はCRTのパネル面のサイズにより略一定で、温度上昇の度合いも同じになるので、パネル面のサイズを知って供給電力を制御すれば、機種やメーカー等が異なっても略同じ状態に加熱・膨張させてバンドを簡単に取り外すことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る使用済みCRTの解体処理方法の一実施の形態例を図面を用いて詳細に説明する。なお、この形態例では、図5に示した廃棄用CRT機器101のCRT103を解体する場合を一例として以下説明する。したがって、図5と対応する符号を付して説明するものは、図5に示している廃棄用CRT機器101に対応しているものである。
そして、図2は本発明の一実施形態例に係るCRTの解体処理工程図、図3及び図4は解体処理装置部分のレイアウトを示した図で、図3は上層階におけるレイアウト図、図4は下層階におけるレイアウト図である。すなわち、この解体処理工場では、解体に直接寄与する装置部分を上層階のフロア上に配置し、上層階で分解された廃材を処理する部分を下層階のフロア上に配置した構成を採っている。
【0009】
図2において、この解体処理工場では、大きく分けると、予備工程S1a、予備工程S1b、回収工程S1、回収工程S2、回収工程S3、回収工程S4、回収工程S5、回収工程S6、回収工程S7、回収工程S7a、回収工程S8、リサイクル処理工程S8a、リサイクル処理工程S8b、回収工程S9、回収工程S10、回収工程S11、リサイクル処理工程S11a、リサイクル処理工程S11bとで構成されている。
【0010】
さらに詳述すると、図3において、上層階のフロア13には、予備工程S1aから予備工程S1bを通って回収工程S1に廃棄CRT機器101を搬送するためのコンベヤ14と、廃棄CRT機器101が解体されて最終のCRT103の回収に至るまでの間、すなわちCRT103を回収工程S1から回収工程S11まで搬送するための縦型フリーフローコンベア15の他に、上記各工程に対応して次の装置が配置されている。
【0011】
(1)予備工程S1aには、廃棄されて戻されて来たCRT機器101(以下、単に「廃棄CRT機器101」と言う)が下層階のフロア44(図4参照)側より運ばれて来るエレベータ16と、このエレベータ16で運ばれて来た廃棄CRT機器101を一次ストックしておく廃棄CRT機器載置部12と、この廃棄CRT機器載置部12上の廃棄CRT機器101をコンベア14上に移し変えるバランサアーム17が配置されている。なお、廃棄CRT機器載置部12はコンベアとして形成されており、またエレベータ16は下層階から運んで来た廃棄CRT機器101を、上層階で廃棄CRT機器載置部12上に移し変えることができる。さらに、廃棄CRT機器載置部12では、エレベータ16から移し変えられた廃棄CRT機器101を、バランサアーム17が保持し易い位置まで送って待機させておくことができる構造になっている。
【0012】
(2)予備工程S1bには、予備工程S1aと回収工程S1との間を結んで上記コンベア14が配置され、このコンベア14上に投入パレット18が載せられている。この投入パレット18は、バランサアーム17で予備工程S1a側から運ばれて来た廃棄CRT機器101を受け、これをコンベア14の移動により回収工程S1側に搬送する。また、コンベア14の側部には、廃棄CRT機器101の前面にCRT103を覆ってフロントガラス123(図2参照)が取り付けられている構造の場合に、これを人手により取り外し、この取り外したフロントガラス123を入れておくための箱19が配設されている。さらに、箱19が配置されている反対側には廃棄CRT機器101の外形等のサイズを検出するためのセットサイズチェッカー20が配設されている。このセットサイズチェッカー20は、テレビカメラ等で構成されており、写し込んだ画像を電気的に処理して外形等のサイズを決定する構造になっている。
【0013】
(3)回収工程S1には、投入パレット18に載せられ、コンベア14により搬送されて来た廃棄CRT機器101をつかんでコンベア15上の移動パレット21にセットするためのパレットセッター(移載機)22が配置されている。また、このパレットセッター22で廃棄CRT機器101がセットされる側の移動パレット21には、図示せぬ真空吸着機構が設けられていて、この真空吸着機構でCRT103の前面(パネル部112)を真空吸着して保持し、以後、移動パレット21に載せられたままの状態で、コンベア15により次工程へと送られて行く構造になっている。
【0014】
(4)回収工程S2には、廃棄CRT機器101のキャビネット102(図5参照)を切断して、前側キャビネット部102aと後側キャビネット部102bとに分離し、CRT103の部分を前側キャビネット部102aと共に後側キャビネット部102bから取り外すためのキャビネットカッター(リヤカバー分離機)25が設けられている。また、この回収工程S2には、この分離された後側キャビネット部102bや回路基板類104等を廃棄するためのダストシュート26が設けられている。なお、ダストシュート26は下層階に通じており、その取り外された後側キャビネット部102b等はダストシュート26を通じて下層階に移行される。
【0015】
(5)回収工程S3には、ダストシュート27が設けられている。このダストシュート27は、ダストシュート26と同様に下層階に通じている。そして、この回収工程S3では、廃棄CRT機器101に取り付けられている外シールドケース124や基板類が人手により取り外される。したがって、CRT103には電子銃部110や偏向ヨーク部111、防爆バンド105等の最小限の周辺部品が取り付けられた状態になる。また、ここで取り外された外シールドケース124や基板類はダストシュート27を通して下層階に移行される。
【0016】
(6)回収工程S4には、回収工程S3を経たCRT103のサイズを図るCRTサイズチェッカー29が配設されている。このCRTサイズチェッカー29は、テレビカメラ等で構成されており、写し込んだ画像を電気的に処理してCRT103のサイズを決定する構造になっている。
【0017】
(7)回収工程S5には、CRT103内の真空状態を解き、かつCRT103に取り付けられている電子銃部110や偏向ヨーク部111を取り外すための偏向ヨーク取り外し機(真空解除機を含む)30が配設されているとともに、ここで取り外した電子銃部110や偏向ヨーク部111を廃棄し、格納しておくための箱31が配設されている。
【0018】
(8)回収工程S6には、CRT103の外周に防爆バンドテープを介して取り付けられている防爆バンド105を抜き取るための防爆バンド取り外し機32が取り付けられている。この防爆バンド取り外し機32は、例えば対角線上にある各ブラケット106(図5参照)に電流を流し、CRT103の外周を強く締め付けている防爆バンド105の全体を加熱・膨張させた状態で、この防爆バンド105をCRT103より取り外す。
【0019】
図1は、その防爆バンド取り外し機32の一構成例をCRT103と共に概略的に示したブロック図である。そこで、防爆バンド取り外し機32の構成を図1を用いてさらに説明すると、この防爆バンド取り外し機32は、防爆バンド105のブラケット106に着脱自在に取り付けられるクリップ形の電極端子部201A,201Bと、この電極端子部201A,201Bを介して防爆バンド105に電力を供給するための電力供給部202と、電力供給部202による電力供給を制御するための制御部203と、CRT103より防爆バンド105を外すCRT−バンド分離操作機構204(実際には、このCRT−バンド分離操作機構204は回収工程S7でのキャビネット外し機33の一部を構成しているものである)と、防爆バンド105の温度を検出して制御部203に情報を入力するための赤外線センサ205等で構成されており、また制御部203には回収工程S4のCRTサイズチェッカー29で検出されたCRT103におけるサイズ等のCRT情報が順次入力されるとともに、このサイズ毎に電力供給部202より防爆バンド105に供給すべき電力の値(予測値)が記憶されている。
【0020】
このように構成されている防爆バンド取り外し機32では、CRT103が回収工程S7まで運ばれて来ると、防爆バンド105のブラケット106にまず電極端子部201A,201Bが取り付けられる。なお、この取り付けは、自動、手動の何れであっても良い。また、ここでの電極端子部201A,201Bは、図1中に示すようにCRT103の長辺L(これに対して符号Sで示す辺は短辺となる)側の対角位置に配置されているブラケット106に各々取り付けられる。
そして、CRT情報に基づいて制御部203が電力供給部202を制御し、電力供給部202より防爆バンド105にCRT103のサイズに応じた供給電力が電極端子部201A,201Bを介して供給される。すると、防爆バンドの全体が加熱されて膨張する。また、最初のうちはCRT情報に基づいて制御部203が予測供給電力を供給するが、その後は赤外線センサ205で防爆バンド105の温度の上昇具合が検出され、この温度情報に基づいて電力供給部202が防爆バンド105に供給する電力が制御部203により決定される。また、供給後は、赤外線センサ205で防爆バンド105の温度が監視され、所定の温度を越えた状態になると、電力の供給が調整される。
こうして、防爆バンド105が加熱・膨張され、防爆バンド105のCRT103に対する締め付け力が解かれる。次いで、回収工程S7に移行される。
【0021】
したがって、ここでの防爆バンド取り外し機32では、金属製の防爆バンド105に一定の電力を供給し、この防爆バンド105を加熱・膨張させてCRT103より取り除き易くするので、CRT103からの防爆バンド105の取り外し作業が簡単にできる。また、供給電力で防爆バンド105の加熱・膨張を制御することから、機種やメーカ別等によって防爆バンド105の太さに差があったとしても、温度上昇させるための容積はCRT103のパネル面のサイズにより略一定で、温度上昇の度合いも同じになる。そこで、本実施例の場合では、パネル面のサイズをCRT情報から知って供給電力を制御するので、機種やメーカー等が異なっても略同じ状態に加熱・膨張させて防爆バンド105を簡単に取り外すことができることになる。
因みに、仮に防爆バンド105に定電圧を供給するようにした場合では、温度上昇したときに防爆バンド105内の抵抗値が上がり、これとともに電流が低下するので温度上昇の程度が下がり、防爆バンド105の膨張が余り得られず、取り外しにくくなる。一方、定電流を供給するようにした場合では、防爆バンド105が温度上昇したときに電圧が上がり、供給電力が上昇し、局部的な温度上昇が生じ、防爆バンド105の全体を略均一に膨張させるのが難しく、取り外しがスムースに行かない。
【0022】
(9)回収工程S7には、回収工程S6で加熱・膨張されて取り出し易くされた防爆バンド105と前側キャビネット部102aをCRT103より取り外すための前キャビネット外し機33が配設されているとともに、ここで取り外された防爆バンド105や前側キャビネット部102a等を廃棄するためのダストシュート34が設けられている。なお、このダストシュート34はダストシュート26,27と同様に下層階に通じており、ダストシュート34内に廃棄された防爆バンド105や前側キャビネット部102aは下層階に移行される。
【0023】
(10)回収工程S7aには、CRT103の特にファンネル部113の外面部に付着されている有機成分や防爆バンドテープ(不図示)の残りかす等の付着物(以下、これを単に「付着物」と言う)を掻き落として前洗浄処理を行うための付着物除去機33aが配設されているとともに、ここで掻き落とされた付着物を廃棄するためのダストボックス34aが設けられている。
【0024】
(11)回収工程S8には、CRT103のパネル部112とファンネル部113とを分離するためのパネル/ファンネル分割機35が3台配設されている。また、ここで分離されたパネル部112は移動パレット21側に保持されたままで、ファンネル部113だけが取り出され、この取り出されたファンネル部113は回収工程S9,S10へ送られ、パネル部112は回収工程S11へと送られる。
【0025】
(12)回収工程S9には、内シールド・アパーチャーグリル(またはシャドウマスク)除去機45が配されており、分離されたファンネル部113内に配設されている上記金属材を取り外すことができる構造になっている。また、この回収工程S9には、ここで取り外された内シールド・アパーチャーグリル(またはシャドウマスク)等の金属材を廃棄するためのダストシュート46が設けられており、このダストシュート46がダストシュート26,27,34と同様に下層階に通じている。したがって、ダストシュート46内に廃棄された上記金属材は下層階に移行される。
【0026】
(13)一方、各回収工程S10には、セラミックピン除去機47が配設され、パネルスカート部(不図示)に取り付けられているピンを除去することができる構造になっている。また、この回収工程S10には、金属材が取り除かれた後のファンネル部113を下層階に移行させるためのシュート48が設けられており、このシュート48は下層階のインデックス・テーブル37上に通じた状態となっている。
そして、インデックス・テーブル37上に移行されたファンネル部113は、下層階のフロア44上に設置されているリサイクル処理工程S8a,S8bにて所定の処理が成される。
【0027】
ここで、そのリサイクル処理工程S8aのインデックス・テーブル37は、ファンネル部113の供給を受ける供給部37aと、ファンネル部113を破砕しながら洗浄するファンネルガラス洗浄部37bと、洗浄後のファンネル部113を排出するための排出部37cの、3つの部分に分割されている。そして、シュート36より送られて来るファンネル部113は、まずインデックス・テーブル37上のミキサ(不図示)で受けられ、このミキサによりシェークされながらファンネルガラス洗浄部37bを通って排出部37cまで送られる。すると、この間にファンネル部113の破砕と洗浄が行われる。また、排出部37cまで送られたファンネル部113はミキサから取り出され、リサイクル処理工程S8b側に送られる。
【0028】
一方、リサイクル処理工程S8bはリサイクル処理工程S8aの後部に設けられており、破砕されて排出部37cより排出されて来るファンネル部113をファンネルガラスカレット収納ボックス40まで導くためのベルトコンベア41と、このベルトコンベア41の途中に設けられてファンネル部113を磁気的に選別して内部に混入されている金属部品を磁石で吸引して排除するための金属選別機42と、この金属選別機42で選別されて取り出された金属部品を収納するための金属収納ボックス43と、金属選別機42を通って来た破砕後のファンネル部113に対してエアを吹き付けて塵を飛ばして排除しながら、細粒,粗粒等とに分離してリサイクルを容易にするための風力選別機71が配設されている。ここでの風力選別機71は、目の異なる篩(不図示)を有し、この篩に金属選別機42を通ったファンネル部113を通して細粒,粗粒等とに分離するとともに、エアの吹き付けでカーボン等の塵を除去する。また、ここで選別されたファンネル部113はベルトコンベア41によりファンネルガラスカレット収納ボックス40まで送られて収納される。そして、ファンネルガラスカレット収納ボックス40に格納されたファンネル部113はさらに再利用し易くするのに、さらにプレス破砕されてガラス屑のカレットにされる。その後、さらに図示しないが別工程に送られ、そこで熱で溶かされて再利用される。一方、金属部品収納ボックス43内に収納された金属部品も図示しない手段により処理される。
【0029】
(14)回収工程S11には、パネル移載取り出し機49が設けられているとともに、このパネル移載取り出し機49で移動パレット21側から取り出されたパネル部112を下層階に移行させるためのダストシュート50が設けられている。そして、このダストシュート50を通してパネル部112を下層階に設けられているリサイクル処理工程S11a,S11bに移行できる。
【0030】
次に、下層階におけるリサイクル処理工程S11aとS11bの構成について説明すると、下層階のフロア44上には、ダストシュート50に対応して、ダストシュート50から落下されて来るパネル部112が順次載せられる移載機51と、蛍光体回収機62と、ブラシ法を用いたパネルガラス洗浄機52と、移載機53と、パネルガラス破砕機54と、ベルトコンベア55と、パネルガラスカレット収納ボックス56の他に、ベルトコンベア55の途中に設けられている金属選別機57、金属部品収納ボックス58等が配設されている。そして、ダストシュート50を通って落下されて来るパネル部112は、移載機51に載せられて蛍光体回収機62まで運ばれ、この蛍光体回収機62でパネル部112の内側蛍光面に設けられている蛍光体を回転しているブラシ等で掻き落とし、かつ吸引して回収される。こうして回収された蛍光体は図示せぬ手段により再生されて再利用される。
【0031】
また、蛍光体の回収が終わったパネル部112は、次にパネルガラス洗浄機52まで運ばれ、このパネルガラス洗浄機52で洗浄されてゴミ等が取り除かれる。その後、別の移載機53に載せられてパネル破砕機54まで運ばれ、このパネル破砕機54で再利用可能にプレス破砕されてガラス屑のカレットにされる。さらに、このガラス屑がベルトコンベア55に載せられてパネルガラスカレット収納ボックス56まで送られた後、さらに別工程に送られ、熱で溶かされて再利用される。
【0032】
また、下層階のフロア44上には、ダストシュート26,27,34を通って上層階より破棄されて落下して来る廃棄物を図示せぬ廃棄処理施設部に搬送するためのベルトコンベア59a,59bが設けられている。なお、図2の上層階のフロア13上に付される領域60と、図3の下層階のフロア44上に付される領域61は、それぞれ作業者や台車等が通る通路である。
【0033】
次に、このように構成された使用済みCRTの回収装置の動作を説明する。まず、廃棄CRT機器101は、下層階のエレベータ16の位置まで運ばれ、このエレベータ16を通して上層階に移行されて、予備工程S1aのコンベアで成る廃棄CRT載置部12上に載せられる。また、廃棄CRT載置部12上に載せられた廃棄CRT機器101は、倒れたりせずに正しい姿勢で載せられているか否かが作業者の目視によって確認され、正しくなければ作業者により直される。
【0034】
次いで、バランサアーム17が駆動され、廃棄CRT載置部12上の廃棄CRT機器101がコンベア14上に移され、投入パレット18内に載せられる。そして、投入パレット18内に載せられた状態で回収工程S1に向かって搬送される。また、回収工程S1に向かう途中では、予備工程S1bで廃棄CRT機器101の前面にフロントガラス123が取り付けられているタイプのものかどうかが作業者の目で調べられ、フロントガラス123が取り付けられているタイプのものでは、それが作業者の手により取り外されて箱19内に廃棄される。なお、この箱19内に廃棄されたフロントガラス123は、箱19に入れられたまま別の位置に搬送され、そこで洗浄された後に、図示せぬ破砕機を使用して再利用可能にプレス破砕され、ガラス屑のカレットにされて再利用に供される。
【0035】
また、フロントガラス123が取り外された廃棄CRT機器101及び始めからフロントガラス123が装着されてなかった廃棄CRT機器101はセットサイズチェッカー20により廃棄CRT機器101の外形等のサイズが検出され、これが上記制御部に情報として入力される。そして、ここでは、この回収装置で処理可能か否かが判定される。ここで処理不能と判定された場合はこれが図示せぬ制御部に入力されるとともに、コンベア14上より除去され、図示せぬ手段により別の方法で処理される。
【0036】
一方、処理可能と判定された廃棄CRT機器101の場合は、回収工程S1においてパレットセッター22によりつかまれ、CRT103のパネル部112を移動パレット21上に保持する。また、これ以後は、このコンベア15で移動されて移動パレット21と共に各工程に順次移動されることになる。
【0037】
そして、移動パレット21に載せられて回収工程S2に送られると、この回収工程S2では廃棄CRT機器101のキャビネット102がキャビネットカッター25により切断されて前側キャビネット部102aと後側キャビネット部102bとに分離され、前側キャビネット部102aに配置されているCRT103と後キャビネット部102b側に配置されている回路基板類104とが互いに分離され、このうち後側キャビネット部102b側がダストシュート26を介して下層階のコンベア58上に移されて廃棄処理される。
【0038】
一方、前側キャビネット部102a側は、移動パレット21に載せられたまま回収工程S3へ移行され、この回収工程S3でシールドケースの除去、ボルト外し、外シールド除去等が行われる。また、ここで取り外された各部品はダストシュート28を介して下層階のコンベア58上に落下されて廃棄処理される。これにより、CRT103には、電子銃部110や偏向ヨーク部111、防爆バンド105等の最小限の周辺部品だけが取り付けられた状態になる。そして、その後、回収工程S4へ移行され、この回収工程S4でCRT103のサイズのチェックがCRTサイズチェッカー29により行われ、このデータが図示せぬ制御部に送られる。
【0039】
次に、回収工程S5に移行され、この回収工程S5でCRT103内の真空状態を解除しながら、CRT103に取り付けられている電子銃部110や偏向ヨーク部111を偏向ヨーク取り外し機(真空解除機を含む)30で取り外す。また、ここで取り外した電子銃部110や偏向ヨーク部111等は箱31に入れられ、他の部品とは別にされて処理を待つ。
【0040】
次いで、回収工程S6に移行され、この回収工程S6でパネル部112の前面側に装着されている防爆バンド105に電流が防爆バンド取り外し機32によって流され、防爆バンド105の全体を加熱・膨張させた状態にして、この防爆バンド105をCRT10より取り外す。その後、回収工程S7に送られ、この回収工程S7で防爆バンド105が排除されると共に前側キャビネット部102aが前キャビネット外し機33によって取り外される。また、ここで取り外された防爆バンド105や前側キャビネット部102a等はダストシュート34を介して下層階のコンベア58上に落下されて廃棄処理される。
【0041】
続いて、回収工程S7aに移行され、この回収工程S7aでCRT103の特にファンネル部113の外面部に付着されている有機成分や防爆バンドテープの残りかす等の付着物を付着物除去機33aで掻き落として前洗浄を行う。
【0042】
続いて回収工程S8に移行され、この回収工程S8でパネル/ファンネル分割機35によりCRT103が接合部分114に沿ってパネル部112とファンネル部113とに分離され、パネル部112を移動パレット21に保持させたままで、ファンネル部113側だけがアパーチャーグリル(またはシャドウマスク)やシールド板等の金属板と共に取り外される。そして、回収工程S9,S10を通してファンネル部113内の大まかな金属材が取り除かれ、その後ファンネル部113がシュート48を介して下層階のインデックス・テーブル37上に移行され、リサイクル処理工程S8a,S8bにて所定の処理が順次なされる。
【0043】
すなわち、リサイクル処理工程S8aでは、インデックス・テーブル37上でファンネル部113の破砕と洗浄が行われ、また破砕・洗浄後は排出部37cよりリサイクル処理工程S8b側に送られる。
リサイクル処理工程S8bではファンネルガラス洗浄部37bを通ったファンネル部113をベルトコンベア41の途中に設けられている金属選別機42によりファンネル部113を磁気的に選別して異種部品(金属材)を排除するとともに、この金属材選別機42で選別された後の破砕済みのファンネル部113を風力選別機71内に通す。この風力選別機71では、エアを吹き付けながら破砕後のファンネル部113を篩に一回または複数回通すことによって細粒,粗粒等に選別するとともに塵を排除する。また、その選別後のファンネル部113をファンネルガラスカレット収納ボックス40まで導き、さらに図示しない別工程に送られて、熱で溶かされて再利用される。
【0044】
一方、ファンネル部113が取り外されたパネル部112側は、回収工程S11まで運ばれる。この回収工程S11では、パネル部112を移動パレット21から取り外し、この取り外したパネル部112をダストシュート50を通して下層階に設けられているリサイクル処理工程S11a,S11bに移行させる。
【0045】
そして、ダストシュート50を通って落下されたパネル部112は、移載機51に載せられて蛍光体回収機62まで運ばれ、この蛍光体回収機62でパネル部112の内側蛍光面に設けられている蛍光体を回転しているブラシ等で掻き落とし、これを吸引して回収され、その後、パネルガラス洗浄機52まで運ばれる。また、このパネルガラス洗浄機52で洗浄され、ゴミ等が取り除かれた後、別の移載機53に載せられてパネル破砕機54まで運ばれ、このパネル破砕機54で再利用可能にプレス破砕されてガラス屑のカレットにされる。次いで、このガラス屑がベルトコンベア55に載せられてパネルガラスカレット収納ボックス56まで送られた後、さらに別工程に送られ、熱で溶かされて再利用される。また、パネルガラスカレット収納ボックス56に送られる途中では金属選別機57により不要物(金属材)が取り除かれて図示しない手段により処理される。これにより、使用済みCRTの回収における1つのサイクルが完了し、これが順次繰り返される。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、機種やメーカー等が異なってもバンドを略同じ状態に加熱・膨張させてCRTより簡単に取り外すことができるので、CRTの取り出し作業性が簡略化でき、低コストでの再生処理が可能になり、CRTの再生化をより促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の要部を概略的に示す構成ブロック図である。
【図2】本発明の一実施例に係るCRTの解体処理工程図である。
【図3】本発明の一実施例に係る解体処理装置部分のレイアウトを示した図である。
【図4】本発明の一実施例に係る解体処理装置部分のレイアウトを示した図である。
【図5】一般的なCRTにおける内部構造を示す概略構成配置斜視図である。
【符号の説明】
32 予備バンド取り外し機
101 CRT機器
103 CRT
105 防爆バンド
106 ブラケット
112 パネル部
113 ファンネル部
201A,201B 電極端子部
202 電力供給部
203 制御部
205 赤外線センサ

Claims (2)

  1. 取付用ブラケット部を複数一体的に有している金属製のバンドが外周に締め付けられた状態にして取り付けられている使用済みCRTの解体処理方法において、
    定電圧を供給する定電圧供給手段と、
    前記定電圧供給手段からの電圧を制御し、前記バンドに略一定の電力を供給する電力供給手段と、
    前記バンドの温度上昇を監視する温度監視手段と、
    予め計測された前記CRTの大きさによって前記バンドに必要とされる電力を予測し、
    前記電力供給手段の前記供給電力を制御するとともに、前記温度監視手段で監視された温度上昇状態に応じて前記電力供給手段による電力供給を制御する制御部とを備え、
    前記バンドに一定の電力を供給して加熱・膨張させて前記CRTより前記バンドを取り外すようにしたことを特徴とする使用済みCRTの解体処理方法。
  2. 前記CRTの長辺側対角位置と対応する前記バンドの部分にそれぞれ電極を着脱自在に取り付け、前記電極を通して前記バンドに電力を供給するようにした請求項1に記載の使用済みCRTの解体処理方法。
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