JP3554440B2 - 内視鏡の汚液飛散防止具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内視鏡の挿入部において開口する流体通路に連通する外部開口が操作部に設けられた内視鏡における外部開口からの汚液飛散防止具に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡には一般に、処置具類を通すための鉗子チャンネルが挿入部内に挿通されていて、その先端出口は挿入部の先端において開口し、基端入口は操作部において開口している。
【0003】
ただし、そのままでは、体腔内の圧力によって体腔内の汚液が鉗子チャンネル内を通って操作部側の入口開口から噴出し、術者やその周囲を汚染してしまうことになる。
【0004】
そこで、そのような汚液噴出を阻止し、且つ鉗子チャンネルに対する処置具の挿脱を行うことができるように、鉗子チャンネルの入口開口部には、例えばスリットが形成されたゴム弁からなるいわゆる鉗子栓が装着されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、鉗子栓に処置具が通されると、ゴム弁のスリットが押し広げられてスリットの端の方の部分では処置具の外周面との間に隙間ができ、その部分から汚液が噴出する場合が少なくない。特に、コイルパイプをシースとする処置具の場合は、外周面に螺旋状に隙間があるので汚液が噴出し易い。
【0006】
また、シース内に操作ワイヤ等が進退自在に挿通された処置具の場合には、シースと操作ワイヤとの間に隙間があるので、その部分を通って汚液が噴出する場合がある。
【0007】
また、操作部に設けられた吸引操作弁や送気送水操作弁は、内部に装着されたOリングによってシールされているが、Oリングが磨耗したり擦り切れると、操作弁のリーク孔等から体腔内の汚液が噴出する場合がある。
【0008】
そのようにして、体腔内汚液が内視鏡の操作部付近から噴出すると、術者の顔や手に汚液がかかったり周囲に飛散して、非常に不衛生な状態になってしまう場合があるが、そのような体腔内汚液の噴出を完全に防止するのは困難である。
【0009】
そこで本発明は、内視鏡の操作部側で体腔内汚液の噴出があっても、汚液がそこから飛び散らず、内視鏡検査を衛生的に行うことができる内視鏡の汚液飛散防止具を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡の汚液飛散防止具は、内視鏡の挿入部において開口する流体通路に連通する外部開口が上記挿入部の基端に連結された操作部に設けられた内視鏡における上記外部開口からの汚液飛散防止具において、上記外部開口から漏出する汚液を上記外部開口の外側において吸収するための柔軟性のある吸水性材料からなる汚液吸収部材と、上記外部開口を外側から覆う状態に上記汚液吸収部材を係止するように上記操作部に対して着脱自在に設けられた係止部材とを有することを特徴とする。
【0011】
なお、上記汚液吸収部材が、ガーゼ、海綿、連続発泡体、含水性不織布又は高分子含水性ポリマーを素材としていてもよく、上記係止部材が紐状体であって、上記汚液吸水部材に形成された紐通し部に上記紐状体が挿通されていてもよい。
【0012】
また、上記係止部材が、伸縮性のある無端状部材によって形成されていてもよく、上記係止部材が、互いに係合する係合部を両端に有する有端状部材によって形成されていてもよい。或いは、上記係止部材が、操作部に係合する係合部を両端に有する有端状部材によって形成されていてもよい。
【0013】
また、上記汚液吸収部材が、上記外部開口だけでなく上記操作部の握り部分の一部を覆うように形成されていてもよい。そして、上記外部開口が、処置具類を鉗子チャンネルに挿入するための入口、又は送気送水或いは吸引操作弁に形成されたリーク孔であってもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1において、1は内視鏡の操作部であり、その下端部に、体腔内に挿入される挿入部2が連結されている。
【0015】
挿入部2内には、その先端に開口する鉗子チャンネル4が全長にわたって挿通されている。そして、鉗子チャンネル4の基端側は操作部1の下端部に斜め上方に向けて突設された突出部3の先端に開口形成された処置具挿入口5に連通している。
【0016】
処置具挿入口5のすぐ内側の突出部3内には、通常は閉じていて、処置具挿入口5から鉗子チャンネル4内へ処置具が挿通されたときだけ押し開かれる鉗子栓6が配置されている。
【0017】
操作部1の上半部には、送気送水操作弁7と吸引操作弁8とが前面側に配置され、挿入部2の先端近傍に形成された湾曲部(図示せず)を遠隔的に屈曲操作するための湾曲操作ノブ9が、側面に配置されている。その部分と操作部1の下端部との間は握り部1aになっている。
【0018】
送気送水操作弁7には、挿入部2の先端に開口する送気チューブと送水チューブとが連通接続されているが、その図示は省略されている。また、吸引操作弁8は、操作部1の下端部において鉗子チャンネル4と連通接続されており、鉗子チャンネル4は吸引チャンネルも兼用している。
【0019】
20は内視鏡の汚液飛散防止具であり、図2に示されるように、例えば柔軟性のあるガーゼ等の吸水性材料を複数枚重ね合わせたものを折り返して汚液吸収部材21を形成し、その折り返し部に例えば輪ゴム等からなる係止部材22を係合させたものである。
【0020】
この実施の形態においては、汚液吸収部材21が折り返し部の近傍で折り返し線に平行に縫い合わされて、係止部材22を通すための通し孔23が形成されている。24は縫い目である。
【0021】
このように通し孔23を形成しなくても、汚液吸収部材21を単に折り返すだけでもよいが、通し孔23を形成すれば、係止部材22が汚液吸収部材21に安定的に取り付けられた状態になるので、操作部1に対する着脱等が楽になる。
【0022】
このように形成された汚液飛散防止具20は、係止部材22に内視鏡の挿入部2を先端側から通して、図1に示されるように、係止部材22により操作部1の下端部付近を締めつけ固定する。係止部材22の径は、操作部1の太さに合わせて設定すればよい。
【0023】
この実施の形態においては、係止部材22が突出部3より上方に止められており、処置具挿入口5の外表面が汚液吸収部材21によって上方から覆われるようになっている。
【0024】
その状態では、図1に示されるように、握り部1aを握った術者の手の小指で汚液吸収部材21を軽く押さえて保持することができ、鉗子チャンネル4を通ってきた体腔内の汚液が処置具挿入口5から外へ噴出しても、汚液吸収部材21に吸い取られるので、周囲に飛散したり術者の手や顔にかかったりしない。
【0025】
処置具挿入口5から鉗子チャンネル4内に処置具を挿入して使用する際には、図3に示されるように、汚液吸収部材21で処置具100の周囲を囲むようにすれば、汚液の飛散を防ぐことができる。
【0026】
また、図4に示されるように、汚液吸収部材21の半部で操作部1の握り部1aを覆って、握り部1aを把持する手で握り込むようにすれば、汚液が手に伝わるのをより防止することができると共に、操作部1の保持が滑らなくなって持ち易くなり、また、汚液吸収部材21が安定して保持される。
【0027】
なお、図5に示されるように、汚液吸収部材21としては、ガーゼに限らず、海綿、連続発泡体、含水性不織布又は高分子含水性ポリマー等のように柔軟性のある吸水性のある部材を広く用いることができ、通し孔23を形成するための縫い目24部分は溶着等に代えることもできる。
【0028】
また、係止部材22は、例えば図6に示されるように、有端状の紐状体を用いてもよく、その端部どうしを互いに係合させることができるように、両端部に例えばスウェーデンファスナー(いわゆるマジックテープ[商標])22a等を設けてもよい。
【0029】
図7はそのような実施の形態の使用状態を示しており、輪ゴムの場合に比べて操作部1への着脱を楽に行うことができる。なお、図8に示されるように、係止部材22を突出部3より下の位置で操作部1に止めて、処置具挿入口5の外表面を汚液吸収部材21により下方から覆って使用するようにしてもよい。
【0030】
このようにすると、汚液吸収部材21の端部21aが重力によって処置具挿入口5の表面を塞ぐ位置に下がってくるので、処置具挿入口5からの汚液の飛散をより防止することができる。
【0031】
図9及び図10は、係止部材22の両端部に止め輪22bを形成し、係止部材22を操作部1の下端部付近に巻き付けて両端の止め輪22bを突出部3に引っかけて係止するようにしたものである。このようにすると、操作部1に対する汚液飛散防止具20の着脱が楽である。なお、係止部材22には弾力性を有する素材を用いるとよい。
【0032】
図11及び図12は、送気送水操作弁7と吸引操作弁8の外表面が汚液吸収部材21で覆われるように、汚液飛散防止具20を操作部1の上半部に取り付けたものである。
【0033】
このようにすると、送気送水操作弁7や吸引操作弁8に装着されているOリングの破損等があっても、各弁7,8に形成されたリーク孔等からの汚液の飛散を吸収することができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、内視鏡の挿入部において開口する流体通路に連通するように操作部に設けられた外部開口を外側から覆う位置に、柔軟性のある吸水性材料からなる汚液吸収部材を取り付けることにより、操作部外部開口から体腔内汚液の噴出があっても、汚液が吸収されてそこから飛び散らず、内視鏡検査を衛生的に行うことができる。そして、汚液飛散防止具は、必要に応じて容易に取り付け取り外し及び交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の汚液飛散防止具が操作部に取り付けられた状態の側面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の汚液飛散防止具の斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の汚液飛散防止具が操作部に取り付けられた状態で処置具が使用されている状態の部分正面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の汚液飛散防止具の異なる使用状態の側面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の汚液飛散防止具の正面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態の汚液飛散防止具の正面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態の汚液飛散防止具が操作部に取り付けられた状態の側面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態の汚液飛散防止具が異なる態様で操作部に取り付けられた状態の側面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態の汚液飛散防止具の斜視図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態の汚液飛散防止具が操作部に取り付けられた状態の平面断面略示図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態の汚液飛散防止具が操作部に取り付けられた状態の平面部分断面図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態の汚液飛散防止具が操作部に取り付けられた状態の側面図である。
【符号の説明】
1 操作部
2 挿入部
4 鉗子チャンネル
5 処置具挿入口
6 鉗子栓
20 汚液飛散防止具
21 汚液吸収部材
22 係止部材
Claims (9)
- 内視鏡の挿入部において開口する流体通路に連通する外部開口が上記挿入部の基端に連結された操作部に設けられた内視鏡における上記外部開口からの汚液飛散防止具において、
上記外部開口から漏出する汚液を上記外部開口の外側において吸収するための柔軟性のある吸水性材料からなる汚液吸収部材と、
上記外部開口を外側から覆う状態に上記汚液吸収部材を係止するように上記操作部に対して着脱自在に設けられた係止部材とを
有することを特徴とする内視鏡の汚液飛散防止具。 - 上記汚液吸収部材が、ガーゼ、海綿、連続発泡体、含水性不織布又は高分子含水性ポリマーを素材としている請求項1記載の内視鏡の汚液飛散防止具。
- 上記係止部材が紐状体であって、上記汚液吸水部材に形成された紐通し部に上記紐状体が挿通されている請求項1又は2記載の内視鏡の汚液飛散防止具。
- 上記係止部材が、伸縮性のある無端状部材によって形成されている請求項1、2又は3記載の内視鏡の汚液飛散防止具。
- 上記係止部材が、互いに係合する係合部を両端に有する有端状部材によって形成されている請求項1、2又は3記載の内視鏡の汚液飛散防止具。
- 上記係止部材が、操作部に係合する係合部を両端に有する有端状部材によって形成されている請求項1、2又は3記載の内視鏡の汚液飛散防止具。
- 上記汚液吸収部材が、上記外部開口を覆うだけでなく上記操作部の握り部分の一部を覆うように形成されている請求項1ないし6のいずれかの項記載の内視鏡の汚液飛散防止具。
- 上記外部開口が、処置具類を鉗子チャンネルに挿入するための入口である請求項1ないし7のいずれかの項記載の内視鏡の汚液飛散防止具。
- 上記外部開口が、送気送水又は吸引のための操作弁に形成されたリーク孔である請求項1ないし8のいずれかの項記載の内視鏡の汚液飛散防止具。
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