JP3554639B2 - 熱可塑性樹脂シート成形品の補強成形方法 - Google Patents
熱可塑性樹脂シート成形品の補強成形方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴槽等に代表される熱可塑性樹脂シート成形品の補強成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
浴槽等に代表される住宅建材分野において、合成樹脂シート材料を用いた成形品は、ガラス繊維などの強化繊維で補強を施されている。かかる成形品の従来の補強方法は、別途成形された一次成形品の裏面側にガラス繊維マット等を載せてその上からポリエステル樹脂を何度も塗布し、その樹脂を硬化させて仕上げる公知のハンドレイアップ法、或いは一次成形品の裏面側に樹脂とガラス繊維とをスプレーガンで同時に吹き付けて積層する公知のスプレーアップ法により行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の成形方法においてはローラで塗布時に混入する空気を追い出す脱泡作業を要し、熱硬化性樹脂の硬化する時間が約30分程度かかるので、1個当たりの成形作業時間は1〜2時間を要した。仮に脱泡作業を迅速に行い、速硬化性の樹脂を使用した場合には、硬化時に発生する熱により一次成形品の伸びや表面にしわを生じて製品に悪影響を与える結果を招くことになる。このため、かかる方法を採用することは困難であった。また、スプレーアップ法の場合には熱硬化性樹脂に含まれるスチレン等の雰囲気を生じるため、作業環境を悪化させる要因ともなっていた。
【0004】
よって、この発明は、熱可塑性樹脂シート材料により成形された一次成形品の補強をポリウレタン樹脂の発泡成形により施し、成形時間の短縮化と作業環境の改善を図る成形方法を提案することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、熱可塑性樹脂シートを加熱軟化させて予備伸長を行った後、真空成形又は真空圧空成形によって一次成形品を成形し、強化繊維プラスチックにより成形した予備成形体を雌型内に挿入してその上からポリウレタン樹脂を注入し、ついで該雌型内に上記一次成形品を入れて型締めを行うと共に、前記ウレタン樹脂の発泡を施して成形品を製造することを特徴とする。
【0006】
同様の目的を達成するために請求項2に記載の発明は、熱可塑性樹脂シートを加熱軟化させて予備伸長を行った後、真空成形又は真空圧空成形によって一次成形品を成形し、所定長さに切断された強化繊維とポリウレタン樹脂を雌型内に直接投入し、ついで該雌型内に上記一次成形品を入れて型締めを行うと共に、前記ウレタン樹脂の発泡を施して成形品を製造することを特徴とする。
【0007】
【発明の作用及び効果】
真空成形又は真空圧空成形によって成形された一次成形品の補強作業は、発泡用の雌型内に予備成形体を挿入し、又は予備成形体を用いないでポリウレタン樹脂を充填して行われることから、従来に比べて成形工程が簡略化されて作業が行い易い。また、ポリウレタン樹脂の発泡時に熱が発生して一次成形品を変形させる作用を生ずるところ、発泡成形が上下の型内で拘束された状態で行われ、その熱は型を伝わって吸収される。しかして、発泡時の熱による変形が抑制されて歪みの少ない品質のよい成形品が得られる。また、結果的に薄いシートの一次成形品を用いることを可能とするため、材料コストの低減にも役立つ。
【0008】
この熱可塑性樹脂シート成形品の補強成形方法によれば、従来の煩わしい脱泡作業等が不要となり、成形工程が簡略化されて成形時間を従来の半分以下に短縮することが可能となり、かつ作業環境の改善を図ることができる。また、ポリウレタン樹脂の発泡成形によるため、本来の補強作用と保温作用とを兼備した成型加工を行うことができる利点がある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明方法を図面に基づいて説明する。図1は一次成形品の成形過程を説明する模型図、図2は予備成形体の成形から発泡用の雌型に一次成形品を入れて型締めを行う一連の工程を説明する模型図、図3は本発明方法による成形品の縦断面図である。
【0010】
図1において、sは厚さ3〜5mm程度のアクリル、ポリカーボネート等を材料とする熱可塑性樹脂シート(以下、シートと略称する)であり、該シートsを公知の真空成形又は真空圧空成形法により成形する。即ち、クランプ枠1で両側縁を挟持されたシートsはヒーター2により加熱軟化され、チャンバー10内に雌型11を設けた成形ステーションに移送される。チャンバー10上に固定された加熱軟化シートsは、加圧空気により上方に押し上げられて予備伸長を行われた後、前記雌型11がシート面まで上昇してから雌型11の真空吸引孔12からキャビティー内の空気が吸引されて外部に排出される。これにより、シートsはその型内面に密着して賦形され、図1(iv)に示す一次成形品aを成形する。
【0011】
この発明における熱可塑性樹脂シート成形品の補強成形方法は、予備成形体を芯材として使用する場合と使用しない場合とがあり、それらを図2に基づいて説明する。
【0012】
(予備成形体を使用する場合)
▲1▼図2(i)に示すように、まずガラスロービング20をカツター21で所定長さに切断してこれを熱硬化性樹脂、ウレタン樹脂等と共に、雄形状の成形型22に吹き付けて(ii)の予備成形体bを成形する。なお、強化繊維としてはガラス繊維のほか、ポリエステル繊維やカーボン繊維を用いることも可能である。
▲2▼その予備成形体bを成形プレス(図示せず)の雌型25内に挿入して、その上からウレタン発泡機23によりポリウレタン樹脂を注入し、ついで該雌型25内に上記一次成形品aを入れて上から雄型26を下降作動させることにより型締めを行う。しかして、上記ポリウレタン樹脂の発泡を施したのち脱型して、図3に示す一次成形品aの裏面にポリウレタン樹脂を補強層yとした成形品xを製造する。
【0013】
(予備成形体を使用しない場合)
▲1▼図2(xi)に示すように、ガラスロービング30をカツター31で所定長さに切断し、これとウレタン発泡機33により押し出されるポリウレタン樹脂を雌型35内に直接投入する。
▲2▼ついで、該雌型35内に上記一次成形品aを入れて上から雄型36を下降作動させることにより型締めを行い、上記ポリウレタン樹脂の発泡を施したのち脱型し、前記同様の成形品xを製造する。
【0014】
しかして、この熱可塑性樹脂シート成形品の補強成形方法によれば、成形工程が簡略化されて成形時間を従来の半分以下に短縮することが可能となり、かつ作業環境の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一次成形品の成形過程を説明する模型図
【図2】予備成形体の成形から発泡用の雌型に一次成形品を入れて型締めを行う一連の工程を説明する模型図
【図3】本発明方法による成形品の縦断面図
【符号の説明】
s→熱可塑性樹脂シート a→一次成形品 b→予備成形体 x→成形品
23(33)→ウレタン発泡機 25(35)→雌型 26(36)→雄型
Claims (2)
- 熱可塑性樹脂シートを加熱軟化させて予備伸長を行った後、真空成形又は真空圧空成形によって一次成形品を成形し、強化繊維プラスチックにより成形した予備成形体を雌型内に挿入してその上からポリウレタン樹脂を注入し、ついで該雌型内に上記一次成形品を入れて型締めを行うと共に、前記ウレタン樹脂の発泡を施して成形品を製造することを特徴とする熱可塑性樹脂シート成形品の補強成形方法。
- 熱可塑性樹脂シートを加熱軟化させて予備伸長を行った後、真空成形又は真空圧空成形によって一次成形品を成形し、所定長さに切断された強化繊維とポリウレタン樹脂を雌型内に直接投入し、ついで該雌型内に上記一次成形品を入れて型締めを行うと共に、前記ウレタン樹脂の発泡を施して成形品を製造することを特徴とする熱可塑性樹脂シート成形品の補強成形方法。
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JP21193596A JP3554639B2 (ja) | 1996-07-22 | 1996-07-22 | 熱可塑性樹脂シート成形品の補強成形方法 |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH1034754A JPH1034754A (ja) | 1998-02-10 |
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JP21193596A Expired - Fee Related JP3554639B2 (ja) | 1996-07-22 | 1996-07-22 | 熱可塑性樹脂シート成形品の補強成形方法 |
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1996
- 1996-07-22 JP JP21193596A patent/JP3554639B2/ja not_active Expired - Fee Related
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